新人選手にとって一発目の戦いであるルーキーシリーズ2024in富山で見事完全優勝を果たした栗山和樹選手(岐阜125期)。
一度社会人を経験してからの競輪選手への挑戦となった26歳の栗山選手に、今後の目標なども含めて様々なお話を伺いました。
ナッツ:まずはルーキーシリーズ2024in富山での優勝おめでとうございます。
栗山:ありがとうございます。
ナッツ:ご自身の中で振り返っていかがですか。
栗山:デビュー戦で完全優勝という形で終えることができたので、出来すぎな感じはしますね。
ナッツ:ルーキーシリーズに臨むにあたって、優勝まではイメージできていなかったということですか。
栗山:優勝できればいいなとは思っていたのですが、まさか完全優勝できるとは思っていませんでしたね。
ナッツ:お客様の前での初めてのレースでしたが、入場の際など緊張はしませんでしたか。
栗山:やっぱり脚見せの時には緊張しましたし、オッズを見た時に自分が人気になっていたこともわかったのでその辺りはドキドキしましたね。
ナッツ:もうその時点でオッズのことまで考えて臨まれていたわけですね。
そして初めてのレースで1着を取りましたがその時のお気持ちはいかがでしたか。
栗山:1着を取れたことが素直に嬉しかったですね。
ナッツ:その後はバンク内でマイクパフォーマンスもありました。実際にお客様を目の前にお話してはいかがでしたか。
栗山:「良かったぞ」って言う有難い言葉をいただけたのでそれに安心しましたし、 「次の日も頑張れ」っていう声もいただけたので、次の日もしっかり頑張らないとなっていうのは思いましたね。
ナッツ:やはりその辺りは卒業記念レースとは気持ちも違う面がありましたか。
栗山:そうですね。やっぱり卒業記念レースはお客様のお金はかかってないですし、自分たちの親に対して今までの成果を見せるレースのような感じだったので、自分のやりたいレースをやるという感じだったんです。やっぱりお金がかかってくると緊張の仕方も違いますし、他の選手の動きとかもしっかり見てないといけなくなってくるので、そういった意味では全然違うレースでしたね。
ナッツ:その辺りもしっかりと考えられていたあたりすごいですね。
栗山選手は養成所では3位の好成績だったわけですが、養成所ではどういった戦い方をされてたんですか。
栗山:師匠からも特にスタイルなどは何も言われていなかったので、できる時は先行しましたし、どちらかというと確定板を外さないように心掛けていましたね。
ナッツ:単騎戦ですし先行も一人しかできないですもんね。
栗山:そうですね。先行をしようと思えば出来るんですけど、それじゃやっぱり着は大きくなってしまいますしその辺りは無理して先行というスタイルではなかったですね。
ナッツ:ご自身の中ではどういう部分を意識して養成所を過ごされていたんでしょうか。
栗山:養成所では日本代表のメニューを色々変えてやってくださってるのでそこに必死に取り組みましたね。周りの子も強かったので、置いていかれないように日々練習を励んでましたし。競争訓練では先行はしないにしてもバックはなるべく多く取れるように走っていて、長い距離の捲りを打てれば、という意識でした。
ナッツ:そして先ほどお話もありましたが、卒業記念レースでは1着こそなかったものの、着をまとめて決勝にもしっかり勝ち進んでの準優勝でした。実際走られてみてのご自身の手応えはいかがでしたか。
栗山:身体の調子がいつも通りにはなっていなかったんです。でも先生が、卒業記念レースに関しては無理に1着を取らなくても3着で上がれるんだったらそれでもいいっていう風に言って下さって、それがすごく自分の中ではありがたい言葉でしたね。もちろん1着を狙っていましたが、力としてもちょっと落ちていた頃だったので、1着を狙いつつ決勝まで上がれるような競争をしました。
ナッツ:まさにその言葉通りしっかりと勝ち上がりを決めたわけですが、ちょっと調子が落ちていたというのは何か原因があったんですか。
栗山:大学生の頃から冬は身体も動かなくて、あまり得意じゃないのもあって...。
そこで周りの子に置いていかれていましたし、調子を合わせられなくて最後の方は1着を取れずじまいでしたね。
ナッツ:栗山選手にとっては暖かい時期の方が良いのですね。
栗山:そうですね。暑い時期の方がタイムも出るし身体も動くので、どちらかというと夏の方が良いですね。ただ、これからは冬でもしっかり戦えるように頑張っていきたいですね。
ナッツ:そして先日、養成所の滝澤所長がトークショーで、森田一郎選手(埼玉125期)とともに栗山選手の名前を挙げられて、今後に期待をしているというお話がありました。
栗山:いや~それは嬉しいんですけど、森田は大学(朝日大学)の後輩になるんですよね。
自分が4年生の時に1年生で一緒にやっていた子で。だからやっぱり後輩に負けるのは悔しいですし意識はしますね。やっぱりどんな練習しているかも知っているし、その分負けたくない気持ちが強いですね。
ナッツ:栗山選手ももちろん若い方ではありますけど26歳ということで、養成所の中では10代の子や20代前半の子も多い中で、体力面などの差を感じることもありましたか。
栗山:やっぱりそこは若いな~っていう風に感じますね。笑
大学卒業してからはしばらく自転車に関わっていなかったので、今はその時にはなかった新しい練習方法もありますし、考え方が当時とは全然違うので、僕らのやってた頃とは違うという部分で、若い子と話すと発見がたくさんあって刺激になっていましたね。
ナッツ:ちなみに同期の中で他に意識する選手はいますか。
栗山:何人かいるんですが、特に阿部英斗君(福岡125期)はずっと敵対視してくれてるので意識しますね。笑 養成所の時にいつも一緒に走ることが多くて、勝ったり負けたりを繰り返してたんです。
ナッツ:阿部選手もその経歴から注目されている選手ですもんね。今後の対戦に期待しておきます。そして栗山選手は松岡篤哉選手(岐阜97期)が師匠ですが、師匠との出会いはどういったきっかけだったんでしょうか。
栗山:まだアマチュアをやる前に練習をしていた場所が一緒で、その時に声をかけさせていただいたんです。その後大学時代に元選手の加藤渉さん(岐阜67期・引退)という方がいて、その人を通じて松岡さんにお願いしてもらった形ですね。
ナッツ:師匠と一緒に練習をすることはあるのでしょうか。
栗山:練習は一緒にはしてないですね。師匠は街道でされていて、自分はまずはバンクをメインでやっているので。そのバンクでは山口拳矢さん(岐阜117期)や志田君(志田龍星選手・岐阜119期)と一緒にやるのが多いですね。
ナッツ:おお、トップ選手と最初から練習ができる環境があるんですね。
栗山:そうですね。岐阜は結構その辺り分け隔てなく一緒に皆さんやってくれますね。
ナッツ:ちなみにルーキーシリーズを迎えるにあたって、師匠からは何かアドバイスはありましたか。
栗山:特に何かアドバイスはなかったのですが、終わった後に「おめでとう」とLINEが来たので見てはくれていたんだなと思いましたね。
ナッツ:イメージ的にも口数は多い方じゃないのかなとも思いますが、栗山選手がご自身で質問すると教えてくれる感じですかね。
栗山:そうですね。聞けば色々と教えてくださるタイプです。普段は陰からそっと見守ってくれている感じです。笑
ナッツ:そしてルーキーシリーズを見ていて1番感じたのが、良い意味で新人離れしているというか、内に包まれても全然慌てないし、展開に応じたレースができるなって印象だったのですが、ご自身の中でそういったところは強みでしょうか。
栗山:そうですね。大学まで自転車競技をやっていた分、そういったところで慌てないっていうのはありますし、周りをしっかり見てどの展開でも自在に走れてるのかなとは思います。
ナッツ:自在性もあるということですが、本デビューしてからはどのような戦い方をしていきたいですか。
栗山:やっぱりそこは先行ですね。師匠も今でも先行で頑張っているので私もしっかりと先行で戦っていきたいです。
ナッツ:ちなみに栗山選手の持ち味は?
栗山:そこはもう地脚ですね。しっかりと先行して力をつけていきたいと思っています。
ナッツ:ルーキーシリーズを見ていても長い距離をしっかりと踏んでいましたもんね。
その中で将来的には人の後ろという選択肢もありますか。
栗山:下の子たちも結構強い子がいるので、そこはメンバーなどにも応じて変えていきたいですね。絶対番手は回らない、という考えでもないですし、やっぱりオールドルーキーで年齢のこともあるので。でももちろんまずはやっぱり自力で戦っていきます。
ナッツ:そして栗山選手といえば、大学を卒業して一度就職をされたというお話を目にしたのですが、もしよろしければ具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか。
栗山:もちろんです。家から30分ぐらいの段ボールの会社の営業職ですね。笑
ナッツ:えー!営業職だったのですね。
栗山: はい、そうなんです。自分の会社で作っているダンボールを買ってもらうという営業でした。
ナッツ:栗山選手とお話していての言葉遣いやメールでの文面を見ていても、すごくしっかりとされているなと思っていたんですが謎が解けました。笑 そのあたりは社会人としての経験があるからなのですね。ただ、大学で1度自転車を辞めて就職して、そこから仕事をしている環境でまた競輪選手を目指すきっかけは何だったのでしょうか。
栗山:それは職場の人で自転車を好きな人がいたんですよね。その人と久しぶりに自転車に乗る機会があったんです。ちょうどその時期コロナが流行していて、仕事自体にやりがいが少なくなっていた時期だったんです。好きなことを仕事にできるっていうのも良いなと感じて、それならもう一度挑戦してみようかなと思ったのがきっかけですね。
ナッツ:へぇ~!じゃあその一緒に働いてた方が自転車好きだったってのが本当に大きいですね。
栗山:そうなんですよ。今でも練習をすることもあってお世話になってる方なんです。
ナッツ:その方にとっては栗山選手が実際に選手になって相当嬉しいんじゃないですか。
栗山:そうですね!富山のルーキーシリーズも見にきてくれたんです。笑
ナッツ:おお、嬉しいですね!今の話を聞いて気になったのが、大学卒業の時に就職じゃなくて競輪選手になるという選択肢はなかったのでしょうか。
栗山:そこはなかったんです。やっぱり大学まで自転車をやり続けていて、ちょっと1回離れたいっていう気持ちが強かったんです。あんまりそこから続けるっていう気持ちがなかったんですよね。
ただ自転車を辞めていた時期も競輪自体は見ていたので、大学の時の同期が良い生活してるなってのを見ていいなとは思っていました。笑
ナッツ:大学の時の同期というと例えばどの選手ですか?
栗山:それは志田君だったり上杉君(上杉嘉槻選手・福井119期)ですね。大学は違いますが山根君(山根将太選手・岡山119期)も同級生ですね。今の119期の大学卒業組が年齢も一緒なんですよ。
ナッツ:確かにもう皆さんS級で戦ってる選手ですもんね。
栗山:そうなんです。だから自分も彼らのように頑張っていかないといけないなと感じていますね。
ナッツ:ちなみに選手を目指すにあたって親御さんはどんな反応だったんでしょうか。
栗山:「大学卒業した時に目指せばよかったやん」って感じでしたね。笑
でもやりたいことを反対する親ではなかったです。ただ、一度だけと決めて挑戦することにして合格できたのでよかったです。
ナッツ:しっかりとそこで一発合格できるあたりが素晴らしいですね。ちなみに家族への恩返しはなにかされましたか。
栗山:ルーキーシリーズの追加斡旋もあって、なかなか日にちが空かないのでまだご飯に連れていけていないし賞金には手をつけていないのですが、少し落ち着いたらご飯に行こうかなと思っています。
ナッツ:素敵ですね。そして今後栗山選手は選手としてどういったところに目標を置いていきますか。
栗山:近い目標としては師匠も制したヤンググランプリを獲ることですね。
そして長期的にはやっぱりGIに出て勝てる選手になりたいですね。
ナッツ:その為の今のご自身の強化ポイントはありますか。
栗山:やっぱり長い距離を踏めないといけないので、自分の持ち味の持久力を強化していかないといけないなと感じています。
ナッツ:では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
栗山:中部を代表する選手になりますので、今後も応援よろしくお願いします。
ナッツ:ありがとうございました。今後の活躍に期待しています!
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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今回いわき平競輪場で行われました<令和六年能登半島地震復興支援競輪・大阪関西万博協賛/第78回日本選手権競輪(GI)>を優勝しました平原康多選手(埼玉87期)にシリーズを振り返っていただき、併せてこれからの競走への意気込みをうかがいました。
大村篤史:ダービー優勝ならびに年末のグランプリ出場権の獲得おめでとうございます。
平原康多選手:ありがとうございます!
大村:ダービー出走の直前は今年2つ目の地元記念(西武園GIII)でした。
平原:そのときにかなり昔の自転車のセッティングに戻しました。スピード競輪対応のものから元へ戻したことで感覚的にも戻ってきたというか。戦えるという感触、ようやく手応えが出てきた中でダービーの前検に入りました。
大村:なんでもフォームなど10年程前のものに戻されたとか。
平原:セッティングを変えれば自然と乗車フォームも戻るんですが、それによって怪我の影響が軽くなりました。うまく言えないんですけど練習中も痛みを感じながらだったのが力も入るようになり、噛み合ってきた感覚がありました。
大村:一走目(特別選抜予選)は眞杉選手(眞杉匠選手・栃木113期)をマーク。別線も皆さん動けるタイプでのコマ切れ戦でした。初手で関東ラインは前受けでした。
平原:事前の作戦でスタートは取れればと。なるべく前からレースを組立てる考えでしたね。
大村:赤板で眞杉選手が近畿ラインを突っ張り、深谷選手(深谷知広選手・静岡96期)、犬伏選手(犬伏湧也選手・徳島119期)の順に外を上昇。最終的に後中団に位置しました。
平原:眞杉には(前受けから)そのまま突っ張って逃げる考えもあったと思いますよ。自分はその時々の前の動きに遅れないようにしていました。
大村:関東ラインの反撃は最終HSからでした。
平原:いやもう、タイミングはバッチリ!抜群の発進でそのまま(前段との距離を)詰める勢いでスピードを殺さない仕掛けでした。絡まれないよう捲ってしまう感触は付いてる自分にもありましたね。
大村:4コーナーでの三谷選手(三谷竜生選手・奈良101期)の急追を振り切って1着でした。
平原:うーん...、眞杉を2着に残したかったんですが力が戻りきっていなくて牽制が全然巧く出来なかったですね。もう少し上手くやれるようにという課題が残りました。
大村:二走目のゴールデンレーサー賞は関東ラインは栃木&埼玉勢での4車連携の3番手。初手は後方からでした。
平原:数ある作戦の中でラインで決めるよう組み立ててくれたんだと思います。
大村:首尾よく4車で先手を打ちましたが古性選手(古性優作選手・大阪100期)がやってきて...。
平原:自分は(前の2人に)付いていくだけの位置だったんですけど内から来られ隙をつかれてしまい...情けないレースでした。技術的にここが古性に劣っている部分なんだと自覚しました。
大村:レース後の武藤選手(武藤龍生選手・埼玉98期)は「自分が止めきれず、入られてしまったのが全て。」の旨コメントされていました。
平原:龍生には龍生の、自分には自分の反省点があったと思います。古性の総合力が上回ったということでしょう。
大村:二走を終えた時点のコンディションはいかがでしたか。
平原:特選は雨の中でしたけど、元に戻したフォームや乗り方が競走にマッチしてきたなという実感がありました。只、GDR賞は道中の全てが向い風に感じるバンク状態に苦しんだなと振り返って思います。
大村:準決勝は関東ラインが前受けでした。
平原:コマ切れ戦ですから(初手は)なるべく前の方を、という作戦でした。
大村:菅田選手(菅田壱道選手・宮城91期)の強引イン斬りからレースが動きました。
平原:眞杉は(北日本ラインを)出すつもりはなかったと思いますよ。寺崎(寺崎浩平選手・福井117期)より先に先行態勢に入るには突っ張るのが手堅いですから。
大村:眞杉選手はすかさず叩き返し、今度は寺崎選手がカマシてきました。平原選手の牽制の後は寺崎選手を一車にして出すのかなと思ったんですが...。
平原:出さなかったですね。いやぁ、ここがまさに闘争心の表れ!気持ちの強さと先行選手の意地ってやつです。それを真後ろに居てヒシヒシと感じました。シビレましたね!
大村:眞杉選手のかかりは悪くないように見えたんですが。
平原:駆けながら寺崎を持っていって、そこに強い向い風を受けて一気に失速した感はありました。
大村:残り半周は山口選手(山口拳矢選手・岐阜117期)が猛スパート。迫りました。
平原:姿が見えたときには眞杉はタレていました。ラインは眞杉だけではないし、自分が4コーナーで踏まないと諸橋さん(諸橋愛選手・新潟79期)にもチャンスはないですから。結果はヤマケン(山口選手)に行かれてしまったんですけど、眞杉の走りを無駄に出来ないで思い切って踏みました。
大村:いよいよ決勝戦です。関東勢は5車勝ち上がり並びが注目されました。
平原:並びを一本にしてしまうと誰かが5番手を回らないといけません。それではあまりにチャンスがないですから。小林泰正(小林泰正選手・群馬113期)と諸橋さんでの上越ラインと吉田拓矢(吉田拓矢選手・茨城107期)に自分たち埼玉が続く並びに分かれてやればそれだったら...ってことで結論が出ました。
大村:レースは上越ラインが前段に変わる中で古性選手は踏み合いを避けつつ3番手に。清水(清水裕友選手・山口105期)・山口2選手が追走するような態勢でした。道中の心境はどうでしたか?
平原:自分は意外に落ち着いていました。(前を回る)吉田は打鐘で粘ろうかどうしようか判断しかねたようだったのでバックを踏んで入れました。
大村:態勢を立て直した吉田選手はすぐさま仕掛けました。
平原:ええ!迷いなく行ってくれたのは拓矢の距離だったんでしょうね。
大村:一気に捲って平原選手の展開へ。終盤は道中で埼玉勢の後ろに居た岩本選手(岩本俊介選手・千葉94期)と単騎の古性選手が外を、切替えた諸橋選手が内を突くも武藤選手がガードしました。
平原:あの時は正直、目の前に集中していました。それでも岩本はずっと見えていましたよ。それに何があっても龍生のことは信じて自分も走ってますから(笑)
大村:ゴールした瞬間、大歓声が起こりました!
平原:お客様からの声がタイヘンな勢いで湧き上がってヤバいくらい!本当に圧倒されそうでした。日本選手権はGI最高峰です。自分の中ではここを目指してずっと選手をやってきましたし、特にここ一年間は体調も戻らず...。そんな中、このタイミングでの優勝はいろんな感情が混ざりあいました。ゆっくりペダルを踏んでいるうちにファンの皆さんが自分のことのように喜んでくださっているのが分かりました。本当に幸せを感じたウイニングランでしたね。
大村:ゴール後にまず武藤選手と、そしてウイニングランでは吉田選手と肩を叩きあう姿も感動的でした。
平原:なかなかこんな経験はできないので...自分も胸がいっぱいでした。夢心地で肩をたたき合ったと憶えています。
大村:話が遡りますが3月の玉野記念(GIII)出走中に達成された500勝のインタビューで森田優弥選手(埼玉113期)といっしょに受けた動画を拝見しました。
平原:横で茶化してましたね(笑)。
大村:平原選手がスタンバイする間、森田選手がにこやかに待ってらしたのが本当にいい関係だなと思いました。
平原:まぁ、待ってくれてるのは自分が先輩だからなんだけど(笑)。でもそうやって後輩に祝福してもらえるのは幸せですよね(照笑)。
大村:ダービーの表彰式ではファンの皆様からの祝福を受けました。平原選手も感極まって...。
平原:そうですね。辛い時期が長かったですし、つまりはファンの皆さんに迷惑をかけて期待を裏切り続けてきたんだって想いがありました。
大村:平原選手の復活はまだ時間がかかりそうか?という声もありました。
平原:ええ。そんな状態の最中でどんなレースでも、それこそ負け戦でも自分のことを応援してくれてた方がいるんですが、実はその人が表彰台から見る目の前に居たんです!目の前で号泣されてたんです!それで自分ももうこらえきれなくなりました。ひと言では言えない色んな感情が混ざりあって我慢できなくなりましたね。ファンへの感謝の気持ちが優勝の実感と結びつきました。
大村:敢闘門の前では2回胴上げされました。別線で戦ったおふたりも笑顔でした。
平原:レースが終われば皆んなひとりひとりのアスリートですからね。最高の胴上げを2回もやってもらえました。
大村:ダービーの優勝で年末のグランプリ出場とS班復帰が約束されました。そしてグランドスラムに残るはオールスター競輪(GI)だけになりました。本格的な復活に向けて今取り組んでいることはなんですか。
平原:まずはケアです。この一年は痛みを抱えながら練習していましたし、怪我も治りきったわけではありません。自転車の上ではかなり力が入るようになりましたが、やりたいウエイトトレーニングなどは思うようにはまだまだです。
大村:フレーム、セッティング方面は?
平原:それは今回昔のに戻したことで方向性は固まりました。なので今はフィジカルを取り戻すことですね。整体も近くの先生だけでなく遠出もしています。飛行機で移動したりするくらいの。プライベートの時間を割いてコストもかけてます。自分ももう42(歳)になります。限られた時間で頂点をめざすからには時間は無駄にせず、お金は出し惜しみせずやってます。
大村:この先の中盤戦と少し気の早い話ですがグランプリへの意気込みをうかがえますか。
平原:今すぐの復活、優勝の二文字となるとまだ遠い段階ですが、とにかく諦めずに頑張ります!
大村:では最後にこの記事をご覧になったオッズパーク会員の皆様と全国の平原ファンへのメッセージをお願いします。
平原:一年くらい走りの内容でも結果でも迷惑とご心配をおかけしました。ですが今回こうやって念願のダービーで結果が、日本選手権で優勝が出来ました。ひとえに応援しつづけてくださったファンの皆様のおかげです。これからもしっかりといいレースを見せられるように努力をしていきます。引き続き応援をよろしくお願いします!
大村:ありがとうございました。
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※インタビュー / 大村篤史(おおむらあつし)
2012年4月から小倉競輪場を中心にレース実況を担当。
名前と同様の"熱い"実況スタイルでレースのダイナミズムを伝えることが信条。
2022年7月からは小倉ミッドナイト競輪CS中継の二代目メインMCとしても出演中。
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6月に岸和田競輪場で行われる『第2回パールカップ(GI)』に出場する飯田風音選手(埼玉120期)。4月の『オールガールズクラシック(GI)』では初戦に1着を取りGIでの初勝利となりました。近況の振り返りとパールカップ(GI)への意気込みを伺いました。
山口みのり:ではまずオールガールズクラシック(GI)について、どんな思いで参加されましたか?
飯田風音選手:ビッグレースだからとかは特に考えず思い切っていこうと思っていました。
山口:GIが始まったことでの変化は、自分の中では特にないですか?
飯田:そうですね。意識しすぎるとだめだと思うので、自分の中では変わらないようにいつも通りを心掛けました。
山口:オールガールズクラシック(GI)予選ではGI初勝利がありました。いかがでしたか?
飯田:1着を取れたのは良かったです。後ろの仕掛けも気にしていて仕掛けられました。
山口:GIは動けるタイプの選手も多いですが、組み立てなどは変わりますか?
飯田:特に変わらないと思います。普段の開催の決勝も動くタイプの選手も多いことがあるので。でも全力を出し切ることは意識しています。
山口:準決勝、位置は尾方真生選手(福岡118期)の後ろを最初から追走でしたが、決めうちだったんですか?
飯田:そうですね。もう少し早く尾方選手が動くのかと思っていたのですが、自分から動けば良かったと思います。経験と判断が難しいです。
山口:切り替えようと思ったらいけたのでしょうか。
飯田:早めにだったら動いていけたと思うのですが、勝負所では難しかったです。
山口:その分も最終日は力を発揮できましたか?
飯田:最終日は、私の後ろに坂口楓華選手(愛知112期)がいて、坂口選手に先にいかれちゃうと負けると思ったから、より前にいて坂口選手よりは先に仕掛けようと思っていました。
山口:3コーナーあたりでも後ろを警戒しているのかなと思っていました。
飯田:そうですね。差されないところでいこうと思っていました。
山口:見事1着で締めくくりでした。3日間をトータルで振り返っていかがでしたか?
飯田:1着を2回取れたのは良かったのですが、レース内容はまだまだなので、自分から仕掛けて勝てるようになりたいです。
山口:ここまで優勝も連続していますが、今年の成績を振り返ってみていかがでしょう?
飯田:優勝もできているし、去年よりは上がっています。
山口:今年の目標は何ですか?
飯田:予選でも着外になることもあるので、そこをまずは確実に3着以内に入れるように安定させていきたいです。1番人気の時に1着を外してしまうこともあるので、そこは特に気を付けたいです。
山口:レースの中で気を付けていることはなんですか?
飯田:ダッシュがある方だと思うので、それをいかして走りたいです。
山口:被ったりはしたくないですね。
飯田:そうですね。でも最近は落ち着いて走れていると思います。常に全力を出し切れるレースを心掛けています。
山口:次のGIがパールカップです。昨年も走られましたが、振り返っていかがですか?
飯田:初めてビッグレースで確定板にのれた開催でした。あとは他の選手のスピードがすごく速かったです。
山口:東西でわかれての勝ち上がりが特徴ですが、その辺りはいかがですか?
飯田:特には気にしていませんが、勝ち上がれるように頑張りたいです。
山口:パールカップ(GI)の目標は何ですか?
飯田:決勝に上がれるように頑張りたいです。
山口:昨年も準決勝で残念ながら敗退でしたが、予選から準決勝はまた違うんでしょうか?
飯田:はい。かなりレースの流れが速いです。
山口:他のGIもそんな雰囲気ですか?
飯田:そうですね。勝ち上がるたびに選手も強いですし、展開も速いので頑張りたいです。
山口:岸和田のバンクはどんなイメージですか?
飯田:特に印象はないです。普通のバンクだと思います。
山口:今の練習はバンクでされていますか?
飯田:はい。ホームバンクの大宮は500バンクですが、400より直線が長いです。そこで逃げ切れたら400バンクでもいけると思うので、地脚の強化には良いと思ってやっています。
山口:「今年は結果が出ている」との話がありましたが、練習で変えたことはありますか?
飯田:何にもないんです。練習内容は変えてないのですが、レースに慣れてきたので落ち着いてレースができるようになりました。
山口:今までは焦っていたんですか?
飯田:はい、常に焦っていました。今は落ち着いて走れています。
山口:どんなところに焦りがあったんですか?
飯田:例えば、ホームで仕掛けてきた選手がいたら「急いで追わないといけない!」とかですね。養成所の訓練で常に前々を意識していたので、それが癖になっていたのかもしれません。後ろは見てはだめだったし、車間もあけてはいけませんでした。それで慣れていたので、レースでは焦ってしまっていました。
今は早めに仕掛けた選手がいても、自分のタイミングで仕掛けられています。
山口:慣れるのに1年以上かかるんですね。
飯田:私の場合は、結構時間がかかりました。今は、誰が駆けているのか等を確認して冷静に走れるようになりました。
山口:練習環境はどのような感じでしょうか?
飯田:大宮競輪場は平日の午前中しかバンクで練習できないので、バンクでの練習は少ないです。街道も、いくとしたら車で1時間以上移動しないといけないので、今は室内でのウェイトトレーニングと、入れるときにバンク練習を集中してやっています。
山口:出稽古はいかないですか?
飯田:たまに西武園にいくくらいです。他県にはいかないですね。
山口:埼玉はガールズの選手も多くいらっしゃいますが、一緒に練習することはありますか?
飯田:私は父(威文選手・埼玉67期)と一緒に練習をしているのでガールズ選手とはあまり会わないです。
山口:以前お話を伺った時は「練習やレースのことをあんまり言われたくない」と仰っていました。お父様との関係は今はいかがですか?
飯田:今も変わらないです(笑)ただ練習内容で、父から逃げ切れたら自信になるのでそういう練習も力を入れてやっています。
山口:先行の練習もたくさんされているんですね。
飯田:はい。
山口:今、決まり手は捲りの方が多いですが先行も視野にはいれているんですか?
飯田:そうですね。逃げないと勝てない展開になれば、逃げようと思っています。
山口:予選、決勝問わずですか?
飯田:今は前を取ってそのまま先行する選手も多いです。そこに私も参戦して脚を削るよりも、無理せずに落ち着いて自分の仕掛けに集中して1着を狙う方が良いと思うので、その辺りは注意して仕掛けています。
山口:飯田選手の動きで、他の選手の動きが変わることもあるのではないですか?
飯田:そうですね。その場合は動きが早くなる気がするので、私は捲りが多くなります。
山口:この成績や走りはGIに繋がりますね。
飯田:そうだと良いのですけど...頑張ります。
山口:今のレースに対するモチベーションは何ですか?
飯田:車を買ったので、そのために頑張っています(笑)しかも2台買ったので、頑張らないといけないです。
山口:そうでしたか(笑)車はお好きなんですか?
飯田:はい、好きです。実用的なのとカッコいいのを買いました。それがモチベーションですね。
山口:それでは最後に、パールカップ(GI)への意気込みをオッズパーク会員の皆様にお願いします。
飯田:いつも準決勝で敗退してしまい決勝にいけないので、今回は決勝にいけるように頑張りたいです。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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6月に岸和田競輪場で行われる『第2回パールカップ(GI)』に出場する日野未来選手(奈良114期)に、一つ目のGI『オールガールズクラシック(GI)』の振り返りや近況のレース内容を中心にお話を伺いました。
山口みのり:今年のレースをご自身でここまで振り返っていかがですか?
日野未来選手:やりたいことはできていると思います。でもビッグレースだと、先行をしたくてしても3着以内に残れないのが現実です。だから勝ち上がっていくにはもっとビッグレースを想定して、普段の開催からレースの展開を作らないといけないなと思いました。
山口:オールガールズクラシック(GI)の時は積極的なレースが多くあったと思ったのですが、先行をしようと考えていたんですか?
日野:「絶対に先行」という訳ではないのですが、自在には構えず自分の力を出し切って勝ち上がりたかったんです。レースが終わった時に、力を余らせてゴールをしたくなかった。そのためには距離を踏むレースだなと思い、自分の行こうと思ったタイミングでカマシ先行や仕掛けたりしないと持ち味を出せないので、あの戦法になりました。
山口:初日は先に仕掛けて、カマシてきた山原さくら選手(高知104期)を合わせきりましたね。
日野:そうでしたね、最後は差されて2着でしたが、あのレースのように勝ち上がれたら良いなと思っています。それが理想ですね。
山口:その後の小倉や四日市でも最終HSでは仕掛けているのも、そういう意識ですか?
日野:はい。普通の開催でも心掛けてやっています。最近では自分で仕掛けるレースが多いと思います。
山口:自分での手ごたえはいかがですか?
日野:デビューした時よりは良いと思います。ペースや先行の仕方など、どんどん良い方向へいっていますね。
山口:ビッグレースでも長い距離を踏んで勝てるような意識を持っているんですか?
日野:いや、それはないです。そのレースをして勝ちたいですけど、勝てないのが現実なので。
今は、自分の持ち味をどうやって発揮するかを考えています。例えば前と車間をきって捲りにいくタイミングを変えたりなど、力を出し切るにしても長い距離を踏んだらもたないと思うので、先行以外の「力を出し切るレース」をどうやったらできるのか考えて練習しています。
山口:なるほど。
日野:それが捲りになったとしても、勝ち上がるのが重要だと思っています。
山口:四日市の決勝は「差し」の決まり手の優勝でしたね。最近では珍しいのかなという印象でした。
日野:他の選手との位置関係で仕掛けるタイミングを変えています。決勝は印が、私が本命◎で、対抗〇が初手で私の後ろにいた野口諭実可選手(大分102期)でした。その位置関係で最終HSからカマシ先行をしたら野口選手には絶対に差されると思ったので、差されない距離から自分の力を出し切るというイメージでレースをしました。レース中は「落ち着いて、落ち着いて」と自分に言い聞かせながら、早く仕掛けないように気を付けていたので、差しになりました。
山口:そうだったんですね。前の方で仕掛けている選手もいましたが、後ろの選手へ意識を向けていたんですね。
日野:前も見えていて全員を意識していますが、前にいる他の自力タイプの選手が仕掛けなかったら自分でいこうとは思っていました。ただ前で仕掛けていったので、私は落ち着いて優勝できるタイミングで仕掛けていきました。
山口:冷静に走っての優勝は素晴らしいですね。
では続いて、パールカップ(GI)の出場も決まりました。昨年も出場されましたが、勝ち上がりが東西にわかれてになります。それはいかがですか?
日野:特に気にならないです。普段から意識していないし、誰とあたっても強いですからね。それよりも自力タイプなのか自在タイプなのかが私は気になります。
山口:西の方が自力タイプが多いかもしれませんね。
日野:そうですね。自在タイプは東の選手に多い気がしますし。
山口:相手がどちらの方がやりやすい、やりにくいですか?
日野:うーん、難しいですが、自力タイプが多い方がしんどい気がします。まずは初日勝ち上がれるように頑張りたいです。
山口:今年の意気込みはいかがですか?
日野:去年の初日は全く動けていないんです。どうやっても動けない位置にいてしまって仕掛けもできなくて終わったので、今回は前回のオールガールズクラシック(GI)同様に、自分の好きなレースをしたいです。好きに動いて、自分の力を発揮できるようにしたいです。
山口:思い切りの良いレース?
日野:そうですね。この1年間やってきたことはそれなので、そういう風に組み立てたいです。
山口:岸和田のバンクのイメージはどうですか?
日野:めちゃくちゃ走りやすいです!
山口:軽いということですか?
日野:そこまで軽い訳ではないんですが、バンクも綺麗だし、悪いところが見つからないというか。とにかく走りやすいです。
山口:では良いイメージで走れそうですね。
日野:はい。
山口:GIを去年2回出場されましたが、走るにあたって1年間通しての気持ちの変化はありましたか?
日野:特にないです。強い選手がたくさんいるので「GIだから特別にどうこう」ではなく、私は普段のレースで1着を多くとれるようにしたいなと思っています。そうすると結果的にGIに繋がるし、走りも通用する選手になれるかなと思ってやってきました。一戦一戦を大切にしたいというのはずっと変わらないまま、先日のオールガールズクラシック(GI)は挑みました。
山口:予選も決勝も含めて1着を大切になんですね。
日野:はい。ファンの方が「日野、何やってるんだよ」と思わないようなレースをしようと心掛けています。
山口:今の課題はどういうところですか?
日野:今はガールズでもトップスピードが本当に上がっています。私も持ち味はダッシュなので、トップスピードの強化ですね。それに限ります。「うまいことしよう」とかは全くなく、ただ単純に脚力の強化です!
山口:おお!
日野:児玉碧衣選手(福岡108期)とかは特にスピードがすごすぎるので、脚力のみを伸ばしています。
山口:小倉の決勝で対戦がありましたが、日野選手の先行ですぐさま児玉選手が捲りにきました。あの勢いで来られると苦しいですか?
日野:すんなり私が先行できる展開なら良いんですが、前でスピードが上がっている中でのカマシや、他の強い選手をたたいて無理やり先行しにいく展開だと、私も合わせられる脚が残っていないのでキツイですね。
一度脚を使った後に再度捲りに行くとかそういう戦法は苦手なので課題だと思います。
山口:トップスピードもですが、何度も脚を使える持続力なども必要なんですね。
日野:はい。
山口:その強化のための練習方法は掴めてきていますか?
日野:はい。強化もしているし、マックスのトップスピードも上がってきているので良いと思います。
山口:ずばり、今の調子はいかがですか?
日野:めちゃくちゃ元気です!足も良いし、メンタルも良いと思います。
山口:たくさんの公営競技のイベントも引っ張りだこですし、それも楽しまれていますね。
日野:はい。その日はオフを取ると決めているので、そのために練習も頑張っています(笑)
山口:今年の目標はなんですか?
日野:大きいのは特に決めていないです。選手として最大の目標はもちろんガールズグランプリに出て優勝することですが、今年の目標だと、先ほど言った一戦一戦、その日のそのレースで1着を取ることだけを考えて走っています。目の前の1着だけを大事に走っています。
山口:その1着もガールズグランプリに繋がりますね。
日野:そう思います。
山口:今年は坂口楓華選手(愛知112期)が初タイトルとしてガールズケイリンコレクションを優勝されましたが、他の選手の活躍というのはどう見ていますか?
日野:凄いなと思いました。タイトルを取るって本当に難しいことだと思います。坂口選手はもともと京都の選手で近畿同士で話す機会も多くありました。とても真剣にレースや練習に取り組んでいたのを知っていたので、やっぱり頑張りは裏切らないんだなと、格好良いなと思います。
山口:ありがとうございます。ではパールカップ(GI)へ向けて取り組みたいものは何か特別にありますか?
日野:GIへの緊張感もありますが、それは普段の開催も同じです。特にいつもと同じレースと思ってやっていこうと思います。
山口:オールガールズクラシック(GI)は参加選手は全員女子です。何か他の開催と違う部分はありましたか?
日野:私が負けた時などに同期のみんなが「どうしたら良かったのか、ここはこうしたら良かったんじゃないか」と話し合いをしてくれていました。同期がたくさんいたので、レースではライバルだけど、それ以外でいっぱい話しましたね。レースに繋がる話や、ケアをしあったり、本当に114期は仲良しだな、愛だなと思いました(笑)
山口:良い話!(笑)
日野:「みんなが何で自分のレースじゃなく私のレースのことを、こんなに真剣に考えてくれるんだろう」と優しいなと思いました。
山口:他の同期の選手の時もそうやっていたんですか?
日野:どうなんでしょう。けど慰めだけじゃなくて「あそこで行けたやん」「ここで仕掛けやな!」と率直に言い合うのは、遠慮のいらない仲だからと思っています。
山口:良い関係です。終わった後の打ち上げも写真が上がっていましたね。
日野:そうですね。行けない子もいたんですが、予定の合う子はみんなで行けました。やっぱりあれだけ同期が集まることはないので珍しかったし、楽しかったです。
山口:柳原真緒選手(福井114期)も良い笑顔でしたね。あんまりはしゃぐイメージがなかったので素敵でした。
日野:実は同期の中では、結構ふざけてくれます(笑)1着を取ったら「すごい」と褒め合ったり、本当に良い雰囲気ですね。
山口:最後にパールカップ(GI)への意気込みを、オッズパーク会員の皆様へお願いいたします。
日野:今、選手になって初めて成績も安定してきているのは投票してくださる皆さんの応援のおかげです。ビッグレースでも怯まずにレースをするのが私の選手人生なので、それをふまえて応援してくれたら嬉しいなと思います。
後は、もし自在のレースをしたいなと思ったらハッキリ「自在」とコメントを出すので、しっかり事前のコメントをチェックして予想をして欲しいなと思います。
山口:予想には大切なことですね。「自力」なのか「自在」なのか。
日野:そうですよね。私は自分のやりたいレースのイメージの通りにコメントを出すので「積極的にいきたい」と言う時は早めの仕掛けだったり、予想の参考になるコメントをするのでチェックお願いします!
山口:しっかり書いておきます!後はお客様に伝えたいことはありますか?
日野:オールガールズクラシック(GI)を終えてから、車間を切ってタイミングを見て捲ったりの練習もしているので、久留米よりは上手に自力を出せるようにしたいです。
山口:ガムシャラに何が何でも、という訳ではなくですね。
日野:そうです!ただ仕掛けるだけではなく自分が勝てるような仕掛けを練習しているところです。
山口:車間を切る、というのは今まではしてこなかったですか?
日野:はい。前と離れすぎちゃったら怖いし「それで捲れなかったらお客さんにどう言い訳するん?」という私のファンだった時の思いもあり、でなかなかできなかったんです。でも男子の先輩から「やってみないとできないから、失敗して学べ」とアドバイスをもらいました。今は心掛けていることの一つです。
山口:そうじゃないといつまでも、後ろからいかれちゃいますもんね。
日野:そうなんです。こわいですが、練習で頑張っています。
山口:うまく車間を切ってですね(笑)
日野:はい(笑)頑張ります!
最後には本音の部分と、ファンだった時の目線をふまえての話をたくさんしてくださった日野未来選手でした。
ありがとうございました!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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6月に岸和田競輪場で行われる『第2回パールカップ(GI)』で初めてのGI出場が決まった竹野百香選手(三重124期)。デビューしてから約1年、素晴らしい活躍となりました。ここまでの振り返りとパールカップ(GI)への意気込みを伺いました。
山口みのり:まずは6月のパールカップ(GI)の出場が決まりました。デビューして約1年でのGI出場、ご自身ではいかがですか?
竹野百香選手:早すぎだなと思います。全然意識もしていなくて、出られるとも思っていなかったのでびっくりしました。ファンの方から教えていただいたんですが、最初は何のことかわからなかったです。
山口:GIを目標にしていたというよりは、日々のレースを頑張っていたらだったんですね。
竹野:はい、もちろんいつかは出たいとは思っていましたが、まさかこんなに早く出られるなんてびっくりしました。
山口:デビュー後、ここまで振り返っていかがですか?
竹野:競走得点で言うとだいぶ良い方だと思うんですが、得点に見合った実力だとは自分では思っていません。もっと脚をつけていきたいです。
山口:レースや生活の流れというのはいかがでしょう?
竹野:だいぶルーティーンなどもできてきて、良い感じだと思います。
山口:レースの内容としても、やりたいことはできていますか?
竹野:はい、かなりできています。もちろんできなかった時もありますが、その時はどうしてできなかったのかを考えて、次に生かせるように振り返っています。
山口:理想のレースはどんなレースですか?
竹野:全部つっぱって先行しての逃げ切りが理想です。
山口:そうなんですね!だからSを取ってのレースも多くあるんですね。
竹野:それもありますし、後ろにいると他の選手に蓋をされてしまう(内側に封じ込められてしまう)のが嫌なんです。そうならないように前にいっていたら、そのまま突っ張り先行になるというのが今の私のスタイルになっていますね。
自分の思い通りの仕掛けができないと嫌ですし、他の選手と接触の危険性もありますから。
山口:逃げと捲り、両方とも決まり手を残していますが、捲りの時も冷静に走れていますか?
竹野:そうですね。前も後ろも見ながら、冷静にいけていると思います。自分のいけるところから行こうと思っています。
山口:先行なのか捲りなのかは、流れを見て決めているんですか?
竹野:そうですね。でも予選は先行をするようにしていますが、決勝まで行くと先行ができない時もあります。Sを取って前にいても、次々と切りに来てしまうので、そんな時は捲りで行こうと思っています。
山口:それで勝てている時も多いですもんね。
竹野:勝率は捲りの方が高いと思います。
山口:4月久留米の決勝ではSを取りに行って取れず、どこにも入れずに最後方までさがる時があったかと思います。あの時はどんな気持ちでしたか?
竹野:すごく焦りましたが、もうどうにもできないと思ったので、切り替えて捲りに構えました。仕掛けるのも、前にいた田中まい選手(千葉104期)がすごく見ていたのがわかったので、先行も無理だなと思っていました。
山口:前にいた田中選手が最初に仕掛けた時に、竹野選手はのっていくのではなくそのままの位置でしたね。
竹野:はい、仕掛けはシッティングでいきたかったのと、他の選手の動きも見たかったので一旦は後ろにいました。Sで失敗してだいぶ脚を使ったため、脚力を温存しようという意図もありました。
山口:残り1周辺りで動きがあり、一番外を捲っていきましたが、乗り越える時はいかがでしたか?
竹野:捲りの方が得意なので、いけるなと思っていました。後ろは全然見えていなかったんですが、大丈夫かなと思いました。
山口:ありがとうございます。では続いてガールズフレッシュクイーンも振り返ります。単発レースはいかがでしたか?
竹野:すごく緊張しました。500バンクで動きも難しい中でしたが、自分のやりたいレースはできました。結果は3着と優勝はできませんでしたが、内容は満足しています。
山口:500バンクでの先行はいかがでしたか?
竹野:高知は500バンクでもカントがまったくない感じがしました。宇都宮は走ったことがあるんですが、全然違って「こんなバンクがあるんだ」とびっくりしました。
山口:そうでしたか。今後への経験になりますね。では今年の目標は何ですか?
竹野:実は「GIへ出場する」だったんですが、すでに叶ってしまいました(笑)
山口:パールカップ(GI)ですね(笑)
竹野:そうです。大きいレースに出たいとは思っていたんですが、まさかこんなに早く出られるとは思っていませんでした。出られるとしても競輪祭女子王座戦(GI)あたりなのかなと。だから本当にびっくりしました。
山口:今のところですが、太田美穂選手(三重112期)との同時斡旋ですね。
竹野:美穂さんは三重で一番強い選手なので、吸収できるものはしっかりできれば良いですね。
山口:練習は一緒にする機会もあるんでしたよね?
竹野:はい。私のグループは街道をメインに練習をしているんですが、バンクで練習を一緒にさせていただく時はあります。練習でもスピードがあったり本当に強いんです。でも練習も強いんですけど、美穂さんはレースを見ている方が「強いな」と思います。先日も別府の優勝も本当に強いなと思って見ていました。先輩は違うなと思います。
山口:背中を追っていけるのは良いですね。
竹野:はい。レースの内容も逃げて強いので、私の理想のレースの一つです。
山口:まもなく新人選手も入ってきますが、後輩期が入ってくるのはいかがですか?
竹野:先輩たちが言っている意味がわかりました。「新人選手が入ってくるのは怖い」と仰っている方がたくさんいて、どういうことだろうと思っていたんですが、いざ自分が先輩期になると思うとその気持ちがわかります。レースでコテンパンにやられないように頑張らないとと思います。
山口:ここまでの1年で先輩選手と話していて印象に残っている言葉はありますか?
竹野:すごくたくさんのアドバイスをいただいていて、印象に残っている言葉はたくさんあります。
石井貴子選手(東京104期)は先行のコツを教えてくださったり、加瀬加奈子選手(新潟102期)や中村由香里選手(東京102期)に「良いレースするね!内容が一番良かったよ」と褒めてもらったのはすごく嬉しかったです。フレッシュクイーンの前には山原さくら選手(高知104期)に、同じ開催の時にずっと励ましていただきました。
SNSでも「頑張ってね」とメッセージをいただいたりなど、先輩に恵まれていていろんな方に良くしていただいています。
山口:石井選手が先行のコツを教えてくださったのは、ライバルになる選手なのに素敵ですね。
竹野:そうなんです。以前お姉さんの石井寛子選手(東京104期)と岐阜で対戦したんです。その時は確か、私の後ろにいた選手にビビってしまいスピードを落とした瞬間に日野未来選手(奈良114期)にかまされてしまったんですが、レース後に貴子選手と同じようなアドバイスをいただきました。
山口:アドバイスを受けレベルアップしていっているんですね。
竹野:たくさん助けていただいています。
山口:初めてのGIですが、同じGIのオールガールズクラシックでは2回とも前半のレースに参加されました。GIの雰囲気というのは感じられましたか?
竹野:はい。何となくですが感じることはできました。
山口:パールカップ(GI)は男子とも同じ開催なのでオールガールズクラシック(GI)とはまた違う雰囲気かもしれませんが、フレッシュクイーンでは高知記念(GIII)でS級選手とも一緒でしたね。
竹野:そうですね。その時も何となくこんな感じなんだという雰囲気は掴めたと思います。自分も気を引き締めていきたいです。
山口:GIではどんなレースを見せたいですか?
竹野:GIだからと言って勝ちだけにこだわるのではなく、お客様のことも考えてレースの面白さであったり思い切ったレースというのも意識して走りたいです。
山口:岸和田は初めてですよね?
竹野:そうなんですよ。多少不安はあります。というのも先日の高知がフレッシュクイーンの時に初めてで、自分では「大丈夫だろう」と思っていたのに痛い目を見たので、レースを見たり他の選手に話を聞いたりなどして対策をしたいと思います。
山口:400バンクは走りやすいですか?
竹野:はい。ほとんどのバンクが400バンクなので高知よりは不安はないです。
山口:GIまでに強化したいことは何ですか?
竹野:全員が強いしスピードもすごいので、まずスピードの強化ですね。後はいつも通りの練習で仕上げていきたいです。
山口:スピードは課題ですか?
竹野:はい、とても思います。一緒に走っていて一番差があるなと感じる部分が、ダッシュとスピードなんです。
山口:そのための練習も今も継続しているんですか?
竹野:はい。練習も取り入れています。
山口:ありがとうございます。それでは最後にパールカップ(GI)への意気込みをオッズパーク会員の皆様へよろしくお願いいたします。
竹野:パールカップ(GI)に出場が叶いましたが、124期を背負っているので、124期の代表の気持ちで恥ずかしくないように精一杯走りたいと思います。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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