今年新設されたガールズケイリンのGI。最後の開催となったのは11月21日~23日に小倉競輪場で行われた『第1回競輪祭女子王座戦(GI)』でした。見事完全優勝を飾りガールズグランプリの切符をつかみ取った梅川風子選手(東京112期)にレースの振り返りを中心に、年末へ向けてのお話を伺いました。
山口みのり:競輪祭女子王座戦(GI)、完全優勝おめでとうございました。
梅川風子選手:ありがとうございました。
山口:少し時間経ちましたが、今のお気持ちはいかがでしょうか?
梅川:優勝した瞬間はすごく嬉しかったんですが、次の日ぐらいにはもう切り替えて次へ向けてという感じでした。
山口:あとで情報を見たのですが、体調が悪い中で走っていらっしゃったそうですね。
梅川:体調も悪かったのですが、自転車も進みも、しばらくずっと悪かったんです。それでジャパントラックカップに出たんですが、更に崩してしまって、ダブルパンチでした。前検日に入ってからもしんどくて、当日欠場になるのは覚悟していました。それを選手管理に報告、相談していたのですが、初日は熱が下がりなんとか走れました。
山口:そうでしたか。初日は体調面で大変でしたね。ただ展開は、前で踏み合いがあり梅川選手に向きましたね。
梅川:展開も自分に向いたのもあるし、体調が悪かったので、自分の中では期待せずに展開待ちみたいな感じになっちゃいました。それは良くない事なんですけど、良くない中でも自分に展開が向いてきたって感じでした。なのでレース後にインタビューで「一走して感じはどうですか?」と聞かれても「展開が向いたとしか言えないです」という感想でした。
山口:ガールズのGIはいつものポイント制の予選ではなく勝ち上がりのレースです。オールガールズクラシック(GI)では準決勝は4着で残念ながら決勝はいけませんでしたが、女子王座戦(GI)は、「準決勝は勝負だ」と体調面も含めて思っていましたか?
梅川:勝負だなとは思ってたんですが、体調がもう本当悪かったので、「絶対に勝ち上がってみせる」とか強い気持ちはあんまり考えずに走っていました。逆に、力は抜けて走れていました。
山口:ガールズグランプリに出るには決勝に勝ち上がらないと、なども考えずに?
梅川:はい。そこは全く考えなかったです。「まずはこの準決勝っていう一つのレースをどう完結させようかな」という気持ちで走っていました。そこまで「決勝に向けて勝たないと」とか「絶対3着以内に入って決勝乗るぞ」みたいな意気込みではない感じですね。
山口:そうなんですね。レースは太田りゆ選手(埼玉112期)の上を仕掛けて先行になりましたが、あの展開や仕掛けも流れの中でみたいな感じだったんですか?
梅川:事前にレース展開をざっくりと予想している中で、太田選手のS取りは可能性がそこまでないのかなと考えていました。ただ実際は太田選手がSを取りました。でも次の瞬間には別の展開が頭の中に出てきたので、そのまま走ったっていう感じです。準決勝は、レース前に「こうしようかな」や「あの選手が動いたらこうしようかな」などは、考える必要がないかなと思ってあんまり考えてなかったのも良かったです。
山口:なるほど。仕掛けた後は、梅川選手の後ろがもつれる形になりましたね。
梅川:もつれるようなペースになっちゃった感じでした。私が早く仕掛けて、そこからスピードを上げすぎてもゴールまではもたないと思っていたので、「後ろでもつれてるな」と確認して、落ち着いてレースができたのかなと感じていました。
山口:初日は捲り、準決勝は先行と巧みなレースをされていたので、体調が悪かったというのを後で見た時は本当にびっくりしました。見ていて感じませんでした。
梅川:見てる人にはわからないぐらい結果や動きもが良かったから、「体調が悪いです」と言ったところで「え?」という反応になると思います。私自身も、別の人がこんな成績が出ているのに、「体調が悪い、調子が悪い」と言っても「そんなわけなくない」って思いますもん(苦笑)でも、実際はこれが事実です。実際には、こんな気持ちで走っていました。
山口:ありがとうございます。では決勝戦ですが、このレースも先ほどおっしゃっていたように「優勝したらガールズグランプリ出場」などの気持ちはなく、一つのレースを走りきるという気持ちだったんですか?
梅川:そうですね。「この一戦を走りきる。どう攻略しようかな」としか考えていなかったです。ただ正直に言うと、自分が勝つ可能性はそんなに高くないなと思っていました。走る以上はもちろん1着を目指すのですが、ただ自分が1着を取るイメージはあんまり湧いてきてなかったです。佐藤水菜選手(神奈川114期)だったり、太田りゆ選手だったり、もちろん他の選手も、トップスピードで自分より強い選手たちがいる中で、どういう風に仕掛けるのがベストなんだろうとかなり悩んでました。
山口:佐藤選手や太田選手は、特にいつも練習を一緒にして、脚力やレース内容とかもよく知ってる選手だったというのも含めてですか?
梅川:それもあります。そういうことも踏まえて、自分がどう動くかっていうことを結構悩みましたね。仕掛けるタイミングを決めてしまうか、どうしようかをずっと考えてたんですが、発送前ぐらいまでには結構すっきりまとまって「こういう動きをしたいな、こういう展開に持ち込めるだろうな」っていうなんとなくイメージがついたので、それでいこうと思ったんですけど、号砲が鳴る瞬間ぐらいに、再度「どうしよう」って悩んだ感じです。
山口:え?もうレース始まります。
梅川:スタートする直前ぐらい、一礼しているくらいで、「ちょっと、どうしよう」って悩み出しました。たまにあるんですよ。
山口:すごいお話です!そこで焦ったりはしないんですか?
梅川:焦ってます。焦ってるからそういう風に考えてるんですよ。「自分が思う展開にならなかった場合、どうしよう。これは考えてなかったなー」みたいな。迷いが出てしまいました。「迷いが出てるのはまずいな」と思って立て直しをはかりました。迷っていると落車しちゃったりとかもあるから、そういうところはだめだから気を付けないとと。
山口:スタートして周回中は梅川選手は佐藤水菜選手の後ろ、前から2番手で進める形でしたね。
梅川:はい。佐藤選手がSを取らなかった場合は、私が取ろうと思っていました。ただ、自ら取りに行くのではなく、いわゆるSを取らされる形は避けたかったんです。佐藤選手がスタートした瞬間にどう動くかを見ていました。先に踏んでいくのか、スタートけん制をかけてくるのかを見た上で判断してもいいかなと思って、それで佐藤選手の出方を見てから自分も踏み込んだ感じでした。
山口:初手の並びの段階ではどう思っていましたか?
梅川:佐藤選手が、周りが出ないなら自分が行くっていう感じの出方をしたんです。なので、そのまま私も追いかけようかなっていう気持ちに切り替わりました。その瞬間にもう展開は私に向きそうだなと思っていました。
山口:次の動きは打鐘すぎでした。吉川美穂選手(和歌山120期)が一気に仕掛けてきました。あの動きはどう見ていましたか?
梅川:吉川選手の動きは、ゆっくり抑えに来る感じではなく、さっとスピードがのった仕掛けでした。そこから一気にスピードも上がっていきました。1回スピードが上がったら、ガールズケイリンのスピードのコントロールは前の方で始まってしまいます。「もうこれは佐藤選手が有利だな」と思ってましたね。
山口:佐藤選手がどこから仕掛けるかで、梅川選手の仕掛けも変わってきたと思うんですけど、それはどう考えていましたか?
梅川:私の調子が良ければ、佐藤選手と車間を切って、ホームなり最終BSからの仕掛けをしたいなと思っていました。ただ調子が悪かったので、自分の仕掛けよりも佐藤選手の仕掛け待ちみたいな感じになっちゃいましたね。
山口:最後の追い込みのスピードにかけようという判断になったんですか?
梅川:佐藤選手のスピードがすごく高いのはわかっていたので、佐藤選手が仕掛けたところを更に自分が仕掛けるよりも、仕掛けたところを待って、そこで足がためられれば良いなと思っていました。あとはもう直線勝負だなっていう感じですね。
山口:最後の直線はどうでしたか?
梅川:いやー、正直、追い込みに行った時、全然出なかったんで全く抜ける気はしませんでした。でも最後は抜けたので良かったです。
山口:佐藤選手もかなり踏み直していたんでしょうね。
梅川:やっぱ強いですよね。佐藤選手は、仕掛けのスピードよりも踏み直しが強いイメージが私はあります。ゴール前が一番トップスピードが高い感じですね。今まで抜いてきた他の選手よりも、きつい感じでした。ギリギリでした。
山口:目の前のレースだけを考えて走られて、結果としては完全優勝でGIを取りました。素晴らしい結果です。
梅川:そうですね、本当に自分でびっくりですね。こんなことがあるんだな、と不思議です。勝ち上がりの時点で、うまく自分の形に持ち込めたり、体調が悪くても諦めずに走ったりした結果、決勝の車番も良かったですし、いろんなことが積み重なって結果が出たので良かったです。
山口:その優勝で200勝も同時に達成ということだったんですね。
梅川:そっちは全く意識していませんでした。今年はなかなか走れていませんでしたしね。
山口:10月前半にオールガールズクラシック(GI)が終わって11月の女子王座戦(GI)までの間は、ジャパントラックカップなどもあってハードだったと思いますが、ガールズケイリンへの意識というのはどうだったんですか?
梅川:そうですね、競技の大会とこの女子王座戦(GI)の日程が隣り合わせだったので、もちろんハードなことは承知の上でオールガールズクラシック(GI)からの期間を過ごしていました。心の準備とかそういうのはできてたんですが、やっぱり体調の面で女子王座戦(GI)へ万全で入ってこれなかったのが自分の中で残念、というか申し訳なかったです。本来、万全で入るべきだと思うので、そこら辺うまくできなかったのはかなり悔しい部分ではありました。国内のレースをおろそかにしたくないので、グランプリはしっかり体調を整えたいなと思います。
山口:今年は地元立川で、ガールズグランプリが行われます。前回2019年の立川グランプリは出場されましたが、結果は残念でした。
梅川:そうですね。地元だったんですが、落車があり再乗して7着でした。あの時の悔しい思いを晴らせるようにと思います。
山口:今年のメンバーを見て印象はいかがですか?
梅川:グランプリに何回か出てる中で、「今年だからすごい」とか、「あの年だからどう」っていうのはあんまないです。今年は、今年の調子のいいメンバーが揃ったんだなという感じですね。
山口:前夜祭なども含めてですが、今後のスケジュールや過ごし方を、言える範囲で教えて欲しいです。
梅川:沖縄で競技の合宿をしています。合宿の合間に前夜祭も参加をして、合宿後は各自調整をしてグランプリへ、という感じですね。
山口:立川バンクへ練習へ入る予定はありますか?
梅川:入らないです。ナショナルチームの拠点である伊豆で練習ですね。
山口:立川の印象はどうですか?
梅川:もうみなさんご存知だと思いますけど、立川はやっぱり重たくて風が強いです。でも天気が良かったら風もないし、風が気にならない日もある。ただバンクは絶対重たいので、ただそこまで不利ではないかなと思います。
山口:梅川選手は去年の年末、同じ時期に立川を走って完全優勝をしていますね。
梅川:そうですね。走りました。あの日も風が強かったし、バンクが重かったなと感じました。でも、競技では重いギヤで練習をして踏めていますし、空回りするよりは重い方が良いのかなと思います。
山口:地元のガールズグランプリへの気持ちはいかがですか?
梅川:女子王座戦(GI)は、「優勝を目指す」とかそういうところまではっきりと言えるような状態でスタートできなかった中での優勝だったので、自分の中でも「あれ?」という感じでした。なのでグランプリはしっかりと体調を整えて、自分でしっかりと戦えるという状態で入りたいなと思いますし、そういう熱い気持ちで走りたいです。優勝だけを目指して頑張りたいと思います。
山口:地元ということで、お客様もたくさん応援に来てくださると思いますが、いかがでしょう。
梅川:とても楽しみです。なかなか地元でグランプリって経験できないと思いますしね。そのあたりはしっかり自分の胸に刻んで走りたいなと思ってます。
山口:ありがとうございます。では、最後にオッズパーク会員の皆様へ向けてメッセージをお願いします。
梅川:地元の東京でガールズグランプリを走れることを本当に誇りに思いますし、地元のご声援を力に変えてしっかり走りたいなと思っているので、ぜひ現地に来ていただき、応援していただけると嬉しいです。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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3度目の挑戦で見事競輪王に輝いた眞杉匠選手(栃木113期)。今年2個目のGIタイトルを獲得し、更に今回は自力で勝ち取った優勝。喜びの声や今後の目標などを伺いました。
ナッツ山本:競輪祭(GI)優勝おめでとうございます。
眞杉匠選手:ありがとうございます。
ナッツ:少し日が経ちましたがお気持ちはいかがでしょうか。
眞杉:いや~やっぱり嬉しいですし、これで自信を持ってグランプリに臨めるかなと思いますね。
ナッツ:今年2つ目のGI制覇というところはいかがですか。
眞杉:うーん...やっぱりオールスター(GI)の時はラインのおかげで勝たせてもらったので、今回は展開が良かったんですが、それでも自分の力で取れたということは嬉しいです。
ナッツ:やはり誰かの後ろを回る優勝と自力での優勝というのは、喜びが違いますか。
眞杉:オールスター(GI)は本当にラインとしては100点のレースだったかなと思いますし、今回は今回で自分の持っているものを全部出せたかなと思うので、どっちも嬉しいのは嬉しいですね。それぞれ嬉しいというか。
ナッツ:また喜びの種類が違うということですね。今回、競輪祭(GI)の前は豊橋で完全優勝をされました。そこから競輪祭(GI)に挑みましたが状態面はいかがでしたか。
眞杉:豊橋では神山さん(神山雄一郎選手・栃木61期)と一緒だったんですけど、そこで、ちょっとセッティングのお話を色々と聞いたんです。かなりセッティングが良くなっての競輪祭(GI)だったのでそういう意味ではすごく良かったですね。
ナッツ:神山さんに!ということは豊橋の前までのセッティングはご自身の中ではあまり良くなかったんですか。
眞杉:そうですね。結構ずっと色々といじっていて、正解が分かんなくなっちゃっているような感じでしたね。そこで色々アドバイスをもらって変えてみたら良くなりましたね。
ナッツ:そのセッティングが出た状態で迎えた1走目ですが、松谷秀幸選手(神奈川96期)との連係でした。ちょっと京王閣記念(GIII)のこと(眞杉選手が松谷選手を押上げで失格)があったので、見ている側はドキドキしましたが、眞杉選手自身はいかがでしたか。
眞杉:いや~やっぱり京王閣のこともあったので...そこは失敗はできないなと思っていましたね。
ナッツ:その中で作戦としては、どのような感じだったのでしょうか。
眞杉:もうあのまんまですね。作戦通り行ったかなと思います。
ナッツ:勝負どころを逃さずしっかりと叩いて、という走りでしたね。ラインワンツーが決まりましたが、1走しての感触はいかがでしたか。
眞杉:感じはだいぶ良くて、そこから自転車をまた少しいじって、さらに良くなった感じですね。
ナッツ:1走目が終わって、2走目までに更にいじったということですか。
眞杉:1走目から2走目の時か、2走目終わった後かどっちか忘れちゃいましたが、そこでまたセッティングを更に微調整したっていう感じですね。サドルを少し下げたんだったかな。前回の豊橋と違って今回は小倉でドームで、また感じ方が少し違ったので、結果としてそれも良かったですね。
ナッツ:身体の状態としてはいかがでしたか。
眞杉:身体の状態的には、いつも大体初日は筋肉の張りがなくなって良いのですが、今回は前乗りもして、初日も休みだったのでそこがちょっと不安だったんです。でも1走目で良かったので、だいぶ気持ちの面でも「こっから良くなっていくだろうな」というのを感じましたね。
ナッツ:眞杉選手は初日がお休みの時、どういう過ごし方をされるんですか。
眞杉:いや、もう本当にのんびりですね。同県の方もいるし、みんなでレース見ながらコーヒーでも飲みながらって感じでした。笑
ナッツ:ゆっくりされてるんですね。笑 体を動かすということはあまりされないんですか。
眞杉:しないですね。なんか、疲れちゃうんで。指定練習はもちろん乗るんですが、後は休養にあててっていうような感じですね。
ナッツ:そして2走目に関しては山口拳矢選手(岐阜117期)との対戦でした。眞杉選手にどちらかというと近い年齢の若手で、同じくグランプリに乗ってくる選手ですが、眞杉選手の中で山口選手に対する意識というのはいかがですか。
眞杉:前回、共同通信社杯(GII)の時はゴール前差されたのですがその前は自分が勝って、割と勝ったり負けたりしてる感じなので、特別意識はしていないですね。もう自分のレースができればいいかなって。相手が誰だから何かを変えるっていうわけでもなく、どのレースも自分の力をしっかりと出すことを最優先にしていますね。結果的にしっかりと逃げ切れたので良かったです。
ナッツ;そして次がダイヤモンドレースでした。このレースが単騎での戦いだったわけですが、強いメンバーも揃った中で、組み立てはどう考えてらっしゃったんでしょうか。
眞杉:緩んだところで行こうって思っていたんですけど、車番も悪かったので難しかったですね。もう1つ前の位置にいないと、勝負圏はなかったかなあと思いました。
ナッツ:結構ペースも早めに上がっていましたもんね。
眞杉:そうですね。行こうと思ったとこで被ってしまって。でも、そこで同じことをするわけにはいかないなと思って、それが決勝に繋がりましたね。逆にそこで失敗して良かったなって感じです。
ナッツ:単騎でダイヤモンドレースを走ったことが、具体的には決勝にどう繋がりましたか。
眞杉:やっぱり位置取りの部分で修正できたかなと思います。決勝に関しては南関勢が1番先行意欲が強いだろうなと思ったので、深谷さん(深谷知広選手・静岡96期)が前の時点で、その後ろの位置が良いかなとは思ってはいましたね。
ナッツ:決勝の番組が出た時点で、やっぱり作戦的には南関が行くだろうなっていうようなイメージだったのですね。
眞杉:そうですね。でも、もしそうならなかったら、どうにか追い上げるとか、何かするしかないなと思ってましたけど。とりあえず前々にはと思ってました。
ナッツ:ということは勝負所では結構狙った位置が取れたなっていう感じだったんですね。
眞杉:そうですね。南関勢の後ろの位置をしっかりと確保できたのは大きかったです。
ナッツ:ちなみに単騎の時は、普段のライン戦と違って1人で作戦を立てると思うのですが、そういう時は眞杉選手はどういうふうに作戦を立てられているのですか。
眞杉:作戦はないんです。その時思ったように走るという感じですね。フィーリングみたいな。作戦立ててもわからないじゃないですか。今回みたいに、絶対にここが先行するとかなんとなくわかれば別ですが、臨機応変というか、流れに応じてというか、そんな感じですね。
ナッツ:意外でした。それってラインで走る時にはどうなんですか。後ろの先輩からのアドバイスも色々ありそうなイメージなのですが。
眞杉:確かにそれはあるんですけど、大体作戦ってその通りになんないので。笑
ナッツ:逆に言うと、流れをしっかりと見極めて走れるっていうことですもんね。
眞杉:そうですね。レースの流れを見ながらその時に応じた走りをしていこうと思っていますね。
ナッツ:レースに話を戻すと、決勝に関しては、松井宏佑選手(神奈川113期)が深谷選手の番手から捲りに行ったのですが、その後ろの簗田一輝選手(静岡107期)のところをうまく外から決めて、太田海也選手(岡山121期)に被る前にいったなっていう感じだったんですけど、あの辺りの対応はいかがでしたか。
眞杉:最終ホームで誰も後ろから来なくて、1センター付近で脇本さん(脇本雄太選手・福井94期)が来てたのはわかったんですけど、太田君が捲って来るのが多分2コーナーだなと思ってました。もし先に行かせると太田君が楽になっちゃうので、うまく合わせるようにして出てこうとは思ってました。
ナッツ:そこで捲って簗田選手を決めて、太田選手もブロックして、という動きは本当に素晴らしかったと思います。
眞杉:そうですね、もうそれもその時の流れで反応出来たという感じですね。
ナッツ:結果的に最後の4コーナーは、松井選手の後ろで絶好の位置でしたが、その時に優勝できる確信はありましたか。
眞杉:いや、やっぱりゴールまでわかんなかったですね。松井さんのタイムも11秒フラットでしたし、もう必死に交わしに行きました。
ナッツ:ゴールしてからは右手が上がりました。小倉はドームでお客さんの声も相当響くと思うんですけども、ファンの歓声はいかがでしたか。
眞杉:いや~すごかったんですけど、やっぱり、地元の北津留さん(北津留翼選手・福岡90期)への歓声がすごかったですよ。笑 決勝の特別選手紹介の時も、僕の次が北津留さんだったんですけど、もう、ぶわぁぁぁ~!!というファンの歓声で「いや~やっぱり北津留さんは違うなあ」と思うくらい本当にすごかったです。笑
ナッツ:やっぱりそこは地元っていうのもあったんでしょうね。笑 でもこれでGIを2勝目ですよ。今回自力で取って、真のタイトルホルダーという感じに言われることもあるかと思いますが、ご自身の中ではいかがですか。
眞杉:いや~でも今回はなんだろうな...本当に展開が向いただけなので、全然まだまだだと思います。
ナッツ:まだまだですか。やはりその辺りはラインの先頭で勝ちたいという思いもあるのでしょうか。
眞杉:そうですね。今回は単騎で捲り追い込んだだけなので、強いレースかと言われたら別にそうではないと思いますし、やっぱり準決勝も自分だけ3着で勝ち上がってしまったので、そのあたりがまだまだですね。
ナッツ:その中でも眞杉選手は、小松島のGIIIを制した時も単騎でしたが、単騎戦を全く苦にしないというか、むしろ得意なんじゃないかというイメージもあります。ご自身の中でどう違いますか。
眞杉:あ~単騎は結構、僕は良い意味で気楽に走れてると思うので結構好きですね、プレッシャーがないというか。
ナッツ:ただ、単騎だと結構位置取りが明暗を分けたりっていうのがありそうですけども、そういうのも差し引いても、単騎は気持ち的にはだいぶ楽というか。
眞杉:そうですね。逆にもし自分にラインができていて、そのレースに単騎の選手がいると、正直単騎の選手はあんまり気にしないんですよね。だから逆に自分が単騎の時も、そこまで気にせず周りも走ってくれるので、良い意味で警戒されない感じがしますね。
ナッツ:今後はS級S班として走るわけですが、責任感だったり挑む気持ちっていうのはいかがですか。
眞杉:やっぱり1年で落ちることがないようにとは思ってます。
ナッツ:継続していきたいと。ただ、そこでレースが小さくならないように、という意識はやはりありますか。
眞杉:そうですね。守りには入らないように。しっかり変わらずこれからも先行していくっていう気持ちでいますね。
ナッツ:ちなみに眞杉選手の印象的なレースで、2年前の京王閣ダービー(GI)の決勝のイメージがあります。あの時に先行できず、なかなか力を出しきれなかったっていう部分があったかと思いますが、あの出来事をきっかけに、何かご自身の中で変わったことや取り込まれたことはあるんでしょうか。
眞杉: あの時は結構...なんだろう。まあ、決勝で何もさせてもらえずに、本当に悔しいレースというか、情けないレースになっちゃったので、先行できなかった時になんでもできるようになりたいと思って色々やっていたのですが、変なレースが多くなっちゃったんですよ。
ナッツ:逆にそれが裏目に出てしまったと。
眞杉:はい。自在にも立ち回れるようにしようと思っていたのですが、逆にそれで結構、やらかすことが多かったんです。その後に斡旋停止などもあって、1回バックが5本くらいまで減ったことあるんですよ。でもやっぱりこれじゃ、ダメだなと思って変に意識せずに基本は変えずに行こうと心掛けましたね。今もまたちょっとバックは減ってしまっているので、バックは戻していきたいです。ただ、やっぱり先行できなかった時の為に他のこともできるようになっておかないといけないので、基本は変えずに色々取り組んでいきたいですね。
ナッツ:そして次はいよいよグランプリですが、グランプリに対する気持ちはいかがでしょうか。
眞杉:単騎の戦いになるので今回と同じようにうまく優勝したいですね。
ナッツ:さっきの話からすると、普段は警戒されない単騎でも、競輪祭(GI)のイメージがある分、今回の単騎の眞杉選手という存在は、やっぱり警戒される立場にもなるかなと思うんですが、いかがでしょうか。
眞杉:いや~。まあ、警戒しないで欲しいですね。笑 いないもんだと思って走ってくれないかな。笑
ナッツ:いや~そういうわけにはいかないとは思いますが。笑 グランプリも期待しています。では今後の眞杉選手の目標をお伺いしたいんですがいかがでしょうか。
眞杉:やっぱりSS班として1年走って、しっかりと再来年以降もSSとして走り続ける、というところが当面の目標ですね。
ナッツ:まず本当に来年1年が大事な年になってきそうですよね。最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
眞杉:まずはグランプリでは優勝を狙って頑張ります。そして来年はしっかりとSS班として頑張っていきますので応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一年発起し脱サラ。今年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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久留米競輪場で行われた熊本記念火の国杯争奪戦(GIII)。地元4車の結束でのぞんだ熊本勢。前半戦を苦しみながら、GIII初優勝を飾った中本匠栄選手(熊本97期)にお話を伺いました。
大津:火の国杯争奪戦(GIII)優勝おめでとうございます。
中本:ありがとうございます。
大津:GIII初優勝のお気持ちはいかがですか。
中本:GIIIは獲ったことがなかったですし地元記念だったので尚更嬉しかったです。後輩たちのおかげで獲らせてもらったと思っています。
大津:熊本勢の地元記念に対する思いは並々ならぬものを感じます。
中本:熊本は元々(中川)誠一郎さん(中川誠一郎選手・熊本85期)が特に地元が強くて何度も地元記念を勝ってますから。僕も一緒に走ることがあったのですが、誠一郎さんっていうエースがいたので、なかなか僕は地元記念に地元3割増というかそこまでの気持ちがなかったっていうか、一つの記念という位置付けで走っていた部分はありました。
だけど今年は前半戦から不甲斐ないレースが続いていたので、例年より熱い気持ちを持ってのぞむことができました。
大津:より気持ちを入れ直してという感じですか。
中本:前半戦はより上を目指して色々とセッティングや乗り方を試したりしていたのですが、なかなか良い方向には向かなくて、それで9月いっぱい走り切ったところで「このままじゃ地元記念で戦えないな。」と感じて、セッティングなどを全部戻しました。そこでようやく熊本記念に挑めるなって気持ちになれたんです。
大津:今節に関してはこれまで以上に良い状態でのぞめたんですね。
中本:そうですね、地元記念に向けて一番いい感じで入れました。
大津:初日は1レースで登場でした。
中本:最近1レースを走る機会がなかったので緊張しました。前を走ってくれる後藤大輝君(後藤大輝選手・福岡121期)とは初連係でしたが、めちゃくちゃ強いっていうのはレースを見て知っていました。号砲が鳴ってからはいつも通りに走れましたが、走るまではドキドキしてましたね。
大津:朝イチのレースは調整面なども難しそうな気がします。
中本:普段のトレーニングは朝からやっているので時間帯としては変わらないのですが、アップの時間がいつもとは違うので、いつも以上に身体を動かしていかないといけないと思っていました。
大津:初日走り終えて感触はいかがでしたか。
中本:大輝が2周行ってくれたんで抜くことは出来ました。今年前半に試していた感覚よりも、以前やっていたほうが自分には合っているんだなって感じましたね。
大津:ファンの声援も大きかったのではないですか。
中本:久留米で行われていましたが熊本からも応援に来てくれた方々もいたので凄い嬉しかったです。
大津:初日の最終レースには嘉永選手(嘉永泰斗選手・熊本113期)が落車するというアクシデントがありました。
中本:泰斗は今熊本で一番強いですし、ここまで練習も一緒にやっていて、このシリーズに向けてかなり気合いを入れてるのも分かっていたので残念でした。普通なら欠場している所でしょうが、そこは泰斗が強い気持ちをもって翌日以降も走ってくれたと思っています。もし欠場していたら熊本勢の雰囲気も絶対変わっていましたから。
大津:3日目の11レースで地元の松岡選手(松岡辰泰選手・熊本117期)と塚本選手(塚本大樹選手・熊本96期)が決勝進出を決めました。
中本:地元記念で地元から誰も乗らないよりは乗ったほうが良いので、もちろん僕も乗りたいって気持ちはありましたが、まず熊本勢として決勝に進める選手がいるということにホッとしました。誰も乗ってない状態で最後に僕と泰斗が走るっていうのが一番プレッシャーがかかりますから。
大津:その12レースは東矢選手(東矢圭吾選手・熊本121期)が気持ちの入ったレースでしたね。
中本:レース前に圭吾が強い気持ちで頑張りますって言ってくれて、泰斗も任せるって言ってたので、勝負所で僕が連携甘くて郡司君(郡司浩平選手・神奈川99期)に入られてしまったところはあったのですが、そこが僕の技術不足でした。
大津:他の選手のレースを見ていても3番手を固めるというのは容易ではない気がします。
中本:ダッシュのタイミングも2番手の選手よりも一つ後ろになってしまいますし3番手は難しいですね。準決勝に関しては予想より早く郡司君がホームで仕掛けてきたんです。
泰斗はそれにしっかり反応して踏んでくれたのですが、僕は「まだ大丈夫だろう。」と思っていたので入られてしまいました。そこが本当に申し訳なかったです。
大津:3走してみて手応えはいかがでしたか。
中本:その時点では優勝出来るなんて思ってもいませんでしたが、今年色々と試してきた中で良いものを残しつつ、今までのセッティングに合わせてきたものがようやく噛み合ってきまして、今までやってきたことは無駄じゃなかったんだなって思いました。
大津:決勝で地元4車での結束が決まった気持ちを教えてください。
中本:地元記念で決勝に乗るって「乗りたい」って思っても簡単に乗れるもんじゃないですし、しかも地元4人で連係出来たってのは凄い嬉しかったです。
大津:並びはすんなり決まったのですか。
中本:点数が僕より(塚本)大輝のほうがあったので3番手4番手の話し合いはありましたが、そこは大輝に甘えさせてもらい僕が3番手になりました。前の(松岡)タツと泰斗の並びはどっちがどっちでも僕らは3番手4番手なんで任せていました。結果的にタツが前になったのですが番組が出た時点で「こういうレースをしたい。」っていうのは聞いていませんでしたが、ああいうレースになるだろうなって感じていました。タツも泰斗の後ろを回ろうと思えば回れるのに、前で頑張るっていう選択をしたタツっていうのは凄いなって思いました。
大津:と言いますのは。
中本:やっぱりみんな勝ちたいじゃないですか。その中でああいう役回りを自分で選べるっていうのはなかなか出来ることじゃないですから。地元記念で自分も良い着が取りたかったと思うんですよ。でも、地元4人で並んだことで自分の着よりもラインの為にって選択をしてくれたことが嬉しかったです。
大津:最終日は決勝戦までに地元勢が5勝と大活躍でした。
中本:凄かったですよね。
大津:「よし、俺たちも一丁やってやろうぜ!」みたいになるんですか。
中本:人によると思います。僕はどちらかというと緊張のほうが強かったです。みんなが活躍してたのでお客さんたちも決勝に対しての期待も高くなりますから。流れが良いぞ、って僕もプラスに考えるようにはしているのですが、プレッシャーも大きくなります。
大津:決勝はどんなことに気を付けていましたか。
中本:まずはスタートです。北日本勢には取らせたくなかったので集中していました。
取れなかった時も考えてはいましたが、僕らとしては前を取るのがベストでした。
大津:勝負所を振り返っていただけますか。
中本:タツも落ち着いて周りを見ながら仕掛けてくれましたし、泰斗ももうちょっと引っ張ろうと思えば引っ張れたと思うのですが、早めに踏んでくれたっていうのは熊本勢で決めたいっていう彼らの気持ちだったと感じています。泰斗自身の優勝だけ考えると後ろからも来てなかったので、もう少し待っての仕掛けでも良かったと思います。
大津:その嘉永選手とのゴール前争いを制して中本選手が優勝しました。
中本:僕の後ろに大樹がいて、その後ろに郡司がいたので引き付けて引き付けて最後は踏んだので泰斗を抜けるっていう確信はなかったんです。どっちかといえば泰斗を抜けなくても熊本勢で決まるようにと考えていました。
大津:ゴール後は中本選手のもとに嘉永選手、塚本選手、松岡選手が駆け寄っていました。
中本:「おめでとう。」「やったね。」とかだったと思うんですが、興奮しててあまり何を話したかっていうのは覚えてはないんです。
大津:どのあたりで実感が湧き上がってきましたか。
中本:敢闘門に引き上げてきたときに走っていない熊本勢が沢山来てくれて、そこで嬉しい気持ちがこみあげてきました。
大津:中川誠一郎選手と男泣きしたと聞きました。
中本:僕が泣いていたので誠一郎さんもつられたんだと思います。表彰式が終わって帰る時に検車場で誠一郎さんと話す時間があったんです。過去に誠一郎さんが地元記念を優勝した時に僕も乗っていたこともあったのですが、まさか僕が熊本記念を優勝出来るなんて思ってもいなくて、誠一郎さんも凄く喜んでくれました。なかなか誠一郎さんが涙している姿は見たこともなかったので、それが本当に嬉しかったです。
大津:今後の目標を教えてください。
中本:現状の力ではGIでタイトル争いだとか決勝に向けて勝負できるまではいってないと思うので、全体的にレベルアップしていきたいです。脚力的にも人間的にも成長していかないと勝負になりませんので、そこは頑張りたいです。あと熊本は今、泰斗がとても強くて若手もどんどん出てきているので、その若手たちのサポートもしていきたいです。
若手と一緒に強くなっていければ九州勢としての底上げに繋がりますから。
大津:来年は熊本競輪も復活しますしね。
中本:ここまで来るのが本当に長かったので、ようやく走れるなって気持ちです。地元記念も走れれば頑張って走りたいですし、来年は全て泰斗に任せます。僕は今回優勝させてもらったので。
大津:中川誠一郎選手のように何度も優勝してください。
中本:いえいえいえ、一回で満足です(笑)
大津:最後にオッズパーク会員の皆様にメッセージをお願い致します。
中本:今年は熊本記念の前まで色々と試していたため、車券で迷惑をかけて申し訳ございませんでした。これからラインとしてサポートしつつ、その中で僕も一着を目指して車券に貢献できるように頑張ってまいります。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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本デビューから9連勝で123期2人目の特進を決めた青木瑞樹選手(岡山123期)。
その後A級1-2班でも初優勝を果たし勢いに乗っている青木選手に、選手を目指したきっかけやこれまでの振り返り、今後の目標を伺いました。
ナッツ:まず青木選手が自転車競技を始めたきっかけを教えてください。
青木:中学校まで柔道をしていたのですが、全国で戦いたいという気持ちがあって、柔道の経験が何か活きるものはないかなと思って、そこで自転車を始めました。
ナッツ:柔道では、全国で戦うのはなかなか厳しかったんですか?
青木:全国にも行けたのは行けたのですが、小1からずっとやる中で壁を感じましたね。なので、ちょっと違うものにっていう風に思っていました。
ナッツ:そこで柔道から自転車へ、というのもなかなか面白いなと感じるのですが、どうやって自転車競技を知ったのでしょうか。
青木:近くの高校に強いところがあったので行ってみようと思って行った感じですね。笑
ナッツ:そんな経緯で!笑
そして実際にその高校に行かれて、自転車競技で好成績も残されていますが自転車をやって良かったなと感じますか。
青木:そうですね。まあ成績自体はぼちぼちかなあという感じでしたけど、ある程度は自分が思っていたような活躍ができたなとは思います。
ナッツ:そこから次は競輪選手へ、ということになりますがそのきっかけは。
青木:高校まで自転車競技をやって、その後やりたいことが見つかれば違う道も考えて大学に入ったんですけど、特に自転車以外にやりたいことってのが見つからなかったんですよね。あとは大学の先輩方が活躍してるのも知っていたので、それを見ていいなと思って、自分も選手を目指そうと。
ナッツ:具体的にはどなたが先輩にあたるんですか。
青木:同年代だと、村田瑞季選手(京都117期)、山根将太選手(岡山119期)あたりですね。(自転車競技の名門である中央大学出身)もう自分が大学に入った時には活躍していたのですごいなと思っていました。
ナッツ:先輩の背中を追いかけたのですね。そしてその後入った養成所では在所19位という上位の成績でした。振り返ってはいかがですか。
青木:ゴールデンキャップを獲得したわけではないですし、そんなに目立った感じでもなかったですね。
ナッツ:ただ、記録会では上位の成績を上げていましたし、成績を見ると、ホームやバックも比較的取ってるような印象があります。どういった意識で養成所では過ごされてたんですか。
青木:めちゃくちゃ多い数字ではないのですが、デビューに向けて特にバックに関してはしっかりと取ろう、仕掛けていこうという気持ちではいたのでその点は良かったかなと思います。
ナッツ:青木選手含め同期4人の師匠が櫻井太士選手(岡山94期)ですが、師匠との出会いはどういうきっかけだったのでしょうか。
青木:個人的に何か繋がりがあったわけではなくて、鳥取出身の同期4人が競輪選手になりたいとなった時に、誰が面倒みるかってなったらしく、そこで櫻井さんが見てくれるようになった感じです。
ナッツ:その後、ルーキーシリーズを走って2回とも決勝に乗りました。ファンのお金がかかっているレースという部分が養成所とは異なりますが、その辺りは走ってみて実感はありましたか。
青木:自分に対してではないんですけど、同期が飛ばされていた野次でちょっと実感したような感じですね。笑
ああ、自分も競輪選手になったんだなあと。
ナッツ: 本デビューしてからは負けなしの9連勝を達成しました。ルーキーシリーズと本デビューの違いは、一走目に感じましたか。
青木:やっぱり先輩が後ろに付いているので、自分だけではなくラインでしっかりと決まるようにしないといけないという部分があって緊張しましたね。
ナッツ:その本デビュー戦は後ろに3車付いての4車ラインとなりました。一度相手のラインに突っ張られるレースでしたが、ジャン前から巻き返していきましたね。
青木:はい、あの辺りは緊張感ある中でもしっかりラインで決まるような仕掛けはできたなと感じます。
ナッツ:本当に落ち着いたレースをされていて、新人離れしてるような印象を受けました。初勝利を上げてから先輩たちから何か声をかけられましたか。
青木:おめでとう、だったり良かったな、ということは言われたと思うのですが緊張していたのであまり覚えていないです。笑
ナッツ:更にデビュー節で完全優勝を果たしました。そのあたりの気持ちはいかがでしたか。
青木:優勝出来ないと思っていたわけじゃないんですけど、相手も強かったですし、展開によってはできないこともあるだろうなって感じていたので、優勝出来て嬉しかったですね。
ナッツ:そこから更に連勝を伸ばして、9連勝での特進を達成しましたが、特進はどのあたりで意識しましたか。
青木:特進自体はデビューした時から意識していました。
ナッツ:え、そうなんですね!
青木:はい、やっぱり早く1-2班には上がりたいなと思っていたので、それを実際に叶えられたのは良かったです。
ナッツ:その特進がかかる中でのレースは高知で同期の中岡海選手(愛媛123期)との対決でした。やはり特進がかかるレースとなると、捲りにどっぷり構えて、みたいなイメージがある中で、しっかりとホームで巻き返していきました。大きいレースをされたなっていう印象がありますが、振り返っていかがでしょうか。
青木:2分戦でしたし、中岡選手の反応が少し遅れた感じもあったので、逃さずに行きました。出切れたかなと思ったのですが、少し番手がもつれる感じになってしまったことが反省点ですね。
ナッツ:番手に中岡選手がハマって最後の直線は迫ってきましたが、1着でゴールして特進が決まった瞬間は、気持ちはいかがでしたか。
青木:ほっとしましたね。もちろん嬉しさもあったのですが、やっぱり500バンクで脚を結構使っていたこともありましたし、最後はきつかったのでほっとした気持ちが大きかったです。笑
ナッツ:同期の中では2人目の特進でした。他の同期と比較すると早くにA級1-2班に上がりましたがそのあたりの気持ちとしては。
青木:何番目に上がるとかの意識はなかったのですが、なるべく年内には上がりたいと思っていたのでそれは良かったですね。
ナッツ:そしてそこからA級1-2班でも数場所戦いましたが、チャレンジと1-2班の違いは感じますか。
青木:やっぱり違いますね。チャレンジなら行こうと思ったところで行けるのが、1-2班だとずっと相手に睨まれていてプレッシャーを感じますね。なので結構そのあたりは思い通りに行かないというか。
ナッツ:それに加えて番手の選手の仕事もあったりしますもんね。
青木:あーそれが、結構厳しいですね。やっぱり捲って行った時に結構持ってこられたりするのが、チャレンジとは違って、そこがまだ対応できていないですね。
ナッツ:青木選手の走りとしては地脚を活かしたレースのイメージですが、逃げだけじゃなく、鋭い捲りも出ていますよね。ご自身の中で戦法としてはどちらが得意、というものはあるんですか。
青木:やっぱり地脚を活かして逃げた方が持ち味は出るのかなと思いますけど、まだ組み立てが甘くて、そうなった時は捲っている感じですね。
ナッツ:その中でも小倉では後方から大外捲りで優勝しました。特進して3ヶ月程で1-2班で優勝したっていうのは、本当にすごいんじゃないかなと思います。
青木:ここは強い選手がいる中でも自分にもチャンスがあるメンバーかなと思っていたので、優勝できて嬉しかったです。
ナッツ:青木選手は、事前にしっかりメンバーも確認されているんですね。
青木:はい、行く時は一通りメンバーを見ますね。そして番組が出たら自分の頭の中で作戦を考えます。
ナッツ:ラインの先輩方と立てるというよりは、まずご自身の中でイメージされるんですか。
青木:そうですね。出走前にはラインの方と作戦を考えるんですけど、自分の中でしっかりとイメージ出来る時は良い結果になっていますね。でも時々どうしたらいいのか全く思い浮かばない時もあって、その時は中途半端な走りになってしまいます。
ナッツ:じゃあその時はもう先輩方に頼って。
青木:はい。どうすればいいですかっていう感じで。 あんまり考えがまとまっていない状況だと走りにも影響が出てしまうので、そこはしっかりと先輩方に確認して作戦を立てます。
ナッツ:これから更に上を目指していく上で、青木選手が目標とする選手はいらっしゃいますか。
青木:特にこの選手、という方はいないのですが、中四国は強い先輩方も沢山いるので頑張っていきたいですね。
ナッツ:普段の練習はどのようにされているのでしょうか。
青木:ずっと玉野バンクで、その時にいる方と一緒にその都度考えて練習をしています。なので、しっかりとメニューを組んでいるわけではないんです。
ナッツ:その中で、ご自身の中で重点的に取り組んでいることはありますか。
青木:スピード強化ですね。まだそこが足りないですね。
ナッツ:レースを見ていると、青木選手はスピードも十分にあるなっていうイメージなのですが、まだまだご自身の中では納得いかれてないんですね。
青木:すんなりの展開だったらまだ良いのですが、やっぱり展開が縺れた時にスピードが足りないというか、捲れないことがあるので、そういった時にもしっかりと結果を残せるような練習をしています。
ナッツ:青木選手はお休みは作っていますか。
青木:それが割と毎日のようにバンクに入ってますね。
ナッツ:すごいですね。自分に負けずにというか、疲れてちょっと今日はもうやめようかな、みたいなふうに思っちゃう時もありそうですが。笑
青木:そう思うこともあります。笑
でもそこはやっぱり練習していかないと強くなれないので頑張っています。
ナッツ:デビュー初勝利や特進を決めた時の賞金でご自身へのご褒美は何かされましたか。
青木:全部貯金に回してますね。笑
まだ養成所の返済もありますし、自分の為に使うのはもう少し先かなと。
ナッツ:更に稼げるようになった時に欲しいものは何かあるんですか。
青木:物欲自体が無くて、車くらいですね。笑
同期は結構もう買ってる人もいますが、もっと強くなって、更に稼いでからという感じですね。
ナッツ:堅実ですね。それと最近の若手選手はSNSも積極的に活用されていますが青木選手はされる予定は。
青木:いや~プライベートで持っているアカウントはあるんですが、選手用のを作る予定は今はないですね。やっぱりDMで言われたりするのはメンタルやられるので。笑
ナッツ:インタビューを見ても落ち着いていますし、結構どっしりとしている印象だったんですが。笑
青木:あれは緊張してガチガチなだけなんです。笑
良いメッセージばかりだったら良いんですけど、そういうわけにもいかないですし、メンタルは弱いので今は考えていません。笑
ナッツ:今後も戦いが続いていきますが、ご自身の中での目標を教えてください。
青木:まだ少し先の話にはなりますが、S級でしっかりと逃げて結果を残せるようになりたいです。
ナッツ:それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをいただければと思います。
青木:しばらくはA級での戦いですが、まずはしっかりと逃げて勝てるように脚力を付けていきます。これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一年発起し脱サラ。今年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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競輪養成所での在所順位は40位ながらも、123期で最初の特別昇班を達成した新潟の牧田悠生選手に今後の目標を含めお話を伺いました。
大津:123期では一番乗りで特別昇班を決めたお気持ちはいかがですか。
牧田:デビューする時には、まさか自分が特別昇班が出来るなんて全く想像もしていなかったので信じられなかったです。
大津:9連勝出来た要因ってのはどのようにお考えですか。
牧田:養成所を出てからの練習内容や新車に変えたのとか色々な面で噛み合ったからじゃないかと思います。
大津:競輪養成所の生活はいかがでしたか。
牧田:いやぁ、大変でした。苦しかったです。初めの頃は滝澤所長のT教場に入っていたんですが「こんなに苦しい練習があるんだ。」ってくらい辛くて、それがまず一番印象に残っています。養成所の中でもなかなか成績を残すことが出来なくて、そういう意味でも苦しかったです。
大津:競走訓練では課題をもってのぞまれていたんですか。
牧田:課題っていっても何をやっても本当にダメで・・・。僕、ホームバックが0本で卒業してきてるんです。先行回数がゼロで1着だけ2回。それも250競走の6車とかだったので。2周で切りに行ったら残り1周で叩かれて末着になっちゃうし、中団を取ろうとしても取れなくて後方になって中間着で終わっちゃうことが多かったので、課題とかっていうよりも全然ダメでした。
大津:本人としては「先行してやろう」という気持ちもあったのですか。
牧田:そういう時期もありましたけど、ただホームやバックを取るどころか末着ばっかりだったので、それだったら着を取りに行こうとかするんですけど、良くて3着とかそんな感じでした。
大津:そのような感じだと、僕が牧田さんの立場であればデビューするのが怖くなったりしそうなのですが。
牧田:全くその通りで「この成績でデビューして1・2班の成績取れるのかな。」「最悪70点も取れないんじゃないか。」って気持ちでした。
大津:そこから何か掴んだきっかけはあったのですか。
牧田:養成所を卒業してから弥彦のバンクは使えなくて街道練習ばかり行ってたのですが、バンクでの練習がない中で宇都宮のルーキーシリーズで1着が取れて、その次の福井でも決勝に乗ることが出来て「あっ、勝てた。」みたいな気持ちでした。改修工事が終わってからはバンクに入れるようにはなって本デビューを迎えたって感じです。きっかけっていうのは、あまり思い浮かばないです。
大津:パワーアップしてるなって実感もなかったですか。
牧田:6月7月はタイムも1番上がってはいましたね。練習内容とフレームが噛み合ったのかもしれません。
大津:本デビューを迎えるにあたっての心境はどうでしたか。
牧田:ルーキーシリーズでそこそこ結果を残すことが出来たので「なんとか決勝くらいには乗れるんじゃないかなぁ。」って感じでした。最初は弥彦でデビューの予定でした。その開催には同期の篠田幸希さん(群馬123期)がいたんでキツイなぁ、とその次の小田原で初優勝出来たら良いなぁくらいの気持ちだったんですけど弥彦の前に富山の追加が来て走ってみたら完全優勝出来ちゃって、地元も走ってみたら3連勝で「あれ?次で特別昇班じゃん。」ってなりました。
大津:デビュー戦走ってみて「戦えるぞ」って感じでしたか。
牧田:初日は捲りの展開だったのですがゴールをした後に後ろを見たら、けっこう離れてて「あー、千切っちゃった。」ってなって、この脚ならイケるのかなぁって思いました。決勝も同期の山元大夢(石川123期)と斉藤樂(宮城123期)がいたんでキツイと感じてたのですが僕は単騎だったんで気楽に走れて、そこで優勝出来たのが次の弥彦や小田原に繋がったような気がします。
大津:決勝終わった後は同期の選手とは話はしましたか。
牧田:いや、先輩方が待っていたので話をせずにシャワーを浴びて直ぐに帰りました。
大津:レース後のコメントを見ていると非常に落ち着いている印象を受けます。
牧田:チャレンジの勝ち上がりに関してはけっこうあたふたしていたんですが、決勝に関しては全部自分の頭の中で描いてた通りになってました。自分が勝つならコレかなって感じが全部ハマりました。
大津:それってめちゃくちゃ気持ち良いんじゃないですか。
牧田:そうですね、気持ち良かったです。
大津:レースのシミュレーションはけっこうするのですか。
牧田:ある程度って感じです。初手位置が変わる可能性もあるので臨機応変にやってます。
大津:なかなか養成所に受からない時期もあったからこそ、デビュー出来た思いはひとしおなのではないですか。
牧田:浪人生活が長かったので、デビューした時はやっとここまで来たかって気持ちが強かったです。ルーキーシリーズで初めてお客さんの前で車券を賭けてもらった時は感慨深かったですね。
大津:ご家族の反応はいかがでしたか。
牧田:テレビで観てたのですが宇都宮の最終日に1着を取った時は喜んでました。
大津:賞金は何に使ったのですか。
牧田:家族でご飯を食べに行きました。
大津:ご自分へのご褒美はしなかったのですか。
牧田:車が買いたいんですよね。ただ、自転車を新車で2台買ったので、そこまではなかなか。あとは自転車の部品やサプリメントとか買いました。
大津:同期の人たちはけっこう車買ってますよね。
牧田:いやぁ、多いですね。本当に多いです。競輪場に行くたびに車を買ったって話を聞いてます。そういうの聞くと欲しくなっちゃいますね。
大津:仲の良い同期や意識している同期の選手はいらっしゃいますか。
牧田:仲が良いのは福岡の丸林駿太(123期)や群馬の浮島知稀(123期)です。意識してるのは1・2班に上がってきてる同期は全員ですかね。
大津:今の目標を教えてください。
牧田:ルーキーチャンピオンに出たいですね。そしてしっかり優勝したいです。
大津:それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
牧田:1・2班に上がってから、まだ勝ちきれない競走が多いのですが、11月の西武園で1着を2回取れて良い流れになってきてるので、ここからしっかり巻き返して上位戦でも優勝出来るように頑張るので応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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