まもなくやってくる今年最後のガールズGI『第1回競輪祭女子王座戦(GI)』。ここで今年のオッズパーク杯ガールズグランプリの出場者が決まります。現在賞金ランキング上位で、初のガールズグランプリ出場を狙う吉川美穂選手(和歌山120期)。今の心境やここまでを振り返ってお話を伺いました。
山口みのり:競輪祭(GI)も迫っていますが、現在の調子はいかがでしょうか?
吉川美穂選手:今は、良いとは言えないです。今、体調を崩してしまったんです。競輪祭の前なのに、万全で臨めないのはつらいです。
山口:そうでしたか。ここからどうケアしていくかですね。
吉川:そうですね。まずは3日間無事に走り切れるようなケアをしていきたいです。インフルエンザでもコロナでもなかったんですが、自分でもまさかこんなタイミングで風邪を引くとは思っていなくて......。競輪祭(GI)の時にも記者さんにも「風邪を引いてしまった」とコメントは出そうと思っています。
山口:そうでしたか。どうぞご自愛ください。それではここまでの振り返りを中心にお話を伺いますね。今年はGIを2回とも出場され、なかでも『オールガールズクラシック(松戸)(GI)』では決勝2着でした。そこへ入るまでには前走から期間が空きましたがいかがでしたか?
吉川:基本的に練習をしていました。追加も欲しかったんですが、なかったらそれはそれとして練習を頑張るだけと。松戸は期間が空いてもそれなりに走れたので良かったと思います。
山口:『パールカップ(GI)』では西日本予選では6着でした。松戸も予選基本的には2着権利の厳しい勝ち上がりでした。そこはどう考えていましたか?
吉川:パールカップ(GI)と同様に厳しい勝ち上がりだと認識してとても緊張をしていました。初日は2着で準決勝にいけてよかったです。
山口:展開としては前で梅川風子選手(東京112期)にとびつく形でした。それは想定していましたか?
吉川:はい。33バンクなので「誰かをマークする」というよりは、自分で前にいた方が良いなと思っていました。
山口:位置取りも厳しい選手もたくさんいましたね。
吉川:はい。だからより、私が良い位置を初手から取れるとは思っていませんでした。前でレースを作った方が、私には展開が向くと思っての組み立てでしたね。
山口:準決勝も、自力がたくさんいる組でした。メンバーを見た時はいかがでしたか?
吉川:GIはどのレースも初日からメンバーは強い選手ばかりでしたが、準決勝は特に濃いなと思いました(笑)でも佐藤水菜選手(神奈川114期)が強いなと思ったので、初手からマークをしたいなと考えていました。車番も、佐藤選手が4番、私が5番で隣だったのもあり、初手でマークができたらその組み立て、マークができなかったらその時に考えようと思っていたんですが、すんなり後ろを取れました。後は、佐藤選手が本当に強いのでとにかくマークをはずさないように、と集中していました。
山口:7番手になるかもしれない、という想定はありましたか?
吉川:そうですね。佐藤選手の仕掛け次第では6番手、私が7番手になるだろう、でも彼女がいけないなら仕方ない、と思って覚悟はしていました。
山口:佐藤選手は最終ホームストレッチあたりで捲っていきました。あのタイミングはどうでしたか?
吉川:私は打鐘でいくかなと思っていたので、かなりドキドキしました。メンバーも前には小林莉子選手(東京102期)、日野未来選手(奈良114期)、柳原真緒選手(福井114期)など、みんな自分から仕掛けていける選手がそろっており、打鐘でいくのかなと思っていたので「まだいかないのか」と(笑)たださっきも言ったように覚悟はしていました。
山口:最終バックストレッチでは皆さんが仕掛け合う形でしたね。
吉川:私は佐藤選手を追走していたので、最終3コーナーでは余裕がありました。「もしかしたら佐藤選手を差せるかもしれない」と夢を見ましたが、4コーナーでは佐藤選手がすごく伸びていったので、私は追走しただけでしたね。ただ私は2着を取らないと決勝進出は厳しかったので、結果にはほっとしました。
山口:決勝は振り返っていかがでしたか?
吉川:尾方真生選手(福岡118期)が初手で私の前まで来たので、入れるか迷ったんですが1車入れました。レースが動いて最終周回では、私は内側にいてコースがなかったんです。でも外から佐藤選手が捲るのが見えて、そこから外へ持ち出しても佐藤選手には追い付かない、と思った瞬間に前が空いてコースができたので、もう思い切り踏み込みました。「ここしかない」と思って無我夢中で踏んだら、勢い余って久米詩選手(静岡116期)の内側に差し込んでしまい、もったいないことをしました。でもそこでバックを踏んでも伸びていったので、調子も良かったと思うし、自分の勘もさえていたのかなと感じました。
山口:確かに、3コーナーからは縫うようにして追い込んできましたよね。
吉川:はい。「このコースが空くかな」と思ったところが本当に空いたり、と展開や運が良かったです。
山口:それで賞金ランキングが更にあがりましたね。
吉川:はい、良かったです。
山口:その後の地元和歌山では、100勝と地元初の完全優勝を達成されました。
吉川:はい、いろんな方に物凄くプレッシャーを掛けられました。
山口:先輩方に、ですか?
吉川:いや、一緒に決勝を走っていた藤田まりあ選手(埼玉116期)に「美穂さん、決勝で勝つと100勝なんですよね」と言われたりしました(笑)
山口:おお!(笑)
吉川:あとは和歌山の選手にも「やれんのか?」と煽られていました。緊張した中での決勝でしたが、うまいこと立ち回れて100勝と完全優勝ができて良かったです。
山口:地元の期待は、この後のガールズグランプリ出場へもかかっていると思いますが、どんな雰囲気でしょうか?
吉川:『オールガールズクラシック(GI)』を走る前から、関係者の方や選手にも「今年はグランプリ出場いけるやろ」と言われて、「まだそれは早いです、いけたらラッキーくらいに思って、そこまで期待しないでください」と返していました(苦笑)
山口:そうでしたか。取材時の賞金ランキングでは吉川選手は4位ですが、今年は3~6位がほぼ変わらない額で混戦ですよね。
吉川:差はないので、今の私の体調を考えると、競輪祭(GI)で全て決まるのが不安です。今の正直な気持ちとしては、私ももちろん優勝を狙うんですが、それ以外だとグランプリ圏内の誰かが優勝してくれ、と思ってしまいます。優勝が厳しくなってしまった場合は、少しでも上位が取れるように、賞金の積み上げができるように、くらいついていきたいです。なんとかグランプリに出られたら嬉しいです。
山口:賞金争いをしている他の選手の緊張感などは感じますか?
吉川:普通開催ではそこまでないですね。ただ私も特に意識してグランプリの話はしないようにしているので、そう感じるだけかもしれません。ただ10月、宇都宮では石井寛子選手(東京104期)が優勝したのですが、その時には石井選手に「一緒にグランプリにいこうね」と声を掛けてもらいました。
山口:ありがとうございます。では競輪祭女子王座戦(GI)について伺います。去年のトライアルレースは雰囲気はいかがでしたか?
吉川:ピリピリしている選手とそうでない選手の差がありました。でも、私はあんまりそういうピリつきを感じない鈍感な方なので、あんまり気にしないですね。
山口:自分のペースは乱されないのは良いですね。
吉川:そうですね。それは問題ないと思います。でも私がポケーとしすぎて、周りのペースを乱しているのかもしれません(笑)
山口:そうですか(笑)それは人それぞれということで(笑)小倉は7月に走っていますが、イメージはいかがでしょう?
吉川:前回に走った時はそれなりに走れました。でもそれよりも、競輪祭(GI)の時の印象が強いですね。その時は波があって良い走りはできなかったんです。今年も体調を崩してしまっての参加は憂鬱ではあります。なんとか決勝を目指していきたいです。勝ち上がりも『オールガールズクラシック(GI)』に比べたらまだゆるいので、1日1日集中して、頭を振り絞って考えてレースに臨みたいです。
山口:まずは初日ですかね。
吉川:はい、そこを集中していきたいです。
山口:前回のインタビューの時には「メンタル強化が課題」と仰っていました。今はどうでしょうか?
吉川:レースでは気持ちの弱さが出ることはまだありますね。グランプリにもし出場ができたら気持ちの強いレースをしたいな、と思っています。まずはそれをクリアしないといけませんね。
山口:去年と今年では、プレッシャーやご自身の成績、環境など変わったことはありますか?
吉川:去年も後半は「グランプリいけるぞ!」という応援とプレッシャーをいただいてのレースがあったので、そこまでは変わっていない気がします。今年はグランプリ出場が現実味を帯びてきましたが、でも、そんなに変わらないですね。
山口:そうですか(笑)
吉川:「グランプリ出場が決まったら飯おごってやるよ」くらいですね(笑)
山口:良い環境です(笑)
吉川:はい(笑)
山口:それでは、最後にオッズパーク会員の皆様へ、『競輪祭女子王座戦(GI)』への意気込みをお願いします。
吉川:体調を崩してしまい、自分でどこまでやれるのか不安はありますが、1日1日集中して1着を目指して、決勝を、そしてグランプリ出場を目指して頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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11月豊橋にて通算400勝を達成した尾崎睦選手(神奈川108期)。これまでの振り返りと今後の目標、そして直近のGI『競輪祭女子王座戦(GI)』への意気込みをお伺いしました。
山口みのり:400勝達成、おめでとうございます。
尾崎睦選手:ありがとうございます。
山口:300勝からを振り返っていかがですか?
尾崎:今年に入ってからあまり良くなく400勝は今年中に達成できるとは思わなかったので、達成できて良かったです。
山口:今年の前半は走っていない期間もありました。スタートダッシュという点で、でしょうか?
尾崎:そうですね。去年のオッズパーク杯ガールズグランプリは地元の平塚で開催だったんですが、出られなかったことで気持ちが切れてしまいました。そこから立て直すのに時間が掛かってしまいました。
山口:新たなスタートを切るきっかけはありましたか?
尾崎:これといって特にありませんでしたが、レースを重ねているうちに「このままだと良くないな」という気持ちはずっとありました。気持ちが切れたまま走っているのは、お客さんはもちろん、平塚競輪場でいつも一緒に練習している仲間や先輩たちにも失礼だ、一緒に練習をしてもらっているからには結果を残していかないといけない、という思いで、気持ちを入れなおしましたね。
山口:中継で平塚に行ったときに、選手の練習の様子を見させてもらい、本当にたくさんの選手と一緒に練習されているんだと感じました。
尾崎:はい、平塚は集まる時はたくさんの選手が一緒に練習をします。ガールズだからと言って嫌な顔せずに一緒にしてくれるので、ありがたいなと思っています。
山口:川崎が使えなかった時に、ガールズの選手も練習に来ていると伺いました。
尾崎:はい。ガールズもですし、川崎の男子選手もたくさん来ていました。皆さん、練習のためにずっと競輪場にいるんです。それが当たり前の光景でしたが、改めて「皆さんこんなに練習をするんだな」と思ったんです。
山口:尾崎選手もそこにいたのに、客観的に見えたんですね。
尾崎:自分の中で練習のサイクルができていたので、いつもその流れで練習をしていました。ただいろんな部分に視野を広げると、別々の選手が、様々な方法で強くなっている。川崎の選手であったり、他のガールズの選手の話も聞いたりしました。それで「このままだと良くないな」と思ったんです。「自分の脚力を向上させるためには、現状のまま練習をやっているのではだめだ」と、練習へ取り組む気持ちや時間の使い方に変化がありました。
山口:具体的には?
尾崎:具体的な練習方法というよりは、意識的なものが大きかったです。「みんな当然だけどたくさん練習をしているんだな」と(笑)
山口:初心にかえる、ということでしょうか(笑)
尾崎:私自身も、前はもっと練習していたのかな、と思いました。最近はどこか満足、という訳ではないですが落ち着いてしまった部分があった気がしました。
今年は2回違反訓練に行ったのですが、その時にガールズの選手たちと一緒に練習をしました。若い子たちと練習をして「みんな強い!」とびっくりしました。このままだと良くない、と。それで意識が変わったんでしょうね。
山口:今年は後半に優勝が複数回あります。その気持ちの変化が表れているんでしょうか。
尾崎:そうかもしれません。やっていることはそこまで変わっていませんが、取り組み方や意識が変わったから結果も繋がってきた気もします。
山口:GIの新設が、更に気持ちの変化があったりしましたか?
尾崎:それは特には関係ないですね。『パールカップ(GI)』を走った時はまだほわっとしていましたが、その後の『オールガールズクラシック(GI)』は出られませんでした。来年は3つのGIに出たいなと思います。
山口:『オールガールズクラシック(GI)』の選考期間に欠場期間が含まれていて、賞金上位という面では厳しかったですよね。
尾崎:2か月、あっせん停止だったのもありますが、その後にも結果が残せませんでした。もう少し優勝ができていれば出場できていたと思うので、勝てなかったのが良くなかったです。
山口:次の『競輪祭女子王座戦(GI)』へ向かうお気持ちはいかがですか?
尾崎:GIになったことで、モチベーションも上がります。今、平塚にはアマチュアのガールズがいるんですが、その子もGIレースは見ると思うので、私がそこで結果を出すことで彼女自身が「私も大きい舞台で戦いたい」と思ってくれると良いなと。それで頑張らないとなと思います。
山口:小倉は7月に走っていますが、イメージはいかがでしょう?
尾崎:走りやすいですが、それはみんなが思うのかなと。風もないですしね。
山口:去年はグランプリトライアルレースで2つ、ガールズグランプリへの切符がありました。今年はGIになりグランプリ出場権は1人です。その変化はどう感じますか?
尾崎:わかりやすくて良いと思います。去年までの2枠というのはもちろんチャンスは広がりますが、「今まで1年間賞金争いをしていた選手たちを、賞金ランキング下位の選手が優勝したら一発逆転でグランプリ出場が2人もいる」というのはどうなんだろう、と疑問に思っていた部分も正直に言えばありました。だからGIになって良かったのかなと思います。
山口:GIは予選、準決勝、決勝と勝ち上がりになりますね。それについてはいかがですか?
尾崎:ガールズケイリンではなかなか勝ち上がりのレースは少ないですが、さっきも言いましたがこれもわかりやすくて良いと思います。しっかり初日から気持ちを入れて走りたいと思います。
山口:レース内容の点をお伺いします。戦法や気持ちの面で、近況の変化はありますか?
尾崎:レベルがとても上がって、みんな脚力もありスピードもあります。自力でレースを勝つというのが難しくなってきました。だから、位置取りを含めてシビアに、クレバーに走らなければいけないレースもあると感じています。何でもできる選手になろうと思いますね。
山口:近況は狭いコースから捲りに行くこともありましたね。
尾崎:無理に位置を取りに行くことはしないですが、自分の位置はちゃんと主張しないといけないと思っています。もちろんルールの範囲内ですが、踏み負けないようにしたいです。
山口:何でもできる、というのは先行も含めてですか?
尾崎:はい。先行をできる選手というのが一番脅威だと思うので、「先行を含めて何でもできる選手」というのが理想です。
山口:8月には京王閣の4日制のレースで優勝がありました。普段より1日長い開催で結果を出したというのはいかがでしたか?
尾崎:4日間の内容が良かったのかなと思います。1着は決勝だけでしたが、予選から組み立てを考えて、決勝を勝ち切ることができたのは収穫がありました。何度か4日制を走って慣れてきた部分もありますが、過ごし方なども男子選手のアドバイスもあり、それを生かせたと思います。でも疲れましたね。
山口:トータルでの組み立て、というのは大事なんですね。
尾崎:そうですね。3日制の普通の開催でも一緒ですが、予選などの勝ち上がりの走り方は大切です。予選を見て、対戦相手もレースを組み立ててくると思うので、それは意識をして走れました。
山口:今後のビッグレースにも繋がりますかね。
尾崎:そうだと良いです。ビッグレースはみんな強いので、そうそう自分の思うようなレースをさせてもらえません。でもちゃんと準備をしてやりたいこと、勝ちに向かう組み立てを悔いなくできたら良いなと思います。
山口:今後の課題はどんなことでしょうか?
尾崎:1着を取る回数が少ない時期があったり、ばらつきがあるので、1着を安定して取れるようにしたいです。あとはしっかりGIに出場して確定版にのる、決勝に進出して優勝争いができるように、まで持っていけたら良いなと思います。
山口:今年はビッグレースを外で見る時期がありましたが、どう感じましたか?
尾崎:松戸の『オールガールズクラシック(GI)』は、ガールズだけでGI開催ができたのは凄いと思いました。「ガールズケイリンが凄くなっているんだな」と客観的に見ていましたね。それは1期生の人たちから、作ってきたものが形になってきて、男子と同じGI、競輪に近づいていけている。ガールズケイリンって良い競技だなと思いました。
山口:その中には、他競技で活躍した尾崎選手のような選手が第2の競技人生としてガールズケイリンで活躍しているのは大きいと思います。
尾崎:そうですね。他の競技からもガールズケイリンには入ってきやすいと思うので、私は本当にガールズケイリンと良い出会いができたなと思います。
山口:これからも活躍を期待しています。
尾崎:ありがとうございます。
山口:『競輪祭女子王座戦(GI)』も近づいています。これからの過ごし方は?
尾崎:もうすぐですから、今からじたばたしてもだめですからね。ゆっくりケアをしていきたいです。
山口:ありがとうございます。それでは最後にオッズパーク会員の皆様へ、GIへの意気込みをお願いします。
尾崎:GI......一生懸命頑張ります、しか言えないですね。
山口:では応援してくださる皆様へ、ではいかがでしょう?
尾崎:そうですね。では、この前400勝を達成した時に、私が嬉しそうにしていたんですが、記者の方に「競輪は500勝が節目ですよ」と言われたんです。「そうなんだ!」と思ったので、この後は500勝をできるように頑張らないとなと思ったんです。なのでそれを目指して頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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10月2日~4日に松戸競輪場で行われた『第1回オールガールズクラシック(GI)』。2つ目のGIとして、今回はナショナルチームの3人も参戦となりました。賞金ランキングではオッズパーク杯ガールズグランプリの出場は難しい中、佐藤水菜選手(神奈川114期)は見事完全優勝を飾り、その切符を手にしました。今回はレースの振り返りから、今後のナショナルチームのこと、年末へ向けてのお話を伺いました。
山口みのり:オールガールズクラシック(GI)、優勝おめでとうございました。
佐藤水菜選手:ありがとうございました。
山口:ガールズグランプリへの切符は意識していましたか?
佐藤:特別意識していた訳ではなかったです。ガールズケイリンの前走が西武園でのガールズドリームレースなんですが、その時は自分の力を出し切れずに終わってしまいました。松戸ではとにかく力を出し切って走りたい、その後で結果がついてきたら良いなという思いでした。
山口:内側で仕掛けられないのはやめよう、と意識していたんですね。
佐藤:はい。一瞬でも良いから風を切ってレースをしたいと思っていました。
山口:ナショナルチームの3人はオールガールズクラシック(GI)の選考順位が低く予選からのスタート、しかも初日は7番車でした。それはいかがでしたか?
佐藤:そうだったんですね。外枠だとは思っていたけどそれは知らなかったです。でも自転車競技ではくじ引きで内外が決まるので、特に車番はどうとかは気にしていないです。
山口:アジア大会から帰国後、翌日が前検日でした。体力的にもきつかったのでは?
佐藤:レースに対してしんどいなという気持ちはいつもあります。でもアジア大会の気持ちでそのまま入れたので、「前検日入れてあと4日、頑張ろう」と自分に言い聞かせていました(笑)
山口:そうでしたか(笑)
佐藤:はい。でもアジア大会までに練習は充分できていたので、レースは大丈夫だろうと思っていました。ただアジア大会も期間が1週間ほどあり、疲れはあったので「早く休みになれば良いな」と毎日頑張っていました。
山口:坂本勉さんが「国際大会は1日に複数回レースをする。ガールズケイリンは1日1走だからむしろ脚は休まる」と仰っていたのですが、その感覚はありますか?
佐藤:休まるというよりも、レースでの強度が足りないので最終日には脚力が落ちてないか心配になります。
山口:え?そんなに違うんですね。
佐藤:はい。だからこそ前検日に「体がきつい、練習をしすぎたかな」という感覚くらいで調子がキープできるような気がします。
山口:凄いですね。ではレースを初日から振り返っていきます。初日は長い距離を踏むレースでした。
佐藤:初手で後方になったので、上がっていった時に鈴木奈央選手(静岡110期)の前に入れました。私を入れてくださった形ですね。だからという訳ではないですが、「私を前に入れて良かった。メリットがある」と、鈴木選手にも周りの選手にも思われる走りをしなければ、と思いました。だから長い距離を踏もうと。最終的に後ろが野口諭実可選手(大分102期)と鈴木美教選手(静岡112期)が取り合う形で、鈴木奈央選手の前ではなくなってしまったんですが、それは見えていなくて「長い距離になってしまってもどこからでもいこう」と思ってゴールまで一生懸命に走りました。
山口:準決勝も激戦で、奥井迪選手(東京106期)の先行、日野未来選手(奈良114期)の捲りの上を捲ったレースでした。
佐藤:そうでした。まず気になっていたのは、外で並走していた吉村早耶香選手(静岡112期)でした。自分の仕掛けるタイミングがずれてしまうのが嫌だったので、本来は外の並走の選手に対しては前を追走してそのまま内側から行くのが正解ですが、私は吉村選手の外から仕掛けました。それは自分のタイミングがずれないようにです。4コーナーくらいから仕掛け、最終BSでは先頭に出られれば良いなと思っていました。
山口:日野選手の動きよりも吉村選手だったんですね。
佐藤:まず吉村選手でした。その次に一車前にいた柳原真緒選手(福井114期)、その次に日野選手と、私は目の前の選手を次々と見ていく感じですね。だから一人目の吉村選手を越えた時に「よし!」となりました。
山口:そうなんですね!
佐藤:はい。それで自分の安全に走れるコースを確保できていたし、スピードも落とさずにいられる状態を作れたので、レースとしては良い展開を作れたと思います。
山口:見ていた私は「佐藤選手は、厳しい展開かな」と思いましたが、良い展開だったんですか。
佐藤:はい、問題なかったです。焦って内側へいって自分のペースで走れない方が良くない、落ち着いて自分のペースで走れたら大丈夫だと思っていました。
山口:33バンクの松戸であの大外の捲りはなかなか行けないと選手に聞きますが、250バンクを普段走っているから問題ないんでしょうか。
佐藤:それはあると思います。あと、直前のアジア大会で走った中国のバンクが、大会のために作られた新しいバンクでとても癖があったんです。カント(傾斜)が不思議な感じと言ったらいいんでしょうか。そこで結果を出せた、走りきれたからこそ松戸は自信を持って走れていました。
山口:決勝も先に前にいた児玉碧衣選手(福岡108期)が動いた時についていきませんでした。今のお話に通じますか?
佐藤:そうですね。児玉選手についていって他の選手と絡んでしまうリスクよりも、レースが一旦動いた後に「次は自分の仕掛ける番だな」とレースを作り直す方が良いと思いました。ドリームレースでの内につまってしまったレースや、直近の世界選手権で自分のタイミングではない時に焦って仕掛けて、悪い結果になったことも頭にあったので、余計に「自分のレースをしたい」と思っていたんでしょうね。
山口:なるほど。では再度決勝を振り返ると、かなり強い雨が降っていましたが気になりましたか?
佐藤:豊岡英子選手(大阪114期)にいただいた撥水スプレーをサングラスにしていたお陰でレースもしっかり見えていました。雨なので後ろからレースをしたいなと思っていました。
山口:どんな理由があるんですか?
佐藤:雨の跳ね上がりを避けるのに好きに走りたかったし、私は雨の方がスピードが出ると思っているので後方でも問題ないという判断です。
山口:雨の方がスピードが出る?
佐藤:滑っている感覚なので、私はそう感じるだけです(笑)だから先行でも捲りでも展開は何でも良いかなと思っていました。
山口:落ち着いていたんですね。その他のポイントはどこだったと思いますか?
佐藤:児玉選手が仕掛けた時に、太田りゆ選手(埼玉112期)が追わず、後ろにいる私を見ていたんです。ということは太田選手は私を警戒している。「私を中心にレースを考えているなら、仕掛けるのは今ではなく遅らせよう」と決めました。準決勝の時と同様に目の前の選手を注目していたので太田選手の動きだけを見て、太田選手の捲りが久米詩選手(静岡116期)とスピードが合っていたので、その上をいきました。
山口:行こうと思ったタイミングはいかがでした?
佐藤:前の選手が止まったなと感じたタイミングで、今度は自分が仕掛けないといけない、と切り替えられました。仕掛ける準備はできていました。
競技からガールズケイリンに戻ってくると、ギアなど自転車も違いスピード感も全く違うため、自分の認識の差が生まれます。だから仕掛けるタイミングは自分の体の感覚を信じるしかないですが、それは余裕がありました。
山口:見事3連勝の完全優勝です。優勝後の同期での集合写真は良い写真でしたね。
佐藤:今まで同期が一緒と言っても柳原選手だけだったり、あんなにたくさんはいなかったのですごく嬉しかったです。
山口:次のGIは『競輪祭女子王座戦(GI)』ですが、そちらへの意気込みはいかがですか?
佐藤:GIの前11月16日~18日に伊豆で国際大会の『ジャパントラックカップ』があり、それが過酷なんです。1年で一番嫌なレースかもしれません(笑)ハードな日程で、去年は4日間だったんですが、今年は3日間と短縮されました。そこでのレース内容が不安なんですよ・・・。しっかりと出し切って、20日前検日だから19日はしっかり休んで競輪祭(GI)に向けての気持ちを作って臨みたいです。
山口:ハードですね。
佐藤:それよりも疲れなどの後遺症が心配です。ただ連戦をしても、ジャパントラックカップで良いレースが見せられたら、競輪祭(GI)への自信に繋がります。今はGIに向けてフレームを、競技のものからガールズケイリンのものに戻して練習をしているので、その部分は不安は除かれますね。
山口:オールガールズクラシックの後のインタビューで「ガールズグランプリの権利を獲得したので、次のGIはいろんなことを試したい」と仰っていました。言える範囲で良いのですが、どんなことを試したいですか?
佐藤:勝ちにこだわり過ぎずに、自分の限界を試してみたいんです。先行でも追い込みでも何でも。スタートだけは頑張って取りに行かないですが、それ以外は何でもしたいですね。
山口:ドームというのは佐藤選手にとっては有利ですか?
佐藤:はい。有利だと思うし、自分の真の力が発揮できる場所だからこそ挑戦したいなと思います。
山口:チャンスを見つけて、限界を超える走りですね。
佐藤:いいえ。チャンスを見つけるのではなく、3日間全開でいきます!
山口:おお!
佐藤:松戸もそんな感じで走っていたんです。後でコーチから注意されました。次もコーチを説得していきます。
山口:疲労の蓄積はありますもんね。
佐藤:はい、競技では1日何本も走ります。だからレースの途中でも自分が勝利を確信したら、体力温存のため力を抜くんです。松戸では、もちろん1着になるために走っていますが、勝利を確信したら余力を残すための走りになってしまったので、次の小倉は最後の最後まで踏み切るレースをしてみたいんです。
山口:見る方は楽しみです!
佐藤:でも他の選手もいるので、先行になるかもしれないし、3日間追い込みのゴール前勝負になるかもしれません。それはわかりませんが、どっちにしても限界に挑戦する走りをしたいです。
山口:今年はGIが3つ新設されました。優勝したらガールズグランプリの権利を獲得と、ナショナルチームの3選手にとってはチャンスが広がったと感じましたか?
佐藤:去年までは競輪祭の2枠が唯一優勝したらグランプリというレースで、特に去年はナショナルチームの3人が同じ組でした。だから3人のうち1人しかグランプリにいけない。葛藤も多くありました。今年はGIが3つ。だから「それぞれ3人が優勝を目指せるね」と言っていたんです。6月パールカップは国際大会があり出られませんでしたが、松戸は私が優勝でき、次の競輪祭(GI)は他の2人も優勝をできればグランプリに出場できるチャンスがある。2人は優勝を取りに来るし、私もドキドキします。でもGIの新設はナショナルメンバーにとってはすごく良いし、ポジティブな気持ちでレースに向かえます。
山口:GIの連覇という意気込みはいかがですか?
佐藤:それよりも、力を出したいという方が大きいです。賞金争いで下位の選手が優勝できるチャンスがあるというのは、面白いと思うんです。下剋上というか一発逆転できる。参加選手全員にチャンスがある。トライアルレースで結果を出した選手が出られるガールズケイリンコレクションも良いと思うんです。私が初めてビッグレースに出場するチャンスをもらったのもトライアルレースで決めたコレクションでした。だから同じシステムは好きだし、走っていてもワクワクします。
山口:ガールズグランプリに走ったことがない選手にとっては大きなチャンスですもんね。
佐藤:はい、グランプリという舞台を初めて走る選手との対戦は楽しみです。
山口:ガールズグランプリの出場選手が変わるというのは、翌年のガールズケイリン全体も大きく変わって面白そうです。
佐藤:お客さんもその方が面白いと感じてくれると思います。プラスの気持ちしかないですね。これは、もしかしたら選手よりもお客さん目線に近いかもしれませんね。
山口:聞いているとその部分は大きそうです。
佐藤:自分のことよりもファンの人の目線で見ると、競輪祭(GI)は「グランプリの権利を持ってる佐藤水菜より、権利を持ってない他の選手の優勝を見たい」と思う方もたくさんいるはず。私もお客さんの立場ならそう思います。だからこそ、競輪祭(GI)は勝ちたい気持ちもあるけど、限界を試せる良いチャンスです。どちらの気持ちでも楽しみです。
山口:ガールズグランプリへ向けてはいかがでしょうか?
佐藤:去年に比べて練習はしっかりできるスケジュールになると思います。レースについては問題ないと思うんですが、前夜祭が得意じゃないので、それが心配です。
山口:そうなんですか。
佐藤:人と関わるのが得意ではなくて(笑)ヘアメイクさんとかホテルの方とか、普段関わらない方もたくさんいるのが苦手なんです。毎年欠場したいとお願いしているくらい(笑)
山口:ファンの方は見たいですよ。
佐藤:いや、私以外の6人でお願いしたいです(笑)グランプリに出たい気持ちのが大きいけど、もし出たくない理由があるとすれば前夜祭です(苦笑)
山口:そんなに(笑)立川は佐藤選手が初めて走ったガールズグランプリですね。
佐藤:覚えてます。怪我をして走ったグランプリだったんですよね。ただ立川にはあんまり悪いイメージはないです。
山口:では良いイメージで年末も走れそうですね。現状のナショナルチームの練習内容はどのような感じなんですか?
佐藤:ウェイト、街道、バンク練習と、日曜以外は午前と午後で内容が違うなど、まんべんなくやっています。1週間前にメニューが配られるので、それにそって短距離チームみんなで練習をします。
山口:以前は「スケジュールがきっちり決まっている方が楽で良い」と仰っていましたが、それは変わりませんか?
佐藤:はい、信頼してやってきて強くなった自分がいるので、安心感があります。スケジュールが決まっているということは生活リズムが整いやすい。迷わなくて良いです。目標に向かって信頼してやれば大丈夫という確証があるから続けられます。
山口:目標というのは具体的には?
佐藤:競技で結果を出すことです。今ならジャパントラックカップで結果を出すこと。次のシーズンが年明けに始まる時も良い感じでスタートしたいです。
山口:オリンピックが決まるのはどれくらいなんですか?
佐藤:来年の6月頃ですね。
山口:そんなに直前なんですね。
佐藤:まだまだ勝負が続きます。まずは国際大会でポイントを獲得し、出場権を取れたら次は国内の選抜です。
山口:ありがとうございます。ナショナルチームのお話もたくさん聞かせてもらいました。
それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
佐藤:たくさんの応援、いつもありがとうございます。『競輪祭女子王座戦(GI)』も第1回ですし、そこで優勝をできるように力を出し切ります。またガールズグランプリへ向けては、競輪祭(GI)を優勝できたら良い弾みになると思うので、それができるように頑張ります。引き続き応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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防府競輪場の施設改修の為、玉野競輪場で行われた今年の防府記念(GIII)。
今までとは異なる舞台の中、完全Vでの6連覇を達成した清水裕友選手(山口105期)。
初のGP出場から5年経ち29歳になった今、6連覇の喜びやGIタイトルへの気持ちを伺いました。
ナッツ:地元記念6連覇おめでとうございます。
清水:ありがとうございます。
ナッツ:率直なお気持ちはいかがでしょうか。
清水:すごく嬉しい気持ちとちょっと信じられない気持ちですかね。
ナッツ:信じられない気持ちというのは、どういった部分でしょうか。
清水:6連覇っていうところがちょっと自分でもあんまりピンと来てないんですよね。本当に6連覇もしたのかと。
ナッツ:2年前に4連覇した時に、前人未到の記録を達成して、そこから去年は更新して、さらに今年もその記録を伸ばしました。本当に想像できない素晴らしい記録なのですが、やはりプレッシャーもありましたか。
清水:それが今回は割といつもよりはリラックスして走れたかな、とは思います。
ナッツ:それはどのあたりに要因があったんでしょうか。
清水:まあ防府じゃなかった部分ですかね。防府だと緊張して、あがるまではいかないですけどちょっと冷静な判断ができなかったりで、っていうのがある中で、そういう部分が今回なかったのかなっていうのはあります。
ナッツ:今まで5連覇をしていた地元の防府の333mバンクと、玉野の400mバンクの違いはどう感じていましたか。
清水:その辺は正直あんまり。特に周長の好き嫌いはないので。333mバンクは好きですけど、別に400mが嫌だとかそういうのはないんで、あんまり気にならなかったですね。
ナッツ:その中で今回は6連覇かつ完全優勝でした。意外にもこの6連覇中での完全優勝は初めてかと思いますがそのあたりはいかがでしょうか。
清水: いや~そうですね。今回は連日前の選手が頑張ってくれたおかげで、なんとか完全優勝できたって感じですかね。
ナッツ:前回の寛仁親王牌(GI)からは約2週間あいてたのですが、今回の地元記念を迎えるにあたっての状態面としてはどうでしたか。
清水:状態的にはずっと悪くないなっていうのがあったので、基本的には心配してなかったですね。それと改修工事で防府競輪場が使えなかったので街道練習していたんですけど、寛仁親王牌(GI)が終わってバンクで練習できるようになったんで、そのあたりは結構うまくいったかなと思いました。
ナッツ:レースを振り返っていきたいのですが、初日は犬伏選手(犬伏湧也選手・徳島119期)に付いてのレースでしたね。
清水:ものすごいダッシュでしたね。新山さん(新山響平選手・青森107期)が流していないところを犬伏君が仕掛けたので、追走がすごくきつくて自分も結構いっぱいでした。ただ郡司さん(郡司浩平選手・神奈川99期)が仕掛けたところが見えて、なんとか最終的には1着には来れたんで状態として悪くはなかったですね。
ナッツ:出切ってからは、後ろを何度も見ていましたが余裕はありましたか。
清水:出切ってからも、そんなに余裕はなかったですね。後ろに別線が入っていたのもわかっていましたが誰かが来ても、正直自分でブロックできたりできる余裕はちょっとなかったですね。
ナッツ:その辺りは2日目以降どう修正していったのでしょうか。
清水:初日に関しては練習で良かった自転車を試したんですけど、ちょっと当たりがなくて、犬伏君に千切れそうになったところもあったので、そこですぐに今まで使ってた自転車に戻せたっていうのも大きかったですね。もちろん、初日は純粋に犬伏君が強かった部分もあるんですけどね。
ナッツ:そして2日目は取鳥選手(取鳥雄吾選手・岡山107期)マークでした。同級生の間柄ですが、清水選手にとって改めてどんな存在でしょうか。
清水:雄吾も今は防府に来て常に練習も一緒にしてるので、そういう意味では息の合った連携ができたんじゃないかなと思います。
ナッツ:結構最近、防府にいろんな方が来てる印象がありますね。それはやっぱり環境がいいんですかね。
清水:いや~どうなんでしょうね。笑
熊本の嘉永君(嘉永泰斗選手・熊本113期)とか、尭弥(上田尭弥選手・熊本113期)も来てくれますし、そういう意味では他地区の選手と一緒に練習できて刺激をもらってますね。
ナッツ:その後準決勝が終わって中四国勢が4人勝ち上がってきましたが、決勝の並びが決まるまでにどんな経緯がありましたか。
清水:犬伏君はもう先に自力っていうコメントを出して、松浦さん(松浦悠士選手・広島98期)が4番手を固めるから、って言ってくださった。だからあとは雄吾と話して、どちらを前後にするかって話になったんですけど、今まで雄吾と連携した時に僕は一度も前を回ったことがなかったので、地元だからって言って、そこで番手を主張するのも自分の中でそれは違うなと。なので雄吾が番手で自分が3番手の並びが1番自然かなっていう感じでしたね。
ナッツ:もし10連覇がかかっていても同じ並びというお話も目にしました。
清水:地元だからってわがままを通すわけにもいかなかったし、どっちにしろ、地元っていうか今回は雄吾の地元(岡山)でしたからね。一度でも雄吾の前を回ったことがあればそこは分からなかったですけど、今までのことを考えてこういう並びになりましたね。
ナッツ:そしてその決勝戦。中四国の作戦としては、いかがだったんでしょうか。
清水:スタートを取って、前からの突っ張りでしたね。
ナッツ:スタートは結構稲川選手(稲川翔選手・大阪90期)も来てましたけども、あのあたりはいかがでしたか。普段清水選手がスタートを積極的に取るイメージがなかったのですが。
清水:そうですね。あんまり普段自分の中で、スタートを取ることをそんなに重視してないんで。でもやっぱり今回のスタートは緊張しましたね。笑
ラインの選手からスタートを頼まれたので、こういう時はしっかり取らないと、と。
ナッツ:その作戦通り、しっかりとスタートをとって犬伏選手の突っ張り先行でした。ただ、高久保選手(高久保雄介選手・京都100期)も、結構抵抗してきましたね。
清水:高久保さんの抵抗が激しくて、あの辺りなかなか犬伏君もペースで駆けられなかったと思いますし、自分も付いていて結構きつかったですね。
ナッツ:ただ、その後取鳥選手が高久保選手を捌いて、最終2コーナー付近から番手捲りを打ちましたが、古性選手(古性優作選手・大阪100期)はサラ脚の状態でした。踏み出した時に、これは古性選手が行ってしまうんじゃないか、という感じもありましたが、取鳥選手の後ろで見ていてどうでしたか。
清水:そうですね。正直2コーナーで後ろを見た時に古性さんのスピードがちょっと違うなっていうのはもう僕も感じとったんで、どう対処しようかなっていう気持ちではいたんですけど、なんか、自分でもどうやって対処したか、あんまり覚えてないですね。
ナッツ:2度ほどしっかりブロックにいきましたが、思うより先に体が動いたっていう感じですか。
清水:なんて言うんですかね、仕事してやろうと思ってした感じじゃないですね。無意識ではないんですけど、あんまり覚えてないんです。
ナッツ:それだけ気持ちが入っていたわけですね。その後、最後の直線は取鳥選手を差し切って6連覇を達成しましたが、ゴールした瞬間のお気持ちはいかがでしたか。
清水:嬉しかったんですが、正直、4コーナーを回った時に前を抜けんかもなーって感じだったんですよ。笑
ナッツ:えっ、そうなんですか。
清水:自分ももういっぱいいっぱいでしたし、気持ちだけでなんとか抜けて1着だったという感じですね。松浦さんも内を締めてくれてましたし、本当に最後は気持ちですね。
ナッツ:それは意外でした。そしてゴール後には手を高々と上げました。玉野のファンの歓声はいかがでしたか。
清水:いつもの防府ではなかった分、本当の地元とはちょっとまた雰囲気が違いましたけども、それでもやっぱり歓声としてはすごかったですし、選手紹介の時からすごく応援してくれる方が多かったんで、気合いが入りましたね。
ナッツ:先ほど少しお話もありましたが、今回の地元記念では全てのレースで前で戦う仲間がいました。その辺りは今までとまた少し違った部分があったかと思いますが、いかがでしたか。
清水:そうですね、今までは人の後ろは基本そんなになくて、あっても節間2回ぐらいですかね。今回の地元記念以外は基本的には自力が多かったので。でも今年に入って人の後ろを回る機会がすごく増えたんですよね。やっぱりそれだけ中四国の層が、厚くなってるのかなっていうのは感じますね。
ナッツ:その中でも今年になって、特に犬伏選手という中四国の若手の大きな存在が出てきましたけど、清水選手から見て犬伏選手はどうですか。
清水:いやー、本当にすごく強いので、僕もずっと頼りっぱなしじゃなくて、犬伏君みたいな自力に近付けるように頑張りたいなっていう気持ちはやっぱありますね。
ナッツ:良い刺激になっているんですね。
清水:そうですね、やっぱりあれだけ自力で勝ったら、すごく楽しいだろうなとは思うんで。もちろん犬伏君ともしっかり連携するというのも大事なんですけど、やっぱり自分も自力でそこまで行きたいなっていう気持ちを持ってしっかり取り組みたいなとは思います。
ナッツ:自力強力な清水選手でも、犬伏選手の自力に強さを感じるんですね。
清水:いや~もう衝撃を受けるくらい強いですからね。犬伏君にしろ、岡山の太田君(太田海也選手・岡山121期)にしろ。そこに近づけるように、まだまだ自力でやっていきたい気持ちはありますね。
ナッツ:ただ、やはり清水選手は24歳の時にグランプリに初めて出て、単騎でも脇本選手(脇本雄太選手・福井94期)相手に捲っていった自力のイメージが本当に強烈でした。今思えばあの若さでグランプリに出て、今のように中四国の若手がどんどん出てきているわけじゃなかった中でグランプリに乗って活躍されたのは本当にすごいですね。
清水:でも正直そこからSSになって、だんだんレースが小さくなってしまって、 結局自分の成長を自分で止めてしまった感じがありますね。
ナッツ:それはどういう部分でそう感じたのですか。
清水:うーん、やっぱりもっと下積みをしとかないといけなかったなってのは感じたりはしますね。早くSSに上がってしまった分、自分自身の力がまだ付いていない状況だったので。
なので、今は基本の練習でしっかり力をつけて、しっかりとまた自力を出せるようになっていきたいですね。
ナッツ:最近では若手から目標とされる側になってきたと思うんですけど、その辺りはいかがですか。
清水:そういう自覚はあまりないですね。まだまだそこは自分自身でもそういう存在というよりは、やっぱり自分がしっかりと成長していかないといけないですね。どっちにしろ、僕なんかを目標にしていたら大した選手になれないので。笑
ナッツ:いやいや、そんなことはないとは思いますが、お話を聞いていても、やっぱりご自身の中ではまだまだこれからっていう気持ちが大きいと。
清水:まあ、そうですね。負けずに上を見て頑張っていきたいなとは思います。
ナッツ:そして今年は、2年ぶりのグランプリ出場の可能性も高まったんですけども(11/10時点の賞金ランキング6位で有力)、そのあたりの意識はいかがでしょうか。
清水:でもやっぱりGIのタイトルを取ってグランプリで勝負したい気持ちが大きいですね。
ナッツ:清水選手は3年前の全日本選抜(GI)を制してしますが、やっぱりそこからもう1つ、という気持ちが。
清水:そうですね。最初にGI取った時も、なんかわからんまま取った感覚は強いんで。
この為に頑張ったんだっていうものがあった上で、GIのタイトルを取りたいかなっていうのはあります。あの時は勢いで取った感じで、何がなんでも取ってやるんだと思っていたわけではないので。
ナッツ:今年1年は、FIなどの普通開催も走る機会がありましたけども、1度SSから落ちたからこそ、見えた景色みたいなのものがあったんですね。
清水:そうですね。今年はしっかりとベースを作ってきたのですが、力を付けてもう一度GIを取りたいという気持ちが大きくなりましたね。
ナッツ:そのGIというところで次は競輪祭(GI)ですが、地元記念を走って競輪祭(GI)に向かうのが毎年の流れとなっています。決勝に乗ったことも複数回ありますが、ここ数年は少し苦しい戦いが続いています。
清水:そうなんですよね。最初は良かったんですが最近は何故か成績が良くなくて。ただ、小倉自体は好きなバンクですし、しっかり頑張りたいですね。
ナッツ:そこに向けて、あと2週間ぐらいですが今の状態としてはどうですか。
清水:しっかり練習もできてますし、平常心で練習をやれていると思います。
ナッツ:改めてになりますが、今後の目標を教えてください。
清水:GIをしっかり取れる選手になれるように上を見て頑張っていきたいなと思います。
ナッツ:それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
清水:いつも応援してくださりありがとうございます。おかげさまで記念も6連覇できましたし、これに満足せず、また一戦一戦GIのタイトルを目指して上を見て頑張っていきたいと思います。応援お願いします。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一年発起し脱サラ。今年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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10月2日~4日に松戸競輪場では『第1回オールガールズクラシック(GI)』が行われました。前半は通常のF2戦が3つあり、Aグループでは刈込奈那選手(千葉120期)が初優勝となりました。ガールズ選手には珍しい徹底先行を貫き初優勝を手にした刈込選手に、レースの振り返りと今後の意気込みを伺いました。
山口みのり:地元松戸での初優勝、おめでとうございました。
刈込奈那選手:ありがとうございました。
山口:初優勝から少し時間が経ちましたが、今のお気持ちはいかがですか?
刈込:いろんな方に「おめでとう」と言ってもらえて、本当に嬉しいです。
山口:決勝のレース内容を振り返っていかがですか?
刈込:いつも私はS(スタンディング)を取るんですが決勝は取れませんでした。焦って位置を求めにいったんですが、なかなか入れるところがありませんでした。結果として比嘉さん(比嘉真梨代選手・沖縄114期)の前に入れたので「打鐘でいくしかない!」と思い仕掛けました。先行ができて良かったです。
山口:予選の1、2ではSを取っての先行と得意パターンになったのかなと思いましたが、Sを取ることは刈込選手にとっては重要ですか?
刈込:はい。私は誰かを追走するのが苦手なんです。なので周回中に7番手だと、前の選手が膨れたりして波ができ、それだけで消耗してしまいます。本当は誘導員の後ろも嫌なんですけど(笑)一車しかいないので何とか走っています。
山口:そうだったんですね。では決勝は得意パターンではない周回中は、気持ちはどう落ち着けていたんですか?
刈込:発走をする前からずっと緊張をしていたので、落ち着いた瞬間はみじんもありませんでした。Sを取れなかった時は「もうダメかもしれない」と思ったんですが、「とりあえず先行はする。H線(残り1周)とB線(残り半周)は自分が先頭で通過するんだ」と思って仕掛けました。
山口:打鐘で刈込選手が仕掛けた時、前にいた熊谷芽緯選手(岩手124期)も踏み上げていましたが、あの辺りはいかがでしたか?
刈込:突っ張られたらどうしよう、と仕掛けた時はいつも思います。今回は出してもらえたので良かったです。
山口:後ろが、熊谷選手と比嘉選手で並走していたのはわかっていましたか?
刈込:途中で気が付きました。
山口:ニュートラルにしてスピードを調整したりは?
刈込:それはしていません。というよりも、私がニュートラルにできることなんてほとんどないです。「H線を先頭で通過したら、次はB線も取る!」としかいつも考えていないです。
山口:4コーナー過ぎても後ろからの仕掛けはありませんでした。それは確認していましたか?
刈込:私自身が打鐘から全力でいっているので、「ゴールまで先頭にはいられないだろうな、もたないかもな」と思っていました。今思えば、4オーナーで誰も来ないとは認識していたんでしょうけど、いつもそういうことは考えず「最終B線を取れたら、後はどれだけゴールまでタレないかどうか」という気持ちだけです。
山口:そうだったんですね。一生懸命に踏んでゴールを1着で通過しました。優勝はどのあたりでわかりましたか?
刈込:ゴールをした後、大型ビジョンに私が映っていたので「私が1着なんだ」と思いました。その後、選手のどなたかが声を掛けてくれて、ホームストレッチに戻ってきた時にファンの皆さんが「おめでとう」と言ってくれていたので、それで確信しました。
山口:こみ上げてくる気持ちもありましたか?
刈込:はい。グッときました。
山口:オールガールズクラシック(GI)の初日は、1レースの1番車でしたね。それはいかがでしたか?
刈込:1レースの1番車で、しかもレースの誘導は師匠の江本博明さん(千葉90期)でした。スタートから緊張しましたがまずSが取れて良かったですし、先行できて良かったです。
山口:松戸でも初めての決勝でしたもんね。
刈込:そうですね。初日2着で少し悔しかったです。いつもなら予選での2着は嬉しいんですが、今回は師匠の前だし1着を取りたかったから。いつも2日目は疲れが出てしまい大きい着を取ってしまうことも多いんですが、「気を引き締めて2日目を走らないと決勝にいけない」と自分に喝を入れました。毎日ドキドキしていました。
山口:今回はGIとの同時開催だったこともあり、自力タイプが少なく、また得点も50点前後の選手が多い開催でした。「優勝を取りに行く」というのは考えていましたか?
刈込:前半の3トーナメントのうち、私が走ったAトーナメントが一番自力選手が少なかったので、先輩方には「優勝狙えるよ!」と言っていただいていました。同時に「今回優勝できなかったら今後はチャンスがないかもしれないよ」くらい発破を掛けられました。
松戸は私が比較的得意な33バンクだし、自力選手も少ないならと、優勝を目指して頑張りたい気持ちと、逆に「優勝できなかったらどうしよう......」という不安もありました。
山口:プレッシャーを感じてしまったんですね。
刈込:そうなんです。不安の方が強かったです。
山口:見事優勝で結果を出しました。GIと同時開催、そしてオールガールズという開催の雰囲気はいつもとどう違いましたか?
刈込:仲の良い同期や先輩がたくさんいる開催は珍しかったです。レース以外は楽しく過ごしていました。緊張はずっとあったんですけど、控室は同期だけだったので嬉しかったです。
山口:決勝から戻ってきた後に、同期の皆さんが出迎えていたのが見えていたんですが、その時はいかがでしたか?
刈込:「嬉しい~!!!」って思いました。アップをしている選手もいたり各々準備をしている中で出迎えてくれて、本当に嬉しかったです。レースが終わって検車場を歩いている時もたくさんの選手に「おめでとう」と言ってもらえたのはビックリしたけど嬉しかったです。
山口:吉川美穂選手(和歌山120期)も「自分のGI決勝2着も嬉しいけど、刈込選手の初優勝もそれ以上に嬉しかった」と言っていたと伺いました。
刈込:SNSでもそう発信してくれていて、嬉しすぎてスクショ(スクリーンショット)しました!(笑)
山口:同期の皆さんは間近で頑張りを見ていたんでしょうね。
刈込:そうですね。応援してくれていました。
山口:徹底先行のレーススタイルは特にガールズケイリンでは苦しいことも多いかと思います。くじける時はないですか?
刈込:自分は先行してヘトヘトで7着の時に、勝った選手は息も上がらずに涼しい顔をしているのを見ると「なんで頑張っているのに勝てないんだろう......」と思うこともあります。でも、自分が力を出し切れないレースをした時は「これじゃない、やっぱり先行じゃないとダメだな」と思うんです。
私が先行をしたら、例え負けたとしてもみんな応援してくれます。それが頑張る糧になっているし、一緒に練習をしてくださっている師匠や浦部郁里さん(千葉102期)、他の千葉の選手にたくさん頑張れと言ってもらえるのも励まされます。最近、滝澤正光所長と連絡先を交換させてもらって「頑張るんだよ」と言っていただきました。それもくじけずにやっていける大きな力になっています。
山口:松戸では加瀬加奈子選手(新潟102期)や奥井迪選手(東京106期)など徹底先行で戦ってきた選手もいらっしゃいましたね。
刈込:奥井さんにはレース後「おめでとう」と言っていただけました。加瀬さんは、その前の宇都宮の開催の時から、朝ごはんやお散歩など一緒に行動させてもらっていました。あまりレースのことは話さないですが、横にいるだけでいつもパワーをいただきます。
山口:そうでしたか。最終日には加瀬選手も逃げ切りでしたもんね。
刈込:はい、すごくかっこよかったです!
山口:デビューして2年半ですが、ここまでは振り返っていかがですか?
刈込:養成所順位が圧倒的に最下位だったので期待されていなかったと思うし、「ただ先行をしている子」という印象だったと思います。他の選手みたいにプレッシャーを感じたことはないし、ゴールデンキャップや白帽は狙えもしませんでした。「先行しかできないから、ここままだと代謝になってしまう」と競走得点とにらめっこしていて、どうにかしようにも先行で戦うのは変えられない。「今回はいけるかもしれない」と思ったら落車をしてしまったり、と不安もたくさんありました。でも、諦めずにやってきて本当に良かったなと思いました。
山口:大きな怪我もありましたもんね。
刈込:はい、落車して復帰した後は7着が続きました。怪我の前も、そんなに決勝に上がっていた訳ではないですが、勝ち上がれていた33バンクでも決勝に乗れなかったり、先行すらできないときもありました。正直「もう終わりかもしれない」と思ったこともあります。
でもその時に、いろんな方が手を差し伸べてくれてアドバイスをいただき、何とかここまでやっています。
山口:どんなアドバイスをいただいたんでしょうか?
刈込:「捲りに変わっていくのはどう?」や、「位置を狙いにいっても良いんじゃない?」など、戦法を変えていくことも言っていただきました。でも私の性格をわかっている方は「戦法を変えるっていうのはやらないだろうな」と、ただ「頑張れ」とだけ応援してくれていました(笑)
山口:良き理解者ですね(笑)
刈込:はい(笑)
山口:優勝をされて、次の目標は何ですか?
刈込:今回は上位の選手はみんなGIを走っていたので、今度は上位選手もいる開催で決勝3着までに逃げ粘れるように頑張りたいなと思います。
山口:頑張ってください。では今の練習状況をお聞きします。バンクが中心ですか?
刈込:松戸競輪場に行って男子選手の後ろにつかせてもらったり、浦部さんと一緒に練習させてもらうこともあります。松戸に行かない日はウェイトトレーニングなどをしています。
山口:デビューから練習内容の変化はありますか?
刈込:ちょっとした変化はあったと思いますが、特に大きくは変わっていません。
山口:コツコツのトレーニングが積みあがってきたんですね。
刈込:そう思っています(笑)
山口:そして刈込選手と言えば、食べ物やキャラクターデザインの可愛いネイルもSNSで発信をされていますね。モチベーションを上げる一つなんでしょうか?
刈込:はい!食べることが好きなので、最近は食べ物デザイン縛りでネイルをしてもらっています。そろそろネタがなくなりそうです(笑)
山口:そうやって気分が上がるものがあると良いですね。
刈込:そうですね。
山口:先ほど「競走得点とにらめっこしていた」というお話もありましたが、現在の得点はご自身でいかがですか?
刈込:松戸で優勝できたので、今期は得点は上がっています。このまま維持できたら、そしてもう少し上げられたらなと思っています。でも上がるのは難しいですが、下がるのはすぐなので頑張らないといけないです。
山口:戦法は変わらずですか?
刈込:はい。でも松戸の後の富山では、初日に前を取ることができず突っ張られてしまい先行させてもらえませんでした。ちゃんとSを取れる脚をもう一回つけて、前から先行できる形にもっていけるように練習しなきゃな、と思います。
山口:ペースで先行する、という点はいかがですか?
刈込:レース中に冷静に判断をするのが苦手なので、後ろが並走している時もあまり把握していないことも多いです。もっとゆっくり踏んでも良い場面でも、常に全力で踏んでいるので、底上げをして全力でもどれだけ捲られないかが先かなと思っています。
山口:松戸の予選2は後ろの並走を見ながらのペース先行でしたよね。
刈込:橋本佳耶選手(熊本114期)が熊谷芽緯選手をフタしていたので(外で並走をして封じ込めている状態)私に有利な展開になりました。残り1周でペースをあげたんですが、もう少しその状態を長引かせられたのかなと、後から見返して思いました。その時は本多優選手(群馬120期)が仕掛けてきたのが見えたので必死になってしまいました。もう少し落ち着いて先行できていたら、熊谷選手が内側のままだったので1着が取れたかもしれません。
山口:状況判断も課題の一つですか?
刈込:そうですね。でも生きていて冷静なことはあまりないので(笑)
山口:(笑)
刈込:物事を冷静に考えられるようになれたら良いなと思います。
山口:私は、GIの前検日はインタビュー収録のため検車場内にいましたが、本当にいろんな選手に話かけられていて、可愛がられているんだなと感じました。
刈込:ありがたいです。先輩方も優しく話してくれるので、いつも感謝しています。
山口:ガールズ選手から「隊長」と呼ばれているのもお聞きしましたよ。
刈込:いつの間にか隊長が広まっていました。何故なのかわからないんですけどね。皆さん愛称で呼んでくださって嬉しいです。
山口:ファンの皆様のご声援は力になっていますか?
刈込:すごい大きい力になります!負けてしまった時も皆さんの声援をいただいて、明日から練習を頑張ろうと思えます。ミッドナイトだと無観客で声が聞こえないので、負けるとシュンとなってしまうこともありますが、昼開催やナイターではお客さんの声が聞こえると頑張れるので心強いです。
山口:本場で応援していただきたいですね。
刈込:はい!
山口:では今後の大きな目標は何ですか?
刈込:ちゃんと先行で着に残れる、戦える選手になるのが目標なので頑張ります。
山口:それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
刈込:いつも応援ありがとうございます。皆さんの声援が本当に力になります。これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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