いよいよ夢の舞台がやってまいりました。今の心境から教えてください。
前回落車してから地元戦を走ったのですが、その前に落車もあって、万全な状態じゃない中で少し兆しが見えてきたというような感じですね。中でも自分の自在性が出て体が自然に動いてきたという部分は良かったと感じています。
その落車、小倉でしたね?
転んでから練習を再開した時は恐怖心がありました。落車が続いていたので、人の後ろを走るのが怖かったりしました。でも克服するためには走らないとダメなので、気持ちを切り替える為にちょっとバイクで引っ張ってもらったり、至近距離で走る事ことを繰り返しました。
ただ、今年一年目標としていたことが達成できて、そういった意味では大きな収穫のあった1年だと思いますが、いかがでしょうか?
そうですね。努力は見てくれていると。神様は見てくれているはずと。さぼらずにこの1年間必死でやってきました。誰にも負けないくらいやってきた結果については満足しています。
日々の努力に関しては誰にも負けないといった自負はありますか。
あります!
京都というのは男子の選手を見ていると地区的に練習の鬼、努力の鬼がいっぱいいるところですからね。
男子の選手と特に一緒に練習するとかはないですが、村上義弘さん(京都73期)から、一流選手になる為には何が必要かというアドバイスを頂いたりする事があって。そういった一言一言はとても参考になりますね。
村上義弘さんですか、それは頼もしいですね。そう考えると京都にはグランプリの神様がいると思います。どんなところをこの初舞台で多くのお客さんに見てもらいたいですか?
自分の自在性を見てもらいたいです。自分の体が勝手に動いて、流れに応じて立ち回れるのが自分の持ち味なのでそれが本番出せたらなと思っています。
それでは最後にファンの皆様に一言お願いします
この1年の集大成なので、この1年間努力してきた事を全部含めて、色んな気持ちを込めて、全力で走りますので応援よろしくお願いいたします。
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写真:「静岡市提供」
今回は5回目のグランプリという事になりましたがまずは今のお気持ちから教えてください
今年は賞金ランキング的にもギリギリで出場できないかなと思った時もあったんですけど、出場権を取れたので走れることに感謝して頑張りたいなという気持ちです。
我々からみると、そんなギリギリだったかなという気もしますが、高木選手的にはそのように感じておられたのですね
そうですね。1か月斡旋出来ない時があったので、一本走るか走らないかで変わってきちゃう時がありました。なので順位がなかなか上がらずに不安な時期がありましたね。
2年連続のグランプリという事になりました。去年はかなり気合が入りすぎたという話をチラッとレース後に伺いましたが、今年は自然体で臨めそうですか?
去年の今頃は既に緊張していたんですが(笑)今年はまだ全然緊張とかはしていないので精神的にも去年よりはいい形で入れると思います。
緊張しているのかしていないか、といった心の中のバロメーターは、どのような時に変化すると感じますか?
例えば緊張すると、食事が喉を通らなくなったりする事があると思いますが、そういった体の変化というのはありますか?
去年は息が出来ないくらい緊張していました。ガチガチになってしまって。楽しみとは思えないくらい緊張してしまいましたね。過呼吸とかではないのですが、何か息苦しく感じるなぁというのが私にとってはバロメーターです。
グランプリの経験は過去3回あるわけですが、去年はその過去3回の経験とは違ったものでしたか?
去年は自分の中で調子がいい1年だったので、自分としても本気で優勝が取れるのではないか、いや、取りたいと思う気持ちが強かったです。そういった意味で、去年の緊張感というのは過去のものとは全く違いましたね。
自分の中確実に強くなったと言うような手応えがあった訳ですね
そうですね。その前の年は出られなかったという悔しい思いもあって。今年こそはという気持ちが強かったです。
もちろん今年も、今回こそは!という強い思いはあると思いますが、その気合と緊張感とのバランスが大切になっていますね。
そうですね。そこに関しては昨年よりいい状態で臨めると思います。
調整のほうは順調に進んでいますか
今はレースも走らずにしっかり練習してきたので順調だと思います
レースの感覚が開くというのは、調子を整えるというプラスの側面がある反面
開くと選手としての感覚がみたいな部分もあると思いますが。
それは確かにあるんですが、11月に走り続けていたので一回リセットしたかったので心も体リフレッシュできて良かったです。
競輪祭が終わってから何かいい息抜きは出来ましたか
寝たかったのでぐっすり眠る時間を多くとりましたね(笑)
いよいよあと10日ということになりました。あとは気持ちを上げていくだけですね
勝ったらやりたい事や買いたい物があれば教えてください。
本当に色んな人にお世話になったので、美味しいものを御馳走したり、恩返しがしたいです
では最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします
いつも応援ありがとうございます。しっかり出場権を勝ち取れたので、この舞台で走れる事に感謝して精一杯優勝目指して頑張りたいと思います。応援よろしくお願いいたします。
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写真:「(公財)JKA提供」
グランプリ進出へ向けてボーダーラインに立っていた吉田拓矢選手(茨城107期)。重圧をはねのけて初のGIタイトルホルダーとなり、自らの力で見事グランプリ進出を決めました。
朝日新聞社杯競輪祭のお話を伺いました。
大津:競輪祭優勝おめでとうございます。
吉田:ありがとうございます。
大津:GIを初優勝したお気持ちから聞かせてください。
吉田:今でも信じられない気持ちはありますが、嬉しさが凄くあります。
大津:なかなか優勝の実感が湧かないということでしょうか。
吉田:そうですね、まさか自分がタイトルホルダーになるとはって感じです。
大津:グランプリ出場がかかる中、相当のプレッシャーもあったのではないですか。
吉田:グランプリ争いに関しては自分の中では割と吹っ切れていて、正直そこまでプレッシャーはなかったんです。
大津:優勝してから周りの反響はいかがでしたか。
吉田:練習仲間や師匠からも祝福してもらいました。師匠には電話で報告したんですが、「本当におめでとう。怪我だけは気を付けてね。」と言ってもらいました。
大津:練習仲間からはGIを獲ってくださいとハッパをかけられていたんですよね。
吉田:年末のGPシリーズを静岡競輪場で走るメンバーたちからは、僕らも静岡行くんで吉田さんも走ってくださいねってけっこう言われましたね。
大津:競輪祭にはどんな思いでのぞまれたのでしょうか。
吉田:グランプリ争いは厳しい状況だったんですが、その中でも優勝だけ目指してのぞみました。小倉競輪場の相性も凄く良いので楽しみはありました。
大津:我々素人からすると平常心で走るのも難しいのではないかと思う中、初戦は佐藤選手(佐藤慎太郎・福島78期)を連れて素晴らしい仕掛けを見せました。
吉田:正直、競輪祭の中では一番初戦が緊張しましたね。ただ状態面が凄く良かったので、その辺りがああいう仕掛けが出来た要因だったんじゃないかって感じました。
大津:一走戦った後で、走る前と気持ちの変化はありましたか。
吉田:けっこう自分の中で手応えがあったので、今回はいけるんじゃないかって自信になりました。
大津:決勝戦を迎えるまでのレースでターニングポイントとなったレースはありますか。
吉田:やっぱり準決勝ですかね。ジャンで新山さん(新山響平選手・青森107期)にカマされた後に自分で3番手に入ったんですが、そこからなかなか仕掛けられず平原さん(平原康多選手・埼玉87期)と龍生さん(武藤龍生選手・埼玉98期)を連れ込めずに自分だけが決勝戦に乗る形になってしまいました。それが本当に悔しくて悔しくて落ち込んでいたのですが、平原さんから「お前が決勝に乗れて良かった。」と声をかけてもらい、そこで気持ちが吹っ切れました。平原さんの言葉に救われました。
大津:前回オッズパークのインタビューで平原さんに吉田さんのことを伺ったところ拓矢は素晴らしい競輪選手になったとお話をしてくださいました。
吉田:昔から平原さんや武田さんにはとてもお世話になっていて、周りが教えてくださったことが今は少しですが分かるようになった部分もあるので、本当に周りの方々のおかげです。身近に超一流の選手がいる環境で育ててもらえたのが大きかったです。
大津:決勝進出を決めた時はどんな思いでしたか。
吉田:新山さんに凄く強いレースをされたので決勝が決まって嬉しいというよりも悔しいって思いが強かったです。
大津:新山選手とは寛仁親王杯の決勝戦でも戦いましたが、新山選手の存在も大きいですか。
吉田:そうですね、同期なので一番意識している相手です。
ただ、そういった相手とGIの決勝戦で戦えるっていうのは良いもんだなぁって感じます。
大津:吉田選手がGP進出を決めるには決勝で色々な条件がありましたが、その辺りは頭には入ってらっしゃいましたか。
吉田:分かってました。けっこう条件が変わってて厳しいことには変わりなかったのですが、GPを走れる可能性もあるのかと思うと夜はなかなか眠れなかったですね。
大津:平原選手などにその悩みは打ち明けたのでしょうか。
吉田:若手は分宿でホテルだったので、部屋で一人で考えてました。次の日に競輪場に行った時に神山拓弥さん(栃木91期)に「どうしたら良いですか」って相談しました。そこで色々と作戦を考えてもらって古性さん(古性優作選手・大阪100期)ラインの後ろから組み立てろってアドバイスをもらいました。古性さんは必ず勝負所で良い位置を確保してくれるので。
大津:今年3度目のGI決勝戦となりましたが過去2戦と気持ちの変化はありましたか。
吉田:今まではラインがあっての競走だったのですが、今回は単騎戦だったので、一発を狙っていくしかないなって開き直れて、そういった意味では少し余裕がありました。
大津:レースは作戦通り近畿勢の後ろからのレースとなりましたが、勝負所で郡司選手(郡司浩平選手・神奈川99期)や松浦選手(松浦悠士選手・広島98期)に入られる場面がありました。
吉田:郡司さんは仕方ないとしても、松浦さんにあそこで踏み遅れて入られてしまったのは反省点です。ただ、そこからは変なことはせずに脚だけ溜めておこうと気持ちを切り替えました。
大津:最後自分で仕掛けた時の感触はいかがでしたか。
吉田:凄く車がスーッと出てくれたのでずっと伸びてる感じでしたし、乗り越えられるんじゃないかって感じはありました。ただ新山さんもかかっていて、物凄い先行でしたね。
大津:最後はその新山選手を捉えての優勝。ゴールした瞬間はどのような気持ちでしたか。
吉田:いや、もう喜ぶしかなかったのでとりあえずずっとガッツポーズしてましたね(笑)
大津:お客さんの歓声も凄かったのではないですか。
吉田:応援してくれているお客さんがとても多かったので嬉しかったです。ゴールした後もたくさんの方がおめでとうって言ってくれてやっぱりお客さんの前で走るレースは最高だなって思いました。敢闘門に戻った時は関東の先輩や後輩が拍手で迎えてくれて、それも本当に嬉しかったです。
大津:昨年の佐世保記念もそうですが、競輪祭でも同期の新山選手とのワンツー決着となりましたね。
吉田:そうですね、でも新山さんも相当悔しい結果だと思うので・・・僕自身は優勝して嬉しいですが、新山さんの気持ちを考えると上手く言葉には出来ない部分もあります。
大津:新山選手との関係性の良さが伺える発言です。
吉田:プライベートでは本当に良くしてもらってますから。レースは別物ですけど。
大津:今年は吉田選手の番手から2人のGIウィナーが出て、最後はご自身がタイトルホルダーとなりました。
吉田:こうして最後に自分が優勝できるなんて本当に出来過ぎですよね。
大津:2021年は吉田選手にとって飛躍の一年となりましたが、昨年までと比べて何か変わった部分はあったのでしょうか。
吉田:栄養面とかを意識するようにしました。後は弟も出てきて茨城の後輩たちとの練習環境もすごく良くなってきているのでその辺が今年好調の要因になったのかなって自分では思っています。
大津:いま弟さんのお名前が出ましたが有希さん(吉田有希選手・茨城県119期)も同じ日のFIで優勝。兄弟アベック優勝と記念すべき一日になりましたね。
吉田:僕は昼寝してて有希のレースは見れてなかったのですが周りから凄く強いレースをしてたった教えてもらって、後で見たら本当に良いレースをしてましたね。有希の優勝も決勝を走るうえでとても刺激になりました。
大津:その後の小田原では弟の昌司さん(吉田昌司選手・茨城県111期)も優勝してましたし、吉田家のご家族は大喜びじゃないですか。
吉田:家で酒が進むって言ってました(笑)
大津:来期は昌司さんもS級ですし、3兄弟が全てS級レーサーとなりますね。
吉田:地元記念の決勝で3兄弟で走れたら最高ですよね。
大津:GIの初優勝の記念にご自身へのご褒美などはありましたか。
吉田:自分へのご褒美はまだないですね、何を買おうかって考えてます。先に妻にバッグを2つプレゼントしました。
大津:奥様の反応はいかがでしたか。
吉田:すごく喜んでました。決勝戦も子供と一緒にテレビで見てたそうなのですが、子供も一緒に喜んでくれたみたいで頑張った甲斐があったなぁって嬉しくなりました。
大津:この優勝でグランプリが確定しました。グランプリへの思いはいかがですか。
吉田:選手にとって夢の舞台だと思うので、噛みしめながら走りたいですね。
大津:関東勢の前は吉田選手が務めていくんでしょうか。
吉田:関東は気持ちは一つなので僕が先頭で絆の強さを見せつけていきたいです。
大津:グランプリまではどうやって過ごしていきますか。
吉田:競走まで約1か月空くのでそれまでに練習の質を高めていきたいです。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願いします。
吉田:いつも応援ありがとうございます。グランプリで関東から優勝者を出せるよう頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いいたします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社