2019年11月に行われた競輪祭でタイトルホルダーになった松浦悠士選手(広島98期) 2020年は競輪界の最高ランクとされるS級S班に属し、更にパワーアップしたレースを見せています。今年最初のGI、全日本選抜競輪では松浦選手とのタッグで清水裕友選手(山口105期)が優勝。そして次のGII、ウィナーズカップでは自身初となるGIIを制覇。「このまま全部勝ちたい」と話す松浦が選手に、ウィナーズカップの振り返りと次に迎える日本選手権競輪への意気込みを伺いました。
(このインタビューは4月14日に取材したものです。4月24日に日本選手権競輪は開催中止が発表されました。)
星野:ウィナーズカップ優勝おめでとうございます。
松浦:ありがとうございます。
星野:全日本選抜競輪の決勝戦でケガをされてから、復帰2場所目の開催で優勝でした。改めて振り返っていかがですか?
松浦:初日の感触は良かったんですが、ケガの影響もあってか日に日に疲れているような感覚がありました。1つ前に走った松山記念の時も同じだったんですが、松山は気温も暖かくバンクも軽かったので、コンディションに救われた所もありました。ですが、福井のウィナーズカップは気温も低くバンクも重かったので、その分影響が出たかなと思っています。決勝戦の時も結果は優勝出来ましたけど、自分の状態を考えるとラインに助けられました。
星野:普段の開催中の状態はどうなんですか?
松浦:普段は4日間、調子は変わらないんです。もし初日と2日目が悪かったとしても最終日までには修正して望めるんですが、復帰してから、初日が100%だとしたら、2日目は95%、3日目が90%といった感じでした。取材などで状態を聞かれると「問題ないです」と答えるレベルなんですけど、自分の中で自信に繋がらない微妙な感じでしたね。
星野:その中で優勝というのは松浦選手の普段からの力もありますし、先程もおっしゃっていましたが、ラインに助けられたということに繋がるんですね。
松浦:そうですね。清水のかかりも良かったですし、3番手の柏野さん(柏野智典選手・岡山88期)も横に動いてくれたからだと思います。高橋君(高橋晋也選手・福島115期)が追い込んで来る姿が見えた時は、横にも縦にも動く準備は出来ていたんですが、スピードが良かったので横に動いて牽制しても止まらないと思い、最後は縦に踏みました。
星野:この優勝で2020年のここまでのグレードレースは中国地区の選手が優勝していますね。
松浦:今、中国地区と四国地区は本当に雰囲気が良いんです。その雰囲気があったから今の自分があると思っています。決勝戦で連携した清水の背中も本当に頼もしかったですし、残りのグレードレースもなるべく多く中国・四国地区で獲ってGPに行きたいですね。
星野:松浦選手自身はラインの先頭の時と誰かに前を任せてのレースがあります。どのように使い分けているんですか?
松浦:これは清水に限らず他の選手もですが、メンバーを見て自分が前で戦いたいと思ったら、相手にそう話します。たとえ結果が良くなくても、前を任せる事を選んだのは自分なので納得できますよね。それに、前を走る選手に先行だけを求めているわけでもないですし、流れもあるのでレースの中で力をだしきってくれればそれでいいと思っています。
星野:どの位置を走っても、近況の松浦選手を見ていると、S級S班の重圧なんて言いますが、全く感じませんね。
松浦:そうですね。今まではやるべき事をちゃんとしてレースに臨んでいると言うこともあり、緊張せずに気軽に走っていました。だから、プレッシャーがかかるのは逆に良いのかもしれませんね。勝たないといけない思いも強くなりました。
星野:さて、5月には日本選手権競輪(通称 ダービー)がやってきます。そこに向けてはいかがですか?
松浦:状況が状況なので、開催があるのかどうか不安な所もあります。でも、それはみんな同じ条件だし、その中でいかに周りより早くスイッチを入れられるか、どれだけ開催に向けて状態をMAXに持っていけるかが大切になってくると思います。自分の場合は、「ここに向けて」というより、常に向上するためには、強くなるためにはどうすればいいかを考えているので、ダービーだからと言って特別何かをするって事はないですね。ただ、レースに行くときの気持ちは違います。記念競輪だと、どんなレースをしようとか、こんな勝ち方をしたいなっていうのがあるんです。ワクワクする感じですかね。ただ、ダービーやその他のGIとなると勝ち方はどうあれ、優勝したいという気持ちが強くなります。GIでもワクワク感を持って走れる位になればいいなと思いますけど。
星野:そのダービーにはナショナルチームも参加しますね。
松浦:今年はここまで清水君と特別競輪は制して来ているんですが、流れは変わってきそうですね。全日本選抜の決勝戦でも、僕たちのラインを簡単には出させないようにと、周りが対策を考えて来ていました。簡単にはレースが組み立てにくくなっています。難しいところですが、今のところ僕たちが有利に運んで来ているのでアドバンテージはあると思います。
星野:ウィナーズカップでは万全ではなかったとのお話でしたが、ダービーまでにご自身の状態はどうなりそうですか?
松浦:復帰戦を迎えるときに、ケガの影響がどう出るのだろうかとか、治るのだろうかという不安がありました。今も正直、完治していませんし、やりたいトレーニングも100%は出来ていません。早く治って欲しいと思う反面、この状態の中でやれることを考えている自分もいるので、ウィナーズカップの優勝は自信に繋がりましたね。まだ、日にちもありますし、今 出来る中でしっかりやって行こうと思っています。
星野:先日、SNSで拝見したんですが、開催前に必ず食べる物があるんですね。
松浦:そうなんです。2つあるんですが、1つはレースに行く前、必ず整体に行くので、その近くの「瓦そば」。そして、移動中の新幹線で「むさしのお弁当」を食べます。これがレース前のルーティーンになっていますね。お弁当ってあまり食べる機会がないじゃないですか。レースに向かう時のピリピリした気持ちを少しでもワクワクさせようといつも食べています。
星野:遠足に行くときのような感覚ですか?
松浦:近いものがあるかもしれませんね(笑)
星野:では、ダービーに向けてオッズパークの会員の皆さんへメッセージをお願いします。
松浦:開催が中止になったり無観客も続いていますが、画面越しでも、またSNSでも応援していただいている気持ちは伝わってきます。選手はみんな、大変な状況の中で走っています。声援がないのは寂しいですが、僕も画面越しに少しでも楽しんでいただけるように全力で走りますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
久留米競輪場で開催された国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)を優勝した菅田壱道選手(宮城91期)。2018年の大宮記念以来2年ぶりの記念制覇でした。自力選手としての思い、番手をまわるにあたっての課題、尊敬する先輩との絆をお話ししていただきました。
森松:国際自転車トラック競技支援競輪優勝おめでとうございます。
菅田:ありがとうございます。
森松:3回目の記念制覇、お気持ちはいかがでしたか?
菅田:3回目なのでそこまでめちゃくちゃ嬉しい!という気持ちまではなかったですけど、後輩のがんばりがあって獲れたので違う嬉しさがありました。
森松:一昨年の大宮以来2年ぶりとなりますが、ご自身ではこの期間はどう感じていますか?
菅田:記念の決勝には安定してのれていて、その中でチャンスがきたらという準備はしていたのでそんなに長くは感じなかったですね。
森松:ご家族から何か言葉はありましたか?
菅田:今年はGIを目標にしていて、この記念を獲れたことで「やれるぞ!」という第一歩になったので「良かったね」と言ってもらえました。
森松:昨年からの食事制限は今も続けているのですか?
菅田:はい。筋肉の質、血液の質を高めるために指導を受けながら続けています。
森松;奥様の協力あってこそ続けられることですね。
菅田:妻には家族の料理とは別で作ってもらっているので、本当に感謝しています。たまに隣で焼きそばとか食べているのを見たら「うまそうだなぁ」と思いますね(笑)
森松:我慢するのはしんどくはないですか?
菅田:我慢・・・というほどではないです。食事制限を始めてから体質が変わって調子が良くて、風邪もひかなくなりました。だからわざわざ元の食事に戻す必要はないかなと思っています。元々白米が好きなので米食べたい!と思う時はありますけどね(笑)
森松:それが今の好調さに表れているわけですね。改めて3日間を振り返っていただきたいのですが、開催中全て番手戦というのはいかがでしたか?
菅田:全部番手は初めてでした。初日は後輩の櫻井選手(宮城100期・櫻井正孝選手)がいたので番手かなとは思っていました。2日目は早坂先輩(宮城90期・早坂秀悟選手)と一緒だったので前でも後でもどちらでもと思っていたのですが話し合って番手になりました。決勝は櫻井選手といろんな話をしていたのに、いざレースになったら唯一話してなかった作戦だったので「あれ?」って(笑)でも良いタイミングで駆けてくれて良かったです。
森松:自力での優勝と、番手戦での優勝、気持ちの面で違うところはありましたか?
菅田:3日間番手をまわって、自力のほうが楽!と思いましたね。脚力面の話ではなくて番手は考えることが多いです。内を締める、外に持っていく、ゴールまで考えることが多くて疲れました(笑)自力同士並んでも、できないなりに番手の仕事はしようと思って臨んだので。
森松:先ほど作戦というお話がありましたが、菅田選手は自力の時は作戦を立てるほうですか?
菅田:自分はあまり立てないですね。レースの中でチャンスは何度も来ないので、それを逃さないようにしています。考えすぎると捉われてしまうので。
森松:番手として、今後の課題は見つかりましたか?
菅田:そうですね。佐藤選手(福島78期・佐藤慎太郎選手)にアドバイスをもらいました。あのタイミングの番手発進は仕方ないと言われましたが、まだ今後できることはあるんじゃないかとも思うのでそこはしっかりやっていきたいです。
森松:佐藤慎太郎選手のグランプリ制覇はどう見ていましたか?
菅田:去年の初めから佐藤選手は成績が良くて、もしかしたらグランプリいけるんじゃないのという話はしていたので、そこに貢献したいと思っていました。勉強のために佐藤選手のレースを見ているのですが、追走するだけではなくて、あのスピード域で外を差し込みながら追走しているすごい技術に驚かされます。番手の仕事もして、キレもあって、追い込みとして完成されているので本当にすごいです。
森松:菅田選手も2020年始まってから好調に見えますが、ご自身ではどうでしょう?
菅田:調子が良くても決勝に乗れない時もあれば、久留米のときのようにそんなに調子は良くないのにラインのおかげで勝てる時もある。だから常に調子は良いように保っておきたいですね。
森松:ラインがあるのは競輪の面白いところですね。菅田選手は何かしら位置を取って仕掛けるイメージがあるのですが、レースで意識していることがあれば教えてください。
菅田:自分は、先輩ができないことをする人が前をまわるべきという考えがあります。先輩ができることをするだけでは前をまわる意味がないと思います。
森松:それはなにかきっかけがあったのですか?
菅田:昔成績が低迷していた時に佐藤選手に「俺の後ろまわっていいよ」と言われたことがあって。「流れ込むだけなら俺が前行くよ、前まわるならちゃんと仕掛けろよ」っていう佐藤選手なりの喝だったんですね。奮い立ちましたね、いつもより早く仕掛けてやろう!って思いました。結果ブロックされて結果には繋がらなかったのですが、仕掛けることができたのは大きかったです。レース終わってから「だいぶ腹立ちましたけど、ありがとうございました」っていいました(笑)
森松:その佐藤選手と5月の日本選手権競輪で一緒に走ることになるかと思うのですが。
菅田:そうですね。ただ今この状況ではモチベーションを保つのが難しいのは正直なところです。みんなと集まって練習ができないもどかしさもあります。期間が開いたのでトレーニングできるはずが、なかなか状況的に難しい。ただ今日(インタビュー当日)バンクに行ったらたまたま阿部選手(宮城100期・阿部力也選手)がいて、一緒にもがきあいができたので良かったです。
森松:なんとか気持ちを高めていけるようにという感じですね。では最後にオッズパーク会員の方々にメッセージをお願いします。
菅田:毎年勝負の年と言ってるような気もしますが、今年はグレードレースで結果を残すことを目標としています。昨年佐藤選手や新田選手(福島90期・新田祐大選手)がグランプリを走っているのを自宅のテレビで見ていました。佐藤選手が優勝した嬉しさはもちろんありましたが、自分がそこにいなかった悔しさがあるので、今年は気持ちを高めて頑張っていきたいと思います。
森松:これからのレースを楽しみにしています。ありがとうございました。
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※インタビュー / 森松さやか
大阪府出身。岸和田競輪初心者ガイダンスコーナーアシスタント、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
5月の日本選手権競輪で行われる『ガールズケイリンコレクション2020・静岡ステージ』へ向けて行われた1月のトライアルレース。
静岡で行われたグループBで決勝3着となり初めてのガールズケイリンコレクション出場を決めた大久保花梨選手(福岡112期)に、コレクションへの意気込みや近況などをお伺いしました。
山口:『ガールズケイリンコレクション2020・静岡ステージ』出場決定おめでとうございます。
大久保:ありがとうございます。自分としては7番手での選出で、他の結果待ちだったのでまだまだ改善しないといけないことがたくさんあると感じました。
山口:静岡のトライアルレースに行く前はどんな気持ちでしたか?
大久保:すごく濃いメンバーだなと思いました。動くタイプの選手もたくさん、レースの上手な選手もたくさんだなぁと。決勝にのれたら良い方だなと走る前は思いました。
山口:初日が4着でしたが、終えてからは2走目に向けていかがでした?
大久保:着外だったので2走目は絶対に失敗しないと言い聞かせていました。後が無くなりましたね。
山口:梅川風子選手(東京112期)と一緒のレースでしたが、組み立てはどのように考えていましたか?
大久保:梅川さんが一番強いのはわかっていたので、梅川さんの動きを見ながら走っていました。
山口:冷静には走れましたか?
大久保:そうですね。落ち着いていました。
山口:途中、併走もありましたね。
大久保:梅川さんが私の前にいたので、その時点で彼女の外側で併走して抵抗しないと、すんなり仕掛けられて負けるパターンになります。何もできないよりはとりあえず動いて梅川さんの動きを見ていました。
なんとか捲る梅川さんの後ろにはまれたので良かったです。
山口:決勝は3着で他の結果待ちでしたが、その後のグループC(久留米)はどういう心境で見ていましたか?
大久保:寛子さん(石井寛子選手・東京104期)と柳原さん(柳原真緒選手・福井114期)が3着じゃなければ良いなと思って見ていました。ただメンバーを見ていると、私たちの走った静岡の方が、動けるタイプの選手が多かった気がして、私としては静岡メンバーとの対戦は改めてやりにくかったなと思っていました(苦笑)。
決勝も見ていましたが、最後の最後まで結果はわからなかったのでどきどきしていました。
山口:決定の発表が出た時はいかがでしたか?
大久保:素直に嬉しかったです。やっと目標の舞台に立てるんだと思いました。
山口:初めてのガールズケイリンコレクションですもんね。
大久保:そうなんです。先日3月ウィナーズカップでのコレクションも8番手の補欠で、それ以外のビッグレースはガールズケイリンフェスティバル(サマーナイトフェスティバル)やガールズグランプリトライアルレース(競輪祭)などのトーナメントでした。
コレクションとしては初めての出場です。選ばれたのはすごく嬉しいです。
山口:今までも惜しくも、ということはあったと思いますが、ここまでを振り返るといかがですか?
大久保:出られないたびに力が足りないと思っていましたね。今もまだ足りないと思うこともたくさんあるんですけど、でも結果として今回7人に選ばれたので少しでも成長していると良いなと思います。
山口:単発レースとしては昨年4月のガールズフレッシュクイーン、そして年末西武園でのミッドナイトフィナーレがありました。単発レースのイメージはどうでしょう?
大久保:ミッドナイトでの単発レースについては、オッズパーク杯ガールズグランプリの裏のレースというか、グランプリに出場していない選手でのレースだったのでやっぱりメインのグランプリに出たかったという思いが強いです。
もちろんミッドナイトフィナーレも強い選手が多かったので、そこで勝てたのは自信になりましたが、今年はやっぱりグランプリの舞台で走りたいです。
山口:近況は優勝も続いていますが、ご自身ではいかがですか?
大久保:優勝はできているんですが、最近は予選で負けてしまう事があるので、そこをしっかり勝ち切れるようにしないといけないと思っています。
山口:得意パターン等はありますか?
大久保:それはないですね。「こういうパターンにはまったら勝てる」というのはなく、レース中に相手の動きを見ながらいつもレースを進めます。私より強力な自力がある選手がいたらその選手を見ながら走りますし、レースが上手な選手がいたらその選手よりは前にいるように走るなど、相手を見ながら進めます。
山口:最近の決勝では後ろの選手を離しての優勝もありましたが、それでもまだまだだなと思いますか?
大久保:そうですね。最近の通常の開催だと、本命の選手がいて私がいつも対抗選手のようなメンバー構成が多いです。大きいレースになると全員を意識しなければいけないのでまだまだ勝てません。そこはもっと勉強しないといけないと思います。
山口:具体的にどういう所を強化したいですか?
大久保:トップスピードですね。私はレースが上手くないので、ゴール前で差すというのがあまりできません。基本的には自力を出してレースを進めているので、児玉碧衣さん(福岡108期)や梅川さんのような周りを引き離す自力をもっとつけたいです。
山口:戦法についてはいかがでしょうか。児玉選手や梅川選手だとカマシ先行もありますが意識して逃げを増やしていきたい等はどうですか?
大久保:特に先行にこだわりはないですが、自分の他に積極的に動く選手がいなければしかけていきたいとは思います。そのしかけたときに後ろをスピードで離せれば逃げ切れるし、そういう脚はつけていきたいです。戦法の幅も広がりますしね。
山口:5月のガールズケイリンコレクションは静岡ですが、トライアルレースで静岡を走った感触はいかがでしたか?
大久保:予選1で着外をとっているので、良いイメージは無くなりました(苦笑)。でもコレクション出場を決めた思い出のバンクというのもあるんです。だから良い悪いどっちでもないかもしれませんね。感触は直線が長いイメージでしたが、走りやすかったです。
せっかくコレクションを走れるチャンスなので、勝ちに行きたいですし、良いイメージで走れるようにしたいですね。
山口:他のメンバーを見て印象はいかがですか?
大久保:今回のコレクションのメンバーで、誰もが思うことは碧衣さんがいないことだと思います。絶対的に強い碧衣さんがいないレースなので、今までのコレクションとは違うレースになるはず。それが楽しみです。
山口:確かに、今までは児玉選手がいないビッグレースはあまりなかったですね。
大久保:そうですね。碧衣さんがいてこそのビッグレースというイメージでしたが、今回はいないです。でもそれが逆に私には勝ちに行くチャンスだと思います。展開を見てうまくレースを進めたいですね。
山口:同期の選手もいますね。
大久保:はい。特に梅川さんは仲が良くて、いつも練習メニューなども教えてくれる強い選手で憧れています。今回のコレクションで戦えるのを楽しみにしています。
山口:先ほどから「展開を見て、相手を見てレースをする」というお話が多くありました。相手の動きに反応して瞬時に動けているなという実感はありますか?
大久保:レースを走っていて「今こうした方が良いな」という組み立てはできると思います。通常の開催の予選だと自分の思うように動けて勝てることが多いですが、ビッグレースになるとそれが何パターンもあってどうなるか予測が立てにくいのが難しいですね。今回のコレクションでは良い経験ができたら良いなと思います。
山口:ビッグレース初めてだからこその経験ですね。
大久保:そうですね。
山口:今の目標は何ですか?
大久保:ガールズグランプリに出たいです。
山口:1年の積み重ねですね。今回のガールズケイリンコレクション出場で、ガールズグランプリに一歩近づきましたね。
大久保:そうかもしれません。昨年コレクションは出られなかったので、今回出場を決められたことは、目標のグランプリ出場へ向けて少しずつ近付いていると思います。
山口:今の練習環境はいかがですか?
大久保:いつも練習している久留米の選手は碧衣さんをはじめ強い選手がたくさんいるので、いつも間近で刺激をいただいています。今度デビューする118期の子(尾方真生(オガタ・マオ)選手)も卒業記念レースを優勝して強いので一緒に頑張っています。
山口:久留米勢としては5月のガールズケイリンコレクションは唯一大久保選手が出場します。周りからの激励はどんな感じですか?
大久保:「花梨、優勝しなきゃあかんやろ!練習しろよ」と激励を受けました(笑)。期待もかけてもらっていると思うので良いモチベーションになっています。
山口:ぜひ頑張ってください(笑)。では最後にオッズパーク会員の方へ意気込みをお願いします。
大久保:今年は一戦一戦大事に走って、ガールズグランプリを目指します。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
5月に地元・静岡競輪場で行われる『ガールズケイリンコレクション2020・静岡ステージ』。このレースに出場する為には1月のトライアルレースで出場権を獲得しなければなりません。
岐阜で行われたグループA決勝2着で出場権を獲得した鈴木美教選手(静岡112期)に地元開催への意気込みや近況などをお伺いしました。
山口:5月地元でのガールズケイリンコレクション出場決定おめでとうございます。
鈴木:ありがとうございます。
山口:コレクションのトライアルレースでは、岐阜のグループAが最初に行われました。どのような気持ちで臨まれましたか?
鈴木:一番最初だったので、とても緊張しました。たくさんお客さんも入っていたし、地元・静岡でのコレクション出場もかかっていたので初日からすごく緊張しました。
山口:優勝したのは高木真備選手(東京106期)でしたが、児玉碧衣選手(福岡108期)などもいましたね。
鈴木:決勝は碧衣ちゃんがいたので初手は彼女の後ろから進めていこうと考えていましたし、ゴール前で碧衣ちゃんを抜いたら優勝、2着でも確実にコレクションは走れるのでその位置がベストだなと考えていました。
山口:そうすると決勝の展開は、想定とは違っていましたか?
鈴木:残り1周までは想定通りでしたが、碧衣ちゃんの捲りが合わされた2コーナーくらいからは、その位置にいると厳しいと思ったので高木選手の後ろに切り替えて前に踏んでいきました。
山口:ゴールした時はどうでしたか?
鈴木:2着だとわかっていたので、ほっとしましたね。確実に2着までには入らないと、と思っていたので良かったです。
山口:その直後、2月に静岡でのレースがありました。コレクションで走る前に実践のレースで走った感触は?
鈴木:地元なんですが練習とレースでは全く違います。コレクションの前にレースでの手応えをつかみたいと思っていたので、3日間自力で走りました。
山口:岐阜で敗れた高木選手も一緒でしたが、コレクションでも戦うし意識はされていたんでしょうか?
鈴木:決勝で負けていたので、地元では勝ちたいと思っていました。完全優勝できて嬉しいです。
山口:その後、広島でも石井寛子選手(東京104期)、柳原真緒選手(福井114期)とも対戦しましたね。
鈴木:広島の前検日では記者さんに「今回は5月のコレクションに走る選手が3人参加だね」という質問もされました。コレクションへ走るというのもそうですが、2人とも強いのでいつも気にしているという感じです。
山口:相手がどう走ってくるのかなども研究しますか?
鈴木:コレクションと普段の開催は多分、感覚として全く違うと思います。メンバーもほとんどが自力を使える選手なので展開も読みにくいですね。普段の開催は勝てるように作戦を立てて走っています。
山口:先日はウィナーズカップ最終日『ガールズケイリンコレクション2020・福井ステージ』で久々のコレクション出場でしたがいかがでしたか?
鈴木:悔しいレースだったというのが一番です。
山口:2018年の静岡でのオッズパーク杯ガールズグランプリ以来のビッグレースでしたが、普段の開催と感覚の違いなどはありましたか?
鈴木:ガールズグランプリとは全く違いましたね。今回は無観客でのレースだったというのもあり、声援のない中でのレースでした。
グランプリではとても緊張していたんですが今回は逆に緊張はしませんでしたね。でもお客さんの声援があってこそ良い緊張感が生れて、良いパフォーマンスもできるんだなと改めて感じました。
山口:レースを振り返っていかがでしょうか。
鈴木:展開は動くのが遅くなるだろうなとは想定していました。(梅川風子選手が残り1周で先行、5番手での状態)もっとレースが動く時に前にいることができたら勝負はできたかもしれないですね。自分から動いていけなかったのが課題です。
山口:近況は優勝も何度もされています。現在の調子はいかがですか?
鈴木:通常のレースでは「優勝して当たり前」のようなオッズになってきているので、そこは確実に勝つつもりで走っています。
優勝もできていますし、今年に入って調子も良いと思います。
山口:戦法も特にこの2か月程は先行などバックをとるレースが増えているように感じますが、意識していますか?
鈴木:はい。それは意識をしています。レースの展開にもよりますが、勝ちパターンが1つにならないように、相手に戦いにくいと思われるように何でもできるようにしています。
山口:決まり手なども逃げ、捲り、差し、マークと全部ついていますが、まさに何でもできる選手ですね。練習も変えていますか?
鈴木:練習はそこまで幅を持たせていないです。今は脚力をアップすることをメインに練習をしています。
山口:先日、2021年度のビッグレースの発表がありました。ガールズグランプリがまた静岡に決まりましたね。
鈴木:地元でグランプリがまた開催されるのは本当に嬉しいですし、こんなに早くまたグランプリを誘致するなんて静岡競輪はすごいなと思いました(笑)。
山口:なるほど(笑)。
鈴木:来るとしてももっと先になると思っていたので、本当にすごいと思いましたね。ありがたいし、やっぱり走りたいなと思います。
山口:2018年の静岡のガールズグランプリ開催の時も感じたんですが、地元へかける強い思い、そしてそれを実現していく力は素晴らしいなと思いました。
5月の『ガールズケイリンコレクション2020・静岡ステージ』へ向けてはいかがですか?
鈴木:今度はグランプリではなくコレクションという形でレースを走りますが地元のお客さんの前で勝ちたいという思いが強いです。
いつも地元を走る時はたくさん応援してくださるし気合も入りますね。そこで結果を出すために頑張りたいです。
山口:4月初旬の段階ではまだ無観客レースが続いていますが、走っている側としてはどうですか?
鈴木:やっぱりお客さんの前で走りたいという思いが強いです。特に静岡を走る時にはたくさん応援してくださるので力にもなります。
実は憧れていることがあって、静岡の先輩の渡邉晴智さん(73期)が2008年に静岡で日本選手権競輪を優勝した時に、ゴール後両手を上げて指をさすポーズをしたんです。
それを映像で見た時に優勝するイメージができたというか、私もビッグレースを優勝したらそれをしたいと思ったんです。
晴智さんに「私も優勝したらあのポーズをして良いですか?」と許可もいただきました!なのでそれを、大勢の静岡のお客さんの前で絶対やりたいです。
山口:とっても見たいです!お客様も入っての開催になると良いですね。
静岡のガールズケイリンコレクションを走る、他の6選手のイメージはいかがですか?
鈴木:動けるタイプの選手がほとんどですし、同期もいるので負けたくないです。今回は碧衣ちゃんがいないので混戦になりそうですし、みんなに優勝のチャンスがあります。
出来るだけ前々にいたいですね。
山口:初優勝へ、という思いはいかがですか?
鈴木:先日福井でのコレクションを走ってそこは負けてしまいましたが、まだ今年はもう1本、5月にもコレクションを走る機会、そして優勝できるチャンスがあります。
そのチャンスを掴むためにしっかりと準備をしたいです。
山口:では最後にオッズパーク会員の方へ意気込みやメッセージをお願いします。
鈴木:5月のガールズケイリンコレクションでは1着でゴールして晴智さんと同じパフォーマンスができるように頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
競輪界の最強の証しとされるS級S班に8年連続で在籍した浅井康太選手(三重90期)。
今年はそのS級S班から離れる事になりましたが、怪我を乗り越えたくさん自分自身と向き合い、2020年自身で最初の記念競輪ではすべて1着の完全優勝という最高の結果。
より感覚が研ぎ澄まされた浅井選手に今年ここまでの振り返り、そして2020年の抱負を伺いました。
星野:静岡記念競輪は完全優勝でした。おめでとうございます。
浅井:ありがとうございます。
星野:振り返っていかがですか?
浅井:静岡に行く4、5日前から体も動いていたし、勝てる!という感覚もありました。その中で自分の力を出しきれたのが良かったのかなと思いますし、自分を信じた事が結果に繋がりましたね。
星野:「勝てる感覚」というのは具体的にどんなことですか?
浅井:調子が良い時は体が勝手に反応すると言いますけど、自分の場合は、自分で動きが作り出せている、こう動かしたいなという動作が上手くできているという事なんです。それがスムーズに出来ていたので、レースでも大丈夫という事ですね。
星野:その感覚通り、結果は4日間1着だったんですが、3日目に行われた準決勝戦以外は自力で戦ったレースでしたね。
浅井:僕は追い込み選手っていうイメージがあるかと思いますが、基本的に自力なんですよ。S級S班にいると対戦メンバーに前を任せる選手を入れてもらえることが多くなるので、そんなイメージになってると思いますが、チームスプリントなんかも3走目を走ってますし、長い距離を走るのは好きなんです。本当は先行タイプなんです。
星野:シリーズではそれを強く感じました。でも、浅井選手は自力だけじゃなく、何でもできる選手のイメージが強いですが、それについてはどうですか?
浅井:そうですね。レースの中で自力だけでなく何でもやることは大切だと思っています。その時その時の対応力ですね。これが得意だとか苦手だとか、この戦法は嫌だからこっちが良いではなく、レースの中でここで動けば勝てる!というポイントを大切に走っています。
星野:3日目のレースは高橋和也選手(愛知91期)に前を任せてましたが、先行した根本哲吏選手(秋田97期)の2番手から踏んだ小松崎大地選手(福島99期)の3番手に切り替えていきました。このレースは、流れの中で自然に動いている印象もありましたがいかがでしたか?
浅井:あのレースも深く考えずに感覚でした。 和也のスピードと小松崎さんのスピードを維持する感じですね。切り替える時に一旦スピードを落として無駄な動きをしてしまうと、そのあとのゴール前の伸びを欠くことがあるんです。なので、足を使わず、スピードを殺さず動いた結果がゴール前の伸びに繋がったんだと思います。競輪のレースって力勝負だと思われているかもしれませんが、もっと繊細なものなんですよ。ウエイトだけとか、そんな単純なトレーニングは必要ないと僕は思っているので、いろんなものを取り入れています。
星野:確かに、自転車だけでなく色んなスポーツも取り入れていらっしゃいますね。さて、8年連続のS級S班から今年は離れることになりましたが、その辺りはいかがですか?
浅井:誰でも挫折を味わう事はあると思いますが、僕の場合はグランプリ出場というところから一旦離れた事によって、8年間そこに追われていた自分が小さいなと感じることが出来ました。もちろん、グランプリはまた目指しますが、それよりファンの皆さんが楽しめるような競輪を作っていきたいと、より強く思うようになりましたね。それに、同時に鎖骨と肋骨骨折も経験しました。その治療中は全く動けなかったので、いつもは、体50% 頭50%で考えていたんですが、動けない事によって体0%、頭が100%になりました。そしたら、沢山アイディアが出て来たんです。怪我をした時は本当に苦しかったんですが、今はそんな挫折を経験できてよかったとさえ思っています。
星野:そして、9年振りにFI開催も走られました。
浅井:僕の車券を買ってくれたお客様に貢献するレースをするのはもちろんなんですが、久々にFI戦を走るので、自分にできることは何かを考えたんです。FIだと若いA級の選手も同じ開催に参加するので、その選手にお手本としての走りを見せるのも大切ではないかと。そして、結果は人気にも応えて完全優勝できましたし、松阪の開催ではそれが実現出来たと思っています。
星野:どんな環境でも常に新しいことに気付き、実践する。そして、結果に繋げている。今年も浅井選手からファンの皆さんも目を離せませんね。改めて2020年の抱負を教えていただけますか?
浅井:自分の事をより詳しく知って結果に繋げることがタイトルに一番近いと思っていますので、今年はそこに重点を置いて、3年を目処にタイトルを狙っていきたいと思います。
星野:今年ではなく3年なんですね。
浅井:一昨年はタイトルも獲って良い一年でした。そして、昨年は悪かった。その流れで行くと今年は良さそうなんですが、良い悪いの波を作りたくないんですよ。確実に積み上げていくためには3年という長いスパンで取り組むことが大切かなと。
そうすることによって、今年タイトルを獲ることが出来れば、来年、再来年と良い状態がキープできると思います。
星野:では最後にオッズパークの会員の皆さまにメッセージをお願いします。
浅井:今年はGIからFIまで走るステージがいろいろありますが、GIの決勝戦でもFIでも どこを走っても車券を買ってくださる皆さんに貢献できる走りをしていきたいです。これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社