サクセスエナジーは休み明けのオーバルスプリントJpnIIIを快勝し、目標としていたJBCスプリントは痛恨の出遅れだった。3走前のプロキオンステークスGIIIでもスタートで出負けし、芝の部分でダッシュがつかず流れに乗れないままだった。それら敗因がはっきりしているレースを除けば、今年挙げた3勝は58〜59キロを背負ってのもの。地方のコーナーを4つまわる1400メートル戦は得意の舞台で、トップハンデ58.5キロでもチャンスは十分と見る。
逃げ馬が何頭か揃ったなかで、ラプタスは大外枠に入ってしまった。ゴールドクイーンとの先行争いがカギとなりそうだが、地方の1400メートルは2戦とも強い逃げ切りを見せているだけに、すんなりハナでマイペースならあっさり逃げ切りのパターンも。
ベストマッチョは、川崎に移籍して浦和のプラチナカップを勝ち、オーバルスプリントJpIIIでもサクセスエナジーの2着。どちらも森泰斗騎手が2番手で我慢させる競馬をしているだけに、今回前が競り合ってくれれば展開が向く可能性も。
ゴールドクイーンは芝に戻って結果が出ず。今回は4カ月ぶりの実戦で力を発揮できる状態にあるかどうか。
トップウイナーは2勝クラスからオープンまで3連勝で本格化を思わせたが、その後の重賞では善戦まで。今回も実績馬相手にハンデ56キロでは連下の食い込みがあるかどうか。
船橋のサロルンは初遠征で重賞初挑戦だった楠賞を制してデビューから7連勝。今回と同じ園田1400メートルで、そのときの勝ちタイムが1分27秒8。ここ3年のこのレースの勝ちタイムが1分26〜28秒台で、しかも楠賞のときより4キロも軽いハンデ52キロなら十分通用しそうだが、地方馬同士のような楽なレースにはならないだろう。
◎3サクセスエナジー
○12ラプタス
▲5ベストマッチョ
△7ゴールドクイーン
△10トップウイナー
△1サロルン
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中央競馬では、阪神ジュベナイルフィリーズをソダシが勝って、白毛馬による初のGI勝利となった。
父母どちらかからの遺伝である芦毛と違い、白毛は突然変異によって出現するが、ソダシは祖母のシラユキヒメから3代に渡って続く白毛。そのシラユキヒメからは、ソダシの母ブチコを含め不出走だった馬も含めて10頭もの白毛が産まれていて、これはもう突然変異とは言えなくなっている。
かつて「白毛は体質的に弱い」と言われたことがあったような気がするが、これはシラユキヒメが5歳になってのデビューで、結局勝利を挙げられなかったからかもしれない。
ところがソダシのおばにあたるユキチャンが地方・川崎に移籍後に、牝馬限定戦とはいえダートグレードで2勝を挙げ、ソダシがデビューから無敗のまま2歳牝馬チャンピオンとなるに至っては、白毛だから弱いということは言えなくなった。
ばんえい競馬でも2012年に初めて白毛馬がデビューした。その名は、ハクバビューティー。父・キタノコウテイ、母・第二富士姫はともに鹿毛だった。
ただ2歳5月のデビュー時の馬体重は676キロ。ばん馬としてはやはり小さい。700キロ台でデビューする馬はよくいるが、600キロ台となるとさすがにめずらしい。
そのデビュー戦は、勝ち馬から93秒4も遅れ、10頭立て9着でゴール。ただその勝ち馬は、のちにナナカマド賞とイレネー記念を制したショウチシマシタだったから相手が悪かったともいえる。3戦目に2着があったが、その後も勝利には遠く、7月のデビュー6戦目にようやく馬体重が700キロを超えた(704キロ)ものの、3着。それを最後に引退した。
母となったハクバビューティーは、2014年に産んだ初仔の牡馬が白毛に出た。ハクバボーイと名付けられ、2016年5月にデビューした。
2014年のばんえいカレンダーに掲載されたハクバビューティーとハクバボーイ
ハクバボーイは、14戦目となった11月に待望の初勝利を挙げた。ばんえい競馬では、記念すべき白毛馬による初勝利。しかし明けて3歳3月のレースを最後に引退。競走馬としては1シーズン限り、24戦1勝、2着3回という成績だった。現在は大分県の観光牧場(農家レストラン)で元気なようだ。
その後2年空いて産まれたのが現3歳の牝馬・コウシュハハイジーだが、残念ながら(?)白毛ではなく栗毛に出た。そのコウシュハハイジーは、2月の黒ユリ賞で8着、つい先日、12月6日のばんえいオークスにも出走(9着)するなど、活躍を見せている。
そして現2歳も牝馬で、エーシンビュウティという馬名で登録されている。が、これも残念ながら(?)栗毛。12月17日現在で未出走となっている。
ハクバビューティーからはまた白毛の産駒が出るのかどうか。そして3歳のコウシュハハイジー、2歳のエーシンビュウティがいずれ母となったとき、白毛の仔が産まれてくるのかどうか。
ばんえい競馬でも白毛の系統が広がりを見せるのか、期待したい。