JRA桜花賞のステップ競走代表馬選定レースの園田クイーンセレクション。他地区からは、笠松3頭、名古屋2頭、福山1頭が参戦し、地元兵庫6頭というメンバー構成になった。
出馬表を見渡していて、種牡馬に目がいった。エイシンサンディ産駒、マイネルラヴ産駒がそれぞれ3頭ずつ。
エイシンサンディは、ミツアキサイレンスの活躍にはじまり完全に地方競馬の種牡馬として定着したが、マイネルラヴも同じく地方向けの種牡馬としての地位を確立しつつあるようだ。最近だけでも、昨年の笠松・オッズパークファンセレクションを勝ったマルヨスーパーラブ、北海道でフローラルカップを制した快速馬カミヒコーキ等が出ている。
ほかに地方での活躍馬が目立つのが、バブルガムフェローだ。今回のメンバーにも笠松ですでに重賞を2勝しているカキツバタフェローがいて、ほかにも南関東と北海道で重賞を勝ったビービーバーニングがいる。
さて、園田クイーンセレクションだが、重賞勝ち馬は、そのカキツバタフェローのみ。デビューしたころは勝ったり負けたりでそれほど目立つ存在ではなかったが、11月からは重賞2勝を含む3連勝。しかも、年末のライデンリーダー記念は2着に8馬身差の圧勝だった。他の馬を見渡しても、ニックバイエフオー以外はすべて近3走で一度も勝っていないという馬ばかりだけに、カキツバタフェローが不動の本命といっていいだろう。
相手筆頭は、そのニックバイエフオー。北海道では惜しいところで勝ち切れないまま兵庫に移籍。その後T1・2歳特別で2戦して1、2着。勝ち星を挙げた兵庫初戦では、エーデルワイス賞JpnIIIや兵庫ジュニアグランプリJpnIIに出走したディアースパークルに3馬身差をつけて完勝しているだけに、このメンバーに入れば能力上位。
福山のこの世代トップホースの1頭、ウルトラエナジーにも出番がありそうだ。
穴として面白そうなのがマディスンスクエア。北海道3戦未勝利で移籍した名古屋でも勝ち星を挙げられていないが、ここ3戦、4、3、2着と着順を上げてきている。うしろから追い込む脚質だけに、展開の助けも必要になるかもしれないが。
カキツバタフェローから3点流して、プラスになるだろうか、というオッズのような気がする。
◎カキツバタフェロー
○ニックバイエフオー
▲ウルトラエナジー
△マディスンスクエア
ばんえいの4〜8歳牝馬によるヒロインズカップ。格付けごとに10キロ差がつき、さらにオープン馬は今シーズンの獲得賞金150万円ごとに10キロ増量されるという別定重量戦。
参考になるのは、今回のメンバー10頭中8頭が出走していた11月11日のレディースカップ。このとき勝ったのはフクイズミだが、上位はそれほど差のない入線。フクイズミと他馬の重量差を比較すると、今回はギャンブラークイン、エメラルド、ニシキユウなどとの重量差が広がって、フクイズミにとっては厳しいレースになりそうだ。
そこで軽量の5歳馬エメラルドを中心にしてみたい。今シーズン500万クラスで2勝を挙げ、フクイズミとの50キロ差を考えれば逆転があってもおかしくない。
相手筆頭は、堅実・好調のトカチプリティー。そのほか、やはりフクイズミとの比較で重量が楽になっているギャンブラークイン、ニシキユウなども勝ち負けになる可能性は十分。
フクイズミに人気が集中するなら、むしろ馬券的には切ってしまったほうがおもしろいかもしれない。
◎エメラルド
○トカチプリティー
▲ギャンブラークイン
△ニシキユウ
△フクイズミ
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岩手の今シーズンは、3月に開催を残しているものの、とりあえず冬季休催前の最終日、14日にトウケイニセイ記念が行われる。
昨年はテンショウボスがここで重賞初制覇を果たし、その後の飛躍につながった。そして今シーズンはここまで北上川大賞典と桐花賞を含め4連勝中。今回は勝負付けが済んでいるか、明らかに格下の相手ばかり。よほど体調が悪いとか、不利を受けるとかのアクシデントでもない限り負けようがない感じ。フェブラリーステークスに挑戦するプランがあるようで、そのためにもここは負けられない一戦だ。
当然問題は相手探しなのだが、1頭だけ抜けた馬がいるときの予想というのは難しい。実力的に2番目、3番目の馬が真っ向勝負で負かしにいって返り討ちに遭い、着狙いで気楽にレースをしたような馬が台頭することがあるからだ。
で、相手はマンジュデンコウベ。桐花賞は2番人気で6着に敗れたが、2000メートルは中央時代に経験のない距離。1600メートルになる今回、あらためて狙ってみたい。
勝負付けの済んだ相手ばかりであれば、むしろ未対戦の上がり馬がおもしろい。ここまで8戦連続連対で、これが重賞初挑戦となるメタモルキングだ。
北上川大賞典は2番人気で7着だったボスアミーゴだが、この距離で再度注目してみたい。
テンショウボスからの馬券がいくらつくのかが問題だ。
◎テンショウボス
○マンジュデンコウベ
▲メタモルキング
△ボスアミーゴ
昨年9月に死亡した種牡馬・ワカオライデンが、NARグランプリ2007の特別表彰馬に選出された。同時受賞したミルジョージとともに、まさに地方競馬の歴史に残る種牡馬といっていい。
ワカオライデンといえば、まず連想するのが笠松競馬であり、執念ともいえるこだわりようで多くの活躍産駒を送り出した故・荒川友司調教師のことだ。そういう意味では、ワカオライデンは地方を代表する種牡馬ではあるが、笠松の象徴ともいえる種牡馬だった。
代表産駒はもちろん、地方に在籍したままJRAの3歳牝馬3冠すべてに出走し、中央・地方交流元年の象徴ともなったライデンリーダーだ。ただ、ぼくにとってワカオライデン産駒として衝撃を受けたのは、ライデンリーダーより2つ年上、初年度産駒として大活躍したサブリナチェリーとライデンスキーだった。なにしろこの世代は東海地区の2〜3歳の重賞をこの2頭で独占し続けたのだ。
さて、11日に行われる白銀争覇で、ワカオライデンの血を受け継いだ馬は……残念ながらいないようだ。
中心はマルヨスポット。昨年のこのレースは金沢のチヨノドラゴンに3馬身差をつけられ2着。秋には同じ笠松1400メートルの重賞・スプリントを制した。前走、兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIはさすがに相手が強く9着だったが、それ以外は堅実に上位に食い込む活躍を見せている。
相手には名古屋のイブキオトヒメ。こちらも前々走のクイーン賞JpnIII(10着)を別格とすれば、それ以外は昨年9月まで所属していた兵庫時代から含め、ここ10戦連続連対を果たしている。1400メートルも得意の距離で、ここで一気に突き抜ける可能性もある。
金沢のケンゴウザンは近走不振だが、06年3月には笠松でマーチカップを制した実績があり、1400メートルもベストの距離。
エイシンダイオーは重賞未勝利とはいえ、常に上位に食い込む実力の持ち主だけに、ここで勝ち負けになっても不思議はない。
◎マルヨスポット
○イブキオトヒメ
▲ケンゴウザン
△エイシンダイオー
福山アラブ大賞典。
あれ? アラブ大賞典て、去年、つまりは今シーズン、アラブ最後の全国交流レースとしてタマツバキ記念アラブ大賞典をやったはず……。
なるほど。
福山では重賞レースがアラブからサラブレッドに移行していくなかで、たとえば福山ダービーを福山アラブダービーとしたように、3日に行われた福山大賞典がサラブレッドのレースになったため、それを福山アラブ大賞典としたわけね。
というわけでサラブレッドの福山大賞典と同じく、地方競馬の重賞では最長距離2600メートルの福山アラブ大賞典。
昨年は休養をはさんでやや不調だったユノフォーティーンだが、休養明け3戦目となった12月23日のA1特別を勝って復調気配。この馬から狙ってみたい。福山大賞典は、06年7着、07年3着と相性はよくないが、距離的には2250メートルの福山桜花賞を過去に2回勝っているので問題にはならないだろう。距離適性というよりレースの流れが向くか向かないかということだと思う。
相手には、最後のタマツバキ記念を制したフジノコウザンだが、距離が気になるのはむしろこの馬。3歳時、初の1800メートルとなった福山ダービーでは10着と大敗し、2000メートルを超えるレースとしてはこれまでに唯一出走した昨年11月の紅葉賞(2250メートル)も2番人気で6着に敗れた。実績では2番手評価だが、初めての2600メートルでは惨敗の可能性も考えておく必要がありそうだ。
対して長距離得意なのはホクザンファイズ。重賞未勝利だが、一昨年の福山大賞典は5番人気で2着、福山桜花賞では3番人気で3着、昨年の紅葉賞では8番人気で2着と、2000メートルを超えるレースでは人気どおりか人気以上の着順で馬券にからんでいるだけに、アッと言わせる場面があるかもしれない。
昨年、福山アラブダービーと、暮れのアラブ王冠を制したイケノスリリングだが、12月2日に初めて出走した古馬A1特別では1番人気で4着に敗れているように、いきなりこの初めての距離で古馬一線級相手では分が悪そうで押さえまで。
B2からA2まで3連勝中のホワイトモンスターが初の古馬オープンクラスを相手に勢いでどこまで。
◎ユノフォーティーン
○フジノコウザン
▲ホクザンファイズ
△イケノスリリング
△ホワイトモンスター
ところでこのレースには、期間限定所属の内田利雄騎手(フジノコウザン)のほかにも、北海道から船橋に期間限定所属している山口竜一騎手(パスカリランナー)、兵庫の田中学騎手(ムサシボウダイヤ)が騎乗する。
期間限定所属だけでなく、トップジョッキーが他地区の重賞にスポット参戦するのは見ている我々にとっても楽しみが増えてワクワクする。
中堅以下の騎手にとっては騎乗機会が減るかもしれないが、そういう騎手にとっては、騎手の人数が足りない競馬場に期間限定騎乗で乗りに行くという流れもできてきている。
ごく一部の優れたジョッキーだけが中央に挑戦するというだけでなく、地方同士の垣根を低くするという意味でもいい傾向だと思う。
昨年までは秋に行われていたプリンセスカップが、第3回の今回はシーズン最後の重賞となった。
正確には、馬インフルエンザの影響で中止となっていたイヌワシ賞が3月30日に行われることになったので、「今シーズン最後の重賞」とはならないが、金沢競馬は1月5日までの開催でとりあえずは冬季休催に入る。この冬は雪で中止になることもなく、週間予報を見ても、予定通り開催が行われそうだ。
さて、プリンセスカップだが、過去5走までの馬柱を見ると、2度続けて勝っているのはフジヤマオードリーの5走前と4走前のみ。抜けた馬がいない大混戦となりそうだ。
昨年2歳時に金沢で行われた重賞、兼六園ジュニアカップとサラブレッドヤングチャンピオンでは、マイアンジェリカが2、3着でともに牝馬としては最先着。ただここまでに勝ち鞍はデビュー戦のJRA認定レースと、10月の2歳戦のみと、強調材料が少ない。
ならば、近走好調のフジヤマオードリーのほうに魅力がある。兼六園ジュニアカップとサラブレッドヤングチャンピオンでは、ともにマイアンジェリカの後塵を拝しているが、1500メートルの持ちタイムを見てもフジヤマオードリーのほうが断然上だ。
一発を期待するなら、11月の2歳特別でマイアンジェリカに先着した経験のあるカネスレジェンド。前走大敗もデビュー戦の認定レースを6馬身差で圧勝しているワールドワートあたりだろうか。
ただ3歳牝馬のこの時期のレースだけに、急激に成長する馬がいる可能性も大で、当日パドックの気配にも注意したい。
◎フジヤマオードリー
○マイアンジェリカ
△カネスレジェンド
△ワールドワート