4月に高知競輪場で行われる『第5回ガールズフレッシュクイーン』に出場する飯田風音選手(埼玉120期)にお話を伺いました。
このレースはガールズケイリン120期、122期の選手のうち、選考期間内の競走得点上位者だけが出られます。こちらに向けての意気込みや、近況のご自身のレースの振り返りを中心にお話をお聞きしました。
山口:今年はインタビュー時点で、優勝を2回されています。最近の調子はご自身ではどう感じていますか?
飯田:優勝した2回のレースはどちらも決まり手が「差し」でした。追い込みの戦法だったから優勝できたのかなと思います。
山口:理想のレースはどんな感じでしょう?
飯田:自力を出して勝つことがやっぱり理想です。
山口:昨年から大きく変わったことはありますか?
飯田:全く何も変えていないんです。なので、ただ戦法がうまくかみ合っただけなのかな、という感じです。
山口:今年の目標は何でしょうか?
飯田:ビッグレースに出場して、勝てるようになることです。
山口:デビューしてまもなく2年ですが、いかがですか?
飯田:少しずつ慣れてきたのかなと感じています。
山口:最初は苦戦しましたか?
飯田:はい。養成所での競走訓練と実際のレースでは、全く展開やスピードが違うので、それで苦戦したと思います。
養成所は、最終ホーム線を先頭で通過しようという意欲のある方が多かったんですが、実際のレースは皆さんが1着を目指しています。それが大きく違うように思います。
山口:飯田選手は自転車競技の経験も長いですが、それでも違いは大きかったんですか?
飯田:そうですね。競技とも全く違います。
山口:練習環境はどのような感じですか?
飯田:デビューから変わらず父(威文選手・67期)と一緒にしています。ただ一緒に練習はしますが、私がいろいろと言われるのはあまり好きではないんです。なので父は、私が質問をしたら答えてくれるという感じですね。
山口:得意な戦法は何ですか?
飯田:捲りや差しが得意なんですが、いろんな戦法をできるようになりたいので、先行もしています。
山口:現在も逃げ、捲り、差し、マークと全ての決まり手がついていますが、それも意識しますか?
飯田:はい。「何をするのかわからない、戦法が読めない」という選手になりたいです。
山口:目標の選手はいますか?
飯田:小林優香選手(福岡106期)です。
山口:ではここからはフレッシュクイーンへのお話を伺います。高知競輪場は初めて走りますが、それは気になりますか?
飯田:「高知は丸いバンクで、他とは違うよ」という話を聞くので、それがどんな感覚なんだろうと思っています。ホームバンクの大宮も500ですが、あまり同じ印象を持たないように注意したいです。
山口:メンバーを見て、印象はいかがですか?
飯田:強い選手ばかりなので頑張りたいです。
山口:フレッシュクイーンに選ばれた時はいかがでしたか?
飯田:去年は自分の調子が悪く出られなかったんです。なので目標にしていたレースだったから嬉しかったです。
山口:単発レースも初めてですが、緊張などはありますか?
飯田:一発で力を出し切れるのかという不安と、どんな雰囲気なんだろうという緊張はあります。
山口:お父様に記念の雰囲気を聞いたりはしましたか?
飯田:それはしていないです(笑)
山口:レースの間が少し詰まっていますが、それはいかがでしょうか?
飯田:私は全く気にならないので、問題ないです。疲れを取りながら入るという感じでしょうか。
山口:調整などはしますか?
飯田:それは全くしないです。いつも通りにレースへ行きます。
山口:フレッシュクイーンへの意気込みはいかがですか?
飯田:全力を出し切れるように頑張りたいです。
山口:では、ここからは今年のレースについて内容面を伺っていきます。まずは今年の初優勝が2月の立川でした。決勝は地元の奥井迪選手(東京106期)などもいて強力なメンバーでしたね。
飯田:参加した時は、私が優勝できるとは全く思っていませんでした。
山口:初日が5着からのスタートでしたね。
飯田:はい、初日は先行をして残れなかったので、2日目は良い着を取らないと決勝に上がれませんでした。そこは慎重にいきました。
山口:決勝は奥井選手の捲りを追い込んでいきましたが、優勝の核心はどのあたりでありましたか?
飯田:最終バックでは差せるかなと思いました。流れにものれていたと思います。
山口:プロフィールには「33バンクが得意」とありましたが、周長の相性はありますか?
飯田:今はどこのバンクだから得意、苦手というのはないです。
山口:先ほど「今年はビッグレースに出たい」というお話がありました。今年はガールズケイリンにGIが出来ましたが、意識はしますか?
飯田:まだ全然していないですね。私は優勝も経験はありますが、着外も結構とってしまうので、まずはそれをなくしたいです。一戦一戦大切に走りたいです。
山口:戦法のお話で、何でもできるようなということを仰っていましたが、相手によって戦法を選ぶというイメージでしょうか?
飯田:そうですね。でもまだそれは全然できません。私は追走が得意ではないので、まだまだです。
山口:成績に結びついているのは、自分でレースを作っていく方ですかね。
飯田:そうですね。3月の取手では予選は両方捲りで1着だったので、そっちの方が結果には結びついています。
山口:取手の決勝は一番外を乗り越えていきましたね。
飯田:前にも強い選手が仕掛けていたので、それで優勝できたのは自信になりました。
山口:ありがとうございます。ではここからはプライベートのお話も伺わせてください。レースとプライベートの流れなどはできてきましたか?
飯田:はい。今は、レースが終わった直後はしっかり遊ぶことを意識しています。自転車に乗らずにしっかり遊んで、また練習に向かうという流れです。
山口:どんなことをされますか?
飯田:旅行に行ったりするのが好きです。
山口:選手になったら仕事でいろんな場所へ行けるのは一石二鳥ですね(笑)
飯田:そうですね(笑)遠征に行った時はそのまま観光へ行けるのは嬉しいです。フレッシュクイーンのある高知も楽しみです。結構調べたりするのも好きで、高知ではひろめ市場に行きたいと思っています。
山口:ご飯もおいしそうですね。
飯田:それも楽しみです!
山口:では再びガールズケイリンのお話を伺います。埼玉はガールズの選手もたくさんいらっしゃいますが、一緒に練習をしたりすることはありますか?
飯田:皆さんグループが別だったりするので、特に決まって一緒にしようというのはないです。私は小泉夢菜選手(122期)とは一緒のグループです。
山口:小泉選手はフレッシュクイーンは一緒に走りますが、やりにくさはありますか?
飯田:いえ、私は特に誰かに対して「やりにくい」や「あの選手に勝ちたい」などはいつも意識はしていません。
山口:一番レースで意識していることはなんですか?
飯田:もちろん1着を目指しているのは全員一緒ですが、それ以外では全力を出し切るレースを心掛けています。
山口:コロナもだんだん緩和されてきています。お客様のご声援はいかがでしょう?
飯田:応援の声が届くのはとても嬉しいです。
山口:ミッドナイトなどの無観客開催よりは、お客様のいるレースの方が良いですか?
飯田:無観客の時は、それはそれで静かで集中して走れるので、どっちもどっちですね。
山口:時間帯はいかがでしょうか?
飯田:朝が苦手なので、モーニング開催は本当に憂鬱です。頑張らないといけないです。
山口:今の強化ポイントは何でしょうか?
飯田:最近は捲りや差しのレースが増えていて、先行しても残れないことが多いので、そこを強化したいです。
山口:では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
飯田:いつも応援ありがとうございます。これからも全力を出し切れるように頑張ります。応援よろしくお願いします!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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3月4~7日に大垣競輪場で開催された開設70周年記念GIII・水都大垣杯で犬伏湧也選手(徳島119期)がGIII初優勝を果たしました。
決勝は最終HSめがけて大カマシからの独走V!2着の古性優作選手(大阪100期)に5車身差の圧勝ゴールが鮮烈だった犬伏選手にシリーズを振り返っていただきました。
大村:大垣記念優勝おめでとうございます!GIII初優勝から一週間が経ちました。今の実感はいかがですか?
犬伏:ありがとうございます!(GIIIを優勝したことで)やっと上位の人たちとのボーダーラインに立てたかなと思います。
大村:直前の全日本選抜競輪(高知)では3勝されました。どれも犬伏選手らしい強い勝ち方でした。
犬伏:1月に斡旋が止まっていました。そのときにしっかり練習を出来たんです。それが高知では最終バックをとる競走に活かされたなと思います。
大村:GIを振り返って「やりたいレース」はやれた?
犬伏:そうですね。しっかり自信がつきましたし・・・。今回につながる手ごたえがありました。
大村:大垣へはどのような調整で臨みましたか?
犬伏:うーん。あんまり間がなかったのでケアが中心でした。プラス普段通りの練習をしました。調子は変わらずに前検に入れて、それが良かったのだと思います。
大村:前検日に収録したインタビューを拝見しました。その中で「一瞬のスキを逃さないようにしたい。」とのコメントが印象的でした。
犬伏:初日は皆さん強い人ばっかりでしたから。前を斬らせてもらえない展開もありそうだなと。なのであれは純粋に初日特選の番組を見た感想ですね。
初日から気を引き締めてかからなければいけないと思いました。
大村:初日から大師匠・小倉竜二選手(徳島77期)の前でした。
犬伏:まずは先行が出来ればいいと考えていました。なのでレースの形も無理やりの先行でした。着は悪かったんですけど見せ場は作れたかなと。レース前に思っていたより手応えはありました。
大村:吉田有希選手(茨城119期)との同期対決でもありました。
犬伏:そうですね。展開は吉田君が突っ張って次に僕が抑えて...というレースになりましたね。けれど(レースのスタンスは)、誰かひとりを意識するのではなくて全体的な流れの中でしっかりと自分のやるべきことをやろうと考えていました。レース後、小倉さんからは「逃げたのは良かったぞ」と言われました。
大村:二次予選の初手は前受けでした。
犬伏:誰も出なかったら前からいこうと。たぶん誰もいかないだろうなと思ってはいたので前で受けたのはある意味で作戦通りでした。
大村:後続の反撃を許さず逃げ切りましたね。
犬伏:構えてしまっては勝てないメンバーでした。とにかく力の出し惜しみはしないように走りました。
初日はペース配分に問題がありましたが2日目は修正できました。同県の小川(真太郎)さん(小川真太郎選手・徳島107期)と決まりましたし、感触も初日より良かったです。
大村:続く3日目、準決勝は古性選手との対戦でした。
犬伏:ええ。けど正直なところ古性さんの存在以上に自分のレースが出来るかどうかに意識を向けました。自分の力が出せないほうが嫌でした。
大村:初手は中団でした。
犬伏:中団は一番取りたくなかった位置で想定外でした。しかも周回中はずっとフタをされて・・・あれはしんどいレースでした。
大村:7番手になってすぐ打鐘で一度仕掛けました。
犬伏:動いたタイミングは悪くなかったんですが・・・。昇りで仕掛けたもののペースが上がったので前までは出られないだろうなと思って引きました。
(小倉選手の)切替えは仕方がないし、8番手にはハマれたのでここは小倉さんについていこうと気持ちを落ち着かせました。
大村:終盤は捲り追込みで3着のリカバリーでした。
犬伏:大外を回りましたが車は思った以上に伸びました。自分で最近練習に取り組んでいることのひとつが形にはなったなと。それは収穫でした。
大村:そして迎えた最終日。いよいよ決勝です。決勝メンバーが発表されて犬伏選手の後ろを山口拳矢選手(岐阜117期)が回るのかどうかが注目されましたが・・・。
犬伏:単騎になったのは仕方がないなと思いました。ですが却って単騎だったので、準決勝のような"どうにかしないといけないな"という気持ちはなく気楽に走れました。
大村:小倉選手から決勝の作戦などアドバイスはありましたか?
犬伏:小倉さんからは「魅せるレースをしてこい!」と。続けて「最低限の目標が優勝やな」とも言われました。
大村:これまた凄いプレッシャーをかけられましたね!?
犬伏:そうなんです。小倉さんに「優勝してこいよ!」と言われたので気合が入りました!ただ今になって思い返すとプレッシャーというよりも背中を押してもらえた感じでした。
大村:レースは埼玉勢の並びがなかなかまとまりませんでした。
犬伏:それは見えていました。とはいえ僕は単騎だったので、周りを気にするよりも全ては自分が仕掛けるタイミングでした。
岩谷君(岩谷拓磨選手・福岡115期)が出たとしてもすぐには駆けないだろう踏み上げないだろうと思ってはいたので、とにかく緩んだところで行こうとしか考えていませんでしたね。
大村:打鐘過ぎの2センターから一気にカマシました!踏み出しで優勝へつながる手応えはありましたか?
犬伏:ゆるんでいたので前まで出られるだろうと思いました。イエローラインの上を行って、BSで伸びているイメージはありました。残り半周まできて「このまま垂れなければ大丈夫かな?」とはなりましたが・・・。
大村:出切ってからは独走状態でした。
犬伏:実際、走っている最中は分からなかったですね。古性さんがとにかく仕上がっていたので、ずっと古性さんに抜かれるかもって思いながら走っていました。
ゴールした僕の前で(客席からの)歓声がものすごく大きくて、そこで始めて「優勝したのかな?!」と思いました。
大村:上がりタイムが10秒8。一周タイムは21秒7でした。
犬伏:ええ。いいタイムが出せました。そこは最近の中でも一番良かったかなと感じています。小倉さんだけでなく周りの皆さんから「おめでとう!」「やったな!」と言ってもらえました。
大村:今後の目標はなんですか。ファン視点では脇本選手(脇本雄太選手・福井94期)への挑戦も注目のひとつです。
犬伏:優勝インタビューでも言いましたGIの決勝進出です。脇本さんは本当に強い方なので対抗するにはもっともっと自分自身レベルの底上げが必要です。いつか対抗できるように頑張って力をつけたいです。
大村:今、練習で取り組んでいらっしゃることは?
犬伏:まずは地脚の強化です。他にもレースの組立など。これまで山積みだった課題に徐々に取り組めています。これから精度を上げて改善して技術をもっと高めていきたいですね。
大村:さて、これからビッグレースがつづきます。5月には平塚ダービーに参戦ですね。
犬伏:本当に強い人たちがあつまる場です。気合が入ります。そこで目立てるように、しっかり結果が出せるように意識しています。
師匠たちと一緒ですし、徳島勢がみんなで勝ち上がれるよう頑張っていきたいですね!
大村:では最後にファンの皆さまにメッセージをお願いします。
犬伏:大垣記念はたくさんのご声援ありがとうございました。まだまだ未熟ですが、本当に少しずつですがレベルアップはしているのでこれからも応援をよろしくお願いいたします!
昔から競輪選手にとっての目標はまずS級へ上がること、そして記念競輪を優勝することとされてきました。
記念制覇を果たして、"上位へのボーダーラインに立った"犬伏選手の前に強敵たちが待ち受けています。
「力の出し惜しみはしたくない」と語ってくれた自身の競走スタイルを貫く犬伏選手のファイティングスピリットが大きな舞台を熱く湧かせてくれそうです。
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※インタビュー / 大村篤史(おおむらあつし)
2012年4月から小倉競輪場を中心にレース実況を担当。名前と同様の"熱い"実況スタイルでレースのダイナミズムを伝えることが信条。2022年7月からは小倉ミッドナイト競輪CS中継の二代目メインMCとしても出演中。
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3月9~12日に松山競輪場で行われた開設73周年記念GIII・金亀杯争覇戦。決勝は4mの強風が吹く中で争われた激闘の一戦でした。
栄冠を手にしたのはGIII2回目の優勝を果たした山田庸平選手(佐賀94期)でした。九州地区の中堅レーサーとして活躍が注目される山田選手にシリーズを振り返っていただきました。
大村:松山記念の優勝、おめでとうございます!大逆転の捲り一撃から数日が経ちました。
山田:ありがとうございます。このあとも大事なレースが続くのでこの優勝はモチベーションアップに繋がります。
大村:どのような調整で参戦しましたか?
山田:武雄のバンクが使えない(2023年4月8日初日のFII<オッズパーク杯>から本場開催を再開する)間は佐世保へ練習に行きましたが、地元バンクで練習が出来ないため感覚が掴みきれないままでした。調子も上がらず不安を抱えた中の前検でした。
大村:今回の松山記念は新車を投入されたそうですね。
山田:ええ、そうなんです。別にもう一台用意していたんですが、結局は4日間を新車で走りました。なので毎日セッティングを微調整しながらでした。
このフレームがいいのか?セッティングはこれで合っているのかどうか?ハッキリしないまま決勝まで走っていました。
大村:初日特選は単騎戦でした。
山田:まずは仕掛けて動いて自分の状態と調子やフレームの特徴とか調べたかったんですが...、なかなか思うようにいかなかったですね。
道中は前がごちゃついて、咄嗟の判断で郡司君(郡司浩平選手・神奈川99期)の後ろへいってしまいました。≪こういった競走のときにどう走るか≫が今後の課題に加わりました。
大村:つづいて二次予選です。このあと最終日までいっしょになる伊藤颯馬選手(沖縄115期)との連携でしたね。
山田:伊藤君はレースの流れに沿って仕掛けたり順番がきたらすぐさま行ってくれます。自分としては付きやすいタイプです。
前々勝負に行ってくれたり、先行するべきところでは思い切って仕掛けてくれるのでいつも安心して連携していますね。
大村:どんな作戦でしたか?
山田:詳細な作戦を練るというよりは「こういう風にレースは展開するよ」ってアドバイス程度にしています。
二次予選は根田君(根田空史選手・千葉94期)のカマシ先行があるかないか、ポイントを彼に話して後は任せました。
大村:赤版周回で前を抑えて打鐘から根田選手が来ました。
山田:予想よりも早くこられて対処しきれなかったですね。反応してブロックはしましたが乗り越えられました。このレースでは自分自身の甘さを感じました。
大村:レース後にハンドルのにぎり方を変えたという話でしたが具体的にはどのように変えましたか?
山田:腕を内側に絞るように握っていたんですが、今回使った新フレームには合いませんでした。前のフレームとの違いを確かめたのは発見でした。
これからハンドルのにぎり方やペダリングを微調整していきます。
大村:ちなみに新しいフレームの特徴ってなんですか?
山田:硬さが違います。柔らかいんです。新車といっても実は以前使っていたものを作り直したものなんです。去年の10月ごろに使っていたフレームが落車でダメになりました。
直前まで使っていたものはより硬いフレームでした。それに合わせた乗り方を松山記念までは探りながら走っていました。
大村:では満を持してフレームが復活したのですね?!
山田:ところが走ってみると(フレームを)戻しただけなのにペダリングなどに違いがあって・・・。
事前にバンクで調整できれば良かったんですがそれも出来なかったのでどこか嚙み合わないまま持っていきました。
大村:自転車の微調整と向き合いながら2日間が過ぎ、迎えた準決勝は細切れ戦でした。
山田:松浦君(松浦悠士選手・広島98期)が中心のレースになるので、彼のスタートの出方次第で全て変わってきます。なのでスタートは少し待ちました。すると松浦君が出てくれたので僕らにとって一番いい位置(初手4・5番手)がとれたのが良かったのだと思います。
大村:伊藤選手が2車でも先行してくれましたね。
山田:ええ!打鐘から掛けてくれました。
大村:その後、松浦選手の反撃がやってきました。
山田:松浦君の仕掛けるだいたいのポイントは分かっていたので備えました。
中団に坂井君(坂井洋選手・栃木115期)がいて踏みあってくれたので、前のかかりと自分の横の動きが1コーナーくらいで折り合ったので捲りのスピードが止まったと思いましたね。
大村:ゴールは山田選手が1着。そして伊藤選手を2着に残しました。
山田:これは大きかったですね。今まで2車で駆けてくれたときに2着に残せたことがあまりなかったのでワンツーだと知ったときは嬉しかったです。
これからの目標として出来るかぎりラインで勝ち上がる、そのために出来ることをやるんだと考えています。今年やってきたことがレースで形になったのは良かったと思います。
大村:そしていよいよ最終日、決勝です。決勝戦はかなり強いBS向い風でした。
山田:うーん。カマシ先行のほうがいいんじゃないかなという話は伊藤君としましたね。
理想は前をとってカマシて出切ってから勝負できるようにレース展開を持っていきたいねと話していたんですが・・・。なにしろ車番が悪かったので前をとれないだろうとも話していました。
大村:初手は後方でした。まず九州ラインが渡邉一成選手(福島88期)を抑えます。
山田:はい。ここで郡司君が乗ってこなかったのは想定外でしたね。てっきり次は神奈川ラインがやってくるものだと。一成さんがジャンのところで飛んできたのには「あっ?!」と思いました。
大村:神奈川カルテットがカマシ捲り。ホームでは九州ラインは内に被りました。郡司選手からの4車は脅威でしたか?
山田:脅威に感じるよりも郡司君はどう仕掛けるのだろうかを深く考えていました。
同県の4人で並ぶからにはラインから優勝者を出したいですよね?でもS班である自分は勝たなければいけない立場でしょう?そんなことをずっと考えていましたね。
大村:そして最終2コーナーを回って山田選手が捲りました!
山田:HS過ぎにすぐ伊藤君が引いてくれてその後の流れに対処できました。あのときは颯馬がインに詰まっていて、前はごちゃついてて、僕は初日特選で仕掛けたかったができなかったのが頭にあって、それらが線で結ばれたのかもしれないですが自然に体が動きました。
大村:バンクに吹く強風は感じましたか?
山田:仕掛けたときのBS向い風はあまり感じなかったです。それよりも2センターを過ぎて急に車が伸び始めて直線での追い風を強く感じましたね。
大村:背中に吹く追い風で勝利を確信しましたか?
山田:いや~、まず仕掛けたときが半信半疑でした。なので最後まで油断できないぞと気を引き締めました。外を踏んでくる選手は多いでしょうしモチロン内からも。真後ろには松本君(松本貴治選手・愛媛111期)がいたし、守澤さん(守澤太志選手・秋田96期)も必ず来ますから!
大村:見事な大逆転の優勝ゴールでした。同県の選手からお祝いなどありましたか?
山田:なにせ武雄のバンクが使えないので同県の先輩の皆さん、後輩の皆んなに会えていないんです。あ!でも井上昌己さん(長崎86期)からLINEで「おめでとう!」ってきました!
上位の人たちと戦うようになると段々とFIやGIIIさえも取って当たり前になっていくと思うんです。それでも昌己さんのような強い人からメッセージが来たのは(井上選手の)寡黙なイメージもあってすごく嬉しかったです。
大村:西九州ラインの繋がりを感じるエピソードですね。
山田:佐賀ー佐世保でも九州でもこれからは皆んなで勝ち上がっていけるよう力をつけていきたいです。他地区、例えば関東と比べて個々のレベルでも差を感じることがあります。
確かに勝ちにいかなければいけない時もあるでしょうけれど、特別競輪ではひとりでも多く勝ち上がらないと戦いにならないですから。
そのために何をやるか、何ができるかを求めるのが今の課題です。戦法の幅を広げて、それに合うフレームやセッティングを試していくのもそのひとつなんです。
大村:この後はウイナーズ、地元の武雄記念の次は平塚競輪場でダービーに参戦ですね。地元記念とダービーは英明選手(山田英明・佐賀89期)との兄弟あっせんです。
山田:GIの決勝を走るのは今の大きな目標です。これからは人の後ろを回るレースが増えるでしょう。九州ラインで決勝をめざす、走れるように頑張りたいです。
兄とはレースの組立に関する話をします。兄がレースを見てると思うと、ちゃんとしなきゃ!って気持ちが引き締まりますね(笑)
大村:では最後にファンの皆さまへメッセージをお願いします。
山田:近頃は・・・、特に去年から応援してくれる方が増えてくださってます。こんな自分でも大きな応援を送ってもらっているなと感じています。なので決して最後まで諦めずに...頑張りたいと思います!これからもよろしくお願いいたします。
去年は賞金ランキングでも上位に加わった山田庸平選手。一層の活躍が期待される中、どのようにすれば結果を出せるのか。自ら仕掛けるスタイルと番手戦で走るレースそれぞれを柔軟にこなす。
求道者であり探求者でもある山田庸平選手の視線をお話の中に感じました。飛躍のカギは個と線の両立にあり。山田選手が求める答えの中に九州地区躍進の道筋があるのかもしれません。その走りと戦いぶりにどうぞご注目ください!
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※インタビュー / 大村篤史(おおむらあつし)
2012年4月から小倉競輪場を中心にレース実況を担当。名前と同様の"熱い"実況スタイルでレースのダイナミズムを伝えることが信条。2022年7月からは小倉ミッドナイト競輪CS中継の二代目メインMCとしても出演中。
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伊東温泉競輪場で開催された第6回施設整備等協賛競輪in伊東温泉「花と海といで湯賞」 でGIII初優勝を決めた山口拳矢選手(岐阜117期)に喜びの声と、ウィナーズカップへ向けての意気込みなどを伺いました。
大津:GIII優勝おめでとうございます。
山口:ありがとうございます。
大津:優勝したお気持ちを教えてください。
山口:S級S班の選手が居ない大会でしたけどグレードとしてはGIIIなんで素直に嬉しいです。
大津:今シリーズに臨むにあたって状態はいかがでしたか。
山口:広島FIの時に良い感じで踏めているなって感触があったので楽しみな状態で入れました。
大津:今回はシリーズリーダーとして臨む一戦でした。
山口:GIII以上でシリーズリーダーになることはないので変な緊張感はありましたね。
大津:伊東競輪場はS級で初優勝を決めています。
山口:9車で伊東競輪場を走るのは初めてだったので、あまりそこは意識はしていなかったです。
大津:バンク相性は気にしますか。
山口:あまり気にしないですね。普段は400バンクで練習をしているので333バンクはまだまだ難しいなって思っています。
大津:初日特選では竹内選手(竹内智彦選手・宮城84期)が「追い込み選手として山口君の強さに興味がある」と山口選手マークを選択されました。
山口:他地区の強い選手にそう言ってもらえるのは嬉しいですが、初日に関して何もできなかったので歯がゆい気持ちがありました。
大津:レースは接触があり車体故障のアクシデントに泣かされました。
山口:青野さん(青野将大選手・神奈川117期)が行くだろうなって作戦だったので位置取りは良かったのですが、あそこでの接触は仕方なかったのであまり気にしてはいません。
アクシデントがなければ行けるって感じもありました。
大津:身体や自転車は大丈夫でしたか。
山口:前輪が壊れてしまったので交換しなくてはいけなくなりました。
競輪場にある予備の車輪を貸してもらったので自分がいつも組んでいるタイヤの組み方と違うやつで走らなければいけなかったので、そこが一番不安でした。
大津:それはとてもレースに影響がありそうですね。
山口:宇都宮記念の時も二次予選でタイヤがダメになってしまい準決勝で予備の車輪で走ったのですが全く進まなくて、そのイメージがあったので本当に不安でした。
大津:実際に走ってみて今回はいかがでしたか。
山口:元々の車輪と違いは感じたのですが、それでもまだ戦えるなと感じました。
大津:アクシデントの影響を感じさせないくらい2日目3日目と鋭いスピードでねじ伏せました。
山口:準決勝は阿部君(阿部将大選手・大分117期)が先に仕掛けてくれた分、楽にといったら語弊がありますが少し展開が向いた感じはありました。
大津:連日、別線が山口選手をかなり警戒していたように感じます。
山口:僕は捲りが苦手ではないのでタイミングさえ間違わなければと落ち着いてレースが見えていました。
大津:決勝戦を迎えるにあたって心境はいかがでしたか。
山口:タイヤも馴染んでましたし、ここで獲らないとずっと獲れないんじゃないかと思いながら過ごしてました。
大津:決勝戦は青野選手、阿部選手との同期対決となりました。
山口:元々今回は斡旋されていた117の人数も多かったですし、青野さんも阿部君も養成所の頃から強かったので、いまGIやGIIに出場している117期も固定されてきているので、ここからもう少し117期の対戦が増えてきたら見ている人も面白いのかと思います。
大津:養成所でも一年間一緒に過ごしてますし相手の性格や癖も分かるので戦いやすかったりするのでしょうか。
山口:性格や癖はわかるのですが変に意識をしちゃうので僕は考えないようにしています。
養成所時代に強かったイメージもあって余計に相手のことを自分の中で強くしてしまうので、競走得点だけ見て気にしないようにしています(笑)
大津:レース以外での117期の皆さんの交流はいかがですか。
山口:他の期の方たちからは117期は仲が良いねってよく言われます。年齢もバラバラなのですが登録地も関係なく仲が良いと思います。同期って良いなって思います。
大津:今シリーズは隅田選手(隅田洋介選手・岡山107期)も仕上がっていたように思います。
山口:そうですね、阿部君-隅田さんのラインが一番気になっていました。隅田さんがどのタイミングで番手から出ていくのかなってのが僕の中でポイントでした。
大津:山口選手はスタートで前を選択しました。
山口:風が強くてバンクコンディションが悪かったので変に中団とかに拘って脚を使うくらいなら、前を取って準決勝みたいに一発溜めていこうと思ってました。
大津:勝負所では山口選手が内で併走する場面がありました。
山口:石塚輪太郎さん(和歌山105期)が単騎だったんですが、そこは勝負しようっていう話だったので入れませんでした。
輪太郎さんを入れなかったことが大きかったと思います。あの1車がなかったら結果届いてなかったんじゃないですかね。
大津:隅田選手が番手から出た時はいかがでしたか。
山口:隅田さんが思ったより早めに踏んだので最後自分のコースが空いた感じでした。
大津:手応えとしては捉えられるぞっという感じだったのでしょうか。
山口:脚は余ってたのですが、4コーナーで先頭を見た時に「思ったより遠いな。」とは感じて、そこからはめちゃくちゃ踏みました。
大津:ゴール後はガッツポーズが飛び出しましたね。
山口:自分が1着だというのは分かりましたし、他地区にも関わらず連日声援も多かったのでガッツポーズをしました。
大津:ガッツポーズ姿も山口選手は非常に画になりますね。
山口:アハハ!本当ですか(笑)もうちょっと大きい舞台でやれれば嬉しいです。
大津:表彰式では山口幸二さん(岐阜・引退)のインタビューと村上義弘さん(京都・引退)から花束贈呈がありました。
山口:父とのインタビューは何回もあるので慣れたものですが、義弘さんから「最初に花束を渡すのが拳矢で良かった。」って言われたのはグッときました。
家を出るときも「拳矢に花束を渡してくる」って言ってくださってたみたいで。村上さんの目の前で優勝出来て良かったです。
大津:3月は大切なレースが続きますね。
山口:そうですね、地元記念がありますから(3月4日から7日が大垣記念)
中3日や中4日でレースが詰まっているのですがコンディションを崩さないように気を付けます。
大津:この記事が出るのは大垣記念の後かもしれませんが、結果はどうなっていますかね。
山口:毎年大垣記念は別地区のメンバーが強力なイメージがあるので、去年は中部地区で僕一人だけだったので決勝戦で中部の皆で連携出来てたら嬉しいです。
大津:地元を走るときはいつもと違う思いもありますか。
山口:走る前はそこまで気負わずに楽に整えてって感じなんですが、レースの5分前とかになると緊張してきますね。やらなきゃって気持ちになりますし。
大津:その後のウィナーズカップへの思いを教えてください。
山口:2月末に走った別府の初日特選でバランスを崩してしまって、そのイメージをかなり引きずっていますね。優勝は出来たのですが・・・。
そのイメージをまずは払拭したいです。
大津:2021年は別府記念で決勝戦まで進んでいます。
山口:その時に先行のイメージを掴めたってのはあるので、良い感じでウィナーズカップにはのぞみたいですね。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願います。
山口:去年のウィナーズカップでは失格してしまったので、まずは初日をきっちりとクリアして毘沙門天賞に勝ち上がって戦っていきたいと思います。応援よろしくお願い致します。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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