3月に松阪競輪場で行われる『第5回ウィナーズカップ』。最終日の28日にはガールズケイリンコレクション2021松阪ステージがあり、昨年後半の競走得点上位7選手が集まりました。
その中でコレクション初出場となる坂口楓華選手(京都112期)に、出場が決まった時の気持ちやこれまでの振り返り、そしてコレクション松阪ステージへの意気込みをお伺いしました。
山口:坂口選手は、ガールズケイリンコレクションへは初出場ですよね。決まった時のお気持ちはどうでしたか?
坂口:コレクションの出場は目標にしていたので、素直に嬉しかったです。
山口:選考基準が「2020年7月~12月の競走得点上位者」でしたが、狙ってはいましたか?
坂口:何も狙っていなくて、選考基準なども気にせず自分のレースをしていました。それで結果が出たことが嬉しいですね。自分のやりたいことをやっていたら、後から付いてきたのが結果だったので、余計に嬉しかったです。
山口:特に昨年の後半は連勝も続きました。ご自身で結果が結びついてきたという実感は、その時にありましたか?
坂口:練習環境を変えたので、集中して練習ができるようになりました。他のことを考えず、毎日自転車のことを考えられる生活にしたんです。
レースでも自分のやりたいことをやり、それが発揮できるようになったので実感はあったかもしれません。
山口:何度か直接取材をさせていただいた時にも「たくさんのことを考えて走っているんだな」と感じました。やりたいレースができるようになったきっかけは何だったんですか?
坂口:オッズパーク杯ガールズグランプリに出場している選手たちと対戦をすると、私との力の差が大きくあるんだと痛感したことですね。毎年、競輪祭でのグランプリトライアルレースには出場できているんですが、いつも力の差をそこで感じていました。突きつけられるトップの選手との差、それが大きいのが悔しかったんです。
「同じ人間、同じ女性なのに、ここまで差があるんだ」と考えさせられました。そこでしっかり自分と向き合ったのがきっかけでしたね。
山口:先ほどの話の「練習環境を変えた」のと同時期くらいですか?
坂口:そうですね。どうしたらトップ選手との力の差が縮まるかを考えた時に、今の自分の練習環境を変えるしかないと思いました。それまでは一人で練習をしていたんですが、限界を感じたんです。
更に上を目指すために、何の誘惑もない自転車のことだけを考えられる環境に身を置くしかない、と覚悟を決めて、豊橋に練習拠点を移しました。
山口:どうして豊橋に決めたんですか?
坂口:豊橋にはガールズケイリン選手がたくさんいて、ガールズの選手と一緒に練習できるのが良いなと思ったからです。それまで一人で練習していて、もちろん一生懸命練習はしていましたが、闘争心など「人と比べて負けないぞ」という気持ちはなかなか持ち続けられませんでした。練習をしても誰とも比べられないので、本当に自分が強くなっているかがわかりにくかったんです。それだと自信にも繋がりません。
豊橋は常にたくさんのガールズの選手が練習していて、7人以上いるのでレース形態の練習もできます。それが大きいきっかけでした。それ以外にも、ウェイトトレーニングの機材がそろっていたり、競輪場も綺麗で環境も良いなと思っています。
山口:ガールズケイリン選手との練習でどのような所が強化されましたか?
坂口:メンタル面の強化が大きいと思います。レースで結果も出てきたので自信に繋がります。
山口:具体的にはどのようなところでしょうか?
坂口:戦法を変えたことです。もともと私の戦法は自在を主体とし、自力はあまり出さずにレースを組み立てていました。動くタイプの選手を追い上げてマークしたり、飛びついたり、自分でレースを作っていくことはなかったんです。でもそれだとなかなか勝てなかったので、自力に戦法チェンジしました。
自力の練習をして、レースでもそれを出せるようになってから結果が出はじめたので、自信もつきました。今までの自分じゃ仕掛けないポイントで思い切って仕掛けたら逃げ粘れて着に繋がったり、しんどいところ、みんなが仕掛けないところでレースを動かすようにしたら結果が出てきました。
練習では長い距離をもがけるようにはしていたので、レース本番でもそれを思い切ってできた、しかも結果に繋がったというのは大きな自信になりました。
山口:豊橋のガールズケイリン選手も自力タイプの選手もいますもんね。
坂口:そうですね。今はずっと自力を出す練習をメインにしています。
最近は男子の選手にも混ぜていただいて練習をしているんです。スピードが圧倒的に違うので練習で男子のスピード感に慣れてきたら、レースでも流れをしっかりと見極められるようになりました。
山口:男子選手と一緒にレース形態の練習をすることもありますか?
坂口:はい。ライン戦の練習を男子選手がするときに私も混ざったりします。私が先行したり、逆に強い選手が先行しているのを私が捲りにいったり、いろんなパターンでやっています。自分より強い相手(男子選手)と一緒に練習をするとレベルが上がる気がしますね。
山口:男子選手にも「先行して逃げ切りたい!先行を捲り切りたい!」とライバル心が出てきそうです(笑)。
坂口:はい(笑)。まさに、ライバル心を持っていますし「男子選手に勝てればガールズのトップ選手に勝てる!」と闘争心も出ます。
山口:良い刺激を感じながら練習ができているんですね。
まもなくある松阪のガールズケイリンコレクションですが、坂口選手以外は昨年末のガールズグランプリを走った選手です。他の選手の印象はいかがですか?
坂口:私はガールズグランプリ未経験です。いつもそのメンバーと走る時はどうしても気後れしてしまい、どこかで皆さんの気迫に負けてしまっていました。
でも今回のコレクションが決まったことで「自分も同じくらいまで上がってきたんだ」と自信に思うようにしています。実力を自分自身で認めてあげて「ちゃんと対等に戦えるんだ」と言い聞かせて当日は結果を出したいです。
山口:競輪祭でのグランプリトライアルレースなどのように3日間のビッグレースは経験されていますが、単発レースは初めてです。そこへ向けての気持ちの調整はいかがですか?
坂口:私の場合はメンタルが一番重要だと思っています。力は対等に戦えるくらいはついてきたし、練習量でも負けないくらいたくさんやってきていると自信は付けてきたんですが、後は自分のことをどれだけ信じてベストを尽くせるかです。今はそこを一番に考えて、本番のレースでどれだけ本領を発揮かが勝負ですね。
山口:松阪のバンクは8月に完全優勝をしていますが、イメージはいかがですか?
坂口:いつもバンクの相性などは考えて走っていないので、良し悪しなどは関係ないですね。気後れしないように頑張りたいです。
山口:初めてのコレクションです。どんな走りを見せたいですか?
坂口:普段のレースでは自力でレースを動かすようにしていますが、コレクションでは本来の持ち味である自在性もしっかり発揮して、勝負しにいきたいです。
自分らしい走り、魅力を伝えられるようにしたいです。
山口:今年の目標は何ですか?
坂口:去年は何も考えず走ってガールズグランプリに出られるかもしれないという賞金ランキングでした(補足:最終的に2020年賞金ランキング9位)。今年は去年意識しなかった分、グランプリトライアルレースが終わった時からガールズグランプリ出場を狙っています。狙って出場、できれば賞金ランキングのベスト5を目指しています。
山口:例年通りですと11月のグランプリトライアルレースで2名は出場確定ですから、できればそこまでに賞金5位以内には入っておきたいですよね。
坂口:その通りです。去年はボーダーライン上にいたので逆転されてだめでした。なので、確実にグランプリに出場するには、少しでも上位にいたいです。
今は上位の選手との力の差をわかっています。でも立てた目標は実現が不可能ではないと思うので、目標はベスト5です。
山口:年末を目指すという点では、1月初戦のコレクショントライアルレースは大きいものだったと思います。そちらを走ってどうでしたか?
坂口:実は1月のトライアルレースの直前の練習で怪我をしてしまい、力があまり入らない状態でした。ベストな状態で走れなかったのは悔しいです。
山口:そうでしたか。それではその分も松阪で頑張ってください! では最後にオッズパーク会員の方へ、初めてのコレクションの意気込みをお願いします。
坂口:自分のやれることは全てやってきたつもりです。あとは本番のレースでベストを尽くすのみ。頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
2020年11月に日本競輪選手会愛知支部から静岡支部に移籍する事を発表した深谷知広選手(静岡96期) 。移籍後、初めてのビッグレース参加となった全日本選抜競輪(GI)では4日間、圧倒的な存在感で南関東勢の信頼を築く走りを見せました。その深谷選手に全日本選抜競輪の振り返り、これからの目標、次に行われるビッグレース・ウィナーズカップに向けてお話を伺いました。
星野:全日本選抜競輪はお疲れ様でした。静岡支部に所属になってから初めてのGI開催でしたが、いかがでしたか?
深谷:東京オリンピックを目指し、拠点を伊豆に移して活動していましたし、静岡支部に所属になったから、GIだからといった特別な感じはなく、意外とそのままの気持ちで迎えられました。
星野:初日から地元のエース郡司浩平選手(神奈川99期)との連携になりましたね。
深谷:今までは約10年間、中部地区の自力選手として積み上げてきた実績があったので、同じ番組になった選手とも話し合うことなくラインの先頭で戦う選択は出来たのですが、南関東地区では郡司が格上の選手になるので、前を回るか後ろを回るかは、郡司の意見を尊重して決めました。もちろん、自分の気持ちとしては前を回るつもりでいました。
星野:実際に走ってみていかがでしたか?
深谷:初日はスピード感のズレもありました。自分では良いペースだったんですけど、実際は遅くて、後方から仕掛けてきた山崎(山崎賢人選手・長崎111期)に出られてしまいました。でも、その後は郡司のサポートもあって、ワンツーとはなりませんでしたが、お互い3着までに入れたので、しっかり対応出来たと思います。
星野:そして、初日の特別選抜予選で3着までの選手が2日目の優秀競走を走る事になりましたが、ここでも郡司選手との連携で、積極的なレースをしていきました。移籍されてからの深谷選手の走り方を見ていると更に迫力を感じるんですが、ご自身ではいかがですか?
深谷:自分では意識してないんですが、気付かないところで刺激を受けているんだと思います。やっぱり南関東は和田さん(和田健太郎選手・千葉87期)や郡司といったS級S班がいる地区ですし、自然と気持ちも入っていたんだと思います。
星野:そして、準決勝戦は、今お話に出た昨年のチャンピオン・和田選手と連携して、深谷選手は先行で後ろを振り切り、ラインでワンツーも決めましたね。
深谷:初日、2日目と長い距離を踏んだので、それに比べればこの日も先行はしたんですが、距離は短かったので自信を持って道中は走っていました。この1着で久しぶりにGIの決勝戦に進めましたし、準決勝でこの走りが出来たのは良かったと思います。
星野:その久々の決勝戦は深谷選手の後ろに郡司選手、更に3番手に和田選手と、南関東のS級S班二人の先頭で戦うことになりました。
深谷:決勝戦のメンバーも強い選手ばかりでしたし、GIの決勝戦は久しぶりということもあって、スタートは前を取ってから、先行したいと思っていました。でも、別線もそれを分かっているので、スタートは前を取る事が出来ず、後方からの組み立てになりました。対戦相手の清水(清水裕友選手・山口105期)や平原さん(平原康多選手・埼玉87期)はレースの組み立てが上手い選手なので、この時点で自分は早めから先行していかないといけないなと覚悟をして、先頭誘導員が退避する残り2周で仕掛けました。
星野:別ラインの選手からは深谷選手の仕掛けたタイミングが想定外に早かったとの話もありました。
深谷:それ位のタイミングでないと、僕の後ろに飛び付かれては元も子もないので。4日間の中で一番風も強かったですし、オーバーペースで仕掛けたので最後は苦しかったんですが、ラインの後ろ二人がワンツーなので、自分としては最低限の走りは出来たかなと思っています。
星野:南関東の深谷知広選手としてもアピールできた開催だったのではないですか?
深谷:存在感を示したいと思っていたので、それは出来たと思います。
星野:さて、今回は郡司選手と連携された時は深谷選手が前を走っていらっしゃいましたが、今後この並びは逆になる事も考えられますか?
深谷:自分はラインの前で戦いたい気持ちが強いですし、人の後ろを回る覚悟、人に任せる覚悟がないので、今は誰かの後ろを回る事は考えていません。次のGIIウィナーズカップでは若い自力選手が多く参加するので、同じ番組になることがあるかもしれませんが、もしあったとしても、自分はラインの先頭で走りたいと伝えると思います。
星野:そうなんですね。そのウィナーズカップに向けて 深谷選手自身の調整面はいかがですか?
深谷:今はトレーニングのメニューをすべてナショナルチームに任せているので、ウィナーズカップに向けて、何かしていくというのはないですね。自転車も競技のトレーニングの時と競輪では違いますし、現場に行ってから考える感じです。日頃やっていることを競輪にどう繋げるのか、セッティングの差、気持ちの差、ここを開催中に埋めていく感じですね。
星野:やはり、今の目標はパリオリンピックですか?
深谷:はい。まずはパリオリンピックですね。
星野:パリを目指されるということは、東京オリンピック後のチームの中では深谷選手が最年長になると思いますが、その辺りはいかがですか?
深谷:教える立場になってきますので、ある意味、良い刺激を受けそうですね。そして、上手くコーチと選手の間に入って立ち回れるようにしたいです。
星野:さて、忙しい中でもSNSでの発信やメディア出演、獲得した賞金の一部を医療従事者に寄付されたり、本当に幅広く活動されていますが、どんな思いからですか?
深谷:ナショナルチームの活動を初めてから、様々な人と出会うようになって、自分の世界の狭さを感じたんです。そこから、自分に出来る事は何かを考えて、やりたい事をやっている感じです。そして、自分が発信することで、別の誰かが行動するきっかけになればと思います。
星野:これからの深谷選手のビジョンはありますか?
深谷:競輪選手という職業は本当に魅力的です。だからこそ、もっと良い業界にしていきたいという気持ちが強くなってきました。今、競輪界を内側から支えている方はたくさんいますが、外から支えているのは中野浩一さんだけだと思っています。なので、自分も色々な活動の中で、この魅力的な競輪選手という職業を辞めてでもなりたいと思える職業に出会えたら、引退して競輪界を外から支えられる人になりたいと思っています。
星野:そうなんですね。競輪にオリンピック、そして、次のステップに向けて、また色んな場所でその経過を目にする事もあると思いますので、皆さんにも楽しみにして欲しいですね。では、最後にオッズパークの会員の皆様へメッセージをお願いします。
深谷:様々な活動を通じて、競輪界を盛り上げて行こうと思っています。これからも、応援をよろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
55年振りに川崎競輪場で行われた特別競輪・GI全日本選抜競輪。ここで地元のエースとして出場した郡司浩平選手(神奈川99期)が、昨年末に行われたGI競輪祭に続く、2つ目のタイトルを手にしました。早くも気持ちは年末の頂上決戦KEIRINグランプリ。そこに向けて、これからの取り組み、今の心境、そして、全日本選抜競輪の振り返りも伺いました。
星野:全日本選抜競輪優勝おめでとうございます。
郡司:ありがとうございます。
星野:川崎競輪場では、55年振りに行われたGI開催でしたが、いかがでしたか?
郡司:地元バンクで開催される事が決まってから、ずっとここに照準を絞ってやってきたので、準備もしっかり出来たし落ち着いて臨めた開催でした。とにかく悔いのないように走りたいと思っていたので、優勝という最高の結果で終われたのは嬉しかったです。
星野:前回、取材をさせていただいた時に、オリンピック位の気持ちで望みたいとおっしゃっていましたね。
郡司:そうですね。それ位、気合いが入っていました。それだけに、日頃お世話になっている方や応援して下さる方の前で走りたいって気持ちもあったんですが、新型コロナウィルスの影響で無観客開催になり、その点では寂しさもありましたね。でも、その方々が場内にいるつもりで、声援があるつもりで連日走っていたので力になりました。
星野:終わってから、少しゆっくり出来ましたか?
郡司:優勝した直後は完全燃焼、やりきった感で、いつもより多めに休養を取りました。でも、暫くして、グランプリに向けて南関東勢が1人でも多く、権利を獲得するためにも、今の自分の状態をしっかりキープしていかないといけないなと冷静に思うようになり、キリの良い3月1日から仕切り直しで取り組んでいます。決勝戦が2月23日だったので、完全なオフとまではいきませんでしたが、5日程はゆっくり出来ました。
星野:さて、今回は愛知県から静岡県に移籍した深谷知広選手(静岡96期)が南関東地区に所属になってから初めてのGI戦でした。初日から連携されましたが、深谷選手にマークしていかがでしたか?
郡司:そうですね。頼もしいの一言でした。
ナショナルチーム特有の力強さとスピードの上がっていく感覚がすごいなと思ってついていました。勝ち上がりのレースでは初日、2日目が僕との連携で、3日目の準決勝戦は和田さん(和田健太郎選手・千葉87期)の前で良いレースをしていましたし、今後の南関東勢が更に盛り上がってくるなと思います。
星野:そして、決勝戦も深谷選手にマークしての戦いになりましたね。
郡司:深谷さんが先頭で、2番手に僕、後ろに和田さんの3人のラインでした。深谷さんが良いペースで掛けてくれたので他のラインの先頭選手もきつかったんじゃないかなと思っています。僕の力というより深谷さんの力で周りがダメージを受けて、自分に向いたって感じですね。
星野:後ろから別ラインの仕掛けもありましたが、対応はいかがでしたか?
郡司:7番手から清水(清水裕友・山口105期)が仕掛けてきて、その影が見えたので合わせて踏んだつもりが、横を見ると5番手にいた平原さん(平原康多選手・埼玉87期)で、慌ててしまいましたね。そのあと、4コーナーで平原さんと接触した時に、平原さんが車体故障して、自分は1着でゴール線を通過したんですが、審議になるだろうなと思いましたし、優勝の確信はありませんでした。
星野:審議の結果が出た時はいかがでしたか?
郡司:優勝をする為に来た大会だったので、嬉しさというより、ホッとした気持ちの方が直後は強かったと思います。それに、決勝戦も力強い走りをしてくれた深谷さん、3番手を固めてくれた和田さんのお陰で最後まで踏み切る事が出来たので、ラインの力で優勝させてもらったと思います。
星野:この優勝で、年末のグランプリへ1番乗りとなりました。昨年までとは心境も違うのではないですか?
郡司:今まで2回グランプリに出場していますが、こんなに早く出場を決めたのは初めてなので、残りの1年は気持ち的に余裕はありますが、奢らず気を引き締めていこうと思っています。
星野:今回のGIでは深谷選手がラインの先頭で戦っていましたが、今後、並びが逆になることも考えられますか?
郡司:今まで南関東の自力選手としてやってきたので、もちろんその気持ちもあるんですが、そこは深谷さんがどう受け止めるかですね。今回は僕の地元の開催ということもあり、後ろを回らせてもらいましたが、走っていて感じた事は、自分には深谷さんの前をまわる資格がないのではないかという事です。自分がもっとこれから強くなって、深谷さん以上のレースができれば、その時は志願したいですね。
星野:次の特別競輪は若い自力選手も多く参加するGIIウィナーズカップです。今回の南関東ラインのように、別地区も自力で並ぶレースがあると思いますがいかがですか?
郡司:若手が揃うということは、自力選手の後ろに自力選手、更に3番手にも自力選手というラインが出来る可能性もありますね。やっぱり強力なラインになってきますし、その場合、自分が先頭で戦うならどう組み立てるのか。今はここをポイントに色々と考えてやっている所です。そして、気持ち面ではこのまま良い状態でウィナーズカップを迎えたいですね。
星野:なかなか完全にオフを取ることは難しいと思いますが、もし1週間、オフを取って下さいって言われたら何をしたいですか?
郡司:1週間ですか、、、。海外旅行に行きたいなと思いますけど、そんなに長いお休みを取る勇気がないですね(笑)2日位で十分です。長く休んでしまうと、体力面や自転車に対する感覚など鈍ってくるんじゃないかと不安になりそうですから(笑)
星野:では、今後の抱負を含め、オッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いします。
郡司:昨年の競輪祭からグランプリも含め、南関東勢は良い流れで来ていると思います。グランプリでは1人でも多くの仲間と走れるように自分自身も更に力を付けて行こうと思っています。そうなれば、グランプリでも自分にチャンスも来ると思いますので。これからも応援をよろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
5月の『ガールズケイリンコレクション2021京王閣ステージ』の出場権をかけて行われているトライアルレース。最後に行われたのは1月28日からの平塚競輪場でした。
地元でのトライアルレースを優勝した尾崎睦選手(神奈川108期)に、レースの振り返りや意気込み、そして今年の抱負などをお伺いしました。
山口:平塚でのトライアルレース、優勝おめでとうございました。
尾崎:ありがとうございます。
山口:終えられて今の率直なお気持ちはいかがですか?
尾崎:今年に入ってから目標にしていた開催だったので、優勝できてほっとしました。
山口:平塚に入る前はどういう気持ちで臨みましたか?
尾崎:もちろん優勝は目標にしていましたし、コレクションの権利もとりたかったです。でもあまりそこを気にしすぎても良くないと思い、自然体で臨めるようにリラックスをして入りました。
山口:地元平塚でのトライアルレース、走り慣れているバンクだと思いますが、その辺りはいかがでしたか?
尾崎:参加選手の誰よりも自分が一番、平塚のバンクは走っているので、走り慣れているというアドバンテージはあったと思います。「誰よりも平塚を走っているから大丈夫だ」と自信を持って臨みました。
山口:レースを振り返っていきます。初日は荒牧聖未選手(栃木102期)の捲りにのり、追い込んで1着でした。振り返っていかがですか?
尾崎:位置取りでインコースに被ってしまい、どうするかの判断が難しかったです。でも荒牧さんが1番車だったので「引いていけるところから巻き返そう」と思っていました。
最終的には荒牧さんの捲りを追い込む形になってしまったので、仕掛けようという判断が遅く、納得はしていない1着でした。
山口:2走目は永塚祐子選手(神奈川118期)の先行の3番手インコースで、比嘉真梨代選手(沖縄114期)と併走でしたね。
尾崎:完全に失敗のレースでした。「あのレースをしているようじゃだめだな」ととても反省しました。
山口:良い位置でもインコースの狭いところにいるより、外から自分で仕掛ける方が得意ですか?
尾崎:そうですね。しっかり自分から仕掛けていく方が良いですね。もし仕掛けて負けてしまっても、それは次に繋がるレースになります。でも2走目のようなレースは、普段自分が練習している内容とは全く違うので練習している意味がなくなってしまいます。レースのために練習をしているのにそれを出し切れていないですよね。
山口:2走目から決勝への気持ちの切り替えはどうしたんですか?
尾崎:神奈川の先輩選手に話を聞いてもらい「決勝なんだから切り替えて頑張れ」と励ましてもらいました。
また、仲の良い板根茜弥選手(東京110期)も同じ参加で、彼女は決勝には乗れなかったんですが、「私の分も決勝は頑張って欲しい」と言ってくれました。すごく応援してくれていたので「何とか頑張らないといけない」と気持ちを切り替えました。
山口:以前私も検車場でお見かけした時も、板根選手とは仲が良さそうだと感じました。
尾崎:そうですね、ガールズ選手では一番仲が良いと思います。もちろんレースではお互い勝負ですが、レースから離れたらいろんな話もしますし、お互い応援し合っています。
最終日は一般と決勝でレースが離れていたので、板根選手のレースは私が全力で応援しましたし、走り終わった後は私のことを一生懸命応援してくれました。見てくれている後輩の前で頑張ろうと思って走りました。
山口:そうでしたか。では、決勝を振り返ります。組み立てはどう考えていましたか?
尾崎:1番車だったので良い位置を取れるかなと思ったのと、前にはいたかったのでスタートは一生懸命出ました。
山口:山原さくら選手(高知104期)が連勝での決勝戦でしたが、意識はされていましたか?
尾崎:そうですね。山原選手の仕上がりも良さそうでしたし、自信を持ってレースをしているのがわかりました。仕掛けてくるとしたら山原選手だなと思っていたのでそこだけ警戒して、もし仕掛けがなければ自分からいこうと思っていました。
山口:最終HSから山原選手の仕掛けがありました。スピードはどうでしたか?
尾崎:物凄いスピードでしたね。
山口:山原選手の後ろに飛びついてスイッチしていきましたが、タイミングや動きはどうでした?
尾崎:タイミングはバッチリでしたけど、実は、あの時の動きは自分でもびっくりでした。何であんな動きができたかはわかりません。
山口:そうなんですね。確かに飛びつきは、前半で話していただいた「狭いコース」になりますもんね。
尾崎:そうなんです。自分でもあの動きはしようとは思っておらず、予想外の動きだったんです。
山口:山原選手が先行する永塚選手を捲り切った後は、永塚選手との外併走がありました。
尾崎:永塚選手がインで粘っていましたが、それはあまり気にならなかったです。それよりも山原選手のスピードについていこう、という意識でした。
山口:ゴール前の追い込みはいかがでした?
尾崎:思ったよりも自転車が進みましたね。抜きに行くときには「優勝できるかもしれない」と思いましたが、最後まで踏みました。
山口:3日間は良い手応えで終えられましたか?
尾崎:いや、2日目までは全くだめで気持ちも焦りがありました。でも地元の平塚でコレクションのトライアルレースという大切なレースを走らせてもらえるのはなかなかないことだしありがたいことです。決勝も1番車をもらえたので、そういう意味では最後の決勝で優勝して終えられたのは良かったです。でも2日目までの内容は良くなかったので反省はしっかりしました。
山口:平塚が最後のトライアルレースでしたが、取手、別府はどう見ていましたか?
尾崎:力が拮抗しているので見ている方は面白かったですが、走っているのは嫌だろうなと思っていました(笑)。
自分たちの直前の別府で、同期の108期の児玉碧衣選手(福岡)と細田愛未選手(埼玉)がコレクション出場の権利をとっていたのを見た時は、自分も権利をとって3人でコレクションを走りたいなと思いました。
2人とは競輪学校(現・日本競輪選手養成所)の時もずっと滝沢先生(現・所長)のT教場で一緒に練習していたんですよ。在学時代から「みんなで大きいレースを走りたい」という思いはずっとあったので、権利を獲得した2人と一緒にコレクションを走れるように自分も頑張ろうと思いましたね。
山口:そうでしたか。細田選手は初めてのガールズケイリンコレクション出場ですね。
尾崎:そうですね。細田選手も一生懸命頑張っているのは知っていましたし、コレクションになかなか出られていないのも知っていました。権利を取った時は凄く嬉しかったです。でも同時に「次は自分だ!頑張らないといけない」とプレッシャーと刺激をもらいました(笑)。
山口:尾崎選手にとっては昨年3月ウィナーズカップ以来のコレクション出場ですが、その権利を自分で勝ち取ったというのはいかがですか?
尾崎:とても自信になります。一昨年の同じ時期、5月の日本選手権でのコレクションへ向けてのトライアルレースも私は権利を獲得したんですが、トライアルレースの決勝は2着で優勝ではありませんでした。
優勝して権利を獲得するのは今まで無かったので、自分の中ではプラスになりますね。
山口:今回は平塚でのトライアルレースでした。同じ地元平塚での昨年のオッズパーク杯ガールズグランプリでは悔しい思いもされたと思います。
尾崎:そうですね。昨年末は最後の最後で逆転されてしまい、グランプリは走れませんでした。結果を受け止めきれずに下を向いてしまう時期もありましたが、「私に足りないものがあるからこういう結果になったんだ」と考え直してからは、しっかりと前を向いて頑張ろうと思っています。
2月は違反点で斡旋が止まっているんですが、選手になってからは(斡旋が止まることは)初めてなので最初は嫌だなと思っていました。でもこの1か月を有効に利用して5月のコレクションへ向けての土台作りをしようと、今は練習をしています。
山口:年中休みなしで走っている選手にとって、まとまった練習ができる時期はあまりないですよね。
尾崎:選手になってからはしっかり土台を作ることが疎かになっていました。最初にきた斡旋で、レースの間が2週間空いたとしても「もしかしたら追加がくるかもしれない」となかなか強度を上げきれませんでした。今は練習だけできる環境なので、強度を上げて力を底上げしたいです。
山口:言える範囲で構いませんが、具体的にはどのような練習ですか?
尾崎:基本的には、距離をしっかり乗り込むことを中心にしています。
山口:ビーチバレーから転向して結果もすぐ出されていても、乗り込みは足りないと感じていたんですか?
尾崎:最初の方は、師匠(渡邊秀明選手・68期)と一緒にずっと乗り込みをしていました。その練習や競輪学校での練習の上に今の自分があるので、初心に帰って乗り込みをしています。今回は、師匠は私が巻き込みました(笑)。
山口:そうでしたか(笑)。渡邊選手とは普段も一緒に練習されることは多いですか?
尾崎:そうですね。なかなか自分ひとりでは練習をするのは難しいので、師匠が一緒にしてくれるのは本当にありがたいです。
山口:今年の目標は何ですか?
尾崎:毎年そうですが、やっぱりガールズグランプリに出たいです。プラス、今年は5月京王閣でのコレクションに出られるので、そこで優勝できるように頑張りたいです。
山口:対戦相手も揃いましたが、いかがですか?
尾崎:みんなそれぞれトライアルレースを勝ち抜いてきているので強いと思います。でも自分も負けないように準備をしたいです。練習とか自転車などの準備も必要ですが、最終的には気持ちが大切だと思うので、良い精神状態で臨めるようにメンタル面でも準備をしっかりしたいです。
山口:ありがとうございます。それでは最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願い致します。
尾崎:いつも応援ありがとうございます。これからも一生懸命頑張りますので応援よろしくお願いします!
(インタビュアー注:メッセージをとお願いをした後に、何を言うか、凄く考えてくださいました。ありがとうございます。)
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA