山陽所属の36期。今年の2月にデビューしたばかりの新人レーサー。美容師からオートレーサーに転向。そして早くもデビュー半年で初優勝を飾りました。デビュー初優勝、今後の課題や目標、オートレーサーへの転向、車名についてなどお話していただきました。
(取材日:2023年9月9日)
インタビュー / AKI
AKI:デビュー初優勝おめでとうございます!初優勝決めたお気持ちはいかがですか?
石田:ありがとうございます!一安心が大きいですね。ゴールした時は凄く嬉しかったんですけど、優勝した!というよりはいつもの1着の感じ。帰って家族に会って実感が湧きました。今まで3回優出して5、3着と勝ててなかったので優勝できて一安心しました。
AKI:エンジンの状態はどうでしたか?
石田:初日の斑、山陽の斑は嫌いじゃないですね。楽しいというか、障害物競争みたいで(笑)一度4着まで下がってしまったんですけど、前を走る選手よりエンジンは悪くなかったし、突っ込みも自分の方が良さそうだったのでそのままついて行って。ミッドは3着に入れば準決に乗れるので「この1人だけは抜かないと!!」という気持ちで走っていました。そうしたら、最後の1~2周で行けるかもと思って思いっきり突っ込んで。濡れているところもあって転けるかもと思ったりもしましたが、ミッドは練習から良かったのでここで勝負するしかないと思いました。なので、エンジンは良かったですね。
AKI:なんだか凄い度胸というか、不安定走路に恐怖心はないんですか?
石田:めちゃくちゃ怖いです。けどここは気合いでグリップ開けて行きました。レース後は前を走る選手に「どうやって捲ったん?絶対濡れてるところ乗ったやろ?」って言われました。「はい、乗りました。」と言ったら「気が狂っとるね(笑)」と返ってきました(笑)
AKI:2日目は良走路でのレースでしたが振り返っていかがですか?
石田:地元山陽の時はエンジン状態が凄く良いです。セットも合わせやすいし、夜になればなるほどエンジンは良くなる感じがします。なので、良走路でもエンジンはずっと良いですね。優勝戦では20m後ろに永島さん(山陽35期:永島潤太郎選手)だったので、ここが1番の敵だなと思っていました。ただ、走り出してからは滑りもなかったし、ペースを乱さなければいけるなとは思っていました。
AKI:優勝戦の試走タイムは3.35とでていましたが、試走の段階から手応えはありましたか?
石田:そうですね、余裕がある3.35だったので何もなければいけるだろうと思っていました。スタートタイミング0.02だったんですが、あの日はかなり張り込んでいきました。永島さんに行かれたらお話にならないと思ったので(笑)僕、基本的にスタートタイミングが16あたりで遅いんですが、優勝戦の日はキメに行きました。どのレースも録画してるんですが、スタートが速い選手はどこで出てるんだろうと思い、再生しては止めてを繰り返し見ていました。その中で、ここだなというのを見つけたので優勝戦の日は自信持ってスタートを切りました。なので、0.02タイミングは狙ってのタイミングでした。
AKI:見事なスタートを決めてからの6周回はどうでしたか?
石田:ミッドは影が見えてしまって、序盤は影が見えてる感じ、多分見えていたんですけど、これ以上やることないし逃げるしかないのであまり色々考えず「とりあえず逃げるだけ!」と思って走っていました。そのまま逃げ切って1着、いつも1着は嬉しいので「やった!1着だ!!」という感じ。その1着が結果優勝だった感じです。どのレースでも1着は嬉しいです。
AKI:優勝して師匠の岩崎選手(山陽25期:岩崎亮一選手)とはお会いできましたか?
石田:はい!この前同じ斡旋になりました。「良かったねー!次は普通開催でも取れたらいいね!」と声をかけてもらえました。
AKI:デビュー半年で優勝できたことに関してはどう感じていますか?
石田:2級車のうちに優勝したいというのは考えていたので、良いチャンスが巡ってきて良かったです。たまたまな部分もあると思いますが優勝できて良かったです。
AKI:消音マフラーも乗る回数が多いですし違和感はないですか?
石田:むしろ消音ばっかり乗ってるので消音だとラッキーって思ってます。その分、通常マフラーのセットはまだ見つけられてないですね。手こずってます。最終日に1着取れたりはするんですがまだ全然です。エンジンも出てないし、コースも風景が違うので狭く感じたり、暑いと滑るし。雨はあんまり得意ではないんですが、通常マフラーだと雨の方が良いかもというところまできてますね。飯塚の雨は滑らないのもあるんですが、セッティングは雨の方が煮詰まってきた感じはします。なので、通常マフラーの晴れセッティングはこれから探していかないといけません。
AKI:優勝してハンデが下がりましたが変化は感じますか?
石田:近況スタートが良いのでそこまで変化は感じないですね。まだ同ハンで並んでないので、並びが出てきたらやることは変わってくるかなと思っています。なので、今のところハンデが下がって苦しいなとはなってないです。
AKI:初優勝を決めましたが、今後の目標などは考えていますか?
石田:普通開催での優勝はもちろんしたいんですが、しっかりやることをやっていれば優勝できると思っていて。まずは一走一走勝つことが優先ですね。どんなレースでも1着を取る。勝たないと勝ち上がれないし優勝もできないので。最重ハンとかSGとか色々ありますが、まずは目の前のレースをどうにかしていかないと上のレベルにはいけないと思っています。あまり"目標"はこれ!と考えてないです。
AKI:今1番の課題はなんですか?
石田:課題しかないですね。整備だったりレースだったり。その中でも1番は人を抜くことですね。栗原(浜松36期:栗原佳祐選手)とかは抜かれても捌き返したりするけど、自分は抜かれたらその着を守ることになるんです。なので抜かれてももう一回やり返せるように、突っ込みで負けないとか開け負けないとか。なので、人を抜き返すことが課題ですね。
AKI:石田選手は元々美容師をされていたと聞きました!
石田:はい!福岡県の小倉で美容師をやっていました。ただ、元々オートレーサーにもなりたくって。母のお腹の中にいる時からオートレース場には行っていて、アンパンマンよりオートレースの方が見ていました(笑)ただ、現実的に考えてということもありましたし、美容師にもなりたかったので美容師になりました。そんな中、24歳の時に"50歳になっても美容師はできるけど、50歳になってオートレースの試験は受けても受からない。チャンスは今しかないな"と思いながらどうしようかなと考えていました。スタイリストにもなっていたしお客さんもついていたので。ただ、親父に「お前オートレーサーはいいんか?」と言われて。さらに、試験の日が10月3日でこの日が祖母の命日。これは受けるしかないなと思いましたね。試験の日が2日だったら受けてないですね、きっと。受けるとなってからは気持ちをしっかり切り替えて。"オートレーサーになる"という気持ちで臨みました。
AKI:飛び込んだこの世界、実際はどうですか?
石田:選手の方に文句なんて言えないです。自分も車券を買って観ていて「そこ!行けよ!」と当時は思っていました。けど今は「そこが行けんのよ!」と思うようになりました。「あの選手下手だなぁ。」とか言ってましたけど、今は自分が1番下手です。自分より下手な選手いないなと思いますね。現実は半端なく厳しいです。ファンとして観てる時は2級車とか興味ないからちゃんと見てなかったんですけど、今は昔の2級車のレースを見たら面白いですね。先輩たちの2級車のレースを見ると凄く勉強になります。永井さん(川口25期:永井大介選手)と中村さん(川口28期:中村雅人選手)の2級車チャレンジとかを見ると半端ないです。どんだけグリップ開けてるの!!?と驚きます。あれは乗ってる人間の違いですね。2級車でもあんな走りが出来るんだと驚かされました。自分も2級車で優勝しましたけど、永井さんや中村さんが2級車で同ハンにいたら絶対勝ててないです。スタート一発でやられます(笑)
AKI:まだ選手になって1年も経ってませんが、ここまで選手になって良かったと感じますか?
石田:なって良かったとしか思いません。こんなにカッコいい競技は他にはないと思っています。いろんな公営競技がありますが、自分は1番オートレースがかっこいいと思っています。好きでなれた選手なので天職です。税金高いとか、国保高いとか思いますけど(笑)後悔は一度もないです。選手になって本当に良かったです。美容師もしてオートレーサーにもなれて人生謳歌してるなと思います。親父の祖父は生きてるんですが、直前まで選手になること言っていなくて。親に言わんでとお願いして、デビュー戦の時に言おうと。なので、いきなりデビュー戦見にきてもらいました。泣いてたそうです。祖父はオートレースが昔から大好きだったので凄く喜んでました。寿命が伸びたと言ってましたね(笑)
AKI:車名の『クリアC』も家族絡みと聞きました!
石田:車名は父方の祖母の名前ですね。祖母が"澄子"という名前。自分は学がないので単純に調べて「澄=クリア」「子=child」、そのままだと文字数がオーバーしちゃうので『クリアC』になりました。なので、僕は2人乗りで頑張ってます。いい走りしないと怒られますね。けど、おかげさまでコケることもそこまでなく、後ろでバランス取ってもらってます(笑)
AKI:おばあさまも喜んでるでしょうね!
石田:いや、怒ってるんじゃないですかね。自分は初孫で凄くおばあちゃんっ子。「危ない危ない、そんなところ行きなさんな、当たる当たる!」って言ってそうです(笑)けど、親父と祖父はオート大好きだから、「あっこはいかな!スタートがもうちょっと!!」と言われます(笑)それでも家族で見て応援してもらえることは嬉しいですね。
AKI:それでは最後に読んでくださってる皆様にメッセージお願いします。
石田:選手としてこれからの人間。ファンの皆様があっての選手なんで、そこを絶対大事に。エンジンが悪くても人間でカバーできるよういっぱい練習して、オールスターに選ばれるような選手になりたいです。"石田のレースは見たいよね"と思ってもらえるような選手を目指して頑張ります。これからもよろしくお願いします。
(写真は山陽オートSNSより)
福岡県宗像市出身のタレント。福岡でテレビ番組やイベントMCなどで活躍中。飯塚オート3代目「勝利の女神」。飯塚オートでは、AKIのAKIらめない予想やバスツアーなどを開催。川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、山陽オートでもイベント出演中。
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