NAR『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『アタック!地方競馬』『地方競馬中継』解説。1964年生まれ。
NAR『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『アタック!地方競馬』『地方競馬中継』解説。1964年生まれ。
佐賀の重賞7戦7勝と底を見せていないサキドリトッケン。以前は4コーナーでも先頭とは離れた位置からの差し切りで、見ているものを不安にさせるようなレースぶりが多かったが、前走佐賀皐月賞では4コーナーで先頭のカシノアミュレットを早々ととらえると、4馬身差をつけての完勝。レースぶりに安定感が増しただけに、2000メートルとなってさらに強いレースを見せてくれそう。
相手筆頭にはフラクタルを狙ってみたい。今年佐賀で新設された3歳短距離三冠の一冠目・佐賀城下スプリントを制し、二冠目の佐賀かささぎスプリントでも直線で一旦は先頭に立とうかという場面があっての惜しい3着。短距離三冠目の佐賀ユーススプリント(7月5日)まで少し間隔があるので出走してきたのかもしれないが、そのレースぶりは中団追走から3〜4コーナーで一気にまくるというもの。中央では5着が最高で未勝利だったとはいえ、中距離を中心に使われており、スローに流れて道中で脚を溜められれば、ここ2戦同様に3〜4コーナーでまくって見せ場をつくる場面がありそう。
佐賀皐月賞では逃げて2着だったカシノアミュレットだが、2走前の佐賀にじゅうまる賞では3番手に控えての直線抜け出し。自在にレースができるだけに、距離延長でもレースの流れに対応したレース運びができそう。
ハクアイドゥマンは、短距離一冠目の佐賀城下スプリント3着から、佐賀皐月賞でも3着。門別時代も含めてここまで18戦して3着以内を外したのが2回だけ。佐賀1750メートル戦での勝ち星もあり、ここでも上位争いにからんできそう。
鯱の門特別を制したテイエムパイロダンは、中央未勝利から転入して佐賀では6戦すべて3着以内。佐賀皐月賞は7着も、古馬B級特別で4着だったウルトラキッドらも見限れない。
◎7サキドリトッケン
◯5フラクタル
▲12カシノアミュレット
△6ハクアイドゥマン
△10テイエムパイロダン
△2ウルトラキッド
九州優駿栄城賞の出走表はこちら

ヴェルテックスは、2021年に旧名古屋競馬場2500メートルの名古屋グランプリJpnIIを制し、続く川崎記念JpnIでも3着に好走。その後、南関東に移籍して勝ち星こそなかったものの、2600メートルの金盃トライアルでラッキードリームにハナ差2着など長距離で結果を残してきた。金沢に移籍して2戦目となった1400メートルのスプリング特別ではダッシュがつかず後方からとなったが、4コーナー4番手からようやくエンジンがかかって直線外から差し切った。いかにも距離が伸びたほうがよさそうな勝ち方。同じ1400メートルの金沢スプリングカップは4着だったが、トライアルのスプリング特別よりペースが速く道中追い通しとなってしまった。この2100メートルという距離でこそ能力を発揮する。
アオイミモザは中央2勝クラスからの転入初戦となった前走1700メートル戦ではスローペースの逃げから直線6馬身突き放しての圧勝。そのレースぶりには余裕があり、今回相手強化となっても対応はできそう。
利家盃を制したシンリミテスも中央2勝クラスからの転入で目下3連勝。逃げたマリンデュンデュンをマークして4コーナー手前で先頭に立って直線を向くと、離れた3番手から追ってきたクーアフュルストのほうが勢いがあるように見えたが、シンリミテスが1馬身差で振り切って勝利。中央時の実績も中距離だっただけに、やはりこの距離はよさそう。前述アオイミモザと先行争いになるのかならないのか。この2頭の駆け引きとペースがレースのカギになりそう。
中日杯を制したクーアフュルストにも巻き返しがかかる一戦。
南関東A2クラスから転入して2連勝のタブラオ、前走JBCイヤー記念2着のリュウノブレイクらも能力差はなく、印がまわらなかった馬も含めて多くの馬にチャンスがありそうな混戦。
◎9ヴェルテックス
◯1アオイミモザ
▲2シンリミテス
△10クーアフュルスト
△3タブラオ
△11リュウノブレイク
百万石賞の出走表はこちら

全馬が距離未経験で、しかもダイヤモンドカップを制したフォースメンが不在という難解なメンバー。
セイクリスティーナは地元馬として9年ぶりに留守杯日高賞を制した。先行集団からやや離れた5番手を追走して向正面から徐々に進出。4コーナーでは、逃げていた北海道のトリップスには届かないのではと思われるほどの差があったが、ゴール前でアタマ差とらえて見せた。距離経験は1600メートルまでで今回一気の距離延長となるが、日高賞で見せた長く脚を使えるレースぶりなら、それも克服できるのではないか。しかも水沢コースは5戦5勝と得意の舞台だ。
2歳時、デビューから3連勝でビギナーズカップを制したレジェンドバローズは、それ以来8カ月ぶりで3歳初戦となったダイヤモンドカップは5着だったが、一気の距離延長でも折り合って逃げていた。距離だけでなく水沢コースも初めてとなるが、ひと叩きされての上昇に期待だ。
ダイヤモンドカップでレジェンドバローズをゴール前でアタマ差とらえて4着だったのがアウトザロー。前半、馬群の中で折り合いに苦労するような場面があり、こちらは距離延長が課題となりそう。ただ中央未勝利から転入後の2連勝は水沢コースでのものだけに、水沢に戻っての期待はできる。
ゼウスシルエットは兵庫から転入初戦となったダイヤモンドカップで6着。園田では2歳時に1700メートル戦での勝ち星があり、重賞では差のある4着・5着という成績だったが、いずれも圧倒的な強さで兵庫二冠を制したゴッドフェンサーが相手。2000メートルは初めてだが中距離を中心に使われてきているアドバンテージはありそう。
スプリングカップ、イーハトーブマイルでともに3着と重賞で好走歴があるブライオンは距離延長に対応できれば。
◎2セイクリスティーナ
◯10レジェンドバローズ
▲6アウトザロー
△8ゼウスシルエット
△4ブライオン
東北優駿の出走表はこちら

ウィリアムバローズは中央在籍時の一昨年、日本テレビ盃JpnIIを勝ち、昨年のかしわ記念JpnIでも逃げてシャマルに半馬身交わされはしたものの2着に粘るスピードを見せた。浦和移籍初戦となった前走、京成盃グランドマイラーズは2着だったが、3番手追走から勝ちに行ってうしろから来た馬に差されただけ。8歳だからという落ち込みはない。1400メートルは初めてだが、中央相手のかしわ記念JpnIでコーナー4つのスピード競馬を2度経験しているので問題ないだろう。
兵庫のオマツリオトコは中央から移籍しての昨年前半は目立った結果が残せなかったが、夏以降は5戦すべて3着以内。兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIでは内をうまく立ち回って勝ち馬とコンマ3秒差の3着と、ダートグレードでも通用する走りを見せた。前走休み明けだった兵庫大賞典はスタートで出遅れたものの内を通って位置取りを上げると4コーナーで外に持ち出して直線伸び、勝ち馬にアタマ差に迫った。負けて強しといえる内容。今回、先行タイプが多いメンバーで、直線が短くても差しが決まりやすい笠松なら、この馬の末脚が生かされる場面はおおいにありそう。
北海道のスプリントチャンピオン・スペシャルエックスは、昨年末の兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIでは中央馬相手に果敢に逃げて、3着オマツリオトコにクビ差4着は着順以上に評価できる内容。かきつばた記念JpnIIIはコース形態や馬場がまったく合わなかったとのこと。今回、内枠に入ってハナをとれれば逃げ切れる可能性はあるが、スタートが決まらず包まれてしまうと気性的に難しいかもしれない。
大井に移籍して3連勝で船橋1000メートルのJBCスプリントJpnIを制したファーンヒルだが、休み明けとなった前走東京スプリントJpnIIIでは2番手につけるも直線失速して7着。そこを叩いての上積みに期待だが、初めてのコーナー4つの小回りコースへの対応がどうだろう。
高知のジュゲムーンは、今回と同じ舞台の飛山濃水杯を快勝したが、勝ちタイムが1分27秒3。このレースが1400メートルになった過去2年や、笠松グランプリの近年の勝ちタイムを見ると1分24〜26秒台。勝ち切るにはさらなるパワーアップが必要。
飛山濃水杯で2着だったタガノエスコートもこのメンバーに入ると連下争いまで。
◎9ウィリアムバローズ
◯6オマツリオトコ
▲3スペシャルエックス
△8ファーンヒル
△10ジュゲムーン
△7タガノエスコート
オグリキャップ記念の出走表はこちら

各地で行われる3歳"優駿"競走(ダービー相当レース)で、今年最初に行われたのは5月5日の兵庫優駿(園田)だった。兵庫一冠目の菊水賞を制していたゴッドフェンサーが2番手から3コーナーで先頭立つと、そのまま後続との差を広げて圧勝。菊水賞では2着ミルトイブニングに5馬身差だったが、同じく2着ミルトイブニングに6馬身差をつけた。これで園田ジュニアカップ、兵庫若駒賞から重賞4連勝で、デビュー5戦目から5連勝(通算7勝目)とした。
昨年はオケマルがデビューから無敗のまま園田オータムトロフィーまで制して三冠馬となったが、ゴッドフェンサーにもオケマルに続いて2年連続で兵庫三冠の期待がかかる。
ところで兵庫優駿は、一昨年が7月4日、昨年が6月26日に行われていたが、今年は2カ月ほど繰り上げての実施となった。
かつて全国の地方競馬が連携して、"ダービーウイーク"、のちに"ダービーシリーズ"としてシリーズ化して実施されていたころは、7月上旬のジャパンダートダービーJpnI(大井)へ向けてということで、各地の"ダービー"相当レースは5月下旬から6月中旬に行われていた。
しかし2024年からはダート路線の体系整備の一冠として、南関東の三冠がすべて中央と交流JpnIの"ダート三冠"となってからは、各地の3歳"優駿"競走は、地区ごとに日程が見直され、全国的な連携は解消されていた。
そして今年、兵庫優駿の時期が2カ月ほども繰り上げられたのは、地方競馬全国協会(NAR)が2024年から実施している奨励金事業(詳しくはこちら:PDF)に対応したものと思われる。
NARの奨励金事業は、ダート競馬の体系整備にともない、地方所属馬のレベルアップを推し進めるべくダートグレード競走や海外の主要競走に遠征するなどの活躍馬に対して奨励金・褒賞金を支給するというもの。
たとえば3歳馬を対象にしたものには、『3歳競走地方所属馬付加賞金』がある。3歳ダート三冠(羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートクラシック)に出走した地方馬の1〜10着の馬主に1着本賞金の10〜1%、兵庫チャンピオンシップ、関東オークス、マリーンカップに出走した地方馬の1〜8着の馬主に同10〜3%の付加賞金が与えられるというもの。
さらに今年新設されたのが『主要3歳競走転戦奨励金』で、「各地の三冠競走の一冠目にあたる競走の勝馬については羽田盃、各地の三冠競走の二冠目にあたる競走の勝馬については東京ダービーに出走した後、各地の三冠競走を施行した主催者が施行する競走(同一年度に施行される競走)に出走した場合、1競走につき500万円が馬主に支給される」というもの。
今年度は、施行時期を繰り上げた兵庫優駿のみが対象となった。つまり、兵庫優駿に出走したゴッドフェンサーが東京ダービーJpnIに出走し、再び地元兵庫に戻り、今年度中になんらかのレースに出走すれば馬主に500万円が支給される。
それを意識してなのか、兵庫優駿のあと、勝ったゴッドフェンサーの盛本信春調教師は「東京ダービーはオーナーと相談して決めたい」というコメントを残しており、5月25日に発表された東京ダービーJpnIの選定馬に名を連ねた。
2023年の2歳戦から始まったダート競馬の体系整備とNARの奨励金事業は、将来的に目標とされる地方競馬の国際化に向け、地方競馬へのダートの高素質馬の入厩促進と、地方競馬で行われているダートグレード競走のレベルアップ(高いレーティングを得る)を目指したもの。
来年以降、この『主要3歳競走転戦奨励金』の対象になるよう、各地の一冠目、二冠目の日程を調整する主催者が続くかどうか。注目しておきたい。