平塚競輪場で開催された「オッズパーク杯ガールズグランプリ2022」を優勝し、ガールズグランプリ初優勝を果たした柳原真緒選手(福井・114期)にレース直後の喜びの声を聞きました。
オッズパーク編集部(以下OP):柳原選手、ガールズ競輪2022優勝おめでとうございます。優勝後の今のお気持ちをお聞かせください。
柳原:素直にうれしいです。
OP:自力ぞろい、剛脚ぞろいのメンバーが揃ったレースとなりましたが、どんなことを考えてレースに臨みましたか。
柳原:緊張するだろうなと思って練習をしてきましたが、思ったより緊張はせず、自分がやるべきことをやらなくては優勝出来ないと言い聞かせて走りました。
OP:レースでは中段から後方に入りましたが、当初の想定通りでしたか。
柳原:佐藤さん(佐藤水菜選手:神奈川114期)があんなに早く来ると思っていなかったので想定通りではなかったが、冷静に周りが見えていました。
OP:2センター前でインコースに入り、そこから見事に捲りを決めましたが、その展開ではどのような気持ちで走られていましたか。
柳原:ここは外ではないなという気持ちと、内は大丈夫かなという迷う気持ちがありましたが、迷っていては勝てないレースなので、思い切って内側にいきました。
OP:見事な踏み込みでしたね。
柳原:思い切り踏まないとゴール線は取れないと思ったので、がむしゃらに踏みました。
OP:レース中にファンの方達に声は届いていましたか。
柳原:正直地元でもなく、地元地区でもない平塚でこんなに声援を頂けると思っていなかったので、本当に力になりました。
OP:1年間を振り返ってどんな1年だったでしょうか。
柳原:この1年、グランプリに出ること、タイトルを1つ取ることを目標としていました。
タイトルも取れて、グランプリに出場を決めてこの舞台に来られて、まさか優勝出来るとは思っていませんでしたが、この1年頑張ってきたことが実ったのかなと思いました。
OP:賞金の使い道は決まっていますでしょうか。
柳原:正直優勝出来ると思っていなかったので、まったく決めていないです。
OP:副賞でレクサスも贈呈されますが、どうお考えでしょうか。
柳原:本当にありがたい気持ちです。すごく乗りたいです。
OP:新女王として来年1年を迎えますが現時点でのお気持ちをお聞かせください。
柳原:女王という名にまだふさわしくないと思っているので、女王にふさわしいレース内容と脚の強さを身に付けたいです。
OP:ホークス戦での始球式も予定されておりますが、それについてはいかがでしょうか。
柳原:すごくうれしいです。始球式したかったので。
OP:最後にファンに一言。
柳原:今年1年、想像以上にファンの方達の声援が多く、レース中もそれを闘志に変えて走ることが出来ました。たくさんの応援があったおかげで、グランプリを優勝できたと思いますので、来年もご声援のほどよろしくお願いいたします。
-------------------------------------------------------
プロフィールページからお気に入り登録ができます。
※お気に入り登録にはログインが必要です。
先日、初のGIII、高松記念を制覇した佐々木悠葵選手(群馬115期)。今年一つの大きな目標を達成し、来年は更に飛躍の1年になるだろう。
そんなこれからの関東地区を担う若手のホープが今、何を目指して戦っているのか?お話を伺いました。
橋本:まずは高松記念優勝おめでとうございます。あらためて今の思いを教えて下さい。
佐々木:嬉しかったですね。今回はラインのお陰で優勝できたと思っています。
橋本:決勝戦のメンバーが出て、関東勢が4人となってから、並びはスムーズに決まったんですか?
佐々木:最初どうなるのか?自分もわかんなくて、先輩話し合って‥自分としてはラインを組みたいというのがあって、で、組むんだったら番手を回ったらと先輩から言われて、それで決まりました。
橋本:ラインを組みたいという気持ちが強かったのはどうしてですか?
佐々木:その前に京王閣記念があって、その時も関東勢がたくさん決勝戦に乗ったんですけど、その時は単騎で戦うことになって、ちょっと寂しい思いもあって‥
橋本:吉澤選手(吉澤純平選手・茨城101期)や宿口選手(宿口陽一選手・埼玉91期)から番手にと言われた時に、何か理由の説明はありましたか?
佐々木:普段、純平さんとか宿口さんはお世話になってるからみたいな説明はありましたね。僕はそんな風には思ってなかったんですけど。
橋本:お前が取れよ!みたいな感じだったんですか?
佐々木:いや、それは言われたりはないですけど、やっぱり狙われるかもしれないという位置だったんで、そこの責任感が強かったですね。
橋本:その狙われる位置ということなんですけれども、この高松記念の時の佐々木:選手はタテのレース以上にヨコの動きが印象的だったんですが、そのあたりは意識されているんですか?
佐々木:そうですね。メンバーが出てから色々考えて、これは自力だけだったら厳しいなという風に感じる時は、そういう対策も頭には入れておきますね。例えば2日目だったら林さん(林大吾選手・福岡109期)は自分が持つようなタイミングで抑えてくるんですよ。だから、自分がある程度のスピードでイン斬りをして、あれで、早く来てくれれば全部出したけど、遅かったんで‥これは飛びつくしかないなと。
橋本:後ろの園田選手(園田匠選手 福岡87期)が離れ気味だったのを見て、とかはありましたか?
佐々木:いや、それはなかったですね。そことは関係なく、遅めにきたら飛びつこうという感じだったです。
橋本:そして準決勝は野口選手と対戦でした。その中で非常に印象に残ったのが終盤、外を踏もうか、内に行こうかなんか一瞬、迷ったようにも見えたんですが、その辺はどうだったんですか?
佐々木:そうですね。あそこは外にいっても伸びないところだったんです。なので、あれは一度外に車輪を出しておいて、先行ラインの3番手にいる柏野さん(柏野智典選手・岡山88期)がそれに気付いて外に振るだろうなと、で、振らせておいてから自分が内に入っていくと‥
橋本:凄い!つまり追い出しと言うかフェイクですね
佐々木:そうですね。
橋本:ベテラン選手と話しているような気分ですが‥笑
そういったトリッキーなレースは得意なんですね。
佐々木:ほんと最近なんですが、自転車と自分の体が一体になるみたいな感覚があって、大袈裟に言うと自転車が自分の手足のような。そんな一体感があるのが大きいですね。
橋本:それは何かご自身で思い当たる理由ってのありますか?
佐々木:柔軟性とか色々考えて、以前よりやるようになったのとダイエットですかね。
橋本:何キロぐらい絞ったんですか
佐々木:5キロいくかいかないくらいですかね。
橋本:元々スリムなイメージがありますが‥
佐々木:いやいや、そんなスリムじゃないですよ〜笑
橋本:食事、どんなことに気を使ったんですか?
佐々木:食べないようにしました。
橋本:食事の中身を考えるんじゃなくって単に量を減らしたと。
佐々木:いや、どっちもですかね。
橋本:それでキレが増してきたと。そして、柔軟性というのはどんなことをされたんですか?
佐々木:ストレッチというか、とにかく上半身の柔軟性が重要だなということが分かりましたね。肩甲骨とかそのあたりですかね。とにかく、脚だけじゃダメだなというのを感じています。
橋本:なるほど、ハンドル捌きに繋がっていくような、そんな気がします。
確かに今のトップで活躍している松浦選手(松浦悠士選手・広島98期)だったり古性選手(古性優作選手・大阪100期)なんかを見ていると、いざという時にはタテだけではない判断力とヨコへの対応力みたいなのが求められる部分っていうのがありますもんね。その辺はご自身の中では結構意識っていうのあるんですか?
佐々木:いやぁ、まだまだそのレベルには‥あそこまで素早く判断できないですね。まだまだ何個かあるパターンの一つに当てはめて、くらいですかね。
橋本:ちなみに、今ご自身の中でここを強化したいなと思っているところはどの部分ですか?
佐々木:先行力ですね。長い距離をもがいてしっかりと残れるように、とは思っています。
橋本:そのためのトレーニングっていうのもやってるんですか?
佐々木:やってるはやってますが、やっぱり野口さん(野口裕史選手・千葉111期)みたいにはなれないですね‥苦笑
橋本:そこはかなり特殊な‥笑
でも、ほんとに一段一段着実にステップアップして、記念を取るという目標も達成して
佐々木:いや、記念を取るって別に目標にはしてなかったんです。
橋本:えっ??なかった?
佐々木:記念とるなんて、まだまだだと思ってましたし、夢みたいな感じですね。もう、記念なんて現役の間に一つでも取れるのかな、くらいの感覚でした。
橋本:ステップアップしている感覚、優勝の輪郭が見えてくるというのは無かったんですね。
佐々木:そうですね。で、あと今回は偶然取れたという部分も感じていて、2日目に坂井さん(坂井洋選手・栃木115期)が負けたのがあって、それがなくて普通に順当に坂井さんが勝ち上がってたら、決勝戦は眞杉(眞杉匠選手・栃木113期)の番手に坂井さんじゃないですか。それだったら、きっと優勝はなかっただろうなと。あと、初日に自分が負けたってのも大きかったですね。あれで切り替えられたというか‥
橋本:じゃあ実力でとった優勝だという風には、まだまだ感じれないですね。
佐々木:そうですね。実力で取れるものなのかなぁってのはありますね。大きいレースはいくつかの奇跡がないと難しいのかな、とは思ってます。
橋本:じゃあ、ある程度のところまで今のトップクラスの選手と比較して勝負になるなっていうような実感はないんですか?
佐々木:いや、どうでしょう。これまでのGIは、落車とかもあって毎回コンディションがあまり良くない時に出てたので、その辺は分からないですね。
橋本:何か来年目標とするところはありますか?
佐々木:うーん、わかんないですけど、GIの決勝戦には乗ってみたいですね。
橋本:期待してます。あと、今の関東地区、若手選手がたくさん出てきて、佐々木:選手を取り巻く環境、どう捉えてますか?
佐々木:刺激になりますね。
橋本:負けたくないみたいなライバル意識みたいなのは?
佐々木:いや、それはないですね。
橋本:どちらかというと平和主義的?
佐々木:そーですね。仲良くやれたらいいですね。
橋本:わかりました!僕は個人的に、佐々木:選手の諦めないレース、非常に魅力的だと思っています!
佐々木:ありがとうございます。嬉しいです。
橋本:では、最後に皆さんにメッセージをお願いいたします。
佐々木:これまでGIの準決勝が最高なんで、来年は決勝に乗れるように、そこを目指して頑張りますので諦めない競走をしていきたいです!ありがとうございました!
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 橋本悠督(はしもとゆうすけ)
1972年5月17日生。関西・名古屋などでFMのDJを経て、競輪の実況アナウンサーへ。
実況歴は18年。最近はミッドナイト競輪in小倉を中心に活動中。
番組内では「芸術的なデス目予想」といういいのか悪いのかよく分からない評価を視聴者の方から頂いている。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
プロフィールページからお気に入り登録ができます。
※お気に入り登録にはログインが必要です。
2008年のヤンググランプリ以来を獲得してから14年。初のGIIIを優勝した福島の飯野祐太選手(福島90期)にお話を伺いました。
大津:神秘の海・富山湾カップ優勝おめでとうございます。
飯野:ありがとうございます。
大津:初のGIII優勝となりましたが、お気持ちはいかがですか。
飯野:GIIIはなかなか優勝出来てなかったので素直に嬉しいですし、ホッとしています。
大津:飯野選手がGIIIを獲ったことがなかったのは意外でした。
飯野:そうですね、富山の後に大宮を走ったのですが会う人、会う人にGIII獲るの初めてだったんだねって言われました。
大津:実感は湧きましたか。
飯野:正直、ゴールした時は実感は湧かなかったんですが、競輪場を出てからメールとかが沢山入っていたので、そこでやっと実感しました。後援会の方からもメッセージが届いてたので嬉しかったです。
大津:タイトルについての意識というのはご自身の中でありましたか。
飯野:記念やタイトルを獲りたいって気持ちになってきたのは35歳を過ぎてきてからなんです。20代の頃は優勝を狙ってなかったわけじゃないのですが、自分の後ろの人が誰かしら優勝すれば良いやって考えて走ってたんです。
大津:何かきっかけはあったのでしょうか。
飯野:元々僕は欲がないんです。欲があったら20代の時に先行基本に発進役ばっかりしてないですし、今も欲があるかって言われたらアレなんですが、せめてGIIIくらい勝ってみたいなって気持ちに35歳を過ぎた辺りから思うようになったんです。
大津:飯野さんの後ろから何人くらいこれまで優勝者を出してきたんですか。
飯野:う~ん、何人だろう。500人くらいじゃないですか(笑)今のは冗談ですけど、現在GIに出場している北日本の人たちは大体優勝させていると思います。
大津:後ろを勝たせる先行のコツみたいなのはあるんですか。
飯野:相手の選手がどういう駆け方をするタイプなのか、自分がどうやって駆けたら相手が捲りに来れないのか、そういうペース配分は常々考えてやってました。
大津:同県の金澤幸司(金澤幸司選手・福島県91期)さんのTwitterを見たのですが、「今回はマジで獲りに来てる。」と言っていたのですか。
飯野:正直そこまでの調整をしていったわけではないんですが、今回は獲りたいって思ってて、競輪場に入ってからも「今回は優勝するから。」って感じで幸司には言ってましたし、獲るっていう気持ちで富山には入りました。
大津:相当な覚悟を感じる中で、初日は突っ張り先行をみせました。
飯野:後ろに宮城の竹内さん(竹内智彦選手・宮城県84期)と青森の佐藤さん(佐藤康紀選手・青森県73期)が付いてくれていたので3人で勝ち上がるんだったら少し早めでも先行したほうが良いと思っての判断でした。
大津:2周半から全て突っ張るのは容易なことではないように思います。
飯野:初日に関しては先行したラインが全部残ってなくて、全て捲りのラインで決まってたのでちょっと不安もあったんですが初日2周半駆けることによってどれくらい残れるかっていう自分の状態も確かめたかったんです。本当は確定板に乗れたらよかったんですが、結果4着でした。
大津:そこまでの流れを考えると、けっこうリスキーな選択だったんではないですか。
飯野:ちょっとヤバいなって思いましたね。走ってて重たいっていう感じもあったし、「これ2周半で突っ張っちゃったら、オレ残んないかもな」って思いつつ、でも気持ちでは負けないように攻めようと強気に行きました。
大津:2走目は取鳥選手(取鳥雄吾選手・岡山県107期)の番手を上手く取るようなレースになりました。
飯野:2日目は先行とタイミングがあったとこに飛付くっていう両面作戦を考えていました。もし取鳥の巻き返しが遅かったら先行しても良いなって思ってたんですが、ジャンの手前で来てるのが分かったので自分が飛付けるところに飛付こうと思ってました。
大津:飯野さんは作戦を綿密に考えるタイプなのでしょうか。
飯野:綿密に作戦を立ててしまうと、それをしないといけないと思ってしまうのである程度という感じで立てています。後は身体の反応に任せるってイメージです。作戦を決めちゃうと思った通りの展開にならなかった時に無駄足を使ってしまい、ダメなレースをしてしまったということも過去に何度もありました。
大津:準決勝戦は磯島選手(磯島康祐選手・青森県105期)の番手からのレースとなりました。
飯野:あのレースは作戦会議の時から磯島君が「前を取って全部突っ張ります。」って言ってくれてて本当に先行以外は考えていない組み立てだったので、まずはその気持ちが嬉しかったです。 結果的に野口さん(野口裕史選手・千葉県111期)に叩かれてしまって、僕らのラインは中団になったんですが、それでも直ぐに磯島君が巻き返してくれたので、磯島君の思いに応える為にも何としても自分が1着を取らないとという意識にさせてもらいました。
大津:自ら踏んだ手応えはいかがだったんでしょうか。
飯野:捲りに行った時に、野口さんの後ろの中村さん(中村浩士選手・千葉県79期)が車間を空けてるのか離れているか分かってなくて「あー、中村さん余裕あって車間空けてんのかぁ」って思ったんですけど、いざ行ってみたら中村さんが一杯一杯だったんで、これだったら大丈夫だって捲り切れました。
大津:初日は突っ張り、2日目は飛付き、3日目は番手戦と飯野さんの持ち味が随所に出てたのではないですか。
飯野:3日間全て違う戦いでの勝ち上がりでしたし、なんでも出来るっていうのは僕の強みかなと思っています。
大津:自力と番手戦では違いはありますか。
飯野:ここ最近は前で走るときよりも後ろを固めたときのほうが色々と考えることが多いですね。こういう展開の時にはこうなるだろうなとか、ここで内に来る選手は誰だろうなとかを頭に入れておかないといけないですから、番手の時のほうが頭を使います。
大津:前の選手が苦しくなった時に、自分がどのタイミングで出ていくのかも難しいような気がします。
飯野:そこの判断が自分ものすごく遅いんです。今までもそれで何回も失敗しているので判断が早い人っていうか、的確な判断が出来る人たちは凄いなって思ってます。
大津:我々からすると2段掛けが何で決まらないんだろうとか思ってしまう部分もあります。
飯野:2段掛けの時も前の選手がけっこう掛かってるなぁって思って、前を残せるんじゃないかって思うこともあるんです。それで何回も捲られた経験もありますし、もっとシビアに縦に踏んでたら勝ててたレースもあるかもしれないんですよね。たらればの話になっちゃうんですけど。
大津:さて決勝戦ですが北日本は4人での勝ち上がりとなりましたが並びはすんなりと決まったのですか。
飯野:そうですね、4人が集まる前に宮城の竹内さんが並びを決めてた感じですね。「先頭が根本(根本哲吏選手・秋田県97期)で、番手が飯野、3番手が自分で、泉(泉慶輔選手・宮城県99期)が四番手」みたいな。ただ、北日本の皆も結果的に同じ考えだったので、その並びはすんなりと決まりました。
大津:北日本勢の2番手ということで気合いも入ったんじゃないですか。
飯野:4車いる中での2番手ですからね。責任のある位置だったので物凄く集中していました。
大津:ただ相手もかなり強力な布陣できました。
飯野:決勝戦のメンバーを見た時に南関東勢は別線かなって思ったんですが、北井(北井佑季選手・神奈川県119期)-野口-近藤(近藤隆司選手・千葉県90期)で連携するってことだったので、そこは正直ヤバいなって思ってました。
大津:北井選手が先頭で結束ですもんね。
飯野:北井は今めちゃめちゃ強いですからね。でも根本も先行しか考えてなかったんで。「前取って突っ張ります。」って言ってくれて、その気持ちが嬉しかったです。レースが始まってからも根本の気持ちが凄くて安心して任せてました。
大津:根本選手の気持ちもある中で、やはり北井選手の巻き返しもありましたね。
飯野:残り2周半でもがきあった時に、もう北井君のほうが圧倒的にダッシュもスピードもあったので、これは出られちゃうなって正直思ったので、後は野口さんか3番手の近藤さんだけを飛ばせれば良いかなって判断したのですが、近藤さんが少し離れていたのが分かったので僕も少しだけ外に張ってやろうと。
そうすればそれ以上来れないはずですから、それが上手く出来たのがまずは良かったです。
大津:北井選手にカマされて、前の北井-野口とは少し車間が空くような感じになってしまいました。
飯野:結果的に3番手にはまった形になったんですが、北井も吹かしていたし苦しい状態の中で根本が前々に攻めてくれて最後は野口さんの内に行ってタイミングもずらしてくれましたし、本当に根本が何とかしようって気持ちが後ろで伝わってきて、その分自分が外のコースが空いて捲りに行けましたね。
大津:根本さんの諦めない姿が北日本勢に勝機をもたらしたんですね。
飯野:そうですね、根本があそこで外に行くと自分も外に膨らんでしまいますし、後は野口さんが番手から縦に踏もうとした瞬間に内に根本が見えたので少し腰抜けになったと思うんですね。その根本のおかげもあって最後は自分が野口さんに踏み勝てたんだと思います。
自分の踏むタイミングと野口さんの踏むタイミングが合ってヤバいとは感じたんですが、3コーナーを乗り越えられたので、あとは4コーナー我慢すればって考えてました。
大津:ゴールした瞬間というのはどうでしたか。
飯野:ゴールした時は「ああ、獲っちゃった。」っていうような感じでした。普段はガッツポーズしないんですが声援も多かったのでガッツポーズしようと思って。やっぱりお客さんの声援が凄いので嬉しかったです。
大津:「こんなご時世じゃなければ飯野さんを胴上げしたい。」とTwitterで投稿されている方もいました。
飯野:そこはコロナが収まった時に獲って胴上げしてもらえるよう頑張ります。
大津:今まで自分の後ろから数多くの優勝者を出した飯野さんが、番手戦で優勝するというのもドラマを感じます。
飯野:自分一人の力では絶対に獲れないと思ってましたし、やっぱり競輪というのはラインが重要ですし、ラインの大切さってのは僕が一番身に染みて分かってるので、そういう意味では北日本の後輩の後ろから優勝出来たってことは今まで自分がやってきたことが間違ってなかったのかなって思いました。
大津:GIの舞台で弟子の高橋選手(高橋晋也選手・福島県115期)との活躍という思いもあるのではないですか。
飯野:晋也は物凄く強いですし、GIでも通用する脚も持っているのですが、自分はまだまだ脚力は劣っているのでもっと脚力を上げていきたいです。
大津:先日の競輪祭では新山選手(新山響平選手・青森県107期)が優勝されました。北日本勢としても盛り上がっていきそうですね。
飯野:SSが4人で自力が2人もいるってのが自分の中では凄く嬉しいなって思うので、そこにしがみついて行けるよう頑張ります。
大津:今後の目標を教えてください。
飯野:やっぱりGIに出て結果を出していきたいです。そこに向けて縦脚は勿論ですし、新田(新田祐大選手・福島県90期)や響平の後ろが回ってきたときにしっかりと横が出来るようにしっかりと準備していきたいです。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願いいたします。
飯野:皆様のおかげでGIII初優勝出来ました。ありがとうございます。来年はGIで一つでの上のレースで活躍出来るよう練習を頑張りますので応援よろしくお願いします。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
プロフィールページからお気に入り登録ができます。
※お気に入り登録にはログインが必要です。
昨年の悔し涙を嬉し涙に変え、悲願のGI優勝を達成した新山響平選手(青森107期)。「感謝」という言葉を何度も口にされました。朝日新聞社杯競輪祭を制した新山選手にお話を伺いました。
大津:競輪祭優勝おめでとうございます。
新山:ありがとうございます。
大津:改めて優勝のお気持ちはいかがですか。
新山:本当にラインの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいですし、応援してくださったファンの皆さんのおかげで優勝できたので、感謝の一言ですね。
大津:優勝してから気持ちに変化はありましたか。
新山:本当に何か1分1秒を無駄にできないような気がして、無駄にしないようにと思って生活してます。
大津:優勝した日の夜にご自身のTwitterでカップラーメンを食べてましたが、その後なにか美味しいものは食べましたか。
新山:いやぁ、まだ食べてないです。レース終わるとちょっとジャンキーなものを食べたくなって、こういうご時世なので打ち上げも控えて、ホテルの自販機でカップラーメンを買って食べました。幸せでした。
大津:あの更新はTwitterでの反響も凄かったですね。
新山:いやそうですね。本当に今までないくらいあんなくだらないツイートにいいねしてくれて、コメントもすごいきてて返そうと思ってたんですけど、あまりにも多いので返せませんでした。
大津:「おめでとう」の声もたくさん届いていました。
新山:やっぱり変な走りをすると厳しい言葉とか送ってきてくださったりするんですけど、今回はそういうコメントが一つもなくて、本当にみんな称えてくれて感謝しかないです。
大津:師匠の坂本勉(坂本勉選手・青森57期(2011年引退))さんとはお話をされましたか。
新山:勉さんも連絡くれて「感動した」と。自分のレースでは泣いたことはなかったけど、僕が優勝したのを見て泣いてくれたらしくて、勉さんに拾ってもらわなかったら今の僕はないので本当に感謝しています。
大津:師匠やファンの方にも最高の恩返しができましたね。
新山:そうですね、優勝したことで少しでも恩返し出来ていたらなって思います。
大津:今節は初日から気迫溢れるレースを見せてらっしゃいました。
新山:作戦的には石原(石原颯選手・香川117期)の上、そのまま叩きたかったんですけど、石原もスピードよくて自分もスピードあっちゃったような形だったんで、一回中段に収まろうとしたんですけど古性さん(古性優作選手・大阪100期)というのもありましたし、内からしゃくられて中段の位置は厳しいなと思ったので、ちょっと後ろが本当に付きづらいレースしたんですけど、そのまま外踏んで石原を叩けて1着に残ったので調子良いなと感じました。
大津:小倉バンクを得意とされてる印象があります。
新山:ドームなんで、天候に左右されないっていうのもありますし、僕みたいなペースで先行するようなタイプっていうのは風の影響も受けやすいので、そういう面で自分に展開が向いてくるんだとは思います。
大津:2走目の突っ張り先行も本当に強かったですね。
新山:一次予選はポイント制のレースなんで、2走目の時に自分のポイントと相手のポイントが分かるじゃないですか。初日に一着を取っていた僕は有利に運べるっていうか、強気に仕掛けられる状況だったんです。
逆に初日に大きな着を取っていた吉田(吉田有希選手・茨城119期)はもがき合いを避けたいっていう心理だったのかなと。そういうのも相まって逃げ切れたんだと思います。
大津:GIの勝ち上がりで突っ張って押し切るのは容易でないと思います。
新山:今の若い選手達は長い距離もがけるんで、僕もそれに負けないようにしていかなきゃいけないと思ってやってます。
大津:そこから順調に勝ち上がって迎えた決勝戦。北日本の並びに驚かされた方も多くいらっしゃいました。
新山:準決勝が終わって守澤さん(守澤太志選手・秋田96期)と話した時に「優勝したいなら番手を回ったほうが良い」って言ってくださって、僕も本当に優勝したかったので確実に獲れるのはどっちかって考えた時に、新田さん(新田祐大選手・福島90期)の番手が一番優勝に近いって感じたので僕から新田さんにお願いしました。
大津:新田さんの反応はいかがでしたか。
新山:一秒くらい間があったんですが、「分かった。」って言ってくれました。
自分のほうが若いのにグランドスラマーでもある新田さんの後ろを回るなんて普段では考えられないんですけど、新田さんに「優勝したいです」という思いを伝えたら、前で頑張るって言ってくださって、成田さん(成田和也選手・福島88期)もグランプリ出場がかかってたんですけど4番手を回るって言ってくださって本当にラインの皆様のおかげです。
大津:決勝戦前日の夜は眠れましたか。
新山:夜はぐっすり寝ました。緊張はするんですけど寝るときはあまり考えないようにしています。
大津:当日もいつもと変わらず過ごされたんでしょうか。
新山:正直ぼんやりとしか覚えてないのですが、最終日って帰る支度とかが大変なので色々やってたらあっという間にアップの時間が来て、アップしてたら気づけばレースの時間になってって感じでした。少しだけいつもより早く時間が流れたようにも感じます。
大津:今までの決勝戦はどちらかと言えば新山選手の後ろを走る選手から売れていましたが、今回は自身が一番人気に推されました。
新山:「あ~、オレから売れるんだ。」ってちょっと意外だと思いました。けっこう僕は番手回り失敗することもあったので、みんな買わないかなぁって思ってたんですが、自分から売れていたので気合いを入れなきゃなって感じました。
大津:GIの決勝戦で一番人気はなかなか味わえるものじゃないですもんね。
新山:前回りだと絶対ないことですが、やっぱり新田さんの番手っていうのが大きかったですね。
大津:オッズを見て更に燃えるものもありましたか。
新山:凄く緊張もしたんですが、上手く身体が動くような感じがして、けっこう心地いい感じがしてレースにのぞめました。
大津:入場時からかなり声援も多かったんじゃないですか。
新山:そうですね、本当にたくさんの方から声援がありましたし、より気持ちが入ってって感じになりました。
大津:スタートからかなり激しい攻防になりましたね。
新山:新田さんもスタートが早いので前を取りに行ってくださったのですが、やはり内に平原さん(平原康多選手・埼玉87期)や郡司さん(郡司浩平選手・神奈川99期)もいたので、なかなか前は取らせてくれないだろうとは考えていました。
だけど、そんな中でも新田さんが出ようとしてくれて本当にありがたかったです。新田さんにおんぶにだっこでした。
大津:ご自身としては、どんなところに注意して走っていましたか。
新山:僕は勝負所で新田さんが行ってくださったとしたら出るタイミングを躊躇しないようにと思ってました。後ろにも先輩2人が付いてくださってますので、迷惑をかけないように躊躇してはいけないと。
後は自分の位置が狙われる可能性というのもあったのですが、万が一来られたら絶対に敗けないように番手の仕事に徹しようとは思ってました。
大津:後ろ攻めにはなりましたが、新田選手の巻き返しはいかがでしたか。
新山:ダッシュする前に自分の心拍は200を超えてました(笑)
「新田さんはすげぇダッシュするんだろうなぁ。」ってドキドキしてて、そしたら本当に凄いダッシュでした。
大津:周回中は新田さんの背中はどのように映ってましたか。
新山:なんか見たことないくらいデカかったです。風も全然来なくてすげぇなって思いました。
大津:最後は2コーナー辺りから自ら踏んでいきました。
新山:新田さんもジャンから全開で行ってくれてたので少しスピードが鈍った感じもありましたし、内に坂井(坂井洋選手・栃木115期)も居て隊列も少し短くなって、郡司さんがすかさず巻き返してくるのは分かったので、踏まないと遅いと思い、踏ませてもらいました。
新田さんも僕が踏み出したタイミングで内外線間を空けてくれて、走りやすくしてくれましたし、そこで坂井も引っかかった感じで外に持ち出せなかったと思うんです。本当に全部新田さんにやってもらいました。
大津:そこから優勝に向けての数100メートルはどんな思いで走ってましたか。
新山:脚にすごい余裕があってこれはイケるなって思って走りました。でもなんか後ろでずっと車輪の音が聞こえるような気がして一瞬も緩められなかったです。
大津:ゴール後は守澤選手や新田選手にも声をかけられていましたね。
新山:僕なんてただ番手捲りをしただけなのに、皆さん「おめでとう。」「おめでとう。」と言ってくれてありがたかったです。
大津:今まで新山選手が北日本の前で引っ張ってくれたのを選手が感じてらっしゃるからではないですか。
新山:僕は先行しか出来ないので先行してただけで、後ろの選手も番手の仕事をしてくれて、各々がそれぞれの役割をきっちり果たした中でのレースだったので、僕が特別に何かをしたという意識はないのですが、今回のようにそうやって声をかけてもらえたことに感謝しかないです。
大津:今年は同期の吉田選手がSSになりましたが、どのように感じていましたか。
新山:元々強かったんですが、真っ赤なパンツを履いてるとより一層強くなってて、赤パンを履くべき人間なんだろうなって見てました。
大津:吉田選手とは優勝後に何かお話はされましたか。
新山:優勝おめでとうと言ってくれました。後は経費の作り方とか聞きました(笑)
大津:グランプリ出場が決まっての思いを教えてください。
新山:実感はまだ湧かないのですが、絶対にその日は来るものなので毎日を無駄にせずグランプリに向けて生活していきたいなと思っています。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願い致します。
新山:皆様の応援のおかげで優勝することが出来ました。 それを少しでも恩返し出来るように来年SSとして頑張っていきますので応援よろしくお願い致します。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
プロフィールページからお気に入り登録ができます。
※お気に入り登録にはログインが必要です。