2019年の悔しさをバネに挑んだ2020年。その最初の全日本選抜競輪(GI)で約1年8ヵ月振りの決勝進出。
決勝3着と好スタートを切った山田英明選手(佐賀89期)にレースの振り返りや2020年の意気込みなどを伺いました。
大津:全日本選抜競輪(GI)お疲れ様でした。
山田:ありがとうございます。
大津:決勝3着という好結果を収められましたがご自身ではいかがでしょうか。
山田:出来すぎたかなっていうのが率直な感想です。去年が不甲斐なく終わった一年だったので競輪祭が終わってからすぐに来年に向けて切り替えて練習をしていたのですが、 今年一発目で結果が出たので良かったです。
大津:昨年の12月から自転車のフレームを新しくしたのですか。
山田:去年・一昨年くらいから山崎賢人選手(長崎111期)や清水裕友選手(山口105期)など人の後ろに付いていくレースも増えてきて、そういった競走にも対応していく為に自転車も変えてみようと思いました。
FIでは自力の番組が多いのですが、特別競輪だとマークに回る機会も出てきますからね。
大津:大きな大会で急に人の後ろを回るのはプレッシャーも多いように感じるのですが。
山田:自分より強い選手の後ろを回るので、チャンスもあるのですが付いて行くのに必死だと感じることもあります。
大津:人の後ろを回ることの難しさは、どのような時に感じますか。
山田:タイミングが合わなかったり技術的な部分が非常に大きいと思います。今までそういった練習をしてこなかったので、準備不足だったなと。
大津:今は練習の中でマークをする練習などもしているのでしょうか。
山田:意識の問題だと思うのですが、普通に人の後ろに付いて練習をしていたところを実際のレースの想定をしながら走るように心がけています。
ただ今回は準決勝戦で山崎選手の後ろで離れてしまったので、そこが課題だなと痛感しました。
大津:ただ、準決勝戦は離れてからご自身での巻き返しもありました。
山田:あのレースは山崎の気迫がとても伝わってきました。離れてしまったのですが、山崎があそこまでのレースをしてくれたので中途半端な競走をして着外に沈んでしまったら前を走ってくれた選手にも申し訳ないので絶対に決勝に乗らないとと思い、必死に縦に踏みました。
大津:全日本選抜競輪(GI)の初日では先行逃げ切りもありましたね。
山田:特別競輪の初日1レースにあてられたので、悔しかったって思いが正直ありました。なので、そこで逆に気合が入りましたね。
大津:先行して予選をクリアしたというのはご自身の中ではいかがでしょうか。
山田:先行で逃げ切るというのは自信になりますね。2次予選も先行して2着に残ったので。
先行という武器が一つ増えるだけでレースも戦いやすくなりますから、そういう意味では非常に収穫のある二日間でした。
大津:捲りだけではないというのは対戦相手にとってもプレッシャーになりますよね。
山田:自分がされると嫌ですからね。逃げても強い、捲っても強いという選手が相手だと僕はどう対応したら良いのってなります。
そういう相手だと自分のやれることが狭まってくるので、逆に僕がそういうことをすることによって相手にそう思わせることができますし、上で通用する選手になる為には必要だと感じています。
大津:一次予選では番手の松岡貴久選手(熊本90期)の好アシストもありました。
山田:本当に貴久をはじめラインのおかげだと思っています。僕みたいな自在選手にしっかりついてくれるので本当にありがたいですよね。
僕一人の力では先行ではなかなか勝てませんから。
大津:インタビューの中で「力勝負で勝ち上がっていかないと特別での優勝はみえてこない」というお話が印象的でした。
山田:特別競輪は力が拮抗しているので、その中で力勝負して勝ち上がっていくのは本当に難しいことだと思っています。
初日二日目は逃がされたようになりましたけど、それでも自分の得意ではない戦法で勝ち上がれて、決勝戦も外を捲って3着だったので戦える手ごたえは掴んだ気がします。
大津:約1年8ヶ月振りの決勝戦はいかがでしたか。
山田:僕の中で一番印象に残っているのが2018年の全日本選抜競輪(GI)です。あのときは1・1・1で決勝戦に勝ち上がったんですが、なにかフワフワした気持ちがあって決勝戦に乗れただけで満足した部分もありました。
「僕なんかが獲って良いのか。」と僕自身思ってしまうところもあって。
でも今回は本気でタイトルを獲りたいっていう気持ちでのぞめた初めての決勝戦でした。
そういう意味ではようやくスタートラインに立てたんじゃないかと思います。
大津:今シリーズの調子ではタイトルを獲れるという自信もあったのではないですか。
山田:勝負所で踏み上げていった瞬間はチャンスがあるかと思ったのですが、清水くんの格が違いましたね。
大津:決勝戦の並びですが松浦選手-清水選手ラインの三番手という選択肢もあったのではないですか。
山田:九州の後輩が僕の為に頑張ってくれていましたし、他地区の三番手を回るのはどうかなという気持ちが強くあったので回りませんでした。
僕も自力で戦っているので、そこで獲ってもなにか違うというのが自分の中でありましたから。
大津:そのような考えに至る経緯というのはなにかあったのでしょうか。
山田:2018年の高松宮記念杯競輪の決勝で原田研太朗選手(徳島98期)の番手に付いたんですが、決勝戦が終わった後にファンの方たちに自力で獲ってほしいって言われたんです。
その年はオールスターのファン投票でドリームレースにも選んでもらえて、そのお客さんが「山田には自力で獲ってほしい。」「特別の決勝戦で九州勢の連携がみたい。」とかそういう風に僕のことを見てくれていたので、その気持ちに応えたいとその時に感じたんです。
大津:九州の後輩というワードが出てきましたが、山田さん自身も後輩を育成する立場になってきました。
山田:僕は言葉で伝えるのがあまり得意ではないので、こうしたほうが良いというようなアドバイスはほとんどしません。
その分、後輩たちがヒデさんと一緒のレースで走りたい、ヒデさんの前で戦いたいという想いを持ってもらえるように僕も日頃の練習やレースを頑張ろうと思っています。
僕の中では荒井さん(荒井崇博選手・佐賀82期)、井上さん(井上昌己選手・長崎86期)、合志さん(合志正臣選手・熊本81期)が目標でした。
特別競輪の決勝戦で走るときには、その三人と走りたいという気持ちが凄く強かったんです。そこが自分の原動力になっていました。
ですので後輩からも僕がそういう存在になれれば嬉しいです。
大津:では改めて2020年の目標を教えてください。
山田:やっぱりグランプリですよね。グランプリに出たいです。それだけです。(この問いかけの中で何度も何度もグランプリに出たいという言葉が飛び出していました)
佐藤慎太郎選手(福島78期)が言ってたんですけど「どんなレースでも大切だよね」って、本当にシンプルな考え方なんですけど本当にその通りだなって感じて、特別競輪だけではなく記念競輪やFI戦も1走1走しっかりと戦っていきたいです。
大津:4月には地元武雄記念があります。
山田:地元のお客様が一番応援してくれるってのもありますし、そこで恩返しすることが一番だと思うので武雄記念は絶対獲りたいです。
大津:それでは最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願い致します。
山田:胸にオッズパークさんのロゴが付いてもらえるように、オールスターのファン投票もお願いします・・・というのは冗談ですけど、目の前のレースを一つ一つ大切に走っていくので、これからも応援よろしくお願い致します。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
5月の日本選手権競輪で行われるガールズケイリンコレクション2020静岡ステージへのトライアルレース・グループB(静岡)を優勝した梅川風子選手(東京112期)。
トライアルレースの振り返りやコレクションへ向けての意気込み、そして年末にBS11で放映されたKEIRINグランプリPR番組『チャベリバII』出演の感想などを伺いました。
山口:静岡でのトライアルレース、優勝おめでとうございます。
梅川:ありがとうございます。
山口:どのような気持ちで臨みましたか?
梅川:そこまで気負いはなく、リラックスしていつも通りに前検日は入れました。落ち着いていましたね。
山口:初日は3着でしたね。
梅川:はい、その3着で自分の調子が思ったよりも悪くないと確かめられたので、感触は問題ないなと思いました。
山口:今回は選考があっての出場メンバーでしたが、その辺りはいかがでした?
梅川:私はそこまで「トライアルレースだからこそのメンバー」という意識はなかったです。普段通りに臨めていました。
山口:3着でしたが、そこまで焦らずにいつも通りのレースを2日目にしようという感じだったんですね。
梅川:そうですね。3着という結果は良くはないですが感触が悪くなかったので、仕掛けるタイミングを変えるなどレースで調整をするだけで残り2日間の結果は自分では心配していませんでした。
山口:2日目は途中でインコースに包まれる展開でしたね。
梅川:ああいうような展開になることが普段は少ないですが、あの位置で引いてしまうと勝負にならないのでタイミングを見て仕掛けました。そういう時もあるよな、と冷静にいられましたし、迷いなく仕掛けられたと思います。
山口:決勝はゴール前、石井貴子選手(千葉106期)が迫ってきていましたが、見えていましたか?
梅川:はい、わかっていました。決勝の日はかなり雨が降っていて、風も強くコンディションが厳しい状態でした。もちろん他の選手の動きも気にしていたんですが、まず風と雨を乗り越えないといけないと集中していたので、最後はきつかったですね。
山口:静岡バンクは2018年のオッズパーク杯ガールズグランプリで初めての出走、今回が二度目でした。今回5月のガールズケイリンコレクションは静岡で開催ですが、コレクションの前に静岡を走れたというのはいかがですか?
梅川:静岡は練習でもよくお邪魔するんです。レースでもそうなんですが、かなり走りやすいと思います。でも、実戦で改めてそれを確かめられたのは良かったと思います。
山口:コレクションに繋がる、トライアルレースの優勝だったんですね。
梅川:そうですね。不得意のバンクや走りにくいバンクよりは、遥かに良い条件だったと思います。
山口:これでガールズケイリンコレクションは5月の静岡、そして3月の福井も決まっています。2つ走れるというのはどうですか?
梅川:今の時点で去年より1つ多く大きいレースを走れるのはとても良いと思います。去年よりはステップアップできているのかなとは思うんですが、自分の中では全く満足いく脚力ではないです。まだまだ上を目指さなくてはいけないなと感じています。
山口:今年の目標はどう立てましたか?
梅川:目標は毎年立てていないんです。目標を立てて達成した場合、そこで燃え尽きてしまうと思うので、目の前の一戦一戦をどう戦うかを考えています。力を発揮できるように、しっかりと練習をした成果を出す、そこで確認をするというのが大切だと思います。
山口:それでは、先ほどの「満足いく脚力ではない」と仰いましたが、今の段階ではまだフルパワーではないということですか?
梅川:以前よりは力を出し切るレースはできるようにはなっていると思いますが、もっともっと練習の質を高めてそれをレースでしっかりと出すのが必要だと思っています。
山口:練習は今どのような状態でされていますか?
梅川:変わらずほぼ一人でやっています。今はウェイトトレーニングも多めに取り入れていますね。
山口:練習の幅や質を今の状態から高めていく、というイメージですか?
梅川:そうですね。練習は維持ではなく進化していかなければいけないと思っています。正直なところを言うと、一人での練習ではなく二人、三人と切磋琢磨できる練習仲間がいてくれれば良いなと思います。
山口:他の方とはタイミングが合えば一緒に?
梅川:はい、今はそんな感じです。でもタイミングが合えば、ではなく、より良い環境を作っていきたいですね。
山口:東京はガールズ選手がたくさんいらっしゃいますが、東京だけに限らず高められるメンバーと一緒にやれれば、という感じなんでしょうか?
梅川:まさにその通りです。
山口:ありがとうございます。では続いて『チャベリバII』についてお伺いします。参加されていかがでしたか?
梅川:うまくPRできたか不安でした。競輪の魅力をちゃんと伝えられたか視聴者さんの感想を聞きたいです(笑)。
山口:視聴者を代表して感想を言わせていただくと、最後にガールズグランプリを走る梅川選手からのメッセージがありましたが、それは競輪を知らない方へ向けてお話されているなと感じられました。
梅川:ありがとうございます。知っている方が見たら大体のことはわかると思うんですが、今回のPR番組のような形ですと、知らない方が見ることも多いと思うんです。なので、そういう方が見て「ガールズケイリンもあるんだな」と興味を持ってくれたり、身近に感じたりしてもらえたら良いなと思っています。
山口:走っている以外でもPRできる場面では、競輪・ガールズケイリンを知らない方にも発信していきたいという思いがあるんですね。
梅川:そうですね。ファンの方へ発信するのももちろんですが、ガールズケイリンがあるのを知らない人、特に今スポーツなどをしていてその競技を諦めなければならなくなった方、結果が出ず悩んでいる方へ「第二の人生はガールズケイリンという道もあるよ」と伝えられたら良いなと思います。
山口:それは梅川選手ご本人の体験も含めて、ですね。(梅川選手はスピードスケート出身)
梅川:そうですね。スポーツ選手だった方、もちろんスポーツをやっていなくてもプロスポーツであるガールズケイリンに挑戦できる、そんな場所があるんだというのを知ってもらえる機会になれば良いですね。
山口:きっと伝わる方はいるはずです。では、近況のことにお話を戻します。今の調子はいかがですか?
梅川:特に体調も悪くないですし、怪我もなく順調にトレーニングができています。
山口:トライアルレースを含めて連続して優勝もしています。
梅川:自分のパフォーマンスを高めていくのも重要ですが、お客様が買ってくれているので一番は1着を取ることだと思うし勝ちにこだわって走っています。それにはまず体調を整えて臨むことが大切だと思います。
山口:先ほどは静岡バンクの印象を伺いましたが、3月のコレクションが行われる福井バンクはどのような印象ですか?
梅川:悪くないと思います。ただ私の中では、3月や5月のコレクション、そして極端な例を出すとガールズグランプリもなんですが、特別そこへ向けて調子を整えるという意識でやっていないです。トレーニングの過程で体調を整える程度ですね。
普段やっているトレーニングを重視して、あとはどれだけ(コレクションを含めた)レースで高いパフォーマンスを出せるかという心持ちでいつもいたいと思っています。
山口:気になる選手はいますか?
梅川:今意識をしているのは優香(小林優香選手・福岡106期)なんです。ナショナルチームにいる優香と対戦するのは私にとってとても刺激になるし収穫もあります。ガールズグランプリでは私が落車をしてしまい力勝負ができませんでした。また彼女と対戦できるのを楽しみにしています。
3月5月のコレクションに優香はいませんが、他にも強くてポテンシャルが高い選手が一緒に走るので、私も負けないようにトレーニングで力をつけて臨みたいです。
山口:ありがとうございます。それでは最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
梅川:この後コレクションに2つ出場できるのはとてもありがたいです。でもそこに目標をおくのではなく目の前の一戦に集中して、今後もトレーニングを頑張ります。本場でもテレビでもインターネットでも、応援していただければ届くので応援をお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
5月の日本選手権競輪で行われるガールズケイリンコレクション2020静岡ステージへ向けて1月はトライアルレースが3つ行われました。
グループA(岐阜)を優勝した高木真備選手(東京106期)に、トライアルレースの振り返りやコレクションへ向けての意気込みなどを伺いました。
山口:岐阜でのトライアルレース、優勝おめでとうございます。
高木:ありがとうございます。
山口:率直に振り返っていかがでしょうか。
高木:嬉しかったです。選考順位があっての参加メンバーなのでいつもよりは厳しいですが、逆に「このメンバーで勝てないと、もしコレクションに出場できたとしても優勝はできない」と思って参加していました。
なので、トライアルレースで優勝をして、コレクションでも優勝したいという気持ちで臨みました。
山口:初日は後方になる厳しい展開だったと思いますが...。
高木:そうですね。前団とかなり車間が空いてしまったのは想定外で焦りましたが、捲っていく時のスピードがかなり自分で良い感じだったのでいけると思いました。
山口:そこで手応えもあったんですね。
高木:そうですね。感じ良くもがけましたし、調子は良いんだと感じていました。
山口:決勝も、コレクション出場メンバーのような対戦でしたね。
高木:みなさん強いですが、「私もたくさん練習をしてきたし、調子も良いので落ち着いて頑張ろう」と思って走りました。
山口:意識していた選手はいたんですか?
高木:決勝は児玉碧衣選手(福岡108期)がいて、昨年のオッズパーク杯ガールズグランプリも連覇をしていて今一番強いと思う方なので意識はしていました。
でも、自分の力を発揮して良い勝負ができれば良いなと思っていました。
山口:コレクション出場へは決勝2着までにというのが確定です。自分でつかみ取った出場というのはいかがですか?
高木:混戦の中でなんとか優勝して出場権をとれたというのは、自信にもなったし嬉しかったですね。
山口:トライアルレースで勝ち取ったコレクションは5月ですが、3月のガールズケイリンコレクション福井ステージも出場が決まりましたね。
高木:はい!久々ですね。去年の3月は出られなかったので、走れて嬉しいです。ただそこへ向けてというよりも、一戦一戦しっかりと走った結果にコレクションを優勝できたらなと思っているので、まずは目の前のレースを頑張ろうと思っています。
山口:近況は連勝も続いていました。ご自身ではその要因は何だと思いますか?
高木:昨年は私がデビューして以来、初めてガールズグランプリに出場できない年でした。「グランプリを走って負けて悔しい年末」ではなく「外からグランプリを見ている年末」だったんです。
それがかなり悔しくて自分にとっても大きなことでした。その時に「2020年こそは絶対にグランプリを走って優勝したい」という気持ちが強くなりました。
そこから良い練習もできていますし、それが今の好調に繋がっていると思います。
山口:ガールズケイリンの場合はビッグレースの数も出場できるメンバーも少ないです。そうなると「コレクション出場」というのは1年を通して賞金面でも大切なことですよね。
高木:そうですね。でも、今までグランプリに3回出場していても、コレクションを走って優勝できるくらいの実力が無いと、グランプリに出場しても優勝できないんだなと身に染みて感じたんです。
今年は「出場を目指す」のではなく「出て優勝をする」ことを目標に、そのために力をつける1年にしようと意気込んで、今練習も頑張れています。
山口:そうなると戦法も変わるんでしょうか?
高木:元々「何でもできるようになりたい」というのが最終目標なので、もちろん先行できる時はしますし、これ!と決めつけることなく何でもできる選手になりたいです。
山口:最近は追い込みのレースも増えているように思いましたが、それも意識はしていないんですね?
高木:そうですね、レースの流れで特に決めてはいないです。
山口:戦法も何でもやっていくとなると、練習の変化はありますか?
高木:何でも対応できるように、一緒に練習させてもらっている方に教えてもらっています。
山口:そうなると、流れでの戦法にもここまではご自身でもうまく対応できているんでしょうか?
高木:一応、メンバーによって「このメンバーなら展開はこのようになるかな、それなら私はこういうレースをしたいな」というイメージはします。でも相手がいることなので完全にそうはなりません。
相手の動きによって違うパターンの自分の作戦に切り替えたり、昔よりは考えられるようになりましたし、対応もできるようになってきた気がします。なので、ビッグレースでそれを発揮できれば良いですね。
山口:ガールズケイリンもどんどん選手が増えてきて、トップに居続けるのは難しいように思います。その辺りはいかがですか?
高木:新人選手が入ってきての変化は大いに感じます。全然昔とは違いますし、選手層も厚くなってきています。毎回同じようなメンバーでコレクションを走る、というのは少なくなっていますね。
でも自分が出場した時には、その時その時でしっかりと対応できるように頑張りたいです。
今は私が好調で連勝も続いていましたが、その時には「私を倒そう」と強い選手たちがきているのがわかるし、逆に私も負けたくないとそれに対抗します。それでガールズケイリンのレベルがどんどん上がっているのは感じます。
山口:その中で連勝が続いていた、というのは今年の良いスタートを切れたということでしょうか?
高木:そうですね。去年の年末に悔しかった分、今年こそ!という強い思いがあるのでこの連勝を含めて良いスタートを切れたと思います。
山口:今年の目標は具体的にありますか?
高木:コレクションなどのビッグレースを優勝して、ガールズグランプリに出場して、そこで優勝することが目標です。
山口:ビッグレースを優勝、という意味ではまず出場だと思いますが、福井、静岡と二つのチャンスが今はありますね。
高木:はい。まずは出場しないと、強いメンバーでの単発レースを経験できません。その雰囲気は普段の開催とは全く違うので、経験できるのは良いことだと思います。
山口:現在の調子はどうですか?
高木:すごく良いと思います。ここまで良い練習をして、それが結果にも繋がっています。
山口:福井や静岡のイメージはいかがでしょうか?
高木:どちらの競輪場でも優勝をしたことがあるので印象は良いです。福井は最近走っていませんが、静岡は直近で走りました。決勝では失敗してしまいましたが、コレクションの前に走れるという意味では良かったと思います。
山口:静岡のコレクションへ向けて、また一昨年からガールズグランプリへ向けてトライアルレースが始まりましたが、それについてはいかがでしょうか?
高木:チャンスの数が増えるというのはすごく良いと思います。ガールズグランプリのトライアルレースも最後の最後まで出場できるチャンスがあるのはみんなに平等なので私も頑張ろうと思っています。
山口:今後へむけての意気込みはいかがでしょうか?
高木:今年は大舞台で結果を残せるようにと思ってやっています。まずは福井、静岡の2つのコレクションを優勝できるように頑張ります。
山口:ありがとうございます。では最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
高木:いつも応援ありがとうございます。今年はビッグレースで優勝して、年末に応援してくれる皆さんに喜んでもらえるような結果を出せるように1年間頑張るのでこれからも応援よろしくお願いします!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
1月に行われた いわき平記念競輪を制した山崎芳仁選手(福島88期)。地元の記念は6年ぶり4度目の優勝。大ギヤ時代を作りパイオニアとなった山崎選手ですが、競輪に取り組む姿勢は意外にもナチュラル。2015年に行われた全日本選抜競輪の優勝から5年ぶりのGI制覇に向けて。再燃する山崎選手の今を伺いました。
星野:地元の記念競輪(いわき平競輪)優勝おめでとうございます。
山崎:ありがとうございます。
星野:地元記念は6年ぶりの優勝でしたが、いかがでしたか?
山崎:復帰戦で不安もあったんですけど、いつも地元は気持ちで走る感じなので、率直に嬉しいですね。
星野:準決勝戦ではゴール後ガッツポーズもありました。
山崎:普段は手を挙げないんですけど、あまりにもファンの皆さんの声援が大きかったので、圧倒されてついついしてしまいました。そんな雰囲気も嬉しかったです。
星野:前を走った坂本貴史選手(青森94期)の気持ちも嬉しかったのではないですか?
山崎:坂本は毎回、僕の地元戦の時に頑張ってくれるんです。ほんと申し訳ない感じです。
星野:決勝戦では高橋晋也選手(福島115期)がラインの先頭を走りましたね。
山崎:北日本ラインが5車並んでいたので、2番手の僕の位置が狙われるなと思っていましたが、あそこは負けられませんでした。あとは後ろに3車付いているし、自分の役割だと思って鈴木君(鈴木竜士選手・茨城107期)が来たときに踏ませてもらいました。
新田(新田祐大選手・福島90期)より若い期でなかなか期待できる選手が出て来なかったので、晋也あたりが出てきて、これから福島も若手が育つかなと思っています。晋也はスピードがあるし、今回も強いからこそ決勝にも行けたと思います。これからが楽しみですね。
星野:準決勝、決勝はマーク戦でしたが、シリーズの中でラインの前も走られています。日によって戦い方が違うのは難しいんじゃないかなと思うのですが。
山崎:そうですね。初めは人の後ろを回ること自体が難しかったけれど、今は人の後ろも苦じゃなくなってきました。そのぶん不思議と自力が出なくなってきたんですけどね。レースの中で間合いの取り方が先頭と後ろでは違うので、マークした時のものが身についてきたのかもしれません。両方極めるのは難しいですね。
僕は自力が好きなので前でレースを作りたいけれど、後ろにつく人の事を考えると現状では迷惑を掛けることもあるので、難しいところもあります。本当は自力で、そして高いレベルで頑張っていきたいんですけどね。
星野:近況は調子も上向いているようにも思うんですが、ご自身ではいかがでしょうか?
山崎:自力も出ているし良いと思うんですけど、どうしても昔の感覚を求めてしまうところがあるので全然進んでいない感覚があるんですよね。
星野:その中で昨年は400勝の節目を自力を出すレースで決めましたね。
山崎:あのレースは8番手から捲る展開になりましたが、間合いの取り方も自分らしかったなと思いますし、自分らしい勝ち方で400勝を達成することが出来たのは良かったと思っています。
星野:さて、山崎選手は4倍以上の大きなギヤを使って戦う大ギヤ時代を作りパイオニアとも言われていますが、ご自身ではどう感じていらっしゃいますか?
山崎:大ギヤを使っている人は実際、それ以前からいましたし、それがたまたま自分が使って結果が出たのでパイオニアと言われているだけで、自分ではそんなに革新的な事をした感じはないんです。でも、少しでも僕の名前がみんなの記憶の中に残ってくれるなら嬉しいですね。
星野:そもそも大きなギヤを使ったきっかけは何だったんですか?
山崎:僕は人よりペダルを回すのが遅かったので、練習でタイムが出なかったんです。大きいギヤだと回転もそんなに重要にならないので、練習でギヤをかけてみました。そうしたら、タイムが出たんです。じゃあ、実践で使ってみようと、なんとなく試した感じですね。
星野:そして、その4倍のギヤでタイトルを量産されましたが、その後、ギヤ規制があり、4倍以上のギヤが使えなくなりました。
山崎:決まったことの中で頑張るだけなので、トレーニングは少し変えましたが、これも深くは考えていなかったです。
星野:そうだったんですね。規制されてから最初のGI(2015年 全日本選抜競輪)では、山崎選手がどんなレースをするのか注目されていましたが、結果は優勝でしたね。
山崎: あの時は自分でも不思議でした。俺か??みたいな感覚でした。
星野:お話を伺っているとすごく競輪に対してナチュラルに取り組んでいらっしゃるなと思うんですが、フレームにはかなりこだわりがあると聞いています。
山崎:そうですね。最近はデータ重視の効率の良いの練習内容が主流になっていますけど、結局、何をやるかではなく、強くなればそれでいいんですから、データより感覚を大切にしています。食事に関しても節制の時代に本当に自由に食べてます。
でも、セッティングやフレームは拘ってますね。良いのか悪いのか、よくいじったりするので失敗ばかりですよ(笑)これっていう自転車があっても結局好きなので、もっと良いものはないか、もっと強くならないかなと求めて作るので、終わりなき戦いです。答えもないし、エンドレスですね。この事は選手辞めても考えているかもしれないですね(笑)それくらい自転車の事を考えるのは好きですね。
星野:プライベートでのこだわりもあったりしますか?
山崎:ゴルフが好きなので、気付いたら素振りをしていたりってのはありますね。自転車もそうなんですけど、やはり道具にはこだわっています。やっぱり道具が好きなんでしょうね。下手なのに道具だけは一流みたいな(笑)キャディさんもびっくりな感じになっていますよ。
星野:さて、今年も2月の全日本選抜競輪からGI戦線がスタートしますね。
山崎:そうですね。2020年はまたGIの決勝戦に勝ち上がりたいですね。昨年のグランプリでは同県の佐藤慎太郎さん(福島78期)が優勝しました。43歳でチャンピオンになるってすごいですし、僕にもまだ可能性があると思えました。
それが、身近な先輩っていうのがまた目標にしやすいじゃないですか。更に集中して練習しようっていう気持ちも沸きました。それが、全日本選抜競輪にも繋がればいいですね。
星野:皆さんも期待されていると思います。では、最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
山崎:自分は自分らしい走りで、人気になったら応えれるように頑張ります。これからも応援をよろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社