昨年のオッズパーク杯ガールズグランプリを優勝。先日行われたガールズケイリンフェスティバルでも、勝負強さを見せて優勝した石井寛子選手(東京104期)。
オッズパークのイベントも盛り上げてくださっています。出演した感想と近況をお伺いしました。
山口:今日はたくさん伺いたいことがあるんですが、まずオッズパーク協賛試合での始球式について伺います。今までに始球式はされた事ありましたか?
石井:やったことはないんですが、オッズパークさんが始球式をしているのは知っていました。知ってからは「私も絶対やりたい!」と思っていたんです!
だから、ガールズグランプリを優勝した=始球式だ!と思って、自主練をし始めました(笑)。
山口:凄い気合いが入っていたんですね(笑)。
石井:そうなんですよ。私はそういうイベントとかもしっかりやりたいタイプなので、練習して完璧にやりたかったんです。
球技とかはやっていなかったんですが、学生時代は遠投?みたいなのでMVPをもらったりしていたので、自信はありました。
遺伝子的にも...というのも、実は私、元プロ野球選手の石井浩郎さんと遠い親戚なんです。なので小さい頃から野球に親しみはあったので、うまくやりたかったんです。
ただ腱鞘炎になってしまって......。投げるたびに激痛がはしってしまったので、本番はコントロールがきかずにダメでした。それが心残りです。
山口:では、もう一度優勝してまた始球式するしかないですね。
石井:そうなんです!投げた後に、「腱鞘炎じゃなくて、良い時の状態で投げたい」と思ったので、もう一度始球式をするためにも優勝したいですね。
ただ初めて始球式をさせてもらったので、とても良い経験でした。なかなか出来ることじゃないので、感謝ですね。
山口:お客さんもたくさんいらっしゃる中での始球式はいかがでした?
石井:マウンドがキラキラしていました!緊張するかなと思ったんですが、球場に入った時にキラキラしているのが見えて、わくわくしすぎて全く緊張しなかったです。
お客さんもきっとたくさんいらっしゃったと思うんですが、競輪場に比べて遠いのでそれより、ライトのキラキラやマウンドのキラキラの方が大きかったですね(笑)。
その中で練習通り投げられたら完璧だったんですけどね......(苦笑)。
先日オッズパークの方に「次また私が優勝したら、させてもらえますか?」と聞いたら「優勝した人にしてもらうから」と言ってもらえたので、それをモチベーションにガールズケイリンも頑張ります。
山口:続いてはオッズパークビックバンラジオについてお伺いします。収録を終えていかがでしたか?
石井:7月のゲストだったので、まとめて一か月分の収録でした。なので今までの経歴の話をかなり詳しくさせてもらいました。アマチュアの自転車競技をしていた時からガールズグランプリの優勝、そして先日の始球式の話まで、たっぷりさせてもらいました。
山口:ラジオは緊張はしましたか?
石井:今までに他のところでも何度も出させてもらっているので、始球式に比べたら慣れていると思います。なのでそこまで緊張しなかったですね。
パーソナリティの方も「石井選手、話しやすいですね!本当に面白いお話が聞けました。」と言っていただけたので良かったなと思いました。
山口:楽しいお話ですし、アマチュア時代のお話などは今聞いても興味深いですね。聞かれた方もいらっしゃると思うので、感想も楽しみですね。
そして、レースのお話もお願いします。先日のオールスター競輪でのガールズドリームレース。去年はアルテミス賞レースでしたね。
石井:オールスター競輪の2つのレースは絶対出たいものでした。昨年は8位に選ばれて、選ばれたからには優勝を目指すと決めその通り優勝も出来たんですが、やっぱり「ドリームレース」に出たかったという気持ちが大きかったです。
今年はガールズグランプリも勝ったし、その点ではドリームレースに返り咲けるかなと思っていたんですが、やっぱり結果が出た時は嬉しかったし、ファンの皆さんに感謝ですね。
山口:昨年の事も含めて、ここにかける意気込みも違いますか?
石井:選んでいただいたレースで、結果を出す、勝つというのは凄く大切だと思うんです。きっとこのレースはガールズグランプリの次くらいにファンの人に見てもらえるレースだと思います。やっぱり気合いは入りますね。
山口:ガールズドリームレースの振り返りをお願いします。
石井:初手は2番手で想定通り、狙っていた位置でした。そこから山原選手、奥井選手のどちらかが仕掛けると思っていたので、その番手は死守してから直線に、という狙いでした。
奥井選手の番手を取った所も完璧だったんです。そのあとに、アウトコースに山原選手が併走になっていて、そこから抜け出していけなかったのが敗因ですね。
もう少し自分で早めに仕掛けていければ、碧衣ちゃん(児玉碧衣選手・福岡108期)ともいい勝負が出来たんでしょうが、それをさせてもらえなかったので、みんな強いってことです。スキが無い。
山口:総合的にはいかかですか?
石井:やっぱり悔しいですね。でも今練習している感覚では「これくらい走れたな」という現状確認は出来ました。悪いレースではなかったし、今後大きいレースを走るうえでの課題が見つかりました。
優勝はしたかったけど、このメンバーで3着というのは光栄だし戦っていけるなと思いました。
もう少し自力を付けて、タイムをまだまだ上げたいですね。
ガールズドリームレースを走る選手たちは、このレースに入るまでに自己ベスト(タイム)を更新して入ってきた選手がたくさんいたそうなんです。
実は私も自己ベストを出していたんですね。それで自信を付けて入れたんですが、他の選手もそうだと聞いて「みんなも調子良いんだな」と思いました。
なので負けないように、自力と、捲りのスキルを上げたいです。
山口:まだまだ進化していけそうですね。
石井:大丈夫そうです!年齢は関係ないですね(笑)。
山口:今年はグランプリ女王としてレースをここまで走っていますが、プレッシャーはいかがですか?
石井:それは全くないんです。ガールズグランプリを優勝しましたが、自分としては夢のような感じなんです。なのでずっしりとのしかかっても来てない。ただ、純粋に次も勝ちたい、と思うだけですね。あの景色は素晴らしかったので、その光景はまた今年も見たいです。
良い意味で平常心で走れているんですかね。「女王?私が?」という感じです。
山口:私、個人的にはガールズグランプリを勝って、泣き崩れながら敢闘門に引き上げて来られたのがとても印象的でした。
石井:そうですね。一番(とても力を込めて!)勝ちたかったタイトルだったし、毎年出られたらいいなという気持ちだったので、「まさか自分が1着!?」と引き上げて来る時に思い、本当に嬉しかった瞬間でした。終わってから実感が湧きだして来ましたね。
山口:その実感は、「嬉しい」のが、どこから「また来年も取る!」に変わったんですか?
石井:優勝した日はずっと嬉しかったですね。「やっと取れた!頂点だ!」と思っていました。でも、(優勝後すぐに行う)記者会見の時には「ガールズケイリンコレクション平塚ステージ(5月)へのトライアルレースに向けて頑張ります」と言っていたんですよ。2時間後にはもう次のレースの事を考えていたんですね(笑)。
でも、帰宅した後はお祝いしてもらったので嬉しい気持ちに戻ったんですけどね。切り替えとしてははっきりしませんが、すぐ次のレースを考えていたのは事実です。
山口:今年は初めてトライアルレースが実施されて、コレクションのメンバーが決まりました。石井選手はそれについてはいかがですか?
石井:絶対あった方がいいと思います!(即答でした)今までは、5月のコレクションは3連対率の上位で、出場選手が決まっていたんです。
でもそれって、3着以内に入ればいいので、1着じゃなくても出られる可能性が高い選手もいるってこと。トライアルレースにすると、みんな1着を狙ってガンガン攻めた走りをしてくるから
見てるお客さんとしても面白いと思うんです。普段のレースも3連対率を気にしなくてもいいし、勝負強さとかも出ますよね。
5月は特に、112期の選手も多くていろんな人が出られたコレクションだったと思います。
山口:初めてコレクションを走る112期の3選手はいかがでしたか?
石井:どんどんレベルも上がっていますけど、どの選手が相手だろうと、レースは変わらないですね。毎年、自分がチャレンジャーの気持ちで走っています。
そこは絶対ですね。どんな新人が出てきたとしても、別に私が上だとかは思いません。先輩期であったとしても「今年はこんな子が出てきたんだな。じゃ彼女に勝つためにはどんな事をしなきゃいけないかな」と考えて、研究は怠らないですね。ガールズケイリンの全レース、必ず見ています。
山口:その研究熱心な部分が結果にも表れているんですね。どういうポイントを重視して見ますか?
石井:今、調子が上がっている選手とか、逆に調子を落としている選手も思い切って仕掛けてきたりするので、絶対レースには必要な情報だと思うんです。勝つためには、それは必要ですよね。
山口:レースを研究する、という意味では後輩期の方が有利かな?と素人目には思ってしまうんですが......。
石井:そういう部分もあるかもしれませんが、新人選手はその分走り慣れていない緊張感は絶対あると思います。だから私は104期で良かったなと思います。
今デビューする子たちは、いっぱい先輩期の選手がいる中にぽっと入ってレースをしなきゃいけない。それよりは、自分はもうその中にいて、来てもらう方が走りやすいと思います。
山口:ビッグレースに臨むにあたり、どのように入りますか?
石井:最初の方とか、2年目3年目は苦しい状態が多く、結果も5着とか6着が多かったんです。ただ昨年、スイッチが入ったタイミングがありました。
トレーナーさんも変えたりトレーニングを見直したりした時に、結果も伴ってきた気がして......。それからはコレクションもただ出場するだけではなく、着を狙ってどうしたら勝てるかというのを考えて走れるようになりました。
今は、普段のレースも勝ちたいし、コレクションも勝ちたい。ではそれを達成するにはどのようにしたらいいか、というのを総合的に考えています。
山口:コレクションは一発レースですが、普段のレースと同じように臨んでいるんですね?
石井:そうですね。一緒に走る選手が変わったり、その分考えることはたくさんになりますが、心構えとしては変わらずに走ります。平常心でいつも通りですね。
山口:普段の練習環境はどのような感じなんですか?
石井:昨年1月から中村由香里さん(東京102期)のところで一緒にさせてもらっています。それが今のベースになり、大きく変わった、飛躍した部分だと思います。
ウェイトトレーニングやパワーマックス、そこにプラスしたトレーニングで、自分にはどういう事をしたら良いのかがわかってきた気がしました。
今までは同じ京王閣所属でも別で練習をしていたんです。例えば1年目は私は練習時間が違ったり、西武園に行ったりしていたんです。それが朝の練習に参加出来るようになってからはメキメキメキメキメキメキ!と力がついてきたんです。男子選手と練習出来るのが大きいですね。スピードをもらって練習が出来るんです。
練習でも中村さんはとっても強くて、刺激になります。
山口:中村選手の考え方なども感銘を受けることはありましたか?
石井:「60歳までやる」という中村さんの考えを聞いたとき、即答で「私もやります!中村さんがやるなら私も。」と思ったんです。そういう考えは凄いなと思います。
中村さんが上にいてくれているから「東京のガールズは私が引っ張る」という考えでいなくて良いんです。甘えているんですけど、でも中村さんの存在は大きいです。
102期だし、同じ京王閣の先輩だというのもありますね。中村さんもガールズグランプリを優勝してますし。
今は少し怪我などもあって落ちていらっしゃる部分もあるんですが、私は中村さんから良いところをバンバン吸収させてもらっています。
山口:今の目標は何ですか?
石井:今、11月までグランプリの出場権争いがあるんですが、絶対出ることですね。始球式の事もありますし(笑)。
オッズパーク杯になってから、本当にいろんなイベントをしてもらっていて選手側も面白いです。みんな出たいって言ってますよ。
始球式のイベントはたくさん他のガールズ選手もいたんです。斡旋の入ってない仲のいい選手と一緒だったし、妹の貴子(104期)とも一緒(笑)。純粋にワイワイ楽しめました。
山口:最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
石井:ガールズグランプリを優勝して、今年はガールズドリームレースも走れました。またどちらもまた出たいので1年頑張って皆さんの車券に貢献したいと思います。
ぜひ応援よろしくお願いします!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター/MC/キャスター/声優。
競輪関係では取手競輪中継司会、松戸競輪リポーターをメインに各競輪場で活動中。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
松戸競輪場で行われた『第14回サマーナイトフェスティバル』を優勝した渡邉一成選手(福島88期)。
競輪も、そしてナショナルチームの一員としても長年活躍されている渡邉選手に、サマーナイトフェスティバルの振り返りと、今後や東京オリンピックについてお伺いしました。
山口:サマーナイトフェスティバル、優勝おめでとうございます。
渡邉:ありがとうございます。
山口:決勝戦は動ける選手が多くいたレースでしたが、振り返っていただいて良いでしょうか。
渡邉:前に壱道(菅田壱道選手・宮城91期)がいたので、全て任せていたんですが、一つだけ「脚力を発揮できる展開にして欲しい。
発揮できずに終わらないで欲しい」と伝えました。
後方になって不発という意味ではなく、インコースに詰まってしまい、仕掛けられない等の展開にはならないように走って欲しいという事ですね。
後方になるのは、全く問題ないです。
山口:注文通り、最後は菅田選手が大外一気に捲っていきましたね。
渡邉:そうですね。彼もこの展開を狙っていたんだと思います。自分も想定はしていましたし、ああいう形(もつれた所を捲る展開)になれば、後は捲れるか捲れないかだけですから。
(菅田選手が、深谷知広選手の番手を取った平原康多選手から)けん制を受けた時に、ちょうど3コーナーにさしかかってしまいました。
そこからは(菅田選手の)スピードが止まって、併走して捲れないように感じたんです。なので自分も前に踏ませてもらったし、4コーナーを回ってから外を踏んだのでは、きっと松戸の短い直線では1着まで届かないと思いました。
申し訳ないですが、自分も壱道のスピードをもらって伸びていたのでそのまま前に、という形でしたね。
山口:深谷選手とも終わった後に検車場でお話しされている様子もありましたが、どんな事を話されていたんですか?
渡邉:はっきりとは覚えていないんですが、今は一緒にナショナルチームでトレーニングをしているので「今のトレーニングだから出来たレースだった」とか
後は決勝の展開の話だったと思います。
山口:今のトレーニング環境はナショナルチームが中心ですよね。
渡邉:そうですね。ただ自分はナショナルチーム在籍も長いので、特に最近どう変わったとかはないです。
もう8年ほど伊豆を拠点にして基本的なトレーニングをしていますね。
『競技との両立』という訳ではなく、ナショナルチームのトレーニングを日々している形ですね。
山口:ナショナルチームの監督がフランス人のブノワ氏に交代してからは、変化はありましたか?
渡邉:最初はやはり戸惑いはありましたね。ただ2年前の9月に交代して、昨年は1年間、自分としては競輪の結果もしっかり出せました。
(昨年は8月オールスター競輪(いわき平)と10月寛仁親王牌(前橋)を優勝しGⅠ2冠)。
今年はまだGⅡ(サマーナイトフェスティバル)優勝だけで、競輪としてはなかなか走れていないんですが、ブノワ氏に交代してからのトレーニングは、結果には繋がっていますね。
山口:サマーナイトフェスティバルでの優勝インタビューの際に「今はすごく調子も上がっているので、オールスター競輪も期待していてください」と答えていましたね。それは今の充実ぶりが言葉になったんでしょうか?
渡邉:もちろんそうです。後は、日々のトレーニングがようやくレースに活かせるようにシフトしてきたという事もあります。
基本的には競技のトレーニングですが、それを競輪に活かせるようにどう変化していくか、自分なりにコツを掴んだという感じですね。
道が見えた気がしたので、自分自身にプレッシャーをかけるつもりもあり、また今年もオールスター競輪は地元のいわき平で行われるので、あのような言葉になりました。
山口:トレーニングが競輪に活かせるようになったというお話について。より実践に近いトレーニングをするようになったということですか?
渡邉:そういう事でもないんですよ。時期によってトレーニングは変化していきます。例えば体が強い人間だったら同じトレーニングをしていても強くなっていくと思うんですが、個々の特徴の差があるので自分には当てはまらない時もありました。
それが、より自分の長所を伸ばしていくようなトレーニングに変わっていきました。
後はナショナルチームとしては8月に大きな大会があるので、それに向けて磨きをかけるものにシフトしていった形ですね。
自分は8月の大会には出られないんですが、日々のトレーニングはチームのみんなと一緒にしているので、自分にも変化が出てきたんだと思います。
山口:競輪の斡旋についても伺いたいんですが、今は監督が決めたレースしか走れないんですか?
渡邉:そうですね。今はS級S班なのでGⅠ、GⅡしか出られないんですが、その中でも競技の日程やトレーニングのスケジュールを見ながら決めていくんです。
なので9月の共同通信社杯は自分は出られないんですよ。自分たちの希望も伝えますが、基本的には監督の決めたものですね。
山口:外国人の監督、コーチは日本の競輪については詳しいんですか?
渡邉:ううーん(苦笑)競輪を走ったことのあるコーチもいて、彼は監督に対して「競輪は意外と難しいよ」と言ってくれていますが、監督はまだよくわからないようで、2年経った今もいろんな疑問や「どうして〇〇なの?」と言ってきますね。
山口:不勉強で申し訳ないんですが、東京オリンピックに出るためには、まだいくつか大会に出ないとだめなんですか?
渡邉:今シーズンは10月からワールドカップが始まるんですが、今シーズンと来シーズンのワールドカップと世界選手権、アジア選手権で獲得したポイントの合計でランキングを作り、それにより出場枠が決まるんです。
山口:他の競技にある『自国開催枠』のようなものはないんですか?
渡邉:他の自転車競技(マウンテンバイク、BMX、ロード)は自国枠があるんですが、トラック競技についてはないですね。
というのも、近年トラック競技は好成績を残しているので、自国開催枠がなくても出場権が取れるだろうという判断みたいです。
山口:渡邉選手は東京オリンピックが決定する前からナショナルチームとして活躍されていらっしゃいましたが、2020年が東京に決まった時はいかがでしたか?
渡邉:正直、複雑な心境でした。「やりたい」という自分の思いと「続けなきゃいけない」というプレッシャーが同時に来ましたね。
年齢的なものもありますし、精神的にも。そのくらい4年間は大変です。
さっきも言いましたが、まずはその前の2年間で出場枠を取らないといけない。
出場できるのが決まっていたら、4年に一度ピークを持っていけばいいですが、2年は継続的にモチベーションとコンディション高いところでキープしないといけない。
それはかなりしんどいというのが、今までの経験で判っていますからね。
山口:その中で競輪も、そして東京へ向けても頑張っていらっしゃるんですね。ご家族も一緒に伊豆にいらっしゃるんですか?
渡邉:そうですね、妻と子どもたちも一緒です。家族がいて色々手間のかかる事もしてくれているので、そういう意味で自分は楽をさせてもらっていますし、苦労もかけているし感謝の気持ちは大きいです。
山口:先ほどのお話でも、東京オリンピックへはまだ出場権をかけて戦っていらっしゃいますが、目標など伺っていいですか?
渡邉:自分がどの種目に出るかはわかりませんが、もちろんメダルを狙っています!スプリント、ケイリン、チームスプリントの3つしかないんですが、その時の体調だったり調子で、どの種目で活躍できるかが変わります。まだ本当にどうなるかはわかりませんが、しっかりと自分を高めていくだけです。
山口:オールスター競輪も迫ってきていますが、渡邉選手は連覇がかかりますね。
渡邉:そうですね。今は本当にオールスター競輪だけに集中していますし、連覇しか考えていないです。
それはナショナルチームの監督やコーチにも伝えてあります。
山口:それは連覇ということもですが、一つGⅠを優勝することで年末に繋がる、という意味もありますか?
渡邉:そうです。今年の出走本数から考えて、絶対賞金ランキングではKEIRINグランプリは走れない、どこかでGⅠを優勝しないといけないと思っています。
そうなると、去年も優勝しているし、更に地元であるいわき平のオールスター競輪は狙いたいですね。
山口:東京オリンピックも2年を切りましたが、その間に今年のグランプリがあります。渡邉選手にとっての今年のグランプリはどんな風に感じるんでしょう?
渡邉:グランプリ自体はGⅠを優勝した選手のおまけのレースだと思っているので、まずはやっぱりGⅠを優勝することですね。
でもその先にグランプリがあれば勝ちたいと思うし、更に先にはオリンピックがあります。
全部に良い結果が伴えば嬉しいですが、もちろん全てがそんなに上手くいくとは思っていないです。
そこは自分の強い意志を持って、良い結果が出るように集中して臨むだけですね。
山口:オールスター競輪へ向けて、特別にしている事はありますか?
渡邉:先ほど話した日々のトレーニングを、少し弱めにと言いますか、疲れを残さないように意識はしています。
山口:いわき平は地元ですが、ご声援も力に変えたいですね。
渡邉:なかなか震災以降は、自分も拠点が伊豆なので、現地のファンの方々と顔を合わせる機会は少なくなってきているので、その前で走るのは楽しみです。
最低限、決勝ですし、優勝までも最低限したいというのが今の気持ちです。
山口:自信もあるように感じられます。それだけ充実している実感があるんですね。
渡邉:はい。それが今年の最大の使命だと思っています。
山口:それでは、最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
渡邉:きっと皆さんの僕のイメージは、かなり競技色が強くて、競輪というイメージが無く買いにくい、応援しにくい選手だと思うんですが、地元で連覇が出来るように、一戦一戦集中して最高のパフォーマンスで走りたいと思います。
ぜひ買っていただいて大会自体を盛り上げていきたいですし、僕や新田くん(新田佑大選手・福島90期)などナショナルチームのメンバーが活躍すれば、それが新たな競輪のステージに繋がると思います。
そういう新しい部分を期待して、応援していただければ嬉しいです。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター/MC/キャスター/声優。
競輪関係では取手競輪中継司会、松戸競輪リポーターをメインに各競輪場で活動中。
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※写真提供:公益財団法人 JKAデビュー3場所目で初優勝を飾った野本怜菜選手(埼玉114期)。活躍が期待される今後の意気込みなどを伺いました。
山口:8月京王閣では初優勝おめでとうございます。
野本:ありがとうございます!デビュー戦やその次の場所が苦戦続きで、しかも今回は追加でメンバーも強い選手たちが多かったので、その中で優勝することが出来て、とても嬉しいです。
山口:デビュー戦からお話伺いたいんですが、地元大宮でのデビュー戦はいかがでしたか?
野本:練習で慣れているバンクなので、緊張はしないかなと思っていたんですが、やっぱり変な力が入ってしまい、ガチガチでした。練習通りの走りが出来なかったので、とても悔しかったです。
山口:2日目は自力も出していましたが、初日は動けなかったということですか?
野本:そうですね。初日、結果だけ見たら2着ですがマークで流れ込む形でした。
レース形態の練習もしていたんですが、本番だと流れも全然違っていたので想定通りにはならず、プロの世界というのを痛感しました。
決勝も思い通りには走れなかったので、悔しいデビュー戦でした。
山口:デビュー戦の後に、次の場所に向かって対策したことはありますか?
野本:2戦目が33バンクの富山だったので、直前には前橋競輪場で練習させてもらって臨みました。
山口:最終日(一般戦)には初勝利もありましたね。
野本:初勝利は嬉しかったんですが、一般戦での勝利だったので、予選で勝てたら良かったなと思いました。
最終日はオッズも自分を中心に人気になっていたので、「これは勝たなきゃいけない」とプレッシャーもかかりましたが、レースは想定通りの展開になったので、地力を発揮して勝てたのは良かった部分ですね。
山口:3場所目・京王閣は初日から児玉碧衣選手(福岡108期)と対戦でしたね。
野本:初日は本当に自力の選手が多く、児玉選手以外にも石井貴子選手(東京104期)や土屋珠里(栃木110期)もいました。
ちょうど自分が仕掛けようと思った時に児玉選手もあがってきたので、その後ろにうまくきりかえられたと思います。レース中は結構冷静に走れましたね。
山口:2日目は自ら仕掛けていきました。
野本:児玉選手が後ろで動かなかったので、自分でレースを動かさないとと思い仕掛けました。初日はきりかえて追走したので、マークの決まり手だったので、自力も出したかったので動いていきました。
山口:2日間の他の選手の走りや仕掛けを見て、決勝はどう走るか対策はしましたか?
野本:この2日間もそうなんですが、これまで各選手がどういう走りをしていたのか、レースダイジェストなどで見ていたので、何となく各選手の動きは頭に入っていました。
なので道中も想定通りで、その予想が当たっていたというのも、自分に展開が向いたと思います。
そこから自分の位置や仕掛けを考えました。
山口:それは後輩期ならではの対策ですね。レースダイジェストは遡って見られますもんね。
野本:そうですね。学校の時や卒業してからも、先輩期の選手のクセやこの辺りで仕掛けるんだなというのを勉強していましたし、今回は京王閣に参加する選手の過去のVTRを見てからレースに参加したので、対策は出来たかなと思います。
山口:なるほど!そして、決勝はインコースに包まれる場面もありましたが、BSからの捲りはすごかったですね。
野本:打鐘のときは出遅れてしまったので焦ったんですが、今自分がいる位置と他の選手の位置を把握して、仕掛ける場所を考えてから捲りにいきました。
4コーナーでは前に石井貴子選手が見えて、インかアウトか、コースを迷ったんですがその時にちょうど空いたので思い切り踏んだら、直線で伸びましたね。
山口:3コーナーから2センター辺りでは、3車併走の真ん中でしたが......。
野本:私の前に、中西叶美選手(愛知112期)がいたので、少しだけ追走のような形になって、逆に余裕を持てました。
いろんな展開が私に向いたなと思います。
山口:このメンバーでの初優勝は、大きいですね。
野本:そうですね。自力も強い選手、トップ選手との対戦で優勝出来たのは、本当に価値があると思います。
山口:そもそも選手になろうと思ったきっかけは何だったんですか?
野本:高校3年の時にガールズサマーキャンプに参加したのが大きなきっかけになりました。高校までは陸上をしていたんですが、そこで鍛えた脚力をいかせると思ったんです。なので思い切って飛び込みました!
山口:適性入学ですが、競輪学校時代はいかがでしたか?
野本:最初は技能の生徒と力の差があったんですが、だんだん自転車にも慣れタイムも出せるようになってきました。記録会やトーナメントでの成績は、自分の中で自信に繋がりましたね。
競争訓練というレース形態の訓練があるんですが、先行、捲り、追い込み......いろんな決まり手をやってみて、その中から自分にあったものを見つけようと試していました。
同期の中では、割と自力でも動ける方だなと思ったので、いろんな決まり手を試してみて良かったと思います。
山口:今後の戦法はやっぱり自力メインになるんでしょうか?
野本:そうですね。動けるときはしっかり動いていきたいんですか、展開によっては飛びついたりも出来ると思ったので、自在という感じになると思います。
山口:目標の選手はいますか?
野本:加瀬加奈子選手(新潟102期)です!
何度も大怪我などを乗り越えて復帰し、力強い走りで結果も出されているのがとても格好良いし、憧れです。
今はお休みされていますが、もし復帰されたときはぜひ対戦したいです!
山口:自分の強みは何でしょうか?
野本:状況を判断して自在に動けるところでしょうか。自力を出すべきところでは力を発揮し、展開によって走れるところだと思いました。
特に京王閣での優勝はそれが体現できたので、すごく自信になりました。
山口:目標は何ですか?
野本:今後はオッズパーク杯ガールズグランプリに、連続して出られるように、そしていずれは優勝をしたいです!
山口:お客様のご声援は聞こえますか?
野本:選手紹介の時はすごく大きなご声援をいただけてとても嬉しいです。その時は意識して聞くようにしていて、がんばれ、の声に力をもらっています。
それを更に力にかえて頑張りたいです。
山口:では最後にオッズパーク会員のファンの方へメッセージをお願いします。
野本:初優勝をすることが出来てすごく自信になりました。今後も練習して、確定板にのれるように頑張ります。応援よろしくお願いします!
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※インタビュー / 山口みのり
※写真提供:公益財団法人 JKA
東京オリンピックを目指し、競技とガールズケイリンの両方で活躍されている鈴木奈央選手(静岡110期)。近況と目標を中心に伺いました。
山口:近況はガールズケイリンはあまり走られていません。久々のレースの時はどう感じますか?
鈴木:ガールズケイリンはあまり走れていなかったんですが、競技での練習はしっかりしていたので特に不安はないです。
山口:ナショナルチームとの両立も長く続けていますが、その辺りはいかがですか?
鈴木:デビューしたばかりの時に比べたら慣れてきて、両方とも集中して走れるようにはなってきたんですが、最初はかなり難しくてうまくいかないことが多かったです。
山口:デビュー時はガールズケイリンもかなりの本数を走られていましたが、最近は調整して、という形ですか?
鈴木:デビュー時は競技よりもガールズケイリンを重視して走っていたので徐々に慣れていたんですが、東京オリンピックが近付いてきて今は競技をメインにしています。
だから、ガールズケイリンにはあまり出られないんですが、競技でしっかり鍛えつつ、ガールズの皆さんのレースを見て勉強しています。
山口:東京オリンピックが2年と迫ってきているのも大きいですね。
鈴木:そうですね。あと2年しかないので、しっかり集中しないとダメだなと感じます。世界の選手たちもみんな強いし、きっちりオリンピックに合わせて仕上げてくるので、自分もそこに照準を合わせてやっていきたいです。
山口:ガールズケイリンでも5月(松阪)ステファニー・モートン選手(オーストラリア)と対戦がありましたが、意識はしますか?
鈴木:私は競技は短距離(ケイリンなど)ではなく、中距離(スクラッチ、チームパーシュートなど)をしているので、そんなには意識はしませんでした。ただやっぱりとても強かったです!
山口:競技が違うんですね。その違いはいかがですか?
鈴木:自転車自体が違うので、今はあまりガールズケイリンで使う自転車ではメインの練習はしていません。そこが少し難しい部分です。
フレームやハンドルが違うので、どうしても違いは感じます。でも、自転車をこいで1着を目指すのはどの競技でも同じなので、自分の中ではあまり気にしないようにしています。
山口:競技は学生時代からされていたんですよね?
鈴木:そうですね。高校生の時にジュニアオリンピックカップという大会でタイムが出たので強化指定選手に選んでもらいました。
それからそのまま続けています。東京オリンピックまでは今のように競技メインになると思います。
私は静岡出身、地元でオリンピックの自転車競技が開催される(東京オリンピックの自転車・トラック競技会場は、静岡県『伊豆ベロドローム』に決まった)のは自分でもとても大きいことなので、それまでは頑張ろうと決めました。
山口:小林優香選手(福岡106期)などもオリンピックを目指されていますが、ガールズケイリン選手の中に同じ思いを持つ選手がいるのは心強いですか?
鈴木:心強いですね。ただ小林選手や太田りゆ選手(埼玉112期)などは短距離なので、練習のリズムとかは違うんですが、仲間がいるのはありがたいですね。
中距離では、今年デビューした橋本英也選手(岐阜113期)がいるので、二人で中距離の話や競輪の話をしながら頑張っています。
山口:メディアなどで見ているナショナルチームの練習は分刻みのように細かく決まっているイメージですが、息抜きはどうしていますか?
鈴木:基本的にはあまり休みがないんですが、ナショナルチームの仲間と夜にご飯を食べに行ったりするのが、今は息抜きですかね。
山口:ナショナルチームのコーチが変わって、環境も変わりましたか?
鈴木:海外での合宿が多くなりました。その点が一番変わったところですね。
海外の選手と一緒に練習する事はないんですが、ロードトレーニングなど日本では出来ないトレーニングに力を入れて、良い環境で練習をしています。
山口:意地悪な質問かもしれませんが、静岡は今年、KEIRINグランプリ、オッズパーク杯ガールズグランプリが開催されます。決定した時は、競技との両立は揺らいだりしませんでしたか?
鈴木:正直に言うと、最初は静岡のガールズグランプリに出たいという気持ちがありました。ただ小さい頃からオリンピックに出たいという気持ちが先にあったので、それはブレずにいます。
前のコーチに「オリンピックが自国で開催されるのは、もしかしたら生涯唯一かもしれないぞ」と言われたんです。その言葉が心に結構残っています。
静岡は今年グランプリなんですが、きっとまた誘致してくださると信じているので頑張っていただいて(笑)、また何年後かに静岡でグランプリが開催されるときに出られるように頑張りたいです。
山口:ガールズケイリンを走る機会は少ないですが、その時に重要視していることは何ですか?
鈴木:競技と違って競輪はお金を賭けていただいて成り立っているので、その部分でしっかり車券に貢献しないといけないと心掛けて走っています。
山口:競技の部分がガールズケイリンに活かされているなと感じるところはありますか?
鈴木:全然種目が違うんですが、アップの方法であったりは取り入れています。またコーチにもいつも「競技は中距離だが似ている中距離競技もある。その短いバージョンだと思って走ってこい」といつも言われるので、後手を踏まないようにするとか仕掛けるポイントは同じような所なのでそのような部分は意識をしています。
山口:お客様のご声援はいかがですか?
鈴木:競技でもたくさん応援の声をいただくんですが、ガールズケイリンを走る時もいつもたくさんご声援いただいて本当に嬉しいです。
私は声援が力に変わるタイプなので、名前を呼んでもらったりすると頑張ろうと思いますね。
走る時は応援していただけると嬉しいです。
山口:最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
鈴木:競技もガールズケイリンも上で戦えるように頑張るので、これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
※写真提供:公益財団法人 JKA