2023年の締めくくり、スーパースター王座決定戦。2022年の王座決定戦では消音マフラーで苦戦を強いられた青山周平選手が完全優勝を果たしました。さらに記録ずくめとなりました。しかし、その裏側では毎日余裕なく一つ一つ丁寧に向き合う青山選手がいました。年末のお話、年始のGI優勝についてもお話しして頂きました。
(取材日:2024年1月12日)
AKI:年末のスーパースター王座決定戦、完全Vおめでとうございます!
青山:ありがとうございます!
AKI:表彰式では嬉しさを大きく表現されていましたが、お気持ちいかがですか?
青山:やっぱり嬉しいですね。難しい走路というのと、消音マフラーということで自分自身、優勝をあまり期待していなかったので嬉しいの一言です。
AKI:以前も、年末のSSは消音マフラーになって勝てていないというお話がありましたが、今回もレース場に入る前は不安があったんですね。
青山:そうですね。実際に消音マフラーを乗る機会が少ないですし、川口で走るのも久しぶり。どうして良いか分からない、どうなるか分からないという感じからのスタートでした。
AKI:ただ、初日から1着、感触はいかがでしたか?
青山:初日走ってエンジンとかよりも1着取れたということが大きかったですね。ポイントもありますし、気持ち的に少し余裕を持てました。初日に掲示板に載れれば2日目以降メンタル的にもだいぶ楽になります。とりあえずホッとしましたね。SSの3節前に飯塚で落車がありましたがあまりは影響なく、次の浜松も問題なく走れました。その後、地元のアフター5ナイターを走って。落車に関係なく、腰回り、膝当てを新しくしてみたりしていましたが問題はありませんでした。
AKI:2日目以降も1着を並べましたが、振り返るとエンジン状態はいかがでしたか?
青山:悪くはないし、思ってた以上にタイムも出ていたし、自分の中は上出来という感じでした。ただ、その良い状態からどうやってさらにエンジンを良くしたらいいのか分からなくって。上がりタイム3.32台まで出たんですが、その後3.31、3.30台ってどうやって目指すんだろう?と。3.32台ってほぼ自己ベストなんですよね。さらにその上、そして消音マフラー。「どうしたもんかな?」となりました。タイヤとかエンジンをこうしたら良いのかな?とか考えたりしてましたね。結局は3日目が終わってメタル交換を行なったくらい。メタル交換もSSが始まる前から予定ではあったもの。あとは、毎日セッティングをちょこちょこ。やっては戻して。タイヤも毎日当たりつけして選んでいきました。
AKI:ポイントトップで王座決定戦を迎えましたが、1枠は最初から取るつもりで行きましたか?
青山:もちろんです。空いてる内側を取るつもりでした。けど、正直スタートが悪くはないけど黒ちゃん(川口33期:黒川京介選手)が速かったし、たまには2枠、3枠を取ってみようかな?と一瞬思いました。そうしたらみんな動揺するかなって(笑)けど、そこはいつも通り1枠を選びました。
AKI:王座決定戦は走路の2コーナーが濡れている不安定コンディションになりました。
青山:1レースから少しずつ乾いていたので最後は乾くかな?と思っていたんですが残ってしまって。中間練習も行こうと思ったんですが変なイメージが付いて乗れなくなったら嫌だなと思っていきませんでした。ちょうど良いところが濡れていたので、前のレースを見ながらどう走ったら良いのか考えていました。実際、試走を走ってみたら乗りづらいながらも思ったよりは乗れたなという感じ。これで試走タイム3.34も出るんだと思いました。全然ダメという感覚はなかったです。もっと試走タイムから負けてると思ったんですが、周りと試走タイムも差はなかったし、意外に大丈夫だなと思いました。まずは第一関門クリア!という感じです。
AKI:少しスタートに不安がある中でしたか、レース本番はどうでしたか?
青山:違うレースの時も黒ちゃんにスタート行かれたことがあって。なんとか上手く切って1コーナーで突っ張れるかな?と思いながら、行かれちゃってもしょうがないなと思っていました。レースは少し浮いちゃって、失敗したけど悪くはないかなという感じ。ただ、スタート後の1、2コーナーが怖くて。突っ込んでからじゃないと濡れてるところが見えないんです。突っ込みすぎて膨らんでもダメだと思い抑えつつ回っていきました。2コーナー立ち上がってからは必死。バックで渾身の突っ込みをしてなんと先頭に行けました。あそこで先頭に立てなかったら厳しい流れになっていたと思います。行けてよかったです。
AKI:その後9回1、2コーナーを走ることになりますがどのように走っていたんですか?
青山:その後は、自分のペースが遅いか速いか正直分からなくて。濡れているところでいつも通りグリップを開けると滑ってしまう。だからと言って、滑らないように丁寧に走りすぎると立ち上がりが鈍くなってしまう。その辺の葛藤がありました。体感的には速くないから、開けてみたらちょっと滑ってしまって。ロスしてしまったのでそこから安全に走りすぎた感じはありましたね。それもあって残り4周くらいはだいぶ固くなっちゃいました。なので、最後圭一郎(浜松32期:鈴木圭一郎選手)に迫られましたね。けど、後ろも滑っていましたし先行有利という走路でした。いつもと違う感じでなかなか難しくだいぶ長い10周回でした。もう少し上手く乗れたんじゃないかなと今になっては思います。
AKI:消音マフラーになってからスーパースター初制覇!完全Vに年間最多勝記録樹立、5度目の10連勝、記録も更新する年末となりました。記録に関しては意識されていましたか?
青山:最多勝取れて嬉しいですしよかったです。ただ、言われるまで気づいてなかったですし、意識もしていませんでした。取材等で「あと一勝ですね!」と声をかけられることもあったんですが、実際はスーパースターの毎日のレースで記録どころではありませんでした。1着取れるのが1番なんですけど、王座決定戦に残ること、残ってからもさらにエンジン状態を上向かせることで頭がいっぱいでした。余裕は全くなかったです。なので、後からついてきたという感じですね。10連勝などもついてきた結果という感じ。今回のスーパースターはとにかくみんなのスタートが向上していて、タイミングから凄くって。スタートからのプレッシャーもかなり大きかったし、それプラスエンジンをさらに良くするにはどうしたらいいか。朝練乗ったところでレースの時間帯とは異なるのでよく分からない。ということを考えていると記録に関しては全く頭になかったです。本当に全て終わって色々付いてきたなという感じです。あの場面で最多勝など記録のことを考えながら走れる人の方が僕はすごいと思います。一瞬たりともミスはできないので自分は余裕がありませんでした。節間通してあんなにスタートタイミングを攻めたのは初めてかもしれません。初日に12タイミングで切ったら思ったよりみんな早くて「これじゃだめだ。」となりました。なので、2日目からは0台のスタートを切っていった感じです。みんな当たり前に0台で切ってくるので、0台前半じゃないと先に行けない。だいぶ精神的に削られましたね。
AKI:ただ、優勝を決めた時、表彰式での最高の笑顔を見ると、その疲れは吹っ飛んだんじゃないですか?
青山:そうですね。結果、最高の形で終えられたのでこれ以上はないですね。一昨年2022年の王座決定戦で1枠からスタート失敗して4着に終わった時は凄く情けなくて。そのことがとにかく悔いでした。王座決定戦が終わってその夜は情けなくて情けなくて。なので2023年はどんなレースでもどの大会でもスタート切ってやろうという気持ちで1年間頑張ってきました。そして、2023年の王座決定戦では表彰式の場に戻って来れて借りを返せた感じ。スタート自体はトップではなかったんですが、自分なりには切れたし、タイミングも02で切れたので借りは返せました。表彰式ではその喜びが出ちゃいましたね。勝てたことで一昨年の気持ちの整理がつきました。2023年は最高の締めくくり、感無量です。
AKI:毎年の目標として「去年の自分を超えること」と仰っていますが、2023年を振り返るとどうですか?
青山:前半戦は思ったように成績が出せなかったというか、自分が納得いく走りができなかったんですが、後半は少しずつよくなってきましたし成績も残せたので選手になって1番よかったのかな?という気がします。体感的には2、3年前の方が調子が良かったしエンジンも出ていた気がするけど、1着回数とか、優勝回数とか、記録として残ったものは2023年の方が良かったです。スーパースターで1着取るのって凄く難しいんですが、それを5回も取れたというのは凄いことですし、あの舞台に立てて結果を残せて良かったです。自分を褒めてもいいなぁと思いますし、みんなの力があって優勝できたというのは実感しましたね。直前に落車もあったけど、みんなが手伝って助けてくれて最高の形で年末5日間を走ることができました。
AKI:年が明けて一発目の地元GIシルクカップ!スーパーハンデからのレースになりました!
青山:本当はもう少しリラックスした状態で新年を迎えたかったんですが(笑)なんとなく「もしかしたら」とは思っていたけどいざスーパーハンデになると「やっぱりか。」となりましたね。予選道中は自分の操作ミスで戒告をもらってしまって。言い訳はできないんですが、スーパーハンデはいつも以上に攻めていかないと先頭まで行けない。走るからには先頭を走りたいと思っているので本当に大変です。特に記念でスーパーハンデは本当に辛い。日を追うごとにメンバーもキツくなるし準決は「流石に無理じゃん!」と思っちゃいました。それでもなんとか優勝戦に乗れて。
AKI:そして優勝戦で勝っちゃうんですよ!凄いです!!
青山:優勝できたことは凄く嬉しいですね。本当たまたまスタートもめっちゃ切れたし展開が開けたので道中も冷静に走れました。残り2周で先頭に立ってからも一所懸命走って。ゴールした瞬間「やったぜ!」と思ったけど、このハンデで勝ったらハンデ位置が戻る要素ってない。自分で自分の首を締めてる感じ。我に返ったらそんなことを考えていました(笑)それくらいスーパーハンデは辛いんです。「簡単じゃん」と思われる方もいるかもしれないけど本当に大変なんです!でも、贅沢な悩みではあるんですよね。どんな時でも優勝できることは嬉しいことなので。キツいし大変だからと言って「これくらいでいいか」とはならないし、なれないタイプ。それに、買ってくださってるファンの方に相当失礼なことだと思うので、与えられた環境でこれからも頑張らないとですね。お客さんにはしっかり還元したいですし、楽しんでもらえたら良いなと思っています。スーパーハンデでGI優勝は2回目。自分が退化せずに走れてることは良いことだと思います。2024年は特別な始まりになりましたね。スーパーハンデでグレード優勝は大変だけど、自分だからできる、そして日々勉強と思って。まだまだ気持ちも負けないようにしたいし、若手もどんどん入ってきてみんな速いから刺激を受けるし、学ぶところもいっぱいあります。そういうところは凄くプラスです。若手のいいところを自分に取り入れられたらなと思っています。これからも頑張ります。
AKI:それでは最後にオッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。
青山:昨年末最高の形で終えられて、今年も最高のスタートを切れて、2024年まだまだこれからですけど、良い状態を1年間続けていければと思っています。そのためにも皆さんの声援が必要なのでこれからも応援お願いします。
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