浜松所属の35期女子レーサー。モトクロスから転向しオートレーサーに。1月に1級車に乗り換え、その節に初優勝!初優出、初優勝を飾りました。初優勝のお話から、西選手の考えかた、求める高さが見えてきました。
(取材日:2023年1月12日)
インタビュー / AKI
AKI:初優勝おめでとうございます!
西:ありがとうございます!ハンデが最重ハンから40m前での優勝。1級車に乗り換えて初めての節だったんですが、2級車の時とハンデが一緒でした。初日は自分にプレッシャーをかけてしまって。"このハンデで1級車なら勝てないとおかしいよね"と思ってしまっていました。けど、2日目以降はタイヤ探しに必死になってそんなこと考える暇もありませんでした(笑)
AKI:1級車の感触というのはどうだったんですか?
西:練習は地元の開催が少なくてなかなかできませんでした。乗ってはいたんですけど、跳ねていたみたいで。自分では気づいてなかったんですけど、師匠の松山さん(浜松26期:松山茂靖選手)が練習で後ろを走ってくれた時に「あれじゃ練習にならないよ。」と言ってくれて。なので、初日は勝たないとと思いながら不安も沢山ありました。
AKI:ただ、初日から試走タイム3.32を出して1着でしたよね!
西:そうですね。試走では2級車のようにコーナー突っ込んだら曲がりきれなくって。3.36くらいだろうなと思っていたら3.32も出ていて「1級車ってすごいな〜」と思っていました(笑)直線が全然違いますね。まずは初日1着とれてホッとしました。
AKI:準決勝では試走タイムを少し落としましたが、あの時の車の状態はどうだったんですか?
西:準決自体が10、11回目くらいだったんですがいつも準決で負けていて。自分の中で準決が鬼門、その緊張から前日あまり寝られませんでした。試走タイムを見て色々考えちゃうタイプなんですが、先輩から「力を抜いて走った方がいいよ。」とアドバイスをもらっていて行ってみたら思ったタイムが出なくて。それでも「落ち着けば大丈夫」とピットの中で言い聞かせて準決に臨みました。結構心配性で。モトクロス時代からそうで「100%大丈夫、しっかりやってきた!」と思わないと行ける!と思えないタイプです。その点、同期の新井(伊勢崎35期:新井日和選手)とかはメンタル強いと思うんです。そういうところは自分にはないのですごいと思います。
AKI:鬼門の準決を突破した時の気持ちはいかがでしたか?
西:2着ではあったんですけど優出が決まった段階で、次節はハンデが10m後ろに下がるだろうと思っていたんで、優勝戦ももちろんなんですがハンデ下がることがすごく楽しみと思っていました。やっぱり人を抜くっていう展開の方が楽しみという気持ちが大きかったです。
AKI:優勝戦は試走タイム3.32と初日同様に好タイムでしたが、手応えはいかがでしたか?
西:優勝戦は信夫さん(浜松24期:伊藤信夫選手)がいて優勝は厳しいと思っていました。山浦さん(浜松29期:山浦博幸選手)や平塚さん(浜松31期:平塚雅樹選手)とかも上がりタイム3.3台が出ていて、厳しいかなと思っていました。けど、その中で自分のベストを尽くそうと思っていたら逆に緊張しなくなって。もちろん優勝したいんだけど、どこかでまだ私には足りてないという気持ちがありました。結果的にはそれが良い力の抜け方になったんだと思いますし、いまだに優勝出来たことが不思議な感じもあります。
AKI:そんな中で迎えた優勝戦はどうでしたか?
西:本当は大きなコースを走ろうと思っていたんですが、ハネがきてそこからタイヤが滑ってと大きなコースを走れなくなっていました。なので、最後はコースが小さくなったんですけど、師匠には「あれは1級車のコースだったよ。」と言ってもらえて。ただ、自分の中では守りに入っちゃたんでそこが気になりましたね。耐え抜いたというレースになったので悔いが残る優勝戦になりました。なので、優勝自体は嬉しかったんですが、「やったー!」という感じではなく、ハンデも前だし、自分が思う試走タイム、上がりタイム、レース内容では無かったので課題が残る優勝になりました。なので、ゴールした後、先輩とかが集まってくれた時に管理の方に「もうちょっと喜んだ顔してください」と言われました(笑)ただ、勝てる時に勝てたというのは良かったと思います。優勝は運も関わってくると思いますし、「いくらハンデがあっても、チャンスを逃さず勝てたということは良いことだよ。」と周りに言ってもらって。確かにそうだなぁと思いました。
AKI:負けず嫌いというか、自分が納得して勝たないと、という感じなんですね!
西:負けず嫌いというのは最近言われるようになって「これが負けず嫌いか!」と気づきました(笑)モトクロスの前は陸上をやっていて、個人競技ばかりなんですがその時からこの感じが普通だったので負けず嫌いと意識していませんでした。自分の中のハードル、求めることが高いんだと思います。それが普通と思って生きてきたけど実は違ったというのに最近気づきました。
AKI:今後の目標はなんですか?
西:捲りだけで今は戦っているんですけど、自分の目一杯で走ると危ないと思っています。なので、余裕を持って、けど速い選手になりたいです。
AKI:となると、課題はどうですか?
西:2級車の時はハネがなくて、整備も教わりながらも乗り手を優先してきました。同期は2級車から跳ねたりして、タイヤのバランスを見たりと色んな対策をしている中、私は一個もやったことがないまま1級車に乗り替わりました。そしたら跳ねるようになってしまって。なので、これから傾向と対策をしていけるようになりたいですね。ハネがあって怖いとかはなく、まだまだ行けるのにハネがあって行けないという感じ。ハネが直ればもっともっと出来るという感覚があるので今後が楽しみです。乗るだけじゃダメなんだ、2級車の時は何もせずに走れて幸せだったんだなぁ、と気づきました(笑)
AKI:今後が楽しみというのはすごく素敵ですね!!
西:そうなんです。自分でもびっくりするほどオートレースが楽しくって。2級車の時も楽しかったんですけどそれこそ基本は乗るだけで。1級車に乗り換えてからは探究心というか、最重ハンの選手がどう走っているのかを考えたりするのがすごく楽しいです。もちろん見たからといって出来るわけではないんですけど、色んなことを考えることができてとても楽しいです。モトクロスはいつでも練習できたんですが、オートレースは練習の時間が限られています。なので、その限りある時間をどう過ごしていくかというのは難しいことではあるんですが、休みの日でもほぼリアルタイムでレースを見たりして他のことが何もできません(笑)日中、ナイター、ミッドとなったら永遠に見ていますね。それくらい楽しいです。
AKI:モトクロスからオートレースへの転向、実際にオートの競走車に乗ってみていかがですか?
西:バイクの扱いに慣れていてよかったと思うことも、やってない方が良かったと思うことも、どちらもありました。特にスタート部分が大きいですね。モトクロスのように切ってしまうというか、無意識の手の動きのところで練習しても直り切らないです。絵莉子さん(伊勢崎33期:高橋絵莉子選手)はモトクロス時代からスタートが速くって今も速い。クラッチの扱いが上手いからだと思うんですが、自分はモトクロスの時からスタートが苦手で。10年くらいモトクロスをやっていてずっと「スタートがね...。」と言われ続けていました。回り始めればいいんですがスタートは昔からの癖が抜けきれてないですね。1級車に乗り替わってパワーが出るようになって少しビビっている部分があります。慣れていくしかないですね。
AKI:師匠の松山さんや周りの先輩選手ともしっかり話をされていますよね。
西:そうですね。基本的には優しいんですが、ダメな時はダメとちゃんと言ってくれます。言うこと聞かないと怒られますが(笑)けど、これまでの経験がある分、整備でも走行でも聞けば答えてもらえるのですごく助かっています。それこそ、松山さんもドドド持ちなので、今の私の状況に関して色んな対策を考えているんじゃないかなと思います。聞くときは「ハネがきます。」だけじゃなく、「この辺りでハネるんですけど」と具体的に聞くようにしているんですが、ハネる位置で原因が分かるみたいですぐに答えてくれます。心強いです。
AKI:初優勝から始まった2023年、どんな1年にしていきたいですか?
西:元々大きな目標とか、1年間の目標とか決めるタイプではないんですが、周りの方に「ガールズ王座頑張って!」と言われることが多くって。去年は出ることもできなかったので、今年は出場をしたいですね。後は、優勝してハンデが下がって厳しくなるとは思うんですけど、もっと後ろから走れるようになりたいです。
AKI:それでは最後に読んでくださっている皆様にメッセージをお願います。
西:デビューしてから1年半ほど経って初優勝することが出来ました。いつも応援してくださる方や師匠を初めグループの方のおかげで優勝することができたので、これからもっと活躍して色んな人に恩返しして、見ていて勇気や元気をもらえる選手になりたいと思います!良かったら応援してください。
(写真は浜松オートSNSより)
福岡県宗像市出身のタレント。福岡でテレビ番組やイベントMCなどで活躍中。飯塚オート3代目「勝利の女神」。飯塚オートでは、AKIのAKIらめない予想やバスツアーなどを開催。川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、山陽オートでもイベント出演中。
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