2020年11月16日飯塚オートでデビュー初優勝を飾った角翔太郎選手。角選手は幼い時から通った山陽オートで優勝する事を、次の目標に掲げ動き出しています。オートレーサーになるきっかけや、デビュー戦から初優勝までの苦労話、プライベートまで色々と聞いています。翔太郎の由来は「羽ばたく様に育って欲しい」です。今、33期でもっとも勢い良く羽ばたいている角翔太郎選手を紹介します。これからもっともっと活躍してくれるヤングレーサーの一人です。(取材日:12月6日)
インタビュー / 内野久照
内野:オートレースを知るきっかけは?
角:叔父さんと一緒に2、3歳の頃から山陽オートに連れて行ってもらっていた。家族皆がオートレース大好きです。
内野:選手になろうと思ったのは?
角:中学生の頃だったと思います。迫力があって選手皆が格好良くて、S級選手のレースをかぶりつくように見ていました。当時は浜野淳選手(山陽24期)や松尾啓史選手(山陽26期)角南一如選手(山陽27期)ですね。
オートレーサーになるにはどうしたらいいのかなと思っている時に進路面談がありました。迷わず「オートレーサーになりたい」と担任の先生に伝えました。オートレースが好きな先生だったので試験日や受験資格(年齢、体重)や養成所の事など選手になる為に色々と教えてくれました。
32期は年齢から受けられず33期の試験を待ちました。中学卒業後4年間試験がなかったと思います。
19歳で受験し33期に1回で合格しました。
体力の面で人より優れている事はないので何故合格したのか不思議でした。
内野:養成所はどうでしたか?
角:10ヶ月の養成所生活でした。最初は草抜きを1週間程やりました。
エンジンのプラグを抜いて行った競走車の押し掛けが一番きつかったですね。
9月頃でしたので暑い日でツナギの中がビショビショでこの時ばかりは帰りたいと思いました。
内野:憧れていたオートレースの競走車はいかがでしたか?
角:いざエンジン始動の時は2回目で掛かりました。
この時は感動しました。
レース場で聞いていた音が自分の競走車から聞こえたので、本当に嬉しくて。格好いいなと思いました。この音いいなと心の底から思いました。
内野:走行練習はいかがでしたか?
角:走行練習は10周回を6、7回やりました。最初はある程度、皆同じレベルだったけど、スピードが上がってきてからは、黒川京介(川口33期)と中村杏亮(飯塚33期)が目立っていました。
特に黒川が早かったですね。
内野:養成所で感じた事は?
角:今思えば人より体力はない自分が合格したのは、2次試験の養成所で挨拶と掃除をしっかりやっていたことが評価されたのかなと思っています。
33期は競争率が20倍だったので本当に何故受かったのか当時は不思議でなりませんでした。
内野:デビュー戦は?
角:デビュー戦はぶっちぎりの8着。
半周遅れでした。そこにはきつい現実が待っていました。
結果はどうであれ上がりタイムを早くしたいと思って取り組みました。
少しずつですが上がりタイムを上げて行く事が出来ました。
内野:初勝利は?
角:初勝利は雨でした。
レース後半に向けて雨が強くなり2級車に有利な走路になりました。
ゴール前で並んで逆転する事が出来ました。
師匠からは「晴れで1着を取れ」と言われた。
内野:晴れの1着は?
角:遠征が始まるまでは1着は取れなかった。
晴れの1着は川口です。
それまで坊主頭だったので「これで髪の毛を伸ばせる」と真っ先に思いました。
内野:今、体重はと身長は?
体重は62 .3kg身長174cmです。
養成所当初は体重が56.5kgでガリガリだった。それ以上痩せると体調不良になる。
62.3kgは自分にとって楽な体重だけどレース前は少し軽くしていく様に意識はしています。
内野:これまで振り返っていかがですか?
角:成績が悪くハンデも下がれず落ち込んだ時もあった。遅いので仕方ない。速くなるしかないと思い頑張りました。
内野:初優出は?
角:初優出は山陽です。レース前に雨が降り1、2コーナーで滑って見せ場作れずの8着でした。
2回目の優出が山陽のミッドナイトでした。雨で最下位。この時に優勝したのが同期の青木隆浩です。同期の優勝で嬉しかったけど悔しい気持で一杯でした。次こそは自分が優勝したいと思いました。
内野:そして2020年11月16日飯塚で初優勝を決めました。
角:飯塚の前の節山陽でヘッド交換をしました。その前の節の伊勢崎でヘッドが壊れた為です。
交換したのは2級車の時に動いていたヘッドで丸山智史(山陽31期)さんがオーバーホールしてくれた物です。
交換後の1走目は8着でした。夕方に主戦で使っていた部品を乗せ換えると動いてくれました。
飯塚では初日から上がりタイムが良くて日に日に試走タイムと上がりタイムが良くなりました。優勝戦で出した試走タイム3.31は最高タイムでした。
内野:スタートラインでは何を考えましたか?
角:スタートを失敗して後ろから叩かれないようにと意識したら、緊張してしまってタイミングが遅れてました。
優勝戦は3.371のタイムが出ました。新走路のお陰もありましたがまさか3.3秒台のタイムが出せるとは思っていませんでした。
いくら展開が良くても3.415が限界でしたので。
ピットの中ではこのチャンスを逃したらもう二度と無いくらい覚悟して挑んだ優勝戦でした。最高タイムを出して優勝する事が出来ました。
エンジンが良かったのでチェンジを入れてから「ビューン」と伸びて行きました。
すぐに後ろには誰かいる。やられるんだろうなという気持ちを持ちながら走りました。
逃げるだけの立場なのでダメだったら仕方ないという気持ちで逃げました。
過去の優勝戦で経験した事、失敗した事を活かせた優勝戦だったと思います。
1回目の優勝戦は朝起きた時から「やばい今日は優勝戦」と緊張感に押し潰されそうでした。
その時よりは意外と落ち着いていました。「緊張してまた負けるんじゃない」くらいの気持ちの中で冷静でいられました。
凄くレースに集中していたので後ろの音が聞こえませんでした。
道中の事は思い出せないけど6周が長かった事は覚えています。
青旗を確認して「残り1周だ」とその時ばかりは力が入ったけどゴールした瞬間は「やったー!やったぞー!」と気持ちが高まる感じではなく「あっ!自分が優勝したんだ」とほっとした気持ちでした。
グループの皆が喜んでくれました。
内野:インタビューで師匠(日室志郎・山陽22期)へのメッセージがありました。
角:川口の遠征なので必ず見てくれていると思ったので「親父さんやったよ」とメッセージを送りました。喜んでくれたと聞きました。
内野:ご家族はいかがでしたか?
角:お母さんが一番喜んでくれた。叔父さんもすごく喜んでいました。
ミッドナイトが追加になったので7日ぶりに外に出て携帯電話をONにした時は、150件以上の祝福のメッセージがLINEにありました。
トロフィーも改めて頂きそこで「優勝したんだ」と実感が湧いてきました。
内野:優勝して何か変わりましたか?
角:選手プロフィールの通算優勝「1」を付けられた事が本当に嬉しいです。
ハンデが下がってきつくて大変だけどこれを克服したいです。
内野:ハンデが重化してからは?
角:スタートのレベルが全然違う。
もちろんスタートは先攻しないと勝負にならない。
人を捌かないと上の着には行けない。
これからは人を捌く技術を身に着けることです。
30m前になってもずっと勝てなかった。
成績を悪くしてまたハンデが戻らない様にしたい。
同じ事を繰り返さないように勉強と思って走っています。
車の位置取り付け方や走り方、人を捌くためにはどうするのかと人のレースを見て勉強しています。
内野:これからの目標は?
角:まずはGIに出場したい。
もちろんSGの舞台も経験したい。
内野:もう後輩が続々と入ってきています?
34期がいて35期もすぐ入ってくるので、うかうか出来ない。
いい刺激になる。抜かれないようにしたい。
内野:レース場以外でのトレーニングは?
角:自宅でのトレーニングはウォーキングです。ポケモンGOです。
やりながらだと丁度いいんですよね。
筋トレよりも柔軟性と減量ですね。ストレッチをして体を柔らかくしたい。
内野:ストレス発散は?
角:外での食事です。美味しい物を食べる事です。
内野:最近のグルメは?
角:宇部の焼肉屋さん『じゅうじゅう亭 はなれ』です。高かったけどタンがメチャクチャ美味しかったです。
内野:おすすめのラーメン屋さんは?
角:ラーメン屋さんでは宇部駅前の『一杉』です。
店長さんが応援してくれています。「A級になれよ」といつも成績を気にして頂いています。
ラーメンは白、黒、赤とありますが白がおすすめです。
角:おすすめスポットは?
角:角島(つのしま)ですね。夏は特に景色が綺麗です。
内野:好きな女性のタイプは?
角:気が利く人。気遣いの出来る人。
内野:芸能人では?
角:川口春奈さん。可愛いですよね。
内野:ラッキーナンバーは?
角:登録番号が6006番なので6ですね。
内野:角選手の調子はどこで判断する?
角:前の人に詰まった時でしょうか。
外を目一杯開ける様に心掛けています。試走からアピールしたいです。
同ハンでの比較はタイムが1個か2個は上回っているといいと思う。
川口では飯塚と違ってエンジンも少し落ちてレース足が無かったです。
4年目に入って整備も大分合わってきた。症状によって扱う所や調整をする箇所がピンポイントで分かってきた。
今後はエンジンを掛けた時、いい時の音と悪い時の音の違いが今以上に分かるようになる事です。
レースの時間帯のよってエンジンが変わるのでキャブの調整を今以上に合わせられる様にしたい。スタートも大事ですのでタイミングは意識して常に先攻したいと思っています。
内野:レースはどこでスイッチが入る?
角:青ランプが点灯して「よしっ!頑張るぞ」と気持ちが入ります。
「集中するぞ!」とモードに入ります。
内野:角選手にとって山陽オートとは?
角:自分の夢を叶えてくれた場所。
山陽オートがなかったらオートレーサーになれなかった。
レース場の近く、宇部に生まれていなければ今はなかったですね。
家族に感謝、叔父さんに感謝です。
内野:ファンの存在は?
角:応援して頂いている事に心から感謝しています。
試走タイムが悪くても自分から買ってくれている人がいるので、タイムが悪くても掲示板に常に載れるように心掛けています。
「角は一発あるぞ!」と思ってくれる人の為に走ります。
幼少の時から山陽オートと一緒だった。沢山の想いがある地元山陽でウィニングランがしたい。
夢を叶えてもらった山陽オートでファンの皆様へ恩返しがしたい。
内野:オッズパークをご利用、オートレースを御覧の皆様へ。
角:いつもオートレースを御覧頂きありがとうございます。
これからも一走一走気持ちを入れて走ります。
オートレースを買った事がない人にも見てもらえる様なレースを心掛けますので
オートレースを始めて頂くきっかけになればと思っています。
これからもオートレースをよろしくお願いします。
MCうっちぃ!こと内野久照 オートレース歴16年。好きな選手は浦田信輔選手。現在飯塚オートでMC、山陽オートで実況を行っています。年間約180日間選手ロッカーに潜入し取材もこなすMCです。オートレースを盛り上げたくFBでは飯塚オート盛り上げ隊、Twitterではオートレース盛り上げ隊にてロッカーフォトや選手情報配信しております。 最近では場外車券売り場にてオートレースの解説予想を披露し自腹車券勝負に挑んでいます。オートレース大好き九州男児が展開する魂の大胆予想にご期待下さい。