川口所属の32期。9月のGIムーンライトチャンピオンカップでGI初優出ながら初優勝を決めました。優勝した時の車の状態や想い、今の課題、そして今後のこと。同期についてもお話していただきました。(取材日:10月6日)
インタビュー / AKI
AKI:GI初制覇、GIムーンライトチャンピオンカップ優勝おめでとうございます!現在のお気持ちはいかがですか?
小林:周りの人にお祝いをしてもらったりしてようやく実感が湧いてきました!
AKI:レース後すぐの優勝インタビューの際は、まだ実感がわかないと仰っていましたよね!
小林:あの時は全然!えっ!?自分が優勝!?という感じでした(笑)
AKI:今はだいぶ優勝を噛み締めているんですね。
小林:そうですね。「あぁ、自分が優勝したんだなぁ~」と思えるようになりました。
AKI:GIの時のエンジンの感じ、改めて振り返ると状態はいかがでしたか?
小林:エンジンは8月の伊勢崎SGオートレースグランプリの時から良かったんです。グランプリの次の川口キューポラ杯は、エンジンは良かったものの消音マフラーと噛み合わなくって成績を残せませんでした。そして、GIムーンライト。エンジンはずっと良かったんです。
AKI:エンジンが良くなったキッカケはあったんですか?
小林:今年の3月に優勝してるんですが、その優勝前に購入したヘッドが当たり。そこからずっと安定している感じです。全体的に車は良くなりました。その後、消耗品を交換するくらいで大きなことは特にはしていません。
AKI:良い流れできていたんですね。けど、ムーンライトは雨も多く...伊勢崎オートの雨は特殊じゃないですか?
小林:めちゃくちゃ特殊!!最悪です(笑)
AKI:小林選手からしても最悪なコンディションだったんですね。
小林:雨の走路は好きなんですが、外のコースが利く雨が好きで。伊勢崎の様にインコースべったりが利く雨はあまり好きじゃないんですよね。
AKI:という事は、天気が悪いと聞いた時は「やだなぁ~」という感じだったんですか?
小林:やだなぁ~の方がだいぶ多かったですね。けど、6月の伊勢崎GII稲妻賞の時に雨の練習が出来て、8月のグランプリでも練習出来て。雨でレースは走ってなかったけど、インコースを走る練習は重ねていたんで、インコースで走ってみてもいいかなぁ?という感覚にはなっていました。実績はないけどインコース挑戦してみたいな~という感じ。なので、すごく嫌だという感じではありませんでした。
AKI:なるほど!ムーンライトで練習の成果が出たんですね!
小林:練習した成果が出たと思います。
AKI:その練習の成果もしっかりスタートが決まって発揮出来たレースでしたよね。
小林:あのレースは本当にスタート勝負でしたね。行くしかないという感じでした。
AKI:8月のSG準決でフライングを切ってしまいFが残っていたと思うんですが、累積は気になりませんでしたか?
小林:実は、8月のフライングが良い経験になっていて。そうじゃないんだな、という気づきがありました。そのフライングから、セッティングなどをいじったら切れ味が良くなってきて。SGでのスタートはとにかくタイミングで攻めていこう!という感じ。
ただ、そのフライングをキッカケにタイミングじゃなくてセッティングで攻めていかないと良いスタートは切れないんだと思ったんです。
AKI:その辺りを改善して臨んだムーンライト、優勝戦でも良いスタートが決まりましたね。
小林:優勝戦の時はタイミングもしっかり見えていましたし、1号車の恵輔さん(伊勢崎29期:吉田恵輔選手)や他の人にスタート行かれたら優勝はないと思っていました。
AKI:そのスタートをトップで切ってからの8周回はかなり長く感じたという事でしたが。
小林・めちゃくちゃ長かったです。人生で一番長い2分間でした(笑)
AKI:周回盤はどの辺りで見たんですか?
小林:ラスト2周から見ました。6周目までは必死でした。
AKI:残り2周と見た時はどんな心境でしたか?
小林:まだ2周あるの!?という感じでした。実は足がつってきちゃって。右足の踏ん張ってる方が。それで、やばいな~あと何周かな~で見たら残り2周でした。
AKI:我慢我慢の2周だったんですね。ビジョンは見たりしていたんですか?
小林:ビジョンは周回盤を見た後に1回だけ見ました。青山さん(伊勢崎31期:青山周平選手)がめちゃくちゃ追い上げてきている時で。まくられる車速だったので「終わった...」と思っていました(笑)その直後に青山さんが滑って。なんとかしのぐことが出来ました。
AKI:その滑りが大きな勝負ポイントになっていたんですね。
小林:あのまま青山さんが滑らずに走っていたり、もっと食い付く走路だったら、まくられていたと思います。それくらいの勢いだったので。それに、青山さんは伊勢崎の雨のコースは走り慣れていますし、あの走路をあの車速で走れるのは半端ないです。
AKI:けど、その青山さんをしのいでGI初優勝!エンジン良く、スタート良く、良い状態が合わさった節だったんですね。
小林:そうですね。優勝するのに不可欠な2つが揃ってくれたんで。後は自分次第。展開作って抜かれたらしょうがないと思っていました。
AKI:お話を聞いていると、いい意味で吹っ切れてる感じがします。前回のこのインタビューでは御自身のメンタルを豆腐だと仰っていましたが(笑)、その辺り現在はいかがですか?
小林:実はレースに臨むにあたってのメンタルトレーニングをしてもらっています。日本ミニバイクっていうスクーターで日本一になった方。この前はタイの大会で1位になったりした方です。その方に、色々教えてもらっていて。そういうのも実戦でだんだん活かせてきています。今は豆腐から少し硬めの豆腐になりました(笑)
AKI:絹から木綿豆腐くらいな感じですか?(笑)
小林:木綿くらいにはなりました(笑)高級なとろっとろの絹から、安い硬めの木綿って感じです(笑)
AKI:オートレースのことはもちろん、自分のメンタルトレーニングも欠かさず行なっていたんですね。今回、その成果が一気に開花したって感じですね!
小林:そうですね。周りの人に恵まれています。
AKI:GIタイトル保持者になったわけですが、その辺りはいかがですか?
小林:いや~もう夢のようですよ。そして、1番はたか(山陽32期:長田恭徳選手)に追いつけたことが嬉しいっす!!これは凄く意識してたところ。圭一郎(浜松32期:鈴木圭一郎選手)やよっしー(伊勢崎32期:吉原恭佑選手)は、僕の中で同期とは言え、凄いというか、SGとかGIを獲ってもちょっと他人事というか。自分とは違うなという感覚。
けど、たかは同じバイク未経験で少しずつ頑張ってきて、みたいな感じだったんで意識してて。そしたら、今年GI獲ったじゃないですか。「ふざけんなよ~。俺の先、あんまり行き過ぎないでよ~」みたいな感じで。
AKI:そんな感じだったんですね!そんな、同じような感じと思っていた長田選手に先越されて思うところがあったんですね。
小林:もちろん、プライベートでも仲が良いし応援はしていたんですが、悔しさと混ざって言い表せない感覚でした。タイトルなんて獲れないまま引退する人の方が多い中、たかにGIを先に獲られて追いつけないのかな...なんて思っていました。
AKI:焦りがあったんですね。
小林:かなり焦りはありました。良いレースしないと、追いつかなきゃ、と。そんな時にGII川口記念があって、「獲ったろ!!!」ぐらいの気持ちでいきました。けど、その時は実力もないし、張り切りすぎて空回りして。そういうのも良くないなと思う様になって、そこから少しずつ上向いていったという感じです。たかが獲れるなら自分も獲れるはずだ!という様に良い意識が出来ました。
AKI:エンジンやスタート、メンタルにタイトルへの想いと、色んなことが詰まった優勝だったんですね。
小林:そうですね。色んなことが詰まったムーンライトでした。流れが最高です。
AKI:意識されている長田選手は優勝後なんと仰っていましたか?
小林:「おめでとう、獲ってくれると思ったよ」とちょっと上からでしたね(笑)
AKI:GIタイトル保持者として肩を並べましたね!次は先に行きたいところですよね!
小林:先に行きたいんですけど、たかが常に僕の先を行ってて。10月からの後期ランクでは今までの最高ランクのA-4になれたんですが、たかは初のS級に上がっちゃって...やっぱちょっと先に行かれてるんです。けど、ここもポジティブに「たかがS級になれるなら俺もなれないはずない!」と思って頑張ります。
AKI:32期でグレードを獲っているのが、鈴木圭一郎選手、吉原恭佑選手、長田恭徳選手、そして、小林瑞季選手という事になりました。
小林:きっと、たかと僕がグレードレースを獲ったことによって「くそ~!!」と同期はみんな思ってると思います。それで、同期が凄いことをしてくれたら、また自分もやれるはず!という思考で頑張れます。
AKI:ちなみに、養成所時代の小林選手はどうだったんですか?
小林:養成所は上からA~Dに分けられるんですが、自分は余裕のDでした(笑)大体みんな上のクラスに行ったりするんですが、自分は入所から卒業までずっとDでした。バイク経験のない女子と僕みたいな感じ(笑)
AKI:そんなDからのGI制覇ですよ!!
小林:なので、同期みんな「あいつが獲れるなら、自分にも獲れるはず!」って思ってますよ絶対!(笑)けど、そう思って欲しいです。極論ですけど、同期みんなタイトルホルダーって超かっこよくないですか?出来るかは分からないけど、可能性はあると思うし、同期みんなで上に行きたいです。「俺についてこい!」くらいの気持ちで(笑)
AKI:話している中でもメンタルが強くなっているような感じですね!(笑)小林選手の現在の課題はなんですか?
小林:沢山あるんですけど、自分の中で1番足りないなと思うところは"独走力"です。速い人達と比べてスピードがない。自分自身でペースを上げられる様にならなきゃと思っています。
AKI:要は上がりタイムということですよね?
小林:そうですね。6周回、1周するごとにペースを上げていきたいです。走る部分ではペースが1番の課題です。
AKI:整備の面ではどうですか?
小林:整備だったら、1番大切なのがセッティング能力。どんなにパーツを換えても、その日の気候にセッティングを合わせられなかったら意味がない。セッティング能力はつけていきたいですね。エンジンのポテンシャルを引き出せる様に。
AKI:周りの選手で、この選手はセッティング能力が凄いなと思う方はどなたですか?
小林:鈴木圭一郎一択ですね。マジで凄いです!圭一郎ってパーツ交換して、朝ダメにしてることが多いんですけど、レースになったら1番試走を出して連には絡んでくる。それってダメなパーツでもエンジンの最大値を引き出してるってことですよね。そう考えるとめちゃくちゃ凄いです。尊敬してます。
AKI:セッティング能力は頭の中の引き出しがどれだけあるかってことですよね?
小林:そうですね。引き出しの問題です。圭一郎は常に手を動かしてるから知識量が凄い。引き出しは自分で手を動かして増やすしか養う方法はないと思います。
圭一郎が10動かすなら、自分は15動かさないとこの差は一生埋まらない。なので、今はもっともっと頑張らなきゃと思っています。手を動かすは絶対。失敗も勉強と思って。思った事はとにかくなんでもするという気持ちでやっています。
AKI:車に向かう時間は増えているんですね。
小林:そうですね。けど、まだまだ足りないと思っています。もし可能なら、休みの日もレース場に行って車を扱いたいですもん。
AKI:500mのオーバルコースでは練習出来ませんが、休日にアマチュアオートにも乗られてますよね?
小林:はい。めちゃくちゃ行ってますよ!乗る練習をしています。アマチュアオートでの練習がなかったらもっともっと遅かったと思います。
AKI:排気量が違うわけですが、その辺りは実際のオートレースと違わないんですか?
小林:遅いバイクで出来ないことって、600ccになったら余計に出来ないんです。アマチュアで物に出来ない事はレース場でも絶対に出来ないと思っているので、アマチュアオートは最高の練習環境ですね。
AKI:お話を聞いてると、オートレースがとても楽しそうですね!
小林:めちゃくちゃ楽しいです!!休みが長いと早くレースが始まって欲しい!と思っています。少し休みがあればいいです。もっと、ばしばしレースがしたいです!
AKI:オートレースは最高の仕事ですね!
小林:マジで最高ですね!!元々オートレースが好きなんですが、選手になってより好きになりました!
AKI:素敵!!天職ですね!
小林:結果はどうあれ自分の中では天職だと思います。楽しめていますし、少しずつでもいいので結果を残せていければと。
AKI:小林選手って我慢強いというか、粘り強い方ですか?
小林:そうですね。絶対に諦めないというところが唯一の長所だと思います。長い目で見て絶対に諦めない。
AKI:今後の選手生活、まだまだ長いかと思います。今回GI初制覇をきめましたが、今後の目標はあるんですか?
小林:実は、具体的な目標はあまりなくって。毎レース真剣勝負ってだけ。何がどうしたいというよりも、ひとつひとつのレースにしっかり臨んでいくっていう感じです。そうすれば、ランクが上がったり、またタイトルが獲れたりとそういう部分は勝手についてくると思うんです。目標よりもまずは目の前のレースに勝負駆けです。
AKI:毎レースしっかり大切に走ることが目標という感じですね。
小林:ほんとそんな感じです。
AKI:話は変わりますが、小林選手をサポートしてくださっている居酒屋「路地裏 五反田店」もGI優勝を喜んでくださったんじゃないですか?
小林:めちゃくちゃ喜んでくれました!優勝戦も観にきてくれていて、お店の方も泣いてくれました。ありがたいですよね。みんなの想いを背負ってこれからもっともっと頑張ります!
AKI:それでは最後に、オッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。
小林:お陰様でGI優勝することが出来ました!この優勝がまぐれだと言われないように、これからも"やる気元気みずき"で頑張ります!応援よろしくお願いします!
福岡県宗像市出身のタレント。福岡でテレビ番組やイベントMCなどで活躍中。飯塚オート3代目「勝利の女神」。飯塚オートでは、AKIのAKIらめない予想やバスツアーなどを開催。川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、山陽オートでもイベント出演中。