ファンの皆様の応援があったから今の自分がある。と話す山陽30期緒方浩一選手。大怪我を乗り越え昨年はGII小林啓二杯を制し今年は飯塚一般戦の優勝もあります。4月末開催の飯塚オールスターに向けて照準を合わせている緒方浩一選手に怪我からの完全復活、近況の調子、オールスターへの意気込み等お話を聞きしました。(取材日は3月22日)
インタビュー / 内野久照
内野:飯塚プレミアムカップを戦い終わって一言。
緒方:ベスト32(準決勝戦)に残る事は出来ましたが、ファイナル進出とはなりませんでしたので悔しかったです。
優勝戦へ進む選手はスタートから違うし、早めに仕掛けて行く。やっぱり凄いですね。
一枚も二枚も上手でした。その辺りはまだまだ負けています。
試走ではエンジンが負けているとは思わなかったです。
ただスタートして厳しい位置におかれてしまった。まだまだ勉強です。
上位選手との差を縮めたい。ここ1年で追い付きたいと思っています。
内野:昨年はGII小林啓二杯を制していますが。
緒方:師匠(山陽19期田中泰彦選手)の引退の開催で優勝出来た事が一番嬉しかったです。
内野:引退の話はいつ聞いたのですか?
緒方:前検日です。師匠から昼の時間に、夜話があるからと言われました。岩崎亮一選手(山陽25期)と3人で夜話がしたいと言われ、もしかすると引退の話かもと思っていました。
『今節で最後にする』と話があった時は寂しい気持になりましたが、何とか結果を残して恩返しをしたいと思いました。
内野:優勝という最高の形で師匠を送りだす事になりましたが。
緒方:自分の力だけでは優勝は出来ませんでした。
あの時は神ががっていました。
走路状況、レース展開全てが味方になってくれました。
ゴールしてからいつも師匠がレース観戦する選手観覧席の階段に目をやると、師匠泰彦さんがいました。右手を挙げて拍手してくれていました。
内野:師匠からは何と声をかけてもらったのですか。
緒方:『おめでとう。最後に親孝行してくれた。』と言ってくれました。
内野:表彰式の涙は。
緒方:表彰式に泰彦さんの事を思うと涙が溢れ出ました。また色んな思いが込み上げてきました。
内野:大怪我を乗り越えて優勝したレースでもありました。ここまでの道のりは。
緒方:長かったですね。怪我を負った時はレースに戻れるとは思っていませんでした。
内野:どんな状況だったのですか?
緒方:怪我は首と左膝です。半年間休みました。靭帯を4本断裂しました。
自分の体の一部を取り移植再建手術を行いました。約7時間の手術です。
靭帯再生の名医、前田先生を探してくれたのが岩崎亮一選手(山陽25期)です。MRIの画像を持って先生を探してくれました。その時は前田淳選手(山陽27期)にもお世話になりました。
手術後は足がまったく曲がりませんでした。リハビリが無茶苦茶きつかった。大変でした。
これをしっかりやれば必ず復帰出来ると信じてリハビリに没頭しました。
内野:今は完治しているのでしょうか。
緒方:8割9割は大丈夫です。ダッシュが出来ないこと以外は問題ありません。(笑)
レースに関してはまったく支障ありません。復帰してからもまだ首と膝の痛みはありました。風圧で首の痛みは酷かったです。
結果も出ず、こんなにも乗れないものかと思いました。
復帰戦はA級の下位からの始まりでした。ハンデは10m前からのスタートでした。
復帰出来ると思っていなかったので復帰出来た事は嬉しかったです。喜びでしかなかったです。しかし、勝てなくて悔しい日々が続きました。
何度か優勝戦に乗りました。最重ハンデにもなりましたが定着できなかったです。
内野:怪我をする前はGI優勝(2013年山陽スピード王)がありました。
緒方:初めてのGI優勝戦でした。グレードレース初優勝を地元のスピード王で決めましたが、獲ったという感じはありませんでした。
嬉しさよりビックリしていたことを覚えています。あれっ!という感じでした。(笑)
優勝したのは自分なの?みたいな感じで全く実感がありませんでした。
内野:その後大晦日のSSシリーズ8周戦(川口2014年12月31日)を制しています。
緒方:大晦日のSSシリーズ優勝戦は0mオープン最重ハンデ8名が並んでの8周戦でした。
やっとこの位置で戦える。この時の優勝はすぐ実感が沸いてきました。凄く嬉しかった事を覚えています。
内野:思い出に残るレースは?
緒方:もちろん昨年11月のGII山陽オート小林啓二杯です。
怪我からの復帰後初めての優勝。辛い時期を乗り越えることが出来たし、親父の引退レースでもありました。色んな思いがありました。あの時は自然に涙が出てきましたね。
師匠の最後に優勝の姿を見せられて良かったです。
内野:悔しかったレースは?
緒方:負けたレースは全て悔しいです。悔しくないと次頑張れないです。
内野:レース場に必ず持って行く物は。
緒方:寝具です。身体の事を考えてポータブルマットレスを持参しています。
内野:これまでスポーツは何かされていましたか。
緒方:中学校の時は卓球部です。陸上部に入りたかったけどなかったので卓球部に入りました。でもほとんど行ってません。(笑)
高校の時は陸上部です。色んな競技がある中、棒高跳びを選びました。福岡県大会で2位になりました。
内野:休みの日の息抜き方法は?
緒方:バス釣りです。無心になれます。ものすごく楽しいですし嬉しくなります。
中学校の時からの趣味です。50cm超えは嬉しいですよ。なかなか釣れませんからね(笑)
内野:家での息抜きは?
緒方:家での過ごし方はお酒です。酒が大好きです。休みの日は夕方からビールです。至福の時です。一杯目のビールが至福ですね。
それからワイン・ウイスキーと続きます。これが1番の息抜きです。
内野:宝物を教えて下さい。
緒方:エレキギターです。新しい趣味ですね。実家にあったギターで練習を始めました。楽しくなって思わず新しく購入しました。
まだ人に聞かせられるレベルにはないですが夢中になれる物をまた一つ見つけました。
内野:緒方選手にとってのオートレースとは。
緒方:オートレース選手になることが夢だったので10年経った今でも夢心地です。今も夢の中にいるようです。オートレースは格好良いです。
人のレースを見ても格好良いと思う。音ですよね...!迫力があります。
魅力があります。見てるだけで凄く格好良いです。嬉しくなります。
内野:選手になって良かったと思う事は。
緒方:自分のやりたい事でお金を稼ぐ事が出来る、遣り甲斐のある職業です。
頑張って結果を求める事で後からお金が付いてくる。選手になって日々良かったなと思っています。オートレースは楽しいです。
実力の世界ですし頑張った人だけが良い思いが出来るのも事実です。一生懸命する事で必ず何か自分にプラスになると思っています。
結果は自ずと付いてくると信じています。
内野:2020年はどこを目指していますか?目標としていること教えて下さい。
緒方:今年の目標はSGの優勝戦です。SGは準決勝戦3着が最高です。今まで明確にここを(SG優勝戦初出場)目標にしたことはないです。
そしてSS戦(スーパースタートライアル)に出場したいです。あのステージで戦ってみたいです。
ここ数年で達成できないと難しいと思う。出来ないと思います。
内野:今年最初のSGが飯塚のオールスターです。
緒方:山陽オート所属ですが飯塚でオートレースを見て育ちました。中村政信さんにあこがれて選手を目指しました。飯塚での開催はいつでも思い入れがあります。特にSGオールスターですしファンの方から頂いた票で出場できるのでいつも以上に気持ちが入ります。今年はこれまでで1番多い投票数でした。昨年のGII優勝があったからだと思っています。感謝の気持ちで一杯です。
今までは施行者推薦で出る事が多い中今年はファンの皆様に選んでもらった大会になります。ファンの皆様の気持ちを乗せて恩返し出来るように出場するだけでなく結果を残します。SG優勝戦出場の目標を達成したいです。
内野:防具に沖田哲平(元選手30期飯塚所属)さんのステッカーが...。
緒方:同期哲平の気持ちはずっと自分は持ち続けている。
哲平が引退する事になったのは自分の責任です。
防具と競走車に哲平のステーッカーを貼っています。哲平の分まで走り続けないといけません。
内野:ファンの存在は?
緒方:ファンあっての自分です。ただ自分は裏切りの多いタイプだと思う。本当に申し訳ないと思っています。
選手やっている以上はもちろんアンチもいます。自分を信じてくれる方へ手を抜くことなく、正直開催続きできついですけど手を止めません。
応援してくれるファンの方がいるので前を向いて進んで行きたいです。
約束します。僕を信じてくれるファンの方の為に諦めず一生懸命走ります。
内野:オッズパークをご利用の皆様、オートレースファンの皆様へメッセージをお願いします。
緒方:いつもオートレースへのご投票ありがとうございます。これからも車券の対象になれるように一着目指して頑張りますので、これからも応援宜しくお願いします。
MCうっちぃ!こと内野久照 オートレース歴16年。好きな選手は浦田信輔選手。現在飯塚オートでMC、山陽オートで実況を行っています。年間約180日間選手ロッカーに潜入し取材もこなすMCです。オートレースを盛り上げたくFBでは飯塚オート盛り上げ隊、Twitterではオートレース盛り上げ隊にてロッカーフォトや選手情報配信しております。 最近では場外車券売り場にてオートレースの解説予想を披露し自腹車券勝負に挑んでいます。オートレース大好き九州男児が展開する魂の大胆予想にご期待下さい。