川口所属の25期。川口オートレース場の支部長を務めています。レースでは追い上げ型の選手でファンを沸かせています。そして、「元気ですかー!」のパフォーマンスでもお馴染み。選手内からの信頼はもちろん、レースとパフォーマンスでファンも盛り上げています。そんな、若井選手は昨年4年ぶりのGI制覇!その時の事を振り返って頂きました。その他にも、女子レーサーの事、車券に対する思いなどもお話し頂きました。
インタビュー / AKI
AKI:GI開設記念グランプリレース優勝おめでとうございます。改めて、振り返っていかがですか?
若井:予選道中の状態はあまり良くなくて、3日目なんかは1着条件の厳しい勝ち上がりでした。そこを潜り抜けて、準決勝は雨。晴れが厳しい中での優出。優勝戦はメンバー的にもエンジン的にも厳しいなと思っていたんですが、それが逆に気楽に臨めました。優勝戦の整備もやったことないセッティングにして。予選道中が良くなかった分、逆に良くて開き直れた。タイヤだけは持っている中で一番良いものを出して。そんな中で走った試走は手応えがあり、2枠というスタート位置的にも、スタート行けたらチャンスだなとは思っていました。
AKI:1枠には加賀谷選手(川口27期:加賀谷建明選手)がいましたよね。
若井:そうですね。加賀谷は予選から車の仕上がりが良くて1枠で。ピットから勝負気配プンプンだった。普段はそんなに緊張するタイプではないと思うんだけど、優勝戦の日はロッカーから緊張していましたね。タイトルを獲れるエンジン状態だったし。実は、加賀谷が初めて記念を獲った時も一緒に優勝戦に乗っていたんですが、その時も落ち着きなくて(笑)その時は、加賀谷の試走タイムが抜けていました。もちろん自分も勝ちたかったけど、その時は声をかけましたね。「大丈夫だ、落ち着け。ヘルメット被ったら集中しろ。」と。そしたら、優勝して。ただ、今回に関しては自分も勝ちたかったので声はかけませんでした(笑)緊張させたまま行かせました。
AKI:そんな事があったんですね(笑)けど、加賀谷選手のスタートも良かったですよね?
若井:そうなんです。加賀谷もいいスタート切りましたね。勝ちパターンに持ち込まれたんで厳しいかなと思った。自分が2番手まで上がった時には加賀谷もかなり前の方を走っていて。けど、少しずつ加賀谷との距離が詰まっていって。加賀谷がタイヤを滑らせているのが分かったし、自分のタイヤも良かったし「もしかしたら届くんじゃないかな?」と思った。なので、焦らないで少しずつ少しずつ詰めていこうと思って走ってました。
AKI:最後の1周が勝負でしたね!
若井:あそこで仕掛けようとは思っていました。地元の走路だし、多少厳しいところを行っても回れる自信はあった。少し距離はあったけど思いっきり行って、加賀谷もうまく回ってくれて良かった。
AKI:無理なツッコミという感じではなかったんですね?
若井:そうですね。最終コーナーだし、オートレースは最終周回は突っ込まないと。自分らしいオートレースが出来たというか、自分自身あんなレースに憧れてオートレーサーになったので自分で凄く痺れました。「良いレース出来た!」と。自分の車券を買ってる人は喜んでるだろうなと思ったんで。
AKI:あのレースは車券なしでも盛り上がりましたよ!
若井:そう言ってもらえるのは嬉しいですね。けど、僕は車券を買ってる人が喜んでくれるのが一番嬉しいです。あのメンバーで自分を頭で買ってくれてた人が多少でもいると思っていたし、それで買ってくれた人が喜んでくれてると思うので、それが一番嬉しいです。
AKI:落ち着いて追い上げている感じですか?
若井:昔はよく慌てていて1~2周目で取り返そうと思っていたんですけど、ここ最近は冷静に自分の走り方を変えています。最終回までタイヤが持つ様に逆算してというか、考えながら走っています。そのことも良い方向に向いたのかな。前だったら2番手付けた時にタイヤを使いながら一生懸命追いかけてたと思う。おじさんだから考えながら走っています(笑)
AKI:グレードレースのタイトルには4年ほど離れていましたが、久々に獲れていかがですか?
若井:4年前にグレードを獲った時はもっと間が空いていて。最近はオートレースの若い選手の波に飲み込まれていたんですが、4年前をきっかけにまだまだ頑張んなきゃなと思った。前獲った時はサトマヤ(川口31期:佐藤摩弥選手)を教えだした時期で、自分もオートレースへの取り組み方を見直して。人を教えるとそうなりますね。そこから自分自身も上昇して記念が獲れたんです。今回は弟子(川口34期:信沢綾乃選手)を取って教えながらになって。良い刺激になっています。オートへの取り組み方、自分のレースも観られていると思うので、上手なレースをしなきゃダメだなと思っています。そういうのを考えると記念を獲れたのはサトマヤや弟子のおかげかもしれませんね。
AKI:どのような時に若い選手の波を感じますか?
若井:とにかく今の若手はスタートが速い。びっくりします。自分の若い時はスタートそんなに遅いほうじゃ無かったんです。普通だったんです。今も別に変わってないと思うんですが周りの若い子が速くて...凄いですね。けど、同期の永井(川口25期:永井大介選手)とか見ていると、若い子に負けないようにスタートの研究をして練習に行ったり、クラッチのセットを探したりしてるんですよ。そう言うところを見るとやっぱり永井は凄いなと思います。永井とかは船橋から移籍してから凄く刺激を受けましたね。取り組み方に妥協がないし、同期だし。もっと自分も頑張らなきゃなと思うようになりました。
AKI:船橋の選手が移籍してきてロッカーの環境は変わりましたか?
若井:そんなことはないですね。ただ、勝ち上がりが厳しくなりました(笑)けど、レースが厳しくなることは自分たちのためというか、エンジンでもタイヤでも妥協できない。その辺は良い方向に向いてますね。
AKI:まだまだ若手には負けませんか?
若井:いやー、よく負けますね!(笑)やっぱり速いですよ。けど、今までの経験を踏まえて効率のいい練習や効率のいい整備を自信を持ってやってるんで対抗していかなきゃなと思っています。これは若い子だけじゃないですね。ベテラン選手にもです。同じ支部にミッキーさん(川口9期:篠崎実選手)がいるんですが、オートレースに対する情熱が凄い。自分たちが疲れたとか言ってられないなと思いますね。穴見さん(山陽12期:穴見和正選手)なんかも沢山練習しますしSGにも出ていて。まだまだ頑張らないとですね。
AKI:目標は立てるタイプですか?
若井:いや、あんまり立てないですね。その日のレースの事しか考えていないので。いかにその日のレースで1着を獲るか。昨日のレースを踏まえて何をすれば良いかとか、それしか考えていないので目標は立てませんね。その積み重ねで優勝が出来ると思うので。負けた時もなんでダメだったのかを考えて。内容が大事ですね。それを、サトマヤや信沢に教えています。
AKI:佐藤摩弥選手の近況の活躍はどう思われますか?
若井:デビュー当時から練習の積み重ねというのを教えてきました。これからの未来、SGを優勝するくらいの選手にならないといけない。僕自身のレースへの向き合い方とは変わるんですが、サトマヤにはその日のレースよりも未来の自分を変えるための練習をしろと言っています。そんな中、サトマヤは実際凄く頑張っていて、実力も付いてきて、それでも練習していて、必ず良い選手になるだろうなと思っていました。そしたら、昨年くらいから結果が出だして。自分はそんなに驚かなかったですね。そういう選手になってきたなと思いますね。
AKI:佐藤摩弥選手の活躍は若井選手の中では納得という感じだったんですね。
若井:はい。若い時はまだ自信もないし、上手くいかないとしょげたりしていたけど、成長段階から凄いなと思っていた。今のオートレースで1番大切なスタートが速い。トップ級と並んだ時に「あ、この子だったら本当にSG獲れるかもな。」と思ったし、彼女にもそれを意識させた。SG優勝を目指す練習をしなさいと、スタート行って押さえ込むような走りを目指せ、と言った。彼女はそのスタイルが得意だろうし。もう手が届くところまで来ているのでもう教えることはないかなと思っています。最近は、どっと構えている。少し前まではレース前にオロオロする事もあったけど今はない。風格が出てきていてもう教える事はないなと思っています。
AKI:実は佐藤摩弥選手にもこのインタビューをさせてもらったのですが、レースへの気持ちは若井さんに教えてもらったと言っていました。
若井:まあね、僕はそれくらいしか教えられないから。僕自身、先輩選手から技術的なものは教わっていなくて、昔は教えてもらうとかは今ほどなかったんです。ここ最近です。なので、僕ら世代はみんな自己流。自分で失敗、成功して学んでいく感じだった。体の感覚的に覚えていく感じ。なので、後輩には中々コツをうまく伝えられない。まずは一生懸命走ってこいと言っています。
AKI:「最後まで諦めない」という姿勢が若井選手や佐藤摩弥選手に凄く感じます。
若井:この世界ってSGで優勝する事も大切だけど、それと同じくらいファンの人が応援してくれる選手になる事が大切。最後まで諦めず走らないと、お客さんって車券を買ってるからその人の事をずっと見ているわけで...だから甘い所とか諦めたりすると絶対気付くんですよ。自分も競馬とかの馬券を買うので分かるんですが。サトマヤとか後輩には「1つのレースでも諦めると応援してくれないよ、1着じゃなくてもとにかく一生懸命走れ。」と。そういうとこだけ教えています。元々サトマヤはバイクの扱いが上手かったし、後は「オートレースとは?」を教えてあげるだけ。オートレース選手としての姿勢、ファンの方が期待を込めて買った車券に応えて走るのが仕事。自分の名誉のために走るわけではない。自分はそこだけしか教えてません。今ではサトマヤのファンも多いし良い選手だと思いますよ。凄いなと。
AKI:昨年デビューしたお弟子さんの信沢選手に関してはどうですか?
若井:あの子はサトマヤとは全然違くて、バイクは初心者。0からのスタート。基礎の基礎から教えなきゃいけないので大変かなと思ったんです。けど、あの子はあの子で努力する才能があるというか、バイクの技術よりも大事なものがある。練習の積み重ねを教えただけなんですが、人一倍頑張ってくれています。気持ちも強いですね。あれだけ努力が出来るなら今後が楽しみですね。怪我の関係でデビューが遅れたんですが、伸び方が早いです。もちろんサトマヤと比べたらまだまだ未熟なんですけど、努力の仕方とかはサトマヤと変わらない感じ。見てて楽しいですね。娘の成長を見ているみたいです(笑)
AKI:女子レーサーが増えて女子選手同士、良い刺激になりそうですね。
若井:そうですね。年末のスーパースターガールズ王座決定戦も凄く良かった。女子のレースだから女子なりに感じるところがあると思うし、前検日から出る選手の集中力がスーパースター王座決定戦バリの感じで、整備でも練習でも凄く良いレースになりそうだなと思っていた。やっぱり良いレースになったし、ファンの方も楽しんでいたみたいなので、やっぱり彼女達のレースは凄いんだなと思います。注目度も高くて、もっともっと頑張って欲しいですね。支部長の立場からももっと盛り上げたいし、女子が頑張れる環境を作ってあげたいと思います。オートレースは彼女達にかかってる割合もあるし。みんなサトマヤに負けないように頑張ってもらえれば良い選手になると思いますよ。
AKI:話は変わりますが、若井選手と言えば「元気ですかー!」という猪木のモノマネでレース以外も盛り上げていますよね!!
若井:実は昔ほど派手にはやっていなくて。今はコンパクトにコンパクトにやっています。モノマネを一回止めていた時期もあったんですが、止めた後も何度かファンの方に「やってよ!」とか、「なんでやらないんだ!」とか言われていたんです。それでも、もう自分はそういうパフォーマンスは卒業したんで良いかなと思っていたんです。けど、それを止めたあたりから決勝に乗れなくなって...。だから、自分で反省して、そんな偉そうなこと言ってるからいけないんだ!と思ってまたやりだしたんです。けど、今は「元気ですかー!」一言だけで。
AKI:パフォーマンスを再開してからはいかがですか?
若井:イベントなんかで子供達から「元気ですかー!」と言われたりするのが凄く嬉しいですね。浸透してるな、て。子供達が待っているなら尚更です。若い時は猪木のモノマネがしたいと言う自分の自己満だったんですが、今はお客さんの為にやるし、決勝に乗れないと出来ないので頑張らないとと思います。実は、何回か別の言葉、違うプロレスラーを試したんですが全然反応が悪くて(笑)猪木を待ってるところに違うのをすると全然でした。だから、「元気ですかー!」しかダメだと思いましたね(笑)
AKI:今後、レースではどんな走りを見てもらいたいですか?
若井:自分のスタイルは優勝を沢山すると言うよりは、日々のレースで3着以内に入ることで、自分のファンの方はそういうスタイルと知って買ってくれていると思います。なので、ファンの予想通りに走れるように心がけて。第一は車券を買ってくれたファンの為に走る。ベテランの味、テクニックで気が付いたら3着にいる選手を目指して。その上でタイトルが獲れたら嬉しいですけど、まずは車券に絡めるように走っていきたいです。
AKI:それでは、最後にオッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。
若井:ハンデ戦の8号車はスタートを武器としていない自分にとって、6周で7人を抜く事になり展開的に厳しい時もあります。なので、永井や青山(伊勢崎31期:青山周平選手)の様な8号車と思ってもらったら困るんです(笑)ハンデ戦よりも凄く強い人がいてもいいから内側の枠にいた時の方が勝てるんじゃないかと思っています。自分よりランクが下の人よりも上の人と走った方が走れるし、言ってしまえば抜かれない自信もあります。グレードで内枠にいる時は狙って見て欲しいです。自分は結構大きな配当を出すこともあるので狙ってみてください。まだまだ抵抗できると思いますので頑張ります!けど、僕よりもサトマヤや信沢の応援をよろしくお願いします。
福岡県宗像市出身のタレント。福岡でテレビ番組やイベントMCなどで活躍中。飯塚オート3代目「勝利の女神」。飯塚オートでは、AKIのAKIらめない予想やバスツアーなどを開催。川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、山陽オートでもイベント出演中。