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斎藤修地方競馬雑誌「ハロン」編集長。「夕刊フジ」木曜発 売版に海外および地方競馬のコラム『Global&Local Racing』を連載中。ドバイワールドC、ブリーダーズC、それからシンガポールと香港の国際レースに毎年必ず足を運ぶのが最近10年ほどのライフワーク。1964年生まれ。

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「楠賞」に思うこと

 早いもので、「楠賞」がサラブレッド3歳以上の重賞になってもう3年がたった。
 楠賞がサラブレッドのレースだというと、ちょっと違和感を感じる人のほうが今はまだ多いことだろう。それでもあと5年もたてば、かつてアラブが走っていたことすら昔の思い出になり、それも素直に受け入れられるようになるのだろうと思う。
 現に菊水賞や六甲盃などはもはやサラブレッドのレースであることに違和感を感じてなかったりしませんか?
 そして20年もたてば、「楠賞と言えばな、昔ケイエスヨシゼンて馬がいてな……」だとか、「ワシュウジョージって馬はな、栃木から来たなんだかって馬に楠賞で負けてだな、三冠をだな……」とか、競馬場に来ている若者をつかまえてぐだぐだと語るおやじが出現しているに違いないと思うのだ。
 そしてこの場合、「楠賞」は「くすのきしょう」ではなく「くすしょう」でなくてはならない。
 それで思い出したが、初めて園田に競馬を見に行ったとき、地元のおじさんたちはサラブレッドのことを「アラブ」に対して「サラブ」と言っていることに新鮮な驚きを感じた。今思えば、その「サラブ」という表現にはやや蔑視的なニュアンスがあったように思うのだがどうだろう。
 で、話を元に戻す。ぼくは競馬場で昔話をぐだぐだと話すおやじが決して嫌いではない。何年も前に浦和競馬場で「俺はハイセイコーが大井で走ってるのを見てるんだ」と延々と話しかけてくるおやじに遭遇した。話はやや支離滅裂だったような気もするが、競馬ファンにおいて「少しでも昔のことを体験しているほうがエライ」という雰囲気は、素直に受け入れることにしている。
 もちろん話しかけてくるおやじがべろんべろんに酔っぱらっていたりしたら問題だが、そうでなければそれはむしろ競馬場の由緒正しきあるべき姿であるとも思う。
 園田や姫路に行ったときに、ぐだぐだと話しかけてくるおやじから紀三井寺や春木の話は聞いてみたい気はする。
 というわけで前置きが長くなったが楠賞である。
 ここは素直にジョイーレ本命で間違いないだろう。3歳の重賞ではなかなか勝てなかったが、古馬と重賞で対戦するようになったらあっさりと勝てるようになった。
 相手も素直に姫山菊花賞3着のレッドペガサスで、一角崩しがあるとすれば3連勝中の上がり馬ギャランティビート。
 今年の兵庫大賞典を勝って以降精彩を欠いているロードバクシンだが、休み明け2戦目で巻き返す可能性も十分ある。
 ◎ジョイーレ
 ○レッドペガサス
 ▲ギャランティビート
 △ロードバクシン
 印としては一応こうなるが、希望としてはギャランティビートがジョイーレを差し切ってほしい。
 なんといってもギャランティビートの父はアブクマポーロであり、ジョイーレの父はメイセイオペラだ。
 アブクマポーロはすでに種牡馬を引退して乗馬となり、メイセイオペラは種牡馬を続けているものの韓国に渡ってしまった。
 20年くらいののちに、「メイセイオペラが地方馬として初めて中央のGIを勝ったときはだな……」とか、「アブクマポーロが東京大賞典を勝ったときはだな……」とか、競馬場に来ている若者にぐだぐだと話しかけているおやじがいたら、それはもしかしてぼくかもしれない。

2006/11/01
重賞予想

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