1月に行われた豊橋記念で優勝し、今年は良いスタートを決めた吉田敏洋選手(愛知85期)。昨年は3場所連続の落車に辛い時期もあったといいます。そこを乗り越えて手にした勝利。その豊橋記念の振り返り、そして、中部地区のリーダー格として、このあと迎える全日本選抜競輪(GI)に向けての気持ちも伺いました。
星野:豊橋記念 優勝おめでとうございます。
吉田:ありがとうございます。
星野:2018年3月の名古屋記念以来、3回目の記念制覇でしたが、いかがでしたか?
吉田:ラインの先頭で走るレースは1日もなかったんですが、まずは決勝戦に勝ち上がるためにどう戦っていくのかを考えて、自分で勝ち上がりを作っていけた開催だったと思います。過去に名古屋記念を2回優勝して今回で3回目ですが、ここまでやってきたこと、考えてきたことが間違ってなかったんだと、達成感も感じています。
星野:では、その開催を初日から振り返っていただきたいんですが、まずは竹内雄作選手(岐阜99期)との連携でした。緊張するとおっしゃっていましたがいかがでしたか?
吉田:雄作とは今回参加していた他の自力選手と戦ってきた歴史が違うので、その点での緊張感がありました。竹内イコール先行というブランドが彼にはあります。それだけに、下手なレースは出来ませんから。結果、ラインで決まるレースになって良かったと思っています。
星野:そして、2日目は松浦悠士選手(広島98期)との連携で、意外だなという印象を受けました。
吉田:そうですね。過去、近畿地区の選手についた事はあるんですが、それ以外の地区の自力選手につける事はなかったので、正直どうしようか迷いました。岡村(岡村潤選手・静岡86期)も同じ位置を主張していたので、自力で戦う選択肢もあったんですが、やはり地元の開催ですし、勝たないといけないレースだと分かっていたので、松浦の後ろを選択しました。
星野:レースは近畿勢が先行して、松浦選手が巻き返す展開になりましたね。
吉田:あの日は雪もちらついて、気温も低く、冬の豊橋の風は暴力的に強くて、あの松浦でさえホームで行こうとしていましたが、行けなかった程でした。 結果、2コーナー辺りから松浦は踏み上げて1着でしたが、自分は踏み出しに遅れて、厳しい展開から最後は何とか3着に入れたかなという感じでした。
星野:このレースは地元の開催への強い気持ちも感じました。
吉田:そうですね。勝ち上がらないといけない所で勝ち上がれましたし、ここを乗り越えた事で気持ちも楽になりましたね。
星野:そして、準決勝戦、決勝戦は浅井康太選手(三重90期)を目標にしてのレースでしたね。
吉田:準決勝は浅井でダメなら仕方ないくらいの気持ちでマークしていました。この時点で愛知勢は自分しかいなかったので、とにかく、愛知のみんなの気持ちを背負って、決勝戦に行くことだけを考えていました。
星野:決勝戦のメンバーには愛知支部から静岡支部に移籍した深谷知広選手(静岡96期)がいました。今まで一緒に戦ってきた選手と別線勝負というのはどうだったんですか?
吉田:自分が自力の戦いだったら、思う所もあったろうし、意識もしていたかも知れませんが、マークの競走だったので、そこは考えずに走れました。それが、逆に良い成績になったのかと思います。とにかく浅井の動きに集中しようって感じでしたね。
星野:ゴールした瞬間はいかがでしたか?
吉田:豊橋はホームバンクではないんですが、同じ愛知で準地元ですし、嬉しかったですね。それに、苦しい位置になりましたが、一か八か行ってくれ、スピードに乗せてくれた浅井のおかげだと思っています。
星野:昨年は9月の共同通信社杯競輪での落車から3場所連続でアクシデントがあり、大変な時期もあったと思いますが。
吉田:1回ずつのケガは大したことなかったんですが、3場所連続となるとダメージが回復するまでに次のダメージが来て、どんどん上書きされていく感覚がありました。昨年末までは状態を戻すことを優先して走っていましたが、やっぱり違和感はありましたね。
星野:そのなかで、12月末の広島記念は決勝戦へ勝ち進みました。
吉田:広島記念に入るまでは手応えもなかったんです。最高の結果とはなりませんでしたが、ここで決勝戦に乗れた事で少し安心して年末年始を過ごす事ができました。今思えば、これが良かったのかなと思っています。
星野:そこで気持ち的にもリフレッシュ出来たんですか?
吉田:お正月にレースがなく家にいるのも久々だったので、どこに出かけることもなくゆっくり過ごしました。いつもはオフの日でも、自転車の事を考えたり、何かと競輪が頭から離れなかったんですが、めずらしく完全に頭の中もオフになりました。それが良かったんでしょうね。お正月が終わったら、年末まで苦しんでいたものがなくなりました。体は100%戻っていないんですが、気持ちの面で上向いて、その中で豊橋記念を迎えられたのが優勝に繋がったのかなと思います。
星野:さて、中部地区ではリーダー格としてまとめて行く立場だと思いますが、今の中部地区を吉田選手から見ていかがですか?
吉田:グレードレースに行くと、他地区に比べ人数も少ないですし、若い選手が出てきても、伸び悩んでいる所があります。やはり、自分の中では山口幸二さん(岐阜62期・引退)に教えていただいた影響が大きく、怒られた事もたくさんありますが、今の自分がここまでやって来られたのは、その教えがあったからだと、この年になって特に実感しています。だから、それを若手にも伝えていかないといけないなと。でも、自分達が教わってきた時と今は時代も違う。指導する立場として、そこをどう接していくのか、今後の課題ですね。その為にも、若手とのコミュニケーションも大切にしてアドバイスをしないと、本当の意味での理解は出来ないと思います。
星野:時代や世代というところを考えると難しい所がありますね。そんな状況の中で、2月には全日本選抜競輪(GI)がやってきます。
吉田:開催メンバーを見ると、中部地区は人数もですが、自力選手も少ないので、自分がラインの先頭で戦う事が多くなると思います。他地区の若手相手にどこまでやれるか、中途半端な気持ちでは太刀打ちできない。そこは20年やってきた経験値と年齢と走ってきた本数でカバーして、使えるものはすべて使って勝負して行きたいと思っています。変わらず状態は良いハズですし、特別競輪でも自力を出して、まだまだやれるという存在感を見せていきたいですね。
星野:自力で戦う吉田選手の走りをGI戦でも楽しみにしています。では、最後にオッズパークの会員の皆様へメッセージをお願いします。
吉田:昨年の大変な時期からここまで建て直せたことは、これから調子の悪いときや悩みがある時にどうやっていくかという復活ストーリーを作り上げる良い時間だったと思っています。これからも若手相手に自力で戦っていきますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
5月の『ガールズケイリンコレクション2021京王閣ステージ』の出場権をかけて行われているトライアルレース。1月9日から取手競輪場で最初に行われたトライアルレースを優勝したのは、コレクション初出場となる久米詩選手(静岡116期)でした。レースの振り返りや今年の抱負、そして昨年末にBS11で放送された『チャベリバIII』に出演した感想をお伺いしました。
山口:取手でのトライアルレース、優勝おめでとうございました!
久米:ありがとうございます。
山口:どのような気持ちで臨まれましたか?
久米:決勝2着までがコレクションに出場できる権利が得られるレースだったので、2着までには頑張って入れたら良いなと思っていました。でもまさか優勝できるとは、自分でもびっくりな気持ちが大きいです。
山口:初日から振り返っていきます。トライアルレースということで動けるタイプの選手が揃っていました。
先に動いたのは下条未悠選手(富山118期)でしたが、どうレースを考えていましたか?
久米:レースの展開やスピードもいつも以上に早くなるだろうと予想をしていたので、できるだけ前々にいたいなとは意識していました。
山口:3番手の位置から残り1周あたりで先頭にたちましたが、あの辺りはどうでしたか?
久米:自分でも先行するつもりはなかったので、「少し早かったかな」と思ったんですが、後でレースダイジェストを見た時に、あのタイミングでいかないともっと後ろになってしまいそうだったので、結果的には仕掛けて良かったと思いました。
山口:高木真備選手(東京106期)、太田美穂選手(三重112期)に捲られました。ご自身の感触はどうでしたか?
久米:太田美穂さんに2番手に入られてしまい、そこから捲られる展開だったんですが、少しは合わせることができたと思います。頑張って踏み直しはできました。
山口:2走目は逆に、太田選手の捲りにのっていく形でしたね。
久米:はい、あれは本当に展開に恵まれました。自分でレースを動かしたというよりは、美穂さんが仕掛けてくれたという感じです。
山口:太田選手の前には、下条選手や中嶋里美選手(愛知110期)の仕掛けもありました。そこに切り替えるという選択肢はありましたか?
久米:それはなかったです。私の前に美穂さんが入った時点で、安心感はありました。「絶対仕掛けるだろうな」と思ったので、冷静に判断できました。
山口:決勝戦も昨年のオッズパーク杯ガールズグランプリに出場した選手が2名いるという激戦でしたね。
久米:基本は前々に動くという自分のレーススタイルをその場面でも発揮できたのが一番良かったです。
山口:最終バックストレッチは3番手でした。真後ろから石井貴子選手(千葉106期)の捲りがありましたが、それを見て捲っていったんですか?
久米:そういう訳ではなく、前にいた永禮美瑠選手(愛知118期)が先行の美穂さんに追いつく前に仕掛けたいなと思って出ていきました。
山口:捲り合戦みたいな展開でしたね。踏み出したタイミングや感触はいかがでしたか?
久米:美穂さんの先行だったので仕掛けにくい部分はあったんですが、展開としてあのタイミングしかないなと思っていました。
山口:後方には石井選手、高木選手もいましたが、気配は感じていたんでしょうか?
久米:そうですね。バックストレッチをすぎると真備さんは初日もそうでしたけど、すごいスピードで捲ってきていたので、それより先には自分で仕掛けたいと思って一生懸命踏みました。
山口:ゴール前も接戦でした!
久米:正直、ゴールしてすぐは私が優勝したとはわかりませんでした。でも大型ビジョンにスロー映像が流れてそれで確認しました。
山口:新年最初のレースが取手のトライアルレースでしたが、特別気合が入った等はありましたか?
久米:「新年だから」とか「トライアルレース」だからなどの特別な気持ちはありませんでした。いつもと同じように一戦一戦、優勝を目指して参加しています。
山口:そうだったんですね。取手では久米選手と太田選手がガールズケイリンコレクション出場の権利を獲得されましたが、直後の四日市でも対戦がありました。
久米:初日と決勝で対戦がありましたが、とても強かったです。初日は私の方が先着できましたが、決勝は仕掛けにくかったですし、美穂さんの先行を捲れませんでした。
この後も何度か斡旋が一緒なのでリベンジしたいですね。
(インタビュアー追記:2月1日名古屋初日・予選1は、久米選手がホームストレッチで仕掛けて先行逃げ切り、太田選手が捲りきれず2着でした)
山口:太田選手を含めて、ガールズケイリンコレクションで一緒に走る選手たちとのこの後の対戦はいかがですか?
久米:何度も対戦すると思いますし、その中で「対戦するのは嫌だな、やりにくい相手だな」と思われるようになりたいです。
山口:昨年のインタビューの時にはガールズフレッシュクイーンとグランプリトライアルレースの振り返りをしていただきましたが、1年通していかがでしたか?
久米:自分で思っていた以上に成長できた1年でした。
山口:今年の目標は何ですか?
久米:優勝回数を増やしたいのと、コレクションへ出場が決まったのでそこで良い結果を残せるように頑張りたいです。
山口:ビッグレースへ向けては競走得点を上げるのもそうですが、今回はトライアルレースでご自身で勝ち取りました。その達成感などはどうですか?
久米:権利は獲得できたんですが、脚力はまだトップ選手には全然追いついていないと思います。ビッグレースで自信を持って走れるように、練習をしたいです。
山口:出場するガールズケイリンコレクションは5月です。どの辺りを強化していきたいですか?
久米:持久力ですね。残り1周のタイムなどを上げたいです。自力で1周先行しても自信を持ってしっかり逃げ切れるくらいの脚をつけたいです。
山口:前回のインタビューで戦法の話も伺い、展開に応じて先行もしたいと仰っていましたが、それは変わりませんか?
久米:そうですね。何でもやっていきたいです。
山口:今はコロナ禍で選手の皆さんも大変だと思いますが、練習に変化はありましたか?
久米:私はサイクルスポーツセンターで練習をしているんですが特に大きな変化はないですね。コロナの状況下では距離を取ったりなど、ずっと気を付けてしています。バイク誘導で引っ張っていただいたりして練習をしています。
山口:今年は地元静岡でガールズグランプリが開催されます。前回も伺いましたが、年が明けて改めていかがでしょうか?
久米:今はまだすごく意識している訳ではないですね。今年の目標である優勝回数を増やすという点で、何度も優勝した時には結果はついてくると思うので、まずは一戦一戦頑張りたいなと思います。
山口:ありがとうございます。ではここからは『チャベリバIII』の収録についてもお伺いします。参加されていかがでしたか?
久米:芸人の皆さんが競輪/ガールズケイリンに興味を持っていただいていたのでとても話も合いました。放送されたことでもっと競輪が広まると良いなと思います。
山口:PRという点で、ガールズケイリンの選手は注目されることは多いと思います。久米選手はメディア露出はどう感じていますか?
久米:全く苦では無いですし、今回の収録もとても楽しめました。私たちガールズの選手ははそういう機会が多いと思うので、もっと全面的に協力し、競輪/ガールズケイリンを広めていきたいです。
山口:芸人さんがいたことで、オッズパークの「競輪選手インタビュー」や記者さんの取材とは違った話があったかと思います。面白いなと思った質問はありましたか?
久米:「選手の1日の過ごし方」などは競輪界の取材ではあまり聞かれないので、それは面白いなと思いました。
山口:佐藤水菜選手(神奈川112期)のガールズグランプリのお話も出たと思いますが、それはどう感じましたか?
久米:刺激は受けました。グランプリ当日のレースを見たら佐藤選手が先行していたので、やっぱり気持ちは強いなと思いました。
山口:『チャベリバIII』の振り返り、ありがとうございます。
では、話を戻します。初めてのコレクションが競輪界最高峰と言われる「日本選手権競輪」での開催ですが、その辺りはどうでしょうか?
久米:前検日から普段の開催とは空気感が違うと思います。男子選手やコレクションへ参加する一流選手の雰囲気などを含めて、勉強しに行きたいと思います。
山口:(取材時は平塚開催前でした)今の段階での他の選手の印象はいかがですか?
久米:メンバーが誰であってもやることは変わらないと思うので、自分の力を出し切るだけだと思っています。
山口:近況のレースを拝見して、4番手より後ろにはならないイメージです。後方になった時にはすかさず動くというのは意識しているんですか?
久米:はい、自分の脚に自信があったら後方に構えるというのも良いと思うんですが、私は自信がないので前々を意識しています。
山口:ありがとうございます。では最後にオッズパーク会員の方へ最後にメッセージをお願いします。
久米:今年初めてコレクションに出られるので、そこで良い結果を残せるように頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
昨年11月の優勝が意外にもデビュー初優勝だった高木佑真選手(神奈川116期)。昨年の振り返りから今年の目標、そして年末BS11で放送された『チャベリバIII』に出演した感想をお伺いしました。
先行にこだわる強気な一面や、SNSでも話題になった「ゆまカレー」についてもお伺いしました。
山口:昨年を振り返っていかがでしたか?
高木:一言でいうと勉強の年だったかなと思います。
山口:昨年の半ばからは成績も上昇されましたね。
高木:デビューして1年半が経ちますが、デビューして1年はたくさん勉強しないといけないなと思っていました。「相手のことを知る」「レースのことを知る」などたくさん学ぶことはありました。それが昨年の後半から成績に繋がってきたと思います。
山口:1年間はがむしゃらにやってこられたんですね。
高木:そうですね。「レースではとにかく先行しないと」と思っていたので、どうやったら自分が先行できるかばかり考えていました。着に繋がらず、勝つイメージが自分の中からなくなった時もありました。そこから、先行してどう勝つかということも考えながら練習し、今の成績に繋がってきた感じです。
山口:意識が変わるきっかけがあったんですか?
高木:昨年11月の平塚で、奥井迪選手(東京106期)や鈴木美教選手(静岡112期)と決勝を走らせていただいた時に、練習と同じように力を発揮できたんです。その時に「こうやって走れば良いんだ」と掴めた気がしました。
それ以降はその感覚を意識をしてアップするようにしたら、次の松戸の開催では初優勝ができ、今も安定して成績が残せているかなと思います。やっとわかったかなと思いました。
山口:初優勝について、率直な思いはいかがでしたか?
高木:デビューしてからすぐは、ビッグレースの裏開催に斡旋されることが多く、「初優勝できるんじゃないか」と周りには言っていただきましたが、ずっとできませんでした。
でも優勝した松戸の決勝を自分で振り返ると、デビュー直後の自分ではできないレースをしているので「成長したんだな」と実感しました。それ以上に、先行して優勝できたのはとても自信になり、次に繋がるなと思いました。
山口:初優勝のレースは、私は本場で拝見していたんですが、「逃げ」での優勝、本当に強かったです!自信もありましたか?
高木:・・・あったかもしれないですね。1年前の松阪でも「今回こそ優勝」と記事などで言われていたんですが、その時と比べてレース前の気持ちの持ち方は全然違いました。
松戸の決勝は「先行したら優勝できるのではないか」という思いがあったので「まずは先行、最後まで自分の力を出し切るだけ」と強い気持ちで走れたし、その気持ちを持てたのは、1年前ではできなかったことだと思います。優勝できて本当に良かったです。
山口:周りの反応はいかがでしたか?
高木:終わった後はたくさんの方から連絡がきていました。ゴールした時は「あれ、優勝?」とふんわりした気持ちでしたが、敢闘門に自転車を取りにきてくださった選手の方から「おめでとう」と言ってもらい「優勝ってすごい嬉しいんだな」と実感しました。
山口:A級で優勝した同期115期の幸田望夢選手(栃木)も同じく初優勝で、記事になっていましたね!
高木:そうでしたね。一緒に写真を撮ってもらいました。
山口:同期と言えば、茨城の岩崎ゆみこ選手とも仲良しですね。切磋琢磨している様子をSNSで拝見します。
高木:そうなんです。ゆみこちゃんとは仲良くさせてもらっています。ゆみこちゃんも「刺激を受ける」とSNSなどで言ってくれているようですが、私こそゆみこちゃんの走りを勉強させてもらってレースを走っていたので、刺激をもらっているんです。
優勝した後も「いろいろとありがとう」と言ったら、「お金払って」と言われました(笑)。
山口:仲良しだからこその言葉ですね(笑)。
高木:はい(笑)。でも真面目な話、同期から刺激をたくさんもらっていたのでとても感謝をしています。
山口:岩崎選手はバスケットボールから、高木選手はサッカーからと、お互い別の競技からガールズケイリンへ入られました。境遇も似ていて気も合うんでしょうか。
高木:それもあると思いますし、何より目指す戦法が似ているので話も合うんだと思います。トップクラスで活躍されている選手の戦法ももちろん勉強になるんですが、ゆみこちゃんのレースも凄く勉強になります。
山口:戦法やレースの話はよくするんですか?
高木:かなりしますね!練習も、以前は一緒にすることが多かったですし、レースについても話します。競走終わりに電話をかけるのも割とします。
山口:そうなんですね。お互い良い相手のようですね。
高木:私はすごく刺激をもらっているので、私もゆみこちゃんに刺激を与えられていたら良いなと思っています。
山口:今年はどんな1年にしていきたいですか?
高木:先行して強くなりたいという気持ちが1番です。具体的な目標としては、トライアルレースなど点数上位、賞金上位の選手しか出られないレースで先行したいなと思いますね。
山口:競走得点も上がっているので、それも近付いていると思います。
高木:そうだと良いんですが、でもそんなに甘くないと思うので、早く実現できるように頑張ります。
山口:がむしゃらだったというデビュー直後とは、練習方法などは変化はありましたか?
高木:特にないですね。でも結果が出なかった時も「とにかく自転車には乗ろう」としっかり乗り込んでいました。結果としてそれが良かったのかなと思います。
山口:気持ちを切らさずに練習されていたんですね。
高木:はい。レースに行って結果が出ずダメだった時も、何回も何回も乗り込んでいたのが、少しずつ感じも良くなって繋がったんだろうなと感じます。
山口:今後の戦法などはどう考えていますか?
高木:先行で頑張りたいです!ただ展開上、先行ができなかった時でもしっかりと対応はしていきたいんですが、自分の気持ちとしては先行して強くなりたいです。
山口:最近は警戒されることも増えたのではないですか?
高木:そうかもしれません。最初は逃がされることが多くて潰れてしまっていたんですが、最近は強い選手が自分の2番手の位置を取りにきたり、後ろに入られることも増えました。
そうなると捲られたり、差されたりと、自分としてはピンチな展開になるんですけど、でも「高木佑真の後ろからレースをしよう」と思ってもらえているのは先行選手として認められてきたんじゃないかなと嬉しいです。
山口:差しが鋭い選手が真後ろにいるのは、やりにくくはないですか?
高木:やりにくいですが、でもそれでも振り切って勝つくらいじゃないと上位では戦えないと思います。強い選手たちがたくさんいるので、逆に燃えるタイプかもしれません。
「絶対逃げ切る!」と強い気持ちになるので、自分としてはそういう展開になった時は「ありがとうございます」と思っています(笑)。
山口:そうですか!素晴らしい気持ちですね。ますます先行意欲が湧きますね。
高木:はい!
山口:話が変わりますが、年末に放送されたBS11『チャベリバIII』についても少し聞かせてください。収録に参加されていかがでしたか?
高木:すごく楽しかったです!自分はもともと人としゃべるのは得意ではないんですが、楽しく収録させていただきましたし、いろんな方に「見たよ、面白かった」と言ってもらえたので、良い経験をさせていただきました。
山口:トークの中で印象に残った話題はありましたか?
高木:話題というよりも、しゃべるのが苦手な私のトークをうまく拾って面白く広げてくださっていたのが印象的でした。芸能人の方は凄いなと思いました(笑)。
山口:年末の放送ということで、佐藤水菜選手(神奈川114期)もいてのオッズパーク杯ガールズグランプリの話もありましたが、間近で聞いてどう感じましたか?
高木:水菜ちゃんが大舞台で戦っているのは凄いなと改めて思いましたね。
山口:佐藤選手は昨年はグランプリトライアルレースで優勝しての地元ガールズグランプリでしたが、それはどう感じましたか?
高木:その優勝はすごく嬉しかったですし、あの勝負がかかったレースでしっかり決めきるところは凄いなと思いました。同時に自分も早くそういう舞台で走れるように頑張ろうと刺激をもらいました。
山口:ナショナルチームへ佐藤選手が参加される前は一緒に練習はされていたんですか?
高木:はい、ずっと一緒にしていました。毎日一緒にいて仲も良いので、トライアルレースの優勝は本当に嬉しかったです。
山口:佐藤選手がナショナルチームへ参加されてからの練習はどうしているんですか?
高木:男子選手に混ぜてもらって、自力の練習をしています。
山口:今年の目標は何ですか?
高木:先ほど話したトライアルレースなどに出たいのもありますが、先行して優勝したいと思っていつも走っているので、それを実現していきたいです。
山口:強化していきたい部分はどこですか?
高木:トップスピードがあまりないので、トップクラスの選手と戦うには必要だと思うのでそれを強化したいです。
山口:今はコロナ禍で無観客開催もあり、お客様との関わりは難しい部分ですが、例えばSNSへの応援コメントなどはどうでしょうか?
高木:以前は本場で声援をもらうとすごく嬉しかったですし、SNSへもたくさん応援コメントもいただきます。それを読んで「また頑張ろう」と思えます。
山口:SNSでは「ゆまカレー」も話題になりましたね(笑)。
高木:そうなんですよ。「佑真」じゃなくて「ゆまカレー」って呼ばれる事が多いんじゃないかと思います(笑)。
山口:そうですか(笑)。どうしてそうなったんですか?
高木:以前新聞の取材があり、私の父がカレーが好きなため「毎週カレーをつくります」と話したんです。そうしたらそれが広まっていつの間にか商品化までしてもらいました。
山口:ご本人じゃなかったんですね(笑)。私、てっきり高木選手の大好物なんだと勘違いしていました!
高木:そうなんですよ(笑)。ぽんぽん話が広がっていってしまい、気付いたら「ゆまカレー」と呼ばれていました(笑)。
山口:ニックネームとしてはインパクト抜群ですね。
高木:はい。でも自分の名前を冠したカレーを商品にしていただくなんて、人生でそんな経験はなかなかできないからありがたいですね。
山口:そうですよね。楽しいお話をありがとうございました。
それでは最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
高木:2021年も先行で勝ち切れるように頑張っていきますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
デビューから3年以内の若手選手の頂点を決める大会・ヤンググランプリ2020。2度目の挑戦で優勝したのは、神奈川113期の松井宏佑選手。2020年は初めてGI開催で決勝戦まで進み、ヤンググランプリで優勝、成長できた1年だったと話しています。そんな松井選手に、ヤンググランプリの振り返り、2021年の抱負を伺いました。
星野:ヤンググランプリ優勝、おめでとうございます。
松井:ありがとうございます。
星野:優勝されて、どんなお気持ちでしたか?
松井:平塚競輪場は地元なので、走るからには優勝しかないと思っていました。オッズを見たら自分から人気になっていましたし、選手紹介の時から声援も沢山いただいていたので、その期待に応えられて良かったと思っています。
星野:レースは前受けからのスタートでした、振り返っていかがですか?
松井:1番車だったのでスタートは前と思っていました。そして、みんなに警戒されるだろうし、後方に置かれるだろうなとも思っていました。昨年は仕掛けが遅く優勝できなかったので、今年は2コーナーから仕掛けようと、早くなると後ろにマークしている宮本(宮本隼輔・山口113期)にゴール前抜かれてしまうかもしれないので、ギリギリのタイミングまで待ってから行ったんですが、ばっちりでしたね。
星野:冬場なのに残り半周のタイムが10秒9でした、手応えもあったんじゃないですか?
松井:踏み出した感触も良かったので、いけるなと思いましたが、こんなにタイムが出ていたんだと、聞いてびっくりでした。
星野:優勝はどの当たりで分かりましたか?
松井:最後、ハンドルを投げた時に、ギリギリ勝ったかな?って感じで、確信はなかったんですが、モニターを見たら自分が写っていたので、その辺りですかね。優勝したんだと分かりました。
星野:そして、何度も何度もガッツポーズをされていました。
松井:優勝しないといけないレースで優勝できたので、素直に嬉しかったんです。でも、敢闘門に引き上げてから先輩に、ガッツポーズがダサかったといわれました(笑)チンパンジーみたいだったって。なので、次にGIで優勝するときはかっこよくできるようにガッツポーズの練習をしようと思っています。
星野:優勝インタビューでは、まずこの喜びを親に伝えたいとおっしゃっていましたが、喜んでいらっしゃったんじゃないですか?
松井:父親に電話したら、すごく喜んでくれていました。実家がお寺というのもあって、開催前に必ずお経をあげてくれていますし、レースも毎回見て応援してくれているので良い報告が出来てよかったです。それと、母親は昨年の9月に亡くなったんですけど、天国で同じく喜んでくれていると思います。
星野:優勝して何か変わったことはありますか?
松井:何も変わってないですね。ヤンググランプリは通過点だと思っていますし、僕より強い選手はいっぱいいます。今回は自分の得意パターンで優勝したんですが、本当に得意なのは何かまだ分かっていないですし、まだまだこれからですね。今は、脇本さん(脇本雄太選手・福井94期)みたいに圧倒的な強さが欲しいなと思います。脇本さんの持久力や、ペダリングとか技術とか、あんな風になりたいなと僕の目標ですね。
星野:そして、2020年は初めてGIでも決勝戦に進出されました。そこで連携した郡司選手の優勝に涙されていて、熱いものを感じました。
松井:ずっと、特別競輪は準決勝戦までしか行けてなかったので決勝戦に進めたことはとても嬉しかったですね。それに、同県の先輩の郡司さん(郡司浩平選手・神奈川99期)と連携出来たことも。今まで一緒の開催で郡司さんが決勝に勝ち進んでも、僕が決勝に行けなくて、郡司さんが優勝できなくて悔しそうにしているのを何回も見ていたんです。なので、いつか決勝戦で一緒に戦いたいと思っていましたし、一緒になったら僕が頑張って引っ張っていって優勝してもらいたいと思っていました。デビューしたときに聞いていた通り、郡司さんは勝負掛けのレースでもラインのために走るような選手です。昨年の小田原記念の決勝戦でも、僕が先頭で後ろに郡司さん、3番手に和田さん(和田真久留選手・神奈川99期)で、僕が先行して番手から出ても良かった展開だったのに、捲ってくる人をブロックして、僕を2着に残してくれたんです。結果、郡司さんが失格で・・・。それだけ体を張って守ってくれる先輩なんだなと。だから、僕も郡司さんと連携する時は、ラインから優勝者が出るようにって思って走っていました。郡司さんが優勝してホントに嬉しかったし、ホッとして涙が出てきました。
星野:そうだったんですね。郡司選手も、松井選手の事を熱い男だっておっしゃっていましたよ。
松井:普段は何にも考えてないんですが、レースになると熱くなるんですよね(笑)次は大舞台で郡司さんとワンツーしたいですね。
星野:さて、2021年はどんな1年にしたいですか?
松井:昨年はGIの決勝に進出できたので、まずはGIの決勝の常連になりたいですね。そして、常連になったら、賞金もプラスされていくので、S級S班になって、そして、グランプリに出場したいです。
星野:松井選手のファンにとっても楽しみな1年になりそうですね。そして、開催前に必ずされる事があると伺いました。
松井:美容院ですかね!月2回は行っています。短い髪なんでまめに行かないとすぐにスタイルが変わってしまうので、競走前はビシッと決めたいじゃないですか、ヘアスタイルが決まると気合いも入ります。
星野:では、最後にオッズパークの会員の皆様へメッセージをお願いします。
松井:見た目はいかつそうですが、人間味あふれる熱いレースをするので、こんな時期ですが、競輪場やテレビでレースを見ていただけたらと思います。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社