8月に行われたオールスター競輪でのガールズドリームレースで優勝をした石井寛子選手(東京104期)。レースの振り返りと現状の成績や活動、また年末へ向けてのお話をお伺いしました。
山口:ガールズドリームレース、優勝おめでとうございます。
石井:ありがとうございます。
山口:率直なお気持ちはいかがですか?
石井:嬉しかったんですが、走っていて「今後どうしよう...」と思いました。
山口:具体的にはどういうところですか?
石井:私が勝ったことによって碧衣ちゃん(福岡108期・児玉碧衣選手)の強さを身に染みて感じたレースでした。本当に嬉しかったんですが、レース後にはどう対策を立てようかも全く思い浮かびませんでした。
山口:すんなり児玉選手の後ろを取れたら勝てるけど、そうではない場合は、ということですか?
石井:「勝てる」ではなく「今回はたまたま勝てたけど次はそうじゃない」という感じです。今回以上の良い展開はないだろうし、今度もそういう展開にはならないと思います。
山口:他の選手も、石井選手にあの位置を取られたら厳しいと思うでしょうしね。
石井:どうでしょうか。他の選手はどうかわかりませんが、今回に関してはただ碧衣ちゃんの強さを凄いなと思いましたね。
山口:どのあたりで特に強さを感じましたか?
石井:碧衣ちゃんがダッシュをした時に、私も踏んでついていき良い位置を取れました。最終バックストレッチも2番手の位置だったので「これは差せるかもしれない」とは思い、自分の好きな展開にはなったんです。
でも、終わって上がりタイム(残り半周のタイム)を見たら、碧衣ちゃんが11秒7の逃げで私は11秒6の差しでした。11秒6って私の自己ベストなんです。逃げてこのタイムなら、捲りだと多分もっとタイムが良いはずですよね。
今回のこの絶好の展開だったから優勝を出来ましたが、他の作戦だと絶対に自分の優勝はなかったとタイムを見て確信しました。本当に今後の対策をどうしようか難しいです。
山口:ただ、この優勝はひとつの大きなものだと思いますが、いかがですか?
石井:そうですね。賞金ランキングでも上位にいるので、まだ確定ではありませんが、年末のオッズパーク杯ガールズグランプリ出場も大丈夫かなと思えたのが嬉しいです。
山口:今後は年末へ向けて集中できますか?
石井:そうですね、そのようにしていきます。
山口:いつも思うのですが、勝負所では必ずと言っていいほど好位にいるイメージです。レースで展開を作っていくのは何パターンくらい考えるんですか?
石井:メンバーを見て、最高のパターンと最悪のパターンを含めて最低でも5パターンくらいは展開を考えます。私の場合は、レースは頭脳戦ですね。出たとこ勝負は今までで一度もありません。
山口:そうなると相手の走り方も把握しないといけないですよね。
石井:そうですね。そこをしっかり把握して想定しておきます。新人選手もまだバッチリ把握はしていませんが、どんな感じでレースをするのかは何走かのVTRなどを見て情報収集をしています。
山口:それが想定外の時はありますか?
石井:うーん、あるんですがそこまで多くはないですね。最悪の負けパターンも考えて「こうならないようにしよう」と思って走るのでそんなにないです。
山口:道中で負けパターンの展開になってしまった時はどう修正しますか?
石井:「あ、これは負けたな」と思います(苦笑)。もちろん立て直しに行くんですが、できない時ももちろんありますね。その時には、やっぱり道中から展開想定をしたように走らないとだめだな、そうならないようにしようと改めて思います。
山口:今後はまず競輪祭でのガールズグランプリトライアルレースがありますがどのような走りをしたいですか?
石井:走り方が難しいですね。各グループで優勝をしたらグランプリに出られるレースですが、私はほぼ賞金ランキングでの出場が決まっています。もちろん出るからには優勝を目指して走りますが、一緒のグループに小林優香ちゃん(福岡106期)がいるので、優香ちゃんに対してどう戦うかがポイントかなと思います。
ナショナルチームで世界のトップ選手たちと戦っている彼女と自分との間にどれくらい差があるのかは知りたいなと思います。
山口:先ほどは対戦した児玉選手のお話もありましたが、小林選手の存在は意識されますか?
石井:そうですね。優香ちゃんはトップレベルだし、今スピードなどもナンバーワンだと思います。対戦してそれを体感したいです。
山口:今後、ご自身では年末へ向けてどのように練習に取り組んでいきたいですか?
石井:体づくりをもう一度やり直したいのと、今年は怪我や病気を例年より多くしてしまい、そのたびにできあがっていた体が戻ってしまうことが多かったので基礎トレーニングをメインにしていきます。
山口:タイムのお話も出ましたが、直前で良いタイムが出るのはモチベーションにもなりますか?
石井:そうですね。数字は大事だと思います。タイムだけではなく、ウェイトトレーニングでも、●kgあがったなど気にしています。感覚としては、男子選手のダッシュに楽に追走できたかなど、そちらで実感することが多いですね。
山口:戦法として追い込み主体のレースをされているからこその感覚なんでしょうか。
石井:それもあると思います。スキル重視でいきたいです。
山口:今後の目標は何でしょうか?
石井:やはりガールズグランプリをもう一度勝ちたいです。しかし今はもう一つ目標があり、来年3月のガールズケイリンコレクション(福井・ウィナーズカップにて)に出場するための選考期間(12月まで)なので、それも出られるように走っています。
山口:本当に1年通して、本当にずっと戦いは続いていきますね。
石井:そうですね。まだグランプリに向けてやっているということは徐々に上がっていっているということなので、10月11月も頑張れるんじゃないかと思います。
山口:先日の台風への寄付もされましたが、今までも何度か寄付はされています。どんな思いでしょうか?
石井:大きいレースを優勝したら寄付をしようと決めています。今回はガールズドリームレースを勝ったので被害の大きかった佐賀と千葉へ寄付しました。また台風19号も重なってしまって、ちょうど私も走っていた川崎ナイターも1日順延をしました。
その川崎を優勝できたので、優勝賞金の一部からもしたいと思っています。やっぱりガールズケイリンができたことが何よりも感謝することだと思うので、その恩返しをしたく自分のできることをしています。
山口:私個人的にですが、トップ選手がそういう活動をされるのは影響力が大きいと思いました。
石井:皆さんにそう思ってもらえたら良いですけどね。私のお金だけでは全然足りないので、私は私のできることをして、それが他の方へも波及して少しずつ積み重なっていけば良いですね。今後も大きなレースや節目の時には続けていきたいです。
山口:ガールズケイリン選手では初めて、獲得賞金が1億円を突破されました。それについてはいかがですか?
石井:自分ではそこまで意識はしていなかったので、記者さんから聞いて「そうなんだ、1億円突破したんだ」という感じでした。ただ、そのニュースをたくさん記事にしてもらったことで多々声を掛けていただけるようになり、プロスポーツ選手としてはとても大切なことだと思いました。
山口:なるほど。プロだからこその夢のある金額ですもんね。
石井:稼げるということを示していけるためには必要だと思います。自分がピックアップしてもらった記事を見てガールズケイリンを始めたいと思ってくれたら最高だなと思います。
山口:そうですよね、ありがとうございます。今後まだレースは続きますが、最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
石井:10月11月は1着を狙って点数を上げていきたいですし、今後ガールズグランプリへ向けて頑張っていきます。後、今(10月下旬)優勝回数が90回になったので100回を目指して頑張りたいです。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
-------------------------------------------------------
※写真提供:公益財団法人 JKA
デビュー以来力強い走りでファンを魅了している梅川風子選手(東京112期)。近況や年末へ向けての思い、また9月21日に行われた【オッズパークpresentsガールズケイリンDAY2019in帯広競馬場】のイベントへ参加した感想もお伺いしました。
山口:まずはばんえい競馬のイベントはいかがでしたか?
梅川:個人的に仕事を忘れるくらい楽しかったんですが、もう少しPRできたら良かったなと思いました。
山口:盛り上がっている様子はSNSやガールズケイリンのホームページでも拝見しましたが、PRは少なめだったんですか?
梅川:なかなかふるまいが難しい部分でした。ばんえい競馬さんでのイベントですから、イベントの盛り上がりが最優先だと思うんですが、もう少しガールズケイリンのPRは上手くできたんじゃないかと思いました。
山口:そうなんですね。馬にガールズ選手がそれぞれ乗り行われた摸擬レースもあったそうですが、いかがでしたか?
梅川:思った以上に勢いがありました。まるでジェットコースターに乗っているような感覚で、見ているより乗っている方が、迫力がありました。
山口:摸擬レースがあるというのは事前に知っていたんですか?
梅川:そうですね、昨年のイベントの様子も見ていたのでレースがあるのは知っていました。事前に練習というか試走があったんですが、その時にも振り落とされそうなくらい勢いが凄かったのでとても緊張していたんです。
騎手さんも「練習より本番の方がもっと勢いがあるよ」と仰っていたのでかなり緊張して臨みました。スタートのときは必死でしたね。
山口:動画も拝見しましたが、かなりスピードが速いように感じました。
梅川:エキシビションレースということもあって重量も軽く、騎手さんも意識して速く走っているようでした。なので、あの動画は普通のばんえい競馬のレースとは少し違ったんです。
私たちはソリに立っている騎手さんの前に座っていたんですが、後ろから聞こえてくる騎手さんの掛け声や雰囲気は今まで感じたことのない世界だったので、かなり刺激にもなりました。
山口:ご自身がレースを走っているときと共通する部分もありましたか?
梅川:そうですね。騎手さんと馬と、それぞれについて自分のレースと重ね合わせて見ていたんですが、結構共通する部分があって面白かったです。
仕掛けるポイントとかもですが、レースの前の騎手さんの様子も間近で見させてもらって、競輪とは違った雰囲気でその辺りも刺激的でした。
山口:トークショーなどはいかがでしたか?
梅川:そこでもう少し盛り上げられたら良かったなと反省だったんです。ガールズケイリンを知ってくださっている方もいたんですが、観光で立ち寄ったという方が多かったので、もう少しPRできたらなと。直接声を掛けてくださる方もいてそういう方は「女子もあるんだよね」と言ってもらえました。
山口:今度行くよ、という声もありましたか?
梅川:そうですね。そういう方は元々ガールズケイリンを知ってくださっている方だったんですが、北海道の方にももっと知っていただけたらなと。どうしても帯広競馬場のあたりと競輪場のある函館は遠いので、もう少し場外発売場などと連携できたら楽しいのかなと感じました。
山口:ありがとうございます。では近況のお話をお伺いします。近況振り返っていかがですか?
梅川:地元の京王閣は決勝で負けてしまったので悔しい気持ちはあるんですが、負けても学ぶものがあるのが非常に大きいと思います。勝つことは大切ですが、負けたときの悔しい気持ちが今後の原動力になります。
山口:それまで連勝が続いていましたね。
梅川:はい。もしあそこで勝っていたらその先に何があったか、慢心が出るのかも知れないと思っていましたし、負けたことで気を引き締められるというのが今後に繋がると思います。自分の弱さを受け止めて、また年末へ向けて頑張っていきたいです。
山口:最近の戦法について、以前のような徹底先行ではなく捲りの決まり手もついています。変化は意識していますか?
梅川:基本的に走るときは先行を第一に考えて組み立てるのは変わりません。レースは相手もいますから、勝つためには自分の自信のあるポイントから仕掛けたいという思いでいます。負けてしまうときにはそのポイントをしっかりと考え直さなくてはいけないなと反省点もありますね。
山口:無理やり先行争いをしてまでも、ということですね。
梅川:それもあります。ただ無理やりでも仕掛けることが必要な場面もあると思うので、それは相手次第なので、どう判断するかというのは大切だと思います。
山口:今の強化ポイントはどこですか?
梅川:体力的にパワーアップをしていかなければいけないのは一番にあるんですが、次に必要なのは心身の安定なのかなと思います。
山口:小倉の競輪祭での『ガールズグランプリトライアル2019』にも出場が決まりました。昨年は優勝してオッズパーク杯ガールズグランプリへの出場を決めた大会ですね。
梅川:本当はグループABと分けるのではなく男子のように一つのトーナメントで争った方が、お客さんにとっては面白いんだろうなと思いますが、今の決まりで2人がそこで決まるというので、メンバーは半分に分けられています。今でも十分強い選手ばかりが集まっているんですが、本来はこの倍、一つのトーナメントやそれこそグランプリならもっと濃いメンバーになります。それを想定して走りたいです。
山口:賞金ランキングでも上位(10月初旬で第5位)にいらっしゃいますが、意識はされますか?
梅川:今年の初めには全く意識はしておらず、一戦一戦走ってきたら今の位置でした。今は全く意識しないとは言えないですが、自分のモチベーションとしては一戦ずつ大切に走っていくのが大事かなと思います。
山口:ランキングも接戦ですが焦りはないですか?
梅川:どうしてもタイトルを取っていない選手たちの争いは毎年接戦になるので、そこは仕方ないと思っています。現状でのグランプリへの賞金争いだとどうしてもそうなってしまいますし、そうなると僅差になります。だからこそ一戦を大切に走りたいです。
山口:昨年のガールズグランプリは初出場でしたが、今年は立川で地元開催ですね。
梅川:やっぱり1年の中で一番素晴らしいレースだと思うので、そこに出場できるのは光栄なことですから、出られずに悔やむよりは、出場してそこで良いレースをする事が一番かなと思います。ホームバンクではありませんが、地元地区の立川で開催なので、応援してくださっている方もたくさんいらっしゃると思います。地元ファンの皆さんの前で勝つ姿を見せることはなかなか数少ないので、そういう場所にはいきたいですね。
山口:ビッグレースでの戦い方はいかがですか?
梅川:難しいです!でも、それが一番精神的に成長しなければいけない部分だと考えています。自分の脚力を信じることも大切ですが、やっぱりその場に応じた戦法やそれに対応できる能力をどんどん引き出していくこと、冷静な判断力が大切だと感じています。
山口:ありがとうございます。最後にオッズパーク会員の皆様へ、今後の意気込みをお願いします。
梅川:一戦一戦大切にして、ファンの皆様へ勝つ姿を届けたいです。自分自身もそれを望んでいますし、その姿を見せられれば良いなと思うのでこれからもよかったら応援してください。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
-------------------------------------------------------
※写真提供:公益財団法人 JKA
8月名古屋のオールスター競輪で行われたアルテミス賞レースで、ファン投票第14位でビッグレース初選出の荒川ひかり選手(茨城110期)。近況の振り返りと、9月21日に行われた【オッズパークpresentsガールズケイリンDAY2019 in帯広競馬場】のイベントへ参加した感想、今後の意気込み等をお伺いしました。
山口:まずは、ばんえい競馬でのイベントはいかがでしたか?
荒川:すごく楽しかったです。なかなかばんえい競馬は見る機会がないですし、初めてがあんなに間近で見られたのは貴重でした。思っていたよりも迫力があって馬もマッチョでした。サラブレッドと比べると足もかなり太くて筋肉質で、そこにいるだけで迫力満点でしたね。
山口:SNSでも馬券を買った写真を更新していらっしゃいましたね。
荒川:レースも生で見て、障害の前で馬が休む場面があるんですがそれが可愛かったです(笑)。競輪ではレース中に休むのは絶対にない場面ですから(笑)。
山口:そうですよね(笑)。ガールズ選手が騎手の方の前に乗って走るエキシビションレースもありましたが、それはいかがでしたか?
荒川:レースを見ているよりも乗った方がスピード感を感じました。特にスタートのゲートが開く瞬間のパワーがすごくて私もびっくりしてしまいました。ファンの方が写真を撮ってくださっていたものを後から見たんですが、かなりびっくりした情けない顔をしていました(笑)。それくらい迫力が凄くて必死にしがみついていました。
山口:私も拝見しましたが、表情の変化が素敵でした(笑)。走っている最中はどのような感じだったんですか?
荒川:本当はところどころ休ませてあげないといけなかったようなんですが、それを全然知らなくて私はずっと前進させてしまいました。最後の障害の手前で休ませて、そこから一気に坂を越えるようなのですが、そのまま坂に突入してしまったんです。なので、ゴールした後、馬の息がすごくあがっていて申し訳なかったです。でも頑張ってくれている感じが凄く感じられて嬉しかったですね。馬と騎手さんの息がぴったり合っている気がして信頼関係が見えました。一緒に乗せてもらって、見ているだけではない、また違った見方ができたと思いました。
山口:トークショーもされたそうですがいかがでしたか?
荒川:家族連れの方も多くて「帯広に来たから、観光でばんえい競馬を見に来た」という方も多かったようです。そういう方とは一緒にばんえい競馬を学びながら1日過ごしました。トークショー以外にもお出迎えのときにパンフレットを配っていたんですが、そのときにもお話する機会があり身近に感じてもらえたと思います。
山口:ガールズケイリンへの反応はいかがでした?
荒川:知らない方もたくさんいらっしゃいました。このイベントをきっかけに見て頂けたら良いなと思ってトークショーのときなどにPRをしました。
山口:ご自身の名前を冠にした「荒川ひかり賞」もありましたね。
荒川:すごく嬉しかったです!写真もたくさん撮りました(笑)。もちろん場内で放送されているのもですが、実況の方が「荒川ひかり賞はじまります」と言ってくださっていて、それが嬉しかったです。帰ってからもばんえい競馬さんのVTRを見ました。
山口:記念になりますよね。
荒川:はい。馬券も自分の賞のものは買いました。今も大切にとってあります。
山口:荒川選手は今までにイベントの参加も多かったと思いますが、また普段とは違った雰囲気でしたか?
荒川:そうですね。とにかくすごく楽しかったです。ばんえい競馬は茨城からは遠いですし、世界で唯一のレース形態なので普通の競馬とはまた違う感じで、初めて知ることがたくさんありました。そこでのイベントでPRさせてもらったのは嬉しかったです。
山口:ありがとうございます。それでは近況のレースの振り返りで、まずはアルテミス賞レースのお話を伺います。初めてのビッグレースはいかがでしたか?
荒川:まずはファンの皆様に選んで頂いてすごく嬉しかったです。なかなか自分の実力で大きいレースで走ることはまだないので、大きいレースにのれてそこで走れたということは自分では成長に繋がった、繋がっていると良いなと思います。
山口:レースの最中はいかがでした?
荒川:当日は台風の影響もあり風が強く、それが私にとっては有利に働いたと思います。前で、自分で展開を作る選手の後ろから攻めるレーススタイルなので風もそこまで感じずにレースができました。その結果、確定板に入れたと思います。目標は確定板だったので、そこが一番うれしかったです。
山口:手ごたえは感じられましたか?
荒川:選んでもらったからには車券に貢献できるようなレースをしたいという思いが強く、それを達成できたので良かったと思います。レース展開はアクシデントもあったので何とも言えないのですが、結果として車券に貢献出来たことが一番嬉しかったです。
山口:アルテミス賞レースに臨むまでというのは、練習などはいかがでしたか?
荒川:レースが詰まっていたので、アルテミス賞だけに向けて特別な練習というのはできなかったんですが、それまでのレースもアルテミス賞へ向けて調子が上がっている感じだったので、良い感じで入れました。
山口:一つビッグレースを経験して、今後の目標というのは出来ましたか?
荒川:ビッグレースを経験しての目標ではないんですが、優勝がまだ一度しかしていないので、早く二度目の優勝をしたいという気持ちでレースを走っています。大きいレースというよりも身近な普段のレースで勝って箔をつけたいと思います。
山口:近況は決勝も連続して乗っていらっしゃり、安定感が増したように思いますが、ご自身ではいかがですか?
荒川:そうですね。成績は安定してきたと思います。着にも絡めていますし。
山口:9月平塚の予選2のレースが素晴らしかったと思いました!
荒川:初日が何もできずに6着に終わってしまってとても悔しく、2走目に絶対1着を取って決勝に繋げなければと思って走りました。多分1着じゃないと決勝にはいけなかったと思うので運は良かったと思いますが、気持ちは入っていましたね。
山口:普段のレースはどのような気持ちで走っていますか?
荒川:少し前までは初手から好位を狙って走っていましたが、今は好位が取れなかったとしても臨機応変に走ってどう着に絡むかを考えています。自ら動いても後方にはならないように組み立てています。今は116期の新人選手がどう動いてくるかわからないので、想定と違うレース展開にもなり難しい部分ですが、うまく走れるようにしたいです。
山口:114期、116期の選手は位置取りを重視してレースを進める選手も多い印象があります。
荒川:そうですね。そういうタイプの選手も多い気がしますが、多分自分のレーススタイルが定まっていないんだと思います。なので、レースによって動き方が違うから実は戸惑いもあります。それに惑わされない様にとにかく臨機応変に走りたいです。
山口:練習で強化したい部分はどこですか?
荒川:いざとなったら自力が出せるようにはしておきたいので、自力の練習はしていかないといけないと思っています。
山口:取手には他県のガールズ選手も練習にいらっしゃるんですか?
荒川:そうですね、同期や関東の子は結構来てくれます。そういうときにレーススタイルの練習をしたり、女子同士だと自力の練習もできるので良い刺激になっています。良い練習環境を次の結果に繋げていきたいです。
山口:それでは最後にオッズパーク会員の皆様へ今後の意気込みをお願いします。
荒川:まずは一戦一戦、着に絡めるように走ることと、あとはまた優勝をすることを目標に頑張ります!
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
-------------------------------------------------------
※写真提供:公益財団法人 JKA
先日の共同通信社杯競輪で優勝を飾り、これで今年の賞金ランキングは7位にジャンプアップ!初のグランプリが大きく見えてきた郡司浩平選手(神奈川99期)。今年これまでの戦いの振り返りと、後半2つのGIを控えての課題、南関地区の仲間への思いなど、じっくりとお話を伺いました。
橋本:まず、共同通信社杯競輪優勝おめでとうございます!
郡司:ありがとうございます。
橋本:今回は単騎での戦いで優勝をモノにしました。振り返って勝因はどのあたりにあったでしょう。
郡司:とにかく気負わずに、いい意味で気楽に臨めたのが大きかったですね。気楽に臨みながらも、ラインがあるつもりで、それは意識して走りました。それが良かったんじゃないかと思います。
橋本:4日間の中で早めに仕掛けていくようなレースもありましたし、その辺りも収穫があったんじゃないですか?
郡司:そうですね。最近は南関地区にも若くてイキのいい選手がどんどん出てきていて、番手を回るケースも増えてきたんですが、やっぱり前で勝負する以上は、しっかり仕掛けるべきところで仕掛けよう!そんな思いで戦っているので、自力で結果が出たというのは自信に繋がりますね。
橋本:共同通信社杯は単騎で優勝、その前の小田原ではラインの力で優勝。対照的でしたね。
郡司:小田原はホントに根田(空史選手・千葉94期)さんの頑張りに尽きるんですけど、やっぱりその気持ちに応えなきゃという思いが強くて、共同の時とは違うプレッシャーを感じましたね。
橋本:素人目には絶好の展開で!負けようがないと感じましたが、それでも郡司さん自身はヒヤヒヤだったんですか?
郡司:これまで南関4人で連携しても、決勝戦でうまくいかなかったことも何度かあって、周りは「絶対に勝てるだろう」なんて目で見ていると思いますが、確率は高くても絶対はないので。それと、相手にはある程度作戦も読まれていますからね。その中でしっかり作戦通りにレースを作るというのは難しいと感じます。
橋本:確かに、相手も警戒してくる訳ですからね。
ただ、こういうラインの力でキッチリ決めるようなレースが増えてくると、地区のムードは変わってくるでしょうね~
郡司:そうですね。今は南関地区、ムードが良くなってきていると思いますよ。
橋本:そんな中で郡司選手は、地区の柱というような存在になりつつあると思うんですが。
郡司:そのような意識は持って戦うようにはしていますね。それが出来ているかどうか?は自分ではわかりませんが、とにかく若い選手には走りで見せること、それが一番大事なことだと思いますね。とにかく自分が後ろについた時には、前の選手が頑張ろう!という気に自然となってもらわないと。やっぱり信頼関係が大切ですからね。
橋本:前で勝負したり、若い選手の番手につけたり。日によって求められる役割が変わってくるのは大変だと思いますが、戸惑いはありませんか?
郡司:正直、以前は番手の仕事がうまくできずに迷惑をかけるようなこともあったのですが、最近では場数もこなして、番手の競走になってもレースが落ち着いて見れるようになってきた、という実感はありますね。なので、最近は戸惑うようなことはありません。
橋本:2年前にウィナーズカップで優勝した時と、今回の共同通信社杯での優勝は同じGIIでも意味合いが違う、というような発言を直後にされていましたが、具体的にどう違うと感じたんですか?
郡司:ウィナーズの時は、まだそんなにタイトルが手の届くところにあるとは、自分で思っていませんでした(笑)でも、結果として優勝できた。今回は周りの見る目も変化して、南関地区の中でも自分の地位というか、そういったものも上がってきているように感じますし、その中で結果が出せたという。自分の中での意識の違いですね。
橋本:確かに。あれから着実に結果を残してきたからこその変化ですね。そんな地区の責任を担うべきポジションの中で若い選手に求めることは何かありますか?
郡司:脚力だけを考えると、自分より長い距離で勝負できる選手はたくさんいるし、強いと思います。どんどん主導権に拘って勝負する、闇雲に行くというのは悪いことではないと思うのですが、いつもいつも思うようなレースが出来る訳ではないので、もし、先手を取れなかった時にどうするか?上でのレースをどんどん覚えて、ポイントポイントをしっかり把握していくと、先行するにしても、もっと楽に先手を取れるんじゃないかなとは思いますね。その辺はアドバイスというほどのものではないですが、一緒に戦った時には同じ失敗を繰り返さないように、というのは意識してますね。
橋本:郡司選手自身、長い距離での勝負というのは今後どう考えてますか?
郡司:最近は逃げの決まり手もないんですが、いけるタイミングがあれば、勿論勝負するつもりですし、それを周囲に見せるというのは大切だと思いますね。勝負すべきチャンスが来たら、長い距離でもいきますよ。
橋本:ただ、新ルールの影響もあって、長い距離を仕掛けるにしても以前とは考え方を変えないといけないところもあるように思うのですが、その辺りはどうでしょう?
郡司:今は新ルールについては嫌だなぁ、という感覚はないですね。ただ、オールスターの決勝なんかは斬りに行くつもりで動いたら突っ張られてしまって、斬れずに終わってしまった。誘導のペースがかなり上がっていて、難しかったですね。あの時も、もっと対応の仕方があったんじゃないかなと思いますけど。でも、あまり考えすぎても仕方ないので、今はあまり意識しないようにはしています。
橋本:意識のしすぎは何事もよくないですもんね。で、そういう意味では、今回ランキングが7位にまで上がりました。初のグランプリに向けて周囲の盛り上がり、ご自身の意識というのはどうでしょう?
郡司:「もう、絶対に大丈夫だよ」なんて周りには言われるんですが(笑)まだ、確定ではありませんので、とにかく気を抜かないように、ということですね。ランキングで同じくらいにいる清水(裕友選手・山口105期)や松浦くん(悠士選手・広島98期)なんかとも話しますが、みんなまだまだ油断できないって感じですね。
橋本:ここから2つのGIはそんなプレッシャーとの戦いという部分もあると思うのですが
郡司:おととし、競輪祭を迎える段階で賞金ランキングが10位だったんですよ。これは狙えるという意識で臨んだんですが、気負ってしまって結果が出せずに終わりました。その時の悔しさ、気持ちは忘れていないので、その時よりも気持ちも体もいい状態にもっていけると思っています。
橋本:平常心と口で言うのは簡単ですが、こんなに難しいことはないと思います。気負わずにレースに臨む為には何が必要でしょう。
郡司:とにかくレース前に不安を残さないことですね。しっかり練習をやってきた。その裏づけが自信になり、その自信が気負わずにレースに臨む力になると思いますね。
橋本:そうですか、では改めて最後にオッズパーク会員の皆さんへ今年後半戦に向けてメッセージをお願いします。
郡司:とにかく1戦1戦、悔いのないように走ります。もちろんGIの優勝を狙うつもりで戦いますので応援よろしくお願いします。
橋本:小倉の競輪祭でお待ちしていますので、そこでバシッと決めてください!楽しみにしています。
郡司:わかりました!頑張ります(笑)
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 橋本悠督(はしもとゆうすけ)
1972年5月17日生。関西・名古屋などでFMのDJを経て、競輪の実況アナウンサーへ。
実況歴は18年。最近はミッドナイト競輪in小倉を中心に活動中。
番組内では「芸術的なデス目予想」といういいのか悪いのかよく分からない評価を視聴者の方から頂いている。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
9月に行われた地元青森記念で優勝。更に兄弟ワンツーも決めた新山響平選手(青森107期)。2016年函館記念でのGIII戦初制覇から、ケガで苦しい時期を乗り越え、今年はすでにGIII戦V2。その好調の要因、そして、次のビッグレース寛仁親王杯への意気込みを伺いました。
星野:まずは、青森記念優勝おめでとうございます。振り返っていかがですか。
新山:内容は良くなかったのでいい点数はつけられないけど、結果優勝できたので良かったと思います。兄(新山将史選手・青森98期)とも同じ開催で走らせてもらってのワンツーだったので最高の形でしたね。
星野:決勝戦は藤根俊貴選手(岩手113期)が先頭を走って、北日本の結束も感じました。
新山:決勝戦に北日本がたくさん乗ってあのレースができたのは嬉しいけど本当はラインで決めたかった。今後、後輩も出て来て2番手を回ることもあるだろうし、ラインで決められるレースと言うのも考えていきたいですね。
星野:そんな気持ちがまた北日本の結束に繋がっているのかと思いますが、今回、藤根選手は自分のレースを完璧だったとおっしゃっていましたよ。
新山:僕から見ても落ち着いていたし、仕掛けたタイミングも掛かりも完璧でしたね。だからこそ、余計に前とワンツーを決めるレースがしたかったんです。
星野:新山選手にとっては初めての2番手戦でしたが、それについてはどうですか?
新山:後輩があれだけ行ってくれ、後ろに兄と伊藤さん(大志選手・青森86期)もついてくださって、負けるわけにはいけないって気持ちと失敗できないって気持ちで前を走るときより緊張しました。
星野:初めてのGIII制覇から3年、苦しい時期もあったかと思いますが。
新山:練習を変えたり生活を変えたりと色々試したけれど結果が出なくて苦しかったですね。ただ去年の後半からちょっとずつやってきたことが出ているなあという感じはありました。
星野:その中でナショナルチームBに参加されたのは大きかったですか?
新山:そうですね。自分で色々考えて試していることは半信半疑な部分もあります。だけど、疑問に対して一流の答えが返ってくるのが大きいですね。
タイムの伸びも数字でわかるし、気持ちの面でもやれているという実感がもてるので自信につながっています。
星野:そもそもナショナルチームに参加されるきっかけはなんだったんですか?
新山:選手になる前から競技はやっていて好きだったので興味はあったんですが、自分は「競輪選手」というのもあり、両立するイメージが湧かなかったんです。でも、両立している選手も実際にいるし、監督からもある程度両立できる環境だと言う話を聞かされて決断しました。今から思うともう少し早くに決断していたら良かったなと思っています。
星野:そう思えるのは今が充実しているからじゃないですか?
新山:そうですね。強い人たちと同じ空間で練習できるのも良かったし、何より東京オリンピックは間に合わなかったけれど、オリンピックを目指す機会をいただけたのはよかったです。
星野:そして、そのトレーニングが競輪の結果に繋がっていますもんね。
新山:こんなに早くに結果が出るとは思ってませんでした。新ルールになったのも僕にとっては追い風だったと思います。なので、これからが楽しみで仕方ないですね。
星野:競技をやってみてわかる競輪の魅力はありますか?
新山:やはり、ラインですかね。競技は6人で走るのですが、1人1人警戒しないといけない。守ってくれる人がいないので、より集中力も必要になります。ラインに助けられていたんだなと改めて思いました。
星野:これも青森記念の決勝戦の話に繋がりますね。さて、今ご自身の競走スタイルについてはいかがですか?
新山:青森記念は優勝を目標にしていたというのもあり、先行は1回しかしてませんでした
今はそこがクリアになったので、もう1回先行で力をつけていけたらと思っています。
星野:次の目標はどこにおかれますか?
新山:なるべく早くナショナルチームのAチームに上がること。そのためにタイムを出していきたいですね。
星野:競輪の目標はどうですか?
新山:競輪ではGIで活躍したいです。寛仁親王杯ではしっかりと優勝を狙っていきます。
星野:では、その寛仁親王杯に向けての意気込みとオッズパーク会員の皆さんにメッセージをお願いします。
新山:しっかり北日本を引っ張っていけるように、積極的に仕掛けてGIで勝てるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いします。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 星野めぐみ
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社