バイク経験のない同期の頑張りに刺激を受け自分を追い込む渡辺篤選手(浜松31期)。目指すはグレードレースでの活躍そしてタイトル奪取です。これまでのバイク経験はもちろん今年に懸ける思いをお聞きしました。(インタビュー取材は1月5日です。)
インタビュー / 内野久照
内野:まず初めに渡辺選手のバイク人生、バイク歴を教えて下さい。
渡辺:15歳からミニバイクに乗りました。50ccでレースを始めました。
16歳からロードの道へ進みSRSスガヤSUZUKI系に所属しました。
アマチュアから20歳でプロになりました。SUZUKIのテストライダーです。
その時にタイムが良くて契約レーサーになる事になりました。
内野:ロードレースで結果を残されていますね。
渡辺:はい。全日本ロードレースJSBクラスで年間チャンピオンに2回なりました。
ロードレーサーの最後の2年間はイギリスでした。その時31歳でした。
2年後はどうする?その先は何を求めて行くかを考えた時にこのままではステップアップは出来ないと思いました。
クラスを上げて行く事も考えましたがレベルを高く上げて行く事はイギリスでは出来ないと感じました。
このままではこれ以上のレベルアップはないと判断しオートレーサーに転身する事を決めました。
内野:オートレースを選ばれたのは何故ですか?
渡辺:まず、オートレースは選手寿命が長いという事です。
そして、バイク人生、これからの先を目指しレベルアップできる職業だと思ったからです。
内野:オートレースの存在は?
渡辺:浜松在住でしたのでもちろんオートレースの存在は知っていましたしレースも見に行っていました。
青木治親(川口29期で元ロードレース世界チャンピオン)さんが活躍していた事もあり興味があったのも事実です。
内野:ロードレースとオートレースの違いは?
渡辺:ロード時代も整備をしましたがプロになってからは走る事だけを考えられました。
レースに集中するという環境だったのです。
オートは走る前に競走車の準備を自分がやらないといけないです。
最初は面倒くさいなと思っていましたが今はそれが楽しくなっています。
内野:整備も好きになったのですね?
渡辺:1級車(2級車500cc、1級車600cc)に乗り替わってからハンデが下がり結果を出せなかったのでそこから整備に没頭するようになりました。
自分でやった事が良くても悪くても結果に繋がるのでそれが楽しくなってきました。
整備に悩んだ時は勝つ為に何が必要かを先輩・同期に教えてもらったりもします。
内野:オートレースで苦労した事は?
渡辺:体型ですね。
ロードでは今より20kg多くて75kg程ありました。現在は60kg少しオーバーです。
50kg台に落そうとすると体力がなくなり体が動かなくなる。集中できなくなる。
追い込んで痩せたい気持ちはあるのですが自分の甘さが出ているのでしょうね。
女子選手も入ってきたし地元の後輩、鈴木宏和選手(浜松32期)のように軽量選手も増えています。
軽量レーサーはスタートから伸びは違うし痩せている人はうらやましいなと思います。
今年は痩せる為に家族ぐるみで協力してもらっています。
周りに協力してもらって20歳のころの55kgを目指しています。
内野:昨年はいかがでしたか?どんな目標で取り組んでいたのでしょうか?
渡辺:いつもそうなのですが一走一走しっかり走る事が第一の目標です。
昨年はGI、GIIと記念での優勝戦進出はありましたが、優勝はなく車券にも貢献出来なかった事は悔やまれます。グレードレース優勝戦での活躍は中々出来ていないですね。
ただ、一般戦ですが優勝が1回ありましたので悪い年ではなかったです。
昨年はこれまでの選手生活で1着本数が1番多かった年でもありました。
7番8番と枠番が厳しくなった中レースで1着が取れたことは自分でも良かったと思います。
内野:昨年の活躍出来た要因は?
渡辺:同期の活躍が刺激になっています。
31期はバイク経験者が多い期です。バイク経験のない山陽31期・丸山智史や飯塚31期・鐘ヶ江将平がS級になり最重ハンで活躍している。
鐘ヶ江はSGの優勝戦に出場しました。同期の頑張りや活躍が原動力になり刺激になっているのは事実です。
内野:レースでの決め事はありますか?
渡辺:練習以上の事はレースではしないようにしています。
山陽オートの若獅子杯新走路で落車しました。
人を落としてしまい自分も怪我を負いました。
それから練習以上の事はレースでしないように心がけています。
たまに実力以上の事が出来て上手く行く事もありますが、自分の意志では絶対にやらないようにしています。
一度大けがをしたことでそう考えて行動するようになりました。
内野:慎重に立ち回っているのですね?
渡辺:自分の性格自体が慎重なんだと思います。石橋を叩いて渡るタイプです。
内野:得意なレース場はどこでしょう。
渡辺:西が得意です。結果が出ているし環境が良いですね。走りやすい。川口も好きですが伊勢崎が苦手です。(その後1月13日伊勢崎GIで優出、2月9日伊勢崎ナイター6アフターで優勝)
ロッカーに恵まれています。
地元浜松はもちろんですが山陽では佐々木啓選手(山陽23期)、角南一如さん(山陽27期)、穴見和正さん(山陽12期)のロッカーですし川口ではグループは違うのに若井友和さん(川口25期)を始め皆さんにお世話になっています。
伊勢崎では伊藤正司選手(伊勢崎20期)の周りにお世話になっています。
飯塚のロッカーは特に心強い。松尾学さん(飯塚22期)の所に入れて頂いています。篠原睦さん(飯塚26期)や荒尾聡さん(飯塚27期)が居てピリッとした感じが良い。『頑張らないと』と気持ちが入る。
練習量はもちろんですが仕事に対する姿勢や整備に関して勉強になりますし刺激を受けています。
こう考えてみると年下の先輩にお世話になっていますね(笑)
内野:ライバルは?
渡辺:ライバルはいない。特に意識していない。
あっ!動かない時の自分のエンジンがライバルかな(笑)
エンジンは生き物ですからね...。整備が下手なので動いてくれるように自分が手を動かします。
内野:同期の存在は?
渡辺:良い具合に年齢が離れているしすごく良い感じで付き合いが出来ています。
年下の同期はいつも気を遣ってくれている。
内野:レース開催が終わってからのストレス解消法は?
渡辺:飼いネコと遊ぶことです。
内野:浜松でオススメスポットは?
渡辺:オートレース場近くのエアーパーク航空自衛隊浜松広報館です。1日楽しめるところです。
内野:質問も後少しとなってきました。それでは今の目標を聞かせて下さい。
渡辺:グレードレースの初優勝です。
SGの優勝戦をまだ経験していないのでSG初優出も達成させたいです。
そして年末のスーパースターに出場したいです。
あのメンバーの中であの環境でレースを走ってみたいですね。
内野:2020年どんな年にしたいですか?
渡辺:2020年一走目に他落(落車)しました。体が痛いのは大丈夫なのですが金網まで流れて行き競走車に挟まれた事にメンタルがやられました。
次の日から欠場も考えたのですがこのまま嫌なイメージを持ったまま走れなくなると大変なので2日目からも走る事にしました。
結果走って良かったです。完走できたし1着も取れたので大丈夫です。
落車した事は忘れました。連勝できたし車も元に戻りました。
今年も一走一走しっかり走る事です。
内野:苦手と話していた伊勢崎で結果を残しました。(2月10日追加取材でのコメント)
渡辺:シルクカップから伊勢崎にエンジンがあっていました。
冷え込んでくれた事も要因ですね。
正月の浜松開催で落車しましたがエンジンは落車前から悪くなかったです。
落車後のエンジンも変わった感じはありませんでした。フレームも交換していますのでフレームも良かったのだと思います。
内野:近代オートは女子選手が増えてきましたが...。
渡辺:後輩の女子選手にはマヤ(川口31期・佐藤摩弥選手)の頑張りや仕事への姿勢を見て欲しい。
マヤは凄く努力しているし強いです。男が勝てないですからね...。
内野:渡辺選手の調子はどこを見たらいいでしょうか?
渡辺:試走で他の選手と同じタイムでも1コーナーがしっかり回れていれば調子が良くて張り気味ならレース足は良くないと思って下さい。
内野:渡辺選手にとってのオートレースとは?
渡辺:自分がどうすれば何を扱えば良いのかやった事が直に伝わる職業です。
バイク経験のない同期の頑張りに刺激を受けて自分を追い込むようになりました。
内野:渡辺選手にとってファンの存在とは?
渡辺:ファンあってのオートレースなので応援はありがたいです。
レースでは自分は特に意識しないようにしています。
車券を買って頂いている皆様が最後まで楽しめる走りを目指します。
自分の中で手を抜かず全力でこれからも走ります。
内野:オッズパークを御覧の皆様へのメッセージをお願いします。
渡辺:これからも全力で頑張りますので応援宜しくお願いします。
MCうっちぃ!こと内野久照 オートレース歴16年。好きな選手は浦田信輔選手。現在飯塚オートでMC、山陽オートで実況を行っています。年間約180日間選手ロッカーに潜入し取材もこなすMCです。オートレースを盛り上げたくFBでは飯塚オート盛り上げ隊、Twitterではオートレース盛り上げ隊にてロッカーフォトや選手情報配信しております。 最近では場外車券売り場にてオートレースの解説予想を披露し自腹車券勝負に挑んでいます。オートレース大好き九州男児が展開する魂の大胆予想にご期待下さい。