デビューから8戦無敗で東海ダービーを制したセブンカラーズ。オッズパーク地方競馬応援プロジェクトの馬であり、会員の方々にとっても想いの強い1頭ではないでしょうか。主戦の山田祥雄騎手、川西毅調教師にお話を伺いました。
まずは山田祥雄騎手に伺います。東海ダービー制覇、おめでとうございます。
山田:ありがとうございます。正直、3~4コーナーくらいでは負けたかなと思いました。手応えがいつもと違って、もうバタバタになってしまったので。なんとか勝ったなという感じです。
そのあたりは距離が長いということでしょうか?
山田:慣れればこなしてくれるかなとは思いますけど、2000m前後を走るのであれば、慣れることが必要だと思います。
今回は2枠2番でしたが、枠順が出た時はどう感じましたか?
山田:外目が良かったですけど、内なのでもう行くしかないなと。ここまで強い勝ち方をしていますから、大丈夫かなとは思いつつ、気持ちに余裕はなかったです。プレッシャーというか......負けてないというのは大きいですね。
ダービーを勝ったというのは、いかがでしょうか。
山田:僕自身は正直ダービーの重みがよくわからないのですが、これからじわじわと実感していくのかもしれません。福山時代の厩務員さんから連絡が来て泣いていたので、やっぱりダービーはすごいレースなんだなって思いました。
福山競馬廃止から10年でダービージョッキーになったわけですから、当時を知る方々にとってもいろいろな想いがありそうですよね。
山田:確かにドラマではありますね。
これからさらに喜びを噛み締めていただきたいと思います。山田騎手は今年の東海ダービーにお手馬が3頭も出走と、いい馬が集まっていますね。
山田:東海ダービーは毎年乗れるようなレースではないのに、今年に限って3頭も......。他の年だったら良かったのにと思いました。3頭とも休養に出たので、また元気に戻ってきてくれたら嬉しいです。
ではセブンカラーズについて詳しく伺います。最初に乗ったのはデビュー前ですよね?その頃からここまで活躍するなと感じましたか?
山田:川西先生は「この馬走るから」と最初から言っていましたが、最初の頃は後ろ脚がゆるゆるで、転びそうで怖かったですね。違いを感じたのは能力検査前にゲート練習をした時です。ゲートを出た瞬間から速くて、この馬すごいなって思いました。
性格はどんな馬ですか?
山田:普段はボケっとしたところがありますが、被されると怯むところがあって。どっちかというと、後ろからゆったり行った方がいい気はするんですけど、今はゲートが速いのと揉まれたくないということで、負けるのも怖いのでいつも前に行っていました。後方からのレースは一回負けてから試そうかなと。
ではこの馬の強みというのはどう感じていますか?
山田:トビが大きいので、乗っているとそこまで速いタイムが出てないように感じるんですけど、持ったままでビューっと速い時計が出ているんですよね。そのあたりが他の馬とは違うなと思います。
今後のご自身の目標と、セブンカラーズとの目標を教えてください。
山田:自分は怪我なく普通に過ごせたらと思っています。セブンカラーズもこのまま無事に走ってくれればと思います。
続いて、川西毅調教師にお話を伺います。東海ダービー制覇、おめでとうございます。
川西:生え抜きで東海ダービーを勝つことができて、とても嬉しいです。何度かチャンスはありましたが、その度に出走できなかったり勝てなかったりしたので、自分の中で呪縛のように感じていた部分もありました。この1カ月は特に緊張感がありましたし、あまりよく眠れなかったです。無事に勝てて、本当にホッとしました。
セブンカラーズの主戦、山田祥雄騎手もダービージョッキーになりましたね。
川西:山田くんと一緒に勝てて嬉しいですね。彼は本当に真面目に頑張って来ましたから。性格的には朴訥としていて、どんな場面でも慌てることがないんです。それでいて馬への当たりが柔らかいので、調教でもレースでも、馬の故障が少ないと感じています。セブンカラーズはもともと後ろ脚がゆるかったですし、調教から毎日乗ってもらって、ここまで無事に来られて、山田くんもホッとしたんじゃないでしょうか。
セブンカラーズはすでに休養に入ったそうですね。
川西:涼しい北海道に行きました。暑い夏はじっくり休養して、また秋ですね。当初は西日本ダービーを視野に入れていたんですが、距離2000mというのは長い気がしていて。地元の秋の鞍から復帰するプランを考えています。何より馬の状態が一番ですが、いつかJBCレディスクラシックに挑戦したいですね。それが今後の大きな目標です。
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願い致します。
川西:一昨年のセブンカラーズが1歳の時のセリから、オッズパーク地方競馬応援プロジェクトに参加させていただき、1頭目からこのような素晴らしい馬を管理させていただいたこと、とても感謝しています。結果を出すことができてホッとしています。セブンカラーズはもちろんですが、今年の2歳(ミステールヴェールの21:父カリフォルニアクローム)も順調に育成を進めていますので、デビューを楽しみにしていただけたら嬉しいです。
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※インタビュー / 赤見千尋
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2月19日、小北栄一調教師が、ばんえい競馬歴代28人目(現役20人目)となる通算1000勝を達成しました。昨年のばんえいダービーを勝ったキングフェスタをはじめとする活躍馬や人気馬を送り出しています。
1000勝達成おめでとうございます。開業23年目での達成でした。お父様の定一(さだかず)さんは調騎会会長も務めた名調教師でした。馬の仕事を始めることになったきっかけを教えてください。
嬉しいの一言です。達成まで短いようで長かったです。高校卒業後、就職が決まっていたのですが、父がけがをしたので断って、競馬場に来て厩務員になりました。騎手を目指したが受からず、調教師を目指しました。
小北定一厩舎には1990年のばんえい記念を勝ったタカラフジがいました。
上背があって大きく、ごろんとした馬だった。スタイルが良かったな。担当は自分ではなかったけど、利口で、つなぎ場から勝手に馬房に帰っていった。
24年間厩務員を勤め、2001年に調教師デビューしました。お父様に教えてもらったことはありますか。
調教師試験に受かったのは福森浩厩舎に移籍してから。親のところにいると忙しくて勉強する時間がなかった。親とはいつも口げんか(笑)。教えてもらうことはなんも......厩舎経営の、金の回し方かな(笑)。市場や共進会で、馬のいいところも悪いところも教えてもらった。だいたいいいと思う馬は一緒だった。福森先生には結束力を教わった。そう思うと、結構調教師の仕事を見てきたんだな。開業当初はやり方がわからなくて七転八倒。わかっているようでできない。
でもすぐに、初年度からアサヒセンショウが活躍し、イレネー記念では2着でした。
アサヒセンショウはアサヒダケ系の青毛馬で、昔にしたら大きい馬だった。イレネー記念は、グレートサンデーに0.2秒差の2着。当時は中継もないから、みんなでゴールを望める場所に見に来た。自転車や車で集まってな。俺は負けたと思ったな。
以前、調整ルーム近くにあった建物ですね。ほかに思い出の馬がいれば教えてください。
2005年のばんえい記念4着のキタノスサノオも、おとなしくてあつかいやすい馬だった。
ナナノチカラは小さいけど牝馬戦で強く、(牝馬)重賞を総なめにした。コボウ抜きのレースだった。2015年のヒロインズカップではゴールまで少しのところで止まってクインフェスタに負けたな(3着)。翌年ヒロインズカップを優勝したんだ。
2016年ヒロインズカップを制したナナノチカラ
そのクインフェスタの子、キングフェスタを扱っているのは不思議な縁ですね。アサヒセンショウで勝てなかったイレネー記念も2022年に勝ってくれました。
キングフェスタは、だんだん大人になってきている。800キロ以上の荷物を積んでこれからどうなるか、だな。今は厩舎で休んでいます。
クインフェスタの2歳馬(キングブラザー)、いいと思うよ。牡馬ででかいぞ! ナナノチカラの子(カブノチカラ)は1回目(の能力検査)は受けない。メヂカラの子(オノレノチカラ)もいい感じ。
フクイズミの娘、イズミクィーンはスタイルが良かった。人に対して威嚇するところがあって、よく厩務員に怒られていたな。息子のイズミオーも、母親が大きいから、大きかったんだろう。
キングフェスタは2022年ばんえいダービーも制した
牝馬はかわいらしく、人気馬が多いように思います。
サカノチサトも、脚にソックス(四白)はいてな。めんこいのは......めんこいな(笑)。めんこくなってきたらダメだな。勝っても負けてもいいんだ、てなるからな。
暇な時は中央や南関東も見るよ。調教は違うが、小さいのも大きいのも馬は一緒。娘も馬には慣れちゃって、おっかながらなかったな。今は軽種の仕事をしています。
馬は、どのようなところを見るのでしょうか。
経験と感覚だな。そりの近くで逃げる馬や、カンが強すぎるのもダメ。人の言うことを聞いて歩く馬がいいな。軽種馬と一緒だ。甘噛み、口をカチャカチャもしない方がいい。種や肌馬も大事だけど、それだけじゃなく、引き方の案配を見る。トモ、前脚でしっかり、トコトコと歩く馬。四肢しっかりした馬。パドックは大事だ。
厩舎経営で大事にしていることを教えてください。
馬も人も大事にするってこと。結束力があった方いいな。俺だけでやるんじゃなくて、厩務員と相談する。何もなくていいから声をかける。馬の様子を教えてくれるから。馬も人もそれぞれ性格が違うから、それがわからないとけがになる。癖がわかるからね、しゃべらないと。厩務員は馬と同じくらい大切だ。
自分は、起きたら馬房を歩くのが癖になっている。まず見るのは目つきだな。疝痛の時は、目が艶っぽく光る。そういうのばかり毎日見ている。
さて、ファンの前での表彰式は2020年12月以来で、久しぶりでした。
22年長かったから。やってよかった。ファンにしゃべれるのはいいな。しゃべること考えてきたけど、話してみたらうまくしゃべれないもんだ。選挙やっているみたいだったな(笑)。
では最後に、オッズパーク会員に一言お願いいたします。
強い馬を見極めて、強い馬を作っていく。いつも変わりなく馬を観察し、状態を見ながらレースに出ていきたいと思います。今年度の競馬も、これから始まります。馬を見極めて、たくさん馬券を買ってください。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
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NARグランプリ2022年度代表馬を受賞したイグナイター。昨年は黒船賞、かきつばた記念とダートグレード競走2勝を挙げたことに加え、南部杯4着、JBCスプリント5着とJpnIの舞台でも上位争いを演じました。レース史上初の地方馬での連覇を目指し、今年も黒船賞に挑みましたが、3着。それでも悲観する内容ではなかった、と話すレースの振り返り、そして今後について新子雅司調教師に伺いました。
NARグランプリ年度代表馬受賞、おめでとうございます。園田・姫路からはケイエスヨシゼン(アラブ系)以来26年ぶりで、サラブレッドでの受賞は初でした。
ありがとうございます。南関東の馬が受賞することが多い中、兵庫のこの施設で年度代表馬になれたことは自信になりました。昨年はサルサディオーネも活躍していましたし、他にもダートグレード競走を勝った地方馬がいましたけど、南部杯とJBCで上位に入ったことも評価してもらえたのかな、と考えています。調教施設の違いで言うと、JRAには開業前に栗東トレセンへ研修に行き、逍遥馬道の存在が大きいなと感じました。山道を登ったり下りたりすることで体のつき方が変わるだろうなと思いました。でも、調教の負荷は乗り方次第でそんなに変わらないと思います。
年末の兵庫ゴールドトロフィーはまさかの5着でしたが、今年は始動戦の黒潮スプリンターズカップをレースレコードで圧勝しました。
兵庫ゴールドトロフィーは1年ぶりの地元戦で輸送がなかった分、プラス23kgと太かったと思います。こちらが思っているより輸送で減るタイプかもしれず、黒潮スプリンターズカップは調教でもちょっと絞りましたけど、輸送でも絞れたと思います。パドックではかなり落ち着いて歩いていて、デキとしても7~8割くらい。それでもあれだけのタイムで走れたのは1年間、JRAの強い馬と走ってきたからだと思います。
それだけに、黒船賞では連覇が期待されましたが、スタートでバランスを崩してしまって......。
去年同様、目一杯の仕上げで臨んだんですけど、装鞍の時点から若干テンションが上がっていて、その分、ゲートでタイミングが合わなかったのかな、と思います。イグナイターは直線でそんなに弾けるタイプではなくて、4コーナー先頭で押し切るような競馬が理想なんですけど、一番動きたい3~4コーナーで動けず、そのまま下がってしまうと思いました。それでも直線は内を突いて3着まで来たので、そこまで悲観するような内容ではないな、と思いました。GIに行ってもやれるんじゃないかなと感じました。
黒船賞出走時のイグナイター
昨年覇者、そしてNARグランプリ年度代表馬として挑む一戦でプレッシャーなどはありませんでしたか?
ぶっちゃけ、ありませんでした。昨年勝っていることが大きいと思いますし、これまではダートグレード競走は特別なレースで気負っていましたけど、ありがたいことに5勝させていただいて、この状況に慣れてきたこともあります。それよりも、南部杯とJBCスプリントの方が「JpnIでどこまでやれるか」というプレッシャーが少しありました。
これまでから一段上がって、JpnIに手が届くところまで来たことでの心境の変化ですね。開業時から目標に掲げている海外での勝利も少しずつ近づいているように思います。
今年、サウジの招待が届きました。昨年は申し込んだものの、補欠2~30番目くらいで全然入らなかったので、今年は黒船賞に行くつもりでいて検疫をどこでするかなど何の準備もしていなくて断りました。栗東トレセンで検疫を受けられるのであればいいんですけど、無理なら栃木県の地方競馬教養センターまで行かないといけないのはハードルです。それなら、園田競馬場に検疫馬房を建ててほしい、と主催者に話しました。1年かけて準備をして、来年に行けたら行こうかなと思います。私もパスポートを取らないと(笑)。
イグナイターでのGI/JpnI制覇も期待しています。
みんな「今年、イグナイターで!」と期待してくださっていると思いますが、イグナイター以外でも近いうちにうちの厩舎から他にもそういう馬が出てくるようになるんじゃないかな、と思います。それだけ入厩予定の2歳馬の質が上がっています。
NARグランプリ表彰式にて。田中学騎手(左)、イグナイターの馬主・野田善己氏(中)と
それは『全日本的なダート競走の体系整備』や園田・姫路の賞金増額などが関係しているのでしょうか。
そうですね。これは園田・姫路競馬全体の話ですけど、これまでだとセリで1000万円する新馬が入厩することはあまりありませんでした。それが、今なら賞金が高いのでちょっと走れば回収ができるようになって、今年は1000万円以上の2歳馬が競馬場全体で10頭くらい入厩予定です。全体的に馬の質は上がると思います。
早速、肌感覚として変化を感じているんですね。最後に、イグナイターの次走とそこへの意気込みをお願いします。
5月4日かしわ記念(JpnI、船橋1600m)を予定しています。何とか勝ちたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
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11月7日のばんえい第2レースでアアモンドノサップが勝ち、小林長吉調教師(62)は通算1000勝を達成しました。ナナカマド賞を勝ったタカラキングダムや、ばんえいダービー馬アアモンドグンシンなどを管理し、今後の活躍が期待されます。
1000勝達成おめでとうございます。ばんえいの世界に入られたきっかけを教えてください。
出身は芦別市です。高校卒業後、伯父(小林正一さん)が調教師だった縁で競馬場に入りました。父も山で馬の仕事をしていたことがあって、馬は身近だったんだよ。中西関松調教師のもとで厩務員になりました。
伝説の名騎手、中西関松さんのもとですね。
当時は騎手も目指していたけど、30人ほどが受ける狭き門。そのころ妻が入院して、子どもも小さかったから一度は競馬の世界をやめようかと思った。それでも「好きな仕事ならやればいいしょ」と、亡くなった妻が応援してくれた。「夢を追いなさい」って。
帯広駅内で酒屋を経営し、ばんえいを応援されていた明るい奥様のさゆりさん、覚えています。さて、厩舎開業は2004年でした。
デビューと初勝利のクロカミタカラは、調教師になりたての時にオーナーが馬を預けてくれた。北見産駒特別を勝つなどしたが、当時熱がはやって、その熱が抜けないまま若くして亡くなってしまった。そのオーナーのように応援してくれる人がいたから、続けられた。
ホクレン賞4着ですし、期待されていた馬だったのですね。2010年のばんえいオークスや2014年ヒロインズカップを勝つなど、長く活躍したダイリンビューティも印象深いです。
この馬が勝ったのは、賞金がゆるくない(下がって大変だった)時だったからね。2歳シーズン(明け3歳)に勝ったバレンタインカップは、黒ユリ賞の代わりに新しく作られたレースだったんだ。その後、黒ユリ賞は伝統のレースだからと元に戻りました。
所属馬について伺います。まずは2歳重賞のナナカマド賞を勝ったタカラキングダム、これまで連対率100%で楽しみな馬ですね。
能力検査では、他の馬に向かっていくところがあったが、気持ちが前向きになっている。この馬は、自分との戦いだね。骨格がしっかりしているが、荷物(重量)がどこまで耐えられるかな。
ナナカマド賞を制したタカラキングダムと小林長吉調教師
2018年ばんえいダービーなど重賞4勝のアアモンドグンシンは7月から休養に入っていますね。
牧場で休養していましたが、競馬場に戻ってきました。行きたい気持ちが強い馬。止まると障害が下手なところがあるが、気持ちでレースをしている。
4歳のイワキダイヤも力はあり、重賞では上位に入る。除外が続いているが、体調が安定すれば、かなり期待できる。
2019年ドリームエイジカップを制したアアモンドグンシン
今年は7月までリーディング1位でした。大事にしていることはなんでしょうか。
馬にあった調教をしているところでしょうか。インド人も5人いて、言葉が通じないところもありますが、コミュニケーションをとりながら調教しています。
先生といえば、イベントのボランティアで活動されている姿が印象的です。
外の人が目を向けてくれるようにしなくてはいけない。イベントを始めて10年以上経って、昔馬に乗せた子どもたちが、競馬場に戻ってきてくれている。当時は「幼稚園児にアピールしても売り上げは上がらない」という人もいたけど、今すぐつながらなくても、ばんえいをなくさないためにやっていかないと。小さいときの思い出にして「帯広にばん馬がある」って周りに言ってほしい。個人協賛レースを勝った時に、その協賛金を貯めて豚汁を作って、ファンに提供したこともある。500、600人は来たかな。
ばんえいがなくなって、調教師でなくなったらただの人だから。川崎競馬場のイベントはすごい人だよ。今は新型コロナウイルスでイベントはないけれど、できるようになったらまた多くの方にばん馬の魅力を感じてほしい。
長男の友貴さんが装蹄師として昨年から競馬場で働いていますね。最初は競馬場で働くことを反対されたそうですが。
学校を卒業した数年前は、ばんえいの状況がゆるくない時だったから......。社会人で、いい成績も残していたけど「それでも来る」っていうからね。今は、毎日家族で一緒にご飯を食べているよ。
オッズパーク会員に一言お願いいたします。
いい馬主さんと出会って、記憶に残るような馬を作っていきたい。今は馬を見に行く暇もないし、コロナで見て歩けない。協賛レースも、今はコロナで一緒に撮影ができないけど、馬のそばに来る感動は特別だと思うんだ。これから何年調教師を続けていけるかわからないけど、元気なうちに競馬場を去りたいね。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
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10月12日に地方通算1000勝を達成した今津博之調教師(名古屋)。そのメモリアルを飾ったのは2歳時に重賞も勝ったダイセンハッピーです。大きな期待を寄せるがゆえに、JRA遠征を積極的に行っているとか。また、移転した新競馬場のメリットや、弟子でヤングジョッキーズシリーズ・ファイナル進出を決めた浅野皓大騎手についても伺いました。
1000勝おめでとうございます。1つ前のレース(第4レース)で追い比べを制し、(第9レース)連勝でのメモリアル達成でした。
ありがとうございます。999勝目はちょっとヒヤッとしたんですけど、ゴールして大畑雅章騎手はガッツポーズしたように見えました。もうリーチをかける頃だということは分かっていたので、一戦一戦勝ちにこだわっていましたし、乗り役も一生懸命乗ってくれました。
大きなメモリアルを前に、意識をしてらしたんですね。
今年の目標は昨年の115勝以上に勝つことで、上手くいけば今年中に1000勝を、と思っていました。6月くらいからカウントダウンをしていて、前半は結構よかったんですけど中間でちょっと足踏みをしていました。
999勝目に続き、1000勝目も大畑騎手で勝つと、口取りには多くの騎手や厩舎スタッフが集まりました。
本当にホッとしました。「ここで決める!」と思っていたので、手が空いた厩務員やスタッフも口取りに来てくれました。
(写真:愛知県競馬組合)
メモリアルを決めたのは一昨年ゴールドウィング賞を勝ったダイセンハッピーでした。どんな馬ですか?
当初から期待していて、「走りそう」と思ってオーナーと一緒に見て買った馬です。雰囲気があって、ゲート試験では3~4コーナーでちょっと仕掛けただけで他の馬とは瞬発力が違っていて「この馬は間違いないな」と確信しました。3歳になって同型のブンブンマル相手に敗れることが多くなって、馬が追って反抗するようになっていました。追い切りでも併せ馬の外だと、相手が格下馬で馬なりでも一杯いっぱいになって先着されるような状況でした。オーナーがわざわざ福島県のテンコー・トレーニングセンターに休養に出してくださり、今年に入ってまたレベルアップしました。
ダイセンハッピーで地方通算1000勝達成(写真:愛知県競馬組合)
テンコートレセンと言えば、JRAではウオッカ、地方競馬ではメイセイオペラやアブクマポーロも利用したことがある施設ですね。ダイセンハッピーは11月19日には4回目となるJRA遠征(福島芝1200m・3勝クラス・みちのくステークス、15着)を行いました。
オーナーに「今年いっぱいはJRAへ遠征できるので、JRAで揉まれてもう一段レベルアップさせたいです」と伝えて、快諾してくださいました。ホッコータルマエ産駒ですが意外と芝もよくて、生産牧場さんも「牧場としては芝も合うと思うんです」と話していました。
JRAと言えば、所属騎手の浅野皓大騎手がヤングジョッキーズシリーズ・ファイナルラウンドへ出場を決めました。
正直、まだまだですけど、これをきっかけに飛躍してほしいですね。「名古屋の騎手として恥ずかしいレースをするな」と、加藤聡一騎手など先輩たちが木馬に乗って教えてくれている、という話をチラッと聞きました。
名古屋競馬場は今年4月、厩舎や調教施設のある弥富トレーニングセンターに移転しました。新競馬場のメリットはどう感じていますか?
結構いいですね。例えば、うちの厩舎ではだいたい4分の3くらいはゲートで尾っぽ持ちをするんですけど、僕一人じゃ持ちきれない馬や、同じレースに2~3頭使っている時は厩務員に手伝いに来てもらっています。厩舎が近いのでそういうことがやりやすいですし、1000勝の口取りに厩舎スタッフが多く入ることができたのもそうですよね。
馬にとっては輸送がないのはやっぱり楽で、特に神経質な馬にとってはいいのかなと感じます。うちの厩舎は馬場側なので、競馬場が移転してくることで馬房の中でもイレ込むのではと心配しましたが、慣れたのか意外と大人しくしています。
これからの目標を教えてください。
勝ち星は今年より来年、来年より再来年と伸ばしていきたいですし、年に一つは重賞を獲りたいですね。重賞は若馬が育って獲るのが一番いいんでしょうけど、なかなかいい馬に当たるのも難しいです。今年の2歳はそれなりに走ってくれるので、これからの成長でどれだけ変わるのかな、と思っています。中には東海ダービーを逆算して考えている馬もいます。
最後に、オッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
厩舎スタッフも乗り役も一生懸命やってくれるので、なるべく期待に応えられるように頑張りたいと思います。応援してもらえれば幸いです。
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※インタビュー / 大恵陽子
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