今回は去る11月19日から今年もナイター6日制で行われた<大阪関西万博協賛/第66回朝日新聞社杯競輪祭GI>。5日走りの激戦で見事優勝し、自身5つめの特別競輪を制覇した脇本雄太選手(福井・94期)にインタビューいたしました。
今年の一年のここまでと競輪グランプリ2024へ向ける意気込みをうかがいました。
― 競輪祭優勝おめでとうございます。
脇本:ありがとうございます!
― 今年は競輪グランプリを残すだけとなりましたが、まずは競輪祭までを振り返っていただけますか。
脇本:競輪祭までとなるとやっぱりウイナーズカップ(取手)の優勝が印象的でした。
― 決勝は前を窓場選手が回って打鍾前からスパート。打鍾3コーナーは北井選手をブロックしました。
最後は伊藤(颯馬)選手の捲りに飛びついて清水選手が迫るのを振り切ったゴールでした。
脇本:窓場君が思い切って先行した打鍾すぎで反撃を止めて、番手での連携からビッグレースの優勝につながったのは感慨深い決勝でした。
― ウイナーズカップの優勝で賞金の大きな上積みができました。ですが日本選手権競輪を欠場されました。腰の状態は?
脇本:コンディションは波がありますね。良かったりそうでなかったりと。競輪祭を終えた現状はそこまで深刻な感じではないです。
― 近畿地区の後輩選手と連携は全プロ記念競輪(高知)のSPRと高松宮記念杯競輪(岸和田)白虎賞で寺崎浩平選手と連携しました。
脇本:(番手回りは)まだまだ自分の経験が不足しています。今後の連携で上手く出来るようにと考えさせられました。
さらに特別の決勝となると状況も気持ちの入り方も違うでしょう。それだけにウイナーズカップの優勝は僕自身としても大きな変化だったと思っています。
― 7月の地元福井記念は完全優勝でした。決勝は勇希選手との連携が注目を集めました。
脇本:兄弟で連携し近畿5車並んで自分のわがままを通したレースでしたがスタンドのお客様の歓声に応えられて良かったです。
― 真夏はサマーナイトフェスティバル(松戸)、オールスター競輪(平塚)を走り9月は向日町記念の接戦の決勝を制しました。
脇本:再整備前のGⅢで連日たくさんのお客様がいらっしゃいましたね。
決勝は僕が近畿の先頭を走ろうと思ったんですけど、窓場君が自力でやりたいと話したので意思を尊重しました。僕としては3番手を回れませんから別線で走りました。
― 競輪祭の前には10月に寛仁親王牌(弥彦)で優出されました。新山選手が外で粘ったのを退けましたが郡司選手が捲ってきて・・・。
脇本:決勝は番手戦の経験不足が露骨に出たレースでした。前で寺崎君が頑張ってくれただけに課題が出来たレースでした。
― そして迎えた競輪祭です。まずは初日のレースを振り返っていかがでしたか。
酒井雄多選手が前受けで、動きかけた脇本選手を見て打鍾で突っ張って先行意欲はムキ出しでした。
脇本:うーん、酒井君だけでなくて対戦相手の動向を見すぎてしまいました。そして何より自分が仕掛けどころを誤っています。
岩本さんが先頭に出たときもその後ろ(番手以下)の動きを見てしまったので失敗でした。
― 二走目以降の結果を思えば、あのとき最終2センターで佐藤友和選手のけん制がなければ届いたんじゃないかと感じたんですが・・・。
脇本:いやぁ、届いてないですね。仕掛けが遅かったので届いていないでしょう。
― 初日を終えて修正点や自転車の調整点は?
脇本:調整は特になくもっと強気に攻めるべきだと思い直しました。
― 翌日の一次予選「2」は5番手から早めに正攻法の根田選手を抑えに行きました。
脇本:失敗した前走と同じ初手のポジションだったので、取鳥君が後方から僕を抑えにきてフタをされる前に自分から前を抑えにいこうという思考が強かったです。なので根田君が突っ張ったのは想定外でした。
― その後は菅田選手、取鳥選手の順で前々へ。脇本選手は7番手2角捲り。4コーナーでは外に膨らんでヒヤリとしたんですが届きました。
脇本:只々後ろに申し訳ないレースでした。
― 小倉バンクの直線を一気に伸びた手応えはいかがでしたか。
脇本:無我夢中でした。1着に届いたのもゴール直後はわからなかったですね。
寛仁親王牌のあとにひと場所を調整のため欠場してトレーニングを十分やりましたが、体が仕上がっているかと問われると微妙な状態ではありましたから。
― 一次予選を終えてお休みの日はどう過ごしましたか。
脇本:とにかく体を休ませるのを最優先しました。自転車にも一切乗らずに体のケアに集中しました。
― 迎えた二次予選Aは脇本選手が後方から動いたのに対して佐々木悠葵選手が先頭で突っ張りました。
脇本:やっぱり簡単には抑えさせてくれないなと思いました。佐々木君が突っ張るのは想定していなかったです。中団を立ち回るイメージが強くて自分の対処が甘くなりました。
― 一旦、後ろに下がって脚を溜める中で岩本選手が先に捲りました。
脇本:岩本さんが抵抗を受けているのは見えてもコースは内に進路をとるわけにいかないですからしっかり外を踏んで勝負しきろうと捲りました。
― 岩本選手後退のあおりで捲りはイエローライン付近を進んで届かせました。
脇本:けっこう外に膨らんでしまってその分ロスしましたがとにかく後悔しないように踏みました。
― さて準決勝は窓場選手との連携に注目が集まります。事前の作戦はどうでしたか。
脇本:いやぁ、もう窓場君の好きに走ってくれて僕は後ろに付かせてもらう。それだけを考えていました。
窓場君も勝ちたいレースをしてくれればいいし、その気持ちであればワンツーのチャンスまであるだろうと。
― レース中はいかがでしたか。
脇本:佐々木君を突っ張れば新山君が必ず次に動いてくるのは頭の中に入れていましたし、窓場君は無理に突っ張り通さずに柔軟に対応してくれればと思っていました。
― ただ前に出た新山選手の先行はかかっていました。
脇本:青森ラインに荒井さんが追走して僕たちは4番手以降。最終BSまでは待とうと。ただ窓場君の車が伸びる感じではなかったので3コーナーで外を踏みました。
― 前2走同様に大外を力で届かせました。3連勝の手応えはどうでしたか。
脇本:なにぶん踏んでいる距離が短いので感覚はつかみきれないし、無我夢中でしたから初日から変わっていないというか・・・、その判断もつかないままでした。
― いよいよ決勝を迎えました!寺崎選手、村上選手との作戦は?
脇本:寺崎君が前から攻めたいと言っていたんですが車番が良くないので前がとれなくても柔軟にいこうと話はしてました。
― 寺崎選手が早めに動いて犬伏選手に突っ張られかけましたが叩いて近畿ラインで出切りました。
脇本:寺崎君は必ず前に立つぞという気持ちの強いレースだったと思います。
自分は(犬伏選手の)イン粘りを警戒してましたから寺崎君が下げずに叩いたときは油断なく追走に集中しました。
― 打鍾4コーナーから犬伏選手がスパートしました。
脇本:犬伏君が来たのは見えました。外までやってきたのが1コーナーで自分の捲りはコーナー出口の出づらい場所でしたが、寺崎君とのこれまでの連携の失敗を踏まえて捲ってしのぎました。
― 村上選手が後ろに付いていたのは大きかったですね。
脇本:ええ。一車でも多く連携が長くなれば有利になるのが競輪ですから。
ですが、出切った後のことは横に並んでくる選手がいなかったので分からなかったですね。
― ゴールはうしろにハマった犬伏選手を振り切りました!
脇本:捲った直後に犬伏君が諦めずに踏んでいたのは見えたので後ろにいるのは村上さんと犬伏君のどちらなんだろうと判断つかないまま全力で踏みました。
ゴールはハンドルを投げるまで優勝を確信できなかったです。
― 気持ち一本の全力疾走の末に5つめのタイトルを手にしました。表彰台での脇本選手の笑顔もとても印象的でした。
脇本:やっぱりとっていないタイトルを取る喜びは何物にも代えがたいです。喜びもひとしおですね。
去年は特別競輪の優勝はなくグランプリを走りました。タイトルを取ってグランプリを走ろうという意識は毎年強く持っています。
特に競輪祭は長らく近畿が苦戦したタイトルですし、自分も取りたいと思っていたのでこの優勝はグランプリを控えて大きな意味がありますね。
― そしてグランドスラムに残すは全日本選抜競輪ひとつです!
脇本:ええ。ですがまず気持ちは目の前のグランプリに向けています。
― 競輪祭を終えて今年の競輪グランプリ出場選手が決まりました!現時点(11月27日)で対戦者をどう見ていますか?
脇本:真っ先に気になるのは南関東ラインです。おそらく並びは北井君が先頭だとしてどんなレースをするんだろうなと。
― 南関東勢といえば郡司選手が、また平原選手も競輪祭で落車しました。ふたりのコンディションをどう見ますか?
脇本:郡司君も平原さんも落車の翌日のレースを走り1着を取りましたし、なによりグランプリに向けて油断はないでしょう。1ヶ月あれば体の状態を戻してくると思います。
― 戦える状態、獲れる状態にして走るはずだと?
脇本:ええ、必ず。しかもそれは全員に言えることです。
― さて、関東勢は今年何度も戦った眞杉選手がいます。
脇本:眞杉君は立ち回りがとても器用ですから警戒しないといけない存在です。競輪祭でも横の動きは強烈でしたし、それを分かった上でどう対処するかは古性君と相談します。
― 新山選手と清水選手は同地区の出場者がいません。
脇本:それでも新山君はたとえ9番手でもカマシてくるでしょう。清水君はやっぱり位置取りが上手ですから警戒したいです。
― 同期の岩本選手が初グランプリ出場ですね。
脇本:そうですね。近畿と南関でレースは別ですけど、前夜祭では同期同士として話せる時間を楽しみにしています。
― グランプリまでの1ヶ月はどのような調整をされますか?
脇本:12月のどこかで古性君との合同練習をメインにした合宿をするつもりでいます。そこでしっかり練習を積んで準備は入念にやって油断なくレースに臨みたいです。
― 本日はお忙しいところインタビューをお引き受けいただいてありがとうございました。
最後に記事をご覧くださったオッズパーク読者の皆さんへメッセージをお願いします。
脇本:いつも応援ありがとうございます。
おかげさまで今年は自分が持っていなかったタイトルを獲ってグランプリを走ります。
少しでも自分で納得が出来るレースをするために合宿を積んで脚をあげてグランプリを走ります!
もちろん優勝をめざして頑張りますので応援の程、よろしくお願いいたします。
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※インタビュー / 大村篤史(おおむらあつし)
九州地区の競輪場でレース実況を中心に活動中。
出身地は大阪。1976年生まれ。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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今回は競輪グランプリ初出場と来年初のS班が決まりました岩本俊介選手(千葉・94期)にお話をうかがいました。
今年は日本選手権競輪で初の特別競輪決勝で準優勝。そして例年以上の激戦だった<大阪関西万博協賛/第66回朝日新聞社杯競輪祭GI>でも存在感を見せました。
そんな岩本選手に競輪祭までを振り返っていただき、グランプリと来年S班へむけた想いをお聞きしました。
大村:グランプリ初出場とS班内定おめでとうございます。
岩本:ありがとうございます。
大村:まずは今年のここまでを振り返っていかがでしたか。
岩本:今年は前半戦にかなり調子を上げて凄い結果が出ました。FI・GIII含めて11連勝したりダービーの決勝で2着だったり。
ただ一方でその結果に押しつぶされそうな後半戦でもありました。怪我をしたりと苦戦したんですが最後の最後にグランプリ初出場が待っていてまさに怒涛の一年間でした。
大村:お話に出ましたダービーの2着で賞金ランキング上位となりました。この時点でグランプリ出場は意識されましたか?
岩本:周りの方に言われて「そういうチャンスもあるんだな。」と。なにせこんな結果を出したことが無かったので何が起きたのか、先がどうなるのかまだ分かりませんでした。
ダービーの準優勝はたまたまでないと思っていますから意識しないというと嘘になります。
けど自分の力の程も分かっていますし、良い意味でのはみ出た結果だったのでプレッシャーの有無よりなんとも言えない気持ちでいましたね。実感は湧かないけどそこに結果だけあるという・・・。
大村:さきほど苦戦した後半戦とお話がありましたが、共同通信社杯(宇都宮)初日の落車の影響はどうでしたか。
岩本:落車で鎖骨が折れてしまったんですが、それでも賞金ランキングを考えれば早めに復帰を決めるしかなくて。
けれど怪我を押して走った状態だと僕みたいな超一流でない者はレースで結果を出すのは難しかったですね。
大村:競輪祭の直前に岸和田FIを一本走りました。この時点でコンディションは回復していましたか。
岩本:正直言うと万全といえる状態ではなかったです。自分が思っている練習ができませんでしたから。
それでも徐々に折れた箇所から痛みが引いてくれて競輪祭に向けて追い込みました。ギリギリだけどいつも通りの自分に近づけて前検に入りました。
大村:迎えた競輪祭の初日は会心の逃切りでした。振り返っていかがでしたか。
岩本:やっと追い込む練習ができて体が戻っているかどうかは初日で全部わかると思ったので後ろを振り切って押切れたことで脚が戻った手応えがありました。
大村:同期の脇本選手を意識したレースでしたか?
岩本:あの番組で一番脚力が抜けているのは脇本ですし、他の皆んなも脇本選手の動きを見ながら後ろにしようと考える。その中で自分は3番手の一番いい位置に居ましたね。
大村:酒井雄多選手(福島109期)が前受けで逃げる気満々に見えました。
岩本:ええ。ちょうど打鍾4コーナーあたりで緩んだのでここしかないと仕掛けました。あれ以上待ったら脇本が捲って自分たちは被ったでしょう。
大村:踏み出しは和田健太郎選手(千葉87期)を千切るダッシュでした。
岩本:ダッシュのスピードというよりも不意をついたので健太郎さんが付きにくくて申し訳なかったです。結果は二人とも確定板に上がり、いいポイントを取れたのでホッとしました。
大村:一次予選「2」は松井選手(松井宏佑選手・神奈川113期)マークの番手戦でした。
岩本:松井選手は先行しようという気持ちが非常に強くて自分はしっかり付いていくだけだったんですが、流れの中で阿部(将大)選手(大分117期)に粘られてしまったのは自分にとって一番悪い展開でした。阿部君は初日の着が悪かったから飛びついた場所からはもう引けなかったんでしょう。
大村:二走した感触はいかがでしたか。
岩本:その前の開催までが自分の思っている走りが出来なかったのに対して、一次予選は感覚と力もいつも通りに戻ってきてこれなら戦えるかなと感じました。
大村:二次予選は再び自力戦でした。結果は5番手捲りが菅田選手の抵抗に遭いました。
岩本:自分が6番車で連携した小原君が5番車でした。あの車番と最終周回のあの位置ならやれることはやったかなと思います。
大村:落車を避けながらゴール前で自転車が進んでいました。
岩本:レースを諦めずに仕掛けられるところから動いたことに意味があったと思います。
落車は残念でしたがそれも含めてレースですから。なんであれ最後の直線もゴールを目指したことでアクシデントを避けて車が届きました。
大村:4走目は準決勝。南関東ラインは郡司選手・深谷選手・岩本選手の並び順でした。
岩本:自分も深谷も郡司に任せていました。あとはレース中の流れに対応するだけでした。
郡司は一度突っ張られてもジャン過ぎにもう一度全力で仕掛けてくれて。気持ちの強さに恐れ入りました。
大村:二度目の発進の際に郡司選手と深谷選手が落車しました。
岩本:落車を避けたのは本当に偶然でした。三番手で前の二人を追うことに必死でしたし、たまたま転倒した二人が自分の踏んでいるコースに居なかっただけです。
大村:その後にインコースを村上選手、菅田選手の順で上がってきました。
岩本:ええ。正直、落車のあとは立て直せませんでした。避けて自分の位置を確保すべきでしたが間に合わなかったですね。
郡司が仕掛けて僕らはそこに離れず付いていくことに集中する・・・ラインでやるべきことはやっていたと思っています。
大村:準決勝、そして最終日のレースを終えて周囲の反応はいかがでしたか。
岩本:賞金ランキング上は準決勝を終えた時点でグランプリの条件が定まったので周囲の関心が高まったのは分かりました。
改めて考えると厳しい条件だったので最終日もやれることをやろうと走りました。
大村:ハイペースな展開の中で空いた内を上がりましたけど外には横が出来る雨谷選手がいて結果9番手の展開でした。
岩本:せめてもうちょっと自分で仕掛けられれば良かったんですけど。
大村:決勝はどのような気持ちで観戦されましたか。
岩本:なんとも言えない感情でしたね。
レースを観ている自分を見られたくなかったので、事前にお願いして最終日のレースを終えた後は先に競輪場を出てました。同県の人たちと打ち上げをするお店に集まって皆んなで携帯で観てました。
大村:ひと足さきに競輪場を出られていたんですね。
岩本:千葉の人たちといっしょにドキドキしながら観てましたよ。
大村:岩本選手のグランプリ出場条件は『脇本選手が優勝し松浦選手が3着以下』。結果はまさにその通りでした。
岩本:決まった瞬間は自分は放心状態で、一緒に観ていた千葉の皆んなが我が事のように喜んでくれたのが印象的でした。
中でも和田健太郎さんは練習こそ別ですけど中村浩士さんと同じく普段から色々と相談に乗ってもらっていて。準決勝の直後も励ましてくれて決勝の瞬間も喜んでくれました。今もあの瞬間の皆んなの喜んでる顔が思い浮かびます。
大村:さぁ、いよいよグランプリです。現時点(11月29日)で対戦メンバーをどのように見てらっしゃいますか?
岩本:並びをひとまず置いて、他の選手を見渡せば皆確実に自分よりも強くて脚のある選手ですから。9人の中には入りましたがその中で9番目なのでチャレンジャーとして挑まなければいけないと思っています。
力以上のものは出ないかもしれませんが、今ある力を振り絞って思い切って胸を借りるつもりでぶつかっていこうという心境です。
大村:展開はもつれそうですか?それとも力勝負寄りのレースでしょうか?
岩本:うーん。まだ車番も出ていないから何とも言えませんが・・・。
地区一車の選手が単騎だったとして、まず仕掛けやすい位置を取りにいくとは思います。なので混戦になるかどうかは流れ次第でしょうね。
言い換えれば車番がハッキリすれば予測が立ちますし、僕たち選手もきちんと組立を考えるのはそれからですね。
大村:公式発表や前夜祭の共同記者会見が楽しみです。グランプリへ向けた準備はどのようなものですか?
岩本:グランプリだから今から何か特別なことを始めようとは考えていないですね。
今までやってきたことでここまで積み上げてきましたから、これまでのやり方で高みをめざそうと思っています。
大村:今年の4月にお話をうかがった際に「目標を持たないようにしている。練習をきちんとして自力を出せば結果がついてきてくれる。」とのお話でした。
岩本:ええ。昔から今出来ることをして、やるべきことをやった先の結果を見て試行錯誤してきました。それでもこうありたいとかは出てきましたけどね。
ただ"目標"としてデーンと立ち上げるのでなく、結果を踏まえて目の前の希望へ向けて頑張るやり方です。
今年はそれが段々と道が拓けました。実現したら素晴らしいなというベクトルへ向いた、そんな感じですね。
大村:後半戦はトンネルを走る心持ちだったと思います。
岩本:競輪祭を終えたときに出口の光りが見えました。
大村:そして来年は初めてのS班です。年明け以降の話で今現在はグランプリへ一点の意識が向いている最中かもしれませんが・・・。
岩本:いえ、そんなことはないです。
まずS級S班に上がることはこれまで応援してくださった皆さんに感謝の気持ちで走らなきゃいけませんし、これから競輪を始めてくださるお客様がいて出走表にSSと書かれてある、目に留まる赤色のレーサーパンツを履いている僕たちを見て「この人たちから買ってみよう!」と思ってくれるかもしれない。
大村:レースに於いて車券的にも責任のある立場ですね。
岩本:ええ。そのときに下手な走りをするわけにはいかないですからね。
はじめて車券を買ってくれた方が自分から賭けてくれたら、S班だから期待してくれたんだとしたら結果を出さなきゃいけない。なのでそこは何がなんでも頑張りたいですね。
大村:本日はお忙しいところお時間をいただきありがとうございました。最後にオッズパーク読者の皆様へ向けてメッセージをお願いいたします。
岩本:今まで応援してくださったファンの皆様のおかげでこんなすごい結果が待っていました。静岡グランプリに出場し来年はS級S班で走ることになりました!
ファンの皆様や関係者の皆様には何といえば良いのか、お礼の言葉もありません。本当に感謝しています。
これからも精進いたしますのでこれからも応援していただけたら本当に嬉しいです。一生懸命頑張ります!
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※インタビュー / 大村篤史(おおむらあつし)
九州地区の競輪場でレース実況を中心に活動中。
出身地は大阪。1976年生まれ。
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9月29日に帯広競馬場で行われた『オッズパークpresentsガールズケイリンDAY 2024 in帯広競馬場』に出演した畠山ひすい選手(北海道122期)。トークショーやばん馬でのエキシビションレースなどイベントの感想を伺いました。また10月防府での優勝を含め、直近のレースの振り返りと今後の目標などもお話を伺いました。
山口みのり:まずは帯広競馬場でのイベントについて伺います。ばんえい競馬があるのは知っていましたか?
畠山ひすい選手:はい。北海道なので知っていました。中学生の時に行ったこともあります。
山口:出演が決まってからはいかがでした?
畠山:かなり楽しみにしていました。実は中学校の3年間は乗馬をしていたんです。
山口:そうなんですね!いわゆる障害物を跳んだりする乗馬ですか?
畠山:はい。そんな感じの競技をしていました。
山口:畠山選手が乗っていた馬とばん馬はどれくらい違うんでしょう?
畠山:私が乗っていた馬よりはかなり大きいです。それにはビックリしました。とにかく大きかったですね。
山口:エキシビションレースがあったので、乗ると聞いた時はいかがでしたか?
畠山:ちょっと怖かったです。
山口:そうですよね。他にイベントに参加した日野未来選手(奈良114期)、飯田風音選手(埼玉120期)、蛯原杏奈選手(北海道120期)はどんなリアクションだったんでしょう?
畠山:日野選手は何度も帯広競馬場に足を運んでいたみたいですが、他の選手たちは私と同じようにびっくりの方が大きかったと思います。
山口:練習して慣れていきましたか?
畠山:そうですね。最初に乗った時が、馬の引っ張る力が強くてかなり衝撃的でした。私は後ろのソリに乗っていただけなのに振り落とされそうなパワーだったんです。山の障害があるんですけど、それを越える時も、一見あまりスピードが出ていないように見えるけど、乗ってみるとかなり速くてビックリしましたね。でもレースまでに何度か練習をして、本番はかなり慣れて大丈夫になりました。
山口:障害を越える時は休んでから一気に越えるんですよね?
畠山:そうなんです。騎手の方と呼吸を合わせて一気に越える感じです。
山口:私もオッズパークライブでばんえい競馬を賭けたことがあるんです。馬の可愛さと迫力と両方ありますよね。
畠山:そうですね。
山口:騎手の皆さんとの交流はいかがでしたか?
畠山:レース前に少しお話する時間があったんですが、私の乗った馬が「この中で一番弱いよ」と言われました(笑)でも結構いいところまで頑張っていたんです。騎手の皆さん、すごく優しかったです。
山口:記事を見ましたが、畠山選手の馬が最初はリードしていたんですよね?
畠山:そうなんです!いけるかな?と思ったけどダメでした。でも馬は頑張ってくれていました。
山口:イベントも盛りだくさんだったようですが、トークショーの雰囲気はどうでしたか?
畠山:競輪場やサテライト以外でトークショーをするのが初めてだったんですが、いつもとは違った雰囲気でした。当たり前ですが競輪をあまり知らない方が多く「ガールズケイリンとはこんな感じです」という話などから始まりました。普段と違うお客さんとの交流は新鮮で楽しかったです。
山口:CS放送にも出演されたんですよね。予想をしたんですか?
畠山:いえ、私は素人すぎて予想はせずトークだけでした。
山口:コロナ禍前から5年ぶりのイベントで、以前は毎年行われていましたがまた参加したいですか?
畠山:はい!毎年行きたいと思えるくらい楽しかったです!
山口:オッズパークとばんえい競馬とガールズケイリンと、全部が盛り上がっていくと良いですね。
畠山:そうですね。盛り上げられるように頑張りたいです。
山口:場内のお客様からの声掛けて印象的なものはありますか?
畠山:私が中学校の時に住んでいた地域から、お知らせを見て来てくれた方がいました。帯広は競輪の場外発売所がないので競輪を知らない方が多いんですが「このイベントをきっかけに競輪を見てみるよ」と言っていただけて嬉しかったです。
山口:帯広と函館はかなり離れていますもんね。畠山選手はもともと函館周辺に住んでいたのではないんですか?
畠山:はい。中学校までは十勝の辺りに住んでいました。そこで乗馬も習っていました。部活はずっとサッカーをしていたんですが、引っ越した先の高校にサッカー部がなく、バスケットボール部に入りつつサッカーのクラブチームで練習をしていました。
山口:畠山選手への密着ドキュメントを拝見したのですが、高校のときの先生や同級生の方も出ていましたね。その方からガールズケイリンをすすめられたんですよね?
畠山:そうなんです。そこから始まりました。
山口:それではレースのお話も伺います。今年の成績は振り返っていかがですか?
畠山:去年に比べると物足りないです。怪我があったりと体調が万全ではなかったので仕方ない部分もありますが、あんまり良くなかったですね。
山口:優勝回数やガールズフレッシュクイーンの優勝もありましたが、それでもまだまだと感じるんですね。
畠山:そうですね。自分の足や競走内容を含めていまいちでした。大きな原因がこれ、というのはわからないですが、一番調子の良い時に比べると今はかみ合っていないと感じます。
山口:戦法はこだわっていますか?
畠山:はい。基本的には先行一本でいきたいんですが、周りの方からは「そろそろ捲りも覚えた方が良いよ」と言われます。練習では捲りの練習もしています。
山口:捲りが全く出ないという訳ではないですよね?
畠山:そうですね。捲りはできるんですが、上りタイムが、先行したときと捲りのときで大きく差がないので、もう少しうまく捲れるようになれれば良いなと思います。
山口:10月の防府の優勝について伺います。入る前はどういう意気込みでしたか?
畠山:他の参加選手たちも強い選手がたくさんいたので、「私は自力でしっかり勝負をしよう」という気持ちだけで、「絶対優勝するぞ」という気持ちは少なかったです。
山口:防府は初めてでしたが、他の33バンクの相性はどうですか?
畠山:33は逃げたら残れることも多いので悪くないと思っています。でも、前検日に「防府が33バンクだ」ということを知りました(笑)
山口:えー!(笑)そうか、防府は改修工事をしていましたもんね。
畠山:記者さんに「33バンクはどうですか?」と聞かれた時に気付きました。改修をしていて参加が初めてだったので気づかなかったんです。でも33と知ってテンション上がりました(笑)
山口:得意と思えたら、それは良かったです(笑)ではレースを振り返ります。初日は畠山選手が仕掛けたところを残り1周で西島叶子選手(熊本118期)にかまされたレースでした。
畠山:本来ならばカマシをしっかり突っ張れれば良かったんですが、ダッシュがなかったので合わせきれず、内に詰まって自分の力を出し切れずに終わってしまいました。
山口:ガールズは横の動きが制限されているから詰まってしまうと難しいですね。
畠山:そうですね。何もできずに終わってしまいます。
山口:対策としては突っ張るか、飛びついて単独で2番手を確保してから捲り、になるんでしょうか?
畠山:飛びつくレースもあるんですが、それも内に詰まる恐れがあるんです。33バンクなので外もそこまで膨らまないんですよね。だから突っ張るのが一番良かったですね。
山口:2日目にはそこを修正して?
畠山:そうですね。私の後ろが並走になっていてなかなか仕掛けられなかったと思うので、展開が良かったです。
山口:決勝は山原さくら選手(山口104期)との対戦でしたが見事な逃げ切り優勝でした!
畠山:多分、山原選手とは初めての対戦だったんです。強い選手なので私は力勝負をしようと決めて走りました。それが結果、展開も向いたのかなと思います。
山口:自信になる優勝ですか?
畠山:そうですね。並走などもあったとはいえ、HBを付けて優勝できたので自信にはなりました。
山口:その後の立川ではナショナルチームにいた梅川風子選手(東京112期)との対戦でしたね。
畠山:初日は梅川選手のスピードに合わせるのが必死で、行かれた後のことを全く考えていない組み立てをしてしまい、脚が全く残っていませんでした。「捲られるかもしれない」と想定しておけばその後もペースで駆けて確定版はあったかもしれませんが、一回は本気で梅川選手に抵抗してみたかったんです。結果は5着で力の差を突き付けられたのですが、それはそれで良かったと思っています。
山口:梅川選手はガールズケイリン専念ですから、今後も対戦はありますもんね。
畠山選手の今後の目標は何ですか?
畠山:毎回、レースに対して自分の目標があるんです。だから「もっと先」とか「来年がどう」とか大きい目標は立てていないです。でもざっくりですが来年はGIには出たいです。
山口:一度経験したから、というのはありますか?(去年の競輪祭女子王座戦に出走)
畠山:そうですね。一度出て、全然自分の力じゃ戦えないことがわかりました。「もうちょっと強くなってからリベンジ」とその時は思ったんですが、今の力じゃまだまだ通用しないと思います。とりあえずは通常の開催で決勝で毎回確定版に入るくらいの力を付けていきたいと思っています。
山口:オールガールズクラシックの選考期間ですが、そこはどうなんでしょう?
畠山:無理だと思います。私、追加あっせんなどはほぼ走らないので出走本数は少ないんです。そこを頑張って走ればもしかしたら出場できる、できないの争いには加われたかもしれませんが、今は焦らずもっと先を見据えて頑張っています。
山口:まだデビューして2年半ですもんね。しかも自転車経験がない中で養成所へ、ですから。
畠山:養成所時代から、自転車競技出身の同期との差はすごく感じていました。だから「私は時間はかかるだろうな」と思っています。
山口:自転車競技出身の方もたくさんいますよね。
畠山:特に同級生は競技経験者が多いんです。河内桜雪選手(群馬)、又多風緑選手(石川)、藤原春陽選手(徳島)などは競技出身です。
山口:同期の活躍はどう見ていますか?
畠山:デビュー当初は「同期に負けたくない!」という気持ちがすごくあったんですが、最近は同期が優勝するととても嬉しいですし、それに刺激を受けて自分も頑張りたいなと思うので、良い関係なのかなと思います。
山口:冬になり北海道は雪もあって練習も外ではできないと思います。冬季移動はされますか?
畠山:はい。川崎にお世話になります。同期の塩田日海選手(神奈川)を頼っていきます。
山口:新たな環境での練習になるんですね。
畠山:川崎は男子選手に強い選手がたくさんいます。一緒に練習するのはガールズなんですが、それでも雰囲気は函館とはまた違ったピリッとした雰囲気も感じるので、それも刺激になれば良いなと思います。
山口:先ほど仰っていたレースごとの目標というのは、伺っていいですか?
畠山:1周駆けて上りタイム12秒5で返ってくるというのを目標にしています。そこに着がついてくるかどうかはそのレースのメンバーや展開によります。その目標を立てているので、レースごとに一喜一憂しないようにしています。
山口:その目標をコンスタントにクリアできて、次の目標へ?
畠山:そうですね。
山口:それはどなたかに相談して決めたんですか?
畠山:いえ、自分で決めました。練習メニューもそうなんですが、他のガールズで、師匠にメニューを組んでもらったりする方もいると聞きますが、私は自分で納得してやる方が向いていると思うのでこのやり方があっている気がします。
山口:自分で考えて、納得して、徐々に目標を高いところへ持っていく?でも優勝を含めて結果も出ていますもんね。
畠山:そうですね、まだまだ頑張ります。
山口:では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
畠山:今年は成績も物足りなくて、車券として迷惑をかけてしまったと思います。来年からはしっかり練習してたくさん優勝できるように頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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弥彦競輪場で行われたG1寛仁親王牌・世界選手権記念で連覇を果たした古性優作選手(大阪・100期)。
今年前半戦は苦しむ時期もありましたが、これでオールスターに続いて今年のG1は2勝目。
古性選手が今目指す場所とは。そしていつまでもストイックでいられる理由は。様々なお話を伺いました。
ナッツ:寛仁親王牌の優勝おめでとうございます。
古性:ありがとうございます。
ナッツ:お気持ちはいかがですか。
古性:寺崎君(寺崎浩平選手・福井117期)も脇本さん(脇本雄太選手・福井94期)も頑張ってくれました。
ちょっとラインとして機能できなかったので複雑でしたけど、結果を残せてよかったなと思います。
ナッツ:連覇というところに関してはいかがですか。
古性:全く興味ないですね。
今回に関しては2人が頑張ってくれたという、それだけですね。
ナッツ:今回は共同通信社杯競輪から1ヶ月ほど空きましたが状態面はいかがでしたか。
古性:共同通信社杯の後は腰痛でちょっと欠場させてもらったんですけど、トレーニングもしっかりできて、その時よりはいいなと思いました。
ただトレーニングをしっかりできた分、ちょっと疲労が抜けきらずに入ってしまったかなという感じですね。
ナッツ:古性選手は普段、疲労をためて開催に入るということが多いのでしょうか。
古性:基本はG1以外には疲労をためて入ってますね。
やっぱりG1を目がけてやってるんで、G1で良いパフォーマンスをするには1日を無駄にせずにトレーニングしてから入らないとと思っています。
他をピークに持ってくると、次のG1がしんどくなっちゃうんで。
ナッツ:では今回は調整も入れつつだったのですね。
古性:そうですね。しっかり調整していって、という感じだったのですが、今回はちょっと失敗したなって思います。
ナッツ:ではレースを振り返っていきます。
まずは初日の特別選抜予選。北井佑季選手(神奈川119期)に対してジャン過ぎに仕掛けていくシーンがありましたが、あの辺りはどう考えていましたか。
古性:先行が北井さんだったので、後方になるよりはしっかりと前に踏んで勝負したいなって感じでしたね。
ナッツ:あそこは北井選手を叩きに行ったのでしょうか。
古性:基本的には自分が持つペースで踏んでいって、出切ることができれば勝負できるなって感じでしたが、北井さんのダッシュもすごかったですし追い上げる形になりました。
ナッツ:その後、バックあたりで北井選手の番手から縦に踏み込んだのかなと感じるシーンがあったのですが、あのあたりはいかがでしたか。
古性:しっかり南さん(南修二選手・大阪88期)とも決めたかったんで思いっきり踏み込んでいったんですけど、北井さんがすごい踏み直しでした。
スピードがすぐに合っちゃったなって感じでしたね。
ナッツ:もうそこは冷静に1度立て直してっていうような感じだったのですね。
古性:そうですね。1回踏んでやめたので、その分南さんが苦しくなったかなとは思います。
ナッツ:古性選手自身はしっかりと抜け出しての1着となりましたが、一走しての脚の感じはいかがでしたか。
古性:重たかったっすね。
ナッツ:まだまだ状態としては、という感じだったんですね。
そして、2日目のローズカップは近畿が3人揃いました。作戦としてはいかがでしたか。
古性:前の方からレースしたいって感じだったんで、前取ってから勝負したんですけど、ちょっと難しい判断になったなと思います。
ナッツ:眞杉匠選手(栃木113期)が、寺崎選手に対して突っぱらせないような出方になりましたが、基本的には突っ張りも作戦のうちではあったんですね。
古性:そうですね。突っ張りもありましたね。
ナッツ:結果的に一度引いてから寺崎選手も仕掛けていきました。ただ、そこは合わされて道中は古性選手にとっては最後方という位置になりましたがいかがでしたか。
古性:キツかったですね。
ナッツ:ただ、その後脇本選手がものすごい捲りを放ちました。あの辺りはついていていかがでしたか。
古性:もう本当にすごい強いなって思いましたね。寺崎くんも脇本さんもすごい強かったです。
ナッツ:3日目は再び自力になりました。
自力ある選手も揃っていた中でしたがどう考えていましたか。
古性:特には考えてなかったんですけど、本当に全部瞬時の判断でレースしたなって感じです。
ナッツ:最終バックは展開的に内に包まれて結構苦しいところじゃないのかなと見えましたが、あのあたりはいかがでしたか。
古性:いや~正直負けパターンに入っちゃったなって感じでしたね。
なんとかコースが開いたので良かったです。
ナッツ:3走して脚の状態は初日と比較していかがだったのでしょうか。
古性:もう重かったっすね。基本的に僕はもう開催中に回復することはなくて、入ってきた状態で勝負することになるタイプなんです。
ナッツ:じゃあもう今回は4日間ずっと重い状態だったのですね。
古性:そうですね。悪かったら悪いなりに組み立てでカバーしたいなって感じはありました。
ナッツ:前回お話伺った時には、オールスターの際には準決から決勝の間でローラーに乗ってインナーの使い方で良くなったということを仰っていましたが、今回は状態面の変化を感じることはなかったのですね。
古性:はい。もうバンクも寒くなってすごく重たくなりましたし、オールスターの乗り方では結構厳しい感じはありましたね。
ナッツ:そして決勝戦。近畿にとってはローズカップと同じメンバーということになりましたが、作戦としてはやはり2日目の分まで突っ張るという形でしたか。
古性:そうですね。2日目の失敗もありましたし、寺崎くんと、確実に突っ張れる方法を2人でちょっと話してという感じでしたね。
ナッツ:その突っ張りのアドバイスをしっかりと寺崎選手は実行できたということですか。
古性:ちょっとローズカップの時とは相手の出方が違かったんで、寺崎くんも突っ張りやすかったかなと思いますけど2日目の時よりは良かったかなと思いますね。
ナッツ:仮に2日目の眞杉さんのような感じで押さえに来たとしても、ちゃんと突っ張れるような方法みたいなアドバイスをされてたっていうことですね。
古性:そうですね。その辺りはもしそういう感じで来ていたとしても対応できたと思います。
ナッツ:結果として、寺崎選手は突っ張り切りましたが、郡司浩平選手(神奈川99期)も早めの仕掛けで脇本選手と絡むシーンもありました。あの辺りの判断はいかがでしたか。
古性:新山君(新山響平選手・青森107期)も隙がなかったですし、郡司君が来た時にもし4車あれば張って止めることもできたんですけど、3車だったので、そこを開けて脇本さんが踏むコースがなくなるっていう怖さもありました。なので僕はもうしっかりととにかく内を締めて、あとは脇本さんの判断でと思いましたね。
ナッツ:ただ、その脇本選手が内に差し込んでしまったところがありました。そこでの古性選手の判断ですよね。
古性:そうですね。郡司君があの辺りはすごく上手でしたね。
もし脇本さんがあのまま縦に踏んじゃうと、もうそのまま決まっちゃうって郡司君も思っただろうし、僕もそう思ってましたね。
仮に僕が郡司君でも、脇本さんが縦に出ないようにする為にはああするかなって感じでした。
ナッツ:自分でもそう思うからこそ、あの場面を見て脇本選手は厳しいなっていうのがわかったのですね。
古性:寺崎君もあんだけ長い距離行ってますし、スピードがだんだん落ちてくるところで脇本さんが内に差しちゃったんで、車輪が抜けるのが多分これは時間がかかるなと思いました。そこで切り替えの判断をさせてもらったって感じですね。
ナッツ:その後は捲ってきた佐々木悠葵選手(群馬115期)を牽制するシーンもありましたが、あの辺りはいかがでしたか。
古性:しっかりと2コーナーから僕が外を踏めたらよかったんですけど、僕もジャンで追い上げていたので脚を削られていました。
ちょっときついなって感じで、佐々木君が来たのがわかったんで止められたらと思ったんですけど。
ナッツ:そしてその後郡司選手がブロックしたところ、前輪を引っこ抜いてインコースに進路を切り替えた部分の判断としてはいかがだったんでしょうか。
古性:本当にもう佐々木君と郡司君の間を割って勝負するしかないなって思ってました。
自転車をそこに差し込んでいたので郡司くんが外に持っていった時に、前輪を引っこ抜いてから内に行くっていう判断をしたんですけど、自分でも内に行くのは予想も全くしてなかったし、本当に体が勝手に動いたなって感じですね。
ナッツ:あのままだったら、前輪が払われて古性選手も危ない感じのシーンでしたよね。
古性:そうですね、一緒に持って行かれてやばいかなと思ったんですけど内に行けて良かったですね。
ナッツ:やはりあの辺りもベースとなってるのはBMXの経験が大きいのでしょうか。
古性:いや、引っこ抜く技術ってBMXじゃないんですよね。BMXは固定ギアじゃないですし、BMXは立ってバックを踏むっていう作業をしても前に進んじゃうんです。
これは本当にピストで身につけた技術ですね。BMXとは全く別ですね。
ナッツ:え、そうなんですね。逆に言うと、それは古性選手でなくてもピストの練習で身につけることもできなくはないはずってことですよね。
古性:はい、誰でもできると思いますよ、練習すれば。笑
ナッツ:古性選手もそういう練習を積み重ねてきたってことなんですね。
古性:そうですね。練習もしましたし、考えもしました。
ナッツ:やっぱりそこはしっかりと思考も働かせて、色々チャレンジもしてっていう積み重ねなのですね。
古性:本当にG1の2センターって集中力がすごい高まる場面なんですね。そこで無意識の状態でああいうことができたのは良かったなと思いますね。
ナッツ:あとは今開催の前に、後藤大輝選手(福岡121期)だったり菊池岳仁選手(長野117期)が古性選手と練習されたという記事も拝見しました。
後藤選手に関しては古性選手が声を掛けたということでしたがどういった経緯だったんでしょうか。
古性:オールスターの時に部屋に遊びに来てくれたりとかしてたんですよね。 その時に合宿とかをしたいな、という話はしてたんです。
それで本当にやっぱりすごく意識が高い選手なんで。岳仁も大輝も。それで本当に来てくれて一緒に練習した感じですね。
ナッツ:古性選手も2人のレースを見ていて良いレースをするなと思っていたのですか。
古性:もちろんそうですね。僕も練習を一緒にしたかったっていう気持ちもあるので。
ナッツ:その辺りは自分のことだけでなくて、地域関係なく競輪界全体のことも考えてるようにも見えます。
古性:いや~もうなんですかね。岳仁からもですし、大輝からもそうですけど、僕はその2人のいいところをパクりたいと思って練習してるんで。笑
向こうが刺激を受けるよりも、僕の方が刺激もらったなって感じはしますね。
ナッツ:そこは逆なのですね。笑
古性:ですね。僕のために来てくれた感じです。笑
ナッツ:古性選手ほどのトップの選手でも、若手から学ぶところがあるのですね。
古性:めちゃくちゃありますね。
もう若くてあれだけ強いので、やっぱり練習の姿勢だったりとかも素晴らしいですし。あとは何を考えて練習してるか、どういうフォームしてるか、ペダリングしてるか、重心がどこにあってもがいてるのかとか、色々なことを吸収しながらって感じですね。
ナッツ:そこまで、古性選手がストイックでいれる理由っていうのは何があるのですか。
古性:なんですかね。本当にこう、シンプルに強くなりたいだけですね。
ナッツ:古性選手の中でも、しんどいなという気持ちだったり、休みたいなとか思う時ってのはあったりするものなのですか。
古性:頭にはありますけど、タイトル取る為に強くなりたいという感じではなくて、本当に一競輪選手としてもっと強くなりたいっていう感覚なんです。だからG1を獲っても本当に全く満足することないです。強くなる為に、って考えたらやっぱりみんなと一緒に練習して少しでもいいところを自分が吸収できるようにって思っていますね。
ナッツ:そのお話を聞いていると、今目標に掲げてらっしゃるダブルグランドスラムを達成されたとしても、もっと強くなりたいっていう意識が古性選手の中ではずっと継続していきそうな感じがしますね。
古性:どうですかね。とにかく今は目標はそこに置いてるんですけど、それを達成してしまうとどうなるかわかんないですね。
でもそれを達成したらまた次の目標が出てくると思うし、達成しそうやったらまた次トリプルグランドスラムとか多分言ってると思うんで。
基本的には達成する前に次の目標を立てたいタイプなんで僕は。満足はしたくないですね。
ナッツ:もう本当に競輪選手としてタイトルだけでなく、人としても競輪選手としても一流に、という感じなんですね。
古性:そうですね。何かを成し遂げるっていうよりかは本当に強くなりたいっていう思いだけですね。
ナッツ:いや、本当にどこまで上を目指すのか...天井がどこにあるのかわからないですね。
古性:はい。自分でもわからないですね。
ナッツ:そして、まずはそのダブルグランドスラムが目標ということに関連して、次走はまだ獲得出来ていない競輪祭が控えています。
競輪祭は過去2回決勝に進出されていますが、競輪祭に対するイメージはいかがでしょうか。
古性:小倉でドームというところで、スピードが1個上がるんですけど、その1個上がるところに僕はちょっと対応できてない部分はありますね。
ナッツ:同じドームでも前橋は古性選手は得意なイメージはあるんですがまた違うのですね。
古性:前橋はコーナーで加速していける感覚があるんですよ。小倉はちょっとそれが薄くてなかなか難しいなって感じです。
ナッツ:あとは競輪祭はグランプリに向けての1ヶ月前っていうのもあって、調整面もそこをピークに持っていくのは難しいんじゃないかなとも感じるのですが、その辺りはいかがですか。
古性:そうですね。競輪祭終わってから1回落とすっていう感覚もあんまりないんで。競輪祭は競輪祭に向けて仕上げて、競輪祭より少し上積みがある状態でグランプリに入れたらいいかなと思います。
ナッツ:今はまずは競輪祭に向かって調整をする段階なんですね。
古性:はい。今は自分の決めたトレーニングメニューを淡々とこなすだけって感じですね。
ナッツ:こんな話をするのも失礼かもしれないですが、最短では再来年にはダブルグランドスラムを達成できます。
古性選手の中では、ダブルグランドスラムをいつ頃達成したい、というような具体的な期間の目標はあったりするんですか。
古性:それは特にないんですけど、今本当に満足できてないんです。
自分が強くなったなって思うことは多分一生ないと思うんですけど、自然とそういう風になれるように頑張りたいなって感じです。
ナッツ:それを強い古性選手が言ったら、他の選手はお手上げのような感じもしますね。
古性:でも本当に今はG1を優勝してもF1を優勝したような感覚なので。
ナッツ:え、G1の優勝がF1優勝と同じくらいの感覚なんですか。
古性:はい。自分の中で大きいところに目標を置いてるんで、本当に満足感っていうのは今は全くないですね。
ナッツ:見据える場所が違いすぎて、G1が当たりではないですけど、もう本当にそういう感覚なんですね。
一喜一憂するような感じでもないっていうような。
古性:そうですね。G1獲ったぞ、っていう感じでもないですね、今は。
一喜一憂も一切ないですね。
ナッツ:すごいですね。本当にストイックですね。
古性:でもG1優勝しても力の差は感じてるので。勝ち上がりのレースでもそうですしほとんど僕より強いと思います。
ナッツ:力の差というのは自力ということですか。
古性:そうですね。見てる人にはなかなか伝わらないかなと思うんですけど、僕はそういう風に感じてるので満足感みたいなのはないって感じですね。
脚力をもっとあげていきたいですね。
ナッツ:あとは競輪祭後にはグランプリも控えています。そこに向けてはいかがでしょうか。
古性:寒くなってきたら、だんだんグランプリの時期やなって感じになってきますね。そろそろ始まるなって感じはします。
ナッツ:グランプリはまた違う特別感はあるんですか。
古性:そうですね。本当に一般の人も見るようなレースですし、普段競輪に興味ない人も見るレースなので一段階も二段階も違うかなって感じはするので頑張りたいですね。
ナッツ:ありがとうございます。今後のご活躍にも期待しています。
では最後にオッズパーク読者の皆様へ一言お願いします。
古性:これからも応援してもらえるように頑張ります。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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