3月に松山競輪場で行われた『第2回ウィナーズカップ』で優勝した武田豊樹選手(茨城88期)。
昨年8月におった大怪我からの復帰後初優勝は、平原康多選手(埼玉87期)とのワンツーという嬉しいものでした。
その時を振り返っていただきました。
山口:ウィナーズカップ、優勝おめでとうございます!率直なお気持ちはいかがですか?
武田:ありがとうございます。特別競輪の優勝は久しぶりだったので嬉しいですが、 もう終わったことなので新たな始まりという気持ちで次へ向けて走っていますね。
山口:優勝直後のインタビューでも次へ向けてというお話がありましたね。
武田:そうですね。戦術や戦法も変わってきている中でどんどん課題が出てくるので、 向き合いながら次へ向けてという気持ちは常にあります。
山口:決勝戦では連携した平原康多選手とワンツーでの優勝は嬉しさも大きいですね。
武田:最近は連携してもうまくワンツーが決まっていなかったので嬉しいです。脚力がないとついていけないですしね。
昨年の地元(取手)での全日本選抜競輪では平原くんが優勝、自分は2着の今回とは逆のワンツーなども過去にはありましたが、日々のトレーニングがあっての事だし、後はやっぱり相手選手に対して頑張ってくれた平原くんの努力もあって今回のワンツーだったと思います。
山口:ウィナーズカップ含め、最近は茨城の若手選手とも連携が増えていますね。平原選手と連携をするときとは違う感覚だと思いますがそれについてはいかがですか?
武田:平原くんとは特別競輪やグランプリなど何度も連携をし、悪い時も良い時も一緒に走っていて信頼できる仲間という感じですが、後輩たちは経験がそこまでないのですが求めるものは一緒です。自分が作戦をたてるという訳ではないのですが、レース前に確認はしますね。
展開に応じて、「その場合はこうした方がいいんじゃないか」とか。ただレースは始まってしまえばどうなるかはわからないのでその程度です。
今まで作戦通りにいったことは一度もないので。
山口:そうなんですね。意外です。相手の動きが予想外の時も多かったんですか?
武田:そういう訳ではないんですが、たまにレース中に自分の余裕がなくなってくる時があって、そうなると着も悪いんですね。
僕の場合はただそれだけだと思います。相手がどうしたこうした、ではなく自分の中で余裕がなくなったらそれまでなので、余裕を作るために普段からトレーニングに励んでいます。もちろん体調の問題もありますが、精神的な部分もある。それがうまくマッチした時に勝てるんだと思います。
山口:その余裕を作るために、普段の練習もレース形態のトレーニングをしますか?
武田:それはないです。年齢と共に大人数で練習をすることも少なくなってきました。本当はやらないといけないんですが、なかなかできないですね。
山口:年齢についてなんですが、デビュー時と今では練習方法は違いますか?
武田:気持ちの面では全く変わっていませんが、自分に与えられるレースが変わってきているので、それに応じてレースをしたいし、そのレースに応じて組み立てないと優勝はできないと思い、練習方法は変えています。
山口:昨年は8月オールスター競輪(いわき平)での落車がありました。私、当日検車場で拝見した時にはそんなに大怪我とはわからなかったです。
武田:自分も帰る時は歩けていたので大丈夫かとも思ったんですが、その後やっぱりおかしいなと思い病院に行ったら骨盤が折れていました。
山口:レース直後は興奮状態とよくお聞きしますが、歩けるものなんですね。
武田:自分の場合は骨盤とはいっても部分としては、大腿骨がはまっている臼蓋(きゅうがい)だったんです。
だからというのと、レースの時の気持ちでいるので多少まだ歩けていたみたいですが診察後はやっぱり歩けなかったです。思ったより重症でした。
山口:リハビリ中は復帰までのモチベーション維持は何でしたか?
武田:もともと競輪をする上で、年齢を重ねると怪我も増えるというアクシデントスポーツという概念があったし常にそれは思っているので、大怪我したらどうしようか、というイメージは常に持っていました。勝負の世界なので怪我をしたら治すしかないしそれが嫌なら辞めるしかないですよね。
なので、特に焦りなどはなかったです。
山口:復帰戦は寛仁親王牌(前橋)でしたが、それは決めていたんですか?
武田:そこでの復帰は予定よりは早かったんですが、復帰するときに定めた目標が『半年で優勝』だったので早期に走らないと目標は達成できないと思って走りました。痛みも実際はありましたが、そんな中でも一生懸命走る気持ちはありました。人それぞれかもしれませんが、自分の場合はレースを走らないと弱くなっていくので無理してでも走っていましたね。
山口:いつも思っていたんですが、武田選手はGⅠの決勝やグランプリなど、ここ一番というレースへ向けての『調子の上げ方』など、しっかり合わせてくるイメージがあるんですが、それはご自身ではいかがですか?
武田:そんなことはないですけど、経験もあるかもしれませんね。ただ難しくなってきています。人との連携もありますし、自分で決めるというレースも減ってきていますから。そんな中でも気持ちを高めて決勝戦までたどり着けるようにというのはいつも思っています。
山口:レース前夜などには組み立てのイメージはしますか?
武田:それも今はほとんどありませんね。競輪のレースで、考えてもそれが決まることはないのであまり考えないようにしています。
自分が前で走る時も、人の後ろで走る時もありますが、常に自分が前で走れる準備はしていますし、なかなかこだわってしまう部分もありますが、勝つためにどうしたらいいかを考えて、常に走っていますね。
山口:完全に追い込み選手へ変わるというのはまだないですか?
武田:自分の求める練習が出来なくなってきた時に、考えるのかなとは思いますが、今のところはないですね。でも考えなくてはいけないのかなとも思います。
その辺りは、自分の感覚で今後決めていくのかなと。
もともと始まりが「自力選手で頑張りたい」という気持ちだったので、なかなか自力と追い込みの切り替えが「ここから追い込み」とはっきり出来るものでもないですし、今はそのレースに応じて自分の脚質を磨いて脚力をつけて走りたいです。
山口:茨城の若手選手へ期待する部分はありますか?
武田:まだまだこれから経験も必要だと思いますし、同じ気持ちで走れるように頑張って欲しいですね。ただただ頑張って欲しいと思っています。
なかなか決勝戦で連携というのは、そこに来るまでにも大変ですから。自分のやっている事を確立しないと決勝には乗れないと思うので、そういう部分についても頑張って欲しいですし。僕も人の事を心配するよりも、自分の与えられたことをしっかりとして力を出せるように頑張りたいです。
山口:今後の目標や意気込みは何ですか?
武田:5月は斡旋が止まってしまうんですが、まだ力を発揮できない時もたくさんあるし、自力として先頭で走っている時もそうだったんですが、一戦でも多くそのレースに応じて力が発揮できる選手になりたいです。
山口:グランプリを目指して、というよりはまずは目の前の一戦なんですね。
武田:グランプリは特に考えていないです。まずは目の前の一戦やGⅠを勝つためにレースで脚力を磨いて、どのレースになっても力が発揮できるようにとにかく全てを磨かないと勝てないと思います。
山口:息抜きをしたりはしますか?
武田:特には考えてしてはいないですね。トレーニングを常にするのは苦ではないですし、特別息抜きをすることはないです。
山口:S級S班でオッズも人気になりますが、お客様の声はいかがですか?
武田:最近はだんだん人気もなくなってきたんですが(笑)、人気でも人気じゃなくても自分は1着を目指すレースを淡々と丁寧に全力を出すだけですね。
今後もそうでありたいです。
山口:最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
武田:まだまだ自分の思ったように力が発揮できなくて苦労していますが、少しでも力を発揮できるように普段から頑張りたいと思います。応援お願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
小柄ながらレースでは鋭い追い込みを見せる青木美優選手(栃木106期)。師匠や同期との絆を胸にレースに臨む意気込みをお伺いしました。
山口:近況はいかがですか?
青木:落車もあったんですが、練習をコツコツとやっているので元の状態より良いところへ持っていけるようにしたいです。
山口:練習方法はどのような感じですか?
青木:師匠(76期・江連和洋選手)と一緒にさせてもらっています。師匠は、去年初めてS級1班になってS級初優勝をしたり調子が良かったんですが、年末に落車をしてしまいリハビリを中心にしています。それを一緒にさせてもらう形ですね。アドバイスをいただいたり練習を見てもらうなど、とても助けてもらっています。 街道も行ったりするんですが、基本的にはバンクを中心に練習していますね。
山口:師匠と一緒に練習、というのはやはり集中できますか?
青木:師匠が私のレベルに合わせてやってくれたり、たまに「俺を奥井さん(東京106期・奥井迪選手)だと思って走れ!」とかレースをイメージしながらの練習をしてくれます(笑)
山口:素敵ですね!江連選手はどんな師匠ですか?
青木:普段は無口なんですが、私のことを気にかけて心配してくれて、とても優しいですね。私には直接聞かずに、周りの選手に「最近美優の調子どうかな?」と聞くみたいで、周りの方から「心配してたよ」と伝え聞くことがあります。
私に気を使わせないように、というのと照れ屋な所があると思います(笑)でも、そういう師匠の気持ちも伝わっているので、頑張らないとなと!
山口:元々は空手をされていたんですよね?ガールズケイリンへのきっかけは何だったんですか?
青木:決め手になったのは母のすすめですね。大学で空手を続けるか迷っていた時にすすめてくれて、試験に受かったらそれが運命だったんだと思って頑張ろうと決めて、適性で試験を受けたら合格しました。
山口:適性ということは、自転車経験もほとんどない所からのスタートでしたね。
青木:そうですね。高校時代も自転車にあまり乗る生活ではなかったので、競輪学校在学中は自転車の難しさに苦労しました。
人よりは乗り込みをしようと思って乗っていたんですが、なかなか結果やタイムに繋がらずに卒業出来るかが心配でした。
山口:その時の支えは何だったんですか?
青木:やっぱり同期のみんなですね。「みんなで卒業しよう!」と言っていたので、周りにたくさん助けられました。私は本当に106期で良かったと思うんです。出会えて良かった大好きな仲間たちです!
今は人数も少なくなってしまい、同じ開催になることも稀なんですが、たまに一緒になるとモチベーションが上がりますね。レースじゃない時も頻繁に連絡取ったりします。
山口:青木選手は地元・宇都宮バンクを走るというのはいかがですか?
青木:いつもと同じ開催だと思うようにしているんですけど、やっぱり力の入り方が違う気がします。変に緊張するとだめなので「いつもと同じだ」と言い聞かせて頑張りたいですね。
山口:息抜きとかはどうしてますか?
青木:あまり趣味と呼べるものがないんですが、家で飼い犬と遊んだり、同期や友達とカラオケに行ったりしてストレス発散していますね。
レースが詰まっているとレースで忙しくて練習がうまく出来なかったり、そこで成績が良くなかったりする時はやっぱりストレスになるので、頑張った後は息抜きが待っていると思って頑張っています。
山口:今後の目標は何ですか?
青木:優勝をまだしていないので、まず優勝したいというのと、1着もまだ予選ではなかなかとれないのでとりたいですね。
ファンの方の応援はいつも本当に力になります。
山口:そうですよね。では最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
青木:デビューした時からずっと応援してくださっている方がたくさんいるので、いつかその方たちにも優勝した姿を見せたいですし、喜びを一緒に分かち合うためにいつも頑張らないとなと思っているので、何とか声援に応えられるように一走一走頑張ります!
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※インタビュー / 山口みのり
※写真提供:公益財団法人 JKA