ボクシングで培った精神力で女子レーサーナンバー1を目指す伊勢崎32期・藤本梨恵選手。
ハングリー精神でストイックに自分と向き合い戦い続ける彼女にお話を聞きました。
インタビュー / 内野久照
内野:飯塚オートへ入る前に勝ち運を求めてドライブに行った記事を見ました。
藤本:はい!今回は福岡県篠栗町の南蔵院と福岡県浮羽町の浮羽稲荷神社に行ってきました。御朱印ガール(飯塚オートリポーターAKIちゃん)を誘って祈願してきました。勝負事なので勝ち運を求めてパワースポットにはよく行きますよ。
内野:これまで勝負にこだわってこられたと思います。ボクシング時代の事から聞かせて下さい。
藤本:はい。ボクシングの前からお話しすると中学・高校と6年間はバスケットボールに青春を捧げました。
高校は日本女子体育大学付属二階堂高等学校バスケ部のキャプテンでした。土屋太鳳ちゃんの出身高です。太鳳ちゃんは後輩ですよ(笑)
キャプテンをやって人を動かすというか人をやる気にさせるというのは難しかったです。
その時思った事はチーム競技より個人競技の方が自分には向いていると思いました。
内野:バスケからボクシングですか?
藤本:バスケットを引退して次は何をしようかなと考えました。また何かに打ち込みたいなと思っていました。
18歳から始めてもトップを目指せる物は何か?そしてプロ選手になれる競技という事でボクシングを選びました。
自らプロになりたいですとボクシングジムを尋ねました。
年に3回程の試合を行っていました。
リングネームは『藤本りえ』で、愛称は『りえ坊』。入場曲はジャネットジャクソン『ALL FOR YOU』でした。
1ラウンド2分の4ラウンド制や東洋の試合は10ラウンド制で戦っていました。生きるか死ぬかという気持ちで試合に挑むので気持ちは常に入っていました。
18歳からはボクシングに人生を捧げていましたね。世界チャンピオンになる目標を掲げそれに向かって毎日トレーニングに励みました。
試合が決まると対戦相手のビデオを見て研究します。恨みがある訳じゃないけど恨むみたいな感じになってぶっ倒すという気持ちになりますね。
リングに上がる前・試合の入場前は吐き気も出て凄く緊張したのを覚えています。
その時代はまだ女子ボクシングはマイナー競技でしたが最年少女子プロボクサーとしてデビューする事となりましたのでデビュー戦は話題にして頂きました。
内野:ボクシングで大変だった事は?
藤本:ボクシングではもちろん減量が厳しかった。
58kgから50.8 kgまで落とします。約1ヶ月の間です。
走るのと食事制限をします。試合の直前に水抜きをします。方法はサウナです。やり過ぎると脱水状態になります。
直前にやらず早めに水抜きをすると、体自体が小さくなってしまいます。体を小さくせず大きいままで体重を落とす事は難しく厳しかったです。
計量をパスすると沢山食べるのですが胃も小さくなっているので急激に体重を戻す・増やす事は出来なかったです。他の人の中には5kg増える人もいました。
内野:プロボクサーの現状はどうだったのですか?
藤本:年に3回の試合だけでは食べて行けないです。
ファイトマネーも金額的に多い訳ではなかったです。18時からボクシングジムでのトレーニングがあるので16時17時ころまで毎日アルバイトをしていました。
アルバイトでリフレッシュ出来るようにあえて幾つも掛け持ちしました。
ボクシングの試合をする為にチケットも売らないといけないので売る為に人脈作りもしました。おかげで沢山の方に応援して頂きました。
皆さんの応援のおかげもあって日本チャンピオンに2回なりました。フライ級とバンタム級です。女子東洋太平洋スーパーフライ級王者にもなれました。
内野:どんなタイプのボクサーでしたか?
藤本:ガードをしない訳ではないけど打たれたら打ち返すといった感じでいつも壮絶な打ち合いになっていました。
殴られた時は『このやろー!やってやるー!』という気持ちになるし毎回『くっそー』って思いますよ(笑)
殴り合いなので怪我が絶えなかった。鼻は折れるし眼底骨折した事もありました。
試合が終われば顔は凸凹になりましたよ。
内野:ボクシングを引退されてからは?
藤本:ボクシングを引退してからは生きる希望を失ってしまった。6ヶ月間は抜け殻になりました。まさしく『あしたのジョー』状態です。病んでいたのかもしれません。
周囲から次は何するのと聞かれることが多く逃げるようになりました。あの時は人を避けて生きていました。
そんな中次に打ち込める事を探しました。女子ラグビーや競輪も考えましたが29歳から始めて長くやれる事、選手寿命を考えてマシンスポーツだなと思いオートレースを受検しました。
個人競技は自分次第。やればそれだけ返って来る。やらなければ結果に繋がらない。
自分が頑張れば頑張った分結果に繋がるから個人競技が面白いと思いました。
自分は年齢的にも上だったしバイク経験者でも無かったので受かった時は本当に嬉しかった。生きる希望が見えました。
32期同期は女子が5人いたけど益(益春菜元選手・川口32期)と岡谷(岡谷美由紀選手・浜松32期)、私藤本は年齢が近かったので3人でよく居ましたね。仲良かったです。
利沙(片野利沙選手・川口32期)と岸(岸萌水元選手・浜松32期)はいつも2人で居ましたので2グループになってたかな...
養成所は地獄でした。
常に不安でした。遅かったし出来なかったので卒業出来ないのではないかと不安だらけでした。
教官に『お前たちがダメだったら次の女子採用に影響が出るからな』というような事も言われました。
私はここで終わらせる訳にはいかないと思い気持ちを入れ卒業に向かいました。
内野:伊勢崎所属となりましたね。
藤本:当時あこがれの選手がいないというかオートレースの選手を知らなかったので貢さん(高橋貢選手・伊勢崎22期)チャンピオン・絶対王者がいる伊勢崎を希望しました。
家からは川口が近かったんですが、ボクシングジムもチャンピオンがいるジムは空気が違うし皆の周りの意識が高いです。
だからそういう環境でやりたいたいなと思いました。
内野:デビュー戦は?
藤本:デビュー戦はぶっちぎりの8着でした。試走が出なさ過ぎてレースに参加する事も出来ず一人で走っていた感じでした。ダメ過ぎて悔しい所まで感情が到達していなかったです。情けない気持ちで一杯でした。
女子選手デビューという事もあり何人もの記者さんから取材を受けましたが何を話して良いか分からなかった。その後成績は伸びず周りが大丈夫だろうか?クビにならないかと心配もしてくれました。
内野:ここまで幾つもの苦労があったのですね?
藤本:今、こうして頑張れるのは周りの先輩たちのおかげです。
色々とアドバイスを練習時はもちろんレース後にも的確に教えてくれました。
私は器用ではないので折れない心を持ち続けました。気持ちだけは折れないようにしてきました。簡単に結果は出せないのでこれからもコツコツやって行く事だと思っています。
練習の回数は人より行きました。同期が次行かないのであればもう1本自分は行くように心がけています。
今は新人の子もどんどん入ってきて自分も良い刺激になっています。
内野:体力面はどうですか?
藤本:オートレースで気を付けている事は体幹を鍛える事と太らない事ですね。
食事制限とランニングです。バランスを整える器具も使っています。
内野:ボクシングとオートレースの違いは?
藤本:ボクシングよりオートレースの方が感情のアップダウンが無いですね。
オートレースでは緊張しないと言うと何か悪く取られるかもしれないですが2分間のレースで一喜一憂している暇はないという事です。
すぐ次の事を考えないといけない。良くてもダメでも明日のレースの事を考えて行く。
落ち込んでいる暇などなくすぐ切り替えないといけません。
内野:ロッカーではゆっくり休めないですね?
藤本:息抜く暇はありません。まだまだひよっ子ですから...。
内野:初優勝のお話を聞かせて下さい。
藤本:初優勝は伊勢崎の雨でした。20m前での優勝でした。
展開も作れて天気も味方してくれて優勝する事が出来ました。
内野:印象に残っているレースは?
藤本:凄く印象に残っているレースは年末のスーパースターフェスタです。晴れでの8周戦でした。準決勝戦からハンデが下がりましたが結果を残す事が出来て優勝戦に出場する事が出来ました。エンジンが良ければ自分も大舞台で戦えるんだと手応えを感じたシリーズでもありました。自信に繋がりました。
ただ年明けからハンデが重化し苦しいレースが続きました。
これまで逃げていただけで人を捌いていなかったので10m前のハンデ位置で苦労しました。成績を残せたのは逃げて結果を出しただけで捌いていないという事でした。
ハンデが重化すれば捌きを磨かないとレースに参加できないです。
10m前の選手はスタートも早いし捌きもあるので20m前の位置とはレースがまったく変わってしまいました。捌く難しさを痛感した位置でした。
内野:今年2019年はこれまでいかがですか?
藤本:以前までは波が大きくて良かったり悪かったりと差が激しかったけど、前よりもエンジンを崩す事無く整備も少しずつ分かってきました。これも私を見離さなかった周りの先輩のおかげです。コツコツとやって来た事がここ一年くらいようやく結果が出てきたかなと思っています。
内野:もう一度優勝を?
藤本:もう一度優勝したい気持ちはもちろんありますが...。
今、優勝してハンデが重化・下がった状態でまた同じように苦労するのではなく20m前だけどこの位置で確実に前を捌くという事を課題にしています。
逃げて勝つのは勿論ですが前に人がいる状況であっても3人4人が居ても捌いて先頭に立つ事です。前に出たい。捌ける様になりたいです。
『人を抜く人を捌く』が今の課題です。
内野:恒例になっています。同期32期を家族に例えて頂きます。
藤本:家族ですか...
父親はやっしーでしょう。(松本やすし選手・伊勢崎32期)解っているでしょう(笑)
母親は私ですね(笑)
養成所で父さん母さんと呼ばれていましたから。もちろんふざけてですよ。
姉は岡谷美由紀ちゃん。仕事も出来るし頼れる存在です。
兄は吉原です。(吉原恭佑選手・伊勢崎32期)地元の同期なので凄く頼りにしています。
弟は長田です。(長田恭徳選手・山陽32期)弟っぽいし子供っぽいというと怒られるかな...。
妹は岸萌水元選手。生粋の甘え上手です。
ペットは利沙でしょう。完全に利沙。32期のマスコットです。
内野:自分の性格を一言でいうと?
藤本:お調子者かな...違うかな...何か自分が今良く分からないですが...
う~ん!人を気にしすぎる所があるかな。人の目を気にしてしまいますね。良く言えば気が利くのかな?自分をもう少し持ちたいかなと思います。
人を楽しませるというのはやっしーの教えです。私は私で良いでしょう!と思えるようになりたい。
内野:ルーティーンはありますか?
藤本:一杯あり過ぎて困っています。
内野:必ずレース場に持って行く物は?
藤本:クッションタイプのマッサージ機です。もうおばちゃんなので背中が痛くなるのです。体が持ちませんのでマッサージ機は必需品です。
内野:好きなレース場は?
もちろん伊勢崎ナイターです。走りやすいしエンジンを合わせやすい。
大好きな場所です。地元が大好きファンも大好きです。
内野:苦手なレース場は?
山陽オートが苦手です。走る機会が少ないので合わせにくいです。
内野:レースではどこでスイッチが入りますか?
藤本:ピットの中で係の人が『フライング・周回誤認のない様に。宜しくお願いします。発走です。』と声がかかり選手8名が立って『宜しくお願いします。』言って階段を上がって行く時にスイッチが入りますね。
『よしっ!』と気持ちが入ります。
内野:大事にしている言葉?
藤本:『負けない』です。相手にもそうだけど自分に負けたくない。自分に負けない事が一番大事な事だと思うから!
内野:休みの日の過ごし方は?趣味は?
藤本:今は行けていないけど何かと言えば釣りと神社巡りと温泉です。
内野:賞金は何に使っていますか?何か買いましたか?
藤本:賞金は貯金しています。
内野:料理はしますか?
藤本:実家ですけど普通にご飯は作ります。
和食中心ですが基本何でも作りますよ。
あっ!得意料理ではないですが私が釣った活き造りは美味しいですよ(笑)
釣りが好きなので自分で釣って自分でさばきます。
自分で釣った魚が一番美味しいです。これまで肉派だったのですが釣りをするようになって魚が好きになりましたね。
内野:果物は何が好きですか?
藤本:ぶどうが好きです。皮ごと食べられる物が好きです。コストコの『グリーンシードレスグレープ』が大好きです。
内野:野菜だと何が好きですか?
藤本:ヤングコーンです。食感が好きですね。
最近は血糖値が上がるのが嫌なので血糖値GI値を意識してかぼちゃと人参は食べなくなりました。
内野:藤本選手にとってファンとは?
藤本:まぁ暖かいですよね。数少ない私のファンの方が名前入りのタオルを掲げて応援してくださっています。いつも目に入ってきます。
内野:これから女子選手がもっと増えると思いますが?
藤本:女子選手が増える事は良い事です。レースで女子戦があるけどメンバーがほぼ同じなので、これから女子レーサーが増えれば女子戦がもっと出来るので良いですよね。色んなメンバーでやれたら盛り上がりますね。
その為にも私自身も頑張りたいと思っています。
内野:年末の女子戦『スーパースターガールズ王座決定戦』について
藤本:もちろん女子王座・女子ナンバー1に輝きたいけどそれだけに集中して失敗して残りの4日間を無駄にはしたくない。女子同士だと気持ちが入りすぎるので事故なく気持ちを抑えて参加したいです。
内野:藤本選手にとってオートレースとは?
藤本:オートレースは今の私の生きる希望というと大袈裟かもしれませんが今のやりたい事ですかね!オートレーサーになれて本当に良かったです。
内野:オッズパークを御覧の皆様へメッセージをお願いします。
藤本:試走が出るタイプではなく、試走が出ている時はエンジンが出ている状態なので期待して下さい。
MCうっちぃ!こと内野久照 オートレース歴16年。好きな選手は浦田信輔選手。現在飯塚オートでMC、山陽オートで実況を行っています。年間約180日間選手ロッカーに潜入し取材もこなすMCです。オートレースを盛り上げたくFBでは飯塚オート盛り上げ隊、Twitterではオートレース盛り上げ隊にてロッカーフォトや選手情報配信しております。 最近では場外車券売り場にてオートレースの解説予想を披露し自腹車券勝負に挑んでいます。オートレース大好き九州男児が展開する魂の大胆予想にご期待下さい。
飯塚所属の26期。山陽の篠原 忠次 元選手を父に持つ2世選手。スタートを持ち味とし、エンジンの状態が良くない時でもスタートで見せ場を作る。しかし、新型クラッチ導入で武器のスタートが切れない時期も。現在の状況をお聞きしてきました。そして、2017年には33期 吉松 優輝 選手(父:山陽21期 吉松 憲治 選手)を弟子に取り、師弟共に2世レーサーに。その辺りのお話もしていただきました。
インタビュー / AKI
AKI:今節(取材日:10月6日 飯塚一般開催)、車の状態はいかがですか?
篠原:うーん。今節はなんか良くないね。エンジンかな?タイヤのハネはなかったんやけど、なんか車が行ってくれない。試走タイムももう少し欲しい感じ。レースも一杯一杯やもんね。エンジンどうしようかな。キャブか電気位置か。ヘッドも開けてみようかな。
AKI:篠原選手は基本的に大きな整備をしない印象ですが。
篠原:そうだね。基本大きな整備はやらない。というか、出来んだけ。整備が得意ではない。若い時はいじったりして練習行ったりしていたけど、正直よく分からない。
AKI:それでも、成績安定!これはテクニック!!
篠原:テクニックは普通でしょ(笑)エンジンが良いだけ。
AKI:昨年は、SGオールスター優勝戦で2着もありましたよね。
篠原:そうだね。特に去年はSGの優勝戦で2着も取れたし、その時はエンジンを何も扱わなくても良かったね。
AKI:ミッドナイトで消音マフラーでの優勝がありましたが、消音も問題なく乗れている感じですか?
篠原:いや、消音はダメ。ハネが出てしまう。ミッドナイト優勝もたまたま。エンジンが合ってくれて優勝できた感じ。それに、今は去年よりエンジン落ちるかな。それとも、人間が落ちるのか。成績だけを見れば少し下降してる感じはあるね。
AKI:成績下降の原因はどこにあると思いますか?
篠原:やっぱ一番大きいのは新型クラッチ。SGオールスター2着の時はまだ旧型クラッチだった。今年の3月まで旧型が使えたんだけど、ギリギリまで使っていた。旧型の時はスタート行けてたからね。新型にも慣れてはきたけど、普通に切れているだけ。以前のように、スタートかまして展開を作る!という事ができていない。全然おもんない(笑)
AKI:篠原選手の持ち味が!!
篠原:そうやね。武器を取られた感じやね。スタート行けたらレースがかなり楽になるから新型のスタートもものにしたいけど。今の課題はそこ。一番でかいね。
AKI:エンジン自体も下降してるという事ですが。
篠原:セッティング探ってるけど...さっきも言ったように整備は得意ではないから。たまにエンジン良い時はあるけど、その良い時が短いというか、安定しない。エンジンも良くしないとね。
AKI:2017年にお弟子さん(吉松 優輝 選手)を取りましたよね!
篠原:弟子取った選手は成績が上がった人もいるけど、俺は、なかったんよね(笑)弟子取った時が調子が良かった時期でも有るし、今も悪いわけではないかな。新型のせい!(笑)
AKI:ガツガツ指導している感じはありませんよね。
篠原:そうやね。そういう指導をするタイプじゃない。自分もそうだけど、弟子のペースで。
AKI:優輝選手も2世レーサーですが、父の吉松憲治選手から息子を弟子に取って欲しいとお願いされたんですか?
篠原:お願いされたというか、元々憲治さんとは付き合いがあって、"もし良かったら。"という感じで。
AKI:2世レーサーあるあるってありますか?
篠原:親父からものをパクる(笑)良いタイヤとか。
AKI:なるほど(笑)親子だから出来る事ですね!苦労などはありましたか?
篠原:自分の時代は今より厳しかったのか、やりにくかったかな。親父と喋りたかったけど周りの目もあって喋りにくかった。親父のことを"篠原さん"と言わないといけなくて、それが嫌でレース場では喋らなかったね。今は昔ほど厳しくはないけど、弟子の優輝も親父のことを"吉松さん"と言いながら喋りにくそうにしている。2世同士やりずらさとか分かり合えるかな。
AKI:以前、トークショーで親父が目標という事も仰ってましたよね。どの辺りを目標に?
篠原:人間性やあの歳まで選手を続けていたこととか。けど、目標にするのはおこがましい。親父は整備が好きでエンジンをいつも扱っていて、自分とは全然タイプが違った。同じ歳まで現役で走りたい。けど、70歳よ。後30年...ありえんな(笑)本当に凄い。
AKI:父親はかっこいいですね?
篠原:うん、そうだね...なんか、改めて親父の話をするの恥ずかしいね(笑)
AKI:お弟子さんどんな存在ですか?
篠原:もう息子みたいな感じ。最近は、記念周り一緒に行きたいと思っています。ただ、自分も記念に出れなくなる事がない様に頑張らなね。年齢も上がってきて今後は衰えていくもんやから。
AKI:いやいや、まだ!!これからですよ!!
篠原:そう?(笑)ならこれからもウォーキング頑張るよ!
AKI:ウォーキングのお話が出ましたが、篠原選手かなり引き締まってますよね?食事は気にされているんですか?
篠原:食事はほとんど気を付けてない。お酒も飲むし。
AKI:ということは、太りにくいタイプ?
篠原:いや、昔は太りやすかったね。若い時はもっと暴飲暴食してたし。当時は体重60kgを超える事もあった。今は55kgくらい。お肉、脂身が好きだしお酒も楽しみたい。その分動くようにしています。加圧トレーニングもやってますよ。
AKI:取りたいタイトルやグレードに関しては?
篠原:やっぱりGIタイトルを取りたい。けど、とりあえず今は一般戦でもいいから優勝したい、というか優出したい。まず、今の目標はそこ。最近、子供がレースについて分かるようになってきて「全然一等ならん。」て言われる。分かる歳になってしまった(笑)最後の優勝はミッドかな。昼間で優勝してウィニングインタビューもしたい...したいけど遠いなぁ。
AKI:雨でのレースに関してはいかがですか?
篠原:最近悪くないね。湿走路の連対率も。悪い時期に比べれば乗れるようになった。けど、上には上がいる。やっぱりここでもスタート問題がついてくるね。頑張らないと。けど、頑張りすぎると空回りする。タイヤが空回る。上手くいかないなぁ。今は流れが悪い時期でもあるのかも。とりあえず辛抱の時期。今はなんとかこなして。けど、どんな状況でも食らいついきます。そして、まずは優出。土俵に上がらないと。
AKI:それでは、最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
篠原:新型クラッチになってスタートは以前のように切れてはいないけど、最後まで諦めず走ります。そして、スタートもそのうち元に戻します!これからも車券を買って応援してください。
福岡県宗像市出身のタレント。福岡でテレビ番組やイベントMCなどで活躍中。飯塚オート3代目「勝利の女神」。飯塚オートでは、AKIのAKIらめない予想やバスツアーなどを開催。川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、山陽オートでもイベント出演中。
9月にGI連続優勝を飾ったS1鈴木圭一郎選手に戦いを振り返って頂きました。
もちろん今後の事も聞いています。ナンバー1の今を知って下さい。
インタビュー / 内野久照
内野:GI連続優勝おめでとうございます。浜松スピード王決定戦(以下、スピード王)から山陽共同通信社杯プレミアムカップ(以下、プレミアムカップ)優勝までの道のりを振り返って頂いてよろしいでしょうか?
鈴木圭:スピード王の優勝戦は朝早起きをしてクランクを交換しました。
6時から12時まで2台のエンジンをバラシてクランクを入れ換えました。
栗原さん(伊勢崎20期・栗原勝測選手)を中心に同期や周りに手伝って頂きました。
スピード王はスタートどん遅れで離れた8番手からになりました。最後まで諦めず走りました。クランクも換えているし勝たないといけないレースだと思っていたし自信を持って行きました。
プレッシャーはありませんでした。もう落ちる所まで落ちたので...。スピード王連覇出来て良かったです。換えたクランクは最終兵器なんですが開催期間を通して1節に1回しか使えない物になります。
下周りをして1走しか出ないクランクです。
内野:新品のパーツはどうなんでしょうか?
クランクは今年になって7・8個買いましたが準決・決勝で確実に着が取れるクランクには出会っていませんね。予選では勝てるけどメンバー揃うと厳しいです。
だから優勝戦で秘密兵器を出しました。
内野:山陽プレミアムカップでまた中古のクランクに換えましたが。
鈴木圭:色々探して考えた結果。栗原さんの物を頂きました。15年程前のクランクでほとんど乗っていない物でした。少し錆びていて埃まみれでした。(笑)
サイズが好みで自分向きのクランクだったので『化石クランク』を投入しました。
プレミアムカップは初日から音が出ましたが雨だったのでまだ疑っていました。ただ3日目のあのメンバー(プレミアムレーサー戦・9月時点でのランクNO1からNO8までの8人が揃った選抜戦)をスタート5・6番手から2番手まで追って行けたので捌けたのでエンジンは良い状態でしたね。レース後エンジンは良い所まで来ていました。後ちょっとかなと思いましたがスタートも進まず大きく振っていかないと捌けないので上積みを目指してシリンダーを交換しました。準決勝戦はスタートも切れたしエンジンは仕上がった感じでした。浜松スピード王で切れなかったスタートが山陽で切れた事も大きかったし良かったですよ。
内野:優勝戦枠番選択で2枠ではなく4枠を選びましたが?
鈴木圭:春の山陽プレミアムカップ準決勝戦で2枠から落ちたので恐怖心もありました。
準決勝戦4枠でしたがあの目線は蘇りますね。あの場面が...。
それと自分らしく行きたいという事で4枠を選びました。
エンジンは音も出たしタイヤはみずき(川口32期・小林瑞季選手)に借りました。
自分の乗った感じとはタイヤの接地感が違っていたので何度も走ってタイヤも自分向きに仕上げました。優勝戦はスタートが行けたのが大きかった。トップスタートだったのでゴールまで長かったです。これで同期の吉原君(伊勢崎32期・吉原恭佑選手)に追い付く事が出来たので本当に優勝出来て嬉しかったです。
内野:同期の存在は大きいですね。
鈴木圭:同期がいなかったらここまでやれていないと思う。養成所では吉原君と一番仲が悪かったけど今は一番良いのかな...?同期は皆仲良しですよ。
同期がいたからGIもSGも取れたと思う。
吉原君がいなかったらSGは取れていないし今の成績も残せていないと思う。
吉原君の飯塚プレミアムカップGI優勝(2016年9月)は僕のSG優勝(2016年10月)よりも早かったのです。雨の優勝戦で貢さん(伊勢崎22期・高橋貢選手)荒尾さん(飯塚27期・荒尾聡選手)に勝ったあのレースはインパクト強かったです。自分が出来なかった事を吉原君はやってのけた。その時の自分は間違いなく負けていました。その事もあり意識して頑張り続ける事が出来たと思います。
内野:同期(32期)を家族で例えて頂きます。
鈴木圭:えっ!家族ですか...。
父:年齢だとやっしー(伊勢崎32期・松本やすし選手)だけど父親的な人はいないですね。
母:年齢的にはりえぴー(伊勢崎32期・藤本梨恵選手)ですがお母さんではないかな...。
兄:町田君(飯塚32期・町田龍駿選手)です。本気で言い合える仲です。自分が間違っていたらしっかり言ってくれます。町田君が間違っていたら僕が厳しく言うこともあります。(笑)
弟:それは流石にいないですね。
姉:どうかな、いないかな...。
妹:りさ(川口32期・片野利沙選手)です。ポケバイからずっと一緒です。ロードレースの時も32期の養成所の時も何も聞かされずいつも現場で合ってビックリしていました。りさはストーカーじゃないかと思うくらい僕と同じ道を歩んでいます。(笑)
ペット:宏和(浜松32期・鈴木宏和選手)です。ペットみたいじゃないですか...。いたずらを良くするので犬がいたずらしているみたいですよ。だから宏和がペットです。
内野:プライベートは何をしていますか?
鈴木圭:オートレースを見ています。
それとフェンダーやタンクのデザインを考えています。千社札を作ったりしています。
基本はオートレースの事を考えています。
内野:体調管理はどうでしょうか?
鈴木圭:あっ!ユンケルを飲んでいます。サプリメントよりは漢方のような物が僕には合うのでしょう。基本はユンケルです。宿舎の売店で購入します。
内野:圭一郎選手から見て上手いなと思う選手は?
鈴木圭:雅人さん(川口28期・中村雅人選手)です。
雅人さんが優勝した2016年のオートレースグランプリの準決勝戦(2016年8月13日第11R)を見て頂いたら分かります。スタート後4・5番手から捌いてきて前を走る金子さん(浜松29期・金子大輔選手)恵匠さん(伊勢崎30期・新井恵匠選手)までも捌き切って1着を取りました。あのレースは凄いなと思いました。雅人さんの捌きは僕にはありません。もちろんどんな場面でも捌ける様にしたいですね。
内野:ライバルはいかがでしょう?
鈴木圭:金子さんと吉原君とレースをする時はバッチバチですよ。金子さんは意識していますね。吉原君は気持ちが伝わってきます。
自分は意識していませんが...。(笑)
内野:愛車『カルマ・calma』の由来を?
鈴木圭:イタリア語で『冷静』という意味です。『冷静』でいないと事故に繋がる。
だからこの言葉を大事にしているので好きな言葉も『カルマ』です。
デビューからずっと『カルマ』です。
これまで『カルマ』は3K・4K・5Kとありますがこれはポケバイのエンジンの型式です。今のカルマS5KのSはなんだかわかりますか?
内野:簡単です。鈴木のSです。
鈴木圭:ブー!違いますよ。僕の事何も知らないのですね。スペシャルのSです。覚えていて下さい。
内野:はい。解りました。他にこだわっている事も教えて下さい。
鈴木圭:こだわりですか?整備ではエンジンの音を出す事です。あとは周りに流されない事です。
内野:もちろん着用しているチャンピオンもこだわりですよね。
鈴木圭:チャンピオンはナンバー1ではなかった時にチャンピオンになりたい。ナンバー1になりたいと思っていたのでずっと着用しています。チャンピオンが好きです。デザインも格好いいしゴールドの文字が好きですね。
ただ最近は黒の生地にゴールドの文字という物が中々無いので見かけた方は是非プレゼントして下さい。サイズはMです。(笑)宜しく御願いします。
内野:工具もこだわりの金ですね?
鈴木圭:人の物と混ざらない事とゴールドは格好いいですから使っています。
内野:ヘルメットへのこだわりも教えて下さい。
鈴木圭:自分がデザインする事です。ナイターとミッドナイトで被っている物はKEN.JAPANさんにスワロフスキーでデコレーションして頂きました。
内野:この際なので何でも色々聞いて行きますね?好きな食べ物は?
鈴木圭:カレーライスです。大阪の『インデアンカレー』がおすすめです。チキン南蛮の美味しいお店も福岡で見つけました。嫌いな食べ物はイクラです。絶対に食べません。(笑)
飲み物ではジンジャーエールとカルピスが好きです。お酒は飲みません。ジンジャーエールは辛口のウィルキンソンが好きです。
内野:レース場での過ごし方1日の流れを教えて下さい。
鈴木圭:浜松での1日の流れで良いですか。
起床は5時50分です。
5時55分にロッカーです。6時に仲口さん(浜松24期・仲口武志選手)のコーヒー作りから始まります。アイスコーヒーなので作った後冷蔵庫で冷やします。
それからヘッド周りの調整をします。エンジンが冷えていないと出来ない作業です。それとタイヤの準備をします。タイヤウォーマーを巻いたりもします。
8時30分に冷えたコーヒーを仲口さんへデリバリーします。
9時にエンジン始動・暖機をします。それから朝練をしてレースまでタイヤ作りと整備です。調整を行います。
夕方の練習はレース後すぐには行けないので12Rの場合は予備車で練習することが多いです。レース後すぐ練習は行いません。エンジンがダメになるので...。
内野:圭一郎選手の調子はどこを見るといいですか?
鈴木圭:2コーナーから3コーナーに掛けて前の人との動きを比較して離されていたら良くないですね。試走タイムは良い人より5個上回りたいです。
内野:一番喜びを感じる時は?
鈴木圭:エンジンの音が出た時です。(笑)
内野:オートレース以外の質問だったのですが(笑)
鈴木圭:オートレース以外の喜びはないですよ。(笑)
内野:6期連続ナンバー1です。
鈴木圭:JKAから電話を頂きました。移動中だったのですが次もナンバー1です。と聞かされた時は涙が出ました。今年の前半は落車(伊勢崎優勝戦・浜松2級車での練習・山陽プレミアムカップ)が続き周回誤認(伊勢崎)もありました。その時はレースに集中出来ずお客様にも迷惑をかけてしまった。申し訳ない気持で一杯でした。その後は家から一歩も出ず悩みました。オートレースから離れたいと思いました。今年は落ちる所まで落ちたので正直ナンバー1になれないと思っていたので本当に嬉しかったので涙が止まりませんでした。
内野:圭一郎選手にとってオートレースとは?
鈴木圭:仕事ではないですね。まだまだですし...。趣味かな?趣味ですね。僕にはこれしかないです。オートレースしかありません!オートレースは僕の生き甲斐です。
内野:ポケバイスクールは?
鈴木圭:未来のオートレーサーを育てる事とオートレースを知ってもらう為にやっています。バイクを乗る楽しさも知ってもらえると思うので続けて行きます。
僕も7歳からポケバイを初めて青木治親さん(川口29期・元ロードレーサー世界チャンピオン)との出会いがあって今があるので...
内野:次回はSG全日本選抜です。2019年残り3ヶ月切りましたが?
鈴木圭:計画は立てていません。残りのオートレースを楽しみたいと思います。
内野:オッズパークを御覧の皆様へメッセージをお願いします。
鈴木圭:試走を見て下さい。タイムもですがバックストレッチの動きに勢いがあればエンジン良い状態なので自身を持ってレースに挑みます。その時は買って下さい。
MCうっちぃ!こと内野久照 オートレース歴16年。好きな選手は浦田信輔選手。現在飯塚オートでMC、山陽オートで実況を行っています。年間約180日間選手ロッカーに潜入し取材もこなすMCです。オートレースを盛り上げたくFBでは飯塚オート盛り上げ隊、Twitterではオートレース盛り上げ隊にてロッカーフォトや選手情報配信しております。 最近では場外車券売り場にてオートレースの解説予想を披露し自腹車券勝負に挑んでいます。オートレース大好き九州男児が展開する魂の大胆予想にご期待下さい。
飯塚所属の25期。デビュー当時から頭角を現し2008年にはSGタイトルホルダーに。順風満帆な選手生活を送っていたが、2013年に大きな落車事故に巻き込まれる。なんとか復帰を果たすも思ったレースが出来ず引退を考える。しかし、周りに支えられリハビリを乗り越え、今年は2度のGII制覇を含め4度の優勝。復帰して丸6年。近況の状況や、当時の想いなどをお聞きしてきました。
インタビュー / AKI
AKI:改めて、GIIウィナーズカップ優勝おめでとうございます!
有吉:ありがとうございます。
AKI:優勝できそうかな?と言う感覚はあったんですか?
有吉:出来るかもしれない。けど、そんなに自信はなかったかな。エンジンは準決が終わってバルブを思い切って交換。そしたら、準決の時より良くなって直線の感じが違っていた。スタート切れればもしかして...という気持ちはありました。ただ、スタート行っても青山(青山周平選手 伊勢崎・31期)や圭一郎(鈴木圭一郎選手 浜松・32期)がいたからどうかな、とも思っていた。優勝出来る!という自信はなかったけど、エンジンの状態は良いし浜松でずっと良かったタイヤもあと一走行ける感じが残っていて、良いレースは出来るんじゃないかな、という感覚はありましたね。
AKI:優勝戦振り返りますが、スタートタイミングは0.01でしたよね!!
有吉:後で見てびっくり(笑)けど、フライングを切ったと言う感じはなく、スタートバシッと切れたなという感覚。ただ、レース後、周りにやばかったよと突っ込まれました(笑)
AKI:スタート直後は前の田中正樹選手(飯塚・29期)の内を覗きましたよね!
有吉:行き過ぎたと思った。正樹もエンジンが良さそうで抑えられてしまった。事故など何もなくて良かった。ただ、最近は、インで堪えれるようになってきた。これは、乗り方的に。最近は、序盤はあまり大きなコースを走らない方が良いのかなと思うようになりました。トップに立ってからは大きく走る様にしています。
AKI:青山選手や圭一郎選手の追いを気にされていましたが。
有吉:後ろには、ごちゃごちゃしてほしいと思っていたんですが、自分の希望通りごちゃごちゃしてくれました。2周目の4コーナで一回滑って「あ、これ無理したらだめ。」って思ったんですが、そこで冷静になれたのも良かったかな。ソフトに乗りました。
AKI:スタートで展開をつくって早めに先頭に立ちましたが。
有吉:残り6周で先頭に立ってからは長かった。本当に長かった。早く残り1周になってくれと思っていました(笑)
AKI:レースは緊張されましたか?
有吉:全然ですね。ただ、レース前は緊張します。隠してるつもりはないんですが表に出ないのか。すっごく気持ち悪くなります。エズきます(笑)ただ、発売を締め切ってヘルメットを被ると全然緊張しない。もう、行くしかないと思う。そこで欠車しますなんて言えないですし(笑)そこまでいくと腹がくくれるんでしょうね。それまでの時間は緊張しますね、朝起きてから。考えてる時間のほうが緊張しますね。
AKI:それにしても、浜松は相性がいいですよね!
有吉:そうですね。ただ、走りやすいとかは全く思ったことはなくて(笑)湿走路は滑るし。最近は風も気になるし。けど、なんか勝てちゃう。自分に合うんでしょうね。枠番の巡り合わせだったり。復帰後最初のSG優出も浜松だったし、色々合ってる感じがします。
AKI:復帰して6年経ちましたが、体とバイクとの兼ね合いはどうですか?
有吉:未だに、練習や試走の時にバイクの押さえ方など考えながら変えたりしているんですが、少しずつハマってきたかなという感じはありますね。ただ、スタートで浮いたり失敗すると変なところに座って、そのまま走ってしまうと気持ち良くは乗れない。そうなると、捌きにくくなるし、エンジンが良くないとさらに上手く乗れなかったりします。
AKI:良い方向には向かってきてるんですね!
有吉:そうですね。体の感覚は最近良くなってきています。ただ、エンジンが良いからあまり身体の違和感を感じないというか、勝つことも出来てるというか。エンジンが悪くなると...と考えると不安しかない。今のところは大丈夫。セッティングを合わせることが出来れば。エンジンのベースは良いですよ。
AKI:今年は4回の優勝(内2回はGII)ですがご自身ではどう感じていますか?
有吉:優出の時点でびっくり。なんていうか...上手く説明できないんですが不思議なんですよね。まだ、身体の違和感をある中バイクに乗っていて、復帰した時のダメな感覚が残っているんです。なので、自分が優勝出来るわけがないって感じ。これが完璧に身体の違和感なく乗れていれば『優勝出来た!』という感覚があるんでしょうけど。巡り合わせとか良いタイヤとか「優勝させてもらってる」という感じなんです。
AKI:自分自身、半信半疑な感じなんですか?
有吉:そうですね。全くもって自信はない。昔から、自信は持てないほうですが、復帰して優勝重ねても半信半疑です。これはレースの結果よりも自分の身体の感覚の問題です。
AKI:現在はタイトルを取るほどまで来ましたが、復帰当初は引退も考えられたと聞きましたが。
有吉:考えました。というか、引退を決意していました。2013年の9月に落車をしたんですが、その年はスーパースター王座決定戦の出場ポイントを持っていて。医者には止められたんですが12月に1度復帰したんです。けど、エンジンは自分でかけられないし、乗っても足は付けれないし上がらない...外線1周で「これはだめだ」と思いました。そこから、休場してリハビリに専念。翌年のオールスターに選ばれていたので3カ月後には2度目の復帰。けど、そこから落車のオンパレード。復帰してからの落車って結構多いと思う。もちろん成績も良いわけないし、復帰節の川口最終日には試走で落車。乗り方を探ってた時期で変な腰回りになってしまっていたんでしょうね。その辺りでだいぶ心は折れていたけど、周りの仲間が静かに見守ってくれていたし、なにか整備をしだしたら手伝ってくれて。その時は、ぼろぼろになるまでやろうかなと思っていたんです。
けど、ある日全く乗れなくなって。落車前のハンデよりも20~30前で走っていた時に、自分よりハンデが軽い選手より遅かったレースがあって。なんかていうか、耐えられなかった。こんなに乗れないのかと。もうやだって感じ。その時、引退を決めました。
AKI:引退を決めてからなにか行動は起こしたんですか?
有吉:復帰してなん節か経った川口の開催の時に引退を決めたんですが、その時に同期が何人かいて。もう挨拶回りですね。色んな人がいるんで良い意味で受け入れてくれる人もいたし、受け入れながらやっぱり辞めないで欲しいと言う人もいたし、辞めたらダメやろ!と言う人もいた。みんなそれぞれ考えてくれてのこと。
AKI:そこから、引退を踏みとどまれたのは?
有吉:川口の帰り、徹(久門徹選手 飯塚・26期)と亮(高林亮選手 飯塚・27期)に空港でご飯食べながら引退のことを話しました。そしたら、もちろん徹は「だめやけ。」と言って止められました。そこから、徹が斡旋のなかった人達に連絡をしてくれたみたいで、急遽みんなで集まることになって。空港に着くと竹ちゃん(竹谷隆選手 飯塚・23期)もいて。「これ絶対説得されるやつだ」と思いましたね(笑)けど、俺の中じゃ99%、ほぼ100%に近い状態で引退は決めていたんです。
AKI:そこから説得が始まるわけですね。
有吉:はい。本当に色んな選手が集まってくれてとにかく説得。辞めるなと。その時、同期の亮ちん(岩崎亮一選手 山陽・25期)もいたんですが、亮ちんが一言「お前、オートレース取ったらなんもないやろ」と言われた。(笑)当時は失礼な!とは思ったけど、言われた時も特に反論することもなく。後から、「あんなこと言ってくれる人おらんよ」って周りに言われて。竹ちゃんとかも、少し休んでもいいんじゃないかな、と言ってくれた。「そうだな。俺リハビリするわ。」と言って休みをしっかりもらうことにしたんです。リハビリもしながら考える時間を作って。普段でもほぼ全レースを見るんですが、当時もオートレースを忘れていいのに見ちゃうんですよ。同期とかの活躍を見たら、やっぱ走りたくなったんですよね。
AKI:その思いはどれくらいで沸いてきたんですか?
有吉:1ヶ月くらいかな?辛いよりバイクに乗りたいが先に来た。恥ずかしいレースをしてもいいや。成績が悪く乗れなくて引退する分には仕方ない。トコトン8着引いて、引退なら引退で。やりきろうと思った。だから、それまでは自分から引退することは止めようと思ったんです。吹っ切れたんでしょうね。それに、自分でもオートレースしかないと思いました(笑)だめだ俺、なんも出来ない(笑)
AKI:良い仲間に巡り会えましたね。
有吉:周りがいなかったら本当に辞めてたと思うけど、辞めていたら凄く悔しかったと思う。
周りが止めに入ってくれて本当に良かった。復帰してからも周りは何も変わらずそっと見守ってくれて、何かしだしたらすぐに手伝ってくれます。周りに恵まれましたね
AKI:有吉選手にとってオートレースとはなんですか?
有吉:大きな怪我を経験したり復帰したり...もちろん人生そのものになってしまいましたね。本当に嫌いになる時もあるけど、やっぱり好きな時の方が多い。そう言うもの。
AKI:なんだか恋人みたいですね(笑)
有吉:そうですね(笑)わかりやすくいうとそうです。そう言う感じかな。
AKI:今後の目標はありますか?
有吉:スーパースター王座決定戦にもう一度出る事。ここまで言えるようになった自分が怖い(笑)
レース的には、1つ1つしっかり走っていくことですね。乗り方、車の抑え方とかまだまだ課題はあるので。身体が少しでも良くなっていけばそれに対応出来るようになると思うし、やっぱりエンジンが悪い時でも扱えるようにならないと。そこを課題として頑張っていきます。
AKI:10月にはS級に上がりますがいかがですか?
有吉:嬉しさと悲しさと...(笑)以前、一度S級に上がった時もあったけど、その時はすぐにA級に戻ったてしまった。今回ももしかしたらそのパターンの可能性も0ではないと思う。今回は特にランクもグッと上がりすぎて基本的には7、8枠からのレースが確定。でも、前回S級に上がった時よりは自分のレベルが間違いなく上がっています。
AKI:厳しくなると言うお話ですがどんなレースをしていきたいですか?
有吉:単純に良いレースがしたい。やる事をしっかりやっていかないと結果を残せないポジションになると思うので、今以上に整備の方に神経を向けていきます。復帰当初は朝から晩まで腰回りをやっていたけど、体が良くなってきた分整備に向けれる余裕も出てきました。
AKI:カミソリスタート復活は?
有吉:カミソリスタートもたまに戻ってくる。たまに。その部分はクラッチ関係をやらないといけないと思うんですよ。研究して練習してる。スタートも課題ですね。
AKI:それでは最後にオッズパーク会員の皆様へ。
有吉:今はネット投票も増えてるんですけど、やっぱり本場で生のオートレースを観戦して、他競技にない迫力を生で感じて欲しいです。オートレースをあまり知らない方は車券を100円でも買って応援するところから入って欲しいなと思います。
いろんな都道府県に住んでる方から応援の手紙とかメッセージだったりいただくんですけど、本当にそれが力になっています。自分が目標にしているスーパースター王座決定戦に出場出来るか出来ないかはファンの皆様次第です(笑)ファンの皆様から元気玉を頂きたいな、オラに分けて下さい(笑)これからも応援をよろしくお願いします!
福岡県宗像市出身のタレント。福岡でテレビ番組やイベントMCなどで活躍中。飯塚オート3代目「勝利の女神」。飯塚オートでは、AKIのAKIらめない予想やバスツアーなどを開催。川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、山陽オートでもイベント出演中。