上半期のダート頂上決戦である、大井『帝王賞』。
今年は【ゴルトブリッツ】が初の栄冠を手にしました。
[photo:Osamu Saito]
レースは内から【ランフォルセ】、外から【エスポワールシチー】の2頭が引っ張る形でゆっくりと展開して行きます。
【ゴルトブリッツ】はすんなりと外3番手、1枠からスタートした【オオエライジン】は出たなりで内を追走。
道中は淡々と流れて、4コーナーで一団が固まって来ました。
一番の見どころとなったのは、4コーナー立ち上がってすぐ。
各ジョッキーが一斉に動いた場面です。
逃げていた【ランフォルセ】の手応えが鈍り、押し出されるように【エスポワールシチー】が先頭、その直後に控えていた【ミラクルレジェンド】は【ランフォルセ】の内に進路を取り、【テスタマッタ】が外へ誘導。
直後、一気に伸びた【テスタマッタ】に、一瞬行き場を失った【ミラクルレジェンド】。
対して、外3番手にいた【ゴルトブリッツ】がゴーサインを出すとすぐに反応して、内の馬たちを一気に捉えました。
終わってみれば【ゴルトブリッツ】が3馬身以上離した余裕の勝利でしたが、2着争いは3頭大接戦で、スタンドからは大きな声援が飛んでいました。
1着【ゴルトブリッツ】川田将雅騎手
「素質のある馬だし、無事にここまで来てくれて、本当に嬉しいです。
ここ最近は変わらずいい状態を保っていましたが、今日もすごく良かったですね。
ペースはあまり速くなかったので、途中でハミを噛んだりもしたけど、このことしては上手に走ってくれました。
エスポワールシチーは渋太そうだったので、4コーナー回ってすぐに早めに動きました。
このこは、心房細動さえなければ本当に強い馬です。
これからも無事に、頑張って欲しいです」
吉田直弘調教師
「スタッフ、騎手、そしてゴリさんが本当に頑張ってくれました。
勝つことが出来てとても嬉しいけど、喜びと同時にさらに進化するための課題に取り組まないとと思っています。
レースはゴリさんしか見ていなかったので、他の馬のことや流れなどはよくわかりませんが、これからVTRを見て改めて研究しようと思います」
愛馬を「このこ」と呼ぶ川田騎手。
そして、「ゴリさん」と呼ぶ吉田調教師。
【ゴルトブリッツ】の頑張りはもちろんですが、関係者の大きな愛を感じて、とても温かい気持ちになったレースでした。
2着は粘った【エスポワールシチー】。
佐藤哲三騎手
「レース前は、自然と行けるならハナでもいいかなと思っていたので、ゲートを出てさぐりながら行きました。
ちょっと距離が長いこともあるけど、やっぱりナイターだと4コーナーを回ってから物見するような恰好をしていました。
【ランフォルセ】を交わして先頭に立った辺りでは、他の馬を探すような感じだったし...。
ただ、負けたけど内容としてはいいレースが出来たと思ってます。
昨年より状態も上だし、前走よりもきっちりと走ってくれました」
レース後の哲三騎手の表情は、清々しい感じに見えました。
負けたことはもちろん悔しいでしょうが、エスポくんらしい走りを見せてくれたことが、この先に繋がる明るい兆しだったのだと思います。
パドックでは、久しぶりに若干入れ込むそぶりを見せていたエスポくん。
いい兆項なのか、そのともマイナスの兆候なのか判断に迷いましたが、体調が良く元気が良かったということだったんですね。
アメリカ遠征後から、なかなか体調が戻って来ませんでしたが、王者復活も近いのかなと期待させてくれる走りでした。
3着は【テスタマッタ】。
岩田康誠騎手
「折り合いもついたし、賢くなりましたね。2000mで今日のようなレースが出来たことは大きな収穫です。
3,4コーナーではすごく手応えが良くて、いつでも動ける感じでした。
実際、4コーナー回って仕掛けた時にはピュンと反応してくれたけど、最後まで伸びきれなかったのはちょっと体が立派だったのかなと思います。
次はもっといいはずですよ」
初のJpnⅠ挑戦となった、兵庫の【オオエライジン】は10着でした。
木村健騎手
「1枠だったし、出たなりでと思ってました。
1コーナーで狭くなる場面もあったし、道中はハミ取ったり外したり...。揉まれたのが初めてだったので。
3,4コーナーでペースアップした時には、付いて行けなかったですね。
こういうレースは初めての経験だし、負けてしまったけどいい経験になったと思います。
いつも脚が違うので、外から上がって行ったりして揉まれてなかったですから」
最強のステージで戦って、今回は負けてしまったけれど、この経験を生かして次に繋げてほしいです。