8月20日〜24日に静内で開かれたサマーセール。
日高で産まれた1歳のサラブレッドたちの取引が行われます。
『セリは、3割売れれば上々』と言われるほど、なかなか売れるもんじゃぁありません!だって高い買い物だもの。安い馬だって100万円くらいするし、高い馬なんてウン億円・・それで必ず競走馬になれるとは限らないし、速く走るかはもっとわからない・・ある意味、馬券よりギャンブルですよ!!
出世した時の事を考えて(私がね!)、どんな馬を買おうか本気でシュミレーションしてみました。
やっぱり1歳なのにムキムキでカッコイイ馬は目を惹くけれど、早熟で脚元不安になりそうなのでやめておく。私の理想はダートの短めで活躍してくれる馬だから・・と、1年後2年後の姿を想像し、何頭か選んでみました。
そしたら、、、全員【サクラバクシンオー】or【アグネスデジタル】の栗毛の男子。子顔で顎が張ってて、耳が小ぶりなお顔立ち。
人間の男子はハートで選んでる(つもりの)私ですが、サラブレッドは顔なんだな・・面食いなんだな・・
このセリは、ウン億円の馬が登場する事はありません。高くて何千万単位の取引だし、ほとんどが何百万単位の馬たちです。
今、「ヤスッ!」と思った方!実際自分が馬主になり、何百万出せますか??私の答えはもちろん否。
いつか・・と夢見てはいるけれど、現在は全く無理っす。
馬主さんにも色々な方がいます。
大きい牧場を経営している方や、小さい牧場を経営している方、会社経営のかたわら趣味で競走馬を所有している方など。それに、個人商店の社長さんも大勢いらっしゃいます。八百屋さんとか、電気屋さんとか、植木屋さんとか・・
中には、「1年に1頭、200万円の予算内で馬を買うのが楽しみ♪」という方もいて、馬たちを見る目もそりゃもう真剣です。
何千万円もする競走馬を所有出来るのは、本当に一部の方。
家族全員に反対されながらも、「唯一の楽しみだから。」と言って馬主を続けている方を何人も見てきました。
レースをなかなか休ませる事が出来ない、地方競馬の実情は、何もお金のためだけではないんです。馬主さんの喜ぶ顔、誇らしそうな顔というのは、何度見ても嬉しいものです。
馬たちの種付け料というのは、ハンパじゃなく高いです。
そりゃただ同然の種牡馬もいるけれど、現在価格200万円くらいの種を付けなければ、子供は200万円じゃ売れない現状です。
わかります?この悪スパイラル。
例えば800万円クラスの種なら別ですが、500万円以下クラスの種を付けても母系が微妙だったり、お尻が小さかったりすると、2年育てて種付け料にもならなかったりするわけですよ。
少なく見積もって、1頭1年育てるのに100万円かかるとして、サマーセールで売るからには、種付け料プラス200万円の値段で売れないと、牧場は赤字なのです。
でも現実は・・値切られている馬がいっぱい。そりゃ買う方にしたらねぇ、少しでも安い方がいいけれど。牧場がどんどん減ってしまう現状に、まだ歯止めはかけられそうにありません・・・
しかぁ〜し!その逆もまたしかり。安い値段の繁殖牝馬の系列の血統で、突如として重賞勝つ馬が出現したり、イマイチだった種牡馬の馬でもその年G?勝ったり・・
血統を重視する競馬界ですから、その年の活躍馬というのは馬産地をひっくり返すほどの力を持っているのです!
だからこそ、レースの最前線に立つジョッキーの任務は重要。大きなレースじゃなくても、兄弟たちの成績は血統表に書かれます。ハナ・頭差でも勝つか負けるかで、馬産地にとっては大事件なのでありますっ。
現役時代、そこまで考える事が出来なかったな・・と今さら反省するけれど。お世話になったオーナーブリーダーの方と、ラーメン食べながらそんな話になり、「すいません。。」とひたすら謝る。
「3着が好きな赤見ちゃん」と言いながら、笑っている馬主さんの心中やいかに・・・