5月の日本選手権に続いて今年2度目、通算7度目のGI制覇 を成し遂げた福井の脇本雄太選手(福井94期)にお話を伺いました。
大津:オールスター競輪優勝おめでとうございます。
脇本:ありがとうございます。
大津:今年2度目のGIタイトル獲得となりました。
脇本:自分が4連勝したあたりぐらいから、徐々に完全優勝へのプレッシャーだったりとか、期待が高まっている中でのレースだったので、すごく緊張はしましたけど良かったなと思います。
大津:GIでの4連勝も凄いのですが、5連勝での完全優勝というのはよりハードルが高いように思うのですが。
脇本:特に僕は自力ですし、その調子の良し悪しですぐ結果に出てしまうので、その辺も含めてかなり難しい開催だったのかなと思いました。
大津:その中で今回の開催は台風で順延というアクシデントがありましたが、順延したことによって脇本さんの中でプラスに働いた部分や、ちょっと逆に嫌だったのかっていう部分は何かありましたか。
脇本:そうですね、唯一自分の中でプラスだなって思ったのが、シャイニングスター賞が終わった時点で順延というのがもう確定していたので、しっかりその次の日の休みのスケジュールを組むことができたのかなと思うのと、そこに向けてしっかり調整もできたのかなっていう風に思ったのが唯一のところです。
個人的には走りたかったというのが正直な話です。
大津:オールスター競輪の前にジャパントラックカップにも出場されました。参加を決めた理由はなんだったんでしょう。
脇本:そうですね。国内の競技に関しては、自分の日本の競輪のスタイルにある程度負担のないような形で出させてもらって、あくまでもその競技の競輪っていうのは、僕が今まで培ってきた中での経験となるところが多いので、走ることによって自分に何か得るものがあるのかなって 思ったので出場しました。
大津:(競技ではない)競輪にもプラスに働くということですね。
脇本:1日に何本も走りますし、その辺りの体力づくりとか、そののレースに対する気持ちの入れ方だったりとか、その辺はしっかり参考になりますね。
大津:そこからオールスター競輪を走るにあたって状態面はいかがでしたか。
脇本:オールスターはしっかり優勝したいなって気持ちの中でしっかりと調整はできました。
初日のドリームから気持ちを入れないといけないと思っていて、そのあたりもうまくいったのかなという気もします。
大津:ドリームレースは近畿勢は後ろからの組み立てになりました。
脇本:動くラインとしても、深谷君(深谷知広選手・静岡96期)の先行なのか、僕の先行なのかという形の二分戦だったので、どういう形を取るのが正解なのかなと思いながら走っていました。
大津:オッズパークLIVEでもオールスター競輪の様子を放送してたのですが、視聴者様からのコメントで「ワッキー後ろ攻め?」「ワッキー後ろからなんだ!」とビックリしている方も多かったです。
脇本:基本的には僕は後ろから攻めるタイプの人間なんですよ。
最近はやっぱりみんなけん制して僕が前を取らされるレースが多いので、そういう風に見えてしまうのかなというふうに思います。
大津:スタートを取りたくて取っているわけじゃないんですね。
脇本:本来が僕は後ろからカマしに行くスタイルなので、基本的にはやっぱり前受けから引く動作っていうのはいらないかって思ってます。
僕は初めから後ろ攻めでカマシにいくスタイルを取りたいんですけども、それをさせてくれないから僕が前を取って早めに下げる形が定番化してるというか。
大津:本来のスタイルで押し切った初日ですが、手応えはいかがでしたか。
脇本:やっぱり深谷君の突っ張りをどこまで警戒するかで、やっぱりその結果っていうのは全然違ったと思うんですけども、その警戒の中で自分がしっかり先頭に出て先行出来たっていうのは、凄く感覚としては良かったですね。
大津:レース後、脇本さんの踏み直しが凄かったと古性選手(古性優作選手・大阪100期)もコメントを残していました。
脇本:僕自身もあのジャンのところで一旦流して先行態勢を取るなんてけっこう久しぶりにやったので、そのあたりも感覚として忘れてなかったかなって思います。
大津:初日のレースが終わった時にオッズパークLIVEのコメントやSNSとかで、もうワッキーの優勝でいいんじゃないかみたいな反応がかなり出てました。
脇本:いやいやいや、そりゃダメですよ(笑)
大津:初日もそうですが、シャイニングスター賞でも強さが際立ったように感じます。
脇本:メンバー構成的にもウィナーズカップの決勝みたいな感じだったので、本当は後手を踏みたくないっていう気持ちだけだったのですが、ジャンのところで深谷君が前出た時点で、僕の中でラッキーっていうような感じでした。
ジャンのところで動きがなくて、あのままレースが運ばれていたら、僕自身もちょっと怪しかったのかなと思ってました。
大津:3走目は台風の影響でコンディションも結構悪かったように思えるんですが、この辺の対応っていうのはいかがですか。
脇本:雨は強かったんですけども、風はギリギリなかったので、その辺もちょっと救われたのかなって思います。
普段の練習も最近は雨降っててもパンクに取ったりとか、ロードに乗ったりとかしてるので、雨への対応は全く問題はないんですけども、雨と風が両方重なった時の練習っていうのは、さすがにやってないですね。
大津:脇本選手でしたら雨風も関係なく切り裂いて行きそうな気もするんですが。
脇本:みんなそういう風に思っていますけど、内心僕自身はそれもしっかり対応しないといけないってプレッシャーがありますね。
大津:どんなコンディションになっても、やっぱり脇本選手にかけられる期待っていうのはオッズとして表れますもんね。
脇本:その辺はどんな悪条件でも評価が変わらないって認識を持っているので、そこに出ているオッズを見てこうやっぱり数字が低いよなと思いながら走っています。
大津:決勝戦で並びに至るまでの経緯はどうだったんでしょうか。
脇本:寺崎君(寺崎浩平選手・福井117期)に一声かけにいったら、寺崎君は僕が言う前に「前で頑張らせてください」って言ってきたので番手につこうと思いました。
僕自身も初めてGIの決勝戦に乗った時も、このぐらいの熱い気持ちで先頭を走りたいって先輩方に言ったので、寺崎君の気持ちもしっかり受け止めて、僕自身も番手を固めるっていう認識をしていました。
大津:確かに脇本さんの時も後ろが村上義弘選手(京都73期)と市田さん(市田佳寿浩選手・福井76期)でしたもんね。
脇本:そうです、そうです。
大津:寺崎選手としても後ろが脇本さんで、更にその後ろがGP王者の古性さんですから本当に似たような感じですね。
脇本:多分気持ちの認識としては同じかなっていうように思いました。
大津:今節の寺崎選手の動きはどのように映りましたか。
脇本:かなり強気のレースをしつつも、しっかり勝ち上がっている印象はありましたし、特に3走目のナショナルチームの3分戦の中でもしっかり勝ち上がれているので、力はしっかりつけているなっていうのが印象ありました。
大津:寺崎選手としては初のGI決勝でしたが何か特別なアドバイスはされたのでしょうか。
脇本:アドバイスはしない方がいいって思ってましたので、実際に寺崎君にはアドバイスをしてないです。寺崎君の気持ちを僕が受け止めるだけなので。
どういうレースをしても僕自身をしっかり後輪だけ見ないといけないですし、寺崎君は僕たち2人を付けてどういうレースをするのかっていうのがお互いの心境みたいなのがありますし、そこはお互いを信頼してこういうレースをするって感じです。
大津:あえて何も言わないっていう選択をとられたっていうことなんですね。
脇本:僕自身もGIの決勝戦に上がった時は特に村上さんと市田さんと話もしてなかったですし、「しっかり前で頑張ります」としか言ってなかったです。
寺崎君には位置取りをどこから攻めるかっていうのだけ聞いて後はもう本当にそれに対して任せるみたいな感じですね。
大津:その近畿勢ですが前受けを選択しました。
脇本:寺崎君が前から攻めたいって要望だったので、それに対して古性君や僕が対応するって形でした。
大津:勝負所を振り返っていただけますか。
脇本:やっぱり松浦くん(松浦悠士選手・広島98期)の動きだったりとか、守澤さん(守澤太志選手・秋田96期)の動きだったりとか、やっぱり僕自身がすんなり番手を回ってしまってはいけないっていう心境がフルに働いてるなって印象はありました。
大津:決勝インタビューで松浦さんが「自力自在」ではなくて「自在」っていうコメントを残していらっしゃったんですけども、あの辺っていうのは脇本さんの中で考えたり感じたりする部分というのはありましたか。
脇本:いや、コメントに関しては特に意識はしてなかったんですけど、選手紹介の時に僕たちのラインの後ろにぴったりついていたので、策を考えているんだろうなぁくらいでした。なので選手紹介の段階から警戒はしていました。
大津:その中で松浦さんは分断を狙ってきましたね。
脇本:警戒はしていたんですが、外から攻めてくるのかなって意識が僕の中にあったんですね。新山君(新山響平選手・青森107期)の上昇に対して一緒に出て、僕のところに来るのかなっていうのはちょっと思ってました。内からじゃなくて、外から締め込みにくるのかなって思っていただけに「内っ!?」って思いました。
大津:来るなら外からって意識が強かったってことですね。
脇本:実際に寺崎君が突っ張る態勢を取った時に外を見たら松浦君がいなくて新山君しかいなかったので、しっかり付ききればって思ってたんですけども、誘導退避で内を見た瞬間に松浦君が上昇してることに気付かなくて、すごく不意を突かれた感じでした。
大津:そこからのご自身の中での気持ちの切り替えっていうのはどうでしたか。
脇本:引き切ってから自分がしっかり勝ちに行くための立ち回りをするっていうところに至るまでの時間がかかってしまったなっていう印象はやっぱりありますね。
大津:一番人気になってましたし勝たなきゃいけないっていう使命感も凄かったんじゃないですか。
脇本:やっぱりオッズを見ても、それだけ期待度は高いなと思いますし、その中で慣れない番手戦の中で勝たないといけないっていう中での戦いも、ちょっと僕の中でも動揺はやっぱりありました。
大津:オールスターっていうのは、脇本選手にとってはどんなシリーズになりましたでしょうか。
脇本:オリンピック終わって日本の競輪にしっかり戻ってきた中でのオールスターだったので、優勝はしたいっていう気持ちもありましたし、僕が初めてタイトルを取ったのもオールスターですから、そのあたりはやっぱり意識はしてました。
大津:以前オッズパークのインタビューでお答えいただいた時に競輪場の相性っていうよりも、大会の相性を重要視するって仰ってましたもんね。
脇本:僕は大会の相性が良ければ、バンクの相性も覆すことができるっていうような感覚があるんですよね。
もともと西武園自身は相性の良くないバンクなんですけど、オールスターっていう相性がいい大会だったので何とか優勝できたのかなと思いました。
大津:今年は連勝記録もそうですし、年間獲得賞金もお客様はかなり注目していると思います。
脇本:一番言われるのが3億円はもう固いなってことですが、それは言い過ぎです。
大津:本当に言い過ぎですか。
脇本:言い過ぎです(笑)
大津:脇本さんに常識という言葉は通用しない気がするのですが。
脇本:いや、もうそのプレッシャーだけが僕の中でのしかかっていくので大変です。
大津:僕たちは勝手にも期待してるけど、言われる側の重圧もちょっと考えてくれよって思いますもんね。
脇本:いやぁ、言うのは簡単なんですよ。まぁ、でもそういう立場にいさせてもらっているので、そこは僕自身の役目だと思ってますし応えられるように頑張りたいです。
大津:競輪界における「脇本雄太」はそういう存在ですもんね。
脇本:勝っていく中で、プレッシャーとの戦いにもなるのですが、それを跳ね除けて頑張りたいです。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願いいたします。
脇本:何とかオールスターは完全優勝をすることが出来て、連勝記録も打ち立てることができたんですけども、これもまだまだ満足せずに伸ばしていってグランプリに向けて、またしっかり頑張っていきたいなと思ってます。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
8月に西武園競輪場の『オールスター競輪』にて2日目にアルテミス賞レースが行われました。
ガールズケイリン総選挙2022にて上位に選ばれた選手たちによるレースを優勝した小林莉子選手(東京102期)にお話を伺いました。また今後の意気込みなども聞いておりますので、ぜひご覧ください。
山口:まずはアルテミス賞レース、優勝おめでとうございました。
小林:ありがとうございました。
山口:以前お話を聞かせてもらった時に「コレクションを勝てていない」という話題がありましたね。
小林:アルテミス賞レースの出場も今回で6回目だったので、素直に嬉しかったです。
山口:メンバーも強力でしたが想定はありましたか?
小林:走ってみて流れの中で戦うしかないかな、と思っていたので、「展開は早くなるかもな」くらいであとは特に想定はしていませんでした。
山口:尾方真生選手(福岡118期)の後ろにいましたが、残り2周からの仕掛けに乗っていかず、梅川風子選手(東京112期)の後ろへいきました。あのあたりの判断はどうでしたか?
小林:前を奥井迪さん(東京106期)がとっていたので、もしついていって踏みあいになった場合、自分が外に浮いてしまう可能性があると思いました。
もし踏みあいになったら梅川さんの捲りが一発あるだろうなと思って、瞬時に切り替えました。
山口:ドンピシャの判断だったんですね!
小林:そうですね。本当に良かったと思います。
山口:梅川選手が仕掛けていった時はいかがでしたか?
小林:踏み出していった時のスピードがかなり良かったので、追走して足をためられれば優勝はあるかもなと思いました。でも梅川さんがすごくかかっていたので、きつかったです。
山口:差し切っての優勝、素晴らしかったです。周りの反応はいかがでした?
小林:ゴールしてすぐにお客さんが「おめでとう」と言ってくれたり、名前を呼んでくれて嬉しかったです。
山口:アルテミス賞の前、7月の大宮から取材時も連続優勝中ですが、好調の要因は何かありますか?
小林:特に練習の感じがすごく良い!というのはないんです。でも流れがとても良いですね。
今年の初めは苦戦をしていたんですが、徐々に自分がやりたいこと、練習で課題にしていることをレースで出せてきている気がします。その達成感もあり、良い流れができているのかもしれません。
山口:言える範囲で構いません。やりたいこと、課題というのは何ですか?
小林:特に弱点と思っているのがダッシュのなさです。
後はレースの中でだと、良い位置が取れなかったときにどう対処するかです。「よくない位置からどうリカバリーをして1着に繋げるか」は今年課題にしていたことなので、それをうまく対処できて、結果に繋がっているのかなと思います。その気持ちの変化は大きいですね。
山口:良い流れができてきたんですね。
次にフレームについて伺いたいです。変えて結果が出ている選手もいると聞いていますが、小林選手はいかがですか?
小林:みんなフレームを乗り換えて結果が出ているので、乗ってみたい気持ちはあります。でも、自分の感覚として乗りこなすパワーがまだないのかなと思って、今は変えていません。
山口:小林選手のレースを拝見して、先行の後ろからより捲りに乗って追い込む方が得意なのかなという印象を受けました。その辺りはいかがでしょう?
小林:最近のガールズケイリンは、ガンガン逃げる選手よりもスピードを一気にあげてタイムを出す捲りを得意とする選手が増えています。
さっき話したレースの中の課題の一つに「短い距離の中で前をとらえられるか」というのもあります。その結果がレースで出始めて「これが勝ちパターンだな」と思ってからは、そっちの方が得意かもしれません。
山口:一瞬のスピードを磨きつつも、それ以外のパターンでどう勝つかというのが課題なんですね。
小林:そうですね。その辺りを重点的に取り組んでいます。
山口:大宮の決勝は、日野未来選手(奈良114期)の捲り追い込みを差しての優勝でした。まさに、のレースでしたね。
小林:あれは自分でも、差しているかわかりませんでした。でも良い感じで踏めた感覚はありましたね。優勝できてよかったです。
山口:逆に武雄は3日間「B」をつける、早めの捲りのレースでしたね。そちらはどんな思いだったんですか?
小林:しっかり自力を出せる時には出したいと思っています。それがうまく出た3日間でした。
山口:特に決勝は飛びつきからの捲りが素晴らしかったです。高木佑真選手(神奈川116期)のカマシに飛びつく時、高木選手を追走していた選手もいた中で、スッとスムースに切り替える動きがなめらかでしたね。
小林:内に包まれないことと、自分が踏めるタイミングで仕掛ける、という2つはあのレースの前に意識をしていたことでした。
飛びつくタイミングを逃していたら内に包まれてしまっていたので、一瞬の判断でしっかり外に踏めたのは良かったです。
山口:強引に並走することもなく取りきるのは技術なんでしょうか。
小林:予測して前に踏んでいると、結構飛びつけるなと感じています。仕掛けが見えてから踏むと、それについてきている選手もいるので並走になってしまうんですが、予測して踏んでおいて「仕掛けが来なかったら自分でいこう」という気持ちでいるのが良いのかなと思います。
山口:なるほど。好調さもインタビューの中からも伺えますが、今の一番の課題は何ですか?
小林:トップスピードが他の選手に比べてないので、タイムを出しての捲りを出せるようにトップスピードを上げていく走りをしたいです。
山口:次走が共同通信社杯(名古屋)内で行われる「ティアラカップ」ですね。
小林:新しいレースなので、優勝したいという気持ちも強いです。でもメンバーもみんな強く、タイムも出やすい名古屋のバンクなので、まずは位置取りをしっかりしてそこからの勝負かなと思っています。
山口:位置取りにこだわる選手も多くいそうですね。
小林:本当に、、、位置取りは厳しい選手ばかりです。流れの中で、初手からではなく勝負所で良い位置にいられるように、自分で動きながら取っていくしかないですね。
山口:名古屋のバンクの印象はいかがですか?
小林:最後に走ったのは雷でレースが中止になった時なんです。なので、レースがうんぬんより「怖かった」という印象ですね(苦笑)
山口:あの時!確かに、そうですね。でもミッドナイトではなく今回は昼間ですもんね!
小林:そうですね。まだ明るい時間帯なので、荒天にならないことを祈ります(笑)
(補足:そのミッドナイト競輪は2走目に雷で中止になりましたが、決勝は奥井選手の捲りを差して優勝しています!)
山口:賞金ランキングは取材時は6位ですが、今後に向けてはどうですか?
小林:もっと取りこぼしなく、年末のオッズパーク杯ガールズグランプリに繋げていくような走りをしないといけないと思っています。気を引き締めて今後も走ります。
山口:ガールズグランプリはもう意識していますか?
小林:もちろんのりたいです。でも考えすぎると硬くなってしまうので、考えないようにはしているんですが、やっぱり意識して賞金ランキングは見ちゃいますね。
山口:そうですよね。一戦一戦の積み上げですね。
小林:そうですね。
山口:ありがとうございます。では最後にオッズパーク会員の皆様へ今後の意気込みをお願いします。
小林:ティアラカップは新しい試みのレースなので、優勝目指して走ります。そしてグランプリにより近づけるように頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
ガールズケイリン10周年を迎えた今年は122期生がデビューをしました。松戸、松山とルーキーシリーズを連続優勝し、本デビュー戦の地元大宮で見事優勝した小泉夢菜選手(埼玉122期)。
122期としては一番乗りの優勝となりました。小泉選手に、初優勝を含めたここまでのレースの振り返りや選手を目指したきっかけ、今後の目標など伺いました。
山口:まずはデビュー戦のことをお伺いします。地元・大宮でのデビューでしたがいかがでしたか?
小泉:とても緊張していました。
山口:小泉選手はルーキーシリーズを3開催走っていますが、また違う緊張感だったのですか?
小泉:はい。ルーキーシリーズは全員が同期なので、他の選手の脚力や、仕掛けの特徴なども養成所の時からよく知っています。
でも大宮は初めて先輩選手と一緒に走るので、レース動画を見ただけじゃわからない部分もたくさんあったため、とても緊張していました。
山口:デビュー戦は2着でしたが、ご自身で振り返っていかがでしたか?
小泉:2コーナーから仕掛けたかったんですが、前にいた佐藤亜貴子選手が仕掛けていったので、ついていきました。最後4コーナーで捲りたかったんですが、なかなか進まなかったです。
山口:自分が仕掛けたかった所より前に、先輩選手に動かれてしまったんですね。
小泉:はい。見ながらの動きになってしまい、全然積極的に動けませんでした。
山口:デビュー節の目標は何でしたか?
小泉:優勝を狙って走っていました。
山口:見事優勝という結果を出されましたが、決勝戦を振り返ってどうでしたか?
小泉:運が良く良い位置にいられて、展開にも恵まれました。
山口:初手のイメージはどの辺りが良いなどありましたか?
小泉:取れた位置からという想定でした。3番手が取れたので前後を見ながら仕掛けようと思っていたら、前の篠崎新純選手が先行体制に入っていたので、これは捲り追い込みに行こうと切り替えました。
山口:目の前の高橋梨香選手が仕掛けた時は、「優勝かな」というのは浮かびましたか?
小泉:そういうことは考えずに、自分が行けるタイミングを見ながらでした。
山口:そうでしたか。優勝した時はどうでしたか?
小泉:とても嬉しかったです。
山口:目標達成の本デビューでしたが、ルーキーシリーズと比べて違いはありますか?
小泉:雰囲気は全く違います。緊張度もそうですし、「新人として」デビュー戦を走るので「見せなきゃいけないレース」というのも感じていました。
先輩方の走りを初日で実感して、2日目、3日目と自分で修正しないといけないなと思いました。
山口:位置取りもルーキーシリーズと比べて少し苦戦しているように見えます。その辺りはいかがでしょう?
小泉:はい、やっぱり位置取りも皆さん厳しいです。一番感じたのはスキの無さです。ルーキーシリーズは同期で知っているということもあるかもしれませんが、本デビュー後はそれは通じません。
自分で展開を考えて動いていかないとダメだなと思いました。
山口:いわき平では決勝に進むことはできませんでしたが、最終日には自力を発揮して2着でした。小泉選手の理想の戦法や展開はどのようなパターンですか?
小泉:最終的には自力で勝てるようになりたいです。養成所の時からいろんな戦法を試していましたが、一度も先行逃げ切りはできませんでした。自分の脚力の無さも実感しました。
でも卒業してから時間も経ってその間に練習も重ねてきているので、前の自分とは違います。どれだけ今の私が自力を出して戦えるのか、それをいわき平の最終日には感じられました。
山口:では少し学生時代からの話にうつります。小泉選手は自転車経験が豊富ですが、ガールズケイリン選手を目指したのはいつ頃ですか?
小泉:高校入学して自転車競技部に入ろうと思った時から本気で目指しました。
山口:きっかけは何だったんですか?
小泉:父が高校、大学時代に自転車競技部に所属をしていて、私が小さい頃から自転車が家にあり中学生からは乗り始めていました。
ある時、自転車の大会でガールズケイリン1期生の方と「自転車を漕いでかき氷を作る」対決がイベントであったんです。それに参加して対決をしてもらった時に「競輪選手という職業かあるんだ」と知りました。
山口:それは衝撃的な出会いですね。どの選手と対決したかは覚えていますか?
小泉:増茂るるこ選手と、次の年は加瀬加奈子選手とさせてもらいました。楽しく対戦してもらったという印象です。
山口:最初の時からガールズケイリンは知っていたんですね。それで、高校から本格的に目指したんですね。
小泉:はい、そのこともあり「高校生から本格的に自転車を始めよう」と思っていたので、部活に所属する時にはプロを目指していました。
山口:その後は大学へ?
小泉:はい。大学に進んで、卒業後に競輪選手養成所へ入所しました。
山口:養成所ではどのようなところを目標にしていましたか?
小泉:いろんな戦法を試したかったのと、自分の脚力がどれくらいなのか把握することを目標にしていました。
山口:成績などは時に意識はしていなかったですか?
小泉:そうですね。「自分がどこから仕掛けたらゴールまでもつか」や「どんなタイプの戦法があっているのか」などを分析しながら、どうやったら1着が取れるかというのを考えて走っていました。
山口:順位3位で卒業されて、松戸でデビュー戦を迎えました。初日は人気になっていましたね。
小泉:初日は、初めてお客さんの前で走るということでかなり緊張していたんですが、更に7番車で発送機に着いたとき、お客さんに一番近い車番でした。
そこで緊のピークが来て「これは頑張らなきゃいけない」と変に気合いが入ってガチガチのままスタートしたんです。気持ちでいっぱいいっぱいになってしまい良い走りが全くできませんでした。
ギヤ比も失敗してしまいました。他の選手がどれくらいのギヤ比で走るのかが読めず、3.64と軽いギヤを選択したんですが、他の選手は3.71や3.77と重いギヤで走っていました。次の日にすぐ変えました、、、。
山口:私も中継で松戸ルーキーシリーズにいたんですが、新人選手で、しかもガールズ選手の当日ギヤ変更は珍しいなと感じていました!そういうことだったんですね。でもすぐ変更できるのは自転車経験の長さがいきていますね。
小泉:そうかもしれません。
山口:成績は右肩上がりで、決勝は見事に優勝を決めましたね!
小泉:2日目からは自分のレースができるようになってきて、タイミングなども掴めたし、決勝も修正できたと思いました。
山口:優勝インタビューでも冷静に走れていたんだなという印象でした。
小泉:緊張感は初日とは全く違いました。1番車だったので良い位置も取れましたし、後は周りの動きを見て、自分のタイミングで仕掛けられました。
山口:2場所目の松山も優勝と連続でしたね。
小泉:自分の力を出すことができなかったんですが、優勝できたのは運が良かったと思います。松戸のレースですごく疲れてしまい、松山もすぐの開催だったんですが、そんな中で自分がどれだけできるかと心配ではありました。
でもそんな状態では自力を出しては勝てないと自分のコンディションの状態をわかっていたので、1着をとれる走りをしようと考えて走った開催でした。
山口:良くないコンディションでも結果を出すのは素晴らしいですね。では本デビューされてしばらく経ちましたが、今強化したいところはどこですか?
小泉:全体的に強化しなければいけませんが、特にダッシュ力をつけたいです。
山口:前で飛びつく時など、ですか?
小泉:そうですね。今は全然スムースに飛びつけておらず、仕掛けてくる選手とのダッシュ力の差を実感します。
私はスピードのある選手に追走はできるんですが、ゆっくりのスピードから一気にスピードを上げるのが苦手なんです。
今は展開的に一度自分で動いて、そこから飛びつきなどをしていかなくてはならないため、その点を強化したいです。
山口:目標はどう決めましたか?
小泉:一戦一戦、1着を取れるように、そして優勝できるようにというのを目標に走っています。競輪祭に出たいと思っていたんですが今の成績では難しいようなので、とにかく力を出し切って走り1着を取ることを目標にしています。
山口:どんな選手になりたいですか?
小泉:自力で勝てるような選手になりたいです。
山口:具体的に目標にする先輩はいますか?
小泉:石井寛子選手です。常に良い位置にいて1着を狙える選手になりたいです。
山口:大宮、西武園と地元開催が続きますね。(インタビュー時は大宮出走前)
小泉:はい、気合も入りますし、特に大宮は目標にしている石井寛子選手もいるので、自分がどこまでできるか楽しみです(補足:大宮は優勝が石井寛子選手、小泉選手は決勝3着でした)
山口:先輩方との交流はここまでありましたか?
小泉:皆さんにご挨拶させてもらっています。篠崎選手は何度も開催で一緒になっているので、話しかけてくださってアドバイスもいただきました。
山口:篠崎選手も自転車経験が長い選手ですね。
小泉:1期生でガールズケイリンを引っ張ってきた方なので、どういう風に気持ちを持っていくのかや、ケアの仕方など親切にたくさん教えてくださいました。
山口:選手になって生活の流れは確立してきましたか?
小泉:まだまだです。練習、レースの繰り返しですね。ケアに関しては気をつけていて、質の高い練習をするには必要だとマッサージによく行くようになりました。
山口:趣味の時間はどうですか?
小泉:家にピアノがあり先生にも習っています。レースがあるのでなかなか行けていないんですが、行ける時には先生に会いに行っています。ピアノを弾く時間はかなりリフレッシュになっています。
山口:練習環境はどのような感じですか?
小泉:師匠の國廣哲治さんと弟弟子と一緒にしています。バンクに入る時はグループの皆さんと一緒ですね。街道、ウェイトトレーニング、パワーマックスなどの室内練習など内容は様々です。
山口:ありがとうございます。たくさんお話を伺いました。
では最後に今後の目標と、オッズパーク会員の皆さんへメッセージをお願いします。
小泉:いまは自力を出して勝てるように練習をしています。自力で1着を取れるように頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA