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松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。佐藤到 1969年宮城県出身。97年のテシオ創刊とともに競馬撮影を始めた『メイセイオペラ世代』。

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存廃問題に思うこと

 当ブログについて、3人交代で週イチ更新という予告をしたにもかかわらずほとんど更新することができず、誠に申し訳ありませんでした。
 存廃問題で岩手に激震が走ったことは皆さまも各メディアやネットのニュース等でよくご存じと思います。この間、編集長は存続派の力になろうと関係者や有識者の間を飛び回っていたらしく、テシオ編集部のある社内ではほとんど姿を見ませんでした。また、よこてん氏は当テシオホームページ内にあります自身のブログに県議会の経過を詳しくアップしておりますので、そちらもご覧下さい。



 ところで、県外の方々にはこのニュースはどのように伝わったのでしょう?一般の人の耳には入ったのでしょうか?私の地元・宮城県の友人からは「岩手競馬廃止だって!?」(廃止が決定した訳ではない段階での早とちりでしたが)というメールが届きましたので、なんらかの報道はあったようですが、私が全国放送のニュースを見ている間には一言も触れられていませんでした。またインターネット上でも、岩手競馬に関心を持つ方は積極的にニュースを探してお読みになったでしょうが、例えばポータルサイトのトップ画面にあるニュースのような形で一般の人が受動的に目にする機会はほとんど無かったように思います。
 もしかして、益田から続く一連の地方競馬廃止にはもう慣れっこになってしまい、たとえ岩手のような規模の大きな競馬場が消滅しても、もう一般大衆の関心事にはなりえない。そういうことなのでしょうか?
まぁこれでもし本当に廃止となっていたら、債務処理負担で財政的に苦しくなった自治体を「第二の夕張」などと言って報道したのでしょうが…

 一方県内では、ローカルニュースで毎日のように長い放送時間を割いて大きく取り上げられていました。その中で、街頭インタビューを行って県民の意見を聞くというのをどの局もやっていたのですが、多く言われたのは「ギャンブルなのに県税を投入するのはけしからん」というものでした。歴史的に馬を愛し続けてきたはずの岩手県民でさえこれなのですから、やはり競馬へのマイナスイメージは相当根深いものがあります。そういう私も、テシオの撮影を始める以前は競馬には近寄りがたい感覚を持っていました。
 多くの人は幼いころから“ギャンブルは悪”というイメージを刷り込まれ、「ギャンブルなんてやっちゃぁ、わがんねよ。だって競馬で会社を潰したり、首吊った人もいるんだがらな!」と言い聞かせらる家庭が多いでしょうから無理もありません。しかし皆さんならお解りになっているように、何度か競馬場に足を運べば、競馬は素晴らしい観戦型スポーツであり、人と動物が力を合わせる美しさがあり、馬を育てる沢山の人達のロマンがあることが分かってくるはずです。金を賭けるのは競馬を楽しむことの一側面でしかありません。問題は広く多くの人に、いかにしてギャンブルへの抵抗感を減らし競馬に興味を持つきっかけを持ってもらうか。これは永遠の課題となるでしょう。
 また、インタビューにこのように答えたご婦人もおりました。「赤字の競馬なんかやめて早く他の仕事を探せばいい。どうしても続けたいなら他の地方に行けばいいんですよ!」と。この方はもし自分の主人や息子が競馬関係者だったなら、同じ事を言えるのでしょうか?自分の大事な人が競馬に携わっていたらと想像するだけでも、そんなことは言えなくなると思うのですが…
 このご婦人だけでなく、「俺は競馬やらないから関係ない」という声も多くあり、このような競馬と直接間接で関わりがなく関心も薄い人たちが、いきなり巨額の税金投入を聞かされればおいそれとは賛成できない気持ちも当然と言えるでしょう。しかし、彼らが少しでも競馬に関心を持ち、僅かでもそこに生きる人や馬のことを想う気持ちを持ってもらうことが出来たなら、世論はもっと違ったものになるかもしれません。
 岩手では馬が身近にいることを、競馬が岩手の誇れる文化であることをもっとたくさんの人々、特に岩手県民に理解してもらうことは、この先とても重要なことだと思います。


 20日の競馬議会で、岩手県競馬の存続が正式に決定しました。とりあえず開幕を目前にしての廃止という非道な事態は避けられました。しかし赤字を出さないことを大前提とした以上、背水の陣での開催が続いてゆくわけです。相当な改革を求められると思いますが、この先も岩手で競馬が営まれていくかどうかはこの一年にかかってきます。
 これからの生まれ変わった岩手競馬にご注目下さい。


(文/写真・佐藤 到)

p.s.
3月21日の高知競馬で行われた全日本新人王争覇戦で、岩手の山本聡哉騎手が見事優勝しましたね。岩手ジョッキーによる制覇は村上忍騎手以来2人目。村上騎手は、現在ではリーディングトップ3に入る実力を身につけて活躍しています。聡哉君、暗いニュースが飛び交ったこのタイミングで嬉しい知らせを届けてくれましたね。実況の「みちのくに届いたか岩手の希望!」にも泣かされました。

2007/03/22
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