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松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。佐藤到 1969年宮城県出身。97年のテシオ創刊とともに競馬撮影を始めた『メイセイオペラ世代』。

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都会と田舎


 サイレントエクセル残念でした。満を持して挑戦の船橋・クイーン賞GIIIでしたが、手応え無く結果10着。どうやら輸送が堪えたようで、前日入厩してからもカイバをほとんど食べなかったそうです。逆に言えば実力で劣っていた訳ではありませんから、今後、環境の変化に耐性ができれば、とも考えられる結果でした。
 それにしても遠征ってやつは難しいですね。サイレントエクセル自身、2歳のときには新潟や門別への遠征を平気でこなしていたのですが、成長と共に賢い馬になって、地元のレースでは力を発揮できるようになった代わりに、周囲の状況にはちょっと神経質になってしまったのかもしれません。今後、牝馬グレードに再挑戦するにしても、舞台はいずれも南関の競馬場。板垣騎手も「大井はモノレールの音がうるさいからなぁ…」と気にしていました。サイレントエクセルには精神的な強さを身につけ、全国の競馬ファンにその実力を見せつけて欲しいと思います。


 私のような田舎生まれの田舎育ち生粋の田舎者にとって、東京は仕事や遊びで訪れることはあっても、決して長く住めるところではありません。今回も船橋の行き帰りに都内を少し歩きましたが、交差点や駅で他人の動きを予測し、ぶつからないように神経を張り巡らして行動するということが負担なんですよね。2〜3日間だから平気で歩き回っていますが、もしこれが毎日となったら神経が参ってしまうのではないでしょうか。このような人間を「田舎モン」と見下す人種もいるでしょうが、最近は田舎暮らしに憧れる「都会人」の方も多いそうですね。もし仕事や子供の通学のしがらみがなければ、今すぐにでも田舎に引っ越したいと考えている人も多いのではないでしょうか。
 以前、東京の雑誌社の方と宮城の田園地域で撮影をしたときのことですが、田んぼの中で車を降りたときその方は、「すげぇ〜静かだ。全然音が聞こえない」と感動していました。それほど遠くないところで耕耘機のエンジン音やカラスの鳴き声がしているのに、です。よほど普段の騒音に包まれた世界とのギャップがあったのでしょう。やはりどっちを向いても人、どこまで行っても人工物という環境は、人間という動物にとって根本的に負担なのではないでしょうか。そして競走馬も、それを敏感に感じ取ってしまうのかもしれません。
 そういえば某TV番組のアイドルグループが農村生活を営む企画や、某局のお金をかけずに田舎暮らしをしている「貧乏さん」を紹介する番組は毎回高視聴率を獲得しているそうですね。実は私も毎週見ています。都会と田舎、果たしてどちらが「豊かな暮らし」なのか…その基準は確実に変化しているようです。


(文/写真・佐藤 到)

2006/12/14
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