3月24日(日) 「第49回あやめ賞」(水沢1400m)
【レース回顧】
好枠2番枠を引き当てたカリフィアが逃げ、2番手マルーントリック、3番手外ドリームキャッチ。ミヤギシリウスは4番手インに控え、5番手オフビート、6番手インにセイバイラック。1番人気レッドオパールは前走と同様、折り合いをつけることを優先させ、7番手からの競馬。
快調に飛ばしたカリフィアに対し、ミヤギシリウスが徐々に接近。レッドオパールは前走・奥州弥生賞と同様、3コーナーから満を持してスパート。4コーナーで2頭を射程圏に入れた。
直線を向いて物見をして外にふくれたカリフィアを避けるため、ミヤギシリウスが一旦下がる。逃げこみを図るカリフィア、外レッドオパールの戦いに持ち込まるかと思ったが、間を割ってミヤギシリウスがゴール前で突き抜け、デビュー7戦目で待望の初重賞を手にした。
坂口裕一騎手「逃げた馬の後ろにつけてほしい―が指示だったが、そのとおりのポジションを取ることができた。今回が初騎乗。少し頭が高くズブいところがあると聞いたが、実際に3コーナーで外に出したらフワッとするところがあった。直線でも逃げたカリフィアが物見をして外にふくれて一旦下がったが、また盛り返してくれた。瞬発力というより、いい脚を長く使えるタイプ。今回は先入観なく乗れたのが良かったし、タイプ的に距離が延びても問題ない感じです」
畠山信一調教師「冬期間は福島県のテンコートレセンで乗ってきたので、仕上げに手間取らなかった。きゅう舎に戻ってきたのは2月28日。坂路効果もあったと思うが、走りっぷりが良くなった印象。この後は優先権を取ったので、留守杯日高賞へ直行する予定です」
1着・ミヤギシリウス
デビュー2戦目の水沢1300mを1秒4差で圧勝。以降もネクストスター盛岡でフジユージーンの4着、若駒賞ではミヤギヴァリアントの2着に善戦した。昨最終戦・金杯は5着だったが、坂口裕一騎手「外に出すとフワッとする」ところがあったから。結果的に直線入り口で下がりながらも馬群を割ったのも勝因か。どうやら展開に注文がつきそうだが、はまれば今後も重賞制覇の実力はある。
2着・カリフィア
昨年は阿久利黒特別を逃げ切ってシーズンを終了。今季はあやめ賞から始動したが、牧場で乗り込まれてきて前走(阿久利黒賞)比マイナス1キロ。体もできており、持ち味の軽快な先行力と粘りを披露。フジユージーンには離されたが、ネクストスター盛岡3着はダテではなかった。次走は留守杯日高賞へ向かう可能性が高いが、交流レースは総じてハイペース。自分の競馬ができるか否かがカギを握る。
3着・レッドオパール
再開初日の準重賞・奥州弥生賞を優勝し、転入後3連勝。今回も圧倒的1番人気に支持されたが、最後の伸びを欠いて3着。前走よりマイナス7キロ。ひと叩きされて体は絞れ、レース運びも問題なかった。
ただ、今回の1、2着馬とは初対決。ミヤギシリウス、カリフィアはフジユージーン、ミヤギヴァリアントと戦い、完敗を喫したが、レースレベルが高かったのは事実。その経験値の差も出たか。答えは留守杯日高賞で出るに違いない。
今週の岩手競馬
29日(金) メイン11R 「桃花特別}(A級一組 水沢1600m)
30日(土) メイン10R 「第1回奥州弥生スプリント」(オープン 水沢850m)
31日(日) メイン12R 「第30回白嶺賞」(オープン 水沢1400m)
文/松尾康司
3月24日に行われた3歳牝馬の重賞『あやめ賞』。実質的には2024シーズン最初の重賞、そして3歳牝馬戦線の幕開けとなるこのレースには12頭が出走。人気を集めたのは前哨戦を制していたレッドオパールでしたが優勝したのはミヤギシリウス。7番人気からの快勝でした。
好スタートから4番手あたりを進んでいたミヤギシリウス。「レッドオパールが動くのが見えて、先に行かれたらこちらが不利になると思ったので(坂口裕一騎手)」と自ら動いたのが3~4コーナー。そこからは逃げ粘る内カリフィア、末脚を伸ばす外レッドオパール、その間を割ろうとするミヤギシリウスの3頭の競り合い。いったんは外レッドオパールが優勢に見えましたがミヤギシリウスが盛り返したところがゴール。終わってみれば2着カリフィアにも半馬身の差をつけての同馬の快勝となりました。
3月25日のメインレースは12Rです。B1級一組の『アイスストロベリー賞』。出走馬の多くは同条件だった3月12日の11R・12Rから転戦してきた馬たち。現状の力関係の構図はその前走で見えたとして、当時とは少し変わった馬場傾向、ひと叩きされての各馬の上昇分、それをどう見積もるかがこのレースのカギになるでしょう。
本命は(8)ビヨンドザドリームです。昨秋に岩手に転入、その初戦で勝ったもののその後はなかなか勝ち切れずという同馬でしたがひと冬越した前走で岩手2勝目を獲得。以前よりもスタートが安定してきたのが前走、前々走あたりからの走りの違いにつながっているように見えます。
昨年の二戦目からB1にいるわけですが相手関係的には今回ともほぼ同様でした。当初は勝ち切れなかったけれど、自身も進境を見せているということなら優位に立てると計算できるでしょう。もう1勝すればJRA復帰の希望も叶うというところにも注目
相手は(4)ロワマージュ。前走で言えばこちらが一組、◎が二組の方の1着馬でした。こちらの方が組が上、力が上と見るべきですが今回は◎の方の上昇分を大きめに見て、のこの印。時計の違いは展開の差と思えるので気にしすぎなくていいでしょう。
(11)サンエイブレーヴが三番手。前走で負かされた相手がいるので控えめの評価にとどめましたが、その前走にしても4着とはいえ大きな差ではなかった。気配や状態は決して悪く見えなかっただけにあとは馬の地力発揮に期待。
以下、(5)グレートキャンベラは一進一退しつつも地力強化、昨冬の時計比較でもメンバー上位であとは間隔が開いた分の影響だけ。(9)コリコは積極的に動いた前走は結果実らなかったけれど機動力は今回につながるもの。前走時より先行有利な傾向が強い今週なら前走以上にも。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(8)=(4)、(8)=(11)、(4)=(11)、(8)=(5)、(8)=(9)
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24日(日)メインは3歳牝馬重賞「第49回あやめ賞」(水沢1400m)。1着馬から3着馬に"GRANDAME-JAPAN2024"3歳シーズン「第24回留守杯日高賞」(4月21日 水沢1600m)への優先出走権が与えられる。
中心はレッドオパール。戦前は重賞・金杯を優勝リトルカリッジが最大ライバルと思われていたが、出走を見送り。一本かぶりの人気を集めることになる。母アイアムオパールは中央未勝利から岩手入りして7勝。A級まで出世して繁殖入り。レッドオパールが初産駒だった。
デビュー地・門別4戦1勝から転入後、年をまたいで3連勝中。2戦目に重賞・寒菊賞を完勝し、前走の準重賞・奥州弥生賞も1着。プラス30キロの太め残りだったため直線で外にモタれる仕草を見せたが、クビ差で制した。この一戦を叩いて、あやめ賞は当初の予定どおり。リトルカリッジが不在、一度叩かれた変わり身、勝負づけがほぼ済んだ相手関係と好走条件がそろった。
セイバイラックはデビュー5戦目、芝からダート変更された盛岡1600m戦の1勝のみだが、すべて4着以上。重賞でも2着3回と抜群の安定感を誇っている。その半面、詰めの甘さがつきまといデビュー5戦目、芝からダート変更された盛岡1600mのみ。前走・奥州弥生賞も絶好位をキープしながら3着に終わった。今回もレッドオパールは別格に、3着以下に沈む可能性があるが、総合力でリード。2着はしっかり確保したいところだろう。
オフビートは重賞・シンデレラカップ(金沢)を制し、岩手牝馬路線でも活躍したボサノヴァの妹。デビュー戦は仕上がり途上だったにもかかわらず、アッサリ逃げ切り勝ち。素質の片りんをのぞかせたが、以降は入着一杯。レースに集中できなかったが、終盤に2着2回。今季初戦の奥州弥生賞でも果敢に逃げ粘ってレッドオパールのクビ差2着に惜敗。成長の跡がはっきりうかがえた。すんなりなら再現まで十分。
マラカイトは南関東0勝2着2回3着1回から転入。初戦の3歳B1戦を0秒3差で完勝。激戦区で揉まれてきた実力を前面に初勝利を飾った。今回は一線級の牝馬が相手。メンバーは骨っぽくなったが、時計はほぼ互角。ここでも好勝負に持ち込めれば将来も約束される。
カリフィアはトレーニングセール1760万円で落札されたカリフォルニアクローム産駒の期待馬。デビュー戦の芝1000mを逃げ切り、1000万レース・ネクストスター盛岡3着。足踏みが続いた時期もあったが、最終戦を快勝。好ムードでシーズンを終えた。今回はぶっつけで臨むが、あやめ賞へ照準ピタリ。
ミヤギシリウスはネクストスター盛岡4着、若駒賞2着。冬場は福島のテンコートレセンへ移動。坂路で鍛え直し、変わり身に注目したい。
◎⑪レッドオパール
〇①セイバイラック
▲⑧オフビート
△③マラカイト
△②カリフィア
△⑤ミヤギシリウス
<お奨めの1頭>
5R キングオブサミット
前走はローグネイションに完敗2着だったが、ここでは走破タイムが出色。今度こそ首位を奪取する
23日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」。今回はB2級一組、水沢1600mの条件で行われる。ポイントは休み明けを叩かれた組と今季初出走組との実力比較。基本は実戦を使われている方が優位と見ていい。
本命はキタノキャスター。中山ダート1800m戦で3着2回後、南関東へトレード。勝ち切れなかったが、C1級をメインに2着3回3着3回。安定した取り口を披露して転入。1番人気はピラヴロスに譲ったが、4番手外キープから早めにスパート。直線でピラヴロスとの叩き合いに持ち込み、0秒1差で快勝。待望の初勝利を飾った。
勝因は岩手B2へ編入し、メンバーに恵まれたこと。鞍上・山本政聡騎手が積極的なレース運びを心がけたこと。ピラヴロスをなかなか突き放すことができなかったが、ゴール前でもう一伸びした。気になったのは前走比マイナス18キロだったが、見た印象では細目感はなし。改めて調べてみたら中央時代に470キロ台で好走しており、転入前の冬期間は逆に太かったかも。水沢2度目の輸送でさらに威力を増してくるに違いない。
エルフィンドールは中央3戦とも二けた着順に終わり、岩手へ新天地を求めて初戦を快勝。2戦目は2着だったが、以降は圧巻の4連勝をマークした。コース替わって水沢・B1昇級戦も一番人気に支持されたが、早めに失速12着。初めて大敗を喫したが、爪の状態がもう一つだったため、その後は休養に入った。
前走が復帰戦となったが、まだ持ち味の粘りが見られず6着。久々の実戦がこたえた印象だった。今度は休み明け2戦目で上昇確実に加え、マイペースの逃げに持ち込める公算大。父ダイワメジャー譲りの強気な先行策で巻き返しに転じる。
サンエントジアスタはデビューが2歳12月までずれ込み、初勝利は翌年7月。8戦を要したが、相手なりに駆ける堅実さが身上。その後は夏負けも影響して420キロの馬体が400キロを割ってしまった。しかし徐々に馬体が回復して終盤2戦2、1着。好ムードでシーズンを終えた。
再開戦はB2へ昇級。相手関係が微妙だったが、タイム差なし2着。減っていた体重も413キロまで回復したのも好材料。このメンバーでも上位争いができれば今後も楽しめる1頭となる。
サンエイマジックは3歳時、当時の岩手クラシック・ダイヤモンドカップ3着、東北優駿(岩手ダービー)3着。古馬A級は荷が重かったが、降格後は4勝マーク。シーズン初出走になったのは挫石のため。無理をせず今回から始動する。久々の実戦はハンデだが、前々走B1戦2着。いきなり勝ち負けのシーンまで。
デルマアシュラは昨年、中央1勝クラスから転入。A級では苦戦の連続だったが、途中にクラス再編成されてC2へ降格。4勝をマークした。ピリッとした脚がないため展開の手助けが必要だが、直線で確実に台頭。マークは欠かせない。
オートヴィルは昨年8月、南関東B2から転入。C1編入にも恵まれて3連勝を飾った。その後は伸びを欠いているが、今回はB2へ降格。一発あるかも。
◎⑨キタノキャスター
〇②エルフィンドール
▲⑥サンエントジアスタ
△⑧サンエイマジック
△⑦デルマアシュラ
△⑪オートヴィル
<お奨めの1頭>
6R メリヴェイユ
札幌ダート1000m1勝から転入。850mは未経験だが、中央1勝クラスでも快速を披露したスピードに注目
18日メインはA級一組による水沢1600m戦「弥生特別」。このレースから白嶺賞、新シーズンの赤松杯へ駒を進めるメンバーがずらり。JRAからピースワンパラディ、レベランスが2頭が転入。十分通用の実力馬だが、ダート戦は未経験。今回は様子見が妥当だと思う。あと1頭ブローヴェイスは中央2戦から再転入。後述するが、こちらはカギを握る1頭になると思う。
主軸はグランコージー。2歳時、6戦5勝の好成績を収めて2歳最優秀馬の栄誉を獲得。以降は岩手、南関東を行き来して岩手一冠目(当時)・ダイヤモンドカップを圧勝。後に年度代表馬に選出されたフレッチャビアンカを相手に鮮やかな逃げ切りを決めた。
逃げタイプゆえに好、凡走の落差が激しいタイプだが、それでも通算11勝。南関東A2戦でも逃げ切った実績があり、昨年11月に3度目の里帰り。初戦を5馬身差で圧勝し、マイル重賞・トウケイニセイ記念へ臨んだが、3コーナーで失速9着。相手が強かった上、マークも厳しかった。続くスプリント特別で反撃が期待されたが、コーナーでもたついて2着。レースに集中していなかった印象だった。
今回は冬休みをはさんで盛岡から水沢へ転厩。リフレッシュできたかが最大ネックだが、水沢1600mは過去7勝と最も得意とする条件。復活の手ごたえをつかむことができるか、格好の舞台と言えるだろう。
グローリーグローリは中央ダート4勝・オープン、障害1勝から昨年3月に転入。あっさり2連勝を飾り、重賞・赤松杯を優勝。続くシアンモア記念5着からあすなろ賞を快勝。重賞2勝目を手にした。一條記念みちのく大賞典4着後、一旦休養。9月に復帰2着にまとめ、健在を誇示したかに見えたが、以降は4、6着。夏負けが尾を引いた。春の目標は赤松杯2連覇。今回は復調度合いを探る一戦になりそうだが、今回のメンバーなら実績上位は明らか。底力で逆転首位まで十分考えられる。
ブローヴェイスは3歳10月、中央芝2、3着1回から転入。いきなり3歳重賞・サファイア賞を快勝し、ダートに替わっても2勝2着1回3着1回。岩手の水が合った。昨年は決して本調子とは言えなかったが、それでも1勝2着3回。8月にJRAへ再度移籍し、2戦15、11着。1勝クラスの壁が厚かった感じだが、二人引きが示すとおり気性難も影響したか。今回の強みは1月末までレースを使われてきたこと。さらに休み明け3戦目と好走条件がそろった。
スパイスマジックは一昨年、中央ダート2勝、園田1勝・A級から転入後、2勝2着2回。重賞・北上川大賞典でも4着を確保し、再び園田へ移籍。実戦は一度のみで10着に終わり、再転入。当初は6月から始動予定だったが、脚部不安のため出走取り消し。9ヵ月半ほど実戦から離れたが、復帰後は1、3、2着。実力確かなことを証明した。
ゴールドギアは中央オープンから転入して芝準重賞・かきつばた賞を優勝。芝交流・せきれい賞2着、OROカップで3着を確保し、最優秀ターフホースに選出された。ダート戦でもあすなろ賞2着、前走2着とこなせる範囲。マークが欠かせない。
マツリダワールドは2歳時、デビュー戦の芝1勝のみだったが、昨年はダートで2勝2着6回。成長著しいところを見せてくれた。古馬A級編入後は未勝利だが、大崩れなし。充実の4歳を迎えて突破を目指す。
◎(5)グランコージー
〇(10)グローリーグローリ
▲(1)ブローヴェイス
△(7)スパイスマジック
△(4)ゴールドギア
△(9)マツリダワールド
<お奨めの1頭>
2R・チェリーブリーズ
大井時代、1000m戦で3勝マーク。JRA3勝クラスでも入着実績があり、C1では能力の違いが明白