6月2日(日) 「第48回ウイナーカップ」(3歳 水沢1400m)
当初、登録があったイーハトーブマイルを制したレッドオパールは出走見送り。この日に復帰したフジユージーンのNo.2ミヤギヴァリアントは、7Rの3歳B1戦をエントリー。一転して中心不在の3歳重賞となった。
逃げたのはイーハトーブマイルと同様、2番枠の好枠を引き当てたコンバットスプーン。2番手リノグロワール、3番手にドリームキャッチがつけたが、外から被せられると5番手に控える。3番手インにリトルカリッジ、その外にミヤギシリウス。1番人気バウンスライトは中団後ろにつけたが、距離を意識して2コーナー過ぎからスパートをかけた。
3コーナー手前からコンバットスプーン、ミヤギシリウスが徐々にリードを広げ、バウンスライトは何とか3番手まで押し上げる。逃げるコンバットスプーン、じりじりと差を詰めるミヤギシリウスがゴールまでもつれ込んだが、ミヤギシリウスがアタマ差で交わしてゴール。3歳牝馬重賞・あやめ賞に続いて重賞2勝目を手にした。
1着・ミヤギシリウス=坂口裕一騎手
「枠順が真ん中より外目なので3,4番手ぐらいを考えていたからイメージどおりのポジション。スパートをかけるのが早いとは思ったが、後ろから来られて反応できるタイプではありませんからね。逃げたコンバットスプーンを目標に、直線でひと伸びすると信じて追った。いい脚を長く使えるので距離が延びても大丈夫だと思う。あとはスローペースからいきなり動いた場合に、どう対応できるか。自分自身も久々の勝利だったので、素直にうれしいです」
畠山信一調教師
「今回は連闘だったのでマイナス体重は想定内。それ以上に状態が良かったのでウイナーカップを使った。条件も今季初戦に勝ったあやめ賞と同じ水沢1400mでしたからね。ちょっと乗り難しいところがあるが、ジョッキーがうまく乗ってくれた。次開催に東北優駿があるが、状態を見て決めたい。最大目標をひまわり賞(オークス)に置いているので、逆算して使うレースを選びます」
ミヤギシリウスは冬期間に福島県のテンコートレセンへ移動。坂路で鍛え直した効果が大きく重賞・あやめ賞を快勝。初重賞を獲得したが、以降は留守杯日高賞4着、イーハトーブマイル5着と足踏み。しかし今回、あやめ賞と同じ水沢1400m戦で見事復活した。ジョッキー、調教師のコメントにもあるとおり、最大目標を岩手版オークス・ひまわり賞に置いている。
2着・コンバットスプーン
昨年2勝。ネクストスター盛岡で2着に粘り、冬場は南関東へ移籍したが、4戦着外に終わって帰郷。初戦のダイヤモンドカップは7着に沈んだが、イーハトーブマイルで2着に粘り、今回も逃げ粘って2着。400キロ台の小柄な牝馬ゆえ、パワー不足は否定できないが、展開次第では持ち味の粘りを発揮するに違いない。
3着・バウンスライト
中央3戦0勝から転入。下級条件で2連勝を飾り、イーハトーブマイルへ強気の挑戦。出遅れも影響して8番手からの競馬だったが、直線で鋭く伸びて3着。この内容を評価されて1番人気に支持されたが、今回は行った切りの決着が痛かった。タイプ的に忙しい1400mより、マイル以上向きは明らか。
今週の岩手競馬
6月9日(日) 「第9回早池峰スーパースプリント」(オープン 水沢850m)
6月10日(月) 「初夏特別」(A級一組 水沢1600m)
6月11日(火) 「撫子特別」(A級三組 水沢1600m)
6月2日に行われた3歳馬の重賞『ウイナーカップ』は2番人気ミヤギシリウスが優勝。3月のあやめ賞に続いての重賞2勝目を挙げました。
今回も主導権をつかみに行ったコンバットスプーンを追って道中のミヤギシリウスの位置は4番手あたり。しかし向こう正面に入ったあたりから他に先駆けてスパート、3角を回る頃にはコンバットスプーンに馬体を並べるところまで迫りました。「スタミナはしっかりしていますが瞬発力勝負になると分が悪くなるタイプ。さらに後ろから来る馬に差されるリスクはありましたが、それでも早く動くのが一番良いと思って」と坂口裕一騎手。
直線を向いたところではコンバットスプーンに突き放されかけるシーンもありましたが、鞍上の狙い通りしぶとく長い脚を繰り出したミヤギシリウスも盛り返して、わずかに前に出たところがゴール。僅差でしたが重賞勝ち馬の底力を見せたレースとなりました。
6月4日のメインレースは12Rです。B1級1600mの特別戦『紫陽花賞』。本命は(6)マナホクを採ります。
一昨年の3歳時には盛岡で2000mの重賞不来方賞を勝った同馬。その後は1200mから2000mまで様々な距離で戦い、そしてどの距離でも大きく崩れずにこなしている事で逆にベストの距離がイメージしづらいような戦績になっています。
どの距離でもハマれば強い。1200mはちょっと短い感じですがとはいえ重賞でも入着していますし、一方で2000mの重賞で勝っているわりに1800mや2000mだと長そうな気配も見せる。予想する方としては頭を悩ませる部分です。
ただ、現状のB1・B2というクラスではやはり地力上位と思える近走ですし、先に書いたような事を思えばマイルも丁度手頃な印象。リスクとしては出遅れがありますが、好発さえ決まれば勝ち負けできる力あり、と判断しました。
対抗は(5)アダマスミノルを。やや勝ち味に遅いかと感じる近走ですが差し馬不利な馬場傾向が続いている事を思えば悪い走りでは無いはず。展開ひとつ流れひとつで岩手初勝利まで。
三番手に(7)ヒロシクン。大柄でゆったりした走りを見せる馬ゆえに初の小回りマイルの影響を大きめにみてみましたが、ここまでの走りは文句なし。軽視しすぎはもちろん禁物。
以下、(8)メイショウメイスイは勝ち星から遠ざかりつつも馬自身の状態は良くなってきているように見えますし、水沢マイル・雨の影響が残る馬場いずれも得意。(4)トランセンドパストはしばらく走っていなかった左回りとかマイルとかでも健闘できたように地力は高そう。右回りに変わっての変身を一考すべきでしょう。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(6)=(5)、(6)=(7)、(5)=(7)、(6)→(8)、(6)→(4)
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先週、お伝えしたフジユージーンが東京ダービー挑戦を見送った。辞退理由は寝違え。100%の状態でも厳しいレースを強いられるのは確実。順調さを欠いて遠征すれば後々まで影響するだけに、早々と見送りを表明した。この決定は残念な限りだが、やむなしの選択だったと思う。
先週も報告したが、ダイヤモンドカップ直後は反動が大きかった。それでも思った以上の回復を見せて挑戦を決めたが、競走馬は言うまでもなくアスリート。万難を排してケアしても、いつアクシデントが発生するか分からない。まずは回復に専念して、元気な姿に戻ったフジユージーンに再会したい。
3日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B2級二組 水沢1600m)。中心選択にはあまり迷わなかったが、次位候補には悩んだ。各馬が一長一短、好走あっても凡走しても不思議がないメンバー構成。人気も割れるに違いない。
サダムターゲットは昨年10月、中央未勝利から岩手入り。一度、競走除外されたが、4戦1勝2着2回。最終戦4着に敗れていち早くシーズンを終了。3ヵ月の休養をはさんで3月から始動。2連勝をマークして好発進を決め、B2特別・メイカップへ挑戦。昇級に加え、元A級馬ローグネイションが相手で3着に終わったが、2着馬とはクビ差。前走も2着に敗れたが、再びクビ差の僅差負け。あと一押しが足りなかった。
注目してほしいのは走破タイム。メイカップ、前走とも盛岡ダート1600mでただ1頭だけ1分40秒台をマークした。必然的に今回は他をリードと見るのが妥当。成長続ける4歳の若さも加味すれば、首位を奪回するチャンス到来。
相手筆頭にアジアノカイゾクを抜てきする。昨年、中央2戦未勝利から転入。3勝2着2回3着3回。馬券対象から外れたのは4着一度のみと抜群の安定感を誇った。ただゲート出に課題を抱え、今季は3着3回止まり。特に近走は出遅れが致命傷となって6、4、8着。消化不良のレースが続いている。凡走理由の一つは輸送。激しい気性のため馬運車の移動もこたえたが、今回から地元競馬。内2番枠は微妙だが、レースに集中できれば反撃必至。
アメイジングスターは競馬再開4戦まで着外が続いていたが、近2走2、3着。盛岡遠征で馬体が絞れ、いい脚を長く使える持ち味がよみがえった。今度は地元水沢が舞台で馬体重が気になるところだが、470キロ台前半で臨めれば再び勝ち負けに持ち込める。
ヤマニンエピクーレは開幕2連勝を飾ったが、以降は苦戦の連続。メイカップは11着に沈んだが、前走4着。先着を許したアメイジングスターとは0秒1差。上昇ムードで水沢を迎えたのが心強い。
アドマイヤホルンは通算14勝の古豪牝馬。復帰戦は6着だったが、ひと叩きされて前走3着に粘った。盛岡開催をスキップしてリフレッシュ。気分よく逃げることができれば連対確保。
ヴォウジラールは成績が安定しないが、時に大駆け。うまく自己ポジションを取れれば侮れない存在となる。
◎⑤サダムターゲット
〇②アジアノカイゾク
▲③アメイジングスター
△⑥ヤマニンエピクーレ
△⑨アドマイヤホルン
△①ヴォウジラール
<お奨めの1頭>
1R ピカンチフラワー
デビュー戦は痛恨の出遅れを喫しながらも力強く抜け出して完勝。好発進を決めた。距離延長も問題なく、2連勝濃厚
今週2日(日)から舞台は盛岡から水沢競馬場。騎手、馬もそうだが、我々もリセットして臨みたい。実際、5月5日から盛岡競馬場へ替わった途端、苦戦した馬は少なくなかった。
典型的な例が現在、B2級へ在籍するムゲンノカノウセイ(千葉幸喜きゅう舎)だった。今年、B1からC2へ降格してワンサイドであっさり3連勝。地力の違いを見せつけたが、盛岡に替わって5、9着。クラスもB2へ上がったが、元々はA級の格上馬。盛岡で完全にリズムが狂った感じだった。
ほかにも同じ例が多くあるが、今回は盛岡で鳴りを潜めていた馬が反撃に転じる可能性大。自分もそうだが、コース適性もしっかりと把握してレース検討をしたいと思っている。
2日メインは3歳重賞「第48回ウイナーカップ」(水沢1400m)。フジユージーンは東京ダービー出走を辞退、世代ナンバー2・ミヤギヴァリアントは同日、第7R・3歳B1戦で復帰。またイーハトーブマイルを完勝したレッドオパールも当初、登録があったが、出走を見送り。主役不在、混戦必至のメンバー構成となった。
主軸にバウンスライトを指名する。中央3戦未勝利から転入。持ち賞金がなく3歳最下級へ編入し、初戦を快勝。クビ差2着に退けたラブショックは目下2連勝中。ハイレベルの戦いだった。2戦目は2着に0秒9差を圧勝し、重賞・イーハトーブマイルへ挑戦。一気に相手が強化された上、スタートでも後手を踏んだが、シャープな末脚を駆使して3着。収穫の多い一戦となった。このレースで重賞ペースにも慣れ、今度は首位奪取を狙う。
コンバットスプーンは昨年2勝。ネクストスター盛岡でフジユージーンの2着に粘り、ビギナーズカップでも3着。小柄な牝馬ながら勝負根性のあるところを披露した。冬期は南関東へ転籍したが、4戦着外に終わって帰郷。ダイヤモンドカップは7着に終わったが、イーハトーブマイルでは果敢に逃げてレッドオパールの2着を死守。持ち味の粘りを存分に発揮した。今回も好枠を引き当て逃げの手は確実。距離短縮を味方に逃げ切りをもくろむ。
ミヤギシリウスは金杯5着後、福島県のテンコートレセンへ移動。坂路で鍛え直した効果も大きく、牝馬重賞・あやめ賞を快勝した。これで一皮むけたかと思ったが、留守杯日高賞4着、イーハトーブマイル5着。入着一杯に終わったが、今度はあやめ賞と同じ水沢1400mが舞台。巻き返しに意欲満々。
リトルカリッジは2歳時に4勝。ひと頃は調子を崩したこともあったが、終盤に復調。重賞・金杯を制した。今季は始動が遅れ、調子もなかなか上がらず精彩を欠いているが、実績上位は明らか。うまく最内枠を生かせれば反撃に転じて不思議はない。
マルケイフォルテは芝1000mのデビュー戦3着からダートへシフト。目下6戦連続で連対中と抜群の安定感を誇っている。重賞初挑戦でメンバーが一気に強化されたが、相手なりに駆けるタイプ。
サンエイキャノンは今季初戦を快勝し、スプリングカップでも3着を確保したが、ダイヤモンドカップ8着、イーハトーブマイル12着に大敗。評価が微妙になったが、地元水沢で巻き返したいところ。
◎(10)バウンスライト
〇(2)コンバットスプーン
▲(8)ミヤギシリウス
△(1)リトルカリッジ
△(7)マルケイフォルテ
△(9)サンエイキャノン
<お奨めの1頭>
5R エクチュール
新潟ダート1800m・2歳新馬戦でタイム差なし2着。昨年9月以来の実戦で太目は確実だが、能力検査を叩かれて体が絞れてくるはず
5月26日(日)「第25回あすなろ賞」(3歳以上オープン 盛岡ダート1800m)
グリニッジシチーが手綱をしごいて先手を主張。2番手にタイセイメガロスがつけ、3番手インにスズカゴウケツ。1番人気グローリーグローリは4番手に控え、後方3番手にフレイムウィングス、その後ろにゴールドギアが追走した。
向こう正面の途中まで坦々とした流れでレースが進んだが、残り800m地点でゴールドギアが一気にスパート。グローリーグローリも一瞬だけ反応したが、先に行かせて仕掛けを遅らせた。先陣グループでは3コーナー過ぎにグリニッジシチーが一杯となり、替わってタイセイメガロスが先頭。スズカゴウケツは持ったままで追走し、馬なりでタイセイメガロスを交わす。追い出しをぎりぎりまで我慢したスズカゴウケツはゴーサインを出されると鋭く反応。2着ゴールドギアに3馬身差をつけて完勝。待望の初の重賞制覇を果たした。
スズカゴウケツは父スズカコーズウェイ、母リバティーベル、母父アサティスの牡7歳馬。一昨年10月、中央3勝クラス、障害1戦を経て転入。初戦を快勝し、OROカップ7着後、名古屋へ移籍。5戦1勝の成績を上げて昨年4月に再転入。1勝のみに終わったが、シアンモア記念2着、一條記念みちのく大賞典2着とビッグレースで好走した。トウケイニセイ記念8着後、南関東へトレードされて川崎2戦3着から3度目の岩手入り。赤松杯7着、シアンモア記念6着と苦戦を強いられたが、前回外したブリンカーを再着用。その効果も大きく、ついに重賞制覇を果たした。
1着・スズカゴウケツ 菅原辰徳騎手
「先生(千葉幸喜調教師)の方から折り合いを重視してくれと指示をされ、スムーズなレース運びを心がけた。今回はゲートを上手に出てくれたので、あとは鞍上が邪魔をしないように位置をキープ。3~4コーナーの手応えが抜群で、そのまま押し切ってくれた。ずっと調教からレースでも乗せていただいて、何とかタイトルを取らせてやりたいと思っていた。それが実現できてとてもうれしいです」
千葉幸喜調教師
「南関東から再転入後、ずっと状態は良かったと思うが、赤松杯が7着。それでブリンカーを外してシアンモア記念に臨んだが、あまり結果が良くなかったので今回、再着用したことも勝てた要因。ジョッキー(菅原辰徳騎手)もうまく乗ってくれたと思う。次走予定は一條記念みちのく大賞典。シアンモア記念を勝ったグランコージー、5着に頑張ったルーンファクターと3頭で挑戦したいと思っています」
2着・ゴールドギア
前半は後方2番手に控え、残り800mから出し抜け的な形で一気に進出。その思い切った戦法が功を奏し、昨年のあすなろ賞に続いて2年連続で2着を確保した。昨年、最優秀ターフホースに選出されたように主戦場は芝だが、1800m以上ならダートでも好走できることを改めて証明した。
3着・フレイムウィングス
いつもどおり前半は後方に控えて、勝負どころから徐々にスパート。ラスト50mでグローリーグローリを交わして3着入線を果たした。昨年、中央2勝、南関東1勝・B1から転入。岩手では未勝利ながら一條記念みちのく大賞典3着、北上川大賞典2着、桐花賞2着。ジリ脚のため勝ち切れないのがネックだが、今後も1800m以上なら馬券対象から外せない。
今週の岩手競馬
6月2日(日) 「第48回ウイナーカップ」(3歳オープン 水沢1400m)
6月3日(月) 「夢・希望 未来へ前進」(B2級二組 水沢1600m)
6月4日(火) 「紫陽花賞」(B1級 水沢1600m)