4月2日に行われた3歳馬の重賞・ダイヤモンドカップTR『スプリングカップ』は1番人気ミニアチュールが快勝しました。
「最内枠だったので馬の力を信じて小細工はせず戦おうと思いました」とレース後に語っていた鞍上の山本聡哉騎手。序盤にハナに立って主導権を握ると最後まで後続の追撃を寄せ付けずゴール。直線終盤こそリッキーナイトが迫ってきたように見えましたが、ゴール写真をあとで見直したら鞍上の表情はこれまた最後まで余裕。いわゆる"着差以上の強さ"という評価を下して良さそうです。
ミニアチュールはこれで転入後4戦4勝、1月の金杯、3月のあやめ賞そしてこのレースと重賞3連勝も達成。次戦は3歳三冠の一冠目となるダイヤモンドカップ。牝馬にして牡馬の三冠路線に挑みます。
4月4日のメインレースは10レースになります。B2級1400mの特別『エイプリルカップ』。クラスとしてはB2級になりますが前開催はB1級で戦っていて降級した馬がおり、また開幕直後だけあって各馬の"調子上昇感"の判断にもまだ悩まされる段階。意外に難しい印象があります。
本命は(2)フェイダウェイを狙います。
前走はB2級の1600m戦を6番人気で勝った同馬ですが、それまでに勝った2勝は1400m、上位争いのほとんどは1200m・1400mでしたから前走はむしろよく1600mに対応して見せたという結果。昨年12月の1400m戦で7着に敗れてからのマイルでの勝利という比較から"マイルの方が良い馬"という評価をしてしまうのは、そんな戦績を見れば避けたいところです。
加えてその前走で破った相手は元A級のエクスポーネント。昨年C1→今季B2と昇級しての戦い、6番人気でしたが、勝った事をフロック視する事もまた避けるべきでしょう。
距離短縮は悪くない、むしろ好材料。前走を評価の基準にするならここで力の見劣りはないはず。馬自身の状態も良いからこその前走勝利だったとすれば、ここでも思い切って狙ってみる価値はある存在ではないでしょうか。
相手もちょっと思いきって(1)バジガクアリアでどうでしょうか。春初戦を一度叩いての前走が、結果2着でしたが馬の状態はグンと上がってきた印象がある一戦でした。3年前の、圧倒的な強さで3連勝した頃ほどの勢いは無いにせよ昨年もB2~B1で健闘していますし、そんな状態の良さをかってみたいところ。
三番手は(5)トーアクリスティー。春初戦を勝って二戦目の前走が3着と着順は後退した形ですが内容的にはいずれも上々。以前の戦績はどちらかというと左回り主体でしたが、これなら右回り水沢にももはや問題は無いと見ていいでしょう。小柄な馬ながら開幕週の深い馬場もこなした点も、同様に力のいる馬場になっている今週、心強い材料になりそう。
(10)トキノワンカラットも昨年10月以来の勝ち星を挙げて好調さをアピール。もう少し軽い馬場の方が戦いやすいタイプとみて軽めの印に止めましたが勝った勢いは侮れないもの。(11)フェアリーも二戦使って上昇ムード。岩手では後方から追い込む形になっていますが南関時代は先行して上位に食い込んでいた馬。そんな競馬ができるようになれば一変あっておかしくないだけに、そろそろ意識して押さえておくようにしたいですね。
●10Rの買い目
馬単(2)=(1)、(2)=(5)、(1)=(5)、(2)→(10)、(2)→(11)
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3日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 水沢1400m)。前走1着馬が4頭。内3頭が4歳馬と非常に活きのいいメンバー構成。今後の短距離重賞へもつながる楽しみな一戦となった。
ドルズプライスレスは中央未勝利ながらダート戦で3着2回。門別の条件交流戦でも2着を確保して転入。初戦は7着に凡走したが、2戦目を快勝。続く2戦も伸び欠いたが、最終戦を快勝してシーズンを終えた。その後は放牧に出て帰郷。1番人気はドラセナに譲ったものの、好スタートを決めて一人旅。3コーナーから後続をさらに突き放し、2着に2秒2差をつけて圧勝。まさに"破格=プライスレス"の強さで逃げ切った。
当日12日は競馬再開2日目。走路は白い砂が一面に敷かれて非常に時計のかかる馬場。平均より1秒以上遅いタイム決着だったが、ドルズプライスレスは何と1分28秒4。これにも周囲は驚いた。ブリンカー&シャドーロール着用し、周囲の馬を気にするタイプ。それゆえ好、凡走の落差が激しかったが、持てる能力をフルに発揮した。揉まれるとモロさを露呈する不安は抱えているが、自分の競馬に徹するのみ。逃げ切り2連勝へ王手をかけた。
グラフィアスレディは2歳時に2勝マーク。3歳時は果敢に重賞へ挑戦し続けた。結果は善戦及ばず5着が最高だったが、サラブレッドは厳しいレースを経験すればワンランクアップするケースが多々。グラフィアスレディが現在まで5戦連続で連対中がそれを裏付けている。12頭立て大外12番枠の克服がカギを握るが、仮に突破できればオープン入りも約束された。
キットクルは中央ダート2着2回から昨年10月に転入。3戦2勝の成績を上げて再び中央入りしたが、二けた着順に終わって再度岩手入り。初戦を0秒6差で完勝した。ドルズプライスレスのタイムが破格すぎてかすんでしまうが、1分29秒7も好時計。あっさり2連勝の可能性は十分ある。
サンエイウルフは南関東2勝2着5回、B2から転入。3歳時に交流・ハヤテスプリントへ参戦6着。岩手B1編入は恵まれた格付けで転入戦2番人気に支持されたが、2番手追走から一杯6着。粘りを欠いたが、道中で掛かったのが痛かった。その意味でマイルから1400m短縮は歓迎。巻き返しに転じる。
ヤマジュンサルサは休み明け初戦は7着に終わったが、ひと叩きされて前走3着。4勝マークの水沢巧者ぶりを垣間見せた。先行激化になれば上位進出。
ドンナフォルテも同じく盛岡1勝に対し、水沢4勝。前走は2番手をキープしたが、直線で不利を受けたのが大きく7着。見限るのは早計。
◎(8)ドルズプライスレス
〇(12)グラフィアスレディ
▲(10)キットクル
△(4)サンエイウルフ
△(6)ヤマジュンサルサ
△(1)ドンナフォルテ
<お奨めの1頭>
2R スーパーマルキヤ
南関東から移籍2戦目を逃げ切り勝ち。850mの流れにも慣れて本領を発揮した。負担重量54キロ据え置きなら2連勝もらった
(文・松尾康司)
新シーズンの開幕を飾るのは毎年恒例となった3歳重賞「第48回スプリングカップ」(水沢1600m)。1着馬から3着馬に岩手一冠目・ダイヤモンドカップ(4月30日 水沢1600m)の優先出走権が与えられる。
2022年度の2歳最優秀馬はフジラプンツェルが受賞。交流・プリンセスカップ、ビギナーズカップ、若鮎賞(芝からダート変更)と重賞3勝を含めて6勝をマーク。東京2歳優駿牝馬10着後、中央入り。いずれは帰郷する予定だが、現トップはミニアチュールに異論はないだろう。
ミニアチュールは北海道2勝2着4回3着1回から転入。非凡なレースセンスを披露して岩手3戦3勝。重賞・金杯、前走・あやめ賞を制し、改めて実力の違いを見せつけた。若干気になるのは2ヵ月はぶりの実戦のあやめ賞がマイナス2キロ。飼い葉食いが細く、調整に苦労したようだが、それでも好スタートを決めて4馬身差で圧勝。余裕たっぷりでゴールに入った。
レース後、佐藤祐司調教師は「自信を持って送り出せた。牡馬も含めてNo.1は間違いないので、ゴールデンヒーラーが果たせなかった牡馬クラシック制覇を目指したい」とコメント。距離1600mは金杯圧勝で問題ないことを証明済み。課題は馬体回復と成長力だが、現時点では完成度の高さで一歩も二歩もリード。重賞3連勝を飾り、ダイヤモンドカップへまい進する。
リッキーナイトはGI/JpnIレース11勝の日本記録を打ち立てたコパノリッキーの二世代目産駒。兄は昨年、ダイヤモンドカップ、東北優駿(岩手ダービー)と岩手二冠を制したクレンジングナイト(父コパノリチャード)。北海道4戦2着1回から岩手入り。初戦で出遅れながらも0秒8差で圧勝し、2戦目2着から3戦目は1秒差で圧勝。南関東へ転籍したが、2戦8、7着に終わって再転入した。
南関東2戦をどう評価するかが最大ポイントだが、厳しい競馬を経験したのは間違いなくプラスに作用するはず。力みすぎてレースに集中できるかが不安―と板垣吉則調教師が語っていたとおり、当日のパドック気配が勝敗のカギを握る。
サンカプリスはデビューが昨年11月と遅れたが、新馬戦2着から2戦目を逃げ切って圧勝。直後に岩手入りして初戦2着だったが、プラス18キロ。大幅な体重増も影響したが、ひと叩きされて良化必至。姉は園田で行われた西日本ダービーも含めて現在11勝スーパーバンタム(金沢)。今後の伸びしろは十分ある。
キタノムホウは昨年1勝2着2回3着2回。着外はデビュー戦の芝6着のみの堅実さを身上としたが、今季初戦を快勝。好発進を決めた。父は遅咲きタイプが多いウインバリアシオン。仮に素質が開花したと解釈すればここでも勝ち負けに持ち込める。
タイセイヴィゴーレはアジアエクスプレス産駒。中央では5着1回が最高だったが、転入後はスピードの違いを見せつけて逃げ切り2連勝。今度は岩手一線級が相手だが、岩手の水が合った。
スノーパトロールは4走前の東京ダート1600mで1着馬には離されたが、2着を死守。初戦のあやめ賞は4着止まりだったが、水沢2度目で地方ダートにも慣れる。
◎(1)ミニアチュール
○(4)リッキーナイト
▲(8)サンカプリス
△(2)キタノムホウ
△(3)タイセイヴィゴーレ
△(9)スノーパトロール
<お奨めの1頭>
5R リスレツィオ
北海道から転入後、圧倒的な強さで2戦2勝。走破タイムも文句なしだった。ここも迷わず追いかける手
2023年度岩手競馬が4月2日(日)からスタートする。新設重賞はダート体系整備(2024年)に伴って創設された2歳重賞「ネクストスター盛岡」(10月3日 盛岡ダート1400m)。1着賞金1000万円を目指し、さらには翌年のダートグレード、ダート三冠へもつながる道となる。
ほかに重賞については追って報告したいと思うが、岩手競馬の日程が大きく変わる。2022年度の通常開催は年明け1月3日で終了したが、今年度は12月31日(日)が通常開催の最終日。岩手競馬が年内に終了するのは1990年度以来のこと。1991年度は正月競馬も含めて1月12日まで開催され、以降も年をまたいで通常開催が行われていた。
年内終了は近年、大寒波の襲来が2~3週間ほど早まったから。2020年前の寒波襲来は成人の日の前日(1月第2月曜日)がやま場だったが、ここ数年は12月に襲来。公正競馬、また人馬の安全優先を考えれば止むを得ない措置だったと思う。よって年明け正月に行われていた明け3歳重賞・金杯は12月30日(土)に行われ、翌日31日(日)が岩手版グランプリ・桐花賞。名実ともに1年を締めくくるビッグレースとなった。
4月2日、新シーズン開幕に合わせて2名のジョッキーが新たにチーム岩手競馬に加わる。新人の佐々木志音(しおん)騎手(佐藤祐司きゅう舎)は奥州市水沢出身の17歳。勝負服は『胴白・赤縦じま・袖黒・赤一本輪』。さっそく初日2日、第2R・アヒアマリージョ、3R・ルナリュミエール、8R・トルマリの3鞍に騎乗する。岩手競馬の新人騎手誕生は2019年10月、関本玲花騎手以来のこと。
一方、葛山晃平騎手は金沢競馬から期間限定騎乗(4月2日から7月4日まで 7開催・42日間)で参戦する。同騎手は大阪府出身で1997年、岩手競馬でデビュー。2006年まで騎乗して215勝をマークした。その後、引退して2010年に金沢で再デビュー。同年のダービーグランプリでナムラアンカーに騎乗して2着(優勝はロックハンドスター)。翌年には3歳牝馬交流・留守杯日高賞をアンダースポットで逃げ切り勝ち。岩手初重賞をあげ、デビューの地で錦を飾った。開幕日から第2R・ゴールデンファラオを皮切りに、計7鞍騎乗する。
来る人がいれば去る人もいる。通算1531勝をあげた平澤芳三調教師が3月31日を持って引退する。騎手時代、みちのく大賞典、シアンモア記念、日高賞など多くの重賞を制し、調教師に転向以降もホワイトシロー、アカネプリンス、バンチャンプ、バンケーティング、ショウブラッキー(アラブ 全日本アラブ大賞典2着)など数々の強豪を送り出した。2013年度にはドリームクラフトで年度代表馬にも選ばれた。
平澤芳三さんで思い出すのは検疫きゅう舎近くで青草を刈っていた姿。秋には栗拾い?にも精を出していたが、いわく「馬は新鮮な青草を喜んで食うんだ。青草が一番いいんだ」。確かに平澤きゅう舎所属馬は青草がパワーの源だったかもしれない。飼い葉付けにもこだわっていた。自分が足しげくきゅう舎通いしていた頃、必ず全馬の飼い葉をつけていた。1頭1頭チェックして飼い葉の量を調整していた。おつかれさまでした、平澤調教師。
みなさん、今年度も岩手競馬をよろしくお願いします。
3月28日のメインレースは12Rになります。オープン・ダート1400mの『スプリント特別』。3月の春競馬も2開催目後半とって既に一度出走している馬・休み明けの馬が入り交じる顔ぶれとなりましたね。
本命は(7)サザンジンジャーです。
前走は3月13日の同条件スプリント特別。高知から転入初戦だった本馬は逃げて後続を寄せ付けずの快勝でした。初コースの分なのか小回りコーナーで少し反応が鈍るようなシーンもありましたが、とはいえ直線だけで後続を4馬身突き放したのですから快勝以上に「完勝」と言っていい内容。オープン特別に留まらず今後の重賞路線での活躍も期待できる走りだったと思います。
(写真/3月13日スプリント特別優勝 サザンジンジャー)
今回は、前回戦った馬に加えて休み明け初出走の馬、つまり初対戦になる馬たちとも戦うわけですが、ただ前走の走りにプラスしてコース慣れの上積みがあるとするならば中心視は揺るがないでしょう。
対抗は(5)マルルットゥを狙ってみます。昨年の3歳牝馬路線で活躍していた同馬は秋に南関東に移籍。1月まで実戦を使われての再転入の形です。その南関東では3着が最高、昨年の岩手在籍時は3歳戦のみで岩手では古馬とは未対戦と、まだまだこれからという部分はありますが、昨年の、牝馬にして牡馬とも渡り合った地力があればここでも戦えると判断しての対抗視です。
三番手が(1)ゼットセントラル。昨シーズンで大きく崩れたのは南部杯のみ、それ以外は重賞を含めても5着圏内確保、A級特別3勝。実績面ではここで上位の存在です。休み明けになる分で▲までに止めましたがいきなり勝ち負けを争ってもおかしくない存在。
ひもはまず(3)トミケンキルカス。前走で◎の3着でしたから△はちょっともったいない気もします。水沢の1300~1400mの距離レンジを得意としておりここでも上位争いに加わってくるはず。
(8)ホワイトブライドの昨年は水沢で苦戦、盛岡で好走の流れでしたが、後半になるにつれて地力が増してきたのであってコースの得手不得手ではないでしょう。こちらも休み明け、叩き良化型の印象もあって連下までの評価になりますが、先々注目しておきたい一頭です。
●12Rの買い目
馬単(7)=(5)、(7)=(1)、(7)→(3)、(7)→(8)
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