2ヵ月余りの冬眠から目覚め、岩手競馬が3月12日から再開。新年度(2021年度)は4月4日開幕だが、競走馬、ジョッキー、調教師などの記録はこの日でリセットされ、実質的なスタートとなる。
冬期間の岩手在籍馬は1月の競馬終了後、完全休養に入る。今年は再開が1週間ほど早まったが、それに合わせて2月10日がコース開放日。約1ヵ月の乗り込みを経て今回の実戦を迎えるが、各馬の仕上がり具合はバラバラ。
特にトレーニングを再開して2、3週間目あたりに筋肉痛を起こしたり、肩に乗り込んだ反動が出るケースは少なくない。当然だが、人も馬も動物。基本はアスリートと見て間違いない。
競馬再開週に大事なのは先ほどとダブるが、仕上がり状態のチェック。このコーナーも前日に公開されるが、いざ当日を迎えてイメージとのギャップにとまどうことが多々。みなさんは馬券発売の締め切りまでじっくり検討できるので、馬体重の増減にも注意を払ってください。
岩手競馬は盛岡所属馬と水沢所属馬による戦い。水沢開催の場合、盛岡所属馬は水沢まで馬運車で移動するが、久々の実戦で入れ込む馬も結構多い。
それによって馬体重が大幅に減っていたり、汗をかいた後などがモニター越しでも分かる。転入馬を除いて実戦から離れているのでプラス体重が普通。あとはどのぐらい増えているのかを確認したい。許容範囲か、範囲外か。また明け3歳、4歳馬は冬期間に成長するケースもあり、当日のチェック項目は多い。明日も再開週のチェック事項を報告します。
12日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「復興祈念 夢あふれる未来へ」(B1級三組 水沢1600m)。前日3月11日は悪夢の東日本大震災から丸10年。先月、復興道路を使って沿岸各市町村の復旧状況を見てきた。防波堤などの工事は相当進んでいるが、新しい街づくりにはまだまだ時間がかかることを実感した。
今回は再開初日。きゅう舎サイドも手探り状態だが、それは我々、予想する側も同じこと。手探りの中、重視したのはクラス変動、展開、ローテーション、コース実績だった。
ペイシャルフェは昨年2勝。ひと頃、精彩を欠いた時期もあったが、終盤に2勝目をマーク。最終戦は5着に終わったが、勝ったのは中央芝3勝馬シンボリタピット。その時は水の浮く極端な不良馬場で、ペイシャルフェには合わなかった。
盛岡未勝利に対し、水沢4戦2勝3着1回。右回り向きは明らかだし、先行馬が絶好の1番枠。マイペースの逃げに手に出て昨年後半、ケガでリタイアを余儀なくされた阿部英俊騎手に白星をプレゼントする。
ただ、注意してほしいのは馬場傾向。仮に内の砂が深かった場合、逆に最内枠は仇。逃げ有利か、差し有利かを当日レースで確認してほしい。
ソレアードは船橋1200mの新馬戦を6馬身差で圧勝し、浦和1500mで2勝目。牝馬ながら馬格にも恵まれて伸びしろは十分。
南関東C2→岩手B1編入は微妙なところだが、2月1日に浦和で走っているのが最大の強み。他のメンバーは休み明けの不利があり、格不足は臨戦過程でカバーできそうだ。
シュリュッセルは直線で確実に台頭するタイプ。岩手で着外に沈んだのは6着一度のみ。ほかはすべて電光掲示板に載ってきた堅実さが身上。
それゆえ直線長い盛岡向きで4勝。一方、水沢は1勝2着4回。小回り克服がカギを握るが、毎回上位を確保しているのは事実。ペース次第ではアッサリまで。
アドマイヤスカイは昨年、A級からC2級へ降格して3勝2着1回。思ったほどの結果は残せなかったが、勝ち星はすべて水沢コース。ムラだが、地力とコース適性が不気味。
ワンラインは北海道、名古屋を経て転入。B2級で4、3着を確保した。クラスは一つ上がったが、自在脚質と安定度は見逃せない。
シングインザレインは中央未勝利から1年1ヵ月休養。北海道で復帰して昨年10月に転入。当初は復調途上をうかがわせていたが、叩かれながら上昇一途。最終戦も快勝した。メンバー強化でも押さえが必要。
◎①ペイシャルフェ
〇④ソレアード
▲⑪シュリュッセル
△⑨アドマイヤスカイ
△⑩ワンライン
△⑦シングインザレイン
<お奨めの1頭>
4R シェリーアモール
昨最終のオープン・850m戦で逃げて3着。曲者ぞろいだが、B2降格も見逃せない
10日メインはオッズパーク杯「ゴールデンジョッキーズシリーズ第3戦」。第1戦が降雪のために取り止め、今回が最終戦。
第2戦はピエナアルティシアが快勝し、山本政聡騎手が20ポイント(P)を獲得。2着にはアポロラスベガスが入り、坂口裕一15P。以下、3着カガスター=関本淳13P、4着ダンストンレイール=村上忍11P、5着ソーグレア=高松亮=10P。当然だが、どのジョッキーにもチャンス十分。一つでも着順をあげようと最後の最後まで力が入る。
当初の出走予定メンバーではモンサンフィエールを引き当てたジョッキーが最有力候補だった。南関東B1から転入後、格の違いをマザマザに3戦3勝。地力の違いが明らかだったが、出走を見送り。これで様相が一変し、実力伯仲のメンバー構成となった。
ジョッキーの腕に加え、展開、さらに馬場状態と勝ち負けを左右するファクターが多くなった。特に馬場状態。水の浮く不良馬場なら高速決着。前回快勝したシンボリタピットには有利となる。
逆に12月31日、1月2日、3日のようにパワー勝負の馬場になれば一変。不良でも時計がかかり、芝馬には厳しい馬場。これはふたを開けてみなければ分からないこと。当日、第1Rから走破タイムをしっかりチェックしてほしい。
村上忍=デルマロンシャンは相手なりに駆ける堅実さが身上。5走前の盛岡マイル5着を除くと、近8戦3着以上。特に前走はスローに落とされながらも、上がり3ハロン37秒8の強烈な末脚で完勝。目の覚めるような決め手で一気突き抜けた。
今回のメンバーも流れは速くならない可能性が高いが、ラッキーなことに主戦の村上忍騎手が引き当て折り込み済み。直線抜け出し2連勝を飾る。
高橋悠里=マリーツァは一昨年12月、中央1勝クラスから再転入。先行力と粘りを武器に4勝2着3回の好成績を収めている。8月の水沢戦を快勝後、3ヵ月半の休養に入ったが、復帰2戦目の前回快勝。B1級も突破した。枠順も手ごろで好位キープできるのは確実。展開を味方に逆転首位まで。
山本聡哉=スーパーノヴァは中央、南関東、園田、佐賀と転籍。2018年には重賞・九州大賞典をレコードで快勝し、今年度の佐賀王冠賞でも3着を確保した。転入2戦は案外の内容だったが、水沢に替わって3着に反撃。これでメドが立った。すでに今季リーディングジョッキーを確実にした鞍上がどのようなレースを見せるかも興味深い。
岩本怜=ペイシャルフェは前々走、同じ水沢1600m戦を逃げ切り勝ち。前走は芝タイプの馬に有利の馬場となり、結果5着も仕方なし。絶好枠を引き当てマイペースに持ち込む。
関本淳=シュリュッセルは着外が一度もなし。近走は白星から遠ざかっているが、抜群の安定感を誇っている。マイルより長い距離が合うが、直線で確実に台頭。引き続きマークが欠かせない。
菅原辰徳=シンボリタピットは前回、2番手キープから鋭く抜け出して圧勝。水の浮く不良馬場で待望の岩手初勝利をマークした。今の気配では砂の深い馬場になりそうだが、仮に水が浮いているなら再現十分。
◎⑦デルマロンシャン
〇⑥マリーツァ
▲⑫スーパーノヴァ
△①ペイシャルフェ
△⑨シュリュッセル
△⑪シンボリタピット
<お奨めの1頭>
4R アンデュレイト
北海道から転入後、2戦ともワンサイドで完勝。メンバーは骨っぽくなったが、岩手の水が合った
今週11日(月)で岩手競馬レギュラーシーズンが終了。2ヵ月余りの冬休みに入るが、気になるのは今週後半から襲ってくる低気圧。年末年始より強い寒気団が流れ込み、一部予報によると暴風も来襲。爆弾低気圧の可能性も高いという。
12月30日は降雪のため第2Rから取りやめとなったが、大みそか31日はひとまず実施。岩手版グランプリ・桐花賞が無事に行われ、正月2日の金杯、3日の初夢賞も開催された。
今週は9日に明け4歳準重賞・奥州睦月賞、10日はゴールデンジョッキーズシリーズ最終戦、11日にはフィナーレを飾る重賞・トウケイニセイ記念。特にトウケイニセイ記念はラブバレット、タイセイブラストの重賞対決があり、是が非でも見たい一戦。天に向かって晴れてくれ―と願いたくなるのは自分だけではないだろう。
9日メインは4歳準重賞「第1回奥州睦月賞」(水沢1600m)。岩手クラシックで熱戦を演じたフレッチャビアンカ、ピアノマン、グランコージーが不在。以下のグループの争いとなるが、実力伯仲。思った以上におもしろい一戦となった。
グランメガスマイルは南関東2勝2着2回から岩手クラシック狙って転入。不来方賞トライアル重賞・やまびこ賞で2着を確保し、本番でも5着。続いてダービーグランプリに挑戦して11番人気ながら6着に健闘した。
その後は2ヵ月の休養に入り、12月に戦列復帰。久々に加え、いきなり古馬A級馬が相手だったが、直線一気に伸びてバーブルの2着に突っ込んだ。
勝ち味の遅さが最大ネックだが、同世代の今回メンバーなら地力上位。待望の岩手初勝利に王手をかけた。
サンエイキングダムは2歳新馬戦を1秒8差で圧勝。以降は重賞・知床賞4着、寒菊賞5着。1勝のみにとどまったが、今シーズン初戦を1秒7差で再び圧勝。成長ぶりが注目の的となったが、クラシック一冠目・ダイヤモンドカップ4着、東北優駿8着に終わった。
その一戦から戦列離脱して半年の休養から復帰。プラス28キロ、久々の実戦だったため3番人気に甘んじたが、アッサリ逃げ切って完勝。改めて潜在能力の高さを誇示した。
過去実績では重賞入着止まりだが、今回はメンバーが緩和され、ひと叩きされて良化も確実。最後の最後で秘めた素質を開花させるか注目。
ダンサーズドリームは中央未勝利から転入2戦目に初勝利を飾ったが、以降は低迷。精彩を欠くレースを繰り返していたが、夏を境に一変。現在、8戦連続で連対を継続して目下4連勝中。まさに別馬のような活躍ぶりを見せている。今回は相手強化だが、順調度と上昇度では他を大きくリード。勢いに賭けてみる手も十分ある。
ピエナアルティシアは中央未勝利から昨年8月に転入。あっさり2連勝をマークし、新設の3歳牝馬重賞・OROオータムティアラでも3着に善戦した。勝ち切れなかった面も完全に払しょく。水沢に替わって2連勝とワンランクアップ。ここでも目が離せない1頭となった。
マルケイヘイローは4勝すべて逃げ切り勝ち。展開に注文つく馬が大外12番枠は痛かったが、スンナリならば強じんな粘りを発揮する。
ビブショウは中央芝1200m1勝から転入して2勝。前走は短距離に活路を求めて3着だったが、短距離戦から自己条件で好走パターンが多い。
◎⑩グランメガスマイル
〇③サンエイキングダム
▲④ダンサーズドリーム
△⑤ピエナアルティシア
△⑫マルケイヘイロー
△①ビブショウ
<お奨めの1頭>
1R シエルグリーン
転入初戦は850m戦で出遅れ。致命傷とも言えたが、ひとまくりを決めて圧勝。相手強化、1400m延長でも追いかける手
12月31日、岩手版グランプリ「第45回桐花賞」はエンパイアペガサスが完勝。昨年2着の雪辱を果たし、2017年に続いて2度目の制覇を果たした。
ここ一番で貫禄を見せつけたが、村上忍騎手の好騎乗も光った。1番人気ヒガシウィルウィンは逃げたグランヴァニーユの2番手につけたが、終始掛かりっ放し。その後ろにフレッチャビアンカ、内でランガディアが追走。エンパイアペガサスは中団7番手に控え、有力3頭を見る形でレースを進めた。
向こう正面に入ってエンパイアペガサスが徐々に進出を開始し、ヒガシウィルウィン、フレッチャビアンカにプレッシャーをかける。そこから一気にペースが速くなり、3コーナーでヒガシウィルウィン、フレッチャビアンカが早くも先頭。さらに外からエンパイアペガサスが抜群の手応えで交わし、4角で抜け出した。
村上忍騎手「レース前に先生(佐藤祐司調教師)と相談したとおりの競馬ができました」。まさに3頭の動きを見ながら「若い頃に比べてハミ受けが良くなった」エンパイアペガサスに3コーナーからスパートを指示。それが見事はまった。
今回は先週とは一転して時計のかかるタフな馬場になったことも好走要因だと思うが、エンパイアペガサスが改めて底力を見せつけた。
これで年度代表馬争いはさらに混とん状態。選考委員会でも激しく議論が交わされるのは間違いなし。どの馬が選ばれるか、決定をお待ちください。
3日メインはB2級特別「初夢賞」(水沢1400m)。好調馬がそろい、どの馬が勝っても不思議なし。波乱の要素も十分含んでいる。
ミオリパヤヤームは今シーズン2勝2着4回。夏場に一度、そして前々走は2ヵ月半休養。使い込めなかったが、ひと叩きされた前回快勝。先行粘りが身上だったが、控える競馬で快勝したのが最大の収穫。過去、水沢1400mは6戦2勝2着2回とベストと言える条件。脚質に幅も出てきて、2連勝に王手をかけた。
オークレイコートは中央未勝利ながら芝で2着2回、ダートで2着1回。北海道2戦を経て2ヵ月半の休養から岩手入り。初戦は3着に終わったが、直線で鋭く伸びて0秒2差。叩き2戦目の上積みを考えればアッサリ首位まで十分。
ステーロもミオリパヤヤームと同様、先行タイプのイメージだったが、前走は後方に控えて直線一気を決めて快勝。好配当を演出し、待望の今季初勝利を飾った。盛岡、水沢を問わず1400mが合い、通算3勝2着5回。フロック勝ちでないことは成績からも明らか。
メイクミーラフは前回快勝。休み明けで3戦目で持ち味を如何なく発揮した。スンナリの流れならマイルも我慢できるが、1300m~1400m戦で最大能力を発揮。好枠を活かせればアッサリまで十分。
コウギョウネルソンは1400m以下の追い込み馬。展開に左右される不安はつきまとうが、前走5着ながらメンバー最速の上がりを披露。ペース速くなれば一気台頭。
トーセンワンピースは近走精彩を欠いていたが、前走は鮮やかな逃げ切りを決めて快勝。これで復調なったと解釈でき、マークは欠かせない。
◎③ミオリパヤヤーム
〇⑤オークレイコート
▲④ステーロ
△①メイクミーラフ
△②コウギョウネルソン
△⑩トーセンワンピース
<お奨めの1頭>
3R カーヴィーレーザー
前走ハイタイムで逃げ切って圧勝。これで弾みついたし、条件も同じ1300m戦。2連勝はもらった
12月31日、大晦日の水沢競馬場で行われた岩手競馬のグランプリ、重賞『桐花賞』は3番人気エンパイアペガサスが優勝。2017年に続いて二つ目の桐花賞のタイトルを手にしました。
1番人気は絆カップを勝って挑んだヒガシウィルウィン、2番人気はダービーグランプリを制した3歳馬フレッチャビアンカ。エンパイアペガサスは3番人気に甘んじた形でしたがレースぶりはそんな人気上位勢のつばぜり合いをまさに一刀両断、そのヒガシウィルウィン・フレッチャビアンカを4角で外から交わすと直線先頭、そのまま2馬身半の差をつけてゴール。ここまで重賞を16勝、これが17勝目となるベテランが貫禄の勝利で1年を締めくくりました。
2着は直線の競り合いで盛り返したヒガシウィルウィン。フレッチャビアンカは最後差し返される形で3着となり4着には直線追い込んだセンティグレード。4番人気ランガディアは5着という結果でした。
岩手競馬の2020年は桐花賞で終わりましたが"2020シーズン"はまだまだ続きます。新年明けて1月2日のメインレースは明け3歳馬の重賞『金杯』。つい2日前までは2歳馬だった若駒たちの新しい出発となるレースです。
本命は(8)リュウノシンゲンで不動でしょう。デビューからここまで8戦6勝、うち重賞は3勝。二走前の南部駒賞では3着だったものの地元勢の中では最先着。ダートでは岩手の馬相手に一度も先着されていません。岩手の3歳世代の中でもトップを争う、いやトップに君臨する存在といっても過言ではないでしょう。
そんなここまでの戦績を見る限りここでは頭ひとつ以上抜けた存在。ここのところの天候と馬場状態の悪化、状況によっては初めて経験するような馬場状態の中でのレースになるかも・・・という点は確かに懸念があるもののそれは他の馬も同じ。素直に相手探しと考えるのがベターでしょう。
ではその相手はといえばここでは(7)グランフォロミーを挙げましょう。北海道からの遠征馬として出走した知床賞は5着、移籍して初戦となった前走・寒菊賞はリュウノシンゲンの1馬身差2着。水沢の方が先行力が活きそうですし、寒菊賞で雪交じりのタフな馬場状態を経験している点も強みになるでしょう。
三番手は少しひねって(5)ミズサンフェイムを狙ってみます。6月から11月まで休養していてキャリアはまだこれが6戦目。休み明けを叩かれながら、一変とはいかないまでも安定感を増してきています。前走は馬場状態の割には決め手勝負になって差されての敗戦ですが、二走前のようなタフな馬場ならもっとしぶとい競馬が出来ていいはず。
(2)ファイントリックもここのところの力の付け具合を軽視できないのですが、小柄な馬だけにパワータイプ優勢な馬場傾向がどうか?と考えてここまでの印としました。これがもし切れ味が活きる傾向であればもっと評価を上げて良いと思います。また(6)マツリダジョオーもタフな馬場・タフな展開でこそ持ち味が活きそう。前走くらいの走りができれば3着争いには加われて良いのでは。
●10Rの買い目
馬単(8)→(7)、(8)→(5)、(8)→(2)、(8)→(6)
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