気の早い話になるが、次週ゴールデンウィーク真っただ中、岩手競馬はビッグレース3連発。
5月2日(日)は岩手クラシック一冠目「第41回ダイヤモンドカップ」。5月9日(日)は春のマイル王決定戦「第46回シアンモア記念」。5月16日(日)は"GRANEDAME-JAPAN2021"3歳シーズン「第21回留守杯日高賞」。
ダイヤモンドカップの主役はトライアル・スプリングカップを圧勝したリュウノシンゲンだが、3歳牝馬重賞・あやめ賞を完勝ゴールデンヒーラーが名乗り。俄然、興味深い一戦となった。
シアンモア記念はトライアル・赤松杯を制し、里帰り2連勝を飾ったチャイヤプーンを巡る争いになりそうだ。そして留守杯日高賞はゴールデンヒーラーがダイヤモンドCへ挑戦するため、同厩のファイントリックが地元の期待を集める。牡馬相手のスプリングカップ2着、あやめ賞3着。ここ3年、遠征馬に凱歌が上がっているが、近年ではハイレベルを誇る3歳世代の一翼を担ってほしいところ。
またビッグホースのトレードが話題となっている。ハッピーグリン(牡6歳 父ローエングリン)が菅原勲きゅう舎へやってきた。3年前、OROカップへ参戦して4馬身差で圧勝。服部茂史騎手は「スタートを決めて勝てたと思った」と語ったのを思い出す。
それ以降は白星から遠ざかっているが、新天地・岩手でどんなパフォーマンスを披露してくれるか。菅原勲調教師「当然だが、芝をメインに、遠征も考えているが、ダートもこなせない訳ではない。柔軟に対応してレースを使っていきたい」とのこと。今後の動向に注目したい。
26日メインは「スプリント特別」(水沢1400m)。ここも菅原勲きゅう舎ラブバレットを巡る争いとなる。
ラブバレットは昨年5月、南関東から再転入したが、2戦4、3着。本来の動きを取り戻せず休養。5ヵ月後に復帰し、2戦目を快勝。古豪健在を誇示した。
今季は2、3着止まりだが、相手はタイセイブラストでは仕方なし。今回はメンバーが緩和されて勝機到来。白星を手にし、弾みをつけたいところ。
キラットダイヤは中央ダート1000mで2勝2着2回3着3回。父サウスヴィグラス譲りのスピードが武器だが、1200m以上ではすべて着外。距離に不安を抱えている。
今回の舞台は1400m。単純に考えれば距離が長い印象だが、1周1200mの小回り水沢。コーナーで息を入れることができるし、直線も220m。何とか我慢できると見た。
スティンライクビーは南関東A2から帰郷戦を5馬身差で圧勝。幸先のいいスタートを切った。絶好枠を引き当てここも主力扱いが当然だが、2戦目を凡走するケースが多々。単穴評価とした。
サーティグランドは中央ダート1200m2勝。名古屋A級を経て2戦4着だが、叩かれながら良化傾向。有力馬がもつれた際には連対突入まで。
シャドウパーティーは前走6着に終わったが、7ヵ月ぶりの実戦では仕方なし。いわゆる終い勝負型でメンバー最速の上がりを使えるのが武器。一発の可能性を秘める。
◎⑥ラブバレット
〇⑧キラットダイヤ
▲①スティンライクビー
△⑤サーティグランド
△④シャドウパーティー
<お奨めの1頭>
9R キャッスルシエル
転入初戦を逃げ切り、地力上位を証明。今回はC1昇級戦だが、距離が同じ1400mならもう一丁いける
いま、ちまたで噂になっているミンナノヒーローが、ついにデビュー戦を迎える。父がゴールドアリュール、母がミンナノアイドル。そして母父がオグリキャップ。
オグリキャップと言えば地方競馬・笠松出身で中央入り。数々のビッグタイトルを獲得し、引退レースとなった有馬記念では武豊騎手とのコンビで感動の優勝ゴール。1980年代半ばから始まった競馬ブームの立役者となった。
残念ながら種牡馬入り後は目立った活躍馬を出せず、2010年にけい養先の優駿スタリオンステーションで死去。確証ではないが、ミンナノアイドルが最後の産駒となったようだ。
ミンナノヒーローの兄ストリートキャット(父は同じゴールドアリュール)は中央芝3勝。走る素地は十分あったが、中央ではデビューにこぎつけず岩手へ新天地を求めてきた。写真で見る限りだが、ねずみ色の芦毛で若い頃の父オグリキャップ似。それも注目を倍増させてくれる。
デビュー戦は4月25日、第2R・C2級十三組(水沢1300m)。南関東A2から転入したマイネルネーベル、4ヵ月ぶりの実戦4着を叩かれたオースミヌーベル、元南関東B3級ヤマジュンハナビなどメンバーは骨っぽいが、ミンナノヒーローは能力検査で好タイムをマークした。
発走は12時35分。ミンナノヒーローがデビュー戦を勝利で飾ることができるか、みなさんもご注目ください。
25日メインはC1級「駒形賞」(水沢1400m)。元々はサラブレッドB級重賞で行われ、創設は1969年。不来方賞(サラブレッド3歳)、日高賞(アラブ重賞・当時)と並び、岩手競馬で最も古い歴史を誇る。今でこそC1特別だが、伝統の一戦だ。
ウッドランズは昨年、南関東B2から転入。格付けに恵まれて1勝2着2回。今シーズンも初戦を快勝し、好発進を決めた。気になるのは2戦目9着、前走4着に終わった点だが、1600mに敗因を求めたい。
加えて先行馬は3頭のみ。さらに有力馬と目されるコンバットパンチ、スプリングアース、ドバウィビクトリーが58キロのハンデに対し、ウッドランズは56キロの負担重量。展開有利、斤量有利を考えると巻き返して当然だろう。
コンバットパンチは春競馬から快調に飛ばして3連勝中。特に前走は3着3回が最高だった1600mで初勝利を飾り、充実ぶりを見せている。
ただ、3戦の人気は5番人気、6番人気、5番人気。勝っていても人気を集めなかったのは、それ以前の勝ち切れないレースが多かったから。仮に4連勝を飾れば、B2昇級になっても追いかける手かもしれない。
スプリングアースは南関東C1から昨年暮、B1へ編入。初戦10着から2戦目を5着にまとめ、今季はC1へ降格。スタートで後手を踏む傾向があるが、一戦ごとに着順をあげて前回快勝。鮮やかなまくりを披露した。
不安はペースが落ち着く可能性が高いことだが、弾みついたのは確実。2連勝まで考えられる。
マイティーゴールドは好、凡走の落差が激しく気分屋の印象あるが、前走5着とはいえ、走破タイムはスプリングアースより上。決め手を生かせる短距離が向き、一発の可能性十分。
ドバウィビクトリーは転入後、すべて3着以上と崩れないのが身上。前走はコンバットパンチに完敗3着だったが、4歳の若さで突破を狙う。
ヴォルフスブルクは前走、スプリングアースの0秒2差2着ならマーク欠かせない。
◎⑥ウッドランズ
〇②コンバットパンチ
▲⑤スプリングアース
△④マイティーゴールド
△③ドバウィビクトリー
△⑨ヴォルフスブルク
<お奨めの1頭>
4R スーペルゴラッソ
休み明け初戦は10着に終わったが、ひと叩きされて2着に反撃。ここでは走破タイムも抜けており、順当に勝機
4月18日に行われた3歳牝馬の重賞古馬重賞、留守杯日高賞トライアルの『あやめ賞』はゴールデンヒーラーが1番人気に応えて優勝。春初戦、まずは勝利での発進となりました。
枠入り中にレッジョエミリアがゲートをくぐって放馬、競走除外に。その時点で2番人気だった馬の除外という波乱の幕開けとなりましたが、レースではゴールデンヒーラーが自らハナを奪うと最後まで後続を封じ込めて優勝。今季初戦のハンデもものともしない強さを見せつけました。
2着は転入初戦のベニスビーチ、3着は重賞上位の常連・ファイントリック。どちらも直線ではゴールデンヒーラーを猛追しましたが及ばず。しかしこの2頭も留守杯日高賞の優先出走権を獲得しています。
なお勝ったゴールデンヒーラーは留守杯日高賞ではなくダイヤモンドカップに向かう事を陣営が改めて表明。リュウノシンゲンとの対決が楽しみになりました。
4月20日のメインレースは11RのB1級特別『桜並木賞』。水沢競馬場の桜並木は残念ながら見頃を過ぎておりますが、まだ春の余韻が残っている景色です。インターネット等を通してそんな水沢競馬場とレースをお楽しみください。
このレースの本命は(5)レインハートです。4月5日の前走が転入初戦だった同馬でしたが2着以下を楽に6馬身千切る完勝。距離やコースにも問題が無い事を見せただけでなく走破タイムも優秀で、南関B級の力量を示した走りだったと言えるでしょう。
ひとつ懸念があるとすれば、過去の戦績、特に南関でのそれはどちらかといえば人気の逆を行く結果が目につくという点。もしかすると意外性があるタイプなのかもしれませんが、今回は前走の強さを信頼するのがスジでしょう。
対抗は(1)ロードイヒラニ。前走の凡走がちょっと気になりますが、この馬はこの春、1年ぶりに実戦に復帰した事を思い起こせば、長期休養明けによくある"二走ボケ"が三戦目に来たのかも・・・と受け取れるのでは。順調に使われていれば上積みもあるはずで、ここは巻き返してくる方を。
(8)ヴィグラスカイザーも転入初戦で強い走りを見せました。良績は1200m以下、1400mは大敗していますがそれはあくまでデビュー戦での話。ここでも争覇圏にあると見るのが当然でしょう。
この春の(3)アップバングはなかなか勝ち星を手に入れられずにいるものの、二走前にはロードイヒラニをタイム差無しまで追い詰めているように走り自体は好調のそれ。ここでも展開ひとつでは。また(6)サクセスストーリーは出走取消で一頓挫あったあとの前走でも存在感を示しており、やはり短距離は走るという印象を強くしました。最大の惑星はやはりこの馬でしょう。
●11Rの買い目
馬単(5)=(1)、(5)=(8)、(1)=(8)、(5)=(3)、(5)=(6)
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先週11日、シアンモア記念トライアル「第46回赤松杯」はチャイヤプーンが完勝。2着サンキューに0秒2差をつけて里帰り2連勝を飾った。
これで混戦を呈する岩手オープン戦線で一歩リードしたのは間違いなく、シアンモア記念でも人気を集めるのは確実だろう。ただ、直線でサンキューを交わした後、内に切れ込んでゴール。3歳時もそうだったが、進路妨害をしたわけではない。完全に抜け出してから内に切れ込んだ。
そのことについて菅原勲調教師に聞いた。「強いレースだったが、課題も残す一戦だった。体重増(3歳頃は500キロ~510キロ)によってパワーアップしたと思うが、気難しいところもある。ここ一番でこのクセがあると厳しい。ムチを嫌がっていると思うが、次走では解決したいと思っています」。次走は予定どおりシアンモア記念へ直行するとのこと。チャイヤプーンに注目してほしい。
また昨最優秀ターフホース・マツリダスティールは5月8日、プリンシパルステークス(東京芝2000m)へ挑戦する。
菅原勲調教師「冬期間は加藤ステーブル(日高町)で乗り込んで帰郷。一度、実戦を使いたいと思って4月5日、3歳A級戦に出走させました。59キロを背負いましたが、斤量泣きする馬ではないですからね。これで気配もアップするはずです。前回挑戦(京王杯2歳ステークス)した時は1400m。距離が短すぎましたが、上がりは上位馬とほぼ変わらなかった。距離未経験ですが、長い方が向くと思います」。健闘を祈りたい。
19日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)。
ツーエムアリエスは中京ダート1800m1勝、南関東B3(浦和)で1勝。通算2勝にとどまったが、南関東B2級に在籍。岩手B2編入にも恵まれ、転入初戦を快勝。ひと冬を越しても地力の違いを見せつけて2戦2勝。転入3連勝を飾った。
しかもすべて完勝。ゴール前の余力を考えるとA級入りも時間の問題と思わせた。好走要因の一つは体重増。500キロ台を維持したのがパワーアップへつながった。現在、リーディングトレーナー首位を突っ走る飯田きゅう舎が自信を持って送り込む。
カナタは中央5戦0勝から転入。昨年は4戦2勝2着2回だったが、今季2連勝。B2級とクラスが上がっても軽々と突破して成長一途。初戦は1着同着だったが、前走は1秒2差で圧勝した。
今回はB1級初戦。メンバーは大幅に強化され試金石の一戦となったが、勢い重視。ここでも好勝負に持ち込めれば今後の視界も明るくなる。
ソレアードは南関東2勝・C2から転入。初戦はいきなりB1級相手で7着に終わったが、2戦目3着、3戦目1着。レースを使うたびにペースにも慣れ、通用のメドが立った。
カナタと同様、4歳牝馬で今が力をつけるとき。加えて500キロを越す恵まれた馬体も魅力。
ムーヴィングは昨年6戦5勝。一度、5着に敗れたのは夏負けで休養明け初戦。続く一戦を快勝して軌道修正に成功した。今季は4、3着に終わっているが、まだ仕上がり途上の印象。今回は走り頃の休み明け3戦目を迎えた。
コスモジョイジョイは通算17勝の古豪。4ヵ月半ぶりの実戦はハンデだが、気のいいタイプでテッポーもきく。どんな状態でもひと脚を使い、流れはまれば連対突入まで。
ムーンフェアリーは3、5着止まりだが、タイム差は0秒2、0秒6。差し脚を使える展開なら台頭ある。
◎⑥ツーエムアリエス
〇⑤カナタ
▲②ソレアード
△⑫ムーヴィング
△⑨コスモジョイジョイ
△⑩ムーンフェアリー
<お奨めの1頭>
5R クジュウクリハマ
休み明け初戦を3着にまとめ、上々の滑り出し。ひと叩きされ良化確実に加え、展開も有利
18日メインは"GRANDAME-JAPAN2021"3歳シーズン・留守杯日高賞(5月16日)トライアル「第46回あやめ賞」(水沢1400m)。1着馬から3着馬に優先出走権が与えられる。
2020年度の年度代表馬、各部門賞で2歳馬が3頭選ばれた。2歳最優秀馬がリュウノシンゲン、最優秀ターフホースがマツリダスティール(同馬は5月11日、プリンシパルステークスに登録。詳細は後日お伝えします)。そして最優秀短距離馬が今回出走するゴールデンヒーラー。
2歳馬で最優秀短距離馬選出に賛否はあると思うが、昨シーズンの岩手は2歳馬が豊作年だったのを裏付けること。当然だが、各部門賞で2歳馬が3頭も選ばれたのは史上初めてとなった。
ゴールデンヒーラーはデビュー2連勝後、芝重賞・若鮎賞へ挑戦。未経験の芝だったが、持ち味のレースセンスでマツリダスティールの2着を確保した。その後は2戦足踏みだったが、知床賞で北海道勢を一蹴。2馬身半差で完勝し、初重賞を手にした。
続くターゲットは"GRANDAME-JAPAN2020"2歳シーズン・プリンセスカップ。1番人気に支持されたラジアントエンティは1コーナーで競走中止のアクシデントがあったが、ゴールデンヒーラーは好位追走から4角先頭。外からルビーブランケットが強襲したが、クビ差で1着。交流重賞2連勝を飾った。
レース後、佐藤祐司調教師は東京2歳優駿牝馬の挑戦を表明。ビッグレースを目指して調整を進めていたが、昨年末は寒波が襲来。水沢競馬場が馬場閉鎖などのアクシデントがあり、予定どおりの調教メニューをこなせず出走を見送り。以降は休養に入り、あやめ賞から始動。留守杯日高賞に向けた争いが始まる。
最大ネックは4ヵ月半ぶり。ほかの有力馬が実戦を使っているのに対し、ぶっつけで臨むのは明らかにハンデ。陣営も春の目標が日高賞だから仕上がり具合がカギを握る。
そうは言っても、このメンバーでは抜けた実績。一つの例でいえばプリンセスカップ3着ファイントリックとの差は0秒9。たとえ休み明けでも負けられない一戦と見るのが妥当だろう。
ベニスビーチは北海道1勝2着2回から笠松へトレード。準重賞2勝、重賞・新春ペガサスカップでブンブンマルの2着。ブンブンマルはナムラタイタンの代表産駒で現在、重賞3連勝を含めて4連勝中。2着も仕方なしだった。
直後に南関東へ移籍。重賞・雲取賞11着、クラシックトライアル8着。前走5着から岩手へ新天地を求めてきた。南関東ではまったく歯が立たなかったが、自身には貴重な経験。それが岩手に移籍するとなると逆に最大武器。加えて3月末まで実戦を使われてきたことも強み。逆転首位まで考えられる。
余談だが、ベニスビーチはダイヤモンドカップ(岩手ダービー)まで6戦全勝。幻の三冠馬と言われたロールボヌールの妹。父はフレンチデピュティからノボジャックに替わったが、ノボジャックはフレンチデピュティ産駒。ロールボヌールの再来を夢見て配合したに違いない。
ファイントリックは2勝馬だが、ビギナーズカップ、プリンセスカップ、寒菊賞で3着。牡馬相手にも好勝負を演じ、ひと叩きされた前走・スプリングカップでも2着を確保した。小柄な牝馬だが、パンチ力一目。ここでも上位扱いが必要となる。
レッジョエミリアはエイシンヒカリの初年度産駒で新潟・2歳新馬戦で3着確保した実力馬。以降は二けた着順に沈み、初ダートの前走も14着に終わったが、父同様、快速派。前々走で逃げたスピードが光り、願ってもない1番枠。母父がエンパイアメーカーならダートもこなせるはずで、マイペースなら最大の惑星馬となる。
シャノンアーサーは北海道1勝、笠松2勝。重賞で2着1回とベニスビーチと互角の実績。転入2戦はひと息だったが、休み明け3戦目で変わり身を見込める。
ロンギングベイビーは入れ込みが課題だが、それでも入着を確保。馬体回復なら軽視できない。
◎⑤ゴールデンヒーラー
〇④ベニスビーチ
▲⑧ファイントリック
△①レッジョエミリア
△③シャノンアーサー
△⑩ロンギングベイビー
<お奨めの1頭>
6R キョウエイメサイア
南関東で培ったスピードを前面に転入戦を逃げ切り勝ち。同じ850mが舞台なら1キロ増でも追いかける手