10日メインはシアンモア記念トライアル「第41回赤松杯」(M3 水沢1600m)。今シーズンの古馬第一弾の重賞でもあるが、過去最高の赤松杯だといっても大げさではない。
昨年はモズが逃げ、2番手をナムラタイタンが追走。3番手インで内に包まれたライズライン。コミュニティは後方からの競馬。
3~4コーナーでモズ鞍上の高橋悠里騎手の手が激しく動く一方、ナムラタイタンは持ったまま。直線入り口で先頭に立ち、あとは後続を完封。2着にモズが粘り、ようやく外に出せたライズライン3着。大外からコミュニティが猛追したが、4着に終わった。
このメンツと結果を見ると再戦ムードが漂い、ナムラタイタンの連覇濃厚だが、ラブバレットが名乗りを上げたことで一気に緊張感を増した。
ラブバレットは昨年、骨折明けから2連勝を飾り、JpnIII・さきたま杯へ挑戦。見せ場を作って4着に善戦した。続く岩鷲賞ではナムラタイタンに完敗を喫したが、クラスターカップで3着を確保。岩手所属馬では2007年、テンショウボス以来、8年ぶりにダートグレードで馬券対象となった。
その後、笠松の1000万レース・笠松グランプリでサトノタイガー相手に完勝。2006年、パラダイスフラワー以来の遠征交流での優勝を果たした。
この結果、年度代表馬の選出は2手に分かれた。6戦5勝のナムラタイタンを推す派、交流レースで活躍したラブバレット派。
最終的にナムラタイタンがラブバレットとの直接対決で2戦2勝の成績が決め手となったが、年度代表馬ナムラタイタン、特別表彰でラブバレットに落ち着いた。
ラブバレットはトウケイニセイ記念を優勝後、福島のテンコートレセンへ移動。坂路で乗り込まれて高知・黒船賞へ臨んだ。
ところが、よりによって3枠。当時は内コースの砂が深く本意ではなかったが、逃げの手に出るしかなかった。しかもダノンレジェンド以下のマークがきつく、3コーナーで一杯。7着も仕方なしだった。
当初、東京スプリントに登録もあったが、遠征疲れもあって無理せず自重。ようやく本来の動きを取り戻して赤松杯出走にこぎつけた。
菅原勲調教師「マイルは気持ち長いが、水沢なら守備範囲。ナムラタイタンは追い切りですごい動きを見せていたが、現時点でどのような戦いができるか楽しみ」。我々も熱い視線を送っている。
帝王ナムラタイタンは追い切りを2本消化して万全の態勢で臨む。
村上昌幸調教師「最終追い切りで半マイル(4ハロン49秒台をマークして満足のいく状態で赤松杯に臨める。年齢は一つ増えたが、動きを見る限り衰えはなさそう。昨年は赤松杯優勝後、脚部不安が発生してシアンモア記念を自重したが、今年こそ順調に使ってシアンモア2度目制覇に向かって好発進を決めたい」
コミュニティは桐花賞でナムラタイタンに完敗。2連覇はならなかったが、2着を死守して面目躍如。本質的にはステイヤーでマイルの忙しい競馬向きではないが、特別開催の水沢1600mを圧勝。一度叩かれた強みを生かしたいところ。
ライズラインは冒頭に記したとおり、昨年の赤松杯は不完全燃焼に終わった。今、大ブレイク中のスクリーンヒーローの初年度産駒。こちらはベストの1600mで首位を虎視眈々と狙う。
◎(4)ナムラタイタン
〇(7)ラブバレット
▲(2)コミュニティ
△(5)ライズライン
△(9)エーシンシャラク
<お奨めの1頭>
4R マイネルボンド
スタートに課題を抱えているが、前走は南関東C1の底力で豪快なまくりを決めた。2連勝もらった
4月2日から岩手競馬2016がスタート。さっそく今シーズンの3歳戦線を占う重賞が2日連続で行われた。
2日は「第41回スプリングカップ」。2歳最優秀馬メジャーリーガーが登場。圧倒的1番人気に支持されたが、2番手から直線一杯5着に敗れた。
関本淳騎手「南部駒賞以来、久々の実戦で気負いが強すぎた。地元水沢だとなおさら入れ込みが激しく、空回りした感じでした」。
次走予定は5月1日、やまびこ賞。今度は舞台が盛岡に替わり、本来の持ち味を出すことができるか。巻き返しに期待したい。
優勝したのはエンパイアメーカー産駒エンパイアペガサスだった。デビュー2戦は2着に終わったが、3戦目から圧巻の3連勝をマークしてシーズンを終了を終えた。
スプリングカップが重賞初挑戦。相手が大幅に強化されたが、6馬身差で圧勝。大器ぶりを如何なく発揮した。
村上忍騎手「馬にしてみれば窮屈なポジションだったが、まったく問題にしなかった。デビュー2戦で騎乗経験あるが、格段に良くなっていた。馬格もあるし、これからも楽しみ」
翌日3日は3歳牝馬による留守杯日高賞トライアル「第41回あやめ賞」。最優秀牝馬サプライズハッピーが1番人気に支持されたが、2着。マイナス10キロの体重減もこたえた印象だった。
山本聡哉騎手「勝負どころで前がごちゃついて馬群をさばくのに若干、手間取りました。本来の調子なら外を回っても良かっただろうが、コースロスを避けたかった。こちらも捲土重来を期す。
優勝したのはクロフネ産駒ディックカントウだった。こちらはプラス21キロと大幅増だったが、太目感なし。馬体からも成長の跡がはっきりうかがえた。
山本政聡騎手「状態がすごく良かったので自信を持ってレースに臨めました。
この馬の良さはどこからでも競馬ができること。馬群の中に入れても追い出すとしっかり伸びてくれます。次は他地区との戦いになるでしょうが、どれぐらい戦えるか楽しみです」。日高賞が待ち遠しい。
9日メインはC1・水沢1400m「大屋梅賞」、12頭立て。実力伯仲のメンバーで波乱の要素も十分ありそう。
主軸にエントラールを指名する。一昨年、中央未勝利から転入後、連戦連勝。9連勝を飾り、オープン入り間違いなしと言われた。
昨年もB1で2勝マークしたが、夏以降はスランプ。直線失速を繰り返し、12月中旬で休養に入った。
結果、それが功を奏して特別開催を完勝。本来のシャープさを完全に取り戻した。今度は油断できない相手がそろったが、復活すれば格負けはないはず。
アマアマは南関東から再転入。A級からC1へ一気に降格した。中央ダート短距離で1勝2着3回の実績もさることながら、牝馬重賞・ヴィーナススプリント(水沢1300m)で0秒1差3着。1400m戦は望むところだろう。
サンギルロイは昨年、中央未勝利から転入して5連勝。岩手の水が完全にあった。今季はC1へ昇格したが、初戦で見せ場を作って3着。通用のメドが十分立った。
ラッキーゴールドは特別開催を好タイムで快勝。もまれ弱い面があり展開次第だが、スンナリの流れなら再現まで。
ひと叩きされて変わり身を期待エクセラン、距離不足でも地力上位マンボプリンスも軽視できない。
◎(6)エントラール
〇(2)アマアマ
▲(12)サンギルロイ
△(1)ラッキーゴールド
△(11)エクセラン
△(5)マンボプリンス
<お奨めの1頭>
5R クラジェントリラブ
2戦連続2着は巡り合わせが悪かった。今回はメンバー関係が緩和され、絶好の勝機と見るべき。
特別開催から格付け再編成され、クラスが大幅に変動。上位級に在籍していた馬が最下級に降格。その結果、C2は本命サイドで決着するケースが多く、有力馬も絞りやすかった。
ところが3歳戦は波乱の連続。3歳C1以上のレースが計5レースあったが、1番人気の1着馬は"ゼロ"だった。
よって単勝の平均配当が2028円、馬単が3万364円、3連単に至っては18万7802円という大荒れの結果となった。
理由はいくつか考えられる。冬場の休養期間に成長をとげた馬、逆に体がしぼんだ馬が多かったこと。体重の増減が大きく有力馬の体調がひと息だったこと。この時期に歯替わりするケースは少なくなく、必然的に食も細くなった影響もあるかもしれない。
3日メインは3歳牝馬による重賞「第41回あやめ賞」(水沢1400m)。先輩女子を退けて岩手競馬最優秀牝馬に選ばれたサプライズハッピーが始動する。
昨年成績が9戦3勝2着4回。内容も文句なく、牡馬相手のビギナーズカップを圧勝。また全国交流・プリンセスカップも自慢の切れで快勝。他にも若駒賞、金杯2着など断然の実績を誇っている。
もちろん圧倒的1番人気に支持されること必至。特別開催の3歳戦が荒れに荒れたが、牝馬同士ならサプライズハッピーは抜けた存在。
特別開催を使った組に対し、3ヵ月ぶりの実戦は確かに割引き。果たして女王の実力を誇示し、来る"GRANDAME-JAPAN2016"3歳シーズン・留守杯日高賞(4月24日)に向けて好発進を決めるか。期待を抱いてレースぶりを見守りたい。
逆転筆頭はディックカントウ。北海道1勝2着2回から昨年暮れに転入。初戦の寒菊賞でイチダイの2着を確保し、地区レベルの差を見せつけた。
続く金杯はハイペースにも巻き込まれて6着に終わったが、冬場も乗り込まれて帰郷。最終追い切りでもいい動きを披露した。初タイトルを手にするシーンも十分。
アクエルドは特別開催を豪快なまくりで快勝。タイムは平凡だったが、ひと皮むけた印象を与えた。
母アプローズフラワーは現役時代、一世を風靡し繁殖入り後もアテスト、アスペクトなど重賞ウイナーを輩出した。母が制したあやめ賞で素質を開花させる。
マーチンは中央芝1200mで2着1回。一連の走破タイムから通用十分。ダートも2度経験済みも心強い。パワーの要る水沢をこなせるかが最大の課題となる。
ドリームチャイルドは小柄な牝馬ながら父ネイティヴハート譲りの絶対スピードが武器。初戦はマイルも長く直線一杯4着だったが、ここは距離短縮を味方にする。
スクリーンハッピーは前走、大幅な体重減だったにもかかわらず2着。馬体回復ならさらに怖さを増す。
◎(4)サプライズハッピー
〇(3)ディックカントウ
▲(9)アクエルド
△(8)マーチン
△(2)ドリームチャイルド
△(5)スクリーンハッピー
<お奨めの1頭>
6R ステージアート
B2でも勝ち負けを演じ、今季は最下級へ降格。時計のかかる馬場でも1分25秒6の好タイムで快勝した。2連勝もらった
4月2日(土)、岩手競馬の新シーズンがスタートする。レギュラーシーズンは年明け1月9日まで。3月の特別開催を含めると全130日間。今季も岩手競馬をよろしくお願いします。
最初の報告は7月から韓国・ソウル競馬場で騎乗していた高橋悠里騎手(鈴木七郎きゅう舎・水沢)が、岩手競馬に戻ってくる。約9ヵ月間のソウル騎乗で399戦26勝。詳しくは今週のテシオ特集(tesio.jp)でご覧になってほしいが、いわく「キムチで培ったパワーで岩手競馬を盛り上げたい」とのこと。
さっそく初日2日からメイン・スプリングカップ=リュウノファンタジを含め、全5レースで騎乗する予定だ。帰国戦からどんなパフォーマンスを見せてくれるか。高橋悠里騎手にも注目してほしい。
もう一つの報告。今年から岩手競馬グレード制を導入する。岩手の根幹10RをM1。M1に次いで重要な14RをM2。前哨戦、トライアルをメインとする22RがM3。この表記によってレースの格がより分かりやすくなるに違いない。
2日メインは今シーズンの岩手クラシック戦線を占う重要な一戦「第41回スプリングカップ」(M3 水沢1600m)。昨年度の2歳最優秀馬メジャーリーガーが始動する。
昨年、若駒賞、交流・南部駒賞の2歳二冠を制し、6戦5勝3着1回。唯一の3着は芝交流・ジュニアグランプリのみ。ダートでは負けなしを誇っている。
南部駒賞優勝後、休養に入り今回は4ヵ月半ぶりの実戦。小林義明調教師「仕上がりは7分だが、最終追い切りで変わってくるはず」とコメント。
元々が気のいいタイプで、追い切りを消化すれば実戦モードに入るのは確実。抜けた昨年実績からも好発進を決める可能性は高い。
サンエイホープはメジャーリーガー不在の金杯を完勝。デビュー5戦目で待望の初重賞を手にした。410キロ台の小柄な牡馬だが、全身がバネのかたまり。レースセンスの良さも特筆もので、冬場の休養でどこまで成長したか。再会が楽しみだ。
エンパイアペガサスは未知の魅力たっぷり。デビューは10月までずれ込んだが、2戦2着後、圧巻の3連勝。いずれもワンサイドで決め、エンパイアメーカーの大型馬が本格化をうかがわせるに十分の内容だった。メンバーは強化されたが、スケールは引けを取らない。
リュウノファンタジはハイレベル南関東でデビュー3戦目を1秒1差で圧勝。重賞・鎌倉記念でも5着を確保した。岩手の有力馬が今季初出走のハンデを抱え、実戦を使われているのが最大の強みだろう。
カントリーサインは特別開催の3歳A級戦を完勝。プラス18キロと大幅増だったが、レース内容に成長の跡がはっきり。勢いに乗っているのも見逃せない。
ソウダイショウは佐賀・九州ジュニアチャンピオンを優勝。追い込み一辺倒の脚質ゆえ取りこぼしも多いが、ツボにはまれば一気。コース2度目もプラス材料となる。
◎(2)メジャーリーガー
〇(11)サンエイホープ
▲(4)エンパイアペガサス
△(10)リュウノファンタジ
△(3)カントリーサイン
△(5)ソウダイショウ
<お奨めの1頭>
3R ヒカルハピネス
B2から降格初戦は3着だったが、このメンバーでは走破タイムが抜けている。ひと叩きされて今度は首位を譲れない
今開催の特別開催19日から新人調教師・橘友和調教師が開業。2戦目・コスモグランツでうれしい初勝利を飾った。
橘調教師は葛西勝幸きゅう舎で厩務員経験を経て昨年12月1日に調教師免許を取得。準備等の関係で開業は3月になったが、早々と勝ち鞍をあげた。
彼は大学時代、岩手競馬情報誌「テシオ」の愛読者だったという変わり者?。きゅう舎に勤め始めた時から調教師を目指していたという。
1979年6月9日生まれだから現在36歳。先に開業した飯田弘道調教師が1975年生まれだから、岩手競馬では最年少調教師。しかも飛び切り若く、ただ一人30代の若手。
3月19日、第4Rでドクトルカルミアがきゅう舎第1号で6着。しかし2頭目のコスモグランツを第7Rに出走させ、2番人気ながら3馬身差で圧勝。鞍上・高松亮騎手がゴール入線後、派手なガッツポーズで橘調教師を祝福した。
橘友和調教師「高松亮騎手が積極的なレースをしてくれたのが最大の勝因。ひと叩きされてからかなと思っていましたから、正直とまどっているところもありますが、厩務員時代とはまた違った喜びですね。冬場にコスモグランツの世話をしてくれた牧場スタッフの女性も応援に駆け付け、いっしょに記念写真を撮りました。喜んでもらえる人がいて幸せです」
調教師合格を祝福して、いっしょに飲んでから早3ヵ月あまり。この初勝利は自分のことのようにうれしかった。橘調教師、おめでとう!!
27日メインはオープン馬による水沢1400m戦「スプリント特別」。中央500万下からの転入馬が4頭。南関東B2、B3から転入馬がそれぞれ1頭ずつ。序列が非常に難しい上、小回り水沢対応も微妙。悩ましい一戦となった。
その中にあってエーシンシャラクが一番計算できる。昨年5月、東海地区から転入後、桂樹杯5着以外はすべて3着以上。3勝2着5回3着2回と抜群の安定感を誇る。
課題だったマイルも克服して白嶺賞、トウケイニセイ記念2着。芝ダートを問わず常に結果を出してきた。
ただ詰めの甘さがつきまとうのも事実。短距離対応の高さがある反面、最後の爆発力に欠けるのは否定できず、軸の見方で主力扱いとなる。
ローレルイニシオは中央未勝利、北海道3勝、南関東6勝が過去履歴。1200mから1400mに好成績が集中し、水沢1400mは望むところ。
昨年7月に勝利を飾ったが、一度4着以外は二ケタ着順。しかも今回は5ヵ月半ぶりの実戦と不安要素が少なくないが、能力検査を叩かれ、追い切りでも好タイムをマーク。体重さえ絞れていれば勝ち負けに持ち込めると判断した。
ファストアズソングは中央2着1回から南関東へ移籍。3勝2着7回の成績から再び中央復帰したが、4戦とも二ケタに終わり、岩手へ新天地を求めてきた。
牡馬にしては420キロ台と小柄ながら、シャープな切れが武器。小回り克服がネックだが、地方ダートが合うタイプ。あとは流れに乗れるかどうか。
ニナフェアリーは芝1400m1勝2着1回。ダートはデビュー2戦とも二ケタとパワー勝負がカギ。ただ中央芝1200mでもハナを奪っているようにスピードが身上。好枠から逃げてマイペースならアッサリまで十分。
ショウナンダイチは新潟芝1400m2勝。ディープインパクト産駒でダートは未経験。やはり押さえ程度に落ち着く。
ユキノユウダンは昨年暮れに転入。ダート戦で5、4着の実績があり、もっと強い印が必要かもしれない。
◎(5)エーシンシャラク
〇(1)ローレルイニシオ
▲(3)ファストアズソング
△(2)ニナフェアリー
△(7)ショウナンダイチ
△(9)ユキノユウダン
<お奨めの1頭>
2R ココロノママニ
前走は余裕を残して逃げ切り圧勝。C2では地力の違いを証明した。タイム以上に内容がすばらしく、2連勝濃厚