いよいよ盛岡競馬がスタートした。幸い天候にも恵まれ、ゴールデンウィークを競馬で楽しんでいるファンが詰めかけた。ファミリー、カップルも多く見かけ、OROパークならではの華やかさがある。
まずは盛岡開幕初日の傾向を報告したい。絶好の天気で良馬場。開催前から言われていたとおり時計が結構かかっていた。1200mの平均タイムを考えると1秒から2秒近く走破タイムが遅く、パワーを要求される馬場。
あとはジョッキーも手探り状態のようで先行決着の傾向が強く、基本は先に行った馬を狙うのが得策。
ただ毎年のことだが、ジョッキーも先行有利を黙って指を咥えている訳にはいかない。いきなりハイペースで差し台頭も考えられるが、ひとまず先行馬は"買い"だと思う。
3日メインは3歳重賞「第28回やまびこ賞」(盛岡ダート1800m)。相次いで回避馬が続出して7頭立て。スペクトルには勝つ条件がほぼそろった。
スペクトルはデビューから一度もハナを譲ったことがないスピードが身上。若駒賞、南部駒賞はロールボヌールに完敗を喫したが、これは相手が強すぎた。
それでも2着を死守して面目躍如。そのロールボヌール不在の寒菊賞、金杯を順当勝ちし、能力の高さを誇示した。
冬期間は山元トレセンで乗り込み、開幕週のスプリングカップに出走。ぴったり2番手を追走したシークロムに交わされて2着に敗れたが、これはレースから離れていたのが敗因。
続く3歳A級戦では59キロの酷量を背負いながら、7馬身差で圧勝。ひと叩きされて一変の動きを披露した。
今回は強豪不在で重賞3勝目のチャンス。あえて死角を探せば未知の1800mだが、このメンバーなら総合力の違いでカバーするに違いない。
トーホクライデンは堅実な差し脚が武器。デビュー当初の出遅れグセは完全に解消。安定感を増した。
いまだ1勝のみながら2着6回3着2回と抜群の安定感。スプリングカップは4着だったが、先行2頭の決着では仕方なし。直線長い盛岡で反撃を狙う。
シーキングザライトはJRA函館・2歳新馬(芝1000m)5着。今年3月に岩手入りし、2戦とも圧勝。特に前走は2着に1秒5もつけ、良化一途。いきなり一線級相手でも成長度に注目。
ラッシュボールは昨年、岩手2戦目から連勝。直後に骨折が判明したのが痛かったが、4月に復帰。治療明けでマイナス21キロと大きく体重を減らし、伸びを欠いたが、叩かれて変わり身必至。
カミングオブエイジはスプリングカップ5着、前走3着。堅実な反面、ジリ脚タイプの印象があるが、それならば距離が長ければ長いほどいいだろう。
◎(5)スペクトル
〇(3)トーホクライデン
▲(7)シーキングザライト
△(2)ラッシュボール
△(1)カミングオブエイジ
<お奨めの1頭>
11R コスモドガ
前走は勝ったレオナビゲートが強すぎた。今回はメンバーが大幅に甘くなり首位奪取は当然
今週から戦いの舞台は水沢から盛岡競馬場=OROパークへ。先週まで向こう正面に植えられた桜の花が咲いていたが、ここ数日の猛暑のため一気に散ってしまった。これは残念だったが、まだ山の高いところにある野桜はギリギリ咲いている。2日の盛岡開幕までなんとか持ってほしいと切に願っている。
3月の特別開催前からずっと盛岡競馬場記者席で仕事をやっているが、季節の移り変わりは本当にすごいと思う。3月ごろは春と冬が交互に行き来し、本当に春が来るのか心配になったものだった。
ご存知の方も多いだろうが、盛岡競馬場は山の中腹にあり、ほぼ山の気候。平地より2、3度は平均気温が低く、下界が雨でも盛岡競馬場は雪だったことも少なくない。
必然的に盛岡自慢の芝も成長が遅かったが、ここにきて緑一色。2日からでもレースができるまで芝が成長している。芝スタートは次開催まで待たなければならないが、今年も芝を目指して多くの馬たちが転入してくるに違いない。まずは1周1600mのアメリカンスタイルのダート競馬をお楽しみください。
5月2日メインは「メイカップ」(B2・盛岡ダート1800m)、10頭立て。軸はタフガイで迷いがなかったが、次位候補に悩んだ。
タフガイはデビュー戦の水沢850mを50秒9の破格タイムで勝ち上がった逸材。ただ体質が弱かったため、時に非凡な才能を見せながら自問自答の日々を送っていた。一昨年夏、2連勝を飾り、ようやく本格化かと思った矢先、骨折に見舞われたのも不運だった。
昨年は1勝2着4回。これでも不満が残ったものの、まずまずの成果を出したが、11月にリタイア。素質開花には至らなかった。
そのような中、今シーズンは水沢開幕初日に戦列復帰。特別開催を使った馬も多かったが、5ヵ月ぶりのハンデをモノともせず完勝。これ以上ないスタートを切った。
今度の舞台は5戦1勝2着2回3着1回と好成績を残してきた盛岡ダート1800mが舞台。どんな流れにも対応できるのが最大の強みとなる。2連勝を飾り、さらに飛躍を期待したい。
ステージアートは今シーズン3戦連続3着。最後の詰めに課題を抱えているが、強豪メンバー相手に善戦を繰り広げている。
もまれ弱い面があり、1枠と1800mが微妙だが、好調度でカバー。隊列が落ち着けば連対も十分可能と見る。
ランドグローリーは昨年中央未勝利から転入し、10戦8勝2着1回と抜群の勝率。今季はC2からB2へジャンプアップだったが、2着にまとめ上々の滑り出し。
エイプリルカップは伸びを欠いて4着だったが、勝負どころで流れが一気に速くなったのも敗因。それならばゆったりペースの1800mで巻き返しに転じれるはず。今後も含め、真価が問われる一戦となった。
コスモグランツは休み明けの特別開催2着。インから鋭く伸びて連対を確保した。続く2戦は着外だったが、元々がムラなタイプ。3勝マークの盛岡に替わって反撃必至。
サンファーゴもランドグローリーと同様、C2からB2へ昇格。当初はB2のペースに戸惑ったが、手薄なメンバーとなった前回逃げ切り勝ち。気分良く逃げれば強じんな粘りを発揮する。
コスモナダルの評価に迷った。B1から降格して1、2着。駒形賞でも好勝負を期待したが、後方のまま7着。スローも痛かったが、まったく動けなかった。
それでも重賞・絆カップで3着の格上馬。一戦のみで見限るのは早計だろう。
◎(6)タフガイ
〇(1)ステージアート
▲(9)ランドグローリー
△(8)コスモグランツ
△(3)サンファーゴ
△(5)コスモナダル
<お奨めの1頭>
8R ディアアゲイン
中央ダート1200m2勝。園田でも1400m4勝をマークした格上馬。10歳馬だが、C2では地力が違いすぎる
★小林凌騎手初勝利
4月20日の第2レースで新人・小林凌騎手が初勝利を挙げました。デビューから5戦目での初勝利は岩手の現役騎手の中では2番目に速い記録。またこの春デビューの騎手の中では4番目の初勝利となりました。
★松本剛志騎手も岩手初勝利
岩手で期間限定騎乗中の松本剛志騎手も4月20日に初勝利を挙げました。9R、ジャイアントスターがその岩手初勝利のパートナーになりました。
●9Rの買い目
馬単(1)=(4)、(1)=(11)、(1)=(3)、(1)→(9)
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一昨年11月30日、落馬のアクシデントで大ケガを負い、1年4ヵ月もの長期休養を余儀なくされた阿部英俊騎手が3月21日、特別開催からついに騎乗再開。復帰初戦を見事白星で飾った。
詳細はテシオ情報局のインタビューをご覧になってほしいが、肩が上がらず一時は騎手もあきらめた時期もあったという。ムチを打てなければ騎手として致命傷。引退もやむなしだったが、時間をかけてリハビリし、ようやく復帰できるに至った。
しかし今でも肩は通常の60%ぐらいしか上がらない。実際に目の前で見せてくれたが、角度を変えて何とかムチを打てる状態にまで戻した。
そして復帰初戦を白星で飾り、みんなに祝福された瞬間、騎手をあきらめなくて良かったと心から思ったという。
阿部英俊騎手は4月29日、高知競馬場で行われる「ジョッキーズバトル洋一カップ」へ選ばれて遠征する。高知で騎乗するのは20年前、全日本新人王争覇戦以来のこと。全国のトップジョッキー相手に阿部英俊を高らかにアピールしてほしい。そう願っている。
26日メインはC1級・水沢1600m戦「田沢湖賞」、11頭立て。前走・大屋梅賞から直行組が7頭。当然だが、重要な参考レースとなる。
大屋梅賞を振り返ってみたい。ヤマニンネレイスがポンと好スタートを切り、マイペースに持ち込む。2番手にトウケイカガヤキ、3番手インにダンストンスリル。ノーティカルスターは指定ポジションの後方2番手を追走した。
快調に飛ばすヤマニンネレイスが勝負どころでペースアップ。上がり3ハロン37秒9の脚を使われたら、後続はいかんともし難く鮮やかな逃げ切りを決めた。
2着は3番手インの経済コースを進んだダンストンスリルが直線でトウケイカガヤキを交わして確保。ノーティカルスターはヤマニンネレイスを上回る37秒3の脚を使ったが、先行競馬に泣いて5着にとどまった。
今回は1400mから1600mへ延長され、ヤマニンネレイスは負担重量が1キロ増えて55キロ。これは決して有利ではないが、ここも追いかける手。今の充実度で克服できると踏んだ。
相手筆頭はトウケイカガヤキ。大屋梅賞は最後の直線で伸びが甘くなったが、馬体の張りはまだ本物でなかったのも要因。B1でも勝ち負けの格上馬。叩かれながら良化を示している。
2頭をまとめて負かすとすればノーティカルスターだろう。先にも記したとおり大屋梅賞はスローの流れに落とされ、自慢の末脚が活かせなかった一戦。マイル延長は大歓迎だろうし、多少でもペースが速くなれば一気突き抜ける。
アクイラは休み明け初戦5着だったが、直後にC1へ降格。調子も上げて平場戦快勝から駒を進めてきた。トップハンデ57キロを背負うが、前走内容から好勝負は疑いない。
オミキは高知から転入初戦を快勝したが、以降は2、4着。先行有利の馬場が痛かった。いい脚を長く使えるのが武器。その意味で1600は望むところ。
◎(4)ヤマニンネレイス
〇(7)トウケイカガヤキ
▲(2)ノーティカルスター
△(8)アクイラ
△(9)オミキ
<お奨めの1頭>
11R デュアルスウォード、アフリカンハンター
今年注目の大物転入馬。デュアルスウォードは中央ダート5勝、アフリカンハンターは中央ダート短距離で4勝。今後の台風の目になるか。また休養明け初戦を完勝ラブバレットも目が離せない
今年4月、岩手競馬の仲間入りをした新人・小林凌騎手が、デビュー5戦目でうれしい初勝利を飾った。
20日、第2レースC2戦でコスモリボンに騎乗した小林凌騎手は、逃げたショッキングコートの2番手を追走。3コーナーから徐々に差を詰め、4角先頭。あとは後続を5馬身突き放し、堂々1番人気に応えた。
小林凌騎手
「レース前は人気を背負っているので緊張したが、返し馬の動きが良かったので馬を信じて騎乗しました。
レースでは勝とう勝とうとは思わず力まないように心がけた。ただズブいところがあるので3コーナーで気合いをつけたら手応えがすばらしく、思った以上に早く先頭に立ってしまった。
直線は後ろから来ないでくれと願って必死に追いましたが、ゴールを過ぎたら思った以上に離れていました。
初勝利ができてホッとした。先生(板垣吉則調教師)を始め、みなさんに感謝の気持ちで一杯です。
でも第一歩を踏み出しただけ。これから信頼されるジョッキーになれるように頑張ります」
続いて第9レースでは園田から短期騎乗中の松本剛志騎手が1着。4番人気のジャイアントスターで見事逃げ切り勝ち。18日から岩手騎乗を開始し、7戦目で岩手初勝利を飾った。
松本剛志騎手
「前のレース(8R:リオサリナス)でヘタをこいたので、何が何でも行く気でした。先生(瀬戸幸一調教師)からもできれば逃げてほしいと指示がありましたから。
直線で差を詰められましたが、コールでまた伸びて馬が頑張ってくれた。これからもいいレースをして松本剛志の名前と顔を覚えてほしいと思っています」
前後して16日、第1レースには開業した小林俊彦調教師がきゅう舎第1号のデサフィナードを送り、調教師デビュー初出走初勝利の快挙を果たした。さすが岩手競馬を背負ったトップジョッキー。これ以上ない調教師スタートを切った。以上、先週3日間の報告でした。
25日メインはA級二組による水沢1600m戦「仲春特別」。前走と同程度のメンバー構成ならカリスマアキラの連勝が濃厚。
中央ダート2勝・500万から昨年12月に転入。重賞では歯が立たなかったが、平場で2勝。冬場は南関東へ移籍して船橋一戦を使って里帰りした。
初戦はケイジータイタン、モズなど強豪が相手だったが、3着確保。続く水沢1800m戦を順当勝ちを収めた。相手強化感もなく、マイル短縮も問題なし。期待に応えて以降に弾みをつけたいところだろう。
マイネルヴァルムは南関東6戦0勝から再転入。コパノツイテルの強じんな粘りに屈したが、クビ差2着。マズマズの滑り出しを切った。水沢1600mがベストの条件。逆転首位を狙う。
ダノンボルケーノは昨年春、特別開催2着から3連勝を飾り、重賞・あすなろ賞でも2着に善戦した。シーズン初戦は7着だったが、2戦目を3着にまとめ上昇ムード。1枠を得て自分の競馬に徹すれば連対は十分可能。
マイネルナタリスは中央芝2勝。ダートは未経験だったが、初戦で2着。積極的なレース運びを見せ、先行馬が総崩れの中、2着に粘った。
前走は3角で早々と失速した7着大敗。これで評価が微妙になったが、一戦のみで見限るのは早計か。
ベルラピエルは中央1000万から転入。移籍3戦は着外に終わったが、前走3着でようやくメドが立った。
◎(6)カリスマアキラ
〇(5)マイネルヴァルム
▲(1)ダノンボルケーノ
△(11)マイネルナタリス
△(9)ベルラピエル
<お奨めの1頭>
8R ツクバグランディー
550キロを超す馬格を誇り、パワーで圧倒2連勝。岩手の水が合い、いずれ重賞に名乗りを上げる