23日11時。水沢競馬に蹄音が戻ってきた。第1Rの「春競馬オープングレース」は3歳A級馬による1600m戦。3歳戦線をにぎわす好メンバーがそろい、まさにオープニングレースにふさわしかった。
単勝1・5倍の圧倒的1番人気に支持されたのはセラミックガールだったが、出遅れを喫して最後方からの競馬。これが最後までこたえて3着。課題を残す一戦となったが、春の牝馬路線で巻き返しを期待したい。
1着はラブソング。早め先頭に立ったブラックタイガーに馬体を併せてマッチレースの末、首差でラブソングが快勝。岩手3戦目にしてうれしい白星をマークした。しかし、北海道時代に3勝マークなら納得の結果。食いの細いタイプなので馬体減りが課題だが、維持できればグランダムジャパン3歳シーズン・留守杯日高賞でも期待できるかもしれない。
23日初日前半の傾向はずばり、先行有利。前残りで高配当が結構、飛び出している。どうやら今の水沢は逃げ馬をチェックするのが勝利への道となりそうだ。
24日(日)メインはB1級一組「ホテルニュー江刺賞」(水沢1800m)。絶好枠を引き当てたサーストンサブリナから入る。
中央2歳新馬戦(新潟ダート1200m)を勝ち、絶好のスタートを切ったが、その後は頭打ちのレースを繰り返して2着1回3着1回。今年1月に岩手へ転入し、初戦の水沢1800mを鮮やかに逃げ切って圧勝した。続いて重賞・トウケイニセイ記念に駒を進め、馬群に揉まれながらも0秒7差。結果7着だったが、内容的にはそれ相応の評価ができた。
すでにA級で勝った実績馬が、格付け再編成によりB1へ降格。しかも願ってもない1枠を引き当て、好走条件がそろったのは言うまでもない。おそらくシャークが先手を主張すると思うが、2番手の大名マークから抜け出し濃厚と見る。
逆転筆頭はラッキーサンライズ。北海道0勝から名古屋でブレイク。重賞・駿蹄賞を制し、東海ダービーでも2着。その後、南関東2勝、園田で1勝をマークした。
気になるのはここ4戦が着止まり。勝ち切れないレースが続いているが、岩手で心機一転を図ることができるか。実績を考えればB1は間違いなくフリーパス。今回は非常に重要な一戦となった。
ヴァンエボンは中央0勝2着2回、南関東0勝2着2回。上位で健闘したが、どうしても白星に手が届かなかった。しかし岩手転入戦で待望の初勝利を飾り、その後も2勝。当地の水が合ったと解釈していいだろう。
勝ち切れなかったのは折り合いが難しかったのも大きかった。それで鞍上・阿部騎手は内で砂を被らせてなだめたのが好走につながった。中盤以降は夏負けなどの影響で精彩を欠いたが、冬休みでリフレッシュできれば反撃に転じて不思議はない。
ウイントゥヘヴンはデビューから今まで着外に沈んだのは、わずか一度のみ。安定した取り口が最大のセールスポイント。岩手でも最悪でも4着以上と堅実無比。1800mは若干長い印象だが、仕上がりの良さでカバー。巧みなレース運びで上位を狙う。
あとは昇級戦だが、水沢7戦6勝ナンヨーガンバロー、骨折明けでも馬が良くなったリアルサンボーイも押さえたいところだ。
◎(1)サーストンサブリナ
○(9)ラッキーサンライズ
▲(8)ヴァンエボン
△(4)ウイントゥヘヴン
△(3)ナンヨーガンバロー
△(7)リアルサンボーイ
<お奨めの1頭>
3R アルーリングムーン
昨年A級から一気に降格してC2編入。しかも距離が1400mへ短縮なら全能力を発揮。これまでの分もまとめて
ようやく岩手にも春が到来。2ヶ月あまりの冬休みが終わり、3月23日(土)から岩手競馬がスタートする。新年度は4月6日が開幕日だが、厩舎サイド、我々もこの23日が始まり―が共通認識。本年度も岩手競馬をよろしくお願いします。
実は特別開催が行われるのは3年ぶりのこと。3.11東日本大震災以降、ずっと見送られてきたが、遅ればせながらレギュラーシーズンに戻った感が強い。まだ岩手は雪景色がいたるところで見かけるが、蹄音が一気に冬を吹き飛ばしてくれるに違いない。
メイン10レースはB1級三組による水沢1600m戦「奥州商工会議所杯」、9頭立て。毎年、冬休み明けにクラスの再編成を実施するため、大幅な格付け変動がある。転入馬は前20走、在籍馬は前15走の獲得賞金によってクラスが決まる。
ただ、単純な獲得額ではない。賞金格差の大きいJRA、南関東からの移籍馬は賞金免除(カット)がある。詳しいことは割愛するが、たとえ重賞を勝っていても、たとえ昨年までA級馬でも格付け賞金が"0円"だった場合、一気にC2の最下級へ編入される。この仕組みが岩手競馬の特徴だ。
必然的にこの10レースも昇級馬、降格馬が入り混じっている。昨年の最終格付けがA級だったのがマツリダガッツ。B1級据え置きがカーリーネイト。B2から格上げされた馬が多くセンリライズ、アドマイヤサムライ、ソヴリン、サンデーレクサス、ベルモントディーバ。そしてC1から2ランク上がったのがヤマニンノワゼット。以上のようなメンバー構成となった。
本命にヤマニンノワゼットを指名する。岩手での距離経験が1400mまで。しかもC1からいきなりB1編入で一気にメンバー強化され、不安要素は確かに多い。それでも強気に狙ってみたいのは一連の走破タイムが破格な点。間違いなくB級以上と見て間違いない。
岩手転入後、マイル戦は初めてだが、中央未勝利時代に1800m、2000mを使われており、おそらく大丈夫。何より魅力なのは同型が不在でマイペースの逃げ必至。展開有利は誰の目にも明白だ。自身の連勝を4に伸ばす。
アドマイヤサムライは昨年3勝。B1昇格だが、元々がA級でも勝ち負けの実績を誇り、格負けはまったくない。問題は成績が安定しない点で弱いメンバーでも取りこぼしが多い。理由は折り合いの難しい馬だからだが、それゆえ久々の方がレースに集中できるはず。実際、昨年4月、休み明け初戦を快勝している。水沢マイルもベストの条件。
マツリダガッツは中央3勝1000万下から転入。当初は力のいるダートに戸惑いっぱなしだったが、芝オープン・桂樹杯タイム差なし2着から徐々に岩手の水に慣れ始め、水沢マイル重賞・白嶺賞でも4着を確保した。
それを考えれば主力扱いもできるが、ダート好走は冬場特有の極端な不良馬場だったとも解釈でき、今の水沢が合うかどうか。もう一つ、追い込み一辺倒の脚質にも全幅の信頼を置けないところがある。
カーリーネイトは南関東C1から転入し、4戦目に初勝利を飾った。その後も2着1回3着2回にまとめ、軌道に乗ったかと思った矢先、脚部不安が発生して無念のリタイア。4ヵ月半ぶりの実戦がどうかだが、仕上げに手間取らない牝馬。アッサリあっても不思議はない。
ベルモントディーバは昨年終盤、精彩を欠いたが、歴戦の疲れが貯まっていたか。冬休みでリフレッシュできれば元々が直線で確実に台頭するタイプ。やはりノーマークにはできない。
◎(5)ヤマニンノワゼット
○(6)アドマイヤサムライ
▲(2)マツリダガッツ
△(7)カーリーネイト
△(1)ベルモントディーバ
<お奨めの1頭>
1R セラミックガール
春スタート最初のレースにふさわしい活きのいい3歳馬が出走。中でも注目は昨年、北海道代表で芝重賞・テシオ杯ジュニアグランプリを優勝したセラミックガール。大井では苦戦を強いられたが、岩手で反撃を図る
さあ、岩手競馬の通常開催もこの14日でいったん締めという事になりました。
今シーズン、昨年の4月から日曜日までのべ1340レースが行われてきました。今日の11レースをあわせると1351レース。たくさんのドラマがあったわけですねえ。
馬の方ではいろいろ浮かんできますけども、自分のベストレースとすればやはりダービーグランプリでしょうか。一騎討ちの死闘・ダイヤモンドカップも捨てがたいですが、やっぱりDGかな。どっちもロッソコルサですが、春から冬にかけての同馬の成長度というのはなかなかたいしたものだったと思います。
人の方では、不動のトップ・菅原 勲騎手が引退して調教師となって、その跡を誰が埋めるか?が注目でしたが、トップはある意味順当に村上忍騎手が取って代わりました。しかし2番手以下は若手がずらっと占めてきて、新しい時代を実感させる形になりました。
岩手競馬の次の開催は3月23日からの特別開催。データ上は2012年シーズンの中に含まれるのですが実質的に来季のスタートになります。人も馬も今の勢力図が来季も続くのか?それぞれが来シーズンをどんな形でスタートさせるのか?約2ヶ月先をご期待の上お待ちください!
13日メインは岩手競馬最強馬に敬意を表して創設された「第13回トウケイニセイ記念」。岩手で現役生活を送ってレース名となったのは1つのみ。フェブラリーステークスを含めてGⅠを3勝したメイセイオペラでさえ、いまだ重賞名になっていない。これがトウケイニセイの偉大さをすべて物語っている。
トウケイニセイは盛岡近郊の馬っこパークで余生を送っていたが、昨年3月(2012年)に急逝した。前年9月にはOROパークへ初めて脚を踏み入れ、ファンの前に元気な姿を披露。今にも走り出しそうな仕草を見せ、当分は大丈夫だろうなと思っていただけにショックが大きかった。
現在、水沢競馬場のスタンド1階でメモリアル展が開催されている。オリジナルの特製ぬいぐるみ、優勝トロフィー、口取り写真など貴重な数々が展示されている。また全レース映像も放映されているので、ご覧になってほしい。展示は14日まで。もしかすると最後になるかもしれない。
本題に戻る。昨年のトウケイニセイ記念は10番人気ヒカルジョディーが優勝。2着にリリーレインボー、3着シャイニーハリアーと入り、馬単51320円、3連単252560円の超万馬券が飛び出した。波乱の目もたっぷり含んでいることを前提にしてほしい。
主軸にシャイニーハリアーを抜擢。白嶺賞は果敢に逃げたが3着。優勝したクレムリンエッグとの差は0秒6と決定的とも言えるが、前半3ハロン36秒4のハイペースを形成。末が甘くなっても仕方なしだった。
決して逃げにこだわらないタイプだし、今回はそれほど流れが速くなるとは思えない。自分の競馬に徹して悲願の重賞を手にする。
コパノマユチャンの足跡はすばらしい。直線一気を決めて芝特別・桂樹杯を優勝。交流芝重賞・OROカップで岩手最先着3着、水沢1400m重賞・栗駒賞優勝。そして前走は内が極端に深い馬場でインでの競馬を強いられたが、直線でも気力が衰えず0秒1差2着。勝ったクレムリンエッグ以上に強いレース内容だった。
クレムリンエッグは中央ダート1200m1勝、ダート1000m1勝。短距離適性を生かして白嶺賞を快勝した。持ち味はいい脚を長く使えること。展開がはまれば再現も十分にある。
サーストンサブリナは中央2歳新馬(新潟ダート1200m)を1秒8差で圧勝した逸材。その後は頭打ちのレースを続けていたが、ほんとんどタイム差は1秒以内。岩手初戦の1800m戦をアッサリ逃げ切ったのも納得。マイル短縮は望むところ。
ジョーモルデューは桐花賞3着だったが、ズブさも一方では目についた。忙しい競馬必至のマイル対応がカギ。前崩れが好走条件か。
◎(4)シャイニーハリアー
○(6)コパノマユチャン
▲(8)クレムリンエッグ
△(9)サーストンサブリナ
△(12)ジョーモルデュー
<お奨めの1頭>
4R ソングライダー
意外に乗りこなすのに難しいタイプ。前走はテン乗りだったため中団のままに終わったが、主戦の山本聡哉騎手に戻れば首位奪回は濃厚
泣いても笑っても残り3日間。今週12日(土)~14日(月)を持って岩手競馬は約2ヶ月間の冬休みに入る。今年は例年以上に寒さが厳しく、各厩舎とも調整に苦労し、またジョッキーたちは満身創痍で騎乗。この3日間も熱いレースを―と願わずにはいられない。
12日メインはA級二組・B1一組による「Zプラザアテルイ賞」(水沢1600m)。58キロを背負うA級在籍馬、56キロのアドバンテージがあるB1級馬が3頭の計6頭。しかも有力馬はほぼ絞られ、トーホクアロー、ゴールデンコンパスが人気を集める。
馬券購入のポイントは馬複(馬連)勝負ならトーホクアローが軸。馬単勝負に出るならゴールデンコンパスだろう。
トーホクアローは3歳重賞でも上位を賑わし、ファン投票・桐花賞でも強豪メンバーがそろった中で4着。3着ジョーモルデューとは0秒2差。改めて底力のあることを証明した。相手なりに駆ける堅実さが最大のセールスポイント。
ただ勝ち味に遅く、今季2勝のみ。メンバー弱化されても勝ち切れないレースが続いている。それゆえ馬単勝負ではリスクが怖いところがあり、馬複の軸と見るのが妥当。
対してゴールデンコンパスは高知から転入初戦、グラスシューター、フェルマグリオ、シャインリーオウなど好調メンバー相手に快勝。B2だったが、オープンまでノンストップを誰もが疑わなかった。
ところが以降、6、9、6着と凡走。気難しい面をのぞかせて前途多難を思わせた。当の菅原勲調教師も頭を悩ませていたが、前回は2番手追走から4角先頭で圧勝。3戦着外のうっ憤を一気に晴らした。
トーホクアローが戦ってきた相手を考えると、ゴールデンコンパスはやや分が悪く、信頼性もひと息。しかし気分屋ゆえ、相手強化うんぬんより自分の競馬ができるか否か。すれに尽きる。
今回は56キロとトーホクアローとは2キロのハンデ差があり、少頭数だけではなく単騎逃げが明白。トーホクアローに人気が集中したら、馬単勝負は妙味たっぷりだ。
キタイセユニバースは各地を転籍し通算12勝2着13回。名古屋A級からの転入で勝てるチャンスは何度かあったが、2着1回が最高でいまだ未勝利。最後の詰めに課題を抱えたまま今回を迎えた。格は前記2頭より明らかに上位。割って入るシーンまで。
あとは次第に尻すぼみの成績が気になるコアレスガバナーだが、ここまでメンバーが甘くなれば上位入線の可能性がある。
◎(4)トーホクアロー
○(2)ゴールデンコンパス
▲(3)キタイセユニバース
△(6)コアレスガバナー
<お奨めの1頭>
2R ゴールデンドロップ
前走・桐花賞はいきなりオープン馬が相手。10着も当然だった。自己の条件に戻って今度こそ待望の初勝利を飾る