いよいよ春競馬スタート、なのですが、今回は競馬以外のネタで入りたいと思います。
「禅(ZEN)」という映画の中で、主人公・道元らの一行が桜並木の下を歩くシーンがあります。このシーン、実は水沢競馬場の桜並木を使って撮影されたのだそうです。
『ロケーションジャパン』という雑誌によれば「桜が散り始めた頃の撮影だったため、スタッフが落ちた花びらを集めて舞い散らせたりした」とありましたが、昨年は4月20日頃に満開、次の週にはもうすべて散ってしまっていたので、とすれば撮影は4月22〜23日頃だったのでしょうか。
映画ではロングで撮って“壮大な桜並木”という印象が強調されていますが、実際もそんな感じだと思います。確かに、桜の名所は多数ありますが、2列に並んだ桜を遮る物なくずーっと見通せる所というのは案外ないですよね。
この水沢競馬場の桜並木、毎年桜が満開の時期には一般公開されています。「禅(ZEN)」を見て「おおっ!」と思った方、ぜひ水沢競馬場に来て、実際の桜並木の迫力を体験してみて下さい。
なお、例年は4月20日前後に満開になるのですが、今年はかなり早くなりそうだという予想です。一般公開は競馬開催日のみですので、そうですねえ、4月11日〜13日あたりを狙ってみて下さい。
本命は(5)ヒカルメイオーでいいでしょう。1月3日の睦月賞で3着に敗れ連勝が10で止まってしまいましたが、使い詰めできた上に1600m→2000mの距離延長が応えたのでしょう。一息入れてのマイル戦なら雪辱可。相手関係も、クラス的には若干強化された格好ではありますが、実力的には全く強化感はありません。
対抗は(8)サイレントステージで。前走の勝利が実に1年7ヶ月ぶりの美酒。実力馬が長いスランプからようやく立ち直ってきました。いや、ここ3戦で見せたしぶとい走りは“立ち直った”という以上に目を惹くものがあります。やや外枠過ぎるのがマイナスになるかもしれませんが、ここは注目すべき馬でしょう。
(2)ヒドゥンアジェンダは荒尾に遠征して3戦1勝3着2回、軌道に乗りつつの岩手帰還となります。B1級は一度突破しているし、水沢マイルも4戦3勝と好相性。長距離輸送の疲れさえ無ければ好勝負。
まずは上記3頭が中心。この3頭三つどもえの中に食い込むとすれば(4)サンワードグロー・(6)ブラックオーメンでしょうか。
まずサンワードグロー。08年シーズンここまですでに10勝を挙げており、また前走ではヒカルメイオーを破っているように実力はここ通用レベル。相手なりに走って崩れない所も魅力です。
ブラックオーメンはA級からの降級がプラス材料。加えて06年〜08年、3月開催の初戦で掲示板を外した事がない、意外に仕上がり早の所があります。少しの展開の助けがあれば上位争いも十分に可能でしょう。
●買い目
馬単(5)=(8)、(5)=(2)、(8)=(2)、(5)→(4)、(5)→(6)
◆お奨めこの一頭
7R:リーガルマインド
金沢A級→東海B級からC1編入は恵まれた。金沢時代は追い込みに近い差し馬だったようだが、ここなら前目での競馬も可能。
21日(土)メインはB1級「北山崎レース」(水沢1600m)。主軸にケンタッキーハットを指名する。
中央7戦0勝から一昨年12月、一旦岩手に移籍し獲得賞金が0円だったためC2でも最下級条件へ編入。メンバー有利は明白でアッサリ2連勝を飾り、JRAへ復帰。初戦の芝1200m戦で5着入線したが、以後の4戦はいずれも二ケタ着順に終わり、昨年9月に岩手へ戻ってきた。
多分、中央で通用しなかったのはスピード適性がなかったことと多頭数が合わなかったのだろう。いきなり3連勝をマークし、一度3着に敗れたあと再び3連勝。12月最終戦・師走賞は3着に敗れたが、これはハイペースに巻き込まれて末が甘くなったため。
陣営は疲れも出たと判断して早めにシーズンを終わらせ、リフレッシュに専念させた。
ケンタッキーハットのすごさは勝ちっぷりのすばらしさ。8勝でつけた2着とのタイム差が合計7秒。つまり1レース平均、0・9秒差のワンサイドを決めており、いずれオープンへ出世すること間違いないと見ている。
一つネックがある。今回のメンバーを見渡すとトウショウグローズ、ノースアルテミス、エアテムジン(これは逃げなくても問題ないが)と先行馬がそろったこと。本来なら絶好の1枠を引き当てたと言いたいところだが、もし外から被せられたらどうなるか。
水沢1600mは基本的に内枠有利の傾向がはっきりあるが、終始内に包まれて凡走するケースも多々。
はたして初コンビを組む山本聡哉騎手がどのようなレースを作り上げるのか。昨年、ひと皮むけ成長著しい同騎手の手綱さばきにも注目してほしい。
逆転首位を狙うのがエアテムジン。兄が二冠馬エアシャカールという超良血馬で、550キロ前後の雄大な馬格を誇る。一昨年10月、中央未勝利から転入し着外に沈んだことが一度もなし。相手なりに駆ける堅実さが身上で芝ダート含めて19戦7勝2着5回。
ただ大型馬にありがちだが、ピリッとした脚がないため取りこぼしも結構多いし、体が絞れているか否か。馬体重が大幅に増えていた場合には若干割り引きが必要かもしれない。
昨シーズン精彩を欠いたトウショウグローズだが、11月までオープンに在籍したため。それが尾を引いてB1降格後も不振だったが、見逃せないのが春シーズンの好実績。休み明け成績でも2勝マークし、昨年開幕週の栗駒賞(オープン特別)で3着に粘っていた。すんなりマイペースなら持ち味の粘り強さを発揮する。
コスモスパングルは休み明け前の睦月賞で10着に敗れたが、これは守備範囲を超えた距離2000mが敗因。マイル前後がベストの条件でツボにはまれば抜群の破壊力を披露する。しかも今回は先に行きたいタイプがそろい、展開有利は明白だ。
あとは水沢戦になると安定感に欠けるが、うまく折り合いをつければ実力を発揮マンハッタンナイトも軽視できない。
◎ ?ケンタッキーハット
○ ?エアテムジン
▲ ?トウショウグローズ
△ ?コスモスパングル
△ ?マンハッタンナイト
3連単は1、4の2頭軸から3、5、7流し
馬複は1−4、1−3、1−5、1−7
<お奨めの1頭>
9レース ウメノレイメイ
転入初戦をアッサリ逃げ切って能力上位を証明。ヒシアケボノ譲りの大型馬がパワーで押し切る
2ヶ月のご無沙汰です。岩手競馬は1月12日、トウケイニセイ記念から冬休みに入ったが、いよいよ3月20日(金)から春競馬に突入する。
今開催は前半が20日から23日(月)までの4日間。後半は28(土)、29日(日)の2日間開催。計6日間で2008年度の全日程が終了する。
ご存知かもしれないが、地方競馬はJRAと違って4月から翌年3月までの年度で区切るため、4月4日(土)からが新年度のスタート。よってリーディングなどのデータ関連などもすべて3月31日で集約される。
とは言ってもファンにしてみればあまり関係のないこと。それもあって岩手競馬では『春競馬スタート!!』と位置づけた次第だ。
冬休み明け初日20日(金)メイン10レースは、3歳A級戦「奥馬の会会長杯」。改めて振り返るまでもないが、昨年の2歳戦線はワタリシンセイキの一人舞台。ダート戦で無敗の7連勝を飾り、史上初めて2歳ダートの重賞・特別全制覇の偉業を成し遂げた。
その結果、2008年度の岩手競馬グランプリ年度代表馬の栄誉も獲得。内部事情を話すと各委員から様々な意見が飛び交い、ワタリシンセイキかカネショウエリートかで票が割れたが、ワタリシンセイキがネイティブハート以来、史上2頭目となる2歳馬の受賞となった。
ワタリシンセイキは年明けの金杯を優勝後、南関東へ移籍(すでに2月の準重賞・雲取賞に出走し4着)し、岩手不在の馬に与えていいのかという意見もあったが、それ以上にワタリシンセイキのパフォーマンスを評価する委員が多く栄えある年度代表馬の座を射止めた。
今、岩手競馬のファンが願うことはただ一つ。是非、南関東クラシックを制してほしい――。それ以外にはない。
今年の3歳戦線は必然的にポスト・ワタリシンセイキが最大テーマとなり、最有力候補はマヨノエンゼルだろう。
(マヨノエンゼル 写真・佐藤到)
先ほども記したとおり、ワタリシンセイキが圧倒的なパフォーマンスで圧巻のダート7連勝をマークし、ほとんどがワンサイドで完勝。その中で最も肉薄されたのが、重賞・南部駒賞でマヨノエンゼルがアタマ差2着。この時、ワタリシンセイキは北海道2騎アラベスクシーズ、モエレオフィシャルをマークする形でレースを進め、彼らを退けて誰もがワタリシンセイキの勝利を確信したところ、大外一気に強襲したのがマヨノエンゼルだった。
関本淳騎手は「正直、マヨノエンゼルには驚いた。一瞬、交わされるのではと思った」とレース後、本音を漏らすほど。
続く寒菊賞ではワタリシンセイキになし崩し的に脚を使わされ、ダンストンジールに先着を許して3着に敗れたが、12月末の最終戦を圧勝して冬休みに入った。
このレースは収穫が大。いつもはワタリシンセイキと同じ位置か、それより若干前かの競馬だったが、4番手を追走し4角先頭での圧勝劇。追い込み一辺倒の脚質だと展開に紛れが生じるケースもあるが、悪くても中団をキープできれば鬼に金棒。400キロ前後の小柄な牡馬ながら、破壊力はワタリシンセイキにもヒケを取らない。
逆転筆頭はセンリグランピー。なぜか昨年の岩手2歳有力馬は追い込みタイプが多かったが、こちらも同様の脚質。門別遠征の岩手・北海道交流「岩手山特別」ではポツンと最後方から直線一気に伸びて2着に食い込んだ。
ただエンジンの掛かりが遅いため着順がムラ。今のところ重賞では金杯の4着が最高だが、マヨノエンゼルより馬格があり、2月にJRA挑戦(10着)で揉まれてきたのが強調材料。この一戦を使われた強みを全面に大勢逆転を狙う。
マルブツコンバットは父サッカーボーイ、母父ビワハヤヒデで現役時代の活躍を知っているファンは思わず肩入れしたくなるような血統。
いまだ1勝のみだが、着外に沈んだのはわずか1回。それ以外は芝ダートを問わず、堅実に入着を果たしているのが最大のセールスポイント。レース運びも巧みで終いもしっかり。マヨノエンゼル、センリグランピーは展開によって末脚が不発に終わることもあり、その場合に漁夫の利を得る可能性も十分ある。
リリーミッションは牝馬ながら470キロ前後の好馬体。デビューが11月と遅かったため4戦でシーズンを終了したが、これは無理をさせたくないとの陣営方針から。2勝はいずれもスケールが大きく、今年秘かに注目している1頭だ。
以下、仕上がり上々クラサッキー、逃げ一辺倒の脚質から脱皮したアイビーを連下押さえ。
◎ ?マヨノエンゼル
○ ?センリグランピー
▲ ?マルブツコンバット
△ ?リリーミッション
△ ?アイビー
3連単は3、4の1、2着折り返しから6、8、1流し
馬複は3−4、3−6、3−8、2−3
<お奨めの1頭>
7レース キョウエイノーブル
活きのいい4歳馬がそろい激戦必至だが、ここはキョウエイノーブルのスピードが一枚上と見る
●最優秀ターフホースはボスアミーゴ
難しい選考が続いた各部門ですが、最優秀ターフホースも決して無風区ではありませんでした。
あじさい賞から桂樹杯まで芝で1重賞3特別を連勝したボスアミーゴでしたが、重賞に限ってみればせきれい賞ひとつにとどまり、OROカップはクルセイズが、きんもくせい賞はカネショウエリートが勝って、結果的には3重賞を3頭で分け合う形に。
ボスアミーゴが芝で無類の強さを誇るだけに、それだけにボスアミーゴを破ったクルセイズやカネショウエリートの評価も高くなってしまう。勝って当然と思われている馬だけに、負けた事が取りこぼしと見られてしまう。そんなジレンマ・・・。
とはいえ、年間7戦行われた古馬オープン級の芝重特戦に全て出走した上で5勝2着1回の実績は、自身最高であるだけでなく前例のない優れたものでもあり、やはりここはボスアミーゴが最優秀ターフホースに選ばれるのが、あくまでも妥当でしょう。
盛岡の芝では距離を問わない堅実さを持ち、また昨年度4歳、来季もまだ5歳という若さがあってまだまだ将来の活躍も見込めます。OROカップを残すのみになった「岩手で行われる芝重賞完全制覇」達成は時間の問題、前人未踏の「同一年度内の芝重特全勝」も、決して難しい目標ではないでしょう。
残る目標は、そう、念願のJRAでの勝利でしょうか。条件は限られていますが、全国の競馬ファンに「芝にボスアミーゴあり」の姿を見せてほしいものです。
■ボスアミーゴ
芦毛・牡4歳
父アドマイヤボス/母サクラユキクイン(母父サクラトウコウ)
2004年2月28日生まれ
北海道/門別・白瀬 明生産
2008年度戦績/11戦5勝(うち芝7戦5勝) 主な優勝レース/せきれい賞
獲得賞金/1,030万円
ジュリア、ピンクゴールド、クルセイズの3頭が候補に挙がった牝馬部門。結果ビューチフル・ドリーマーカップを制したジュリアが最優秀牝馬に選出されました。
ピンクゴールドは牡牝混合の重賞を勝ったとはいえあくまで3歳限定戦。クルセイズはフェアリーカップでサイレントエクセルを、OROカップでボスアミーゴを破る金星を立て続けに挙げましたが、対ジュリアではビューチフル・ドリーマーカップでの1.5秒差5着など5戦4敗にとどまっており、岩手の古馬牝馬の頂点競走と見なされるビューチフル・ドリーマーカップを勝ったジュリアに対してはいずれも分が悪い成績といえます。
シーズン7勝を挙げたジュリアですがうち6勝は平場でのもの。重特戦での好成績はビューチフル・ドリーマーカップただひとつ、というのは確かに最優秀牝馬としては異論が出る実績かもしれませんが、“勝つか、そうでなければ大敗”になりやすいのは逃げ馬の宿命。マークされつつも逃げて圧勝したビューチフル・ドリーマーカップ、その1勝の価値を低く評価する事はないでしょう。
■ジュリア
栗毛・牝4歳
父メイセイオペラ/母グレシアンライコー(母父ゲイメセン)
2003年5月26日生まれ
北海道/静内町・久保秀雄生産
2008年度戦績/16戦7勝 主な優勝レース/ビューチフル・ドリーマーカップ
獲得賞金/908万3,000円
来シーズンもおおむね08年の勢力図が継続すると思われますが、各部門の最優秀馬に選ばれた馬が引き続き活躍するのか、わずかの差に泣いた馬たちが奮起するのか。それとももっと伸びてくる馬が出るのか。もちろん、08年は不完全燃焼に終わった3強、テンショウボス、サイレントエクセル、オウシュウクラウンも来シーズンは全力で戦いを挑んでくるはずです。
そして3歳世代。抜けたトップだったワタリシンセイキが移籍したために大混戦ムード。折しも来シーズンの重特日程が発表され、秋のビッグタイトルとして不来方賞が設定されました。3歳戦線は前半戦から後半戦まで息の長い活躍をしなければトップとして認められないローテーションになったわけで、この長丁場を戦っていく中で新たな馬が伸びてくる可能性は、十分にあるでしょう。
2009年シーズンの開幕は4月4日、土曜日。あと1ヶ月弱に迫りました。4月19日の阿久利黒賞、5月3日の留守杯日高賞、そして5月10日のシアンモア記念。開幕から1ヶ月あまりのうちに立て続けに行われる各世代の重賞レースの結果に、まずは注目ですね。
●最優秀3歳馬はピンクゴールドに
08年の最優秀3歳馬には不来方賞を勝ったピンクゴールドが選ばれました。96年のマツリピロリット以来となる牝馬による不来方賞優勝、加えてそこでリュウノツバサ以下牡馬の一線級を破った点が高く評価されての選出です。
春シーズンの牝馬重特戦線、ここでピンクゴールドは4戦1勝2着3回の成績を残します。パーフェクト、ではありますが、2着に敗れたうちの2戦はカネショウプルートに大きな差をつけられて完封され、この時点の勢いは誰が見てもカネショウプルートが上。2歳時は無名だったカネショウプルートに、ピンクゴールドはこのまま伸び負けてしまうのかとも思えました。
しかし夏を迎えて状況が一変します。あれほど強かったカネショウプルートとの成長がぱたりと止まり、逆にピンクゴールドは対牡馬戦でも好走しつつ、ついに9月7日、岩手3歳の伝統の重賞・不来方賞を優勝してしまったのです。
牝馬らしく微妙で繊細な馬だったピンクゴールド。デビュー時の馬体重が432kg、3歳シーズン最初の菜の花賞では412kgにまで減っていました。使うと体重が減る、反動がくる。ほんの2kg、3kgのさじ加減で調子を整えなくてはならない戦いが続きます。
そんな彼女も夏を越し秋を迎えて、馬体重こそ大きくは増えませんでしたが以前のひ弱さが徐々に薄れていきました。不来方賞制覇をはじめ、ダートも芝も、距離もマイルから2400mまで幅広くこなしつつ、対古馬の戦いもクリアしていったのがその証拠。冬になる頃には陣営は、展開さえ向けば古馬にだって勝てるという手応えを、しっかり掴んでいました。
08年の戦績が示すとおり、ピンクゴールドは芝・ダ兼用。牝馬らしい切れ味で勝負するタイプですがそれなりに自在性もあり、展開次第でいつでも上位を脅かす様な存在になるでしょう。クルセイズがいなくなった穴を埋めるのはやはりこの馬しかいません。
■ピンクゴールド
黒鹿毛・牝3歳
父サクラローレル/ニッポージュリアン(母父ナリタブライアン)
2005年4月25日生まれ
北海道/門別・出口牧場生産
2008年度戦績/13戦2勝 主な優勝レース/不来方賞
獲得賞金/1,024万2,000円
08年の古馬オープン戦線は大混戦となり、抜けた活躍をした馬がついに現れませんでした。最優秀古馬争いは、良く言えば実績横一線の接戦、悪く言えばどの馬も一長一短で“あと一押し”に欠け、どの馬が選ばれてもおかしくないし、逆にどの馬が選ばれても異論がでるだろう、難しい部門になりました。
そんな中カネショウエリートが選出されたのは、やはりダートの桐花賞、芝のきんもくせい賞を勝って芝・ダのトップクラスを破った事が強みになりました。
桐花賞の2馬身半差、きんもくせい賞の4馬身差は完勝と言っていい内容だし、どちらもその時点の一線級が集まっての戦いでしたから、北上川大賞典の敗戦や平場での黒星にややマイナス感があったものの、それも二つの勝利で補ってあまりある、と判断されたわけです。
意外に価値が高いのが古馬の芝・ダート両方の重賞を制覇したという点。これがいそうでなかなかいないもので、岩手競馬では史上3頭目(トキオパーフェクト・サクラティアラに続く)。また、トキオパーフェクトがマイル・短距離のみで、サクラティアラが牝馬限定戦と合わせての制覇だったのに比較すると、中距離以上の頂点競走で両制覇を果たした意義は、これだけで最優秀古馬に選んでも良いくらいのものがあるといえます。
カネショウエリートは、実は08年シーズン始めはB1級でスタートしています。それも当初はなかなか勝てずにいましたが、6月の盛岡戦からB1級で4連勝してA級に上がり、そこも勝って5連勝でA級に定着しました。
2歳時から3歳前半は芝・ダを問わない走りで活躍した馬でしたが、07年シーズンはついに未勝利。絵に描いた様な伸び悩みから一気に復活できたのは、父メイセイオペラの血の成せる技だったのでしょうか。
■カネショウエリート
鹿毛・牡4歳
父メイセイオペラ/シルバークリエート(母父パークリージエント)
2004年5月10日生まれ
北海道/三石・森 政巳生産
2008年度戦績/16戦7勝 主な優勝レース/桐花賞、きんもくせい賞
獲得賞金/1,134万2,000円