みなさんお久し振りです。岩手競馬は約1ヵ月半の冬眠から明け、今週20日(木)から24日(月)までの5日間特別開催へと突入する。これが平成19年度の最終開催(14回水沢=通算22回)となるが、今回は非常に興味深い対決がある。菅原勲騎手と小林俊彦騎手のリーディングジョッキー争いだ。
現在、菅原勲騎手が174勝で首位をキープし、8勝差で小林騎手(166勝)。この8勝差は決して逆転不可能な数字ではない。昨年も小林騎手はこの特別開催で菅原勲騎手を逆転し、通算4度目(3年連続)のリーディングジョッキーの栄誉に輝いた。参考までに20日は菅原勲騎手が7レース、小林騎手は6レースの騎乗予定となっている。
さて20日メイン9レース。3歳A級馬による水沢1600m戦「社団法人 水沢青年会議所杯」。当日は水沢青年会議所のメンバーが気合いをつけて応援。冠協賛をつけ、第1レース「水沢JC(青年会議所) がんばれ岩手競馬カップ」を皮切りに、第2レース「せんやのおせんべい杯」……と地元水沢の商店、企業がレース名となっている。これも岩手競馬と奥州市の密着度がいかに大きいかが了解できる。非常にありがたいことだ。
(写真:テンショウベスト 佐藤到)
主軸にテンショウベストを指名する。新馬戦を快勝したものの、なかなか2勝目をマークできなかったが、重賞・ジュニアグランプリを含めて4戦連続で2着を確保するなど抜群の安定感を誇っていた。終盤に2戦5着と凡走したが、敗因は流れが合わなかったためで度外視。最終戦をキッチリ白星で飾って2勝目マークでシーズンを終えた。
テンショウベスト陣営の構想はここを叩いて特別・スプリングカップ(4月6日)制覇。待望のタイトル奪取に向けて好発進を決めたいところだろう。
逆転筆頭はゴールデンクリーク。素質を認められながら勝ち切れず初勝利まで6戦を要したが、11月に白星を飾るや、いきなり重賞・南部駒賞で5着。以降も寒菊賞3着、金杯4着。身上とする強烈な差し脚で上位食い込みを果たしている。血統的にも奥手は明らかで、今年は大化けの可能性は十分にある。ちょっと注目してみたい1頭だ。
サチノマオの堅実度も軽視できない。着外に沈んだのはジュニアグランプリ6着、金杯11着の2回のみ。それ以外の5戦すべて連対と平場戦での安定感が目を引く。しかも逃げて良し、差しても良しのオールラウンドプレイヤーだ。
印は下がってしまったが、ピンクゴールドはアッサリ首位まである。昨年10月、盛岡を舞台に行われたプリンセスカップでインを鮮やかに抜け出して4馬身差の圧勝劇。その後2戦は足踏みを続けたが、12月の水沢戦で豪脚がさく裂し、通算3勝でシーズンを終了した。追い込み一辺倒の脚質ゆえ展開に注文がつくが、ツボにはまれば一気台頭のシーンまで。
他にも伏兵はいそうだが、今回は以上4頭を狙い撃ちする。
◎ ?テンショウベスト
○ ?ゴールデンクリーク
▲ ?サチノマオ
△ ?ピンクゴールド
馬複は3−7、2−7、2−3、5−7
3連単は4頭ボックスがお奨めだが、絞るなら7を1着固定に3、2の折り返し。5を押さえ少々
<お奨めの1頭>
8レース サイレントカイザー
昨年5月から半年を棒に振ったのが痛かったが、2連勝を飾ってシーズンを終了。間違いなくA級へ上り詰める器だ
みなさまにはすっかりご無沙汰してしまいましたが、こちら氷の街盛岡も日に日に暖かくなって来ております。
といっても夕方になれば当然のことのように気温は氷点を下回るのですが、今季は昨年の暖冬と違い、真冬日が連続するというビシッと寒い冬となりましたからね。それに比べると最近はずいぶんと寒さが緩んだように感じます。ヒトの体というのは凄いもので、冷え込みが厳しくなったころには「うぉぉ!さみぃ〜」なんて言ってたのが、それが1週間も続くと体が馴染んでしまいずいぶんと楽になってきます。その後気温が上がってくれば、本当に春が近づいてきたような気がするのです。
先日、わたしは宮城県南にある実家に帰省したのですが、低気圧が通過して北風が流れ込んでいるにもかかわらず、全然寒くなくてほとんど上着を着ないで歩いていました。それにしても、温度計が同じ数字を示しても岩手の方がずっと寒く感じるのは何故なんでしょうね?宮城南部と言っても実家は山に近いところにあるので、仙台のように暖かい地域ではなく雪も舞うし気温はやはり氷点下なのですが、こちらのような体に食い込むような、いわゆる「シバレ」というのがまるで無いのが不思議です。
昨季は温暖化と言われるこの頃でも希に見るほどの暖冬で、盛岡周辺は積雪がほとんどありませんでした。さてこの冬はどうかなと思っていたら、上記のようにしっかり寒波はやってきたものの今度は寒いだけ寒くて、思いのほか雪は少なく過ぎたようです。水沢のほうではもうちょっと積雪があったようですが、こちらはまとまって降ったのはほんの一、二度で、あとはきれいな冬晴れと放射冷却の日々。気温が低いので積もった雪はずっと残っていましたが、除雪された道路はまるで春のように乾いており、車を運転する方はだいぶ楽だったのではないでしょうか。平年だと幹線道路以外は圧雪が氷になって道を覆い、10cmほどの氷の轍ができて脱出に苦労するというのが日常ですからねこのあたりは。
さて、公式ホームページでは既に伝えられております通り、去る25日には盛岡・水沢両競馬場の馬場開きと調教開始式が行われました。この日のために今年はそれなりに時間をかけて除雪作業をしなければならなかったようですが、考えてみると昨年のように冬も開催すればよかったなんて年もあれば、何年か前は深い雪があって馬そり体験会や歩くスキー大会なんかを催してしたのですから本当に気象のことは予測がつきません。何をするにも冬は予定をたてるのが難しい季節ですね。
まぁそれはともかく、久しぶりの馬場にやや興奮気味の馬たちを見ると、「花は野におけ」ではないですが馬はやはり広い空の下が似合うなぁと思います。来年度もこのOROの青空のもとで競馬を見られるのを喜びつつ、人馬とも極力ケガなどが無いようにと祈らずにはおられません。
↑は馬場のお清めをする神主さん。せっかくカメラを構えて待っていたのに、昨年と拝むポイントが違いました。orz
オマケです(^^)盛岡市内の桜の名所「高松の池公園」は、今年も冬の使者・ハクチョウがやってきています。ここは30年ほど前まではスケートができるほど厚い氷が張っていたそうですが、スケート禁止になった今では冬鳥たちの越冬地として賑わっています。競馬ファンには、旧盛岡競馬場のとなりということで懐かしむ方も多いかもしれませんね。
高松のハクチョウと言えば、盛岡在住の方が画いている「とりぱん」という漫画をご存知でしょうか? この中には“T松の池”の白鳥やカモたちが時々登場しています。この漫画、自然が身近にある岩手での生活をバックにちょっとお茶目な鳥や虫たちを面白く描きながら、時に生命賛歌、時に情緒たっぷりにしみじみし、時に「田んぼや畑は“自然”じゃねぇ!」等の名言を生みつつ、スローライフやエコについて肩ひじを張らずに考えさせてくれる実に楽しい作品になっています。
岩手競馬はもうすこしお休み。開幕までこれを読んで、競馬以外の岩手にも少し興味を向けてもらえたら嬉しいですね。
(文/写真・佐藤 到)
(今年も元旦の朝に行われた、恒例『チャグチャグ馬コの初詣』)
1月14日の開催をもって、岩手競馬は無事、長い冬休みに入りました。
4月のシーズンスタートから、ゴールデンウィークもお盆も年末年始も休み無く突っ走ってきたわけですが、これから約2ヶ月間競馬がないと思うと、なんだか物足りないような気がしますね。もっとも馬がいる限り厩舎での世話は休みということはありませんし、その上この冬は人も馬もかなりの数が活躍の場を求めて遠征していますので、そんな関係者には“ウインターヴァケーション”なんて無縁でしょうが… とりあえず取材・撮影対象がなくなる我々報道関係者は、「では、良いお年を」と挨拶を交わして競馬場を後にしました。そう、やっぱり競馬が終わらないと正月もやってこないですよね。
話は変わりますが、ついに恐れていたことが起こってしまいました…
先日の全国ニュースで、「盛岡市で最低気温−22度」という報道が伝えられました。「マイナス22ってすげーな、みんなよく生きてるな!」と、地元の友人からもメールが届いたりしています。
ご存じの方も多いとは思いますが、これは以前から『本州で一番寒い集落』として有名な旧玉山村の藪川地区で記録されたもの。藪川は北上山地の真っ直中に位置し、いわゆる平成の大合併によって2006年から盛岡市の一部になりました。以来いつかはこういうことになるだろうとは思っていましたが、やはりという感じです。奥多摩の気温を出して、「東京は○○度」と言っているようなものですよ! ちなみにこの冬いちばん冷え込んだ今朝の気温をみると、玉山区藪川−23.1度・盛岡市−11.2度ですからね。全然ちがうでしょ!?……え?やっぱり市内もじゅうぶんに寒いって?……そうですね。。。
昨冬は記録的な暖冬で競馬場の馬場にもほとんど積雪が無く、「こんなことなら休まないで競馬やってれば良かったね」という声も聞かれましたが、今年はこの後どうなるでしょうか? いずれにしろ次の岩手競馬は3月20日春分の日。ファンの皆様、ここまで岩手競馬をご愛顧いただきありがとうございました。m(_ _)m 春からも、変わらずよろしくお願い致します!
(文/写真・佐藤 到)
p.s.
休催期間中の当ブログですが、いまのところ方針が決まっておりません。おそらく昨年同様、不定期更新ということになると思いますので、時々アクセスしてみて下さいませ。
1月14日 重賞・第8回トウケイニセイ記念(水沢1600m)
(トウケイニセイ記念ゴール 写真・佐藤到)
1着 テンショウボス
中団キープはいつもどおりだったが、若干事情が違っていたのは1枠だったこと。団子状態になった場合、内に包まれる可能性もあったが、2コーナーで馬群がバラけたのも幸い、向正面でうまく外に出した。3コーナー手前から徐々にスパートをかけ、直線では早め先頭に立ったタイキリオンとマッチレースに持ち込む。そうなるとテンショウボスの必勝パターンで、内で粘るタイキリオンをジワジワ突き放して1馬身半差。完勝の内容で自身の連勝を5に伸ばした。
「馬場状態もテンショウ(ボス)に向いていたので前半は抑えた。1枠が気持ち不安だったが、展開がバラけて外に出せたのでこれで大丈夫だと思った。最後も締め括れたのでまずはホッとした」と小林騎手。
次走はフェブラリーステークスか佐賀記念。「この馬にベストな条件になる方を使いたい。場所は未定だが、今後は美浦近くのトレセンか、南の方で乗り込みたい」と佐々木修一調教師。
2着 タイキリオン
好ダッシュを決めて、普段の競馬より前の4番手を追走。道中の手応えも抜群で先陣グループにいたニシノグレイシャ、ナイキアヘッド、ダンディキングを3コーナーで交わして先頭。これはテンショウボスが動いたから当然の選択、4コーナーを回っても脚色は衰えなかったが、相手が相手だけに仕方なし。むしろ最後まで粘って2着確保を讃えるべきだろう。
3着 マンジュデンコウベ
掛かり気味になりながら菅原勲騎手が我慢させ、5番手をキープ。テンショウボス、タイキリオンがスパートをかけたのを見て追い出したが、2頭とは反応の差が明らか。直線でもマズマズの脚を使ったが、3着確保が精一杯だった。
フサイチギンガ初勝利!!
11月23日、フサイチギンガはデビュー戦(水沢850m)を迎え、3着に入線したものの、直線で大きく外方逸走。これではまともにレースを使えないと佐々木修一調教師は苦渋の判断。遠野馬の里で去勢手術を行い、12月25日に帰厩。最終追い切りを1月11日に消化して何とか出走にこぎつけた。
フサイチギンガはスタート直後に早くも外に行こうとしたが、それを必死に抑えてコーナーを無事に通過。中団キープから向正面で前に進出し、4コーナーで先頭。アスベルが一旦抜け出すシーンもあったが、ラチ沿いなら左ムチを入れても大丈夫だろうと菅原勲騎手が気合いをつける。その効果もあって2戦目にして待望の初勝利を飾った。
「課題も多かったが、結果を出せてホッとした。去勢後で正直、無理をさせたところはあったが、能力が高い馬なので乗り越えてくれると信じていた。あとは冬の休養で精神面の成長に期待したい」と佐々木修一調教師は語った。
13日にマカオ・タイパ競馬場で行われた「マカオ国際見習騎手招待競走」に岩手の高橋悠里騎手が出場しました。さすがに現地には行けず、ネットライブを見ながらの応援でしたが、結果は2戦して4着と13着。できれば勝って「高橋悠里」の名を世界に轟かせてほしかったですが、4着になったレースは見せ場もあったし、初の海外競馬参戦としては良くやったかな・・・。
しかし、マカオの競馬を日本から、それもライブで見ることができるのはいいですよね。以前、岩手の陶文峰騎手がマカオに遠征していた時も見ていたのですが、その頃に比べて画質やサーバの反応が良くなっていて見やすくなりました。
出発前の高橋悠里騎手に「日本からもレース見れるから応援してるよ」と言ったら「マジですか!?ヘタ乗りできませんね!」と本気で動揺していましたけども、その動揺がこの結果に影響しているのかどうか・・・。
あとはダンディキングとマンジュデンコウベを警戒したいところ。ダンディキングは昨年のこのレースの3着馬。あの頃に比べれば走りに成長も見られ、昨年以上の結果があってもおかしくないでしょう。マンジュデンコウベは前走の2000mはやはり長かった。マイル戦で見直してみていいでしょう。
買い目は1番テンショウボスを頭に5、6、7、11へ。2番手以下は互角でしょうし、無理に絞らず、薄くするにしてもせいぜい逃げ馬くらいにしておくのが無難。
◇お奨めこの一頭 8:ヘライカントリー
マイルが短いという印象はない。ここのところ前残りのコース状態に苦しみつつも見せ場を作っていた、その好調さに乗る。