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松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。佐藤到 1969年宮城県出身。97年のテシオ創刊とともに競馬撮影を始めた『メイセイオペラ世代』。

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誘導馬近況

 入場行進の花形のようでもあり、新聞と出走馬の間に視線を行き来させていれば目にも入らない存在でもある、それが誘導馬です。しかしどこの競馬場でも誘導馬は芦毛・白毛を中心にきれいな馬を使い、乗り役もフォーマルな出で立ちで目立つ存在であることは間違いありません。ところによっては誘導馬が折々の飾り付け?(クリスマスヴァージョンのメンコなど)をしてレースの盛り上げに一役買っていたりもしますよね。
 昨年度まで岩手の誘導をほぼひとりでこなしていたのは、水沢農業高校乗馬部出身のK君。水農の乗馬部といえば全国大会の優勝者も出している名門で、現在の岩手競馬ジョッキーの中にもここの出身者が何人かいます。しかし彼の誘導は昨年度末で最後となりました。転職先はなんと!宮内庁!! 主馬班と言うのでしょうか?そう、あの「○○殿下ご成婚」などという時に馬車を御しているあの人たちですよ。すげっ!しかし本人は、「いやいや先輩方がたくさんいらっしゃいますから、最初はボロ取りからですよ。」と言っていました。
この時期に競馬関係の仕事を辞めるというと、「岩手競馬が見通し暗いから見切りをつけたんだろ」などと思われることもあるでしょうが、彼はそうではなく、何年か前から国家公務員試験に挑戦してしたのだそうです。
 最後の誘導となった3月27日の11レースでは、気性の悪い馬が多かったため1頭も彼の後について行進をしないというオチまでつきましたが、気を取り直して ^^;) 新しい仕事場でも頑張って欲しいと思います。
 もしかすると今はまだ幼い愛子さまや悠仁さまがパレードするときには、ワイドショーの画面のすみにK君が写るかもしれませんね。

right  K君とロングシーマー号

 もうひとつは悲しいニュース。岩手の誘導馬は白馬2頭でやっていましたが、そのうちの1頭、ロングシーマー号が急死してしまいました。
 私はテシオの企画で、誘導馬体験を目標に乗馬の修行をしたことがあります。本番はより大人しい僚馬エイダイラビ号でコースに出たのですが、練習ではシーマー君に乗せてもらったこともありました。シーマーはラビよりも大きく、体もがっしりしていて若々しく力強い、とても元気な馬に思えました。時々は元気すぎて止まらなくなり、馬場の中をぐるぐる何周も暴走してしまうこともありました。そんなとき私は振り落とされまいと必死でしがみついていたのですが、そのとき感じたのは恐怖感だけではなく、スピードから来る爽快感と馬という生き物の躍動感が大きかったのです。ラビはとっても従順な良い子で初級者の私にはとても有り難かったのですが、シーマーからはそんなことを教えてもらいました。
 14日土曜日の朝、いつものように午後の誘導に向けて準備をしていたロングシーマー号は、突然いつもは見られないぐらい暴れ始め、あれよという間に倒れて息をひきとってしまったそうです。そのときの話を聞くと、まるで脳溢血や脳栓塞で急死してしまう人間のようで、関係者がどんなに注意を払っていても防げなかったことだと思います。馬というのはあんなに大きくて力が漲っている生き物のようでも、頭部や心臓などの要因で案外突然に死んでしまうことがあります(特にサラブレッドは)。悲しいですがそれが馬なのですね。
 先週の開催が終わった翌日、私は水沢の誘導馬厩舎に行ってシーマーのいた馬房にニンジンを供え、手を合わせて来ました。馬房にはちゃんとロウソクと線香立てが備えられていて、あとでシーマーのたてがみを場内にある馬頭観音に納めたそうです。
 競馬場を去ってしまったロングシーマー号ですが、これからもずっと岩手競馬を見守ってくれているでしょう。

(文/写真・佐藤 到)

2007/04/19
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