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ばんえいジョッキーファイル(1) 藤本匠

 はじめまして、このたび「ばんえいジョッキーファイル」を担当させていただくことになりました、斎藤友香と申します。
 1年間ばんえいの素敵なジョッキーの方々を写真で紹介していきます。応援しやすく、ヤジりやすく(?)なるように騎手の方々を身近に感じていただき、さらにばんえいを楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。


第1回 匠の技は自然体  藤本 匠

 さて、最初に紹介するのは今年から調教師と騎手で構成される調騎会の中の騎手部会会長に選ばれた藤本匠騎手。通算2,685勝(2008年5月1日現在)は、現役最多勝です。
 馬主であった叔父さんの勧めで中学卒業後にばんえいの世界に入った藤本少年。所属した本沢政一厩舎には、ミスターばんえい金山明彦騎手(現調教師)がいました。

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 金山先生の背中見て育ったから。金山さんに乗ってもらいたい馬が本沢厩舎に入って、金山さんが乗れない馬にほとんど乗してもらった。特別だろうが何だろうが乗せてくれたから。初勝利を挙げた(キタノウルフ)のも特別戦なんだオレ。
 オレ、若いときから恵まれていたから。周りの厩舎にも恵まれたし、騎手になった当初から乗してもらった。今の新人にしたら、3~4年かかることを1年で経験させてもらったからな。やっぱりそのぶん物事を覚えるのがさ、早かったっていうか。経験さしてくれたから、いろんな馬に巡りあっても対処の仕方が早かったし。乗してもらった調教師と馬主さんに、感謝しないとなんないな。
 騎手になった頃、ベテランの腕のいい人が3人も4人もいたからいい勉強にもなったし。当時は久田(守)さん、金山(明彦)さん、工藤(正男)さん、その3人が三者三様だったのを目の当たりにしていたから、おのずとその馬にさわると、この人のやり方、あの人のやり方って試せるしょ。なおかつ乗せてもらったから……。

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 厩務員長かったんだ、オレね。6年やった。はじめ騎手になる気なかったんだ。金山さんに受けてみれって言われて、18の時にはじめて受けて、3年目で受かったのかな。
 厩務員(の時代が)長かったから調教師の知り合いもいたし、よく『背中慣らしてくれ』とか言われてたからね。金山さんの弟子ってことで余計乗してもらったんだ。
 最初、入ったころはそんな馬好きでなかったけど、仕方なく叔父が勧めるから来たようなもので……。それでも3年で馬好きになって。オープン馬とか触るようになったからさ、勝ったりすると嬉しいし、負けると悔しいから。

--- 競馬場に来て何年になります?

 15、16、17…(指折り数える)…すごいね。32年目だぞ。

--- 思い出に残る馬は。

 初勝利のキタノウルフ。
 そしてテンショウリね。ばんえい記念勝てる騎手になれると思わなかったのが取ったから。
 で、サカノタイソン。何連勝もしていたから気張り詰めてた。だから、どんな重賞でも、1番人気になっても苦にならなくなった。いつも1番人気で勝たないといけないのが使命みたいなもんだから。やっぱあの馬にはそういう度胸をつけてもらったっていうか。プレッシャー感じないで乗れるようになれたね。

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--- 自宅は騎手にしては珍しく帯広ですよね(他の騎手の自宅は旭川や北見が多い)。

 オレの場合は、よかったよね。もともとうちの調教師(西邑春夫調教師)が冬場に競馬やっていないとき、ここで越冬していたの。将来調教師になるんでも、帯広は街が近いしと思って……。まさか帯広以外からばん馬なくなるとは思ってなかったからね。
 休みの日? たまにゴルフ行ったり、釣りするくらいだよ。でもオレはそれほどでもないよ。家にいてもやることあるのさ。掃除したり。大変なんだ(笑)。汚いところにいるの嫌だから。
 料理? するする。競馬場の人はみんなするよ。肉焼いて、サラダ作って……魚介サラダとか。なんでも作るよ。ハンバーグとか豚汁とか。おでん簡単でしょ。おでんの素入れとけばいいし(笑)。
 今は馬主さんとかにつきあっても、攻め馬ある日は夜10時くらいになったらなるべく帰るようにする。起きれないと辛いから。攻め馬出てこれないと……。

--- 真面目な姿勢が実を結んでいるんですね。

 うーん……でも、いや、若い時遊んだし……。1年くらい、攻め馬行かないわ、それでも勝てるわ、なんて思ったらひっどい年あったから。70勝くらいしかできなくて(それでも70勝!)、馬主さんも離れていったし。困ったなと思ってそれからかな、攻め馬は行くようにしている。それが当たり前なんだけどね。
 性格的に自分で(馬を)触りたいほうだから。最初自分で触って、ある程度やって。他人にまかせて事故起こしたら悔い残るから、触るようにしてる。なるべく手をかけてやるようにはしてるんだけど。体二つあったらいいんだけどそういうわけにはいかないし。
 他の騎手なんかは『自分でなんでもやろうとしたらだめだ』っていうけど、勝負だからしょうがない。
 根本的には、自分で触るのが一番いいかなと思ってる。

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--- 今のばんえいについて。

 今、調教師さんも結構厳しい経営だし、騎手も結構きついから……。馬主さんも今の状況じゃ馬を持ちきれないからね。少しでも売上げが伸びていけば……。それには、いい競馬を見せるしかない。騎手はいいレースを見せて、というのが仕事だから。
 スターホースが出てくればいいんだけどね。サカノタイソンがいて、それからスーパーペガサスが出てきたしょ。
 それだけを見に来るって人がいるからね。

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 努力は才能といいますが、ものすごいことを自然体でこなす力を持った騎手だという印象を受けました。
 そしてインタビューに慣れていない私に、ネタになる話を自分から提供してくれました。自然と相手を思いやる力をも身につけている。
 それが現在の勝利数に結びつき、信頼される所以なのかと思います。

取材・文・写真/斎藤友香

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