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馬券おやじは今日も行く(第38回) 古林英一

2007年10月13日(土)

内田靖夫という人

 みなさん、お変わりございませんか。北海道は突然寒くなりました。この週末は平地でも初雪になるかもしれないとの予報が出ております。ばんえい観戦も暖かい服装でおいでくださいませ。

 みなさん『ばんえいまんが読本』という書物をご存じでしょうか? 小生、この1~2年、あちらこちらで、ばんえいの歴史なんぞを書いたり喋ったりする機会があるのですが、その際、もっとも参照することが多い本がこの『ばんえいまんが読本』なのであります。ネタバレ覚悟で白状しますと、小生が偉そうにばんえいの歴史なんぞをあちこちで書いたり喋ったりするとき、実はこの本がネタ元になっていることが多いのです。

 著者は内田靖夫という人です。亡くなって久しい人なので、小生も残念ながらお目にかかったことはありません。北海道の古い競馬関係者のなかには「ばんえいというのは内田さんの競馬みたいなもんだったからね」という人がいるくらいの人です。ばんえい競馬を草創期から今のかたちにつくりあげた大プロデューサーです。

 『ばんえいまんが読本』は1978年に当時の北海道市営協議会が発行した本です。市営協議会というのは、市営競馬組合の前身みたいな組織です。現在オッズパークばんえいマネジメントで活躍されているMさんやFさんがその昔就職したのはこの市営協議会でした。Mさんの話だと、当時の就職試験には算盤があったそうです。

 それはともあれ、書名だけを見ると、マンガでばんえい競馬を紹介・解説したパンフレットみたいな印象を受けますが、そんなちゃちな本ではありません。ばんえい競馬成立の事情、ルールの変遷、馬具の変化、馬の品種、さらには当時の競馬場の紹介と、内容は実に豊富です。いわばエンサイクロペディア・オブ・ばんえいです。

 ばんえい草創期、いやそれ以前から深くばん馬に携わった内田靖夫自身が自ら執筆しているだけでなく、ふんだんに挿入されているマンガタッチの挿絵も内田靖夫自身が描いたものなのです。このマンガタッチの挿絵がまさに玄人はだしで素人離れしたものなのです。

 素人離れしているのも当然で、この内田靖夫という人、第二次世界大戦前から戦中にかけて活躍した漫画家・岡本一平(画家・岡本太郎の父)に師事していたのです。

 さらに驚いたことに、内田は自らの日中戦争への従軍記を『馬部隊』という書名で出版しているのです。もちろん内田自らが描いた挿絵つきです。比較的古くからばんえいに携わっている人たちの殆どは内田をよく覚えていると思うのですが、内田が戦時中に本を出版していたということを知る人は少ないのではないでしょうか?

 小生がこの『馬部隊』を知ったのは全くの偶然です。『ばんえいまんが読本』が欲しくて、もしかすると、古書で売りに出ていないかと思い、インターネットの古書検索サイトで「内田靖夫」で検索したら、たまたまとある古書店から『馬部隊』が売りに出ていたのです。その段階では、同姓同名の人かとも思ったのですが、なんせ馬関係の書籍ですし、もしかすると…と思って購入したのです。

 『馬部隊』によると、内田は獣医として北海道庁に勤務しており、たまたま十勝に出張中に召集を受け、中国戦線に出征することになります。ついでにいうと、当時の北海道庁は地方自治体ではなく国家機関です。ですから北海道には知事はいませんでした。北海道庁の長は長官です。『馬部隊』はその当時馬がいかに重要な軍事家畜であったかを教えてくれます。

 マンガ家志望から獣医へ、さらにばんえい競馬へ。まことに興味深い人物です。ぜひもう少し詳しく調べてみたいと思っている次第です。内田靖夫に関する資料や情報をお持ちのかたはぜひご一報くださいまし。

※お詫び:当初、内田靖夫氏が、「のらくろ」の田河水泡氏に師事していたと書いていましたが、これは岡本一平氏の誤りでした。本文はすでに訂正してあります。

今週の見どころ(10/13~10/15)

2007年10月12日(金)

今週の日曜日(14日)帯広競馬場では、10月31日(水)に大井競馬場で開催されるダート競馬の祭典・JBC(クラシック・スプリント)オリジナルグッズのプレゼントが行われます。来場先着1000名様に入場門にて抽選整理券を配布し、整理券を持つ全員に、キャップまたは、ストラップが当たります。どうぞお早目にご来場ください。

10月13日(土)のメイン第11レースは、もみじ特別(混合700万円未満)。この条件を4連勝していたギャンブラークインがオープンに昇級したことで、一転、混戦ムードが漂います。
ホクショウダイヤは、今季この条件で5戦1勝、2、3着各1回の好成績を収めているほか、オープン混合でも勝利しています。追い込み一手の脚質だけに、前走(8着)のように、あまり障害に手間取ると厳しいものの、順当なら今回も上位進出は間違いないでしょう。
オープン混合1着を含め、今季開幕から1度も掲示板を外していなかったバンゼンですが、5走前からの混合700万円未満では、ちぐはぐな競馬で4走連続して8着以下。先行して粘り込む競馬が身上だけに、強力な同型馬・ギャンブラークインの存在は目の上のたんこぶだったに違いありません。前走は4着とやや持ち直しただけに、ギャンブラークイン不在の今回は変わり身を期待したいところです。
ほか、今季この条件で勝利を挙げているシンザンウィークアローコマンダーも差はありません。また障害次第ですが、唯一の700万円条件馬グレートサンデーの一発にも警戒が必要でしょう。

10月14日(日)のメイン第11レース狩勝特別(オープン)には、前開催の岩見沢記念の1~5着馬が揃って出走してきました。
その岩見沢記念を制したのが、今季ここまで未勝利だったトモエパワー。逃げてゴール線上で一杯になったミサイルテンリュウを障害4番手から差し切りました。今年3月のばんえい記念圧勝の実績のとおり高重量戦での強さは特筆もの。今回は前走から約100キロ減量され745キロと決して得意の条件ではありませんが、復調なったとあれば、期待をかけてみたいところです。
岩見沢記念では、6番人気で2着に食い込み馬単万馬券の立役者となったカネサブラック。これまで実績のない重量での連対だけに成長を感じさせました。今回は、エビスオウジャミサイルテンリュウらとトップハンデ750キロでの出走ですが、好走の可能性も十分でしょう。
最後はカネサブラックにも交わされ惜しい3着のミサイルテンリュウは、障害で後続との差を広げる得意の競馬に持ち込んでの敗戦だけに悲観する必要はなく、今回も上位をうかがう存在に違いありません。同5着のフクイズミも、最後はよく追い込んでおり、今回は巻き返しの可能性もあります。
岩見沢記念不出走組では、700万円条件で逃げて4連勝を飾りオープン入りしたギャンブラークインや、9月9日の金杯で穴をあけたトカチプリティーが不気味な存在です。

この日の第7レースは2歳A1戦が組まれています。
ここはやはり、前回の2歳A1で2着のコトブキタイガーが中心でしょう。
白菊賞を制し2歳牝馬ナンバー1のカネヅル、前走A2を圧勝し復調ムードのオレワスゴイがどこまで迫れるかに注目です。

10月15日(月)のメイン第11レースは、いちょう特別(500万円未満)。
この500万円条件の特別戦は上位クラスを臨む、勢いのある馬たちが多く集まるだけに連勝するのは至難の業です。そんななか今季、唯一連勝を飾っているのがキョクシンオー。05年シーズンには、オープンでトモエパワー、エビスオウジャらを破った実績の持ち主で、今回も上位をうかがう存在でしょう。
ライジングサンは、安定した障害力を武器に、今季この条件で13戦して1勝のみも2着5回、3着2回と堅実な成績を残しています。前開催の神無月特別では、エメラルドには僅かに及びませんでしたが、キョクシンオー(3着)には先着しています。
神無月特別4着フクノカミカゼも有力、同7着のコトノカツマも2走前の混合600万円未満ではライジングサン(3着)とコンマ3秒差4着に健闘しています。また昇級2戦目でクラス慣れが期待できる銀河賞馬ツジノコウフクも一角崩しを狙います。

レース回顧(10/6~10/8)

2007年10月 9日(火)

 6日(土)は石勝特別(3歳以上オープン)が行われ、スターエンジェルが快勝。今季2勝目を挙げ、オープン戦線における存在感を示しました。
 馬場水分が2.3%まで下がり、各馬第2障害で苦戦を強いられましたが、障害には定評のあるニシキダイジンが先頭でこれをクリア。続けてホクトキング、スターエンジェルも障害を越え、さらにナリタボブサップ、シンエイキンカイあたりも勝負圏内でクリアしました。先頭のニシキダイジンは残り30メートル付近から脚いろが鈍りはじめ、代わって先頭に立ったホクトキングもスローダウン。そうしたなかスターエンジェルだけがきっちり脚を伸ばし、残り20メートルを切って先頭に躍り出ると、そのままゴールを果たしました。追い込んできたシンエイキンカイ、ナリタボブサップが脚いろの鈍った2頭を交わして2、3着。以下、ニシキダイジン、ホクトキングの順で入線し、1番人気のサダエリコは6着に終わりました。

 7日(日)は秋桜賞(3歳オープン)が行われ、昨季のイレネー記念2着馬シベチャタイガーが優勝しました。
 第2障害はアローファイターとシベチャタイガーの実績馬2頭が並ぶようなかたちでクリア。いったんは先頭に立っていたアローファイターですが、残り30メートルを切ってから脚が重くなり、シベチャタイガーが先頭へ。その後シベチャタイガーはゴール寸前で脚が止まりましたが、すぐに立て直して1着でゴールイン。アローファイターは、重い馬場に苦戦して残り10メートル付近で立ち止まったものの、後続の追撃を振り切って2着を確保しました。3着には牝馬のプリンセスモモが入線。

 この日の第10レースに行われたのは北央産駒特別(2歳産地限定)。ここはウメノタイショウが1番人気にこたえて優勝しました。
 第2障害を先頭で越えたウメノタイショウは、軽快に脚を伸ばして楽勝ムード。しかし、重量をさほど積まれていないとはいえ、2歳馬にとってこの日の重い馬場は過酷なもの。ウメノタイショウもゴール線上で脚が止まり、どっと押し寄せた後続に交わされそうな勢いでしたが、これを何とかしのぎきって、先頭ゴールを果たしました。2着は、障害2番手から追い込んだエナジーユウシオ。3番手で障害を越えたタイソンショウが、きわどいところまで追い込み、3着でゴールしています。

 8日(祝・月)は重賞のクインカップ(4歳牝馬オープン)が行われ、ヒメカワキタが重賞初制覇を果たしました。このレースについては別掲のクインカップ回顧をご覧ください。

映像はこちら。またこれらを含め2カ月前までの映像は、すべてオッズパークにてご覧いただけます。

10/8クインカップ回顧

最低人気ヒメカワキタが重賞初制覇!

 8日(祝・月)に行われた重賞・クインカップ(4歳牝馬オープン)は、単勝最低人気のヒメカワキタが優勝。これまでばんえいオークス4着が目立つ程度でしたが、一躍世代牝馬トップクラスへ名乗りを上げました。

 各馬645~670キロということもあり、道中は標準的な流れ。サクラガサイタ、センコウラブリイあたりが先行して、勝負どころの第2障害を迎えました。
 真っ先に動いたのはセンコウラブリイ。追ってヒメカワキタ、ニシキユウが仕掛ける展開。先頭でこれを越えたのはセンコウラブリイで、ヒメカワキタがこれに続き、エメラルド、ニシキユウの人気2頭が追随。障害を下りて2馬身ほどのリードを保っていたセンコウラブリイですが、激しく尻尾を振りながらのレース。苦しいのか、レースに集中できていないのか徐々に失速し、残り15メートル付近でヒメカワキタが先頭へ。そのままヒメカワキタが力強く脚を伸ばし、半馬身ほどの差でゴールを駆け抜けました。センコウラブリイはなんとかこらえきって2着。よく歩いたもののトップハンデがこたえたか、1番人気のエメラルドが3着。

 ヒメカワキタはこれが重賞初制覇。今回は、実績のあるエメラルド、ニシキユウとの比較で重量が20キロ軽かったこともありますが、同クラス、同重量、そして同厩舎のセンコウラブリイを抑えきったのは見事。06年シーズンの最終戦あざみ特別で、エメラルドやニシキユウといった世代トップクラスと同重量で勝っていることから、もともと実力差はなかったのでしょう。ただ、このあざみ特別も今回同様に単勝最低人気、また前走は1番人気で7着と敗れたようにムラ駆けなのは否めません。今後は安定して力を発揮することができるかどうかが課題となるでしょう。
 センコウラブリイは今回が9度目の2着。時にこうした詰めの甘い馬がいますが、激しく尻尾を振っていたゴール前からすると、センコウラブリイも勝ちきれないタイプなのかもしれません。それはともかく、管理する皆川公二調教師にとっては、うれしい同厩舎ワンツー決着。悔しいと思われるのは、ここ数戦ヒメカワキタの手綱も取ってきた入澤和也騎手でしょう。次の機会の奮起に期待したいと思います。
 単勝1、2番人気のエメラルドとニシキユウが、それぞれ3、4着。やはりハンデが響いた印象ですが、それでも堅実なレースをみせたのは収穫。牡、牝を問わず、この世代のトップクラスにあることを証明した一戦と言えるでしょう。

成績はこちら
映像はこちら

10/8クインカップ予想 矢野吉彦

2007年10月 7日(日)

格と調子でエメラルド

 いやいや、サダエリコとその陣営への思い入れで予想した岩見沢記念は完敗でした。これはどうしようもありません。気持ちを切り替えて先へ進みましょう。

 と思ってはみたものの、今週のクインカップは難しいですね。格と調子とハンデをどう絡めて予想したらいいのか。考え出したらキリがないレースだと思います。
 そこで今回は、ハンデ差は気になるところですが、格と調子で言えば間違いなく上位のエメラルドを頼りにすることにします。前走で、今回引っ張るより重い荷物を引きながら勝ち切ったのは調子のいい証し。その前走では、ニシキユウより5キロ軽い荷物だったのが、今回は同重量になって、しかもニシキユウが藤野騎手に手替わりするので、どちらかと言えばニシキユウに心惹かれるところではあります。でも、とにかく近2走で勝っているというのがエメラルドの強み。連は確保してくれるのでは、という理論です。
 たぶん、人気はバラけると思うので、馬券は馬複でいいでしょう。またまた伝家の宝刀、エメラルドからの総流しで行きます。
 もう一歩踏み込んでおもしろい馬券を買うなら、エメラルドを2着にした馬単流しというのもアリかな。つまり、この好調な実力上位馬がハンデ差のために何かに負けるというパターンですね。
 改めて考えても、だんだん分からなくなってきます。どこからでも買えるという、ばんえい競馬ならではのレースだと思います。みなさん思い思いの考え方で馬券を買ってみてください。当たったら幸運、外れても落ち込む必要はありませんよ。なんて、自分が外れたときの言い訳にしたりして。では、今回はこのへんで!

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