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馬券おやじは今日も行く(第14回)  古林英一

いつまで続くぬかるみぞ
 ~ばんえい必勝法の探求 その1~

 今回はがらっと趣向を変えてタイトルどおりの馬券ネタである。

 おそろしいほど馬券があたらない。わがばんえい競馬は今年から周年開催となった。一刻も早く泥沼から脱却しないと小生の財政は破綻してしまうのである。

 ウソでも小生は学者であるからして、まず冷静に現状を把握するところからはじめなくてはならないのである。

 小生の今年1月からの馬券収支において、回収率は約60%にとどまっている。つまり、1万円投資して6千円しか取り返していないということである。わずか1回や2回の試行であれば決して不思議な現象ではないが、こういっちゃなんだが、正月以来ばんえいは皆勤賞である。1月元旦からスタートして、2月20日まで、すでに26日間開催された。平均1日4レースは手を出しているから、100レース以上やっていて、この結果なのである。サンプルとしては決して少ない試行とはいえないだろう。

 まず、回収率60%という低率にとどまっている理由を根底から問わねばならない。ウソでも学者である小生としては、冷静に近代科学の方法論にたって検討せねばならぬ。まず仮説を立てねばならない。小生が最初に立てた仮説は、「経営難に苦しむ市営競馬組合が密かに控除率を上げたのではないか」というものである。とりあえず他人の責任に帰するというのが最も安易な解決策だ。先刻ご承知のように、競輪競馬の控除率は約25%。したがって、アトランダムに馬券を買っても回収率は75%になるはずである。この点は強調したい。宝くじやTOTOに比べりゃいわゆる3競オート(競馬競輪競艇オートレースの総称)の控除率は格段に低い。つまり世間一般の、無知なマスコミ・大衆の消費者の社会的通念に反して、競輪・競馬は消費者に優しいギャンブルなんである。加えて、競走馬の馬糞は土地に還元されるし、競輪は排気ガスを出さないので、地球にも優しいのである。ウソでも環境学者である小生(注1)はこの点も強調したい。

 アトランダムに馬券を買っても75%は回収できるはずなのに、小生の回収率は60%。これでは買い目を考えるだけマイナスに作用しているということではないか!「下手な考え休むに似たり」というが、これでは「休む」ほうがマシではないか。後にも先にもたった1回しか行われていない「ばんえい競馬予想大会」において、ニシダテ氏と組んで、輝けるチャンピオンに輝いたこの私が「休む方がマシ」なんぞということは、あってはならないことなのである。

 話を戻すと、この仮説はどうも正しくないようだ。というのは、このコラムで重賞予想をやっているヤノ・サイトウ両氏は快調に的中させているのである。サイトウ氏にいたっては「D-netの口座残高が増えて、増えて……」と密かに豪語しているのである。この儲けで馬券おやじという人種は、一般に、他人に儲け話をするのは大好きだが、他人の儲け話を聞くのは大嫌いなのである。悔しいったらありゃしない。「組合陰謀仮説」はどうやら棄却せざるを得ない。

 続いて立てた仮説は「情報流出仮説」である。これは小生の買い目が事前に流出し、正義の味方(ここはとりあえず「正義の味方」でないと語呂が悪いのである)である小生の破綻・失脚を狙う「悪の国際裏組織」が、小生の買い目をはずしたレースを仕組んでいるという仮説である。小生の頭のなかではこれも一時期有力な仮説だったのであるが、やはりどうも無理がある仮説である。そもそも、小生が「地球を守る正義の味方」であるという設定に無理がある。小生、人間をやりはじめてかれこれ50年近くになるが、生まれてこのかた、世のため・人のために活動したことなんぞ、ただの一度もないことにふと気がついたのである。ということで、この情報流出仮説も棄却である。

 以上、2つの仮説は、いわば客体要因仮説であり、小生本人以外に原因を求める仮説である。地球に優しく、自分にはもっと優しい環境学者の小生には都合のいい仮説なんであるが、ここは、どうやら、心を鬼にしてこの客体要因仮説は放棄せざるを得ない。すなわち、馬券が当たらない原因は、他ならぬ小生自身にあるという主体要因仮説を採択せざるを得まい。馬券を買い始めて四半世紀。馬券にいちゃんから始まり、馬券おやじにいたるわが人生で、「自分の馬券の買い方は間違っている」という事実を是認することは、まさに断腸の思いであり、自らの人生を否定するものであるが、身を挺して真実を希求する学者である小生は、敢えてこの苦難の選択をするのである。

 予想大会初代チャンプに輝いたとき、小生の必殺技は「お隣さんの法則」であった。これは「有力馬の隣の馬はつられてついがんばってしまう」というものである。他にも、「乗り替わりの大口騎手は狙い目」、「10号馬は買い」、「4・5着がここ2戦続いた馬は買い」とか、いくつかの小技はあるが、何よりも「お隣さんの法則」は猪木の卍固め(古いな~)なみの小生の必殺技だったのである。

 改めて検証してみた。ここらが科学的方法論を重んじる学者である。1月1日の3回帯広3日目から2月20日の7回帯広4日目までに310レースがおこなわれた。「お隣さんの法則」が的中したレースは全部で63レースであった。なかには1月23日のように、12レース中7レースがお隣さん決着の日もあったが、2月11日や2月18日のように「お隣さん」決着が一度もなかった日もある。ほぼ2割の頻度で「お隣さんの法則」は実現する。問題はこれで穴馬券が獲れるかどうかなんである。2割の的中率ではそこそこ以上の穴を獲らないと収益はあげ得ない。「お隣さん」馬券63レースの馬複の配当は最高が7,830円、最低が200円であった。

 ばんえい競馬の出走頭数は最高10頭。ということはお隣さん馬券は、馬複では1-2、2-3、……、9-10の最大9通り。ほんとはすべてがフルゲートではなかったので、少し買い目は少なくなるのだが、全レースがフルゲートだと仮定して、すべての「お隣さん馬券」を100円ずつ購入すると、310レースなら279,000円投資することになる。さて、得られた収入は?というと、63レースで113,140円。回収率は40.6%。ありゃま!?「お隣さん馬券」はアトランダムに買うより儲からないではないか!

 ということで、小生の必殺技「お隣さん馬券の法則」は脆くも敗れ去ったのである。
 だが、小生はウソでも真理を探究する学者であり、かつ、馬券歴四半世紀を超える歴戦の馬券おやじなのである。卍固め(=お隣さん馬券の法則)は脆くも敗れ去ったが、スタン・ハンセンのウエスタンラリアート(これも古いな~)並みの必殺技がいくつもあるのである。次回(があればの話だけど)は、「大口騎手乗り替わりの法則」をご紹介しよう。「乞う、ご期待」(誰も期待しないとは思うが)である。

(注1)小生は馬券おやじであるが、これは世を忍ぶ仮の姿、その実は環境学者である(どっちが世を忍ぶ仮の姿かはかなり怪しいものだが)。拙著『環境経済論』(日本経済評論社刊)は競輪・競馬ファンに配慮した世界で初めての環境問題入門書なのである。ということで、小生は世界有数の環境学者でもあるのだ(書評はこちらをごらんあれ)。できれば書店で買っていただきたい。この印税でばんえい必勝法を極める予定なのである。

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