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やっぱり馬が好き(第9回)  旋丸 巴

ばんえいの極意

 馬という動物に魅入られて三十数年。軽種馬については人並みの知識を得たように思うけれど、重種について、と言うと、これは甚だ心許ない。それで、ここ数年、ばんえい競馬や重種馬に詳しい御仁を探し回っていたけれど、二ヶ月前、ついに、そんな重種の達人に巡り合うことが出来た。

 実名は挙げられないけれど、何しろ、ばんえい記念を制した馬だけでも5頭も手がけたという名伯楽。だから、そう簡単に極意なぞご教授いただけるはずもなく、最初は、気難しい顔で、そっぽを向いておられたけれど、恐る恐る「サラブレッドは、こういう体型を良しとしますが……」などと質問を投げかけるうちに私を信頼して下さったのか、ゆるゆると、ばんえいの真髄を語り始められた。

 以降、私は、この名人を師と仰いで、ばんえい競走馬について、体型、飼育管理、血統など、様々なことを教わりつつあるのである。

 という次第で、未だ修行中の身であれば、偉そうなことは書けないけれど、それでも、一つだけ確信できたことがあって、それが「サラブレッドも重種馬も、良馬の基本理念は同じ」ということ。特に、「柔軟性」は、どんな馬にも必要不可欠な資質だということを、この師に巡り合って再確認できた。

 ただし、サラブレッドの見方とは全く逆、ということだって稀には存在する。

 その珍しい例外というのが「踏み込み」。

 ご承知の通り、サラブレッドは力強い踏み込みこそが「好走」の条件。私も、パドックで踏み込みの良い馬は必ずマークする。

 それが、しかし、我が師曰く、「ばんえいでは踏み込みの浅い馬の方が走る」。理由は、「坂を登る時に大股だと疲れるから」とのこと。

 人間でも、登山では小刻みなステップで登坂するのが常識。だから、ばんえいでは、パドックで大股で歩いているような馬はペケ。小股でチョコチョコ歩いている馬の方が、障害を登るのに有利、というのである。

 この話を聞いて、私は、「そうか、それで、私は今まで、ばんえいの馬券が取れなかったんだ」と反省し、「これからは、馬券をガッポガッポといただくぞー」と皮算用した。

 かくて、「ばんえいの知識を深める」という高潔なる向学心は、「馬券的中」という俗な野心となり果てたのでした。嗚呼、情けなや。

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